ランス再び   作:メケネコ

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ランスの悩み

「という訳で少しこっちで改装しておいたよ」

「改装と言われても、特に何が変わったかは分からないけど…」

 次の日、パイアールはランス達に魔法ハウスを見せる。

 だが、外観は特に変わった様子は無い。

「大きさを変えられないかと思ったけど、やっぱり魔法はボクの専門外だったね。だからそっちは手を付けられなかった。代わりに…」

 パイアールが何かのリモコンのような物を操作すると、玄関の近くに設置されていたシャッターが開く。

「この部屋は使ってなかったみたいだから、バイクをしまう倉庫にさせて貰ったよ。ここなら邪魔にならないだろ」

「ほー」

 ランスはそれをすんなりと受け入れる。

 何しろランスの女にはマリアが居たので、この手の機械の事には耐性がある。

 勿論ランスにはその機械が何なのかは分からないし、分かろうとも思わない。

 だが、自分の冒険に便利な機能とあれば話は別だ。

「中は変わっていないよ。というか変えられない。ただ、色々とメンテナンスはしておいたよ」

 パイアールは魔法ハウスを元のミニチュアのサイズに戻すと、それをランスに渡す。

「じゃあボクの依頼は受けてくれるよね」

「見つかったらな。それよりもお前はとっとと姉ちゃんの病気を治せ」

「…ボクは人の医療に関しては全くの素人だと思い知った所なんだけどね」

 ランスの言う事も間違ってはいないと今のパイアールはが分かっている。

 本来の歴史においては悪く言えば視野が狭い…いや、全ての存在を見下している。

 それはパイアールが本来は単独で魔人を捕らえ、そして魔人になった事も原因だろう。

 だが、ランスが介入した事でパイアールは予想外の手傷を負い、そして助けられるという結果になった。

 それ故の価値観の変化なのだが、それを知る者は誰もいない。

「で、これからどうするんだい」

 それはパイアール自身も驚く言葉だった。

 まさか自分が他人の動向を気にするとは思ってもいなかった。

「JAPANが俺様が呼んでいるのだ。まあバイクが有ればあっという間だろ」

「今は魔王が居ない時期だから問題は無いと思うよ。ただ、レイとかレキシントンとかは結構自由に動いているけどね」

「あの馬鹿共か…男に会うのも馬鹿らしいな。無視だ無視」

 男の魔人に会うなど全くの時間の無駄。

 ランスにとってはかつて一緒に冒険をした相手でも、男ならばどうでもいいという人間なのだから仕方ない。

「サイゼルの事はどうする?」

「…まあその内何とかなるだろ」

 スラルにサイゼルの事を指摘され、ランスは少し考える。

「サイゼルを探してるのかい? 彼女は世界を飛び回っているから中々捕まらないと思うよ」

 サイゼルの名前が出てきた事でパイアールは少し驚いた顔をする。

 人間が魔人を戦うのは本来は無謀な事…とされてきた。

 だが、今は魔人の無敵結界を斬るとされている剣が存在している。

 外には全く興味が無いパイアールだが、パレロアとの世間話で色々な事を知っていた。

 ただ、それでも自分に害が無ければパイアールとしては放置しても構わないとも思っている。

 そもそもパイアールは魔王の絶対命令権が無ければ、魔物にも人間にも興味を持たないのだから。

「何とか捕まえられんのか」

「やって出来ない事は無いだろうけど、間違いなく他の魔人にもばれるよ。そうなるとそっちも具合が悪いだろう」

「その通りだ。こちらとしてはサイゼルが我等を見つけて襲って来たという形になるのが一番いい」

 やはり魔人に狙われると言うのは厄介だ。

 更にランスの事を狙っている魔人もそこそこ多い。

 カミーラ、レキシントン、レイ…他にもランスと一戦交えた魔人は多い。

 特にカミーラはやたらとランスと遭遇するので、ランスとしてはしばらく会いたくないのが本音だった。

「今は魔王が居ない時期だからある程度は自由に動けるんじゃないかな。まあそれは魔人も同じだけど」

 パイアールの言葉にランスは取り敢えずはジルが居ない事に安堵する。

 魔王ジルと戦ったが、正直アレは戦いになっていなかった。

 指一本でランスを殺せる程の力の差をランスも感じていた。

「まあ何とかなるだろ」

 何時もの調子でランスはがははと笑うだけだ。

 レンは相変わらずのランスに苦笑するしかない。

 ただ、日光とブリティシュは難しい顔をしているが。

 いくら何でもランスは楽観的過ぎる…それが二人の感想だった。

「よーし行くか」

 ランスは早速バイクに乗り込む。

 開閉式になってはいるが、前のバイクと同じように風を感じる事も出来るのでランスとしては良かった。

 流石にヘルマン地方の寒い所でバイクを動かすとなれば話は別だからだ。

「…これ、どうやって乗るんだい?」

「男は乗るな。走れ」

 ブリティシュの言葉にランスは容赦なく叩きつける。

「そう言うな、ランス。こいつも役には立つだろう。日光は刀のままランスが持てばスペースも節約出来るだろう」

「そうですね。ランス殿、お願いします」

 日光はスラルの言葉を受け入れ、その姿を刀に変える。

 それを見てパイアールは目を見開く。

「中々奇妙な光景だね。メディウサを呪ったって聞いたけど、それも関係あるのかい」

「無敵結界などもう関係無いからな。あ、そういやメディウサはどうなったんだ」

 ジルの事が衝撃的過ぎて、メディウサの事をすっかり忘れていた。

 ランスとしてももうどうでもいい存在へと変わってしまっていた。

「ボクは興味が無いからそこまでは知らないね」

「メディウサ様は今も呪いで苦しんでいます。何でもジル様からも呪いを受けたようです」

「ふーん。魔王に呪われたんなら碌な事にはならんだろ」

 魔王の呪いはランスも知っている。

 何しろランスの奴隷のシィルが魔王の呪いを受け、1年以上の間氷の中に閉じ込められてしまった。

 シィルの呪いはランスが何とかしたが、メディウサがどうなるがランスは知った事では無い。

「よーし、行くぞ」

「はいはい」

 ランスがバイクのエンジンを入れる。

 以前よりも格段に音が小さく、小回りも効くのでランスとしては非常に満足いく出来だ。

 レンはランスの後ろに乗るとその腰に手を回す。

 ブリティシュも同じようにレンの後ろに座る。

「じゃあ見つけたら持ってきてやる。それよりもとっととルートちゃんを治せよ」

「そんなの言われるまでも無いさ。ああ、バイクに問題が出たらまた持ってきてくれればいいよ。ボクとしても色々データを取りたいからね」

「ランス様、お気をつけて」

「おう。またケッセルリンクに会いに行くと伝えておけ」

 ランスはそうとだけ言うと、バイクを入らせてあっという間にその姿が見えなくなる。

 それを見てパイアールはため息をつく。

「うーん…やっぱり自動操縦システムは作りたいな。でもそのためには地上全てを観察出来る装置が必要になるなあ」

「パイアール様…それよりもルートさんを何とかしないと」

「分かってるよ。姉さんを助けるのはボクなんだ」

 パイアールは少しだけムッとした様子でパレロアを見る。

 パレロアはそんなパイアールを見てクスリと笑う。

「私はケッセルリンク様の所に戻ります。パイアール様も健康には気を付けて下さいね。魔人に対して言う事では無いとは思っていますけど」

「君も本当に変わらないね。まあ忠告は受けておくよ」

 

 

 

「まさかこんなに早くJAPANにつけるなんてね…」

 JAPANの大地に足を踏み込んだランス達。

 ブリティシュはその事実に驚いている。

 何しろこのGL期にここまで大胆に動く事がまず難しい。

 自分達もそうだったので、移動の難しさは十分に理解している。

「しかしお町がこのJAPANの何処に居るのか…」

「その内見つかるだろ。大体修行をするなんて言ったらJAPANだと少ないだろ」

「確かにな。陰陽術に関して調べると言っていたから、場所は絞られるだろう」

「そうね。あの場所が一番かもね」

 日光は疑問を呈すが、ランス達はどうやら彼女の行先に心当たりがあるようだ。

「で、そのお町って人は誰なんだい? しかも日光が知ってるとなると、普通の人じゃあなさそうだけど…」

 日光からはそういう人物の情報は何も聞いた事が無い。

 ただ、日光が何も言わなかったという事は自分達と出会う前の人物なのだろう。

 その上で今の時代に会いに来たとう事は、つまりは今の時代でも生きている存在だという事だ。

「とっとと行くぞ。レン、場所は覚えているだろうな」

「…何で覚えて無いのよ。まあ私は覚えているけどさ」

 相変わらずのランスにレンは呆れる。

 もう何度も何度も呆れては居るが、もう慣れてしまった。

「…日光、教えてくれるかい?」

 ランス達は教えてくれる気配が無さそうなので、ブリティシュは改めて日光に聞く。

「お町…彼女は2代目の妖怪王…と言っていました」

「2代目妖怪王…JAPANの事はよく知らなくて、妖怪王と言われてもピンと来ないんだよね」

「それは私もです。私が知っているのも初代妖怪王の黒部が、藤原石丸に仕えていた…という事くらいです」

 藤原石丸の事は、今でもJAPANのみならず大陸でも名が知られている。

 何しろ世界で初めて世界統一を成し遂げそうだった人間だ。

 そして今の世界で使われている言語もまた、彼が広めたものである。

 ただ、このGL期ではそれ以上の事を知る事は難しいだろう。

「ランス殿は先代妖怪王黒部の事を知っているようですが、正直私もその時はあまり信じていなかったもので…」

「まあそうだよね…」

 ブリティシュは日光の言う事も良く分かる。

 そもそも年代を超えるという事が誰も信じられないだろう。

 ブリティシュ本人も実際に巻き込まれていなければ信じていなかったかもしれない。

「日光、とっとと行くぞ。まだまだ遠いからな」

 今はまだ天満橋を渡った所で有り、お町が居るであろう所までは遠い。

 だが、バイクを使えばその距離も大幅に短縮出来る。

 しかも以前のバイクよりも走破性が良い事と、ランスの持つ技能のおかげで道に躓くという事も無い。

 魔物兵も動いておらず、ある程度の自由に動く事が出来るのは有難い。

 だが、流石にある程度時間も必要なので、魔法ハウスにてその夜を過ごしていた。

 そしてその夜―――ランスは日光と激しいセックスをし、日光は今日もランスに何度も絶頂に導かれた。

「あー…いいぞ。お前の体は全く飽きんな。うむ、俺様のお気に入りだな」

 ランスはへばっている日光の体を起こし、彼女の体を後ろから支える。

 そのまま彼女の大きな胸を揉みながら幸せそうな顔をする。

 日光はただ色っぽい荒い息をつくだけで、ランスのされるがままになっている。

 そんな彼女を見てランスはもう一回やろうとするが、そこにスラルが声をかけてきた。

「ランス、少しいいか」

「む。今俺様は忙しいのだ。見て分からんのか」

「…セックスするのが忙しいのか、お前は。まあそんな事はどうでもいい。我から話がある」

「今じゃないといかんのか」

 ランスは日光の胸を揉みながら聞く。

 その大きな胸を刺激し、固くなっている先端を指で摘まみながら言うのだから、スラルとしても少しイラっとする。

「真面目な話だ。日光も同じ剣を使う者として聞いて欲しかったのだがな」

 スラルの声に日光は自分の胸を揉んでいるランスの腕を止める。

 ランスは少しつまらなそうに顔をするが、スラルの声を聞いて話を聞く気になる。

「で、何だ。つまらん話ならこのまま日光と続きをするからな」

「ああ。お前の剣の話だが…正直に言ってくれ。ジルに勝てると思うか」

「………」

 スラルの指摘にランスは黙る。

 ランスとしてはジルを取り戻すのは決定事項だが、流石に魔王ジルに勝てるとは思っていない。

 事実、ランスの全力の一撃でもジルに少しの傷を負わせる事も出来なかった。

「それ以前に…お前とカミーラの間にも大きな差が生まれている。それはお前も分かっているはずだ」

「む…」

 ジルとの戦いの前にカミーラと戦ったが、確かに以前よりも遥かにカミーラに対して苦戦した。

 いや、あのまま戦い続ければ間違いなくランスは負けていただろう。

 何だかんだ言っても、あの時ジルの乱入はランスが助かっていたのだ。

「前にも言ったが、お前は剣の腕だけ見れば藤原石丸に劣る」

「俺様が負ける訳が無いだろうが」

「ああ。戦えばお前が勝つと我も思う。そもそもお前なら藤原石丸と真正面から戦わないだろうしな」

 スラルもランスが藤原石丸に負けるとは思っていない。

 剣で負けたとしても、その次にそれ以外で逆襲するのがランスという男だ。

「だからこそ言おう。お前の剣を根本的に見つめなおさなければならないと思う」

「何を言っている。俺様は天才だからそのままでいいのだ」

「…ランス、これは我の考えで有り、元魔王としての言葉だ」

 スラルは一度言葉を切る。

「お前は自分の剣に違和感を持ったことは無いか」

「何を言っておる。そんな事が…」

 ランスはスラルの言葉に『そんな事が有る訳ないだろう』と答えるつもりだった。

 だが、ランスの体はそれを覚えていたのだ。

 自信の剣レベルが上がってしまった事からくる異常。

 それに気づかないランスでは無い。

「やはりか…だとすると我はこう考える。お前が藤原石丸に勝てない理由は、剣レベルではなく、先天的か後天的かの違いだろうとな」

「…どういう事だ」

「ああ。お前は何らかの影響があって剣のレベルが上がっているんだ。つまりは後天的にという事だな。それとは逆に藤原石丸は最初からそうだったのだろう」

 スラルの言葉をランスは黙って聞いている。

 日光も真剣な顔で二人の会話を聞いていた。

「だからこそ違和感があるのだろう。お前の技能レベルにこれまでのお前の剣がついていけていないのだろう。そういう意味で我はお前の剣を見つめなおすべきだと言っている」

 ランスには素晴らしい才能が有る。

 だが、今のランスではその才能を100%使いこなせてはいないとスラルは指摘しているのだ。

「我は剣についてはお前に言う事は出来ん。だからこそお前自身の手でやらなければならないと思う。藤原石丸はあのザビエルとまともにやりあえていたと黒部も言っていただろう」

 魔人ザビエルはNC期における魔人四天王の一人。

 その力は絶大で、それこそ魔人の中でも上位の存在なのだ。

 LP期における夜の魔人ケッセルリンクに少し劣る程度…それだけの力を持つ魔人なのだ。

 その魔人とまともに戦えた…いや、無敵結界が無ければ仲間と共にザビエルを倒せていてもおかしくは無い強さを持っているのが藤原石丸なのだ。

「それがお前と藤原石丸の差だ。まあ藤原石丸は帝という力を持っていたからこそ、ザビエルと戦えていたという事も有ると思うがな」

「…ランス殿よりも強かった、という事なのですか?」

 スラルの言葉に日光は驚く。

 全裸なので少々格好がつかないが、日光は真剣だ。

 日光にとっては藤原石丸は偉大なJAPANの祖ではあるが、同時にそんな人物でも魔人には勝てなかったという現実を見せられた人物でもあった。

 そして日光にとってはランスこそがある意味で最強の人類だと思っていた。

 剣の腕だけでなく、相手を倒すためにありとあらゆる手段を使う事が出来る。

 それだけの人脈と力がランスにはあるのだ。

 そして実際に日光は魔人を倒し、魔人メディウサに対しても完全に有利に戦っていた。

 ただ、その後の魔人カミーラには遅れを取り、魔王ジルには手も足も出なかった。

「ああ。我が見た限りでは藤原石丸が上だ。だが、我はランスの方が上回ると確信している」

 スラルはランスの方が上だと確信している。

 ランスには才能限界が無いので、時間が有ればランスは理論上無限に強くなれる。

 勿論そんな事は有りえない…ともスラルは思ってもいる。

 人間の寿命の内では魔王の領域に辿り着くなど絶対に不可能なのだ。

「だが、そのためにはランスがもう一段回上に行く必要があると我は思う」

「スラルちゃんは今の俺様では勝てないとでも言うつもりか」

「ああ。お前の目的を達するためには必要だと確信している。前から何度か言っていると思うがな」

 スラルの指摘を受けて、ランスは無言になる。

 ランス自身、実際には理解している。

 あの魔人カミーラとの戦いは、あのままいけばランスは負けていた。

 その場合、ランスは魔人カミーラの使徒にされていただろう。

「我の言葉をどう捉えるかはお前の自由だ」

 スラルはそう言うが、ランス自身も分かっている。

 今の時代にはランスがこれまで共に戦って来た仲間達が居ない。

 確かにレンもスラルも強いのだが、やはり数が圧倒的に足りない。

 これまで戦って来た全ての魔人に、ランスが1人で戦って来た訳では無いのだ。

 ランスの奴隷のシィルだって普通の魔法、そして神魔法の二つ使える上に、ランスとの長いセックスで限界レベルもかなり上がっている。

 マリアや志津香、他にも色々と個性的かつ有能な仲間が揃っていたのだ。

 しかし、今の状況はそうはいかない。

(うーむ…俺は天才だが、他の奴はそうではないからな)

「ちょ、ちょっとランス殿…」

 ランスは真面目な顔をしながら、ついに日光の体に手を伸ばす。

 日光はランスを咎めるような顔をするが、ランスの顔を見て驚く。

 本気で何かを考えているような顔で、無意識のうちに自分の体を触っているとしか思えないのだ。

「そういやスラルちゃん。LV3技能とかなんとか聞いた事はあったかもしれんが、一体どんな事が出来るんだ」

「…正直剣LV3が何を出来るかは我にも分からん。だが、魔法LV3に関しては色々な事が出来る」

「ああ…確かハンティの瞬間移動とかもそうだな。後はミラクルのゲートなんちゃらとかいう魔法もそうか」

 ランスの仲間には魔法LV3を持つ者が居る。

 それがミラクル・トーと、ヘルマン革命で最後の最期で一緒に戦ったハンティ・カラーだ。

 ミラクルの使った魔法によって、ランス達が居る世界とは異なる世界で魔物と戦った事もある。

(後はあのアニスもそうだったな…そういや迷宮とかも作ってたな)

 アニスの作った迷宮に閉じ込められ、ランスはそこで大怪我を負ってしまった。

 それは今でもランスの頭にこびりついている嫌な記憶だ。

 何しろアニスが援軍に来たら織田は終わると明言したくらいなのだから。

「ちょっとランス殿!?」

 ランスの手が日光の胸だけでなく、その下半身にまで手を伸ばした事には流石の日光も声を上げる。

「む、どうした日光」

「ど、どうしたじゃ無いでしょう…真面目に話していたと思いましたのに…」

 日光はランスをジロリと睨む。

 真面目な話をしていたはずなのに、あっさりと横道にずれるランスに対しては本当に呆れてしまう。

「うーむ…まさか天才であるこの俺が悩むとは…」

「女以外で悩む頭があって安心したぞ。だが、我が言えるのはこれくらいだ。後はお前にしか分からない領域の話だ」

「剣に関しては私もブリティシュもランス殿には何も言えませんから…」

 日光としてもランスに気の利いた事の一つでも言いたいが、剣に関してはランスには何も言う事が出来ない。

 何しろ自分とランスの間には巨大な壁があるのだから。

「…まあいい。とにかく続きをやるぞ」

 ランスは日光の腕を引くと、そのままベッドに押し倒す。

「もう…ランス殿はそれしか無いのですか? んん…」

 ランスのハイパー兵器が入って来る感触に日光は悩ましい声を上げる。

 そしてそのままランスは日光の体を味わい続けた。

 

 

 

「ラーンスあたたたー----っく!!!」

 ランスの強烈な一撃がモンスター達を吹き飛ばす。

 その一撃はやはり凄まじく、ブリティシュも日光もその威力には感心するしかない。

 しかし当人のランスは不満そうな顔を見せる。

 それを見れるのは、ランスの剣の中に居るスラルだけだ。

 そう、ランスとしては今の状況は不満だった。

 これまでならば別に不満に思うなんてことは無かっただろう。

 しかし、改めて魔王…はともかく、魔人カミーラとの力の差を感じてしまった。

 しかもカミーラはランスに対しては遠慮なく倒しに来るだろう。

「うーむ」

 改めて自分の剣を見てみる。

 この剣は色々と形を変えるが、ランスの手には不思議なくらいにぴったりに会う。

「どうした、ランス」

 スラルは少し楽しそうにランスに話しかける。

 自分の言った事をランスが気にしてくれている事に満足しているのだ。

「フン、スラルちゃんが余計な事を言うからだろうが」

「我は余計な事を言ったつもりは無いぞ。これからのお前に必要な事を言ったつもりだ」

「それが余計な事だと言っとるんだ」

 これまでのランスならばこれ程の敵を倒せば勝ち誇っただろう。

 だが、今はそうではない…それはスラルが言うLV3技能の事だ。

 ランスも魔法LV3という技能については良く知っているからだ。

 確かにアニスは馬鹿だが、迷宮を作ったりしてたし、あの魔法の力は本当に脅威だった。

 ミラクルも自称天才だが、確かにその魔法の力は言うだけの事はある。

 実際にゲートコネクトの魔法はランスも体験していた。

 そしてリーザスで魔王ジルが異世界へのゲートを開いており、ランスもそれを追ってジルと戦った。

 つまり、魔法LV3とういのは色々な事が出来る領域なのだ。

(スラルちゃんが言うなら俺様の剣はLV3というやつなのだろう。だとしたらそれと同じくらいの事は出来てもいいはずだ、うむ)

 アニスは威力を制御できない爆弾みたいな奴だった。

 が、その威力は本物で有り、制御が出来ればさぞや人類のためになるだろう。

 魔法LV3についてはランスもその目で見ているからこそ、その強さを実感できる。

 しかし、剣LV3というのがどういう事が出来るのか、それが全く分からないのだ。

 言い換えれば、ランスは自分が剣LV3になっているという実感が全く無かったのだ。

「ランス、焦る必要は無いと思うぞ」

「そうも言ってられんだろうが」

「? どういう事だ」

「…まあいい、まずはお町を探しに行くぞ」

 スラルの疑問にランスは取り敢えずはお町を探しに行く事にする。

 そう、ランスは知っている。

 ジルはあと少しでカオスによってリーザス城に封印されてしまうのだ。

 それを考えれば、時間はそれ程無いという事に今更ながら気づいてしまった。

 歴史とやらが正しければ、時間は有限なのだ。

 なのでランスには立ち止まっている暇は無い。

 それでも、女と出会うのに苦労をするのは全く苦では無い。

「ここは…」

 ブリティシュは今の時代にも残っている社をみて驚く。

 何しろ魔王ジルによって全ての国家は破壊しつくされた。

 この世界にこんなものが残っているのは珍しい事だ。

「陰陽術を学ぶとしたらここが一番濃いかしらね」

 レンは周囲を見渡すが、ここは不気味なくらいに以前と変わっていない。

「魔人ザビエルの封印は今でも破られていないか。JAPANの人間の意志とは強いものだな」

「魔人ザビエルの封印か…僕達もそれを求めた事はあったんだけどね。でも、それを知る事は出来なかった」

 ザビエルが封印されたという話は聞いた事があったが、その術を知る事は叶わなかった。

 ただ、自分の仲間達が魔人の無敵結界を無効化する力を得てくれた事は、人類にとっても大きな希望だ。

「お町が居るとしたらこの辺だけど…」

 レンは周囲を見渡すが、そんな気配は無い。

 だが、ランスは違う。

「そこだ!」

 ランスが声を出すと同時にランス目掛けて雷撃が飛んでくる。

 レンは凄まじい反応速度でランスを襲う電撃を盾で弾く。

 同時にランスが凄まじい速度で動き、雷撃が飛んできた方向に動く。

「がはははは! それで隠れたつもりか!」

「くっ!」

 ランスはその人物に抱き着く。

 

 むに

 

 その時にランスの手に素晴らしい感触が返って来る。

 なのでランスはそのまま柔らかな膨らみを揉み続けていたが、

「いつまで触っているつもりじゃ! この痴れ者が!」

「あんぎゃー!!」

 ランスに電撃は走り、その手を離す。

「全く…貴様は本当に変わらぬな」

 呆れた声を出すその声は、ランスには聞き覚えがあった。

「いきなり俺に攻撃してくるとはどういうつもりだ! お町!」

「…フン、お前が鈍っていないか確かめただけだ」

 その声は、間違いなくランスが知っている2代目妖怪王であるお町の声だった。

「…おお、随分と成長したな」

「当たり前じゃ。あれから何年たったと思っている」

 その姿はランスも驚く程の姿だった。

 ランスが知る本来のお町にはまだ遠いが、それでもそのボリュームのある尻尾は覚えている。

 着物の姿では無く、動きやすい大陸風の服を着ているが、そこに居たのは間違いなくお町だった。

「何にせよ…久しぶりじゃな、ランス」

 そう言ってお町は少し嬉しそうに笑った。




正直剣戦闘LV3が何が出来るのかといういうのが分かりません
空間を斬るのは違う…というハニーキングのお言葉が有りましたが、
ランス03で『空間の圧力を斬る』とう描写があったので、禁じ手かもしれませんがそうしようかなあと
本編では全く描写が無い技能なので、どうしていいのか匙加減が難しいです
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