ランス再び   作:メケネコ

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運命の女?

 ランスの新たな剣―――何故か突如と増えた二振りの剣。

 紅に染まったグレートソード並みの大きさの剣、そして蒼く染まった刀。

 その二つの剣の使ってランスは新たな剣技を生み出そうとしていた。

 そしてその手にはクエルプランから与えられた腕輪が嵌められている。

「とーーーーーっ!!」

 ランスの剣がモンスターを斬り裂く。

 その斬り裂かれたモンスターは、斬られたというよりも砕かれるように倒れる。

 そして刀で斬られたモンスターは凄まじい斬れ味で真っ二つになる。

 その相反する剣と技はまさに異質と言えた。

「バケモノじゃな」

 お町の言葉は今のランスを端的に表していた。

「…あんな人間が居るなんてね」

 サイゼルもランスの剣には今更ながら驚愕していた。

 剣に疎いサイゼルにはランスが何をやっているのかさっぱり分からない。

「剣だけではありません。その足運びが凄まじいのです」

 日光はランスの剣だけでなく、その動き方の異常性を注目する。

 刀を使った侍と、大陸の剣を使った剣士では動きが全く違う。

 それなのにランスはその両方の動きを完璧…いや、それを完璧と言っていいのか分からない。

 二つの異なる動きと剣捌きをしているというのに、ランスの動きは全く乱れていないのだ。

 それは剣が優れているとか動きに無駄が無いというレベルではない。

「多分やれと言われても誰も出来ないだろうね。こんなのを出来るのは彼だけだ」

 ブリティシュもランスの動きを見て熱い眼差しを向ける。

 そこにあるのは尊敬、そして憧れの感情が混じっている。

「前から強かったけど、今は更に強くなったわね」

 レンも感心したようにランスを見ている。

 前から強い強いとは思っていたが、もうその強さは完全に人の領域から抜け出そうとしていた。

 それこそがLV3技能という持ち主のある意味宿命なのかもしれない。

「がはははは! 余裕だな」

「そうだな。お前の剣のスタイルがようやく確立してきたという事でもあるな」

 ランスの剣の中に居るスラルが一番ランスの剣の事を理解している。

 それももう技が優れているとかいう問題ではない。

 ランスにしか出来ない剣だ。

 今のランスには恐らくは死角が存在しない…それを思わせるくらいにランスは圧倒的だった。

「それに剣の力も上がっているな。斬った痕を見れば分かる」

 スラルは倒れているモンスターを見る。

 ランスの剣に斬られたモンスターは砕かれたような無残な死体となっている。

 さらにはその傷跡は一部は炭化してしまっている程だ。

 ランスの剣はランスには影響の無いレベルの炎を纏っていると考えられる。

 そして刀で斬られたモンスターは恐ろしい程鋭利に切断されている。

 その刀には恐ろしい程の冷気が宿っているのか、一部の敵は切断面が凍り付いてしまっている。

 相反する二つの剣…それが今のランスの技術だ。

「だが、それでも魔人と相対するのならば話は別になるがな」

「フン、別に魔人とタイマンする必要など無いだろ。勝てる時に勝てばいいだけだ」

「確かにそうだ。お前のそういう考えは我は好きだ」

 スラルは元々は臆病が故に無敵結界を願った魔王。

 だからこそランスの徹底して相手を叩く戦い方は気に入っている。

 ある意味恐ろしいまでに現実を見据えている、そんな所にスラルは共感を覚えていた。

 無茶はするが無理はしない、それがランスという男なのだ。

「ランス、そろそろ移動しましょうか」

「そうだな。おいサイゼル、その辺を見て来い」

「私に命令しないでよ」

 ランスの言葉にサイゼルは嫌な顔をする。

 魔人のプライドがランスの言葉に反発をするのは当然だ。

「魔人のくせにタダで飯を食う気か。飯代くらいは働け」

「全く…魔人を顎で使うだなんていい度胸してるわね」

 サイゼルはそう言いながらも空を飛んで周囲を見渡しに行った。

「やっぱり空を飛べるのは便利だな。あ、そうだ。パイアールに会ったらアレを作らせるか」

「…あんまり魔人にホイホイアイテムを作らせるのもどうかと思うけどね」

 ランスの言葉にレンが苦い顔をする。

 パイアールは魔人なので人間がどうこう出来る存在では無いが、その魔人が作ったアイテムをホイホイと所持するのはある意味で問題ではある。

 パイアールの技術は間違いなくバランスブレイカーだ。

 ただ、それがバランスブレイカー認定されるかと言うと微妙なラインだ。

 何しろパイアールは魔人であり、何も無ければ永遠に生きるのが約束された存在だ。

 そんなのをAL教が封印できるとは思えないし、そもそも神も動かないだろう。

「何か問題でもあるのか。マリアでも作れる物だぞ」

「そのマリアって誰か分からないから私は何も言えないんだけど…」

「…あ、そうか。あの時はマリアは居なかったからな」

 レンともう一人のエンジェルナイトが襲撃してきた時、マリアはその場には居なかった。

 なのでレンはマリアがどういう人物なのかは分からない。

「なんつったかな…名前は忘れたが、とにかく遠くを見れる道具だ」

「…まあそれくらいならいいか」

 遠くを見れるアイテムとなればバランスブレイカーには当たらないだろう。

 魔法ハウスもマジックアイテムだから問題は無いが、ただ一つ問題となるアイテムがバイクだ。

(でも使えるのがランスくらいだから問題は無いと言えば無いか)

 レンもバイクを使おうとしたが、全く上手く出来なかった。

 それは日光も同じで、どう使っていいか見当もつかない。

 ただ、ランスはその使い方を本能で理解しているようで、これまで事故を起こした事は一度も無い。

「それで、新しい技の方はどうなのじゃ? 我は剣についてはからっきしなのでよう分からぬが」

 お町の言葉にランスの顔が少し不機嫌になる。

 それを見てお町は察する。

「…そうか。お主程の腕でもそう上手くはいかぬか」

「そんな事は無い。必ず完成させてやる」

 そう言うランスだが、やはり難しいものは難しい。

 鬼畜アタックも完成までには時間がかかった。

 その鬼畜アタックよりも遥かに難易度が高い技なのだから、そんな簡単に完成出来る訳が無いはランス自身がよく分かっている。

 しかも経験値が犠牲になる可能性が非常に高いので、ランスとしても少し腰が引けているのも事実だ。

「レベルを上げれば安定すると思うがな。ただ、いかんせんそのレベルを上げるのが大変という事実があるからな」

「幸福きゃんきゃんが出てくれば話は早いのですがね…」

 膨大な経験値を持っている幸福きゃんきゃんはレアなモンスターだ。

 そんな簡単に出会える物でも無い。

 ランス達が話していると、サイゼルが空から戻って来る。

「特に誰も居なかったわよ。ほら、早く行きましょ」

「む、そうか。よーし、とっとと行くぞ」

 サイゼルの言葉を受けて、ランスはカラーの森へと進んで行く。

 魔軍の動きは無く、モンスターも少ないのでスムーズに進むことが出来る。

 夜にはサイゼルを、レンを、日光とセックスをする。

 ランスにとっては何時もの日常で、満足もしていた。

 そしてとうとうランス達はカラーの森へとたどり着いた。

 カラーの森は相変わらずであり、特に変化は見られない。

 ランス達は森の中に入っていく。

「相変わらずこの森は変わらんな」

「そうね。でも変わらないから分かりやすいけどね」

 レンは道を完全に覚えているようで、迷うことなく森の中を進んで行く。

 進んで行くと、ランスが森の中に視線を向ける。

「居るな」

「え? そうなのかい?」

 ランスの言葉にブリティシュが驚く。

「ランス殿…何が居るのですか」

「ここに居るのはカラーしかいないだろうが。おい! ハンティは居るか!」

 そう言うランスだったが、特に返事は無い。

 無い、と思っていたら突如として無数の矢がランス達に向かって飛んでくる。

 ランスは刀を抜くとあっという間に飛んできた矢を弾き飛ばす。

 レンとブリティシュも盾を構えて矢を防ぐ。

「何やってんだいアンタ達! コイツ等は大丈夫だよ!」

 矢を防いでいると、突如として声が響き渡る。

 同時にランスの側に黒髪のカラーが現れる。

「久しぶりだね、ランス。ほら、アンタ達も止めなさい」

 ハンティの登場に矢が止まる。

 そして恐る恐るといった感じでカラーが現れる。

「何かあったのか。随分殺気立ってるな」

「まあ色々あるんだよ。魔軍が大人しくなったら今度は人間とも揉め事が起こるって事さ」

 ランスの言葉にハンティも難しい声をする。

 人間とカラーの関係は本当に難しい状況だ。

 何しろ人間からすればカラーは犯した上で金になる存在なのだ。

「あ、そういえばウトスカはどうなった」

「それも踏まえて話しておくよ。ああ、でもこいつは魔人で…ハウゼルに似てるけど、そいつがサイゼルかい」

 ハンティの言葉にサイゼルは少し微妙な顔をする。

「ああ…ハウゼル、本当にカラーの所に居たんだ」

 ハウゼルからカラーの所に一時期居たとは聞いていた。

 魔人がカラーと親しくするのはどうかと思わなくは無かったが、自分ももう妹の事とは言えない。

「まあ案内するよ。と、言ってもアンタ達が知ってる奴はもう少ないけどね」

「そうか。まあ結構時間経ってたしな」

「とりあえず案内するよ。ホラ、アンタ達もそんなに警戒しなくてもいいよ」

 ハンティの言葉にカラー達が木から降りてくる。

 その視線は、以前のような好意的な視線とは違い懐疑的だ。

「何かあったのか」

「それも含めて説明するよ。ただ、前と違って結構距離は開くと思うけどね」

 ハンティも少し疲れた声をだす。

 どうやら大きな出来事があったようだ。

 そしてカラーの村…ペンシルカウにつくが、やはりそこは以前とは少し雰囲気が違っていた。

 カラー達は警戒心が強いようで、遠巻きにランス達を見ていた。

「こっちだよ。魔法ハウスを広げられるスペースはあるさ」

 ハンティに案内され、ランスは魔法ハウスを広げる。

 すると一部のカラーがランス達に近づいてきた。

「久しぶりです、ランスさん」

「おお、リディア。お前まだ生きてたのか」

「カラーの寿命は長いですからね。幸いにも私はここまで生き残れました」

「そうなのか」

「それも含めて全部話すよ。ま、中で話せばいいさ」

 そう言ってハンティは魔法ハウスの中に入っていく。

 ランス達も魔法ハウスの中に入り、それぞれ椅子に座る。

「さて…聞きたい事があるだろうけど、まず何から知りたい?」

「まずウトスカはどうなった。アレから戻って来たのか」

 ランスが気になったのはウトスカの身の安否だ。

 何しろ彼女はランス達を逃がすため、一人魔王の居る所に残った。

 普通に考えればもう殺されていると思うのが自然だ。

「ああ、ウトスカは戻って来たよ。魔王から見逃されたって」

「そうですか…良かった」

 ウトスカが無事に戻ったと聞いて、日光は安堵のため息をつく。

 ブリティシュもその顔に笑顔が浮かんでいた。

「じゃあ何でウトスカが顔を見せてないんだ」

「寿命だよ。ウトスカは結構年齢がいってたんだよ」

「…そうか」

 ハンティの言葉を聞いてランスは残念そうな声を出す。

 結局ウトスカとはやれなかった。

 だが、その別れもまた必然なので受け入れる以外に方法は無い。

 ランスが何をしようとも、時間に関してはもうどうしようもない。

「で、どうしてカラーがあんなに殺気立ってるの? 前とは空気が大分違うけど」

「魔軍がこちらに来ることは無くなったのですが…その代わり人間達がここに来るようになってしまって…」

 レンの言葉にリディアが答える。

 その顔にあるのは純粋な悲しみだ。

「その時にカラーにも少ないですが犠牲が出ました。私も呪いをかけたのですが…特に効果は無かったようで」

「そういう事をする専用の人間が居るのさ」

 ハンティも苦々しい顔をしている。

「ハンティ。お前でも止められんのか」

「私は一人。出来る事には限界があるさ。私が居ないときに来られたらもうどうしようもないさ」

「そうか。じゃあ俺がそいつらをぶっ殺してきてやる。そいつらは何処にいる」

 ランスの言葉にブリティシュは驚く。

「落ち着いて下さい、ランス殿。ここでその人間と争っても…」

「いいや、そういう事をする奴はまた直ぐに同じことをやる。だったら徹底的にぶっ潰すだけだ」

 日光の言葉にもランスはあっさりと言い放つ。

 ランスは本気でそう言っており、やる時は絶対にやる人間だと日光は思い知っている。

「…ランス殿の気持ちは分かります。ですが人間同士で争うのは」

「そんな連中は生かしておく意味は無いだろ。大体そいつらを生かしておいたせいでカラーが絶滅したらお前は責任を取れるのか」

「そ、それは…」

 ランスの言っている事は極論だが、同時に今のカラーがどれだけ危ういかという事実でもある。

「やるならやるでいいけどね。でも連中が何処から来たのか私も知らないんだよ」

「む、そうか。なら面倒くさいな。まあクリスタルの事を調べてれば分かるだろ」

「落ち着きなさいよ。それよりも目的を見失うんじゃ無いわよ」

 レンの言葉にランスは少し悩む。

 カラーの事も気になるが、ジルの事も気になる。

 レンの言う通り、目的を見失う訳にはいかない。

「まあいい。それよりもメディウサはどうなったんだ」

 ランスはもう一つ気になった事を聞いてみる。

 メディウサに呪いをかけたのは確かだが、あれから既に長い時間も経過している。

 カラーの呪いは一体何年続くのかランスも知らない。

 もしかしたらもう呪いが解けているかもしれない。

 ならば今度こそ本気であのクソ蛇を殺さなければならないとランスは考えている。

「メディウサの呪いに関してはまだ続いているよ。ケッセルリンクから聞いたし間違いない。実際、あれから魔軍は近寄ってこないからね」

「ならいい。実際あいつはどうなったんだ」

「それはね…」

 

 

 

「あああああああああああ!」

 魔人メディウサは血塗れの部屋で暴れていた。

 そこには無残に引き裂かれた女の子モンスターの死体が転がっていた。

 その中にはやはり無残に殺されている人間の女の姿もある。

 昔のメディウサならその光景を見て愉悦の笑みを浮かべていただろう。

 だが、今のメディウサにあるのは苦痛と恐怖だ。

「人間め…カラーめ…!!」

 怒りで血走った目でメディウサは死体を踏みつける。

 あの時に起こった事はメディウサにとっては屈辱だった。

 そして自分の立場を思い知らされた瞬間だった。

 自分は魔王に目をかけられていると思っていたが、実際には自分はただの釣餌でしか無かった。

 自分に対して全くの無関心どころか、カラーの呪いも事も無視された。

 ケッセルリンクを頼ろうとしたが、自分がカラーを襲っていた事から明確に拒否をされた。

 それどころかカラーを狙った場合は、ケッセルリンクが自動的に敵になる事を明言された。

 おかげで呪いを解くためにカラーを拐う事すらも許されない。

 呪いは今もメディウサを蝕んでおり、そこにあるのは絶対の苦痛と絶望だった。

 あの時人間が言っていたのは『女に欲情しなくなる』という事だった。

 そしてそれは本当で、事実今でも女を相手に全く興奮しない。

 こうして女の子モンスターと、密かに集めていた人間を惨殺したのは唯の憂さ晴らしだ。

 魔人の本能からか、惨殺するとスッキリとはするのだが、女の悲鳴を聞くと非常に鬱陶しくて頭が痛くなる。

 もう女という存在そのものが煩わしく思う程に、カラーの呪いはメディウサを蝕んでいた。

「あの人間…!」

 メディウサの頭の中にあるのは自分の股間の蛇を斬り落としたあの人間。

 その人間の事は許せないが、もう生きてはいない。

 恨みのぶつけ所はもう存在しないのだ。

 事実は違うのだが、メディウサにとってはあの時の男は人間だ。

 もうとっくに寿命で死んでいて当然だ。

 それを思うと悔しくて仕方が無い。

 メディウサの視点からすれば勝ち逃げをされたのだから当然だ。

「何とか…何とかしないと…」

 メディウサは呪いを何とか解こうと、それこそ死に物狂いだった。

 

 

 

「呪いは今でも継続しているみたいでね。相当に荒れてるみたいだよ。でもカラーには手を出してこない所を見ると…相応の抑止力があるんだろうね」

 ハンティはそう言って意味深にランスを見る。

 勿論ハンティは全てを知っており、ケッセルリンクが自分達を守ってくれている事を知っている。

 ただ、それは魔人に対してであり、人間に対してではない。

 人間が相手ではケッセルリンクも思うように動けないのが現実だ。

「で、今回は何の用事で来たんだい?」

「別に。カラーがどうなってるか見に来ただけだ。まああまりいい状態では無いらしいがな」

 ランスの言葉にハンティは思わず笑う。

 リディアや、ランス達に好意的なカラーも安心したように笑う。

 人間に対して排他的にならざるを得ないカラーにとっては、カラー寄りで考えてくれるランスの存在は有難い。

「あとケッセルリンクの所にな」

「そうかい。まあ今はちょっとここもピリピリしてるからね…」

 ハンティとしてはランスの申し出は有難いが、カラー全体としては少し微妙なラインだ。

 人間に対する不信感はそう簡単に拭えるものでは無い。

「ランスさんが居てくれると助かるんですけど…でも、やっぱり人間は恐ろしいという空気もあるんです」

 リディアは申し訳なさそうに言う。

 今のカラーの里に来るのは時期が悪いとしか言えない。

 何とかしたいが、どうにもならない事もあるのだ。

「まあいい。俺もケッセルリンクの所に行くからな。そんなに時間もとれん」

「そっちも色々と大変そうだね」

 ハンティとしてはやはりカラーの未来を何とかしないといけない。

 ただ、それを打破する方法が思い浮かばない。

(この男が居ればカラーは繁栄するかもしれないけど…この男が死んだと同時に瓦解しそうだしね)

 ランスのカリスマ性と実力は認めているが、頼るのも正直不安だ。

「じゃあ気をつけなよ。人間達の動きもきな臭いしね」

「おう。まあ俺様なら問題無いからな」

 こうしてランスはカラーの所で一晩を過ごす。

 そして次に日の朝―――

「どうしたサイゼル。朝から熱い視線を向けおって」

 サイゼルはランスの事を凝視していた。

「熱い視線って何よ。そんなの向けて無いから。変な夢を見たからちょっと気分が悪いだけ」

 若干困惑した様子でサイゼルは返事をする。

「ふーん。で、どんな夢だ」

「黄色いトリが出てきて運命の相手がどうとか…全く、意味が分からないわよ」

「ほー。お前がな」

 ランスはサイゼルの言葉の意味を理解する。

 つまりは彼女もまたランスの運命の女だという事だ。

「そういう事なら話は早い。行くぞ、サイゼル」

「え? 行くって何処によ。あ、こら腕を掴まないでよ! 本当に何処に行くのよ!?」

「がはははは! 魔人が俺様の運命の相手だというのは初めてだな!」

 ランスは上機嫌で何時もの様に電卓キューブに向かった。

 そしてランスは行く時とは真逆の不機嫌な様子で戻って来る。

「どうしたの? そんなに不機嫌な顔をして」

「うーむ、何故か電卓キューブに入れなかった。条件を満たして無いとか言われてな」

「電卓キューブって…あんたの運命の女とかいうやつ? もしかして相手はサイゼル?」

「その運命の女って何なのよ! 意味が分からないわよ!」

 サイゼルも何処か不機嫌な様子で怒鳴っている。

 電卓キューブに連れていかれたのだが、結局無駄足に終わってしまった。

 ただ、サイゼルが不機嫌なのはそれだけでは無いのだが。

「意味が分からないな。条件とは一体何なのか…」

 スラルもランスの剣の中で電卓キューブに入った事はあったが、今回のような事は初めてだ。

 そもそも中に入るのに条件が必要だというのが謎だ。

「分からん。分からんものは考えても仕方ない。まあその内分かるだろ」

 ランスは気楽に考える。

 とにかく運命の相手だという事が分かったのだから、慌てる必要は無い。

「あ、そうだ。ケッセルリンクの所に行くんでしょ? だったら私はそろそろ帰るから」

「む、何でだ」

「何でも何も…魔王に睨まれる可能性があるからに決まってるでしょ! 私とハウゼルは魔王から睨まれてるみたいなのよね…理由は知らないけど」

 サイゼルはジルからの視線には当然の事ながら気づいていた。

 自分達を監視しているような気がしてならないのだ。

 それはサイゼルの気のせいなのだが、そんなのは本人にしか分からない事なので無理は無いだろう。

「それにそろそろハウゼルにも会いたいしね…色々あったし」

「ふーんそうか。じゃあ最後にズバッと…」

「却下! 私はもう行くわ。まああんた達の事は誰にも言わないから安心しなさい。それじゃまたね」

 そう言ってサイゼルは空に向かって飛んでいった。

「ケッセルリンクの所に行くか」

「そうだな。とっとと行くぞ」

 

 サイゼルと別れ、ランス達はケッセルリンクの城へと向かって行った。

 カラーの森からそれ程離れていないのでその道のりは何も無い。

「この辺だったか」

「私が覚えているから問題無いわよ」

 レンを先頭にランス達は歩いて行く。

「それにしても魔人ケッセルリンクと知り合いだったのかい」

「そうだ。あいつは俺の女だから変な目で見るなよ」

「…あの魔人ケッセルリンクがかい」

 ブリティシュはケッセルリンクと一度会った事がある。

 無敵結界を使わずに戦ったのだが、全く相手にならなかった。

 彼女こそ、魔人の中でも頂点に近い存在…魔人四天王の名は伊達では無いと思い知らされた瞬間だった。

 その魔人と深い関係と言われてもにわかには信じられない。

「本当ですよ。信じられないでしょうが」

「…日光までそう言うのなら、本当なんだろうね」

「まあ信じられないのも無理は無いと思うがな。我も最初は目を疑った」

 お町も一度だけケッセルリンクにあった事がある。

 その時はその圧倒的な存在感に身が震えたものだ。

 ランス達が歩いて行くと、そこに一つの城が現れる。

 そして複数のメイドが城の中から出てくる。

「ようこそいらっしゃいました。ランス様」

「ランスさん久しぶりー」

「おう、エルシール、加奈代。久しぶりだな」

 メイド達は親し気にランスに声をかけてくる。

 ランスも当たり前のように彼女に接する。

「彼女達は…使徒かい?」

「そうです。魔人ケッセルリンクの使徒です」

「どうぞ。ケッセルリンク様もお待ちになっています」

 メイド達は恭しくランス達を迎える。

 そして城の中を進んでいく内に、どんどんと魔人の気配が濃くなっていく。

 その事にブリティシュ、日光、お町は息をのむ。

 だが、ランスは全く気にせずに進んで行く。

 そして扉が開かれた時、そこに一人の女性が椅子に座って居るのが見える。

「久しぶりだな。ケッセルリンク」

「ああ…本当にな」

 ランスの言葉に魔人ケッセルリンクは本当に嬉しそうに微笑んだ。




大変遅れました
シフトの変更もあって色々とバタバタしてました
そして内容も非常に薄い…

そろそろGL期も終わります
さーて、終わる前にまたランス9をプレイしなきゃ
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