ランス再び   作:メケネコ

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黄金像を求めて

 黄金像を探す―――とは言っても、そう簡単にいくものではない。

 何しろ今の世界には情報の入手手段が少ないのだ。

 やはりGI期生まれで、駆け出しのころからキースギルドを利用していたので、この時代での情報の収集は難しかった。

 勿論これはランスが悪いという事ではなく、時代が悪いのだ。

 人類同士の争いが主だったGI期、そしてLP期はある意味平和だったのだと言える。

 ランスもカオスが言っていた言葉が、今更ながら自身に降りかかる事に不快感を覚えていた。

 ランス特有の、自分の思う通りにならなかったら腹を立てるという、まあ何時もの事だった。

「中々上手くいかないわね…」

「上手くいかないだけならいいんだけどね。こっちを積極的に騙そうとする奴らが多すぎるね」

 レンの言葉にハンティが吐き捨てる。

 色々な事情があり、人間に対してはあまりいい感情を持っていないハンティは、これまでの出来事に腹を立てている。

「ただの黄金では意味が無い。我等が望むのは『黄金像』だからな」

「…普通のお金は宝石なら結構手に入っているのですけどね」

 スラルと日光はこれまでの冒険の成果を見て複雑な顔をする。

 そこにはランスが手に入れた色々な『金目の物』が置かれていた。

 もしこれがLP期なら、ランスはこの金目の物を売ったお金で色々と豪遊しているだろう。

 ただ、今は生憎とGL期、残念ながらランスが豪遊出来るほどの人間の施設など存在しなかった。

「うーむ…おかしい。俺様ならば簡単に目的の物が見つかると思ったのだが…」

 ケッセルリンクの元から離れ早1月。

 その間に色々な出来事は有ったのだが、ランスとしては目的の物が手に入らない事に苛立っては―――いなかった。

「まあ俺様にとっては大満足だったのだがな! がはははは!」

 ランスはそう言って手元にある貝を見る。

「うむ、やはり美しいな。俺様が知る限りはこれは10万GOLD以上はするはずだからな」

「…そう。良かったわね」

 顔を緩ませながら貝を見ているランスを見てレンはため息をつく。

 今回の冒険の中でランス達が手に入れたお宝は「貝」だった。

 貝を守るために居たボスモンスターをランスはあっさりと倒した。

 宝箱を開けた時、スラル達は落胆したのだがランスだけは非常に喜んだ。

 その理由がランスの手元にある貝…白亜紀の桜貝と呼ばれる超プレミアの貝だ。

 ランスの言葉通り、これはLP期においては相場は10万GOLDはする貴重な代物だ。

 貝の収集に関してはランスもまた真摯であり、誰かから強引に奪うという事は無い。

 意外かもしれないが、コレクターの仁義をランスは守っている。

 だからこそ、こうして自力で珍しい貝を手に入れたというのは、ランスとしては至上の喜びなのだ。

「…ランスって貝の収集が趣味なの?」

「意外な趣味を持っていると我も驚いた。珍しい貝を見付けると喜ぶし、それが目の前で失われると本気で落ち込むぞ。これがコレクターというものなのだろうな」

 ハンティも少し呆れた顔でランスを見ている。

 スラルも少し呆れては居るが、人の趣味にケチをつける気も無いので、ランスが上機嫌ならそれで良いと思っている。

 ランスの本気の不機嫌は本当にヤバい事になると理解しているからだ。

「でも…黄金とはここまで人を狂わせる何かがあるのでしょうか…」

 日光は手にした成果を見て複雑な顔をする。

 これだけの価値の有りそうな物を手に入れるために何があったか…日光はそれを思い返していた。

 

 その1―――

「黄金の像を探してるって? へへ…それなら情報を持ってるぜ。でもタダじゃあなあ…」

 男はいやらしい目でランスの隣にいる女性たちを眺める。

「その女を俺に貸してくれれば情報は」

「死ねーーーーっ!!!」

「ぎゃーーーー!!!」

 そしてランスにあっさりと斬り殺される。

「ランス殿!?」

「構わん。こういう事を言う奴はクズだ。こういう奴はどうせ大した情報は持っていない」

「だからと言って、いきなり殺さなくても…」

 日光はランスがそういう人間だとは分かっている。

 分かっているが、流石にこうも簡単に人を殺すのはやっぱり非難の目を向けてしまう。

「まあランスの言う通り、こいつは大した情報は持ってはいなかっただろうな。態度が露骨すぎる」

 ランスがいきなり男を殺すとは思わなかったが、それでもこの男が大した情報を持っていないのは分かる。

「あーーーーっ! ネスオさん! ネスオさんが殺されたぞ!」

「てめぇー! よくも俺様の部下を!」

「ああっ! タシケさんがお怒りになられたぞ! お前たちは終わりだ!」

「やかましい! 死ねーーーーっ!!」

「うぎゃああああああ!」

「ええ!? タシケ様も殺された!?」

「な、何だあいつ!? 強すぎるぞ」

「いや、あんた達が弱すぎるのよ。ライトボム」

「「「「うぎゃああああ!!!!」」」」

 レンの魔法が男たちを吹き飛ばす。

「全く持って無駄だったな」

「よくある事だろう。それよりも別の情報を探すとしよう」

「そうだな。とっとと行くぞ」

 結局は情報は特になく、ランスの女に色目を向けたという事だけで男達はランスに殺された。

「…何も殺す必要は無かったのでは?」

 今更だとは思うのだが、日光はランス達に非難の目を向ける。

 確かにこの男達は嘘つきだったのは分かる。

 だが、殺す必要は無かったのではないかとは思う。

「構わん。どうせこれまでも女を食い物にしてきた奴等だろ。こういう奴等は死んで当然だ」

「だからと言って殺すことは…」

「やかましい。そんな事よりもとっとと他の所に行くぞ。ここは外れだっただけだ」

 そのままランスはこの隠れ里を後にした。

 その後、この里は少しまともになったことはランスには全く関係の無い事だった。

 

 その2―――

「よくやったなイワオ。いい女を連れてきたじゃねえか」

「つ、連れてきただす…あの…ジョイアン様。あまり酷い事は…」

「うるせぇ! だからお前はグズなんだよ! こんないい女なんか滅多に見当たらねえんだよ!」

 ジョイアンと呼ばれた男はイワオと呼ばれた男を殴りつける。

 ランスはそんな光景を無表情で見ていた。

 勿論目の前の光景に義憤を覚えたという事ではなく、また外れだったという結果からだ。

「あの金髪と黒髪は俺様が貰うぜ。あのチビは…お前達で好きにしな」

「そりゃあ無いぜジョイアン様! 俺もあの黒髪がいいと思ってたんですよ!」

「そうですよ! 俺はあの金髪の女が…」

「やかましい! 俺が可愛がった後は好きにしていいからよ。それまであのチビを可愛がってやれよ」

 男達の言葉にスラルの周囲の気温が下がっていく。

「おお…スラルちゃんが滅茶苦茶怒ってるぞ」

「その…それは当然ではないかと」

 ランスはスラルから少し距離をとる。

 それくらい、スラルからは恐ろしいほどの魔力が感じられたのだ。

「我がチビではない! この2人がでかいだけだ! 氷雪吹雪!」

 スラルは明らかに怒りを込めて魔法を放つ。

「「「「「うぎゃあああああ!!!!!」」」」」

 スラルの魔法が直撃し、盗賊の頭目とその取り巻きが氷付けになる。

「お、おかしらー!?」

 盗賊達がパニックになった時、ランスと日光は真っ先に動いた。

 ランス達を囲んでいた盗賊は2人によってあっさりと斬り殺される。

 日光も流石に盗賊相手には容赦はせず、盗賊達はあっさりと壊滅させられた。

「むうううううう」

「あの…それほど怒らなくても…」

「黙れ日光。我は別にそこまで狭量では無い。だが、こうもあからさまにいらんと言われては腹立たしいだけだ」

 スラルは日光とレンを見る。

 そこには女性として見事なスタイルを持っている二人が居る。

 魔王であった頃はそれほど気にもならなかったが、こうして改めて人という存在になると少しだけ…ほんのちょっとだけ気になるようになってきた。

 それは自分が女としてランスに求められたからかもしれない。

 どうしても自分を「女」として見てほしい自分が居るのに気づいてしまう。

「で、残ったこいつはどうする?」

 レンはイワオと呼ばれた男に剣を突き付ける。

「殺す?」

「生かしておく必要は無いだろ。とっととぶっ殺せ」

「そう。じゃあ死になさい」

 レンとランスは躊躇わずに男を殺すと判断する。

「待ってください!」

「またか日光。こういう奴等には情けなんてかけるだけ無駄だぞ。とっととぶっ殺した方が世界のためだ」

 ランスは相変わらず男には全く興味が無く、命を奪う事も全く躊躇わない。

「いえ…その、彼はそんなに悪い人ではないのでは…」

「甘いぞ日光。こいつは盗賊団の一味だ。だから殺しても問題は無い。むしろ世界のためだ」

(世界のためだと言うのなら、ランス殿も大概だと思うのですが…)

 ランスは自分の事を棚に上げて言い放つ事には日光も一言いいたいが、取りあえずそれは置いておく。

「彼は悪い人では無いと思うんです。だから…見逃してあげる事は出来ないのでしょうか」

「何を言ってやがる。こいつがどんな奴だろうが、盗賊なんぞをやっている以上はクズだ」

「お願いです…ランス殿。何とか彼を見逃すことは出来ないでしょうか」

 日光は必死に懇願する。

 日光としては、この男が悪い人間にはどうしても見えないのだ。

 この男は明らかに他の盗賊団に馬鹿にされていた。

 そしてこの男だけは、自分たちに対していやらしい視線を向けてこなかった。

 だからこの男だけは見逃してやりたい…そう思ったのだ。

 彼の目が、どうしても悪人だとは思えないのだ。

「知らん。それにこういう奴等は一匹でも見逃せば増えていくもんだ。だったらここでぶっ殺せばいいだけだ」

 あくまでもランスは殺す事を止めない。

 それは日光にも分かっていた。

 だがそれでも、自分の目を信じてみたいと感じだ。

 これは直感にしか過ぎないが、それでも…こんな時代でも人を信じてみたいのだ。

(…ならば私も代償を払わなければならないか)

「…今夜、私を好きにしてくれても構いません。ですから…」

「何いってやがる。お前は元々俺様の女だから俺様が好きにするのは当然だ」

「ですから…私にどんな事してを構いません」

 日光は顔を真っ赤に染めてランスを見る。

 その顔を見て、ランスは日光が何を言いたいのか敏感に察知する。

「ほー。お前が何でもするというのだな」

 ランスはニヤニヤとしながら日光の顔を見る。

 その顔は既に羞恥に染まっているが、強い意志を持ってランスを見ている。

「ほうほう。お前が何でもすると言うのなら、仕方が無いな。よーし、良いだろう。見逃してやる。とっとと失せろ」

「は、はいいいいいい!」

 ランスの言葉に男は慌てて逃げ出す。

 そのまま盗賊団の一人を足蹴にすると、

「とっとと起きろ。俺様は手加減してやったからな。死んでないのはわかっとるぞ」

「た、助けて…」

 ランスの言葉通り、一人の男が立ち上がる。

 その顔は恐怖に濡れており、既に敵意も何も無いだろう。

「死にたくなかったらお宝を出せ。もし出さなかったらその時は殺す」

「そ、そんなぁ…」

 まるでどっちが盗賊なのか分からないランスの言葉に男は震える言葉を放つしかない。

 だがそれでも、自分の命のためには背に腹は代えられないのだ。

「こ、これだけです…」

 男が案内した宝の隠し場所にはそれなりの物が並んでいた。

「結構ため込んでたみたいね。まあこれも全部奪ったものなんだろうけど」

 レンは人間界の宝には疎い。

 勿論下界の価値観は分かってはいる。

 同僚の中には下界で食べ物を買う者も多い。

 流石のエンジェルナイトでも、人間のルールを破って問答無用で強奪する事は無い。

 それとランスとの付き合いで何となくだが金目のものが分かっては来ていた。

 ただ、それがどれ程の価値なのかが分からない…というよりも興味が無い。

「黄金の像はあるか。隠してもためにはならんぞ」

 ランスは男の首筋に剣を突き付ける。

「あ、有ります! こ、これです!」

 男は大切に仕舞われている宝箱を苦戦しながらも開けると、そこには確かに黄金の像が入っていた。

「た、助けてください!」

 それを見てランスとスラルとレンが微妙な顔をする。

 男がランスに差し出したのは確かに黄金の像だった。

 それは黄金色に輝いており、一目見ただけでも価値のある物だとは分かる。

 ただ…それは明らかにランスが目的とするものでは無いというのはハッキリとしているのだ。

「…ハニーの黄金像か」

「ハニーよね…」

 確かに黄金の像であり価値があるようには見える…のだが、明らかに自分たちが探している物では無いだろう。

「外れだな」

「価値はあるだろうが…間違いなく外れだな」

 スラルは流石にこれは違うだろうと思う。

 いくらなんでもこれが自分が収集していたなどありえない。

「まあいい。金にはなるから売っぱらうか」

「いや、しばらくの間はとっておいてもいいのではないか? 今はそこまで金は必要ないだろう」

 今現状は大分余裕が有る。

 金の価値があまり無い時代だというのもあるので、今これが高く売れるとも限らない。

(ただ…何となく持っていても呪われそうな気もするのだがな…)

 ハニーの黄金像に価値が有るとは思えないが、黄金なのでそれなりの価値は出る。

 なので売るタイミングを計らなければならないだろう。

「こ、これで助けてくれるよな…?」

 男は命乞いをする。

「お前は一度でも命乞いをした奴を助けたことはあるか」

「え…?」

「どうせ無いだろ。だったら諦めるんだな。最初からお前なんぞ生かしておく気など無いわーっ!」

 ズシャーーーーーッ!

「ぎゃあああああ!」

 ランスはあっさりと男を斬り殺した。

「さーて、とっとと行くぞ。む?」

 部屋を出ていこうとしたランスだが、無造作に置いてある棚に目が止まる。

 ランスはその棚を探ると、そこには一枚の貝が無造作に置かれていた。

「おおおお! こ、これはまさか…!?」

 その貝を見てランスは驚きの声を上げる。

 それこそ、ランスが探していたまさにお宝と呼ぶべきものだった。

「がはははは! こんなお宝が残っているとは! これも俺様の普段の行動の賜物だな!」

 ランスはまさに大喜びといった感じで笑う。

 そんなランスを見て、日光は首を傾げるしかなかった。

 

 

 こんな事が他にも有り、何れも外れだった。

「うむうむ…やはり貝は美しいな」

 ランスは貝を見てニヤニヤと笑っているが、スラルは難しい顔をしている。

「ふむ…金目の物は見つかるが、目当ての物は見つからずか。ハンティ、そちらでは何か情報は無いのか?」

「残念だけど何もないね。カラーからも特に情報は無いよ」

「やはり広い大陸で目当ての物を見つけるのは難しいな…」

 スラルは改めて人間の身で、この大陸から目当ての物を見つけ出す事の難しさを悟る。

「がはははは! そんなに難しく考えるな。どうせ何れ見つかるからな」

「お前は本当に楽観視するな…だが、確かにお前の言うのも正しいのかもな。こうして思いがけず聖なるアイテムが見つかったからな」

 ランスと共にダンジョンを探している時に思いがけず聖なるアイテムを見つけてしまった。

 それは完全に偶然なのだが、それでもランスの運の強さには本当に呆れてしまう。

「それよりも日光。お前は本当にダンジョンだとポンコツになるな」

「…申し訳ありません」

 ランスの言葉に日光は小さくなるしかない。

 またしても罠を発動させてしまい、皆に迷惑をかけてしまった。

「ならば分かってるだろうな」

「は、はい…」

 日光は顔を真っ赤にしながら頷く。

(でも…前のような事は本当に困ります…)

 盗賊のアジトを壊滅させた時、日光は一人の男を助けるためにランスに対して「何でもする」と言ってしまった。

 だが、その言葉の重さは色々な意味で大変な事になってしまった。

「さーて、今夜も楽しく寝れそうだなー! がはははは!」

 ランスは日光の肩を掴むと、そのまま自分の部屋へと連れていく。

 そんな二人を見ながらハンティはため息をつく。

「すごいねアイツ…本当に毎日のように女を抱いてるんだね」

「それがランスという男だが…まあ我は拒否をする理由は無いからな」

「私もね。あいつとセックスするのは好きだし」

「普通に考えれば最低な男なんだけどね…なんでそんなのがカラーからは英雄視されてるのやら…」

 ハンティはランスという男が分からない。

 確かに英雄なのは間違いないだろう。

 それはあの時のカラー達が認めているし、何よりあのケッセルリンクが認めている。

(まあ…カラーとしては本当に有難い英雄ではあるのかな。ただ、あいつの子供ならとんでもないのが出来そうだけどね)

 カラーという種族の性質上、ランスは色々な意味でカラーから認められる人間だろう。

 ただ、その子供が凄まじい事をやりそうだという気はする。

 そしてハンティの予想は遠い未来で当たることになるのだが、それはまだ先の事だった。

 

 

 

「相変わらずいい体だな。日光」

「やめてください…」

 そう言ってランスから顔を反らす日光だが、その顔は羞恥のためか真っ赤に染まっている。

 そしてランスの手が日光の尻に延ばされると、日光は思わずその手を止める。

「ご、後生ですランス殿…もう止めて下さい…」

「止めて欲しいのか? あれほどお前はアンアン言っていたではないか」

 ランスの言葉に日光は体全体が桜色に染まる。

 あの時の事はもう忘れる事は出来ないだろう。

 それだけ日光にとっては衝撃の体験だった。

 

「という訳でお前を好きにさせてもらうぞ」

「…はい」

 日光は盗賊の一人を見逃した事で、ランスに自分を好きにして良いと言ってしまった。

 実は今それを少し後悔しているのだが、それでも日光はそれを受け入れた。

 日光の体は縄で縛られ、四つん這いになってお尻を高くつき上げる状態になっている。

 ランスには実はある野望が浮かんでいた。

 それはランスがギャングのボスであった時に見つけた本。

 勿論それはエロ本ではあるのだが、ランスはここで非常に興味深いコマを見つけていた。

 それは『気が強い女はお尻が弱い』というなんの根拠もない一文だった。

 だが、ランスはそれが妙に気になっており、いつか実践したいなあと思っていた。

 本来ランスはそういうアブノーマルなプレイは好まないが、一流の調教師であるタマネギの言葉からそっちにも興味が出た。

 そして超が付くほど上質な穴奴隷であるリズナを味わい、それから戦姫こと徳川千を味わった。

 それからレンとスラルとケッセルリンクのお尻を味わった。

 なのでランスもお尻を味わうのが普通になってきていた。

「よーし、行くぞ。耐えられなかったら言えよ。俺様もベッドが汚れるのは嫌だからな」

「え…? あ、ああああああっ!!」

 日光は予想もしていなかった刺激に思わず悲鳴を上げる。

 自分の尻に何か液体が入ってきたのを自覚し、日光は顔が真っ赤に染まる。

「ラ、ランス殿…何…を…」

「まずは出すもんを全部出さなきゃならんからな」

 とんでもない言葉に日光の顔色が青くなる。

(まさか…)

 日光が考える、そのまさかをランスがやろうとするのを悟り、日光の心臓が激しく動く。

「変に我慢はするなよ。俺様もそういう趣味は無いからな」

「っっく…」

 日光は必死で耐える。

 まさか本当にそんな事をする訳にはいかない。

 もしそうなれば、間違いなく自分は自害する自信がある。

 日光はしばらく耐えていたが、それももう限界が近づいた。

「ラ、ランス殿…お、お願いです…縄を解いて下さい…」

「限界か。俺様も流石に女のそういう所は見たくないからな」

 ランスはすんなりと日光の縄を解くと、日光は力の入らない体を必死に動かしてトイレに入る。

 そしてげっそりとした顔でランスの所に戻る。

「…ランス殿」

「何でもすると言ったのはお前だぞ。だから俺様がお前を好きにするのは当然だ。それともお前は自分が言った事を簡単に撤回するのか?」

「…」

 そう言われては日光も何も言い返せない。

「さーて、じゃあ次に行くぞ。まだまだ綺麗にせんといかんからな」

 その言葉に日光は顔を青くするしかなかった。

 

「はぁ…もう何も出ないです」

 憔悴した様子でランスの隣に座る日光だが、ランスは構わずに日光の体に触れる。

「まあ初めてだから優しくしてやる」

 ランスは日光を一度うつぶせにすると、その穴にヌルヌルとした液体を入れていく。

 日光はその感触に一度体を震わせたが、直ぐにそれよりも強い刺激が与えられた事に悲鳴を上げそうになる。

「よーくほぐさんとな。スラルちゃんにしたときはオシオキだったが、お前は優しくしてやるから心配するな」

「な、何を優しくすると言うのですか…」

 日光としては普通にエッチをするならもう受け入れているような状態になっていた。

 まさか、こういうプレイが課せられるとは思ってもいない。

 だが、同時に自分がこれからどうなってしまうのか、この状況に少し興奮している自分に気づいてしまう。

「ほれほれ」

「んっ…あっ…」

 何か丸い物が連なって入ってくる感触に日光は声を上げる。

 同時に、自分のそこがあっさりとその細い何かを受け入れた事に驚く。

「おお、思った以上にすんなりはいっていったな。これなら俺様のハイパー兵器もすんなり受け入れられそうだな」

 ランスは日光を仰向けにすると、そのまま日光の中に入っているそっち専用のオモチャを動かす。

(ハニーキングの奴は中々話せるな。こういう道具を持っているとはな)

 カイズでハニーポイントを集めた時、ランスがハニーキングに要求したのは所謂大人のオモチャという奴だ。

 それもランスが知っているものと殆ど変わらないタイプの道具で、そこはランスにとっても嬉しい所だった。

「そろそろいいか」

 ランスは日光からオモチャを引き抜くと、そのままハイパー兵器を挿入していく。

「ん…」

 日光は少し脂汗を浮かべながらも、力を抜いて受け入れる。

 それは才能とでも言うのかもしれない、日光はすんなりと最奥までハイパー兵器を飲み込んでいった。

「あ、あ、ああああ!?」

「へ? 日光?」

 ランスのハイパー兵器を飲み込んだだけで日光は達してしまった。

 まさか日光がいきなり絶頂を迎えたことには流石のランスも驚く。

 だが、直ぐに何時ものように笑うと、桜色に染まった日光の頬を撫でる

「やっぱりキツイな。だがすぐ良くしてやるからな」

「………ああっ」

 ランスの言葉に日光はただ目を閉じてランスを受け入れるしかなかった。

 ランスの言葉を肯定するように、既に自分の体は熱く火照っている。

 本来収めるべきではない穴を貫かれ、自分のソコが激しく濡れているのが自分でも分かる。

(もしかしたら私は…凄い淫乱なのかもしれない…)

 そう思うと非常に自分に嫌悪感が出てきそうになるが、ランスに抱かれているとそんなものは吹き飛んでしまう。

 胸を揉まれ、先端を吸われ、そして唇を奪われる。

 そんな刺激が与えられ、最後には熱い皇帝液が日光に注がれる。

「んんんんっ!!!」

 もう何度目かになる絶頂を迎え、日光はランスにしがみつく。

 ランスも日光の好きにさせ、そのまま絶頂の余韻を楽しむ。

 ハイパー兵器が抜かれた時、そこからはランスの放った皇帝液が大量に溢れ出る。

「がはははは! 初めてなのにそんなに良かったか。こっちの方もぬれぬれではないか」

 そのまま日光の秘所に指を当てると、そこはランスの指を簡単に飲み込んでいく。

「よーし、このまま連発でいくか。だがその前に、やっぱり体を綺麗にしなければならんな。そこでたっぷり可愛がってやるからな」

 ランスの言葉にもう日光は何も答えられない。

 だが、自分は決してランスを拒むことが出来ない…そんな事が頭によぎっていた。

 

 それから日光はランスに何度も何度も抱かれた。

 勿論ランスと出会ってからは何度も抱かれてはいるのだが、もう自分の体は、そして心は完全にランスを受け入れていた。

 それはランスが自分と同じ苦しみと悲しみ、そして怒りを持っているのを理解したからかもしれない。

 だがそれ以上に、魔王を相手でも自分の奴隷…という名の大切な者を取り戻そうとするランスに強い共感、そして憧れを抱いてしまった。

 そしてもう一つの感情…自分がランスの癒しになってくれればいいという慈愛の心。

 それが日光の体をより敏感にさせていた。

(もう…どうすればいいのか分からない)

 自分にのしかかるランスに手と足を絡め、そして自分から舌を絡めて受け入れる。

 それはもう愛する者同士の行為では無いかと日光は思っていた。

 そしてそれを自覚した夜―――日光は夢を見た。

 それは奇妙な黄色いトリが出てくる夢だった。

 そして夢の中でトリはこう言った。

『運命の者と電卓キューブに向かえ。そこにお前の特別な物がある』

 と。




私はただのお尻フェチではありません
それだけは真実を伝えたかった

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