「大丈夫? 無茶し過ぎよ。ヒーリング」
戦いが終わった後、レンはランスにヒーリングをかける。
ランスには細かな火傷だけでなく、結構大きな火傷もあり、死闘であった事をうかがわせる。
ドラゴンの加護を装備し、冷気の剣でランスが本気の鬼畜アタックをぶつけたのに、ここまでのダメージをランスに負わせるのはやはり魔人ならではなのだろう。
「いちち…それにしても遠慮なくぶっ放してきおって。本が焼けたらどうするつもりだったんだ」
「…その覚悟で私はあなたと戦いました。その本よりも優先しなくてはならない事があったものですから」
ハウゼルはそう言ってランスの手にある黒い剣に触れようとする。
「少し待て。レン、アレを出してくれ。そろそろ我もここから出たいからな」
突然剣から声が聞こえてきた事にハウゼルは驚く。
しかもその声は、ランスの隣に居たスラルという女性のものだったからだ。
「分かってるわよ。はい」
レンは背負っているバッグから小さな人形を取り出す。
「ソウルブリング!」
剣の中のスラルが声をだすと、人形が見る見るうちに女性の姿と変わり、そこには確かにスラルの姿があった。
「うむ、やはり肉体があるというのは良い事だな」
自分の手を見て笑うスラルを見て、ハウゼルはランスをジト目で見る。
「あの。一対一では無かったのですか?」
そんなハウゼルに対してランスは何を言っているんだという呆れた顔をする。
「一対一で戦っただろう。あの状態のスラルちゃんはアイテムと同じだ」
「…まあそうですね。私はあなたの言う条件を全てのんだ訳ですので」
言いたい事は有ったが、確かにランスは嘘は言っていない。
それを受けたのは自分だし、何よりもこの人間がこれほどの強さを持っているとは思ってもいなかった。
その時、ランスのマントの内側から黒い炭が落ちてくる。
「あ。やっぱ燃えてたか」
「普通の本だからな。魔人の放つ炎には耐えられないのは当然か」
落ちてきた黒い炭を手に取り、ハウゼルはため息をつく。
この可能性は勿論予想はしていたが、やはり本が燃えてしまったのはハウゼルとしては残念だ。
「ああ、ちなみに本は無事だぞ。これは我が適当に選んだ偽物だからな」
「えええええええ!?」
スラルの言葉にやっぱりハウゼルは愕然とする。
「だ、騙したんですか!?」
「騙される奴が悪いだろうが。むしろ本物を使わなかった俺様に感謝しろ」
「う、ううぅ…」
ランスの言葉にハウゼルは何も言えなくなる。
ランスが持っていた本が偽物だというのが嬉しい反面、自分は結局は最後までこの人間に手玉に取られていたのだ。
その事は魔人としては恥ずかしい事だろう。
「それよりも久々に疲れたぞ」
ランスは本気で疲れたといった感じでため息をつく。
自分の予想では、もっと簡単にハウゼルを倒せると思っていたのだ。
翼と炎が使えなければ大幅に戦力は落ちるというランスの予想は正しかったが、もし最初からハウゼルが本気だったらランスは負けていただろう。
勝つには勝ったが、やはり紙一重の勝利でしかなかった。
「あ…それよりも、その剣を見せて貰えますか?」
ハウゼルはランスの持つ黒い剣を改めてみる。
上から下まで全てが漆黒に染まった黒い剣…それは非常に不気味だ。
柄の所には赤い宝玉が埋め込まれており、それが一層この剣の異質さを引き出していた。
「私と戦っていた時…ここから赤い線が走ってたのですが…今は無いのですね」
「あん? そうなのか?」
「はい。この宝玉から赤いラインがこの剣を走っていました。今はそんな事は有りませんが…」
ハウゼルの言葉にランスはレンと日光を見る。
すると二人は頷く。
「むぅ…俺様は全く気付かなかったぞ」
「それだけ集中してたということだと思います。ただ、その線が走っていたのは最後の方だけでしたので…」
「ランスが鬼畜アタックを放った時ね」
「そういやそんな気も…」
ランスは自分の剣を見る。
最初に悪魔から貰った剣からは随分と形が変わっていった。
勿論ランスはそんな事は気にはしない。
ランスにとっては使いやすい剣であればそれで構わないのだ。
そしてこの剣はカオス以上に扱いやすい。
魔人を倒すためだけならカオスの方が威力は高いが、それ以外ならこの剣の方が断然強い。
「ま、いいか。別に何か有る訳じゃ無いしな」
なのでランスは全く気にしない。
「あの…その剣を見せて貰ってもいいですか?」
ハウゼルがランスの剣を真剣な様子で見る。
姉がこの剣の事を言っていたので、ハウゼルもどうしても気になってしまっている。
「構わんぞ」
「ありがとうございます」
ハウゼルはランスから剣を受け取ったかと思うと―――その剣を落としてしまう。
「あ! ご、ごめんなさい! え、でもどうなってるの?」
落とした剣をハウゼルを拾おうと、その柄を握る。
そして持ち上げようとするが、全く持ち上がる気配が無い。
「魔人の私が持ち上げられないなんて…!」
その剣はハウゼルには非常に重く感じられた。
いや、実際に持ち上げる事が出来ないので、重いのは間違いないだろう。
だが、ランスはこの剣を片手で軽々扱っていた。
「それは俺様以外は持てないからな。俺様専用の剣という訳だ」
ランスは軽々と剣持ち上げると、そのまま鞘に納める。
「まあそれよりも俺様が勝ったんだから俺様について来てもらうぞ。いいな」
「分かりました」
ハウゼルはランスの言葉に素直に頷く。
約束は約束、ハウゼルはそれを破る気はサラサラ無かった。
その態度を見て、ランスは内心で舌打ちをしていた。
(ここまで素直ならセックスさせろと言えば良かったかもしれんな。いや、それを最初から言ってたらダメだったかもしれんしな。うむ、今回の俺様は和姦だ。それで行こう)
自分の考えは間違っていないと判断し、ランスはどうやってハウゼルとセックスをしようかとその頭を働かせていた。
当の本人であるハウゼルは、ランスがそんな事を考えているとは露知らず、ランスに大人しくついて行った。
ランス達はカラーの村へと戻ってくる。
そこには沢山のカラーがランスの帰りを待っていた。
「ランスさーん!」
ランスの姿が見えた事にウトスカが手を振って声を出す。
「おかえりなさい! ランスさん!」
リディアも嬉しそうに手を振る。
「おう、戻ったぞ」
ランスは何時ものように笑いながらカラーの声に応える。
「…本当に魔人を倒したのかい。で、その魔人は大丈夫なのかい」
ハンティがランスの後ろについて来ているハウゼルを見て目を細める。
もし魔人がその気になれば、カラーの村などおしまいだ。
いや、それだけでなくこの魔人がもし他の魔人にここの事を話せば…という不安も出てくる。
「心配するな。彼女は話が通じる魔人だ。それにケッセルリンクとも親交が深いようだしな」
スラルがハンティに耳打ちする。
それを聞いてもハンティ的には完全に信用する事は出来ないが、連れてきたものはもう仕方が無い。
それに実際に魔人を倒したみたいなのだから、この魔人もそんな無茶な事はしない…と思う。
ケッセルリンクと親交が深いというのであれば、カラーの事情についても理解を示す可能性も有る。
どちらにしろ、もう運を天に任す以外に道は無いのだ。
「あ、皆さんがカラーですね。ケッセルリンクさんから話は聞いています。私はカラーの事を誰にも言う気はありませんし、危害を加えるつもりもありません」
ハウゼルは優しい顔で微笑むと、カラーに向けて一礼する。
そんな魔人の態度にカラー達は戸惑ってしまう。
特に魔人の事を良く知るハンティとしては、魔人がそこまで言うのには驚く。
「…本当かい?」
「勿論です。私は無用な争いをするつもりはありません。それに…カラーの皆さんの苦境は知っていますので」
「そりゃ有難いけどね…ま、ケッセルリンクの名前まで出したんだから、信じるしか無いね」
ケッセルリンクの名前が出た以上は信じられる…とハンティは思っている。
今のカラーの苦境を知っているケッセルリンクがカラーに害をなす魔人を仕向けるはずが無い。
「そんな事はどうでもいいだろ。まずはこっちだこっち」
ランスはきゃあきゃあ言っているカラーを後にして、魔法ハウスへと入る。
そしてマントと鎧を脱ぐと、そのままソファの上に倒れるように寝そべる。
「流石に疲れたぞ…こんなに疲れたのは…まあ何回かあったか」
ランスが戦いの後で疲れたのは別に初めてではない。
ノスとの戦いも疲れたし、ゼスでのカミーラとの戦いも疲れた。
何よりも、魔王ククルククルとの戦いに比べればマシだろう。
「あ、大丈夫ですか?」
負けたはずのハウゼルが元気で、勝ったはずのランスの方が疲労している。
それが魔人と人間の違いだろう。
「俺様は寝る。ハウゼル、俺様が起きたら約束を守ってもらうからな」
ランスはそのまま体を起こすと、二階の自分の部屋に行こうとする。
余程疲れているのか、少しふらついているのを見て、日光がランスを支えて部屋へと連れていく。
それを見てハウゼルは苦笑する。
「変な人ですね…私と本気で戦ったのに、私を平気で受け入れている…私は魔人なのに」
「魔人がどうとかはランスにとっては問題では無いからな。美しい女かそれ以外か、それだけしかない」
スラルの言葉にレンが頷く。
ランスとは本当にそういう奴なのだ。
「それよりも我も約束は守ろう。こっちに例の本の続きがある。好きに読んでくれて構わないぞ」
スラルはある部屋に案内する。
ハウゼルはスラルについて行くと、そこにはかなりの量の本が置かれた一室がある。
「わあ…」
ハウゼルは目を輝かせる。
そこにはケッセルリンクが集めていた本には及ばないが、沢山の書物があった。
その棚の一つに、間違いなく例の本の続きがあった。
「ここにある本を自由に見て貰って構わない。ランスの約束はランスが言い出したら守ってやってくれ」
「勿論です。約束は守ります」
スラルの言葉にハウゼルは頷くと、早速その本に手を伸ばす。
それを見てスラルは小さく魔法を唱えると、その場から去っていく。
リビングで待っていたレンが少し複雑な表情でスラルを見ている。
「いいの? ランスに無断で」
「ああ。我はランスのためにやっているつもりだ。まあランスも狭量な男では無いからな。確かに触れられたくない所なのは分かっているが、それでもやらなければいけない事でもある」
スラルが案内したのは、人間だった頃のジルの部屋だ。
スラルはそこにある仕掛けを施していた。
それはランスには無断でやった事…ランスは怒るかもしれないが、それでもやる必要があるとスラルは判断した。
「ケッセルリンクから話を聞いた時から考えていた。もし彼女が本当に心優しい魔人なら…その力を借りる一番手っ取り早い手段だとな」
「まあ私はどうでもいいけど…それにしても自分からそういう道に進むのはどうして?」
レンの疑問にスラルは苦笑する。
ランスのためとはいえ、自分から貧乏籤を引きに行く自分は滑稽に映るのだろう。
神には『人』の心は分からないのは当然だと改めて思い知る。
「我なりの責任の取り方だ。この世界への責任でなく、我を助けたランスへのな」
「毎回それよね…それにしても面白いわね。あなたのように責任を感じる者も居れば、ランスのように責任なんて全く取らない奴も居る」
「それこそ性分だな。まあランスはアレでいいのだろう。あいつの起こした事は結果的にではあるが、良い結果に繋がると我は思っているよ。ただ、その過程で色々な事が起きるのも事実だが」
スラルは椅子に座ると、そのまま魔法で生み出した遠隔目玉を見る。
そこには魔人ハウゼルが一心不乱に本を読んでいる光景が映し出されていた。
「ジルの事を知ってどう思うのかしらね…この魔人は」
「さあな。だが、悪い結果にはならないさ…ただし、それが人にとって良い結果になるかは分からないがな」
「かっこつけてる所悪いけど、実はランスのおしおきが癖になってるとか無いよね? ちなみに私はランスとのエッチは気持ちいいから受け入れるけど」
「お前のそういう所が我は好きだ。神も実は俗っぽいという事を教えてくれるからな」
ランスは自分の部屋で眠りについていた。
部屋に戻ると直ぐにダウンしてしまい、今も起きる気配は無い。
日光はそんなランスをじっと見ていた。
(…本当に魔人を1対1で追い詰めるなんて)
まともな手段とは言えないが、そもそもまともな手段で魔人を倒そうとする事が間違いなのだ。
そしてランスは本当に魔人ハウゼルを倒した。
もしランスが自分を使っていれば、あのままハウゼルを魔血魂にする事も可能だっただろう。
「ぐがー、ぐがー」
余程疲れていたのだろう、ランスはセックスを誘う事も無く今も眠り続ける。
(それにしても…凄かった)
ランスとハウゼルの戦は確かに酷い戦いだった。
だが、最後のあの二人のぶつかり合いは本当に凄かった。
それがランスの技であり、世界でもあんな事が出来るのはランスだけだろう。
スラルの手助けが有ったとはいえ、魔人のあの攻撃を防げる剣士などあり得ない。
「ランス殿…」
日光は自分の胸が高鳴っている事に気づく。
ランスには憧れを持っていた。
初めて会った時に自分を助けてくれ、そしてあの魔人イゾウを退けた姿に。
その後は色々とあり袂を分かったが、それでも自分は再びランスと会えた。
そして魔人イゾウを自らの手で討ち、仇も取れた。
ならば後は自分がランスの手助けをするべきだろう。
例え相手が魔王であっても、ランスが助けたいと思うのであれば、日光としても何とかしたかった。
日光はランスをじっと見つめながら、ランスの目指す未来を案じていた。
その夜―――ハウゼルは満足気な顔で本を置く。
「ああ…最後はこうなりましたか。作品には色々な終わり方が有りますが、これはこれで良いものですね」
本来ならばもう少し時間をかけて読みたかったが、色々と我慢していた事も有り一気に読み進めてしまった。
何よりも、今の時代できちんと完結している本を読めたことに満足していた。
仕方のない事ではあるが、こういった本を見る事自体が難しい事なのだから。
その中でもこの長編作品は非常に満足できるものだった。
「…私も使徒を作ったら、こういう管理が出来る使徒がいいかしら」
まだ使徒を生み出していないので、詳細的にはそういう事を出来る使徒がいいと思ってしまう。
だがそれはまだ先の話になってしまうだろう。
なによりも今の時代…即ちGL期が終わるまでは難しいだろう。
今の時代ではそういった娯楽が生まれる土台が破壊されてしまっているのだから。
「他にも…あるのかしら」
スラルは『ここにある本を読んでいい』と言っていた。
ハウゼルはごくりと唾を飲み込むと、そのまま本に手を伸ばした。
本の中身はこれまた何かの物語のようで、ハウゼルはそのままその本に没頭していった。
そしてどれほどの時間が経っただろうか、既に日は完全に落ちており、既に夜中になっている。
ハウゼルは部屋の中にある本を見ては棚に戻してと繰り返していたが、ある一冊の本を見て固まっていた。
「え…これ…」
中身を最初に見た時に、これは誰かの日記だと分かった。
なのでこれを見るのは失礼だと思って、直ぐに戻そうとしたのだが、その最初の一文を見てどうしても気になってしまった。
『奴隷』『買われた』といった文章を見て、興味が出たのは事実だ。
悪いとは思いつつも、ハウゼルは少しだけ…少しだけと自分に言い聞かせてこの日記を見ていった。
そしてこの日記を書いた者を見て、その体が完全にフリーズしてしまったのだ。
著者の名前はジル…それは自分を魔人にした魔王と全く同じ名前だった。
だが、それだけならば同姓同名の別人だと流す事も出来た。
しかし…日記を読み進むにつれて、その内容に不安を募らせていった。
これは魔王ジルが書いた書物なのではないか…? そんな気がどんどんとしていったのだ。
どこかで見た事のある字だと思ったのだが、これは魔王ジルが書いた字とそっくりだった。
勿論ジルが字を書いた所は見た事が無かったが、ケッセルリンクが持っていた魔王の命令書を見た事が有った。
「…これは」
そして本の中で、この著者は自分の主人である『ランス』と共に魔人を倒した。
魔封印結界と呼ばれる力を使ったと記してある。
それが何なのかは分からないが、ハウゼルはそれを嘘だと言い切る事が出来なかった。
何故なら、その後に出て来たのが魔人ケッセルリンクの名前だったからだ。
その容姿についても綴られており、それは実際のケッセルリンクの容姿と全く同じだった。
「何故ケッセルリンクさんが…」
そして内容を読み進めている内に…この女性はケッセルリンクから妊娠していたという事を知らされる。
そこにあったのは、困惑、不安…そして喜びだった。
奴隷だった少女は、その主人と冒険し、魔人を倒し、そして子を授かったのだ。
日記はそこで終わっていたのだが…ハウゼルはどうしていいか分からなかった。
何故なら、この日記の少女をハウゼルは見なかった。
ランスもスラルも、そしてあのレンと日光という女性もかなりの強さに見えた。
だが、この『ジル』という少女の姿は見えなかった。
「まさか…これが本当にあの魔王ジル様…?」
そんな事はありえないと思いながらも、ケッセルリンクの事が有り完全に否定出来ない。
何しろランスは本当に自分を追い詰めたのだ。
そんな人間なら、過去に魔人を倒したとしても不思議では無いのだ。
「どういう事…? でもジル様は500年以上前から魔王で…でもこの人達は…」
考えれば考える程言いようの無い不安が襲ってくる。
だが、ハウゼルはそのままジルの日記を手に、どこまでも不安な顔をしていた。
そして―――そんなハウゼルを一つの目玉が見ていた。
遠隔目玉でそれを見ていたスラルはため息をつく。
「見てくれたか…」
見る公算は高かったが、まずは最初の段階を達成した事にスラルは安堵する。
ランスは嫌がるだろうが、それでもやらなければいけない事なのだ。
そしてそれを実行できるのは自分しかいない…どれだけランスに言われようとも、これはやらなければいけない事だった。
「悩んでくれるのであれば、我としても良い事だ」
もし興味無く内容を確認してくれなかったらどうしようかと思っていた。
「ランス…我は酷い事をしている。だが、お前が本気でジルを取り戻すというのであれば…我は何だってするさ」
スラルはどこまでも冷静にハウゼルの事を見ていたが、遠隔目玉を消す。
これ以上彼女の事を見ている必要は無いと判断したからだ。
「ランスには言わなければいけないな」
自分が勝手にやった事にランスは怒るかもしれないが、それで済むなら軽いものだ。
「入るぞ、ランス」
流石に今日は疲れているだろうから、まだ寝ているだろうと思いスラルは躊躇いなく扉を開いて部屋に入る。
「ん…ん…」
「いいぞ日光。お前も上手くなったな」
そこではランスが日光に奉仕をさせていた。
日光の秘所からは既に出されていたであろう液体が滴り落ちており、その内股を汚していた。
「お前という奴は…疲れていたのでは無かったのか」
あまりに節操のないランスの行動に、スラルは呆れる以外に無い。
「スラルちゃんか。寝たら元気になった。近くに日光が居たからやってる。それだけだ」
日光はスラルが現れた事に羞恥で全身を朱に染めながらも、口に含んだモノを出す事はしない。
「…まあお前らしいか」
スラルはそう言って服を脱ぐ。
そのままベットの上に乗ると、ランスにキスをする。
「随分積極的だな」
「先払いという事で…それに、お前とすれば我も強くなれるからな」
「まあいいか。とにかく今日は3Pじゃー!」
相変わらずランスはランスだった。
サイゼルの家―――
「ったく…何がどうなってるのよ。ハウゼル…」
サイゼルは苛立ちながら頭をかいていた。
サイゼルとハウゼルは繋がっているが、常に繋がっているという訳では無い。
だが、確実に今回は繋がっていた。
そしてサイゼルが感知したのが、ハウゼルが何者かにダメージを受けたという事だ。
肩の部分に鈍い痛みを感じたのだ。
「もしかして今噂になってる魔人が倒された事と関係が…?」
魔人が何者かに倒されたという話は聞いているが、サイゼルは全く興味が無かった。
だが、真面目なハウゼルならばその真意を確かめに行ってもおかしくは無い。
「まさかあの人間に会いに行ったとか無いよね…?」
サイゼルはあの時に戦った人間の事を思い出す。
ハウゼルにも話したが、失敗だったかもしれない。
「…ああもう! イライラするわね! 考えても仕方が無いし、動くか」
こう悩んでいても事態は進展しない。
それに、姉として妹であるハウゼルの事は気になる。
死んではいないのは本能的に分かる。
なのでサイゼルは難しい事を考えずに動く事にする。
「もしあの人間がハウゼルに何かをしてたのなら…覚悟しなさいよ」
サイゼルは魔人の気配を全開にして翼を羽ばたかせる。
勢いよく飛び出したはいいが、サイゼルにはこの世界で一人の人間を探す事がどれだけ難しいか、それを思い知る事になった。
遅れてしまい申し訳ないです
災害に関してはもうどうしようもないからなぁ…
続きは早くあげれるようにします