魔王ジルの元へと向かう、ランスはそれを決心した。
普通に考えればそれは死地への道でしかない。
だがそれでも、ランスという男はその道を避けるという事は考えない。
どんなに無謀でもやり遂げる、それがランスだからだ。
「という訳で魔王の城に入る方法はあるか」
ランスの言葉にケッセルリンクとメイド達は難しい顔をする。
それはランスをも困惑させた。
「なんだ。まさかお前の立場でも難しいとかいうんじゃ無いだろうな」
「…そのまさかだ。確かに私は魔人四天王という立場だ。立場ではあるが…それだけだ」
ケッセルリンクは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
「ケッセルリンク。お前とジルの関係は良くは無いのか?」
それを察してスラルが尋ねる。
「良いも悪いも…私はなるべくジル様には関わらないようにしてきました。ランスとの関係は知られていますし、何より私を餌にしてランスが釣られる可能性を考えますと…」
「そうか…ただ、我が思うにそれは杞憂だったと思うがな。ジルはお前が思っている以上にお前に無関心だぞ」
「薄々は感じていましたが…やはり万が一という可能性は捨てきれませんでした。魔王の命令には絶対に逆らえませんから…」
ケッセルリンクはこれまで必要以上のジルとの接触を避けてきた。
ジルに対する負い目もあるが、それ以上にランスと自分の関係を知っている数少ない存在だ。
カミーラやパイアール、ハウゼルとサイゼル姉妹、そしてレイも関係は知っているが、その者達はそれを態々言いふらすような者では無い。
カミーラは魔王が嫌いだし、パイアールは無関心だ。
ハウゼルとサイゼルもそういう事を他言するような性格では無いし、レイもそういった事には興味が無い。
とはいえ、魔人は同格の存在故にある程度のプレッシャーもかけられるが、自分より上位の魔王はそうはいかない。
それ故にケッセルリンクはジルとの関わり合いを避けていたのだが…それは考えすぎだったようだ。
「それでもお前は魔人四天王なんだから魔王の城に入るくらいは出来るだろ」
「お前達を連れて魔王の城に入る事は出来る。出来るが…間違いなく怪しまれるな」
魔人ケッセルリンクが魔王の城に自ら行くという事は、即ちランス絡みだとジルに感づかれるのは明らかだ。
いくら自分に無関心でも、ランスが絡めば話は別だろう。
ランスとて魔王ジルからは泳がされているという状況なのだから。
「そして一番の問題は…ジル様では無いだろうからな」
「魔王以上の問題が有るのですか?」
日光の言葉にケッセルリンクは頷く。
「私と同じ魔人四天王のノスだ」
「ノス…あの化物ジジイか」
魔人ノス…魔人四天王にしてジルの側近。
その強さもさることながら、ドラゴン故の思慮深さも有る。
そしてリーザスでランス達と戦い、ランスが何とか倒せた相手だ。
あの時より遥かにパワーアップしているが、流石にノスと戦うには人数が足りなすぎる。
日光、ブリティシュ、レン、お町も強いのは間違い無いが、流石にあの魔人ノスと戦うのは厳しいだろう。
「ノスは間違いなく強い。そしてジル様に心酔している。私がジル様の所に行けば間違いなくあいつは何かに気づくだろうな」
ノスは豪胆だが、同時に冷静で頭がキレる。
正直ケッセルリンクも真正面からノスと相対するのは厳しいとも感じている。
夜に戦い始めてもまず間違いなくその時間だけで倒しきれる相手ではない。
そして昼間になればノスがケッセルリンクを上回るだろう。
「そしてもう一つの問題…それが魔人筆頭のガイだ」
「ガイ? 誰だそりゃ」
ランスは聞き覚えの無い魔人の名前に首を傾げる。
レンはそんなランスに何かを言いたげだが、それを指摘するのはルール違反なので何も言えない。
(あなたが生まれた時代の魔王でしょ。そういう所はランスは抜けてるというか…)
「魔人ガイは魔人のトップの強さを持っている。ランス、お前のように人間時代に魔人をも倒している。しかも一人でだ」
「む…俺様だってそれぐらいは…」
魔人を一人で倒す、その言葉にランスは驚く。
流石のランスも魔人相手に一人で戦おうだなんて思わない。
そんな無謀な事はする必要は無いからだ。
「正直私はこのガイが何より不気味でな…なるべく関わり合いになりたくない」
「お前がそこまで言うか」
スラルはケッセルリンクの言葉に唸る。
彼女がそこまで言うのなら、本当に得体のしれない奴なのだろう。
「とにかく魔王の城に乗り込むに当たっては私は協力は難しい。私が自分から動くとお前との関係がどうしても透けてしまうからな…」
「難儀なモノじゃな…近しいゆえに動けぬか」
お町の言葉にケッセルリンクもため息をつく。
「こればかりはな…私にもどうしようもない。かといって、他に頼れる魔人も居ないからな」
「ハウゼルとサイゼルが居るだろ」
ランスの言葉にケッセルリンクが首を振る。
「あの二人は恐らくは私以上に注視されている。彼女達を頼るのは止めた方がいい」
「ならば手詰まりでは無いか! お前なら何とか出来ると思ったが」
「すまないな…こればかりは私にもどうしようもない事だ」
「ランス、ケッセルリンクを責めるな」
「別に責めとらんわ。まあ他の方法を考える」
正直ケッセルリンクを宛にしていたという事は否めない。
だが、彼女が無理と言うのなら本当に無理なのだろう。
だとすると他の方法を考える必要が出てくる。
ただ、その方法なんて中々思いつくものでは無い。
「とりあえず行ってみるか。それをせんと始まらんな」
ここでぐだぐだ言っていても何も解決はしない。
ランスはそう思い行動を開始する。
迷ってる場合があったら取り敢えず動く。
そうすれば必ず結果は出るものだ。
「行くのか」
「おう。あのバカの主人が誰か思い知らせてやらんとな」
ランスの言葉にケッセルリンクは微笑む。
「お前なら出来るだろう…彼女を必ず救ってくれ」
「俺様ならば問題無い。まあちょっとくらい苦労するかもしれんがな」
「そして…死ぬな。必ずまた私に顔を見せて欲しい」
ケッセルリンクはそう言うとランスに抱き着く。
本来はその細腕で人間の体など容易に引き裂ける手だが、その手は非常に優しい。
「俺様が死ぬ訳無いだろうが。まあせいぜい待ってろ」
「ああ、待っている」
ケッセルリンクはランスから離れると、メイド達に合図をする。
メイド達は一度部屋を出ると、直ぐに色々な道具を持って戻って来る。
「これは私がこれまで見つけてきたアイテムだ。この中でお前が有用だと思う物を持っていくといい」
「ほう」
「ただ、私は人間の冒険のためのアイテムなど分からないからな…その辺はエルシールに任せている」
「私が色々と吟味しました。ただ、私が見るよりもランスさんやスラル様が見る方が確実だと思います」
メイド達がテーブルの上にアイテムを広げる。
そこにあるのはそれこそ色々なアイテム…捕獲ロープといった基本的な物から、よくわからないアイテムも沢山ある。
ただ、やはりハピネス製薬が無いので世色癌や、竜角惨といったアイテムは無い。
「ああ、回復薬とか帰り木も有るね。うん、使えそうだ」
「そうですね。これだけあれば困らないでしょうね」
現代に生きる冒険者であるブリティシュの方が詳しいようで、日光と一緒にアイテムを分別している。
「ランス、あなたは見ないの?」
「そんなの他の奴にやらせればいいだろ」
ランスの言葉にレンは薄く笑う。
「今までシィルやジルにやらせてたから分からないんじゃないの?」
「アホ。奴等がやるんだからそれでいいんだ。それよりも魔王城に入りこむ手段を考えなければいかんな。スラルちゃん、何か無いか」
ランスに振られてスラルも唸るしかない。
「いや…正直難しいな。一番頼りになるケッセルリンクが無理だとな」
スラルもケッセルリンクをあてにしていた。
何しろ魔人四天王であり、魔王から命令される辺りは信頼も得られていると思っていたからだ。
ただ、ランスの事を心配してなるべくジルからは距離を取っていた事、そして新たな魔王の側近が現れた事、それらがケッセルリンクの動きを封じ込めていた。
「魔王の城の警備ってのはどうなっとるんだ」
「…そこまで数は居ない。ジル様は魔物を信頼していないし、魔物もジル様を恐れている。魔王の城に居るのは城の掃除をする者、そしてノスとガイくらいだ」
「あの化物ジジイは厄介だな…」
ランスは魔人ノスの事を思い出す。
ジルのインパクトが強すぎて忘れていたが、いざこうして思い出すとあの魔人の厄介さが思い浮かぶ。
ランスがこれまで戦って来た魔人の中でも間違いなく一番の強さだ。
ゼスでの魔人カミーラ、そして元魔人四天王の魔人ザビエルも確かに強かった。
だが、ノスはその二人を上回っていたのは間違いない。
戦えば戦う程硬くなっていく装甲、そしてその再生能力に攻撃力。
ランスが本気のカオスを持っていたからこそ、何とかノスを倒す事が出来たと思う。
実際、あれほど疲れた戦いはそうなかったとランスは思ったくらいだ。
「ノスは間違いなく強い。そしてそれ以上に強いガイも居る。真正面から行くのは無謀でしかない」
ケッセルリンクの言葉は嘘偽りは無い。
これまでならケッセルリンクの立場と力を使って融通も効くが、あの魔人達にはケッセルリンクの立場など通用しない。
「…行ってから考えるか。で、他に問題はあるのか」
「正直問題しかない。だが、魔物兵の動きは基本的に鈍い。だからその辺りはあまり考えなくても良いとは思う。何しろ誰も魔王の城に近づきたくない訳だからな…」
魔王の城は魔物達の力の象徴のはずだった。
しかし、今の魔王ジルの居城は魔物達にとっても恐怖の象徴だった。
魔王の城に呼ばれるという事は、即ち自分の死を意味するからだ。
今も魔王が作った魔物牧場では大量の魔物が産み落とされ、そして意味も無く死んでいく。
なので誰もが野良のモンスターとなって隠れて生きていく事を選ぶ。
勿論中には好き勝手に生きている奴も居るし、ジルもそんな細かい事など一々見ても居ない。
「私も何とかしたいのだが…すまない、ランス」
「別にお前が悪い訳じゃ無いだろ。とにかくジルの事は俺が何とかする」
「…頼む、ランス。彼女を何とか救ってくれ」
ケッセルリンクにとっては人間ジルこそ、本当に守らなければならない存在だった。
なのに…その自分が間接的ではあるが、彼女の大切なものを奪ってしまった。
それもランスの目の前で。
「あいつが戻ってきたら朝までオシオキだな。あ、そうだ。その時はお前も参加していいぞ。お前なら許してやる」
ランスの言葉にケッセルリンクは苦笑する。
「お前は変わらない…だからこそ、ジル様を救い出せると思う」
「当たり前だ。まあ少し苦労するかもしれんが、何とかなるだろ」
ランスとしても難しい事は理解している。
あの時JAPANで相対したリトルプリンセスとは状況が違い過ぎるし、リーザスの時の魔王ジルの時とも違う。
ランスもリーザスの時の魔王ジルとは大きく違うのは理解していた。
あの時よりも遥かに…それこそ天と地ほどの差がある。
不思議な空間でランスも強くなったが、その時よりも遥かに強いだろう。
「ランス殿、準備が出来ました」
「おう」
日光とブリティシュは使徒達が集めていたアイテムを選別し、それぞれ持ちあっている。
これから長い戦いになるのだから、準備は必要になる。
「じゃあ行くぞ」
「あら、早いのね」
「こういうのは思い立った時にやればいいんだ」
ランスは自分の直感に任せて行動する。
そうした方が良い結果になるのはこれまでの経験で分かっている。
なのでランスは早速魔王城へと向かう事にする。
勿論綿密な計画は無いが、それでも時間が無いという事は現実なのだ。
ケッセルリンク達はランス達を見送る事にする。
「ランス、ジル様を頼むぞ」
「任せておけ。俺様がやると言ったら本当にやるんだ。お前だって知ってるだろうが」
ランスの言葉にケッセルリンクは少し笑う。
「そうだな…あの時もお前はそうだった。ならば、お前のその力をあてにするとしよう」
そしてそのままランスを抱きしめる。
「必ず戻って来てくれ…ジル様と共にな。そしてスラル様も…」
「ああ。我とてこんな所で死ぬつもりは無い。お前も気をつけろよ。あの時とは違い、魔人の数も増えてきた。数が増えれば必ず諍いも起きる」
「はい。じゃあランス、後は頼むぞ」
ケッセルリンクとランスが話している光景を見て、バーバラが眉を顰める。
「…ねえ、あの子誰?」
そしてランス達と共に居る一人の少女を指さす。
「え? 誰か居るの? って…ああああああ!」
バーバラの視線の先に居る一人の少女を見て、エルシールが大きな声を出す。
「ケ、ケッセルリンク様! セ、セ、セラクロラスが!」
「やっほー。じゃあランス、今回もまた行こうねー」
エルシールの指摘は既に遅く、ランス達は光に包まれて消えていく―――ランスに直接触れていたケッセルリンクと共に。
「ケ、ケッセルリンク様!?」
突如として消えたケッセルリンクにバーバラは驚く。
「落ち着きなさい、バーバラ」
しかし、最古参のメイドであるシャロンが優しく諫める。
「で、でもシャロンさん! ケッセルリンク様が!」
「問題ありませんよ。魔人が数百年姿を消したところで誰も驚きません。何しろ魔王様の命令が有ってもなお姿を現さない魔人も居るのですから」
「あー…あのハニーの魔人ですね」
ハニーの魔人ますぞえ…彼だけは未だに自分の住処である奈落から出てこない。
何しろあの魔王ジルの命令でも奈落から動かないのだから筋金入りだ。
「それよりも、私達はケッセルリンク様が戻ってこられるまでここを守らなければいけません」
「あ…は、はい」
シャロンの言葉にバーバラは真剣な顔をする。
主がいないからこそ、その使徒である自分達がしっかりしなければいけない。
「ハンティ様や他の魔人が訪ねてくる事もあるかもしれません。それに備えておく必要が有ります」
別にケッセルリンクが居ないからどうという事は無いだろうが、それでも万が一もある。
それに備えて色々と準備が必要だ。
「ケッセルリンク様は何時頃戻ってきますかねー」
「それほど遅くならないとは思いますが…早ければ数十年、遅くても数百年程でしょう」
人間からは非常に長い時間だが、不老の使徒にとっては大した時間では無い。
「では…早速準備を始めましょう」
メイド長のエルシールの言葉に皆が頷く。
主が不在でも使徒である彼女達ならば問題無く動ける。
エルシールは消えた主と、自分達の恩人でもあるランスの事を思い空を見上げる。
(ランスさん…ケッセルリンク様の事もジル様の事も…お願いしますね)
その時ガイは非常に驚いた。
突如として、自分に悟らせる事も無く人間達が自分の前に現れたからだ。
それは何の前触れも無く、魔法に長けているガイですらも全く分からなかった。
「どこよここは…! っていうかランスが居ない!」
金髪の女…ガイならば分かる、明らかに人間では無い女が周囲を見渡して驚いた声を出す。
「何が起きたんだい!?」
「お町もいません!」
そして人間の男と女が1人ずつ。
「誰だお前達は」
ガイは突然の乱入者に驚きながらも、三人に声をかける。
ガイは魔人で有りながら人間に対して悪意は持っていない。
それどころか、人間の味方といっても良いだろう…今この段階ではだが。
「あああああああ! ブリティシュ! 日光!」
ガイの言葉に誰かが反応する前に真っ先に反応したのは、ガイの持つ剣であるカオスだ。
「この声は…カオス!? カオスなのかい!」
「カオス!? 一体何処に!?」
その懐かしい声を聞いてブリティシュと日光も周囲を見渡すが、生憎とカオスの姿は無い。
「ここじゃよここ! それにしてもブリティシュ! 日光はともかく何でお前が生きとるんじゃ!?」
声が聞こえてきたのはガイの手元、即ちその手にある剣だ。
「まさか…この剣がカオスなのか!」
「成程…私と同じように剣になったのですね」
「おう! 久しぶりじゃな! まあ奇妙な再会だとは思うがな」
エターナルヒーローの内3人が数百年ぶりに揃う。
「…カオス、こいつ等がお前が言っていた昔の仲間か」
「おう。じゃが、ブリティシュに関してはまさか生きてるとは思わなかったがな。というか何が起きた?」
「それはこっちの言葉です、カオス。何故あなたが魔人と共に居るのですか」
日光の声から喜びが消え、冷ややかな声になる。
「あー…色々あったんじゃ。おいガイ、お前の立場を話さんと争いになるぞ。こいつらは頭が固いからな」
カオスの言葉にガイはため息をつく。
「…分かった。お前達も殺気立つな。それに俺には勝てないさ」
ガイの言葉には嘘は無い。
ガイならばこの者達ですら一蹴出来る。
それだけの実力がある…いや、魔王を除いた生物の中では最強の存在、それが魔人筆頭ガイなのだ。
「俺は魔王の支配を受けていない。だが、魔王には勝てないから従っている。それだけだ」
「こいつは今もジルの命を狙っている。まあ利害の一致じゃな」
日光はカオスが魔人の帯剣になっているのに疑問だったが、そういう事なら一応の納得はいく。
確かに目の前の存在は全くといっていいほど殺気を出していない。
殺気を出さずとも自分達を倒せるという事もあるのだろうが、確かに魔人にしてはその禍々しさが小さい気がした。
「…分かりました。あなたの魔人に対する憎しみは理解しています。その言葉を信じましょう」
「おう。で、ブリティシュ。お前はどうしてまだ生きておるんじゃ? お前も神に願いを叶えて貰ったのか?」
カオスの言葉にブリティシュは首を振る。
「いや…僕は別件でね。話すと長くなるけど、カラーの呪いを受けて死ねなくなってね…その後色々あって日光達に助けて貰ったんだ。その後は…ちょっと説明が難しいかな」
「…ん? ああああ! お前、あの時の男と一緒に居た女じゃな!? どうしてお前達がそいつと一緒にいるんじゃ!?」
「今更ね」
カオスの言葉にレンは呆れたようにため息をつく。
「カオス、今僕達はあの時に戦った彼と行動を共にしている」
「あの時の…? ああ! あの時の奴か!? 何でそんな奴と!?」
カオスにとってはランスは敵…だった。
正直もう今は大して興味すら持っていなかった。
何故ならカオスの観点からすれば既に死んでいる奴だからだ。
「カオス…こいつらがお前達のかつての仲間なのならば、お前同様の力を持っている奴が居るという事か」
「む…そういやそうじゃな。日光はワシと同じ願いを叶えておった。あ、でもお前は人間の姿なんじゃな」
もしこれが本来の出会いであれば…カオスは日光が人の姿になれるのを知ったのはLP期の最期の最期辺り、第二次魔人戦争の場面だ。
それまで日光から秘密にされていたので憤っていたが、最初に見た姿が人の姿なので意外と冷静にそれを受け止めていた。
そう思っていると、日光の姿が一本の刀に変わり、ブリティシュの手に収まる。
「あなたと同じですよ、カオス」
「ってお前は人の姿になれるじゃないか! 全然違うわー! 不公平じゃ不公平! ワシはこころのちんちんでしか女を味わえんようになったというのに!」
「…相変わらずですね。それはそうと、何故あなたが魔人の手の中にあるのですか」
日光の声に鋭さが宿る。
「こいつは俺が人間だった頃から持っていた剣だ。これを持ってジルに挑み…そして魔人にされた、それだけだ」
ガイが自嘲するように呟く。
ただ、正直言えばあのままジルと戦っても勝てなかっただろう。
もう一つの人格によって魔人にされたが、同時にもう一つの人格によって助けられた。
そしてそのもう一つの人格のおかげで、魔王の絶対命令権はガイに通用しないのだから皮肉なものだ。
「そうか…魔人メディウサを呪ったのはお前達か」
「何? そうなのか? あのクソ蛇をか」
カオスはメディウサの事を知っている。
あの魔人こそカオスにとって唾棄すべき相手だが、カオスがメディウサを斬り刻む前にあの魔人は呪われた。
今でもその呪いは続いており、解除する事は難しいとされている。
同じカラーの魔人であるケッセルリンクもメディウサの事を見捨てたらしい。
「そうだ。そしてメディウサを斬ったのが…彼だ」
「ふーん…そうか。あいつも魔人をぶっ殺したいと考えている奴か?」
カオスの言葉にブリティシュは複雑な顔をする。
「まあ…一部に関してはそうだね」
「なんじゃそりゃ。まあいい、とにかくそいつと一緒に居たならそいつはどうしたんじゃ? 姿が見えんぞ」
「私達はセラクロラスに巻き込まれた。でも、何かの干渉があってランスが逸れたって事」
レンはこの現象を理解していた。
何故なら、聖女の子モンスターの力である時間移動に干渉できるのは…
(恐らくは…いえ、間違いなく神。魔王でも時間には干渉するのは難しいはず…でもどうして?)
エンジェルナイトのレンだからこそ分かる。
時間に干渉できるのはそれこそ1級神より上の存在になる。
(クエルプラン様は考えられない。だとすると…ALICE様しかいなくなるんだけど)
「とにかく私はランスを探す。あんた達は…」
レンがそう口を開こうとした時、レンの体が自然と震える。
「な…これは…!」
「この濃厚過ぎる気配は…!」
ブリティシュと日光もその気配に体が震えてくる。
それは生物として絶対に避けられない恐怖だ。
「…ジルが動いた」
ガイもこの濃厚な気配には驚く。
ジルは確かに強いが、だからといって無暗に魔王の力を振るう存在ではない。
何しろ彼女の憎しみは人ではなく魔物に向けられているからだ。
確かに人間牧場は人間にとって地獄だが、同時に魔物にとっても地獄の環境だからだ。
ガイはジルが何故人間牧場を作ったのかは分からない…が、それは人間を苦しめるという意図には見えなかった。
何故ならジルは人間に対してはほぼほぼ感情を向ける事が無いからだ。
だからこそ魔物牧場を作り、殺されるためだけに産まれる者達を作り出した。
この世界は魔物にも人間にも等しく地獄の世界なのだ。
「何が起きてるのですか…」
日光の呟きに答えられるものは誰も居なかった。
「またか!」
ランスはセラクロラスによっての時間移動に憤っていた。
もしかしたらもうジルは封印されたかもしれない…それがランスにとって気がかりだった。
「ここは何処だ…」
ランスはそう言った時、濃厚過ぎる気配に思わず冷や汗を流す。
「ランス…これは」
ランスと共に居るお町がランスのマントを強く握る。
その手は震えており、彼女も又恐ろしい恐怖を感じていた。
そしてランスの側に居て、同じようにセラクロラスに巻き込まれたケッセルリンクはその濃厚な気配相手に跪く。
「ジル様…」
「…突然だな。だが、まさかお前からここに来るとは。嬉しいぞ、ランス」
その濃厚な気配こそ、この世界の絶対的な支配者。
そしてランスにとっては奴隷であるはずの…魔王ジル。
ランスは何の運命か、魔王ジルの部屋に飛ばされた。
「ケッセルリンクが居るのは…まあどうでもいい。だが、これこそ運命だと思わないか」
魔王ジルはランスを見て悠然と微笑んでいた。
シリーズを少しずつやり直して情報を集めようとしてますが、ランス6が長い…特に魔軍の登場まで
しかもセーブデータが少ないのがな…
カオスが魔人の誰と顔見知りなのか、を調べるのともう一つの問題が…
魔王戦争って何だよ…これはどういう戦いなのか気になります
ただ、それは多分明かされる事は無いだろうし、想像しかないですよね
でも問題なのがそれが4年間続いたって事なんですよね
しかも勇者と日光も参加してますし
それとノスってカオスに無敵結界斬られた事無かったという事は、魔王戦争の時にガイと戦って無かったって事にもなりますし
とりあえずカオスと顔見知確定なのは、
ノス ガイ レキシントン レイ
多分会った事が有りそうなのが
ハウゼル ケッセルリンク
会った事無いのは
GI期以降の魔人 レッドアイ ザビエル
不明なのが
メディウサ パイアール アイゼル ジーク ますぞえ カミーラ サイゼル ケイブリス メガラス
辺りですかね…勿論私の記憶違いも有ると思いますが、それを考えないといけなくて…