ランス再び   作:メケネコ

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進まない特訓

 ケッセルリンクの城はまともな城だった事にブリティシュは驚いた。

 前に訪れたメディウサの城と違い、人間が集めていそうな絵画や装飾品が飾られていた。

 人間が捕らわれていたような痕跡も無く、本当に普通の城だった。

「…ここまで普通だと怖いね」

「気持ちは分かります」

 ブリティシュの言葉に日光は頷く。

 以前に日光もこの城を訪れた事はあったが、日光も同じ感想を思った。

 魔人の城だというのに、ここは本当に『普通』だった。

「ではこちらでお休みください」

 メイド長のエルシールが一礼する。

「ところでランスはどこじゃ」

 お町がここには居ないランスの事を聞く。

 ランスとケッセルリンクとの戦いが終わった後に食事が用意され、そして寝室に案内された。

 ただ、ランスだけはケッセルリンクと共に何処かへと行ってしまった。

「そんなのケッセルリンクの所に決まってるでしょ。ランスがそれ以外の事をすると思う?」

「…まあそうか」

 レンの言葉にお町もため息をつく。

 前から二人の関係は知っているが、今でも信じられない。

 お町にとっては魔人とは非常に恐ろしい存在…何しろあの藤原石丸を殺した魔人ザビエルが基準だった。

 それなのにランスはその魔人とも親しくできる(女限定)。

 そんな事を出来るのはこの広い世界でもランス位のものだろう。

「それにしても…ランスは本当に魔人ともそういう関係になれるんだね。皆の言葉からするとかなり親しいみたいだけど…」

「ええ。先にも言いましたが、ランス様とケッセルリンク様は共に戦った戦友。カラーの時から共に戦い抜いてきた仲ですから」

「これまでの事を考えるとそれが真実なんだろうね…でも共に魔人と戦ったと聞いたけど…」

 ブリティシュが気になったのはそこだ。

 ケッセルリンクが何時から魔人だったのかは知らないが、魔人には無敵結界がある。

 その中でどうやってその魔人と戦ったのか、そこは疑問だった。

「それはケッセルリンク様本人から聞いて下さい。教えてくれるかどうかは分かりませんが…」

 シャロンは複雑な顔をする。

 ランス達がどうやってカラーを襲った魔人を撃退したか…それは当の本人であるケッセルリンクから教えて貰った。

 教えてもらったが、それは全く参考にはならないだろう。

 本当に特別な状況でそうなったのであり、ある意味己のスタイルを貫いたからこその結果なのだ。

「後それと…ランスとケッセルリンクはどういう関係なんだい? まあそういう関係なのは察する事は出来るんだけど…」

 あまりにもケッセルリンクがランスに対して好意的過ぎる、それはブリティシュも分かっていた。

 ただ、どういう経緯でそうなったのか…それに関してはどうしても興味が出てくる。

 ランスに聞いても恐らくは正しい答えは返ってこないだろう。

 レンもスラルもそこは教えてくれそうにない。

「ランスさんとケッセルリンク様の関係は、ずばり恋人同士です」

 それを答えたのは加奈代だった。

「加奈代」

 エルシールが加奈代を窘めるような声を出すが、

「別に言ってもいいんじゃないですか? 日光さんは知っている事ですし」

 加奈代は別に構わないのではないかと言わんばかりに答える。

「………」

 ブリティシュもその答えには驚いたのか、ぽかんと口を開けている。

 そして日光の方を見ると、彼女は真面目な顔で頷いた。

「…それは流石に驚いたかな」

「あ、誤解の無いように言っておきますけど、ケッセルリンク様はカラーの時からランスさんの事が好きだったみたいですからね。そこだけはきちんと覚えておいてくださいね」

「そ、そうなんだ…」

 ブリティシュは本当に複雑な顔をする。

 魔人は全て人類の敵…ではあるのだが、まさかその魔人と恋人同士だとは信じられなかった。

 その関係は魔人になる前からだったようだが、それがもう長い期間続いているとなると、あの魔人のランスに対する想いは本当なのだろう。

「勿論それ以上に複雑な関係でもあります…ですが、それは私達の口から言う事は出来ません」

 パレロアの顔が痛ましいものになる。

 それはあの時の出来事が原因で、それは今でもケッセルリンクを苦しめている。

 ランスはケッセルリンクに対して非難もしないし、それを受け入れているが、ケッセルリンク自身は今も気に病んでいる。

 勿論あの時の出来事はどうしようもない事であり、ケッセルリンクが居ようがいまいが結果は変わらなかっただろう。

 だが、あの時起こった事は今でもケッセルリンクの心を痛めているのだ。

「それではお休みください。ここから出るのは構いませんが、なるべく出ない事をお勧めいたします。ケッセルリンク様には魔人の来客も多いですから」

 エルシールはそう言って皆に一礼すると、そのままメイド達は部屋を出ていった。

「…魔人と恋人同士か。いや、ランスには悪いけどそういう所は想像できなかったなあ」

 ブリティシュは少し気まずそうに頬をかく。

「日光、君も知ってたんだね」

「ええ…申し訳ありません。言っても誰も信じないでしょうし、私としても…」

「ああ、君ならそうするだろうね。でもそうか…ランスには本当に驚かされるね」

「そんな事で驚いてたらあいつとはやっていけんぞ。何しろ奴の行くところには必ず大きなトラブルがあるからな」

 お町も昔にトラブルに巻き込まれた。

 それは正に大きくて壮大で意味が分からない時間だった。

 だが、それを経験したからこそ、お町も己の進むべき道が朧気ながらも見えてきたと思っている。

「レン、お町、悪いけどちょっとの間日光と二人だけにしてくれないかな」

「別に良いわよ」

 ブリティシュの言葉にレンはあっさりと答える。

 お町も特に気にしていないのか、二人はあっさりと部屋を出ていく。

 そして二人だけになって、ブリティシュは少し気まずそうにしながら頭をかく。

「日光、君は納得いっているのかい?」

「納得とは…何がですか?」

「ランスの事さ。ランスが魔人を抱いていると君は少し複雑な顔をしていたからね」

 ブリティシュの指摘に日光は目を見開いた後で顔を伏せる。

「君は…ランスの事が好きなんだろう?」

「…自分に対しては鈍感なのに、人の事は分かるんですね」

 日光はブリティシュに聞こえないように口の中で小さく呟く。

 そして観念したようにため息をつく。

「…ええ、私はランス殿が好きなのだと思います。ですが、今の私はもう人の身ではありません」

 日光は神に願いを叶えて貰った時に人間でなく、聖刀日光となったのだ。

 そんな自分にはもう人の望む幸せは掴めない、そう思っていた。

 そして日光はそれでも良いと思っていた。

 全ては魔人を倒し、魔王の脅威から人類を守るため。

 そのためならば何でもする…その思いでエターナルヒーローと呼ばれた者達は集まったのだ。

「そうか…だったら今の状況は君には辛いのかもしれないね…」

 ブリティシュも日光の苦しい立場は分かる。

 ランスという人間は魔人の殲滅を目的にはしていない。

 女性の魔人を決して殺そうとはしないだろう。

 例外があのメディウサという外道の魔人だ。

「いえ…今の私は聖刀です。私の目的は魔人を倒す事…それは変わりません」

「でもランスは魔人ハウゼルやサイゼル、そしてケッセルリンクを殺すような事はしないだろう」

「それは…そうなのですけどね」

 日光の悩みはランスは絶対に彼女達を害する事は無いという事だ。

 日光にとっては彼女達も敵であり、倒すべき存在なのだが、自分の一番の使い手であるランスは絶対にそれをしないだろう。

 自分を手に戦う事はあっても、決して命を奪う事は無い。

 それはこれまでの付き合いで嫌という程分かっている。

 ただ、その強い意志が有るからこそ、ランスはあの魔人達とも上手くやっていけているのも事実だ。

「難しい話だね…」

 ブリティシュとしても本当に悩ましい問題だ。

 ランスという人間は確かに力も心も強い。

 ただ、間違っても善人では無い…というよりも悪人に近いだろう。

 外道では無いが、人の命を非常に軽く見てる節がある。

 勿論そんな人間は珍しく無いが、ランス程極端な人間もいないだろう。

「君は…いざという時にランスの敵になれるのかい?」

「それは…勿論です。魔王と魔人、それらを倒すのが私の宿命ですから」

 日光の真っ直ぐな目を見て、ブリティシュは一層複雑な顔をする。

(彼女には…ランスと一緒に居た方がいいと思うんだけどね)

 自分達と居た日光と、ランスと居る日光は大分感じが違う。

 ランスに対しては甘い…というよりも、ランスと居ると日光は己をハッキリと曝け出すと言っても良いかもしれない。

 そんな事を感じながら、ブリティシュもまたどうすればいいのか頭を悩ませるのだった。

 

 

 

 そしてランスとケッセルリンクは―――当然のようにセックスをしている。

 特にケッセルリンクはランスに出会えなかった隙間を埋めるように熱烈にランスを求めていた。

 ランスを自分の部屋に案内したと同時に熱烈にその唇を奪い、そしてベッドに押し倒した。

 今はランスの硬くそそり立ったハイパー兵器を胸で包み込み愛撫をしていた。

「…どうだ、ランス」

「うむ、いいぞ」

「そうか」

 ランスが気持ちよさそうな顔をしているのを見て、ケッセルリンクも嬉しそうに微笑む。

 緩やかな愛撫はランスの気分を昂らせるのに十分だ。

 テクニックに乏しく、プロの技とは比べ物にはならないのだが、それでもケッセルリンクが懸命に奉仕をしているという事が大きい。

 ハイパー兵器を愛撫している内に、ケッセルリンクの方がたまらなくなってくる。

 胸で包んでいたハイパー兵器を離すと、そのまま口の中に納めていく。

「ん…ん…」

 時には音を立てて吸い付いてくる感覚にランスは満足感を覚える。

 昔ならこんなまどろっこしい事をせず、即座に挿入して自分本位のセックスをしていただろうが、ランスも禁欲モルルンを経験して大人になった。

 何よりもケッセルリンク程のいい女がここまで自分に尽くしてくれるのは非常に良い気分だ。

「お、いいぞ」

 ランスに頭を撫でられ、ケッセルリンクは微笑む。

 ハイパー兵器を傷つけないように丁寧に、だが激しく刺激を与える。

 自分の唾液とハイパー兵器から溢れる露を躊躇いなく飲み込み、時には軽く甘噛みするように刺激を与えながら懸命に奉仕をする。

 その刺激にランスも満足しているのか、ハイパー兵器が震える。

「出すぞ」

 ランスの短い言葉に全てを察し、ケッセルリンクはハイパー兵器を奥深くまで咥え込む。

 そして喉奥に放たれた液体を躊躇う事無く飲み込んでいく。

 全てを飲み干したケッセルリンクは荒い息をつきながらランスを見る。

「…相変わらず多いな。カラーならば相当に喜びそうだ」

「がはははは! 俺様はカラーからもてもてだからな」

「フフ…違いない」

 ケッセルリンクは昔を思い出す。

 ランスと共に戦った中で、ランスは不思議とカラーにはあっさりと受け入れられた。

 昔はそこまで人間とは敵対していなかった事も有るが、ランスはカラーとの相性は良かったとも思う。

 そしてカラーを纏め上げ、あの魔人オウゴウンダマすらも誰も思いつかない奇策を用いて倒してしまった。

 それもこの男の持つカリスマと実力が成し遂げたものだったのだろう。

(私も…この男の持つ魅力に取りつかれた一人なのだろうな)

 ランスはケッセルリンクのクリスタルを赤から青に変えた男だ。

 それはカラーの中でも喜ばれ、ケッセルリンクもこのままランスの子供を産むのだろうと思っていた。

 その望みは今は断たれてしまったが…魔人となった事でこうしてランスと共に長い時間を居られる。

 それはそれでケッセルリンクにとっては嬉しい事だった。

「ランス…私を好きにしてくれていい」

「当たり前だ。お前は俺様の女だからな」

 ランスはケッセルリンクをベッドに押し倒す。

 女性として魅力的過ぎる体には男を魅了するための下着がつけられている。

 大切な部分を隠していない下着は、所謂エロ下着と呼ばれるものだ。

「たまに思うんだが…お前は何処からこういうモノを仕入れてくるんだ? 今の時代はこんなの中々手に入らんだろ」

「わ、私が見つけてきたのではない。加奈代が…自分で作るんだ」

「加奈代…ああ、あいつならやりそうだな」

 加奈代は昔から手先が器用で、ランスのメイドとして過ごしていた時は衣服の全てを彼女が受け持っていた。

 ランスとジルの服の手入れをしていたのも彼女だが、女性に対してはやたらと煽情的な衣服を作っていた。

「もしかしてお前のメイド達が着ている服はあいつが作ったのか」

「ああ。彼女が作りたいと言うから私は止めないが…ただ、主である私にもこういう下着を作って来るのは私も正直どうかと思った。まあ…彼女は善意でやってくれているからな」

 ケッセルリンクは少し呆れたように、そして優しい笑みを浮かべる。

 彼女がこの下着を作ったのは全ては自分のためだ。

 こうした下着をランスが好む、という事を理解して、自分のために作ってくれたのだ。

「うーむ…あいつは昔からレズっ気があったからな。それでいて俺とも普通にセックスしてたな。バイはまだ良いが、レズはいかんぞ」

「まあ…本人の同意の上なら私は何も言えないからな…たまに私にもそういう目を向けてくるのは少し気になるが…」

 ランスの言葉にケッセルリンクも少し複雑な顔をする。

「そんな事はどうでもいい。それよりもやるぞ」

「ん…ああ、何度でもいいぞ」

 ケッセルリンクはランスの言葉に嬉しそうに笑う。

 ランスはその笑みを見て、ケッセルリンクの中へと挿入する。

 そこは既にランスのハイパー兵器を受け入れる準備が出来ており、温かく迎え入れた。

 なのでランスは一気に最奥まで貫いてしまう。

「んんっ! ああっ!」

 ケッセルリンクはそれだけで体を振るさせながら絶頂を迎える。

 ランスが居ない間、彼女はずっとこの瞬間を待っていた。

 勿論凄まじい自制心と精神力があるので我慢は出来るが、本人が居るなら話は別だ。

「相変わらず敏感だな。これだけでイクとはな」

「…お前だけだ。だから…もっと私を満たしてくれ」

 ケッセルリンクはランスに抱き着くと、ランスはそれに呼応するように動き出す。

 二人の熱い夜はまだ始まったばかりだった。

 

 そして夜が明け、昼間を適当に過ごした後はランスの特訓が始まる。

「クッ…本当に何も見えないんだね…」

「何処を攻撃すればいいのか…全く分かりませんね」

 ブリティシュと日光がランスの特訓に突き動かされたのか、二人もランスと共にケッセルリンクと戦っていた。

 だが、ランスでも何ともならない闇なので、二人も何をしていいか分からないような状態になっている。

「ラーンスあたたたー-----っく!!」

 ランスの剣が闇を払うかのように勢いよく放たれる。

 普段であればその衝撃波は何であろうとも吹き飛ばすはずだが、ケッセルリンクの闇には効果は無い。

「落ち着けランス。目的を見失うな。今のお前の目的はケッセルリンクを倒す事では無いだろう」

 少しイライラした様子のランスを見てスラルが声をかける。

「ケッセルリンクの闇をどうにかするのではく、力を扱いこなす事を考えろ。無暗に腕を振るった所で体力を消耗するだけだぞ」

「分かっとるわ! うーむ…しかし全く上手く行かんぞ」

「刀を使って『斬る』事は出来るが、剣で『斬る』事は難しいか。それもお前の剣の性質なのかもしれないな。お前の剣はどちらかと言えば斬るというよりも砕くと言った方が正しいからな」

「それは馬鹿にしているのか」

「とんでもない。我はむしろお前の剣を褒めているぞ」

 ランスはスラルとのやり取りで少し落ち着きを取り戻す。

(うーむ、やはり難しいぞ。変に刀で斬る事をやっても経験値が無くなるだけだしな)

 鬼畜アタック同様に慣れれば経験値も減らないだろうが、流石にそれをするのは今は避けたい。

 それよりも剣で使えるようになる方がランスには大事だ。

 刀も使えるが、やはりランスが慣れているのはこの剣なのだ。

「うっ!」

「ブリティシュ!?」

 闇の中からブリティシュの声と、誰かが倒れた音がする。

 恐らくはブリティシュがケッセルリンクの闇から一撃を受けて倒れたのだろう。

 勿論ランスは男が倒れた程度では全く動じない。

 しかし、問題なのはこの闇であり、ケッセルリンクの気配が全く感じられない。

 なのでどうやってケッセルリンクが攻撃してきたのか、それが全く分からないのが厳しい。

 だからこそ、ケッセルリンクは魔人四天王にして『夜の女王』と呼ばれる存在となったのだろう。

「そこだ!」

 ランスは突如として剣を振る。

 すると金属と金属がぶつかる音がする。

「ほう…止めたか。どうやって気づいた?」

「何となくだ」

「フッ…そういうお前にしか分からない感覚、私は好きだよ」

 一撃は止めたが、次に放たれる攻撃は止められない。

 それでも何とかランスは体を動かしてその攻撃を避ける。

 その時、ランスは誰かの体にぶつかる。

「あっ」

「何だと」

 それはランスと同じく闇の中で立っていた日光だった。

 二人はぶつかってバランスを崩す。

「ライトボム」

「どわああああ!」

「くう…!」

 そこにケッセルリンクの魔法が突き刺さる。

 魔法は直撃こそしないが、それでもその衝撃は二人を吹き飛ばす。

 光が爆発したはずなのに、その光の魔法すらも闇の中では見る事が出来ない。

 魔法が直撃しなかったのでランスは何とか姿勢を立て直す。

 そして勘に任せて剣を振るうが、それは闇を斬っただけだった。

 そんなランスの首筋に手が回されたかと思うと、その首筋が甘噛みされる。

「ぐっ」

「さて、今日はこの辺にしておこうか。私も私で用事があるからな」

 闇が晴れたかと思うと、ランスの後ろにケッセルリンクが立っていた。

 ランスはケッセルリンクを見るが、彼女は薄く微笑むだけだ。

「うぐぐぐぐ…」

「中々難しいな。ケッセルリンクの闇はお前の空間を斬る力を試すのには最適なのは間違いは無いのだが…」

 特訓が終わり、ランス達は部屋に戻る。

「やれやれ…全く役にも立たないな、僕は」

「そうだぞ役立たず。お前は壁にしかならんのだから壁になれ」

「ははは…違いないね。でもあの闇の中では流石になあ」

 ケッセルリンクの闇の中では距離感も曖昧になるので、ガードをしようとしても上手く行かない。

 魔法の明かりすらも意味をなさない完璧な闇、それがケッセルリンクの力の一端なのだ。

「ランス、急ですまないが私は少し外出しなければならない。後の事はエルシール達に任せているから、ここで好きに行動してくれて構わない。近くにダンジョンもあるから、そこを探索するのも良いだろう」

「何だ。俺以上に重大な要件があると言うのか」

 ランスの言葉にケッセルリンクは苦い顔をする。

「ああ。私にも立場が有るからな…カミーラに呼ばれたら行かなければいけないだろう。ここに来るのは流石にまずいだろう?」

「…そうだな。流石に今はあいつと関わっている時間は無いぞ」

 カミーラはランスに対しては遠慮しないので、ここでも変わらずにランスを屈服させようとするだろう。

 流石に今の状態でカミーラを相手するのは厳しい。

「少しの間留守にするかもしれない。皆、後は頼むぞ」

「「「「「かしこまりました、ケッセルリンク様」」」」」

 主の言葉に使徒達は一斉に返事をして一礼する。

 それを見届けたケッセルリンクは一度微笑むと、その姿が霧となって消えていった。

 そしてランスは疲れた体を癒すために風呂へと入る。

 その風呂には当然のようにケッセルリンクのメイド達…バーバラを除く皆がランスに付き合わされていた。

「がはははは!」

「全く…本当に何時までも変わりませんね、ランスさんは」

 パレロアは呆れながらもランスの背中を洗う。

「あはははは。ランスさんの女好きが変わっちゃったらそれはもうランスさんじゃないですからねー」

 加奈代は笑いながらランスのハイパー兵器を丁寧に洗っている。

「そんな簡単に変わる訳が無いだろうが」

 大人になった、と昔からの付き合いの長い者達は思っているが、やっぱり普段の態度が態度なので変わっていないと言われる。

 勿論ランスにはそんな事は知った事では無いのだが。

「それにしてもランス様がここまで悩む所を初めて見ました」

「そうですね…昔の戦いの時もこんな感じで悩む事は無かったですし」

 シャロンとエルシールはランスが色々な意味で悩んでいるのが分かる。

 それくらいの付き合いは有るつもりだ。

「昔のランスさんの話は聞きましたけど…本当に大変な事をしてたんですねー」

 加奈代も加奈代で色々と大変な目にはあったが、自分の先輩達から話を聞いて目を丸くしたものだ。

 勿論魔王ジルの事が一番大きいだろうが、それに勝るとも劣らない激動をランスは受けていた。

「話を聞く限りエルシールが一番大変だったと思いますけど」

「JAPANで戦争に駆り出されましたからね…今思うと信じられないけど、ランスさんでも負ける事はあるんだって思いました」

「フン」

 エルシールの言葉にランスの顔が不機嫌になる。

 ただ、ランスがどんな形であれ藤原石丸に負けたのは事実だ。

 ランスにとっては一度負ける事は大したことではない。

 勿論腹は立つが、最後の最後に勝てば全て良し、それがランスのやり方だ。

「世界の半分を収めた人間ですからね…」

 パレロアの言葉にメイド達は神妙な顔で頷く。

 尤もそれが原因で魔王ナイチサの命令を受けたザビエルによって殺されてしまったが。

 ただ、ランスが加わった事が原因で、魔人レキシントンがその戦いに参入してしまった。

 結果として、ランスにとっても友人クラスの付き合いがあったであろう黒部が戦死し、自分は魔人レキシントンの使徒に捕らえられたがケッセルリンクによって助けられた。

「まあ俺様なら何とかなる。で、ケッセルリンクが何時頃戻って来るんだ」

 ランスの言葉にシャロンは少し困った顔をする。

「それはカミーラ様次第なので何とも…」

「まあアイツだからな…」

 ランスはカミーラの事を思い出し難しい顔をする。

 正直今のカミーラにはあまり会いたくは無い。

 まさかあそこまでカミーラが強くなっているとはランスも思わなかった。

 ゼスでの事は何だったんだと今では思っているくらいだ。

「まあいいか。で、アレを用意したのは加奈代か」

「やっぱり分かりますよねー。元々はランスさんがケッセルリンク様と楽しむために用意していたものだったんですけど」

 ランスの視線の先に有るのはエアマットだ。

 所謂エッチな事をするために用意してあるアレだ。

 そしてそんな物を用意するのはケッセルリンクの使徒の中では加奈代くらいしかいないだろう。

「で、まさか普段から使ってるとか言わないよな」

「いやー、流石にそれは無いですね。お誘いしても断られますから」

 加奈代はあっけらかんと笑う。

 男もいけるが女もいける、人間の頃から自由だった加奈代も変わっていない存在だろう。

「当たり前です。あなたは少し自由過ぎます」

 エルシールはメイド長として加奈代を半眼で睨む。

 まあ自分が言っても全く反省の色は無いが、主が何も言わないので自分でも何も言えないのは分かっている。

「まあ用意されてるのなら使うとするか。まずは…シャロンだな」

「あら、私ですか?」

 ランスは自分の左手を丁寧に洗っていたシャロンを抱き寄せる。

 理由は勿論そこに彼女が居たから、それだけでしかない。

 ランスは立ち上がるとシャロンの手を引いてマットの所まで歩く。

 ランスはマットに寝転がると、シャロンは少し顔を赤くしてランスに体を重ねる。

「しっかり奉仕しろよ。昔の事はきちんと覚えているだろう」

「…はい。では、しっかりと奉仕させて頂きますね」

 こうしてランス達はメイド達としっぽりと楽しむのであった。




特訓シーンは正直イランとも思いましたが、よっと描写する事に
そしてランス4をプレイしてますけど過去ログが無いのとセーブが少ない事で結構大変です
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