ランス再び   作:メケネコ

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ランス流デート

「ランス…我はお前に謝らなければいけない事がある」

 情事を終えたランス達は、眠る前に体を洗いに来ていた。

 流石にこれほど汗まみれのまま寝るのはランスとしても避けたかった。

「何がだ」

 ランスはスラルと日光に自分の体を洗わせながら、時には二人の体に触れながら聞く。

「ジルの日記をハウゼルに見せた。我がそう仕向けた」

「何?」

 スラルの言葉にランスの機嫌が一気に悪くなると二人は感じる。

 それは触れられたくない事に触れられたような、本当に不機嫌な声だ。

「事後承諾の形になる。それに関しては我が悪い。だが、必要な事だと判断した」

「そうか。スラルちゃんがそうしたんなら別に構わん」

「…いいのか?」

「付き合いも長いしな。まあスラルちゃんがそうしたんなら本当に必要だったんだろ」

「すまない…本当はお前に聞くべきだったのだがな」

 ランスはスラルの言葉に不機嫌な態度を一瞬で消す。

 ランスとしては、スラルの事を本当に信頼していた。

 メイドとして抜きんでて有能なビスケッタもそうだが、スラルの行為がランスに不利に働くとは思っていない。

 ただ、それでも勝手にやったのだから罰は必要だとほくそ笑むくらいだ。

「まあ罰は罰だな。俺様のハイパー兵器を綺麗に丁寧に洗ってもらおうか」

「…まあ予想通りの言葉だ」

 言われれば普通にやるのだが、という言葉は口に出してやらない。

 もし口に出せば、ランスは更なる要求をしてくるのは目に見えている。

 だからランスから口に出させるのが一番被害が少ないのだ。

 何故なら、ランスは性癖に関しては本当に普通だからだ。

 お尻とかを要求される事もあるが、それ以上の特殊なプレイには興味を示さないのがランスだ。

「まったく…昨日あれ程我と日光を抱いたというのに…本当に無節操な奴だ」

「がはははは! 俺様は英雄だから当然だ。ほれ、日光。動きが止まっとるぞ」

「ご、ごめんなさい」

 ランスの指摘に日光は再びランスの体を洗う。

 勿論その体を洗うのは日光の体でだ。

 日光の体は大きく、そして胸も大きいので洗わせていて一番気持ちいいかもしれない。

 ランスはそんな事を思っていた。

 日光の献身的な奉仕にランスは本当に気持ちよさそうな顔をする。

「全く…お前は本当にこれが幸せだという顔をする。少しは遠慮というものを覚えろ」

 そう言いながらも、スラルはランスのハイパー兵器を洗うのを止めない。

 一度泡を洗い流すと、躊躇いなくそれを口に含む。

 こうしてランスは再び楽しんでいた。

 体を清めてから部屋で眠り朝になる。

 ランスは8時にはめが覚める…これはランスの生活の基本だ。

 今も寝ているスラルと日光を置いて、ランスはリビングへと降りていく。

「おはようございます」

「…何をやっとるんだハウゼル」

「何って…朝食を作ろうと思いまして。色々と材料があったものでしたから…迷惑でしたか?」

「いや、別に構わん。ただ、魔人がこうやって朝食を作ってる姿を初めてみるからな」

 ランスはそのまま自分の椅子に座る。

「おはよ、ランス」

 するとレンが自分の部屋から出てくる。

「おう」

「朝ごはんは…ハウゼルが作ってるんだ。日光が作ってるかと思ってたから驚き。いや、本当になんで作ってるの?」

 やはり魔人が朝食を作っているという姿は想像できないらしい。

「性分ですから。お口に合うといいのですが」

 そのままハウゼルは朝食を並べていく。

 それは極一般的な食材で作られた物ではあるが、ランスの目から見ても美味そうに見える。

「うむ、では食べるとするか」

「いただきまーす」

 ランスとレンはハウゼルの作った朝食に手を付ける。

 それはランスの予想通り、非常に美味しい。

 日光の作る料理も悪くは無いが、ハウゼルの方が腕は上だろう。

「美味いな」

「そうね。日光の作ってくれる料理も美味しいけど、あっちはJAPAN風だからね」

 ランス達はあっさりとその料理を平らげる。

「うむ、美味かったぞ。正直ここまで上手いとは思わなかった」

「ありがとうございます。こういうのは嫌いでは無いですから」

 ハウゼルはそのまま食器を下げると、鼻歌を歌いながら食器を洗い始める。

 その光景を見ながら、ランスはこれまでに無いタイプの魔人を見て少し驚いていた。

 ハウゼルの態度は非常に柔らかく、人間相手なのに見下す様子は全くない。

 ケッセルリンクもランス達には態度は柔らかいが、それでも魔人としての威厳を持って接している。

 食器を洗い終えた後で、ハウゼルは突如として真顔になってランスを見る。

「…突然で申し訳ありませんが、あなたに聞きたい事があります」

「じゃあ私は自分の部屋に行ってるわ」

 ハウゼルの態度に何かを察したのか、レンはそのまま自分の部屋へと戻っていく。

 残されたのはランスと魔人ハウゼルの二人だけだ。

「何だ」

 ランスは答えるが、その言葉は大体想像出来ていた。

「…あの部屋で見てしまった日記ですが…あの中にあるジルという女性は…」

 それはランスの想像通りの言葉だった。

 スラルから聞いてなければ少し動揺したかもしれないが、予め聞いていたので問題は無い。

「事実だ。今魔王なんぞをやっているのが俺様の奴隷のジルだ」

「………そうですか」

 普通に考えればありえない事だと結論付けるのだが、ハウゼルはランスの言葉を否定しなかった。

 それはやはりケッセルリンクの件について書かれていた事が大きい。

「あなたは人間…なのですよね? その、時間が合わないとは思うのですが」

「そりゃ俺様はセラクロラスの力に巻き込まれているからな。俺様としても非常に迷惑しとる所だ」

「セラクロラス…時の聖女の子モンスターの名前ですね。私は見た事はありませんが…」

「とにかく、今は魔王なんぞをやっているが、元々は俺様の奴隷だ。だから取り戻すだけだ」

「…本気で言っているのですね」

 ハウゼルはランスが本気でそう言っているのに気づく。

 態度や口は軽いが、その言葉には揺ぎ無い決意のようなものが伝わってくる。

(やはりあの日記は…正しかった)

 自分の主である魔王が人間だった頃の日記…それはハウゼルに衝撃を与えた。

 ジルは残忍で恐ろしい魔王だ。

 それは魔人や魔物にとっても共通認識であり、魔物ですらも魔王ジルにとってはオモチャでしか無いのだ。

 人間牧場と魔物牧場…これこそがこの時代の地獄の象徴なのだ。

「聞いても良いですか? 何があったのかを」

「…まあいいか。教えてやる」

 ランスとしては、過去のあの忌まわしい出来事を話すのは正直腹立たしい。

 相手が魔王だろうが何だろうが、ランスにとっては決定的な敗北だった。

 しかもただの敗北では無く、自分にとっての大切なものが奪われるという決定的な敗北。

 だが、ランスはハウゼルに話す。

 そうする事で、ジルを取り戻す力になるかもしれないと思った事と、このハウゼルこそがランスの新たな力…即ちバスワルドの力を解放する事になるからだ。

 ランスにとっては魔王を倒す事は決して目的ではないが、それでもバスワルドの力は必要だった。

 普通に一撃としてカオスや日光よりも強い事と、切り札は多いに越したことはない。

 だがそれ以上に、ハウゼルとサイゼルとセックスが出来るという事実の方が大きい。

 そういう打算と計算が組み合わさり、ランスはハウゼルに真実を話した。

「という訳で、ナイチチだったかナイキチだったかは分からんが、そいつが俺様の前でジルを魔王にした。だから取り戻す、それだけだ」

「…そんな事が」

 ハウゼルはランスの言葉を聞いて悲痛な顔をする。

 あの日記の中には、奴隷となった時の絶望と、ランスに出会ってからの幸せが書かれていた。

 それから女性としての夢を掴み…そしてそれは最悪な形で打ち砕かれた。

「魔王は強いです。それでもあなたは立ち向かう気ですか?」

「当たり前だろうが。あいつは俺様の奴隷だ。俺様より偉くなるなどありえん」

「…強いですね、あなたは」

 ハウゼルはランスを見て微笑む。

 そんなハウゼルにランスは少し困惑する。

 まさか魔人からそんな言葉が出るとは思わなかった。

 全く持って魔人らしくない魔人だ。

「で、お前はそれを聞いて何がしたい」

 次はランスから切り込む。

 スラルから話は聞いていたが、正直魔人がここまで食いつくとはランスも思っていなかった。

 なのでその真意は分からずにいた。

 何しろこの魔人はランスも全く知らなかった魔人なのだから。

「…私と姉さんには奇妙な記憶が有ります。私達は作られてからまだ日の浅い魔人…そのはずなのに、もっと長い時間を生きてきたような記憶です」

 ハウゼルは目を伏せる。

 それは本当に悩んでいるように見える。

「あなたと戦って…その光景が少し見えた気がするんです」

「ふーん、そうなのか」

 ランスからすればどう答えればいいのか分からない、曖昧な言葉だ。

 彼女が破壊神ラ・バスワルドの半身なのは言葉では分かるが、正直実感は全く無かった。

 何故なら、ランスが戦ったバスワルドは無機質で、抱いても全く面白味の無かった存在だったからだ。

(もう少し楽しめる感じはしたのだがな…)

 エッチはしたが無反応、マグロもいい所だった。

 反応も全く無いので、ランスとしても達成感が全く無かった。

「あなたの持つ剣…もう一度見せて貰ってもいいですか?」

「別に構わんぞ。ちょっと待ってろ」

 ランスは剣を取りに行く。

 ハウゼルはその剣を見て唾を飲み込む。

 改めてよく見ると、やはりこの剣は異質なものにしか見えない。

「私では持てないので…置いてもらってもいいですか?」

「構わんぞ」

 ランスは言われるままにテーブルに剣を置く。

 この剣はランス以外にはまともに持つ事が出来ず、魔王であったスラルですらも直接は持てなかった程だ。

 ハウゼルはその剣の特徴的な宝玉に触れる。

 漆黒の剣の中で、この宝玉だけが不気味な深紅の輝きを放っている。

(…!)

 そして流れ込んでくる光景。

 ランスがこの剣を手に、魔人と戦っている。

 それはハウゼルも知っている魔人であるレキシントンだった。

 そしてランスはこの剣で無敵結界を持つレキシントンを斬っている。

 自分はこの光景を近くで見ているような感覚に襲われていた。

(…!?)

 そしてもう一つ流れ込んできた光景。

 それはランスが自分を犯している場面だった。

 いや、それが本当に自分なのかは分からないのだが、とにかく全裸のランスに激しく抱かれている光景が脳裏に浮かんできた。

「し、失礼しました!」

 ハウゼルは慌てて剣から手を離す。

「…何をやっとるんだ? いや、エロいから俺様はそのままでも構わんのだが」

 ハウゼルの顔は真っ赤で、その姿からは艶っぽさすらも感じさせる。

「いえ…その、何でも無いです」

 何かあったのは明白だが、ランスは取り敢えずそれは置いておくことにする。

 それ以上に、今はまずは彼女の事…ラ・バスワルドの力の事が先決だ。

 クエルプランの情報では、自分が彼女を抱く事でバスワルドの力を解放できるとの事だ。

(やっぱりいい女だな…勝った条件で無理矢理抱いても良かったが…いや、それじゃもったいないな)

 今のランスはどちらかと言えば和姦志向。

 相手を気持ちよくさせる事にも喜びを覚えている。

 その結果、これまでランスが無理矢理エッチをして来た女性達もランスとのエッチを拒まなくなってきた。

(うーむ…こいつは多分怒らせると怖い奴だ。だったら…そうだ、俺様に惚れさせてメロメロにしよう。それが一番いいな)

 改めて勝った後でのセックスを要求しなくて良かったと思う。

 ちょっとだけ悩みはしたが、それでも自分の判断は間違っていなかったとランスは確信する。

「それよりも俺様とのデートは覚えているだろうな」

「え? あ、はい。それは勿論です」

「がはははは! だったら早速デートに…あっ」

 ここでランスは最大の問題点に気づく。

 これまでカラーの里で快適に生活していたので忘れていたが、この世界は今は地獄の世界だ。

 娯楽というものは存在せず、いい感じにムードのある飲食店も、映画館も存在しない。

 本当に何もないのがGL期なのだ。

「うむむ…忘れてたぞ。デートをする場所が無いではないか」

 本気で悩んでいるランスにハウゼルは目をぱちくりとさせる。

 その後でランスの思っている事に気づき苦笑する。

「大丈夫ですよ。それよりも、カラーの里を案内してくれませんか?」

「カラーをか。それは…」

 ハウゼルの言葉にランスは悩む。

 確かにハウゼルは優しい魔人なのは確かだが、それでもカラーがそれを受け入れるかどうかは話は別だ。

 ランスとしても、カラーに余計な諍いを持ち込むのは避けたい。

 そんな時、突如としてハンティが姿を現す。

「うお!? いきなり出てくるな!」

「それは悪かったね。でも私の瞬間移動ってそういうものなんだよ。で、ちょっとだけ聞こえたけどカラーを知りたいって?」

「ええ。私もカラーの事は伝聞でしか知らないので…それに、カラーの状況はケッセルリンクさんから聞いていますから」

 ハウゼルは本当にカラーを心配しているような顔をしている。

 ハンティはそれを見て、ランスに耳打ちする。

(大丈夫だよ。ケッセルリンクには話してある)

(そうなのか。まああいつならそれくらい考えているか)

 ケッセルリンクのお墨付きならば問題無いだろう。

 問題は魔人に対して絶対的な強制力を持つ魔王だが、そもそも魔王が動いた時は本当に『終わる』時だ。

「ハンティが良いというのだからいいだろう。俺様が案内してやるぞ」

「ありがとうございます!」

 ランスの言葉にハウゼルは頭を下げて喜ぶ。

「…変な奴だな。そんなにカラーの事が知りたかったのか」

「そうですね…ケッセルリンクさんの出身の種族だというのも有りますが、現在の苦境も使徒の方から聞かされていて…自分に何かできる事は無いかとも思いまして」

 ハウゼルの言葉にハンティがため息をつく。

「ああ、言葉は嬉しいけど表立ってそうするのはやめてくれ。カラーは人間が居ないと繫殖出来ないんだ。これでカラーが魔人と繋がってると人間に知れたら、それこそ人間との間には完全な溝が出来てしまう」

「…あ」

 ハンティの言葉にハウゼルは目を見開く。

 そして悲しそうに目を伏せる。

「そうですね…申し訳ありません。カラーの立場を考えずに…」

「分かってくれればいいさ。まあ里を見るのは構わないよ。でも、見たって何も無いだろうけどね」

 最後の方はハンティ自身も苦笑いをしている。

 今の時代、本当に娯楽は無いに等しいのだ。

 人間の隠れ里には娼館等があるだろうが、ここには女だけの種族であるカラーしかいない。

「まあいい。とにかく俺様が案内してやろう。行くぞ」

「あ、はい」

 ランスはハウゼルを連れて魔法ハウスから出ていく。

 それを見計らって、レンが部屋から出てくる。

「…本当に一対一で倒したのかい? 魔人を」

「それは間違いないわよ。まあそっちの想像通り、卑怯な手を使ったけどね」

「魔人相手に卑怯も何も無いだろ。でも大したもんさ。無敵結界が無かったころならともかく、今までは魔人と戦うだなんて考えられなかったからね」

 ハンティの言葉にレンはため息をつく。

 彼女は全ての魔王をこれまで見てきたのだろう。

 だからこそ、無敵結界がどれ程に厄介なのか身に染みているのだろう。

「スラルは協力して欲しいみたいだけど」

 レンの言葉にハンティは肩をすくめる。

「悪いけどカラーの事で手一杯さ。カラーが安心して数を増やせるようになるまではあまり動けないね」

 ハンティは何処までもカラーの未来を考えている。

 過去にやった事は大変な事だが、それでも未来を潰す訳にはいかなかった。

 

 

 

 

「という訳でここがカラーの里だ。まあ今は隠れて住んでいるから何にも無いがな」

「…そうですね。それが今の時代ですから」

 ランスの言葉にハウゼルは胸を痛める。

 今の時代は人類にもそれ以外にも非常に厳しい時代だ。

 それが魔王ジルが選んだ時代なのだ。

 カラー達は遠巻きでハウゼルを見ている。

 そこにあるのはやはり恐怖と警戒だが、それは仕方の無い事だろう。

 何しろ魔人はカラーにとっても敵である事には変わらないからだ。

 その時、疲れた顔をしたリディアがアナウサとブリティシュと共にやって来る。

「お、今日も行って来たのか」

「ランスさーん…」

 リディアは本気で疲れた顔のままランスの胸元にもたれ掛る。

「…お前、かなり貧弱だな」

 リディアの疲れ具合を見てランスも少し呆れる。

 かなりひ弱のようだが、イージスのようなカラーで無い限りはこんなものだろう。

「結構レベルが上がって来たけど、まだまだ体力に不安が有るね」

「まあまあ。リディアももう少し頑張ればいいですよ」

 ブリティシュとアナウサは平気なようで、ニコニコと笑っている。

「だ、大丈夫ですか?」

 ハウゼルが心配そうにリディアを覗き込む。

「だ、大丈夫です…私は母さんの仇を取るまでは立ち止まってられません…」

「あ…」

 母の仇と聞いて、ハウゼルの顔が沈む。

 それは当然の事ながら魔人だろう。

「全く。仕方のない奴だ。俺様が付き合ってやろう。そうだ、ハウゼル。お前も手伝え」

「え? 私がですか?」

「お前もダンジョンには行ったことが無いだろ。だったらそこでデートをするのも良いかもしれんな」

「ダンジョンでですか…」

 ランスの言葉にハウゼルは目を丸くする。

「がはははは! 一休みしたら行くぞ。こういうのは思い立った時に行くのがいいんだ」

「ええ…」

 リディアはちょっとげんなりした顔をするが、

「仇を討ちたいんだろ」

「うう…頑張ります」

「ほらほら、休みますよー。ランスさん、私はリディアを休ませてきますねー」

 アナウサはリディアに肩を貸すと、そのままリディアを連れて行く。

「あの…彼女の言う仇とは…」

「魔人メディウサだ。俺様はそいつをぶっ殺す」

「魔人である私を前に言いますか…」

 臆面も無く言い切るランスにハウゼルは苦笑する。

 ただ、ハウゼルとしてもメディウサに対してはいい話は聞かない。

 人間を殺すのを禁じている魔王の言葉に平然と逆らっている事から、魔王のお気に入りと言われている。

 ケッセルリンクもメディウサに対して強い敵意を持っているようだが、魔人同士の争いを禁止されているので手を出せないらしい。

 そしてカラーに手を出した事で、ケッセルリンクを本気で怒らせたようだが、彼女が手を出さないのは魔王の命令があるからだ。

「別に構わんだろ。どうせ仲間意識なんて無いだろ」

「…否定はしません。私はメディウサには会った事も有りませんから」

 魔人は決して仲のいい集団という訳では無い。

 人間が人間同士で争っているように、魔人は魔人同士の争いがあるのだ。

 もし魔王の命令が無ければケッセルリンクは間違いなくメディウサを殺しているだろう。

 メディウサはカラーに手をだし、惨たらしく殺したのだから。

「ところで…彼女が魔人なんだよね」

 残っていたブリティシュが少し遠慮がちに聞いてくる。

「む、ああそうだ。こいつが魔人ハウゼルだ」

「魔人…なんだろうけど、その空気があまりにもそう見えなくて…」

「こいつはそういう奴だ。ああ、それとこいつに手をだすのは許さんぞ」

 ランスの言葉にブリティシュは苦笑する。

「分かってるよ。僕だって倒すべき相手を見極めているつもりだよ」

「フン。とにかくリディアの体力が回復したらダンジョンに行くぞ。あ、お前は来るなよ」

「僕だけ仲間外れかい。まあそれでもいいんだけど。じゃあ僕も休んでくるよ」

 そう言ってブリティシュもそのまま自分に用意された家へと戻っていった。

「お前も用意しておけよ。ダンジョンに行くのは初めてだろ」

「…ほ、本当に私を連れて行くんですね」

「嫌なのか」

 ランスの言葉にハウゼルは首を振る。

「いえ…私もダンジョンに行くのは初めてですので…ちょっと楽しみです」

 ハウゼルは少しウキウキしながら言うのだった。




この時代のデートとか難し過ぎだろ…
軽はずみにデートと考えた自分がバカでした
話が長くなっちゃったよ…
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