ランス再び   作:メケネコ

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残酷な結末

「がははは! 見つけたぞ! 俺は君を助けに来たんだ。もう大丈夫だぞ」

 ランスが見つけたのは間違いなくカラーの少女だった。

 少女と言っても、年齢は明らかにランスからみて食べ頃の少女だ。

「に、人間がどうしてこんな所に…?」

「お前達が浚われたと聞いてな。英雄であるランス様が助けに来たのだ」

「で、でもそのクリスタルで出来た剣は…」

 カラーの少女はランスの持つクリスタルソードを見て怯えている。

 クリスタルソードはカラーにとっては嫌悪の証。

 何しろ同胞が殺されたという証明なのだから。

「俺様は大丈夫だ。これはカラーが認めた剣だからな」

 ランスの持つクリスタルソードはカラーのお墨付き。

 カラーが認めてくれた剣なのだ。

「それよりもお前だけが逃げてきたのか? 他の奴等はどうした?」

 ランスの言葉にカラーの少女は俯く。

 その目からは涙が溢れている。

「皆…あの魔人に殺されちゃった」

 少女の言葉にランスの顔が無表情になる。

「…間違いないのか」

「うん…あの魔人は酷い事をして皆を殺したんだ…」

 ランスは死体が転がっていた部屋を思い出す。

 正直思い出したくは無かったが、カラー達があのような目にあっていたのは正直予想がつく。

 何しろモンスターや魔人とはそういう連中で、特に魔人に掴まった女は犯された上に殺されてしまう。

 ザビエルの娘である黒姫から色々と聞いたが、ザビエルは無数の女を犯し殺していた。

「でも…一人まだ生きているの。お願い、その子を助けて!」

「生き残っているのか!? おう、だったら俺様が助けてやろう。何処に居るか分かるか?」

「うん! 私なら案内出来るよ! だから願い…その子を助けて」

「うむ、俺様に任せろ。俺様はかわいい子の味方だからな」

 ランスはカラーが生き残っていた事に内心で安堵する。

(うむ、流石俺様。間に合ったようだな)

 ほんのちょっぴり不安だったが、こうして生きていた事にはランスも素直に喜ぶ。

「おいお前ら! 行くぞ!」

 そしてまだ魔物兵を尋問しているスラル達に声をかける。

「え? まだ話を聞いている途中なのだが…」

「そんな奴はいらん。とっとと殺せ。このまま生かしておくだけ無駄だ」

 カラーの生き残りが見つかった以上、そんな奴を生かしておく必要は無い。

 必要は無いのだが、

「ランス、お前は何を言っているんだ?」

 スラルから帰って来たのは困惑した言葉だった。

「いいから行くぞ。騒ぎになる前に始末しろよ」

「あ、こらランス!」

 ランスが歩きだしたのを見て、レンは魔物兵に止めを刺す。

 スラル達は歩いていくランスを追っていく。

「…ランスの奴はどうしたんだ?」

 ランスの様子を見てスラルは首を傾げる。

「さあ…でも、ランスの冒険の勘って凄いのよね。だったら進んでみるのもいいんじゃない?」

「それもそうか。今思えば、ランスはどんなピンチがあったとしても跳ねのけてきた奴だからな」

「…ケッセルリンクから話は聞いてるけどさ。それって本当なのかい? いまいち信じられないんだけど」

 ハンティはケッセルリンクからランスの事は聞いていた。

 魔人オウゴンダマを倒し、悪魔と戦い、そしてJAPANと魔軍の大戦争に参加し、使徒と魔物代将軍を討ち取った。

 それだけでなく、魔人レキシントンとも戦い、そして魔人トルーマンを倒したと。

 普通に考えれば嘘だと言ってしまえる事なのだが、あのケッセルリンクがそんな嘘をつくとは思えない。

(とんでもない人間だね…あいつは)

 そう思いながらも、ハンティもランスの後を追うしかない。

「む、敵だな」

 ランスはそこで足を止める。

 ランスの前に居たカラーも足を止めて物陰に隠れる。

「そこそこの数が居るね…迂回した方がいいんでない?」

 ハンティの視界の先には、魔物隊長とその取り巻きの魔物兵が20体ほど居た。

 普通に考えればまともに戦おうだなんて思わないだろう。

 だが、ランスはその普通からはかけ離れた存在だった。

 そしてランスの側に居る者達も。

「一気にぶっ殺すぞ。速攻だ」

「ああ。迂回するにしても時間がかかる。それよりも速攻で潰した方がいいだろう。見張りの魔物兵も少ないしな」

「そうね。一気に行きましょ」

 ランス達は勝つ事を前提に話を進めている。

「…はあ。アンタ達ってそういう奴等なんだよね。まあいいさ。付き合うよ」

 ハンティは呆れながらも、戦闘準備をする。

「よーし、まずはあの魔物隊長をぶっ殺す。魔物隊長がいなくなればあいつらは混乱するからな。後は一網打尽だ」

「それがいいな。ランス、魔物隊長は任せるぞ」

「じゃあ私達は取り巻きの魔物兵を始末しましょ」

 そう言うランスの行動は素早かった。

 ランスとスラルとレンはあっという間に行動を開始すると、

「死ねーーーーーっ! ラーンスあたーーーーーック!」

「え? 何だ!? うぎゃーーーーーーっ!!」

 いきなり必殺のランスアタックを放ち、魔物隊長を一撃で両断する。

「は?」

 突然の事で茫然とする魔物兵に、剣を構えたレンが襲い掛かる。

 そのまま魔物兵の体を貫き、盾で殴り殺す。

「氷雪吹雪!」

「電磁結界!」

 そしてスラルとハンティの魔法が魔物兵に止めを刺す。

 スラルの魔力と、魔法レベル3を持つハンティの魔法の前に魔物兵はあっという間に沈黙する。

 レンは周囲を警戒するが、幸いにも気配は存在しない。

「終わったわね」

「…やれやれ、まさにあっという間だね。こういう奇襲が得意なのかい?」

 ハンティは手際よくモンスターを蹴散らしたランス達に対して驚く。

 強いのは知っていたが、まさかこうまで魔軍に対しても一方的になるとは予想してなかった。

「む、おいこら先に行くな」

 ランスは魔物隊長を血を拭うと、走っていくカラーを追いかける。

「ランス…?」

 そんなランスに対してスラルは怪訝な顔をする。

「ランスは一体誰と話しているんだ?」

「さあね…でも、追っていくしか無いでしょ」

 スラルとレンとハンティはそんなランスに続いていく。

 そしてランスはふと足を止める。

「あん?」

 何の変哲もない壁だが、そこにカラーがまるで溶けるように消えていったのだ。

「どうしたランス」

「お前達は見てないのか。今この壁の中にカラーが消えていったのだ」

「…何だと?」

 ランスの言葉にスラルがランスの示している壁を見る。

 だが、そこにはただの壁があるだけだ。

「本当に見たのか? ランス。お前の行動は先ほどから妙だったのだが…お前は誰を追っていた?」

「何を言っとるんだ。生き残りのカラーが居ただろうが。俺様はしっかり見たぞ」

「フム…お前がそんな下らん嘘を言うとは思えん。だが、流石にここはな…」

 スラルは壁を見るが、特に何かが有るとは思えない。

「じゃあアタシが少し様子を見てくるよ。まあ…あんたの言ってることは嘘じゃないだろうしね」

 ハンティはランスが持っているクリスタルソードを見て複雑そうに笑うと、そのままどこかへ瞬間移動をする。

「なんだあいつ」

「カラーの始祖だというのだからな。そのクリスタルソードに対しても何か複雑な心境もあるのだろう」

 スラルはランスの持つクリスタルソードに触れる。

 この剣はカラーの大虐殺の証でもある。

 その時に何が起こったのか、それはスラル達には分からない。

 だが、NC期に起こった諍いがこのGL期にまで続いている。

 人類は魔王によって全ての文明を破壊されたが、カラーのクリスタルについてはその知識を受け継いでいたのだろう。

「じゃあ本当にスラルちゃん達には見えてなかったのか」

「ああ。我はお前が1人で何かを喋り、一人で行動しているようにしか見えなかった」

「そうか。まあそんなのはどうでもいいな。それよりも今はカラーを助けるのが先決だ」

「随分と乗り気ね、ランスは。カラーに対しては前から甘いとは思ってたけど」

 ランスはカラーに対しては非常に甘い。

 それは勿論、カラーにはランスの娘であるリセットが居る事が大きいだろう。

「俺様はかわいい子の味方だからな。よって俺様はカラーの味方なのだ」

「カラーは美人しか生まれない種族だからな。そうなったらお前がカラーにつくのは当然の事か」

 スラルは呆れながら苦笑する。

「待たせたね。こっちだよ」

 その時ハンティがランス達の側に戻ってくる。

「見つかったか?」

「いや…生憎とね。でも、あんたが言ってた方角に魔物兵が立ってたよ」

「見張りか? だったらこっちが当たりだな」

 ランスはニヤリと笑うと、そのままハンティの案内の方へと進んで行く。

 するとそこにはハンティの言う通り、2体の魔物兵が立っていた。

「やはり警備は薄いな。いや、警備という概念が無いのだろうな」

 本来は今は魔物の全盛期の時代。

 その時代においては魔人に警備など必要ない。

 ただ、魔人メディウサは非常にものぐさな魔人であるため、手足として動く魔物兵が必要だった。

 そのため、ここには他の魔人に比べれば魔物兵は多い…のだが、ランスがこれまで経験した魔軍との戦いと比較すればその数は圧倒的に少ない。

「よーし、まずは連中をぶっ殺すぞ」

 ランスが剣を抜いた時、

「待ちなさい。誰か来る」

 レンがランスを止める。

 その言葉通り、一体の魔物兵がズタ袋を担いで歩いてきた。

「おう、お疲れ。またか」

「ああ…これで最後だよ。あっという間に全員殺しちまった」

 袋を担いできた赤魔物兵が少しうんざりした様子で話す。

「…大変だな、お前も」

「メディウサ様は好き勝手やってるけどよ…それを処理する俺達の身にもなって欲しいぜ。俺はこの後掃除だぜ? メイドさんにやらせればいいのによ」

「ああ…あの部屋の掃除は大変だよな。どれだけ血みどろになったんだって話だ」

 魔物兵達は何処か疲れたような声で話している。

 その時、その魔物兵が現れた通路から違った方角から魔物兵が走ってくる。

「大変だ!」

「何だ。どうしたんだ。またメディウサ様が癇癪を起したか?」

 メディウサの横暴さはいつもの事、ここにいる魔物兵にはもう慣れた出来事だ。

 だが、今回は違った。

「侵入者だ! 魔物隊長が殺られた!」

「な、何!? メディウサ様が殺したんじゃないのか!?」

「違う! 頭から一発で真っ二つにされてるんだ! メディウサ様ならもっと惨たらしく殺すだろ!」

 魔物兵の会話を聞き、スラルが苦い顔をする。

「チッ、意外と早く見つかったか…」

「撤退の事も考えないと駄目ね。ランス、どうする?」

「まだ待て。連中が動くかもしれないからな」

 ランス達が話している間にも、魔物兵達が慌ただしくなっていく。

「メディウサ様には知らせたか!?」

「し、知らせる訳が無いだろ!? こんな事を知られたら俺達は…」

 魔物兵の言葉に皆が震える。

 もしメディウサに知られれば、間違いなく侵入者に気づかなかった自分達が責められる。

 そしてその先に有るのは間違いなく拷問の後に処刑が待っている。

 何しろ魔人にとっては、魔物兵ですら使い捨ての道具にしか過ぎないのだから。

「他の隊長に知らせろ! ああもう! どうしてここには将軍は居ないんだ!」

 メディウサの城には魔物隊長は居ても魔物将軍は居ない。

 魔物将軍は貴重ではあるが、その将軍の殆どは魔物牧場と人間牧場に回されている。

 時折優秀な将軍が魔人の手足となって動く事も有るが、そんなのは本当に極稀だ。

「お前達も急げ! 侵入者を探すぞ!」

「で、でもここは!?」

「カラーの死体置き場なんてほっとけ! どうせ誰も来やしない!」

 魔物兵の言葉に、見張りの魔物兵も一緒になって何処かへと走っていく。

 ズタ袋を持って来た魔物兵は乱暴にズタ袋を部屋に投げ入れると、そのまま他の魔物兵を引き連れて何処かへ行ってしまった。

「チャンスだ。行くぞ」

「ああ」

 ランスは魔物兵が居なくなったのを確認して、ズタ袋が投げ捨てられた部屋へと入る。

 鍵はかかっておらず、その部屋に入った時ランスは思わず顔を顰めた。

「うげ…」

「これは…」

 部屋の中には拷問を受けて殺されたであろう女性の死体が無数に転がっている。

 無造作に投げ捨てられている事から、この城では日常的にこんな事が行われている事が分かる。

 そしてその部屋には水が勢いよく流れており、恐らくは魔物達はそこに死体を投げ入れているのだろう。

 ここに転がっているのは、その水路に入らなかった死体なのだろう。

「カラーは…いないね」

 ハンティはこの中にカラーが居ない事を安堵は出来なかった。

 問題なのはその水路の先なのだ。

「こっちだよ! まだ生きてる子が居るの! 助けて!」

「何!? 生き残りが居るのか!」

 ランスは突如として聞こえてきた声に反応する。

 そしてそのまま水路の先へと向かって行く。

「…ランスにしか聞こえない声か」

 スラルは驚きもせず、ランスの後を追う。

 レンとハンティもそれに続く。

 そしてランスがその声の先に見た光景は―――この世のものとは思えぬ凄惨な光景だった。

 当たりに飛び散ったであろう血が染みついているのか、その壁はどす黒く染まっている。

 そしてそこにある死体、死体、死体…まるで狂気に染まっていた頃のパパイヤが居た塔を思い起こさせる。

 だが、それ以上に凄惨な光景にランスは無表情になる。

「これは…酷いな」

「私達が入って来た場所よりも更に酷いわね」

「ああ…そんな」

 最後に入って来たハンティは悲痛な顔をする。

 そこに転がっているのは、間違いなく襲われたカラーの娘達だったからだ。

 全員が酷い状態で転がっており、生存者は絶望的だ。

「…おい、こりゃなんだ」

「ごめんなさいね…酷い所に案内しちゃって」

 ランスの声に合わせるように、カラーが突然現れる。

 そしてランスは気づく。

 目の前で貼り付けられ、その腹が大きく食い破られているカラーと、ランスの前に居るカラーが同じ顔をしている事に。

「む、我にも見えるし声が聞こえる」

「なるほど、ランスがクリスタルソードを持っていたから、カラーの声が聞こえたのか」

 レンはランスだけにこのカラーの声が聞こえてた事に納得する。

 クリスタルソードと共鳴して、たまたま剣を持っていたランスに声が聞こえたのだろう。

「始祖様…申し訳ありません」

「いいんだよ! それよりも…呪いをかけたね?」

「はい…何とか私達を探してもらえないか、一縷の望みに賭けて…私自身を呪ってもらいました。こんな状態でも、私はまだ死んでいません」

「何だと!?」

 カラーの言葉にランスは驚く。

 手足は千切れ、腹は大きく内側から裂かれているというのに、このカラーの少女は生きているのだと言う。

「ゾンビモルルン…私が死ぬときに、私の仲間が私にかけてくれました。そして誰かが私達を見つけてくれるのを…待ってました」

「それで君は幽霊みたいになっとったのか」

「突然この近くに強いクリスタルの力を感じて…その力を使って何とか幽霊としてあなたに声をかける事が出来ました。ごめんなさいね…酷い所に案内してしまって」

「いいや、構わん。それで生き残りのカラーというのはどいつだ」

「彼女です」

 幽霊のカラーの指の先には、一つの石が置かれていた。

「…石だな」

「はい。石です。これが魔人メディウサの力なのです。この子はまだ子供だったので…メディウサが泣きわめくこの子を面倒くさがって、石にしたんです」

「成程、相手を石にする能力を持っているという事か」

 スラルはカラーの言葉でメディウサの能力を理解する。

 相手を石にするという事はそれだけで相手を戦闘不能に出来るという事だ。

 確かにそれは恐ろしい力だろう。

「どうやって石にされたかは分かるか?」

「はい。あの魔人がこの子の目を覗き込んだら石になりました。なので視線を介して相手を石にするのだと思います」

「そうか…レン、直せるか?」

「やってみるわ」

 レンは問題の石化しているカラーの所へ向かう。

 その石に触れると頷いて見せる。

「大丈夫よ。状態異常解除の魔法で問題無く解除できる」

「良かった…」

 レンの言葉を聞いて、幽霊のカラーが安堵する。

 自分の行動は決して無駄では無かった。

 こうして魔人の事を始祖に伝える事が出来、幼い命を救う事が出来た。

 それだけで自分が呪われた甲斐があったというものだ。

「すいません…まずは私達をどうにかしてもらってもいいですか? こんな姿を見せたらショックを受けるでしょうし…」

「それもそうだな。ガキには見せられんな」

 この凄惨な光景を目にすれば、誰だって心に傷を負うだろう。

「あの…お願いしても良いですか?」

「がはははは! 俺は女には優しいから聞いてやろう。で、どうすればお前は助かる」

 ランスの言葉にカラーの少女は申し訳なさそうな顔をする。

「あの…私の額のクリスタルを取って欲しいんです」

「…は? ちょっと待て、カラーはクリスタルを取ったら死ぬんだろうが」

 カラーという種族は額のクリスタルを取られたら死ぬ。

 処女を失うとと赤いクリスタルが青く変わり、その青いクリスタルこそが強力なマジックアイテムを作るのだ。

 それが原因でカラーは人間から狙われているのだ。

 そしてランスの居る時代のLP期でも、ヘルマンがカラーを襲った結果、ヘルマン革命でランスも少し苦労をしたのだ。

「はい…酷い事を頼んでいるとは思います。でも、そうしないと私も死ねないんです」

「…おいハンティ。どうにかならんのか」

 カラーの言葉にランスはハンティを見る。

 ランスの視線にハンティは首を振る。

「無理だね…この子はもう肉体的には死んでるんだ」

「むぅ…折角助けて礼を貰おうと思ったのに」

 ランスの言葉にカラーの少女は笑う。

「ごめんなさい…でも、私達の力を使って、メディウサを倒してくれればと思います」

「どういう事だ」

「私達はメディウサに惨たらしく殺されました。その呪いの力を使って欲しいのです」

「カラーの呪いか…」

 カラーの呪いは恐ろしいものが多い。

 ランスもパステルに呪われて大変な目にあった。

「ランス、この子たちに頼みを聞いてくれないかい」

「いいのか? カラーのクリスタルだぞ」

 ランスの言葉にハンティは笑う。

「ホントにカラーのクリスタルに興味が無いんだね、あんたは。でもそういう奴だから良いのさ」

「フン、俺様はかわいい子の味方なのだ。それよりも本当にいいんだな」

 ランスは貼り付けにされているカラーの少女の額のクリスタルを触る。

「はい。ランスさん…始祖様。私の娘をどうかお願いしますね」

「分かった。俺様がメディウサをぶっ殺してやる。だから安心して死ね」

 ランスは少し乱暴に言うと、カラーからクリスタルを取る。

「ありがとう…」

 するとカラーの少女の姿が消えていく。

 ランスの手に会ったのはカラーのクリスタルだ。

「フン。こんな物よりカラーの方がよっぽどいいだろうが」

「悪いね、嫌な事をさせたみたいでさ。それよりも…良ければ使ってよ」

 ハンティがランスに出したのは、この場に放置されていたカラーのクリスタルだ。

「まあ貰ってやる」

 ランスはハンティからクリスタルを受け取るが、内心は複雑だ。

 カラーはランスの娘が居る種族、そのクリスタルを受け取ると言うのはどうしても気が引ける。

 何しろランスは本当にカラーのクリスタルには全く興味が無いのだから。

「他の死体もあまり見ていていいものじゃないしね。浄化」

 レンが手を振るうと、その死体が光に包まれて消えていく。

「これでいいか。じゃあ解除するわよ」

 そして石化しているカラーの元へ行くと、その石化を解除する。

 するとそこから現れたのはリセットと同じくらいの年齢をした少女であり、レンの姿を見ると目を見開く。

「…ママは?」

「お前のママはもういない。だが俺様がお前を助けに来た。だからもう大丈夫だ」

「…みんな、魔人に殺されちゃって」

「おう。だから俺様がぶっ殺してやる」

「う、うわあああああああ!!」

 ランスの言葉に安心したのか、レンにしがみついて大声で泣き始める。

「ランス…」

「ああ。メディウサは俺様が絶対殺す」

 大声で泣きわめくカラーの少女を見て、ランスは決意を固める。

 絶対に魔人メディウサをこの手で殺すと。




幽霊ネタはランス6のアノキアから
それよりも少々便利にはなってしまいましたが…

メディウサの使徒のアレフガルドは今の時代にはいません
鬼畜王の設定を使用し、GI期に使徒になった事にします
居たら居たで正直対処に困る奴なので

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