「鬼畜! アターーーーーーーック!!!」
ランスの剣がククルククルの両腕の触手を斬り飛ばし、その刃はククルククルの体を簡単に切裂く。
2級神であり、単純な強さだけならば魔王をも上回るとされるラ・バスワルドの力を宿した剣の力はやはり常軌を逸していた。
だが、目の前にいる魔王もまた常軌を逸する存在だった。
両腕の触手を無くし、その顔も体も最早血まみれだ。
力が抜けているのか、右胸に突き刺さっていたクリスタルソードも力なく地面に落ちる。
それでもククルククルはまだ死んでいなかった。
緩慢な動きでありながら、間違いなくランスを狙っていた。
「いい加減にしやがれ! とっとと死ねーーーーーっ!」
そう言うランスだが、今の鬼畜アタックでほぼ全ての力を使い切ってしまっている。
それでも剣を構えるのはランスの剣士としての本能と言っても良かった。
(最後の最後で本気でヤバいか!?)
その巨体がランスにのしかかるだけで、ランスは間違いなく絶命する。
流石のランスも死が頭に過ぎった時、ククルククルの行動は思いがけない事だった。
まるで吸い込まれるように、ランスの剣がククルククルの触手の左胸に突き刺さる。
いや、ククルククルが自ら刺さりに来たと言っても良いだろう。
「何だと!?」
それにはランスは驚愕し、ククルククルを見る。
ククルククルはその顔にはやはり興味深そうな笑みを浮かべたまま、そのまま力なく崩れていく。
まるで塵に帰るかのように、ククルククルの体が霧散していき、その巨体がとうとう完全に消える。
「…終わったのか?」
ランスは少しの間警戒してたが、どうやらククルククルは本当に死んだようだ。
「あー…しんど」
それを確認し、ランスはようやく大の字になって地面に倒れる。
ここまで疲れたのは流石に初めてだ。
ゼスでカミーラと戦った時も疲労から動けなかったが、今回はあの時以上だ。
もう体を動かすのも億劫だ。
「だが…流石俺様だな。魔王を倒したという訳だ」
「ああ…確かにお前は魔王を倒した。例えそれが力のごく一部…それこそ5%にも満たない存在であったとしてもだ」
ランスの側にスラルが腰を下ろす。
そのままスラルはランスの頭を掴むと、自分の膝の上にと乗せる。
「見事だ、ランス。やはりお前を見初めた我の目には狂いは無かった」
「当然だ。俺様は最強だからな」
「ああ…そうだ。お前が間違いなく人類最強…いや、最高の男だよ」
スラルは穏やかな笑みを浮かべて、ランスの頭を撫でる。
流石のランスも怪我が大きい。
ケッセルリンクが護ってはいたが、所々に傷はあるし、その鎧の下は血で滲んでいるだろう。
「ランス…無事で良かった」
倒れているランスの側にケッセルリンクが現れる。
「いや、お前が無事じゃないだろ。大丈夫だろうな」
「そんな簡単に死ぬ魔人四天王では無いよ。だが、確かにこんな姿をお前に見られるのは抵抗はあるか…」
ケッセルリンクの有様も酷いものだった。
その体は血塗れで、その腕は明らかに折れている。
無事な所を探すのが難しいという有様だ。
「私は魔人の中でも高い再生能力を持っているからな。それよりも…スラル様も無事でよかった」
「無事…とは言い難いがな。肉体的にはそれほど問題は無いが、完全に魔力が枯渇した。回復するのにも時間がかかるな…」
スラルは魔法力を使い過ぎて衰弱している状態だ。
肉体に傷は殆ど無いが、精神力が疲弊してしまっている。
特にバスワルドの力をランスの剣に宿すのには一番力を使った。
「カミーラ様! カミーラ様ぁ!」
「カミーラ様…!」
「うろたえるな。ラインコック、七星。この程度で私が死ぬはずがない」
倒れているカミーラに二人の使徒が駆け寄る。
カミーラは不敵に笑うと、そのまま体を起こす。
強がってはいるが、カミーラの傷はケッセルリンクよりも大きく、その手はあらぬ方向に曲がっている。
ケッセルリンクほどではないが、強い再生能力を持つ魔人がここまで大きな傷を負うという事は、ククルククルがいかに強敵だったと思い知らされる。
「あー…しんどいな。でもお前もやるじゃねえか。人間ってのはこんだけ強いのがいるのか?」
カインがゆっくりと歩きながらランスの所に向かってくる。
ククルククルに体を貫かれていたはずなのに、それでも全く平気な顔をしている。
「一緒にしないほうがいいわよ。ランスは人間の中でも規格外だから」
レンは足が折れているのか、翼で宙を浮かびながらランスの元へとやってくる。
「とりあえずは…回復の雨!」
レンの魔法でとりあえず傷は癒える。
だが、流石に疲労までは癒すことは出来ない。
「フン…生き残ったか。だが、そうでなければ私が楽しめぬ」
カミーラは倒れているランスを見て不敵に笑う。
その傷は回復魔法を受けて尚深いものだが、それでもカミーラの美しさは変わる事は無かった。
「お前はボロボロだな」
ランスはボロボロになりながらも不敵に笑うカミーラを見て、呆れたような声を出す。
こんな姿を見られて尚もこういう態度を取れるカミーラは、ある意味尊敬に値する。
「ククク…だがこれで貴様と戦うことが出来る。今度は逃がさん」
「あー…そういやそんな話もあったな」
ランスがどうやって逃げようか考えていた時、ランスの周囲が突然真っ白になる。
「な、何だ!?」
「こ、ここは…」
「まさかここは…」
周囲に居るのはランス、スラル、レンの3人だけだ。
するとその白い空間に凄まじい光が溢れる。
「うおっ!? って毎回これは止めろと言ってるだろうが!」
「何言ってるのよ! クエルプラン様に対して!」
ランスの言葉にレンがその頭を叩く。
神の眷属であるレンにとっては、1級神クエルプランはまさに天の上の存在だ。
クエルプランの配下のエンジェルナイトではないレンにとっては、まさにお目にかかるのも難しい存在なのだ。
そんな神がレベル神という下級の神の仕事をするなど、あり得ない事なのだ。
クエルプランの光が小さくなり、その神々しい姿を目の当たりにして、レンは跪く。
「おめでとうございます、ランス。あなたは神の試練を乗り越えました」
「おう。まあ俺様なら楽勝だがな。がははははは!」
「よく言うわよ。魔人とドラゴンの助けが無かったら絶対に乗り越えられなかったでしょ」
「それも含めて全て俺様の力だ。それとも何か。俺様以外にカミーラとケッセルリンクが協力したと思うか」
「うっ…」
ランスの言葉にレンは言葉に詰まる。
確かにランス無くして、魔人の協力など得る事など不可能なのは事実だからだ。
「ランスの言う通り、それも含めて全てランスの力という事なのだろう。それでクエルプランよ。ランスに与える褒美とは何なのだ」
「はい…まずは結論から言います。今のままではバスワルドの力を使う事は出来ません」
「何だとー!?」
クエルプランの言葉にランスは激昂する。
一体何のためにこんな面倒臭い試練とやらを受けたのか分からなくなるので当然の事だ。
「言ったはずです。私が教えるのはバスワルドの力を扱う方法だと。そしてその方法ですが…」
クエルプランはこれまでの事を思い出す。
これは神が思いついたこの世界の戯れだ。
クエルプランとしては、こんな戯れにランスが巻き込まれるのは…複雑な心境だった。
だがこれは自分と同じ1級神であるラグナロク、そしてその上の三超神…更にはその上に創造神までもが認めている事だ。
そんな状況ではクエルプランは何も言う事は出来ない。
「まずは…この世界にラ・バスワルドが分けられて現れます」
「!」
その言葉に驚いたのは勿論スラルだ。
あの神は恐ろしい存在だった。
魔人の無敵結界も意味をなさず、魔王すらも上回るかもしれない強さ。
そんな存在が二つに分けられたとはいえ、この世界に現れる。
それが意味する事はが分からない程スラルは衰えてはいない。
「ふーん。で、それが俺様に何の関係がある」
ランスはそんな神の意図を全く分かっていないが、それはある意味当然の事だ。
何故ならランスは人間にしか過ぎないのだから。
「ランス…あなたは以前にバスワルドとの性交を望みました。ですがその結果はランスの意にそぐわぬようでしたね」
「お前…そんな事をしてたのか」
クエルプランの言葉にスラルは半眼でランスを見る。
そこにあるのは若干の軽蔑と呆れが入り混じっている。
ようはランスをよく知るメンバーが何時もランスを見る目と一緒だ。
「俺様が勝ったんだから当然の権利だ。でもなあ…あいつ全く反応が無いから詰まらなかった」
ランスとしては全く反応が無い人形を抱いているような感じだった。
名器ではあるのだろうが、やはり反応が無ければランスとしても詰まらない。
以前のようにただただ自分だけが気持ちよくなるような、独りよがりのセックスは控えめになっていた。
「バスワルドの半身は其々魔人としてこの世界に存在する事になります。ランス…あなたがその半身を抱く事で、バスワルドの力を解放出来るでしょう」
「何だと!?」
バスワルドの半身が魔人として存在する。
それもクエルプランの言葉から察するに女性としてだ。
「待てよ…俺様はかなりの魔人を知っているが、そんな奴はいたっけか…」
ランスは魔人とは縁が深い。
LP期において、ランスほど魔人と戦った存在は居ないだろう。
そもそも、魔人を何体も倒すという事が、人類にとっては初めての事なのだ。
その点においては間違いなくランスは英雄と言っても差し支えないだろう。
「その魔人と出会えば必ず分かります。その後はあなた次第です」
「魔人と出会いセックスをすれば、か。中々厳しい条件だな」
「人が神の力を使う。それがどのような事か、元魔王のあなたならば理解をしているかと」
クエルプランの言葉にスラルは唇を噛みしめる。
この世界の成り立ちを考えれば、クエルプランの言っている事は正しい。
そもそもバスワルドは間違いなく魔王を超える力を持っている…そして魔王こそがこの世界の支配者だ。
その魔王に対抗する力がそんな簡単に手に入る訳が無いのだ。
「で、そいつらのヒントは無いのか。いくら俺様でも相手が魔人とは言え闇雲に探す事は出来んぞ」
「申し訳ありません、それ以上の情報を出す権限は私にはありません。ですが、あなたならば知る手段は幾らでもあるでしょう」
「そうだぞランス。今のクエルプランの言葉からすれば割り出すのは簡単だ。今の時期から最も近い間に魔人になった女の魔人二人が正解だ。それを知る手段は幾らでもあるはずだ」
「…そういやそうか」
スラルの言葉にランスは納得する。
条件が狭すぎるため、回答もまた狭いものになる。
だとすれば幾らでも知る機会はある。
「では私はこれで…レベルアップの時はまた私を呼んで下さい。それでは」
そう言ってクエルプランの姿が消えると同時に、ランス達は元の場所へと戻る。
「おっ。戻ったか」
「そのようだな」
ランスの目の前にはやはり仁王立ちしたカミーラがランスを見下ろしている。
「戻った? 何を言っている?」
ランスとスラルの放った言葉にケッセルリンクが怪訝そうな顔をする。
「あん?」
「…ケッセルリンク。もしかして我とランスとレンの姿が消えたのを認識していないのか?」
「いえ、誰の姿も消えていませんが…」
ケッセルリンクの言葉にスラルは愕然とする。
消えたと思っていたのは自分達だけで、他の者には何の影響も無かったようだ。
(…神は時間すらも操るという事か)
自分達がクエルプランと話をしていたのはどう考えても5分くらいはあったはずだ。
それなのに他の者はその事を認識すらしていない。
まさに人知を超えた力、魔王すらも超えている力だ。
「ランス。例の力とやらは手に入ったのか」
「それはまだだ。この後で魔人とセックスする必要があるんだと。まあ俺様には都合が良いがな」
カミーラの言葉にランスはがははと笑って見せる。
そんなランスを見て、カミーラは少し愉快そうに笑う。
「そうか。だがそれはそれとして、お前は私のモノになる宿命がある。傷を癒した後で決着をつけるぞ」
カミーラがそう言った時、景色が歪んでいく。
するとランス達は地上へと戻される。
「…何が起こったのじゃ」
お町は地上の様子を見て困惑する。
これまでは地上に無数のハニーが存在し、色々な店が並んでいたのだが、それが煙のように消え去っている。
「ハニーキングのやる事に一々突っ込む必要は無いぞ。相変わらずな奴だからな」
スラルはハニーキングの事を考えると頭が痛くなるので、考えるのを止めることにする。
(結局…あいつは何がしたかったんだ)
ハニーキングの意図は全く分からないが、少なくともランスに害を与える事ではなかった。
今までが今までだけに、疑心暗鬼になるのもやむを得ないだろう。
「カミーラ様!」
「ケッセルリンク様も! ご無事ですか!」
「貴様! 人間共め!」
そしてやってくるのは魔物将軍を初めとした魔物兵達だ。
「うげ。お前らこんな奴等を連れてきてたのか」
「黙れ人間!」
ランスがうんざりした顔をした時、魔物隊長がランスに向けて剣を突きつける。
「何だお前ら…」
「え…ど、ドラゴンだと!?」
そんな魔物達を見てカインがギロリと魔物兵達を睨む。
「あー。こいつらはアレだ。魔王の手下だ。だからお前の敵だな」
ランスの言葉を聞いて、カインの目が光る。
それは新たな敵を見つけた喜びにも感じられる。
「魔王の手下だあ? じゃあククルククル…アベルの手下って訳かよ! じゃあ俺様の敵だな! ぶっ殺す!!!」
カインの体から稲光が放たれたかと思うと、その口から特大のブレスが放たれる。
「うぎゃーーーーー!!!」
ブレスが放たれる直前にレンがランスを掴んでブレスの射線上から離れる。
それを確認し、カインの口から放たれたブレスは無数の魔物を飲み込んでしまう。
その後に残ったのは魔物兵達の消し炭があるだけだ。
「ド、ドラゴンだ!」
「アロゾット! カ、カミーラ様!? 一体何が!?」
「ハッ! 雑魚共がよ! カミーラの後ろに隠れないと何も出来ないってのか!?」
流石にドラゴンが相手では魔物将軍でも分が悪すぎる。
魔物将軍であろうとも、ドラゴンの前では雑兵に等しい。
「そこまでだ、カイン。今はこいつ等が死ぬのは面倒だ。もしやるというのなら、私は躊躇い無く無敵結界を使いお前と戦おう」
「何だと?」
カインとカミーラの睨み合いは少しの間続くが、魔物兵達には途轍もなく長い時間に感じた。
それだけドラゴンという存在の強さは別格なのだ。
「まあいいさ。俺も今無理にお前と殺し合いをしようだなんて思わねえ。それに今は状況を知る必要が在るかな」
先に折れたのはカインの方だった。
「ランスっつったな。人間ってのが全部お前くらい強かったらもっと楽しめそうなんだが…ま、お前はそうじゃないんだろうな。縁があったらまた会おうぜ」
カインはそのまま楽しそうに笑うと、そのまま空を飛んで何処かへと行ってしまった。
「何だあいつは」
「ドラゴンの考えてることなんて分かる訳ないでしょ。それよりもどうする?」
「うむ。面倒だな。カミーラだけでも面倒なのだがな」
ランスの視線には魔軍が居る。
カインの攻撃で一部の魔物兵と、魔物隊長が吹き飛んだがそれでも数が多い。
何よりも、魔人カミーラがランスを逃がすつもりは無いだろう。
「さて…」
カミーラは詰まらなそうに笑い、レイの所へと歩いていくと、その襟首を掴んで宙吊りにする。
「な、何しやがる!」
「魔王が貴様を捕える様に言った。魔人である私はそれには逆らえん。ランスの用件も終わった。ならば私は魔王の命令をこなさねばならぬ」
「そうなのか。まあそんな奴いようが居まいがどうでもいい」
「おい!」
レイの抗議にもランスは知らん顔だ。
ランスにとっては男などどうなろうが知った事ではない。
それにカミーラとケッセルリンクに見つかったのだから、どの道レイの運命は決まっていたのだ。
「この男を捕らえておけ。だが、こいつ等は別だ。私が直々に相手をする」
「な、なんとカミーラ様自らが!?」
カミーラの言葉に魔物将軍ドーイクスは驚愕の表情を浮かべる。
何しろ魔人カミーラと言えば怠惰で有名で、魔王の命令にも興味が無いと言われている。
実際にはカミーラは怠惰なのではなく、人知れず牙を研いでいるのだが、そんな事を態々口にするカミーラではない。
昔からのイメージが一人歩きし、怠惰という噂が抜けきっていないのだ。
「そうだ。だが…少し待ってやろう。ランス、万全の態勢で私にぶつかってこい。それこそが私の望みなのだからな」
カミーラの言葉に魔物兵達がランス達を囲む。
「待て、カミーラ。この人間達は私が見張る。それも私の仕事だからな」
「…好きにしろ」
ケッセルリンクの言葉にカミーラは踵を返し、何処かへと消えていく。
それを追って七星とラインコックも姿を消す。
「大人しくしてくださいね」
疲労状態のランスをケッセルリンクのメイド達が囲む。
その顔は申し訳無さそうで、彼女達も本意では無い事を伺わせる。
「お前たちは待機していろ。この者達に手を出すのは私が許さん。いいな」
「「「ハハッ!!!」」」
ケッセルリンクの言葉に魔物兵達が威勢よく返事をする。
ドーイクスの部下達は魔物兵の中でも優秀で、魔人の言葉に不平を漏らす事も無い。
統制のとれた部隊であり、この魔物たちを退けるのはランスでも苦労するかもしれない。
「さて…人間よ、精々楽しませる事だな」
ケッセルリンクはあくまでも冷酷な声でランス達を見ていた。
「で、どういう事だ」
「許せ。カミーラは魔王の命令で動いている。カミーラ自身でもどうしようもない」
魔法ハウスに戻ってきたランスはケッセルリンクを睨む。
ケッセルリンクはすまなそうにランスを見る。
そんな彼女を見て、ランスは鼻を鳴らす。
「逃げる、というのは止めてくれよ。私は直接魔王から命令を受けた訳ではないが、もし逃せばそれこそもっと面倒な事になる」
「ランス、ここはカミーラと戦うしかあるまい」
ケッセルリンクの言葉にスラルが頷く。
魔王の命令は絶対であり、魔人はそれに逆らうことは出来ない。
「それに魔軍の目的はあくまでもレイだからな。そこは絶対に譲れない所だろう」
「レイは無事なのかの」
スラルの言葉にお町は少し心配そうに眉を顰める。
何しろレイもかなりの傷を負っており、今も全身に痛みがあるはずだ。
回復魔法もそこまで万能でも無いのだ。
「…どうやら君はあのカミーラに気に入られているようだな」
エドワウはランスを見て複雑な顔をする。
魔人は彼にとっては絶対的な敵であり、正直今の状況は非常にまずい。
非情かもしれないが、ランス達と分かれて直ぐにでもアイテムを持ち帰りたいのが現実だ。
「俺様はいい男だから女がよって来るのは当然なんだ。むしろお前やレイはいらん。どこにでも消えろ」
「そうしたのはやまやまなのだが…果たしてどうやって戻ったものか」
ハニー達が消えた以上、どうやって大陸へ戻ればいいか分からない。
それがエドワウにとっては一番のネックだった。
「それよりも今は傷を癒したほうがいい。流石の私も今回は疲れた…素直に眠らせてもらおう。お前たちも休めばいい。ランスも無闇に逃げるという事は無い筈だ」
「そう言って頂けると…ランス様。お願いだから逃げないで下さいね」
「そうですよー。私達のためにも逃げないで頂けると非常に助かりますねー」
「分かった分かった。そんな目で俺様を見るな。まあ今逃げたら面倒になる気しかしないからな」
シャロンと加奈代の言葉にランスは嫌そうな顔で了承する。
本音を言えば直ぐにでも逃げたいが、そうした場合犠牲になるのはケッセルリンクとそのメイド達だ。
ランスとしてはそんな事は避けたい所だ。
「まあいい。今日は俺様も休むとするか」
「それがいい。相手はカミーラだ。態勢を万全にしても負ける可能性の方が高いからな…」
スラルは苦虫を噛み潰した顔で頭を押さえていた。
「…で、休むのではなかったのか」
「何を言っている。俺様の休むとはそういう事だ」
その夜、スラルはランスにベッドに連れ込まれていた。
そうなればやる事は唯一つ、大人の時間だ。
「俺様は今日は非常に不満だからな。だからスラルちゃんとしっぽりやってスッキリする事にする」
「お前は何時もスッキリしてるだろうが。まあ今更だな…」
スラルは全く変わらないランスに苦笑しながら、服を脱いでいった。
雪がヤバイ 体が痛い 疲れたから寝るの循環
今年中に何とかエターナルヒーローまで行きたい…