カラーの森はその日も静かだった―――はずだった。
しかし、今そこに一人の美しい魔人が森を見ていた。
「ここにあの本の続きを持っている人が…」
魔人ハウゼル…エンジェルナイトの魔人とされているが、実際には破壊神ラ・バスワルドが二つに分けられた存在。
今の時代を気に入ったルドラサウムから褒美として贈られたのだが、ジルはそれを信じてはいなかった。
魔人ハウゼルともう一人の片割れであるサイゼル…神から贈られて魔人にはしたが、その存在を警戒していた。
同時に、ランスが使っている力がラ・バスワルドの力の力と分かっているので、あえて放置もしている。
そんな魔人ではあるが、ハウゼルは非常に心優しい魔人だった。
それこそ争いが嫌いという非常に珍しい魔人だ。
「貸してくれればいいんだけど…」
ハウゼルは本を奪うという気は無い。
「で、でも、これを借りたいと言ったら変に思われるかも…」
ハウゼルは顔を真っ赤にして困った顔をする。
本が大好きという変わった魔人であるハウゼルは、世界を回って本を集めていた。
だが、流石に今の時代では本の回収も中々上手くいかず、見つけたとしても破損していたり、続きが見つからなかったりと残念な結果になっていた。
しかし、そんな中で同じ魔人であるケッセルリンクが色々と本を持っていると言う話を聞いた。
そこでハウゼルはケッセルリンクにへと会いに行った。
「君が新たに魔人となったラ・ハウゼルか。まあゆっくりしていきたまえ」
幸いにも魔人ケッセルリンクは自分を受け入れてくれた。
「あ、ありがとうございます」
魔人ケッセルリンクは魔人四天王の一人で、カラー出身の非常に美しい魔人だ。
争いは好まないとは聞いていたが、魔人レキシントンは何度かケッセルリンクと争ったらしい。
なので自分は大丈夫かなと少し心配していたのだが、どうやらそれは杞憂だったようだ。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
椅子に座っている自分にケッセルリンクの使徒であろう茶髪の女性が紅茶を出してくれる。
ハウゼルはその紅茶を飲む。
「美味しい…」
「今の時代、上等な紅茶は中々手に入らないからな…舌にあったのならば幸いだ」
魔人ケッセルリンクは薄く微笑みながら、同じように紅茶を口に含む。
「さて…突然だが何の要件かな?」
「あ、はい…まずは挨拶をしようと思いまして…それと、魔物の間でケッセルリンクさんが色々と世界を回っているという話を聞きまして」
「ふむ…確かに私は色々と世界を回っている。それは君とて同じのようだが」
「そうなのですが…私はどうも探し物が苦手なようで。それでケッセルリンクさんにお願いに来たんです」
ハウゼルの顔にケッセルリンクは内心で驚いていた。
ケッセルリンクは魔人ラ・ハウゼルと魔人ラ・サイゼルの事は知っていた。
それもただ知っているだけでなく、破壊神ラ・バスワルドと関係があるという事も気が付いていた。
ランスとスラルから聞いた、ラ・バスワルドの片割れだというのも容易に想像がついた。
それ故に、ケッセルリンクも彼女達と何とか渡りをつけられないかと思っていた。
(これは…私にとってもランスにとっても都合のいい話か。上手く行けばランスの願いを叶える事が出来るからな)
「願いか。と言っても、私に出来る事などたかが知れていると思うがね」
内心を隠しつつ、ケッセルリンクは苦笑してハウゼルを見る。
「あの…ケッセルリンクさんは沢山の本を持っていると聞きました」
「本…かね? まあ確かに所持しているが」
「その本をお借りしたいんです! どうかお願いします!」
突然の言葉にケッセルリンクは内心で面食らう。
確かにケッセルリンクは世界から本を集めていた。
だが、それは実際には本そのものを集めていたのではなく、スラルが残した書物を探すための副産物だ。
その中には魔法について書かれた書物や、人類の歴史について書かれた書物、そして人間の娯楽のための本も無数にあった。
ケッセルリンクとしてはスラルの書物以外は特に興味は無かったが、自分の主であるスラルが興味を持つかもしれないと思い、使徒達に管理させていた。
「本、と言っても色々とあるからね。一体どんな書物を探しているのかな」
「笑わないで聞いて欲しいのですけど…人間が書いた本を探しているんです」
ハウゼルは恥ずかしそうにしながら、懐から一冊の本を取り出し机の上に置く。
ケッセルリンクはそれを手に取って中身を見てみる。
そこにあったのはそれこそ人間の娯楽の本だった。
「成程…この手の本か。確かに副産物で色々と集まってはいるがね…ただ、私も内容までは把握していない。シャロン、加奈代を呼んできてくれるかな」
「かしこまりました、ケッセルリンク様」
シャロンと呼ばれた女性が主に一礼して部屋を出ていく。
そして1分もしない内に、シャロンに連れられて黒髪の女性が入ってくる。
「お呼びでしょうか。ケッセルリンク様」
「加奈代。本の管理については君に任せている。これと同じようなジャンルの本はあるかな?」
ケッセルリンクはハウゼルが出した本を加奈代に渡す。
加奈代は「失礼します」と言ってからその本の中身をさっと見る。
「ああ、これは人間達が書いていた娯楽の本ですね。それでしたら何冊か有りますよ」
「だったらハウゼルに何冊か貸してやって欲しい」
「かしこまりました、ケッセルリンク様」
加奈代は主の命を受け、そのまま本を探しに行く。
「あの…いいんですか?」
「構わないさ。私もたまに見る程度だからね」
「あ、有難うございます!」
ハウゼルは深々とケッセルリンクに対して頭を下げる。
そんな彼女を見て、ケッセルリンクは一つの事を思いつく。
(ここで彼女の姉…ラ・サイゼルと繋がりを持つのも良いな)
「代わりと言っては何だが…君の姉かな? ラ・サイゼルを紹介してほしいのだが」
「姉さんをですか? 勿論構いませんが」
ケッセルリンクの言葉はハウゼルにとっても意外なものだった。
まさかあの姉と会ってみたいというのが条件だとは思わなかった。
断る理由は無いので、ハウゼルは快く引き受ける。
そして本を色々と貸して貰い、サイゼルをケッセルリンクに引き合わせた。
サイゼルはあまり後先を考えずに、その場の感情で行動してしまう性格なのだが、幸いにも魔人四天王であるケッセルリンクの前だから特に何も無かった。
それどころか、サイゼルも結構な頻度でケッセルリンクの館に訪れているようだ。
その後すぐに…ハウゼルは変な夢を見た。
顔は分からなかったが、人間に滅茶苦茶に抱かれる夢だ。
その時はただの夢なのだと思ったが、その夢をみる回数が多くなってきてからは流石に不安になった。
あまりに不安になったため、姉に相談したのだが、その姉も似たような夢を見たようだった。
それは不定期に起きるため、自分ではどうしようもなかった。
そして、姉はどうやらその夢の原因だという人間に会ったようだ。
「姉さん、どうしたの?」
ラ・サイゼルはその普段とは全く別人のように何かを考えているようだった。
「ねえハウゼル。あんた、前に人間にやられる夢を見たって言ってたわよね」
「ちょ、ちょっと姉さん! いきなり何を!?」
姉の突然の言葉にハウゼルは声を荒げる。
が、サイゼルの顔は全くの真剣そのものだった。
「真面目に聞いてるから答えて」
「………そ、そうだけど」
ハウゼルは恥ずかし気に答える。
流石に自分が人間に犯され、それを自分が受け入れていたなんて言うのは恥ずかしい。
「それってどんな人間が覚えてる?」
「え? 流石に夢の中の事だから…覚えてないけど」
「…茶色の髪をした人間じゃ無かった?」
「茶色の髪…言われてみればそうかもしれないけど、自信は無い…」
どこまでも真剣な顔のサイゼルに、ハウゼルも何とか答えるが、やはり自信は無かった。
所詮は夢は夢、ハウゼルはそう割り切ろうとしていた。
「…私の夢の中で出てきた男に会ったんだよね」
「え!?」
突然の言葉にハウゼルは言葉を失う。
「そ、それでどうしたの?」
「普通に戦ったけど…色々あって見逃してきた」
「見逃したって…姉さんが?」
サイゼルは魔人なので当然強い。
正直に言えば、人間が姉に勝つ事は絶対に不可能であり、姉の性格上その人間を見逃すとも思えなかった。
なのに、姉はその人間を見逃したと言う。
「頭の中がぐちゃぐちゃになってね…それと…腹立たしいけど、滅茶苦茶強かったわ」
本当に気に入らないという表情をする姉に対し、ハウゼルは素直に驚く。
まさかこの姉が人間に対してそんな評価をするとは思わなかった。
「ねえハウゼル。記憶の中に、人間と戦った事って無い?」
「え…? 私は特に人間と戦った事なんで無いけど…」
心優しいハウゼルは当然ながら虐げられている人間をどうしようなどとは思わない。
助ける事は出来ないが、人間に手を出すなんて事は考えた事も無かった。
「そっか…じゃあ私の記憶違いかな。とにかく、ハウゼルも少しは気を付けなさい。私は少し頭冷やしてくるから」
そう言ってサイゼルはそのまま飛び去って行った。
「姉さん…大丈夫かな」
ハウゼルは心配そうに呟く。
この二人は本来は二つで一つの存在。
それ故に互いの事は色々と分かるのだが、今の姉に有るのは明らかな困惑だ。
「何とも無いと良いけど…」
それからは少しの間、あの例の夢の事を少し気にかけるようになった。
相変わらずの夢だが、激しく犯された事もあればまるで恋人のように優しく抱かれた夢も見るようになった。
ただ、それでもその人間の顔までは分からなかった。
が、突然その夢を見る事が無くなった。
一体何だったのだろうと思ったが、どうやら姉の方もその夢を見なくなったらしい。
それはそれで安堵していたら、再びその夢を約10年ぶりに見るようになった。
「一体どういうことなのかしら…」
ハウゼルは火照った体を冷たい水に沈めていた時、自分の読んでいた本がついに最後まで読み終えた事を思い出す。
「あ、そうだ。読み終えたんだった」
ハウゼルはケッセルリンクから借りた本を見て思い出す。
魔人の不老不死なので、時間は沢山ある。
なのでそんなに急いで本を借りに行ってもがっついているみたいでちょっと嫌だったのだ。
「でも…気になる…」
ハウゼルは顔を真っ赤にしながらもじもじとしている。
ケッセルリンクから借りた本はとても魅力的で、使徒である加奈代が薦めてくれたものだ。
その言葉通り本当に面白く、ハウゼルとしても非常に続きが気になった。
「うう…」
本当に面白いのだが、話が続いて行くにつれて内容がどんどんと過激になって来た。
最初は驚いたのだが、本の内容が見事なものだったので、ハウゼルとしてもどうしても気になる。
簡単に言ってしまえば官能小説になってきているのだが、やはり内容がハウゼルを惹きつけてしまう。
「やっぱり…行きましょう」
なのでハウゼルはケッセルリンクに本を返却すると同時に新たな本を借りに行った。
だが、それは加奈代の言葉で絶望に変わる。
これからの続きが存在しないと言われたのだ。
いよいよクライマックスか…と思う所で、終わりと言われたのだ。
ハウゼルは落胆しながら本を返却して自分の家に戻ったのが、その後でケッセルリンクから連絡があった。
何でもその本の続きを持っている人間を知っているらしい。
ハウゼルは驚いたが、何よりもまずは続きが見たかったので、取り敢えずその人間の事を聞いていた。
「この本の続きを持っている人間は、カラーの村に居るらしいですよ」
何故人間がそんな所に居て、何故ケッセルリンクが持っている本の続きを人間が持っているのかは気になったが、ハウゼルにはそんな事はどうでも良かった。
今は何よりもその本が見たかった。
魔人としてそれはどうなんだと突っ込まれるだろうが、とにかくハウゼルは本が好きな魔人なのだ。
そして今、ハウゼルはそのカラーが居るという森の前に来ていた。
「ここにその本の持ち主が…」
広大な森と共に、巨大な山が見える。
あの山は翔竜山…この世界で唯一ドラゴンが居るという山だ。
魔物も魔人も別にドラゴンと戦うつもりは無いので、無暗に干渉する気は無い。
それはハウゼルも同じなので、なるべくドラゴンを刺激しないようにする。
そしてもう一つ…それはケッセルリンクに言われた言葉だ。
『カラーの森を焼くような事は絶対にしないでくれ。カラーは今大変な時期なのだ』
ケッセルリンクにそう言われたので、ハウゼルは自分の力を使わない事を決めていた。
「ふぅ…」
ハウゼルは一度深呼吸すると、森の中へと入ろうとし―――誰かの気配を感じ取る。
「!?」
いや、それは誰かの気配を感じ取ったと言うよりも、体が勝手に反応したと言ってもいいかもしれない。
突如として、自分の意識がそちらの方向へと導かれたのだ。
そしてその視線の先に居たのは、一組の男女だった。
「おー、本当にサイゼルに似てるな。あいつが青ならこっちは赤か」
「そのようだ。持っている得物も非常に似ている」
魔人である自分に対して全く驚いた様子は無い。
むしろ、自分が来ることを分かっていたかのような振る舞いをしている。
それを訝しむが、まさかケッセルリンクが自分がここに来る事を漏らすなんてことは無いだろう、とハウゼルは確信している。
実はその思い込みこそが間違いなのだが、それは彼女が魔人故に仕方の無い事だろう。
「がはははは! お前がハウゼルか!」
「はい。如何にも私がラ・ハウゼルです。あなたは何者ですか」
「俺様がランス様だ! うむ、サイゼルの妹だけあって美人だな」
「…姉を知っているという事は、あなたが姉の言っていた人間という事ですね」
ハウゼルはそう言って自分の武器である『タワーファイヤー』を構える。
(…あれ? 姉さんが人間と戦ったのって10年以上前よね? それなのに…目の前の人間はどう見ても20歳くらいなんだけど)
ここでハウゼルは自分に違和感を覚える。
姉が人間と戦ったと言ってたのが10年以上前…だとしたら、目の前の人間の年齢が合わない。
(いや、考えても仕方が無いか。私の目的はあくまでもこの人間じゃ無いんだから)
ハウゼルはそこで自分の武器であるタワーファイヤーを仕舞う。
「む」
ランスはそれを見て少し訝しむ。
まさか魔人の方から武器を収めるとは思っても居なかったのだ。
(そういやこいつからはサイゼルみたいな殺気もやる気も感じられんぞ)
魔人にしては殺気が無い…いや、敵意すら感じられない。
これまでランスは数多の魔人と戦ってきたが、そのどの魔人とも当てはまらないタイプだ(ケッセルリンクは別)。
それ故にランスも少し戸惑ってしまう。
「あの…私が用があるのは、ある本を持っているという人間なんです。私はその人を探しに来たのであって、あなたと争う気はありません」
「…ほう」
ハウゼルの言葉は嘘では無いのはランスも分かる。
「珍しい魔人だな…力づくで奪える立場だろうに」
スラルも全く敵意を見せないハウゼルに目を丸くする。
基本的に魔人とは粗暴であったり、ある種の破壊衝動を持つ者も多い。
そんな魔人の中でも彼女は異質であると言える。
「うむ、その本というのはコレの事だな」
ランスは懐から一冊の本を取り出す。
「あっ!」
それを見てハウゼルが声を上げた事に、ランスはニヤリと笑みを浮かべる。
その本を見たくて見たくて仕方が無いという加奈代の言葉は正しい様だ。
「そんなにコレが読みたいのか?」
「はい! ですので…貸してください!」
ハウゼルはランスに頭を下げる。
その様子には流石のランスも驚く。
まさか魔人が人間に対して頭を下げるなんて思っても居なかった。
「うーむ、そうだな…」
ランスは考える素振りをするが、実際には答えは決まっている。
それはハウゼルと戦う事だ。
これはスラルと話し合った結果決まった事だ。
「ランス、ハウゼルと一度戦って欲しい」
「はあ? 何でだ」
突然のスラルの言葉にランスは眉を顰める。
基本的に魔人というのは出鱈目に強く、ランスでも一人で魔人に勝つのは難しい。
相手はサイゼル同様に空を飛べるタイプの魔人だ。
いくらランスが優れた剣士でも、空から一方的に攻撃出来る奴等には敵わない。
それは前にサイゼルと戦った時に思い知らされた。
それなのに、スラルはハウゼルと戦えと言う。
「加奈代の言葉が正しければ、ハウゼルはお前を殺すような事は絶対にしない。ならば一度ハウゼルとぶつかるべきだ」
「意味が分からんな。別に無理して戦う必要なんぞ無いだろ」
ランスとしては別に無理に魔人と戦おうとは思っていない。
ましてや、相手が戦う気が無いというのであれば尚更だ。
「理由は有る。お前の持つ剣…それにサイゼルが反応していたように見えた。それはお前も良く分かっていると思うが」
「む…」
スラルの言葉を聞いて、ランスも言葉に詰まる。
彼女の言い分は正しく、サイゼルは間違いなくランスの剣に反応していた。
ランスはそれを間近で見ていたので間違いは無い。
「彼女がラ・バスワルドの片割れならば間違いなく反応するはずだ。お前も気にはなるんじゃないか?」
「別に。俺様はあの二人とやれればそれでいい」
ランスの言葉にスラルはため息をつく。
「お前はそういう奴だったな。だが、ここは我の言葉を受け入れて欲しい。我とて、バスワルドの力には関与しているのだからな」
そんなスラルをランスはジト目で見る。
何となくだが、今のスラルからは非常に強い好奇心が見れるのだ。
言わば、未知の技術を見て目を光らせているマリアと同じような匂いを感じ取っていた。
「…スラルちゃん、それは自分の好奇心を満たしたいだけだろ。俺様には分かるぞ」
「な、何を言っているのだ!? 断じてそんな事は無いぞ。これも全てお前のためにだな…」
「嘘を言うな嘘を。付き合いも長いからな。スラルちゃんが俺様の事を分かっていると言うように、俺様もスラルちゃんを分かっとるんだぞ」
ランスはスラルの尻を撫でる。
「コラ、我は真面目な話をだな」
「何が真面目な話だ。全部スラルちゃんの興味の話だろうが。しかも戦うのは俺様に押し付ける気だろうが」
「そ、そんな事は無いぞ。我だってお前と共に戦う気があるんだぞ」
「そんなの当たり前だろうが。しかも俺様の計画を邪魔しようとしているんだぞ。だったらそれなりの事をして貰うというのが筋だろうが」
その言葉にスラルは思わず赤面する。
ランスがそう言うという事は、かなりハードなプレイを要求されるという事だ。
これまで散々色々なプレイをされているのだが、スラルは性行為に関しては普通の感性を持っているので、やっぱりそういうプレイは避けたいと思ってしまう。
(普通にされる分には全くいいのだが…いや、別に特別なプレイが嫌だという訳でも無いんだが)
その辺は複雑な女心があるのだ。
スラル自身結構無茶な事を言ったり、自分の言葉でランスが大変な目にあったりしているので、スラルとしても拒否が出来ないのだ。
「そ、そんなに我に特殊なプレイをしたいのか。ま、まあお前が望むなら仕方ない」
少し顔を赤らめながら、スラルはランスを上目づかいで見る。
身長差があるので、どうしてもそういう形になってしまうのだ。
「…やっぱりスラルちゃんはスケベだな。俺様は別に特殊なプレイをするなんて言ってないぞ」
「ば、馬鹿を言うな! お、お前はいっつも我に対してそういう事をだな…!」
「やーいやーい、スラルちゃんはエロエロだな。小柄な割には発育も良いしな。おっぱいも大きくなってきたしな」
ランスはスラルの胸を揉む。
そこには確かな膨らみが有り、魔王だった頃よりも成長しているように見える。
いや、実際に成長しているのだろう。
「む…そうなのか? いや、しかし我の体はIPボディなのだが…その仮の肉体でも成長するという事か? うーむ、興味深いな…」
ランスの指摘に逆に好奇心を刺激されてしまい、スラルは考え込む。
実際、今の自分の体は本来の自分の体では無い。
何しろ自分の体は消滅してしまったのだから。
「まあそんなに気にするな。スラルちゃんの体もその内何とかしてやる」
「…唐突に凄い事を言うな。しかし、一応はこの体も我の体だぞ」
「ジルの事も有るからな。IPボディなりなんなり探しておいて損は無いだろ」
「…そうだな」
スラルの体をまさぐっていたランスの手が止まり、その声が少し真剣なモノになる。
「ジルの魂の欠片はこの剣の中にある。だが、その欠片ではジルは何も出来ない。やはり魔王ジルにはどうしても会わなければならないからな」
魔王ジルに会うというのは自殺行為に等しい事だ。
だが、それでもランスはやらなければならないし、止めるつもりも無い。
何故ならジルはランスの奴隷なのだから。
「それにジルも色々と何かしようとしている感じはするぞ。ククルククルと戦った時、最後に俺様に魔法バリアを使ったのは多分ジルだからな」
「何!? そうなのか!」
流石にそれは初耳だ。
「何となくだがな。あの時はスラルちゃんもレンもケッセルリンクも俺様にバリアを張る暇なんて無かったからな」
「だったら言ってくれれば良かったな。我も色々と調べられたかもしれんのだが…」
「まあそんな事はどうでもいい。それよりも今はハウゼルだハウゼル」
「む、そうだな…ハウゼルと戦うだけならば殺される事は無いだろうし、何とでもなると思う。お前のハウゼル対策はその後でも十分だと思うぞ。それに、我も保険をかけておくしな」
「保険? 何だそれは」
「それはその時に話す。絶対にお前には悪い結果にはならないしな」
そう言ってスラルは唇を吊り上げ―――その唇をランスに奪われ、そのままランスに外で抱かれる事になってしまった。
「うーむ、そうだな…」
ランスが悩む様子を見せて、ハウゼルは困った顔をする。
やはり自分は魔人なので、人間から警戒はされて当然だ。
何しろ魔人は人間にとっては絶対的な敵なのだ。
「まあ俺様としてはお前にこの本をやるのも構わんが、その前にこの俺様と勝負してもらおうか」
「え?」
「勝負だ勝負。あ、無敵結界は無しだぞ。それを使われたら勝負にならんからな」
「そ、それは構いませんが…本当にいいんですか?」
「構わん。来い」
そう言うとランスは腰から剣を抜く。
どうやら本気で自分と戦うつもりらしい人間に対し、ハウゼルは困惑する。
困惑するが、それでも本のためにハウゼルは銃を構える。
「そういう事ならば…私は構いません。では…魔人ハウゼル、行きます」
こうしてランスと魔人ハウゼルの戦いが始まった。
ハウゼル戦はランス10の癒し
でもランスらしさが出てたので凄い好きです
ハウゼルが来るとサイゼルも来るから、シルキィとの二択が本当に悩ましかった
ちなみに投稿が遅れたのは某ソシャゲの新シナリオが悪いんや…
200連で完凸とか中々見れないからテンション上がってたんですよ