「運命の女か…しかしランスには何人の運命の女とやらが居るんだ」
スラルは日光の刀を見ながら複雑な顔をする。
ケッセルリンクとジルがその運命の女というものだとは知っていた。
ただ、運命の女なのにそれが複数居るのはおかしいのではないか、それは尤もな疑問だった。
そして、
(我はランスの運命の女では無いのか…?)
そう思うのもある意味当然だった。
「それにしても刀の鍔か。侍のJAPANの人間から見ればいい事なんじゃない?」
ハンティも少し興味深そうに日光の刀の鍔を見る。
三日月が複雑に重ね合わさった形をしているが、不思議とそれは美しく見える。
「それをつけていると何かあるのか?」
「ええ…これまで刀の重さを感じていましたが、今は不思議とその重さを感じないのです」
日光は刀を振るう。
刀も武器なので当然の事ながら重量が有る。
富嶽は名刀なのは間違いなかったが、日光の手には少し重いと感じていた。
ただ、この富嶽を上回る刀は見つからないも思っていたので、日光としてもこの刀の重さに慣れる以外に道は無かった。
だが、この鍔をつけた富嶽はまるで羽毛のように軽い。
それでいて違和感を全く感じない、という不思議な感覚があった。
「それで…ランス殿。私と少し戦ってくれませんか? お互いの剣で」
「何だと? 本気か」
日光の言葉にランスも少し驚く。
日光と摸擬戦をするのは別に初めてではないが、その時はランスも日光も木剣を使っていた。
何しろランスの剣は切れ味が非常に鋭く、防御も難しいというとんでもない剣だ。
しかもランスの意思である程度剣が変形するし、剣についている細かな鱗状の牙が相手を引き裂くえげつない剣だ。
それは相手を斬るというよりも殺す事に特化している。
剣すらも鈍器のように使う事を躊躇わず、相手を確実に殺すという事に関してはまさにランスには最適の剣。
それ故に摸擬戦には全く向いていない。
「ええ…自分がどれ程強くなっているか、ランス殿と戦う事で実感できると思うのです」
日光の言葉にランスは少し考える。
ランスに自分の女を傷つけるという考えは存在しない。
そもそも、女と摸擬戦などという事を殆どしたことが無い。
サーナキアは力を見せつけるために叩きのめしたが、それはサーナキアがランスより遥かに弱いからだ。
だが、日光はサーナキアよりも遥かに強く、人類最強の女剣士とされる上杉謙信にも勝るとも劣らないだろう。
その場合、ランスとしても手加減という事が難しい。
いくら今のランスでも、手加減をして勝てるほど日光は弱くは無い。
「いいんじゃない? 受けてやっても。まあ危なかったら直ぐに止めるから」
「お願いします、ランス殿」
「…仕方ないな。受けてやるか」
レンの言葉と日光の懇願にランスも折れる。
「ただーし! 俺様が勝ったら当然お前の体を好きにさせてもらうぞ。いいな」
勿論ランスはタダでは折れない。
日光の体を要求する事は当然だと言えた。
「構いません。ではランス殿、直ぐにやりましょう」
日光はウキウキしながら部屋を出ていく。
そんな日光を見てランス達は顔を見合わせる。
「あいつ…どうかしたのか?」
「お前と共に戻ってきてから変化はあるとは思う。明るくなったのは良い事だと思うがな」
「ランスに抱かれるのも抵抗しなくなったからじゃないの? 今は普通にやってるでしょ、あんた達」
「そういやそうだな」
ランスはもう日光とごく自然にセックスをしていた。
前は何らかのペナルティが無いと抱かせてくれなかったが、ケッセルリンクと出会ってからは普通に誘えている。
これまで快楽を耐えるようにしていた日光だが、今はもうセックスを受け入れているように見える。
勿論受け身体質な所は変わっていないが、それでもランスを楽しませようと色々と努力しているようにも見えた。
ただ、複数人プレイだけはやっぱりまだ葛藤が大きいようではあるのだが。
「まあいい。俺様も丁度いい運動にはなるからな。最近レベルが中々上がらんからな」
「レベルが上がらないのは単純に必要な経験値が増したからだろうな」
ランスのレベルはあれからあまり上がっていない。
緩やかに経験値は増えているのだが、それでも以前に比べれば格段に遅い。
「レベル、か…」
ハンティはそんなランス達の会話を聞いて、少し考えていた。
「はぁー----!!」
「フン」
日光とランスの剣が激しくぶつかる。
何度目かのぶつかり合いが続いているが、二人の間には明暗がハッキリと分かれている。
「凄いもんだね。剣の腕なら世界に名前が残るんじゃ無いかい」
「ああ。恐らくは魔人の中にも純粋な剣の腕でランスに勝てる奴は居ないだろう。それくらい抜き出ている。ある一人の男を除いてな」
「…この男とやりあった奴が居るのかい?」
ハンティはスラルの言葉に眉をひそめる。
長い間生きてきたハンティの目から見ても、ランスの剣の腕は異質だった。
一見すると非常に滅茶苦茶に見える。
今ランスと日光が打ち合って居るのを見ても、日光の方が剣の腕前は洗練されているように見える。
だがしかし、実際には圧倒的に押されているのは日光だ。
「まだまだだな」
ランスの剣が日光の刀を弾き、日光はその衝撃に負けて尻もちをつく。
直ぐに立ち上がり刀を構えるが、その勝敗はもう明らかだ。
余裕の顔で剣を肩で担いでいるランスに対し、日光は既に肩で大きく息をしている。
それだけの体力の差、そして腕力の差がランスと日光の間にはあるのだ。
「ねえ、こいつと渡り合った人間って誰?」
この剣の腕前と互角にやりあった人間が居るとあっては、流石のハンティも興味が隠せなかった。
「…藤原石丸だ。あいつだけはランスと互角に渡り合ってた。無論『剣』でだけでという言葉はつくが」
「藤原石丸か…成程ね」
スラルの言葉を聞いてハンティも納得する。
ハンティもその名前は当然しってはいたが、生憎と接触は無かった。
大陸の半分を制覇したが、魔人に倒されたこの世界の最初の英雄とも言うべき存在。
「で、あの男は負けたのかい?」
「勝負に勝って試合に負けた…と、言いたいが実質的には完敗だ。いや、最初から勝てる要素が無かったと言ってもいい。最初の段階から差が有りすぎた」
あの戦いは結果的にはランスの惨敗だ。
ランス本人は負けてはいないが、それ以外の部分では圧倒的に藤原石丸が上だった。
最初の時点で大きく差をつけられており、そのまま逃げ切られてしまったと言ってもいい。
「余計な邪魔も入ったからな。一騎打ちならランスが勝っていたと我は思っている。何しろランスは勝つためならばどんな手でも使うからな」
「…そういうタイプの男だね。それなのに変に人望が有りそうなのがおかしいけどね」
ハンティは黄色い声を上げているカラー達を見る。
ランスと日光の戦いを見に来た暇なカラー達が声援を送っていた。
「きゃー! ランスさん頑張ってー!」
「日光さんも負けないでー!」
わーわー騒いでいるカラー見てハンティは苦笑する。
だが、こうして騒げるくらいにカラー達が安心出来る環境を作れている証明でも有り、嬉しく思う。
ただ、それにこの最低の性格と最高の実力を持つ男が絡んでいるのだから、不思議でたまらない。
「ふぅ…行きます!」
日光は覚悟を決めてランスへと突撃する。
(実力が違うのは分かっていた…でも、ここまで開いているとは思っていなかった。でも…前程では無い!)
確かな手応えを感じ取り、日光は自分の成長を実感する。
以前はランスには軽くあしらわれていた。
自分のレベルが上がってからもランスとの壁は感じていた。
だが、今はランスともまともにぶつかることが出来る。
ランスはそんな日光の覚悟を感じ取ったのかは知らないが、肩に担いでいた剣を日光に向ける。
「行きます!」
日光は得意の居合切りでランスを攻撃しようとする。
だが、ランスはそんな日光の動きを見切っているかのように間合いを詰める。
「甘いわ!」
ランスは剣で日光の居合を防ぐ。
だが、その時日光は躊躇うことなく刀を手放した。
「あん?」
その行動にはランスは一瞬虚を突かれる。
「ぐえ」
日光はランスの服を掴むとそのまま見事な柔術でランスを地面に叩きつけた。
「私の勝ちですね」
「甘いわ!」
勝ちを確信した日光だが、直ぐに自分の首筋に冷たいものを感じる。
ランスの剣が日光の首筋を捉えていたいたのだ。
「引き分け…ですか」
「俺様の勝ちだな。お前が俺様の首を絞める前にお前の首を斬れるわ」
「…そう、かもしれませんね。お互いが本気ならまた結果は変わったでしょうけどね」
日光はランスの体から離れると、手から離した富嶽を拾う。
ランスも立ち上がり、背中についた埃を払う。
「「「きゃーーーーー!!!」」」
戦いが終わった事でカラー達が黄色い声を上げる。
「すごいすごい!」
「やっぱりランスさんと日光さんって強いよねー。私達カラーは剣を使えるの居ないしねー」
「伝説のケッセルリンク様は剣と魔法を使えたって話だけどね」
「はいはい。あんた達も元の作業に戻りな」
「「「はーーーい!」」」
カラー達をはハンティの声に一斉に散っていく。
(少しでも娯楽になるなら、これもいいか)
やはりカラー達にもストレスがかかっていたのだろう。
いくら助かったと言っても、カラーの危機が去った訳ではない。
(そろそろ本気で数を増やす事も考えないとね…人間がいないとカラーは数が増えないし)
最初はランスでもいいかと思ったが、やはりそれは危険すぎると判断する。
何よりも、カラーの娘を孕ませたらケッセルリンクが微妙な顔をするのは分かっている。
(それよりも決まり事を作るのが先か。全く…先が思いやられるね)
ハンティがこの先の事を考えてため息をつく。
「あ、そうだランスさん。ここの近くにダンジョンが見つかったんですよ」
「何? そんな事は聞いとらんぞ」
カラーの娘の言葉にランスは反応する。
やはりダンジョンと聞けば、冒険LV2を持つランスはどうしても反応してしまう。
「結構危険な所に有りますからね…いくらランスさん達でも危険だと思ったんです」
「ほー。何処にあるんだ。そんなダンジョン」
「ちょっと待っててくださいね」
カラーの娘は家の一つに入ると、そこから地図を持ってくる。
それを地面に広げると、今現在のカラーの里の近くを指さす。
「ここなんです。でも場所が問題で…」
「何かあるのか」
「ここから先はモンスターが多いんですよ。しかもこちらとは生態系も違ってて…」
カラーが示した場所は、LP期における魔軍の領地だった。
魔王ガイが人間と魔物の間に境界線を引き、大陸の殆どを人間の地とした。
なのでランスも魔軍の地にまでは冒険に行ったことは無かった。
「ふむ…面白そうだな」
当然の事ながら、ランスはその場所に反応した。
場所はランスが知っている緑の里の近くであり、カラーの里からもそこまで距離が離れていない。
「おいハンティ。お前はこっちの方には行ったことがあるのか」
「あんまり無いね。カラーが暮らすにはいい環境じゃ無いからね。緑のある森こそがカラーの住まう土地だからね」
この時代においても、大陸の西側は不毛の地だ。
そういう土地なのだから、それは最早どうしようもない。
「あ、私が案内出来ますよ。こう見えてもスカウト技能っていうんですか? そういうの持ってまーす」
「何と。それはいいな。何しろレンもスラルちゃんも日光もダンジョンでは戦いしか出来んからな」
「悪かったわね。否定しないけど」
「お前だってそこまで役にはたっていないだろう。マッピングは常に我が行っているのだぞ」
「…私はノーコメントで」
ランスの言葉に女3人はそれぞれ言葉を放つ。
「うるさいうるさい。とにかく、スカウト技能を持っている奴が居ればダンジョンは変わるのだ。ハンティ、こいつを連れてくぞ。いいな」
「…正直反対したいけどね。でもウトスカ、あんたは行きたいんだろう?」
「はい! ランスさんに恩返しもしたいですし、何よりもカラーももっと外の世界を知る必要も有ると思うんですよ」
その言葉にハンティはため息をつく。
この娘の言う事はまあ分からんでもない。
こうした好奇心が旺盛なカラーが増えてきたのは、ハンティとしても喜ばしい事ではある。
「ふぅ…じゃあランス。この子を頼めるかい。私は少しの間ここから離れないからさ」
「別に構わんぞ。お前の瞬間移動は便利だが、近場なら問題無いだろ」
瞬間移動は非常に便利なのは分かる。
だが、無くても問題は無いというのは分かる。
そもそも瞬間移動でダンジョンを攻略などランスにとっては無粋だ。
「よーし、じゃあ行くか。魔物領に行くのは初めてだな」
ゼスやヘルマン地方のダンジョンにも向かったが、魔物領のダンジョンには行ったことが無かった。
なのでどんなダンジョンがあるか、それが楽しみだった。
「がはははは! それじゃー魔物界に行くぞ!」
という事で、ランス達は早速LP期における魔物界に来ていた。
「ここが魔物界か…辛気臭い所だな」
人間界とは全く違う地形、植物にランスは眉を顰める。
紫色の不気味な木々に、不気味な大地…そして稲妻が何度も落ちるという人間界ではあり得ない光景に、ランスはわくわくするよりも辟易していた。
こんなに陰気臭いと気分も落ちてくる。
「ランス、魔物よ」
「うーむ、かわいい女の子モンスターならともかく、こんな奴等が居るのか…」
ランス達の前に立ちふさがったのは、魔界の植物の群生だ。
それらは間違いなく意思を持ってランス達を襲ってきている。
しかも、普通の魔物よりも明らかに強い。
自己再生能力に、爆発する種子、そして魔法までも使ってくる恐ろしい敵だ。
「我もこういう辛気臭い所はあまり好まなかったが…そうか、こっち側はこういう進化を遂げだという訳か」
スラルもこの厳しい環境を見れば大体の想像はつく。
こっちの方にあまり魔人が行きたがらない訳だ。
誰が好き好んで、こんな不毛の土地に行くというのだろうか。
「まあいい。とっととぶっ殺すぞ。ウトスカ、お前は下がってろ」
「はーい。大人しくしてまーす」
カラーのウトスカは戦闘経験も薄く、弓が少し使えるくらいしか戦闘技能が無い。
一応魔法も使えるのだが、スラルやレンに比べればそれこそ雲泥の差だ。
「来ます、ランス殿!」
魔界植物群生が種子爆弾を放出してくる。
「フン!」
ランスは飛ばされる種子を一太刀で斬り払うと、そのまま植物に向かっていく。
そして植物の先端をその剣で吹き飛ばす。
斬るのではなく叩き潰す程の勢いで打ち付けられた植物はそのまま動かなくなる。
(こいつらは再生能力を持っているのだが…やはりランスの剣は再生能力を殺す力があるようだな)
スラルはそれを見ながら魔法の詠唱をする。
魔物には弱点があるものも多く、この植物は暗い大地にいるためか光に弱いのは分かっている。
「ライトボム!」
「エンジェルカッター!」
そこにスラルとレンの魔法が直撃し、魔界植物に大ダメージを与える。
「はっ!」
「死ねーーーっ!」
そして日光とランスが魔界植物にトドメを刺す。
「フン、雑魚だな」
「数か少ないから何とかなるが…やはりこちら側は魔物も強いのだな」
ランスの言葉にスラルが苦い顔をする。
今回は数が少なかったから簡単に倒せたが、もしこれがもっと群れを成してこれば恐ろしい敵になるだろう。
「とにかくここは暗くてかなわん。とっととクリアするぞ。で、そのダンジョンは何処だ」
「もう少し行った所。いやー、でも皆やっぱり凄い強くて安心です」
ウトスカはランスの腕に抱き着くと、
「さー行こう! 新たな冒険に向かって!」
やたらとテンション高く、天に向かって指を差した。
人間の隠れ里―――そこは文字通り人が魔物達から隠れて居る者達が集まった所である。
その隠れ里に一人の男が訪れていた。
「おお、悪いな兄ちゃん! 魔物退治をやってくれてよ」
「暇だったからな。それよりも一杯くれよ」
「おう、約束だからな! ほれ、これがここ一番の酒だ!」
隠れ里にも酒場は有る。
それは隠れ里に住まう人間の密かな楽しみであり、人間はしぶとく酒を造っていた。
男は出された酒に直接口をつけると、それを一気に飲み干す。
「かなり強い酒のつもりなんだがな…兄ちゃん強いな」
「これくらい大したことねーよ。それよりも例の話の続きを聞かせろよ」
「ああ…あの四人組の話か。ものすごい強い連中でな…魔物達を簡単に退けてくれたのさ」
「で、やたら強い奴が居るって事だよな」
「間違いなくな。少なくとも俺はあんな強い連中は見た事がねえよ」
マスターはグラスを拭きながらため息をつく。
あの4人組の強さはまさに異常だった。
魔人を倒すために行動をしているというが、魔人を倒すのは無理だろうとも思っている。
諦めていると言ってもいいのだが、それはこの世界の住人全てが思っている事だろう。
「で、そいつらは何処かに行くとかは言ってたか?」
「いや、それは知らないな…ただ、世界を回っているとは言ってたな」
「世界をねえ…」
男はニヤリと笑うと、そのままテーブルの上に金を置く。
「いいのかい?」
「構わねえよ。どうせ俺には必要無いもんだ」
そのまま酒場を出て、男は懐からタハコを取り出す。
そしてそのまま指を近づけると、その指から小さな稲光が出て火を起こす。
男―――魔人レイはタハコを吸いながら笑う。
「ランスの奴かね。ただ、ランスらしくねぇとも思うがな」
魔人レイは自分の容姿が人である事を利用して、人の隠れ里を渡り歩いていた。
もしこれが本来の魔人レイならば、憂さ晴らしで隠れ里を消し炭にしていたかもしれない。
だが、今のレイには一つの目的がある。
それはあのランスに対する対抗心と、闘争心だ。
レイは魔王ジルによって魔人になった事を今でも覚えている。
魔人カミーラによってジルの前に引き出されたレイだが、魔王ジルの圧倒的な存在にのまれてしまった。
魔王ジルの行動は、レイに魔王の血を与えるという事だった。
そしてレイは魔人となった。
魔王ジルとランスの因縁はレイも知っている。
なので何か言われるかと思ったが、ジルは特に自分に何も言わなかった。
「魔人を倒す…か。馬鹿正直にランスがそんな事言うかね。あいつ、実際には女以外には興味が無い奴だしな」
話を総合すると、人助けをしている連中のようだ。
ランスなら間違いなく人助けなど興味が無い。
「さて…そいつらを探してみるとするかね。中々楽しめそうな連中だからな」
こうして魔人レイはランスを探しながら移動をしていた。
レイは特にイラつくことも無く、余裕をもって行動する事が出来ていた。
「しっかし姉御は何だってこんなまどろっこしい事をするのかね…」
人間牧場はレイが人間だった頃から存在している。
その時は特に考えたことも無かった。
興味も無かったので人間牧場の存在意義も特に考えた事も無かった。
だが、こうして魔王ジルと対面したからこそ分かる事もある。
「何か理由はあるんだろうが…まあんなこと俺が考えても仕方ねえか。それよりもランスの奴を探すとするか」
全てはもう一度ランスと戦うため。
人間だった頃は明らかに負けていた。
悔しいが、ランスには勝てるビジョンが全く見えなかった。
だが、魔人となった今なら違う。
「次は絶対ぶちのめす…待ってやがれよ」
レイはタハコを吹かしながら、LP期における自由都市の辺りを歩いていた。
ただ、今現在ランスはレイの位置とは全く逆方向に居るなど知る由も無かった。
しかし、それはまた新たな出会いを意味していた。
おつかいイベントはカットでいいな…ただ長くなるだけだ
そして唐突にスカウトのカラーが出ましたが、やっぱり居ないとアカンと感じました
ランスクエストをイベント確認のためにやったのですが、スカウト居ないとダンジョンがきつくてきつくて…
ですので話を円滑に進めるために登場となりました