ランス再び   作:メケネコ

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魔人メガラスとの再戦

 少し前―――

「すみませんね、メガラス。こんな事を頼んでしまって…」

 魔人ハウゼルはメガラスに頭を下げる。

 完全に私事でメガラスに頼みごとをしてしまった事にハウゼルは心苦しさを感じていた。

「………」

 メガラスは何も答えないが、特に気にしていないようにハウゼルは感じた。

「姉さんにもよく言っておきますから…」

 姉の言う事は何時も唐突だが、それでもハウゼルにとっては渡りに船だった。

 ランスが再び世界に姿を現し、そしてケッセルリンクの使徒と接触を持った。

 驚いたのは魔人パイアールとも知り合いだった事だが、もう驚かない。

 ただ、その時にランスの動向も聞いていたので、姉のサイゼルにそれを教えてやった。

 すると当然のようにサイゼルは動こうとするが、姉が直情的に動いても良い事は起きないと知っていたので、ハウゼルはサイゼルにこう言った。

 

 

「姉さん、行き違いになる可能性もあるから、向こうからやってきて貰えばいいのよ」

「向こうからって…どういう事よ」

「姉さんが探しに行くんじゃなくて、ランスさんから姉さんの所に向かう様にすればいいと思うの」

「………」

 ハウゼルの言葉にサイゼルは無言になる。

 ただ、ハウゼルの言う通りこの広い世界で一人の人間を探すなど無謀極まりない。

 確かに魔人は体力も有るし、サイゼルは空も飛べる。

 それでもサイゼル一人でランスを見つけるなど不可能に近い。

「どうすればいいのよ」

「メガラスに頼んでみるけど…姉さんはそれでいい?」

「メガラスかあ…」

 ハウゼルの言葉にサイゼルは考える。

 サイゼルはメガラスとは険悪では無いが特に親しくも無い。

 いや、あの無口過ぎる魔人と親しい魔人が居るのかと失礼な事も思っているくらいだ。

 何しろサイゼルはメガラスの声を聞いた事も無かったのだから無理も無い。

 ただ、ハウゼルはメガラスとは親交があるようだった。

「…じゃあ頼むわよ、ハウゼル」

 サイゼルはあっさりとハウゼルの進言を受け入れた。

 自分がメガラスに言うよりも、ハウゼルに頼んだ方が確実だと判断した。

 それに、サイゼル自身ランスを見つけるのは難しいとも思っていた。

「じゃあ私からメガラスに伝えておくわ。どの辺りでランスさんを待つの?」

「え…えーとそれは…」

「ランスさんはJAPANに向かってるみたいだから、天満橋辺りなら良いんじゃないかしら? 今はジル様も居ないし、余計な邪魔が入るのも嫌でしょ?」

「…何でハウゼルがそんな事知ってるのよ」

 ハウゼルの言葉にサイゼルはジト目になって妹を見る。

「色々よ。私だって姉さんのために色々としてあげたい事だってあるんだから」

「ハ、ハウゼル…」

 妹の心にサイゼルは胸を打たれる。

 色々と出来の良い妹と比較され、サイゼルとしては気に入らない事もあるがやはり妹は自分に優しい。

「だから私に任せて、姉さん」

 心の中で姉に謝罪しながら、ハウゼルもまたランスに会えるのを楽しみしていた。

 

 

「という訳でお願いできますか? ケッセルリンクからも話が行っているとは思いますが」

 ハウゼルの言葉にメガラスはコクリと頷いた。

 即ち引き受けてくれるいう事だろ。

「あ、ありがとうございます! メガラス!」

 ハウゼルはメガラスに礼を言うと、そのまま姉に報告すべく宙を舞う。

 それを見ながらメガラスも又移動を始めた。

 

 

 

「………」

 突如としてランス達の前に降り立ったのは、ホルスの魔人であり、魔人としては古参の存在であるメガラスだ。

 何しろ現存している魔人の中では2番目に古いのがこのメガラスなのだから。

 かつて一度ランスと戦い、その速度の前には流石のランスも手も足も出なかった。

 それほどまでに強いのがこの魔人メガラスなのだ。

「久しぶりだな、メガラス。まさかお前がこんな所に現れるとは思ってもいなかったがな」

「………」

 スラルの問いかけにもメガラスは何も答えない。

 何しろメガラスは極端に無口で、スラルもメガラスが口を聞いた記憶が思い出せない程だ。

「うむむ…こいつか」

 ランスはメガラスの登場には流石に警戒する。

 何しろ以前は勝てないと思わされた相手だ。

 その速度はまさに「最速の魔人」に相応しく、ランスでも相手の気配を呼んで感で戦うしか無かった。

 例え無敵結界が無くてもこの魔人には勝てないとあの時ランスは確信したほどだ。

「そんなに警戒しなくていいぞ。メガラスが危害を加えるなんてありえないからな」

「え?」

 スラルの言葉にメガラスを警戒していた日光が驚きの声を出す。

「こいつは魔王の命令が無ければ人間に手を出す事は無いからな。ハッキリ言えば平和主義だ。尤も、その力は魔人四天王級なのだがな」

「魔人四天王!? じゃああのカミーラ級の相手だって事かい!?」

 魔人四天王の名前が出てブリティシュは驚きの声を上げる。

 以前に魔人四天王であるケッセルリンクと戦ったが、全く相手になっていなかった。

 そのケッセルリンク級の相手をなれば、無策で戦うなど無謀極まりない。

「………」

 メガラスはランスを見ると、その顔の奥の目がギラリと光り、ランスは反射的に剣を構えた。

 

 ガンッ!

 

 無敵結界と剣がぶつかる音がすると同時にランスが吹き飛ばされる。

「メガラス!?」

 突然の行動にスラルは驚きの声を上げる。

 まさかあのメガラスが突然襲い掛かってくるなど考えもしなかった。

 ランスは素早く起き上がると、

「何をしやが」

 怒鳴り声を上げようとし―――その剣でメガラスの攻撃を防ぐ。

 その素早さは正に神速。

 そう、メガラスこそがこの世界で最速と称される魔人なのだ。

 ランスがその攻撃を防げたのは本能からくる行動だった。

「ランス!」

「ランス殿!」

 ランスの仲間達がランスを助けるべく一斉に動く。

 しかし、メガラスはランスからあっさり離れると宙に浮かぶ。

「空を飛ぶ魔人…あの魔人ハウゼルと同じか」

 ブリティシュは盾を構えて油断なくメガラスを見る。

 その額には既に汗が流れている。

 ブリティシュもまた目の前の魔人が恐るべき強さを持っている存在だと気づいたのだ。

「バケモノが…!」

 お町も目の前に存在する圧倒的な存在感に冷や汗を浮かべる。

 以前のククルククルの一部も圧倒的だったが、お町は特に狙われてはいなかった事と、自分が相手の強さを測れるほどの強さを持っていなかったため分からなかった。

 しかし、成長した今では相手の力量が分かってしまう。

 目の前の存在はあの戯骸すらも大きく上回る存在であると。

「日光!」

「はい!」

 ランスの合図に日光の体が刀に変わる。

 その日光を手に取り、ランスは目の前の魔人を睨む。

 するとランスの臨戦態勢を待っていたかのように、メガラスが動き始めた。

 空高く浮かぶと、猛烈なスピードでランスに突っ込んでくる。

「ランス!」

 ブリティシュがランスの前で盾を構える。

「ぐっ!」

 なんとメガラスは本当にそのまま突っ込んできたのだ。

 だが、その威力は単純だが非常に高い。

 何しろ世界最速のスピードなのだ、そんなものが突っ込んでこればどうなるかは自明の理だ。

 凄まじい衝撃がブリティシュの体に走り、盾を構えた腕が痺れる。

 まるでバリスタが直撃したような衝撃にブリティシュは吹き飛ばされる。

「ブリティシュ!」

 日光が声を出すが、ブリティシュは起き上がる事が出来ない。

「最初からブリティシュを狙ってたか」

 レンはメガラスの狙いに気づく。

 最初からメガラスはブリティシュを行動不能するように動いたのだ。

「とー-----っ!」

 ランスが日光を片手にメガラスに斬りかかる。

 メガラスはヒット&アウェイを取り、直ぐ様にランスから離れる。

 無敵結界を持つはずの魔人だが、メガラスは明らかに警戒をしているように見える。

「ランス、メガラスは無敵結界を持っていない頃からの魔人だ。それも魔王アベルと戦っていたらしい」

「ホルスってそんな昔から居たのか」

 ランスはホルス達と出会い、遺跡で共に冒険をしている途中だった。

 その時のホルスはランスが倒したのだが、そのホルスとはまさにレベルが違う。

 以前に戦った時よりも遥かに相手が強く感じる。

 いや、これこそが本当のメガラスなのだろう。

 ランスがそう考えている途中でもメガラスはランスに襲い掛かる。

「どわああああ!?」

 それはまさに爆撃のような一撃だ。

 メガラスは空中からランス達に襲い掛かり、地上に着弾するのと同時に直ぐに上空に浮き上がる。

 それを繰り返す事でランス達に攻撃をしているのだ。

「ちょ…洒落にならないわよ!」

 流石のレンもこれ程のスピードで攻撃されれば中々防御出来ない。

 しかもまだメガラスの無敵結界を斬れていないので、カウンターも行う事が出来ない。

 天使の力を使えばダメージを与えられるが、レン自身まだそこまで力を上手く扱う事が出来ていない。

「調子に乗るんじゃねーーー!!」

 だが当然ランスもそのままやられっぱなしという事は無い。

 メガラスが突撃してきた瞬間を見切り、日光でその体を斬る。

「…!」

 無敵結界が割れる音がして、メガラスの体に薄い傷が出来る。

「チッ!」

 ランスは自分の攻撃が相手の薄皮一枚しか斬れなかった事に舌打ちする。

 対するメガラスは薄らと流れる自分の血を見る。

 自身の血を見たのはあの時ラ・バスワルドと戦った時以来だろう。

 しかもそれを人間がやってきた…メガラスにも驚きだ。

 無敵結界が破られる力が出来たのは知っていたが、実際に経験するのとでは話が違う。

 更には自分に対する殺意のような物を感じ取り、メガラスはその表情の見えない顔の奥で警戒を強める。

 そう、メガラスは相手が人間だろうが魔人だろうが決して侮らない。

 見知らぬ世界に不時着し、この世界の絶対的な王と死闘を繰り広げ、その力を認められ仲間のホルスに手を出さない事を条件に魔人となった。

 この世界の支配者の階級に有りながら、メガラスの心は昔と変わっていない。

「………行くぞ!」

 メガラスの小さいがハッキリとした声が響く。

 メガラスは超スピードでランスに襲い掛かる。

「ぐっ!」

 その衝撃にはランスも思わずよろけるが、そこをレンが上手くカバーする。

「この…エンジェルカッター!」

 何とかメガラスと距離を取って魔法を放つ。

 が、魔法を放った時には既にレンの視界にメガラスは居ない。

 魔法は確かに絶対に命中するという性質を持っているが、魔法を放つ前に射程外に移動されたり、その視界から切れれば当たらない。

 そんなメガラスの速度はやはり異常だと言えた。

「………」

 メガラスが超スピードでランス達を翻弄する。

 流石のランスもここまでの速度で迫られるとは思わなかった。

 ランスも知らない魔人ではあったが、まさかここまでの強さを持っているとは思わなかった。

 間違いなく、LP期で戦ったカミーラよりも強い。

「ランス殿! 落ち着いて下さい!」

 日光はランスをまず落ち着かせるようにする。

 ここまで心が乱れていては、本来の意味で刀を扱いこなす事など出来ない、と日光は思っている。

「どわっ!?」

 メガラスがランスの側を通り過ぎるだけで凄まじい風圧、そして風の刃が襲い掛かる。

 風の刃はランスの体を傷つけ、体力を確実に奪っていく。

 それが何度も何度も襲ってくるのだから、ランスとしてはたまったものではない。

 そして凄まじい体力を持っている魔人が繰り出してくる。

「ぬぐぐ…!」

 ランスは呻くが、そんな事をしても事態は収拾しない。

「メガラスが敵になるとこんなにも面倒だとはな…!」

 スラルもランスの剣の中でメガラスの強さを感じ取っていた。

 強いとは思っていたが、まさかここまでの強さを持っているとは予想もしていなかった。

 メガラスは一度攻撃の手を緩め、上空でランスの動きを注視しているようだった。

「何という魔人じゃ…ここまでの強さだとは…!」

 お町は倒れたブリティシュを介抱しながら唇を噛む。

 強くなったとは思っていたが、やはり魔人の強さは別格だ。

「ランス殿、気持ちを落ち着けるんです。刀とはそうする事で力を発揮します」

「別に慌てとらんわ! まあ厄介な奴だとは思うが」

 攻撃が一度止んだ事でランスも落ち着きを取り戻す。

 この魔人は今までの魔人とは勝手が違う。

 とにかく速い…これまでは力が強い、魔力が強い、硬いなど色々な存在がいた。

 しかし、この魔人メガラスはランスにとっては厄介な魔人だった。

 人間に対する油断が無い上に、無敵結界に頼っていない。

「メガラスは無敵結界が無い頃からの魔人だ。それを頼る戦い方をしないようだな。カミーラとは訳が違うぞ」

「フン、速いだけだ。そんなもんで俺が負ける訳が無いだろうが」

(とは言うが、こいつは普通に強いぞ)

 ランスもメガラスの強さが無敵結界や特殊能力だけにあるとは思っていない。

 この魔人は戦い方が非常に巧みで上手い。

 そして相手が人間だからといって決して油断をしていない。

 カオスを持っていても油断しまくりだった魔人とは根本的に違う。

 恐らくは無敵結界を持っていない頃からの魔人で、ランスと会うまで怠惰だったカミーラとは違うという事だろう。

 ランスの考えを断ち切るかのようにメガラスは動き出した。

 日光を構えてランスはメガラスを迎え撃つ―――のでは無く、ランスはメガラスに突っ込んでいく。

「ランス!?」

 ランスの行動にレンは驚くが、それではメガラスは止まらない。

 そしてメガラスがランスにぶつかると思った時、ランスの刀はメガラスの甲殻に食い込んだ。

「!」

「がはははは! お前の動きはもう見切ったわ!」

 ランスはそのままメガラスの体を断ち切ろうとするが、メガラスは直ぐにランスから距離を取る。

「ランス! まさかメガラスの動きを!?」

「フン、いくら早かろうが襲ってくるタイミングが分かれば余裕だ余裕」

 ランスはあっさりとそう言うが、同じ剣士である日光はそのランスの反射速度には驚いていた。

 確かに何度もメガラスに攻撃はされてはいるが、こんなにも早くメガラスの動きに対応するとは思わなかった。

 ただ、ランスにとっても日光にとっても予想外だったのは、メガラスの体の硬さだろう。

「しかし浅いです。致命傷には程遠いでしょう」

「フン、意外と勘のいい奴だ」

 ランスは日光を持っており、尚且つ完璧にカウンターが入ったと思ったが、直前でメガラスがそのスピードを減速させたのだ。

 高スピードで動いているのだから、そう簡単にスピードを落とせないと思っていたのだが、メガラスはそれが出来るようだ。

 メガラスは自分の傷をなぞると、再び宙に浮きあがる。

「また飛んだか。やっぱ厄介だな」

「そうね。でもここじゃあ地面に落とすなんて出来ないわね」

 流石にここではメガラスが宙に浮くのを邪魔するものはない。

 ハウゼルのように高威力の遠距離攻撃は無いが、単純にハウゼルよりも全ての能力が高い。

 魔人四天王に匹敵するという力は本当のようで、ランスとしても最大限に警戒する。

 そしてランスも相手の動きに対応できたことで冷静になってきた。

「ランス殿。今こそ居合です。あの速度で動く相手にはそれしか無いかと」

「フン、俺様なら何でも出来るから問題無い」

 ランスは日光を鞘に納める。

 日光の居合についてはランスも散々見てきた。

 練習など全くしていないが、不思議と前々から居合を知っていたかのようにしっくり来た。

 メガラスはランスが何をしようとしているか全く分からない。

 だが、ランスから感じる気配を感じ取り最大限に警戒する。

 しかし、それでもメガラスは全く退かなかった。

 それはメガラスが魔王アベルに対しても一歩も退かない性格から来たのか、それともアベルによって与えられた魔王の血が騒いだのかもしれない。

「…行くぞ」

 メガラスは誰に言うでも無く短く呟くと、自身の持つ必殺の一撃を放つ。

 それはハイスピードというメガラスの必殺の一撃。

 それが直撃すれば魔人でも多大なダメージを受けるであろう一撃。

 以前にランス相手に使ったが、魔王スラルに生け捕りにするように言われていたので手加減をした。

 だが、今回は手加減無しにその一撃を放つ。

 それはまさに神速、先程よりも遥かに速く、そして凄まじい攻撃なのはランスにも分かる。

 今までのランスならば無理に迎え撃つなんて事はしなかったかもしれない。

 だが、スラルに言われた言葉と、自分が藤原石丸に劣ると言われた事に対する意地がある。

 ランスはそれだけ藤原石丸が嫌いだった。

 だが、そんなランスの感情と日光を好きに出来るという欲望、それがランスを駆り立てていた。

 ランスの顔には自然に笑みが浮かんでいた。

 今のランスには確信がある…そう、今なら自分の殻を破れると感じていた。

 ランスの集中力が極限に達した時、ランスの目には目ガラスの動きがハッキリと分かった。

 そのタイミングに合わせて、ランスは刀を抜く。

「ランス殿、早い!」

 しかし、そのタイミングは明らかに速く、このままではランスが無防備になると思った。

 だが、ランスにはこれこそがベストなタイミングだった。

 ランスの居合が斬ったのはメガラスでは無く、空間。

 ラ・バスワルドの力を見てランスはこれが使えると確信した。

 何より単純で分かりやすく、ランス好みのなかなか迫力ある格好の良さそうな技になると感じた。

 そしてランスの刀が空間を斬った時、ランスの前の空間が揺らぐ。

「!」

 それを感じ取りスラルはランスの剣の中で驚愕する。

 ランスが出来ると言っていたが、まさか本当にやるだなんてスラルには想像もしていなかった。

 しかし―――メガラスもまた正しく『化物』と呼べる魔人だった。

 何かを感じ取ったのか、ランスが削り取った空間の前で突如として方向を変えた。

 それはメガラスの戦士としての本能だったのかもしれない。

「馬鹿な…!?」

 日光はメガラスの動きを見て驚愕する。

 日光もランスが何かをしたのには気づいたが、魔人はそれを察知して避けたのだ。

 そしてランスに向かって突っ込んでくる。

「いい加減にしやがれ!」

 だが、ランスもまたそれに反応していた。

 ランスは日光を地面に突き刺すと、そのまま黒い剣を抜き放つ。

 それはメガラスとぶつかり合いランスが吹き飛ばされる―――と日光は思っていた。

 だが、ランスはそのメガラスのスピードを完全にいなしてその勢いをずらす。

 空中で態勢が崩れたメガラスは地面にへとぶつかり、それが一瞬の隙となる。

「ラーンスあたたたー-----っく!!!」

 その隙を逃さずランスが必殺の一撃を放つ。

 メガラスには避けるタイミングは無いと日光は思ったが、何とメガラスは迷うことなくランスへと突っ込んで行った。

 それにはランスも驚くが、一度はなった技は止められない。

 そしてランスとメガラスが互いにぶつかり、二人は同時に吹き飛ばされる。

「ぐはっ!」

 流石のランスもその衝撃には吐血して倒れる。

 あまりの衝撃と、ランスの鎧が壊れていた事もありランスに大きなダメージを与えていた。

「ランス!」

 レンは急いでランスの側に行くと、直ぐに回復魔法をかける。

 ランスの傷は止まるが、流石にその衝撃の後ではランスもまだ立てずにいた。

「メガラス!」

 スラルは動けない自分に苛立ちかつての部下に怒鳴り声を上げる。

 ランスと同じ衝撃を味わったメガラスだが、直ぐに立ち上がりランスを見ている。

 メガラスも無傷では無く、その頭部の甲殻には亀裂が走り、肩の部分が大きく抉れている。

 そこからは夥しい血が流れているが、メガラスは倒れる気配は無い。

 ランスも何とか立ち上がり再びメガラスと対峙する。

 だが、突如としてメガラスから戦意が消える。

「橋を渡れ。そこにサイゼルは居る」

 そうとだけ言うと再び宙を舞って何処かへと行ってしまった。

「…何だアイツ」

 ランスはそんなメガラスを警戒しながらも剣を収める。

「ランス殿! 大丈夫ですか!?」

 刀から人間の姿に戻った日光が走って来る。

「…疲れたぞ」

 ランスは大きくため息をついてそのまま日光にもたれ掛る。

 日光はランスの体を支えるが、その体からは確かな疲労を感じ取る。

 それだけあの魔人の強さは凄まじいものだったのだろう。

「ランス…殻を破ったな。しかもこんなにも早く」

「俺は天才だからな。出来ん事は無い…が、なんか嫌な予感がするぞ」

 ランスの疲労はメガラスとの戦い以外の疲労感と体の痛みがある。

 そう、ランスはこの痛みをかつて経験していた。

「こんなのは闘神都市以来だな」

 ランスはそう口にしてから意識を失った。

 

 

 

 メガラスは己の住処に戻る途中で傷口を見る。

「………」

 まさか自分がこれ程までに人間に傷つけられるとは思っても居なかった。

 メガラスはランスとの戦いで本気をだしてはいない。

 自身の持つ力を封じ、純粋な己の肉体だけで戦った。

 だが、それでもあの人間は自分に食いついてきた。

「………」

 メガラスはその傷に触れながら、自分と同じ魔人ケッセルリンクの言葉を思い出す。

 今回ハウゼルの依頼を受けた裏には、ケッセルリンクの言葉があった。

『メガラス、君に頼みがある』

 メガラスはケッセルリンクの言葉に何も答えなかった。

 ケッセルリンクは一方的にメガラスに話しかける。

『ハウゼルから奇妙な依頼が君にあると思う。その時に、ランスと戦って欲しい』

 ケッセルリンクの言葉にメガラスは何も答えないが、それでも彼女は言葉を続けた。

『ランスは己の力に悩んでいると聞く。ランスは逆境の中でこそ力を発揮する男だ。君と戦えばきっとその答えを見つけられると思っている』

 メガラスは眼光を細めるのを見て、ケッセルリンクは少し手応えを感じる。

『決して殺さないで欲しいが…ある意味であいつを追い詰めて欲しい。頼む、メガラス』

 そして魔人ケッセルリンクはメガラスに頭を下げる。

 ケッセルリンクはメガラスより若いが、今では格上の魔人と言ってもいい。

 そんなケッセルリンクがメガラスに頭を下げたのだ。

『………全力でいいのか』

 メガラスが口を開いた事にケッセルリンクは目を見開いて驚く。

『ああ。それくらいしなければランスには伝わらない』

 

 ケッセルリンクの言う通り、あの人間は確かに凄まじい力を発揮した。

 自分があの男の何かを避けれたのは本当に幸運だった。

 完全には避けられず、右肩を抉られてしまった。

 奇妙な傷跡だが、魔人であるメガラスならば少し休んでいれば治る。

 メガラスは改めて移動を始めた時、

「ぴよーーーーーーっ!」

 メガラスの前に一体のひよこが現れる。

「…」

 メガラスはそのひよこを見てその感情が読めない甲殻の下で眼光を輝かせる。

 そんなメガラスを挑発するように、ひよこ―――マッハピヨは凄まじい速度で移動を始める。

 メガラスもまたそのマッハピヨを追い、凄まじい速度で移動を始めるのだった。




メガラスってLPカミーラより強いらしいからとんでもないですよね
シナリオ的にも便利過ぎて消されたのかなあ…

ルド大陸のホルスとイブニクルホルスは違うようなのですが、以前にフォース使っちゃったので
そのまま突き進むしか無いです
メガラスがどんな攻撃するのか分からないからなあ…
挑戦モードでも良いからメガラスと戦ってみたかったなあ

戦国ランスMOD、もう無理やん
手元に無かったからどっちにしろ出来ないけど…本当に惜しいです
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