人間対魔王、それは昔から有り触れた構図で有り、そして分かり切った結果でもあった。
人間は…いや、この地上の全ての生命体が魔王に挑んだところで魔王には勝てない。
それはこの世界の絶対的なシステムで有り、それが覆される事などありえない。
そんな分かりきった結果を『神』は望んでいた。
「ようやく…あの目障りな人間も消えてくれそうね」
1級神であり、人類管理局のALICEは笑みを浮かべていた。
あの目障りだった人間が死ぬ、もしくは魔王によって魔人にされるのは明らかだ。
出来れば死んでほしいが、魔人になってメインプレイヤーから退場してくれるのもそれはそれで面白い。
干渉した甲斐があったというものだ。
その時、神々しい光と共にある神が現れる。
「ALICE…!」
その神は明らかに怒気を含みながらALICEを睨んでいる。
「あら、クエルプラン。あなたが私を訪ねるだなんて珍しい事もあったものね」
「そんな事はどうでもいいです。何故あなたがランスに干渉したのですか。ランスへの干渉は禁じられていたはずです」
クエルプランの指摘にALICEは笑みを浮かべる。
「そうね。でも今回私が干渉したのはあの人間にじゃ無いわ。セラクロラスに対してよ」
「そんな詭弁を…!」
ALICEの言っている事は間違ってはいない。
確かに彼女はランスに直接干渉した訳では無い。
ただ、ランスを移動させようとしてるセラクロラスに干渉し、その時間移動をある時期に変えただけだ。
「それに…これこそが我等の『神』が望んだ光景。それともあなたはこのままあの男が魔王と再会せずに終わる事を望んだかしら?」
「それは…」
ALICEの言葉にクエルプランが言葉に詰まる。
確かに彼女の言う通り、魔王との再会はランスが望んでいた事だ。
セラクロラスの時間移動は明らかにその期間を超えるのは間違いなかった。
それはランスが望んでいた事でも無い…それは事実だ。
「安心しなさい。これ以上の干渉は本当にしないわ。それにこの事は上も認めている。全ては私達の『神』を楽しませるためにね」
「…」
クエルプランはこれ以上何も言えなくなる。
確かにこのシチュエーションこそが『神』の望みで有る事は間違いないからだ。
その結果がどうなろうとも、それはランス次第だ。
「あなたも見ていなさいな。あの人間がどうなるかをね」
ALICEはそう言って唇を吊り上げる。
それはまさに悪魔を思わせる程、邪悪で悪意に満ち溢れた笑みだった。
「強くなったか…お前を見逃したのは…意味があったな」
魔王ジルは悠然と佇んでいる。
その圧倒的プレッシャーはランスでも悪寒が止まらない。
ランスのマントを掴んでいるお町は、初めて味わう魔王の完全体に体を震わせている。
「ジル様…何卒お見逃しを…」
「出来ぬな…これは運命だ…我が前にランスが姿を現した…それが全ての結果だ」
ケッセルリンクの言葉をジルは冷徹に切り捨てる。
その顔にあるのは明らかな喜色だ。
あの魔王ジルが実に楽しそうな笑みを浮かべている。
勿論その笑みは人間だった頃よりも遥かに禍々しい…だが、これまでの冷酷な笑みとは違う。
「ランス…再び我が前に力を見せよ。それがお前の義務だ」
「フン、奴隷が俺様に命令するとはとんでもない奴だ。だが、そう言っていられるのもこれまでだ」
ランスは剣をジルに向ける。
「ランス…」
そんなランスを見てスラルは不安の声を出す。
まさかこんなダイレクトに魔王ジルに会うなんて思わなかった。
しかもここにはレン達も存在していない。
今現在ジルを助けるのに必要な大まおーの鎌を持っているのはブリティシュだ。
つまりは今戦った所でジルを助ける事が出来ない。
「それでいい…戦う事でお前は切り抜けられる…さあ、お前の力を今一度見せるがいい…」
ジルの気配が膨れ上がり、空間が軋む。
だがランスはそんな程度では最早びくともしない。
「ジル様!」
「ケッセルリンク…お前は黙っていろ。これは我とランスの問題だ…」
ジルの言葉にケッセルリンクは無言になる。
魔王による絶対命令権、魔人はそれに逆らう事が出来ない―――例外を除いて。
「フン、いい加減俺様の奴隷を返してもらうぞ、魔王!」
ランスは剣を抜いてジルへと向かって行く。
そこには恐れも躊躇いも何も感じない。
そんなランスを見てジルは嬉しそうに唇を歪める。
本来であれば端正で美しい顔だが、魔王である事で精神に歪みが生じているのか、その笑みは禍々しい。
ランスは剣を抜き放つ。
その動きはまさに神速、ランスの居合を見切れる者はそう居ないだろう。
「なるほど」
ランスの剣はジルに当たる。
その凄まじい一撃を受ければ普通ならば胴体が両断されてもおかしくは無い。
しかし、ランスの剣はジルの腕で完全に止まっていた。
「むぐぐ…」
魔法で防がれた訳では無く、純粋に魔王という生物の硬さでランスの居合は止められていた。
「いい一撃だ。薄皮一枚…と言った所か。だが、誇れ。お前の剣は魔王に届いた」
ジルが無造作に腕を振るう。
それだけで凄まじい衝撃波が生じ、ランスの体が宙に舞う。
ランスは空中で態勢を立て直し、再び魔王に向けて剣を向ける。
同時にランスは気づく。
本気の魔王はやはりとんでもない強さを持っていると。
(リーザスで戦った時の100倍は強いぞ…あの時は何だったんだ)
ランスは知る由も無いが、リーザスで戦った時のジルは本来の魔王の血はたったの5%。
ただ、その5%でもLP期で現存していた魔人最強であるケイブリスよりも遥かに強い。
ランスが勝てたのはそれこそジルがランスという存在を見誤った事、そして世界の理を理解してしまっていたからだ。
才能限界という世界の理を知っていたが故に、ジルは尤も効率の良い手段を取った結果、自分を遥かに上回る人間を知る事になったのだ。
「ランス…やはりお前の剣は素晴らしい。だが、所詮は人間…人間で有る限り魔王には勝てぬ。いや、この地上の全ての生命体が一度に襲ってきても魔王に勝つ事は出来ぬ」
ジルの言っている事は全て正しい。
この世界の全てが魔王に挑んだ所で、魔王に勝つ事は出来ないのだ。
「そんなの関係無いわ。俺は俺の奴隷を取り戻してオシオキするだけだ」
それでもランスは退かないし退けない。
時間が無いという事は分かっている。
ランスが知るのは結果だけで過程が分からないので、より一層焦らせていた。
「あ、そうだ。ところで今は何年だ」
「…?」
この空気から放たれるには不釣り合いな言葉にジルは首を傾げる。
「だから今は何年だと聞いとるんだ。それくらい教えろ」
「何が聞きたいのかは知らないが…今はGL999年…あと少しで1000年だ」
「何だと!?」
今がGL999年…ランスがもし歴史を少しでも学んでいれば何か思いついたかもしれない。
だが、ランスはそんな事にはこれまで全く興味が無かった。
なのでランスはジルが何時カオスで封印されたのか全く知らない。
「何を驚く…? だが、我が時間は永遠だ。そしてランス…お前もな」
ジルの手に強大な力が宿る。
それはランスがリーザスでジルが使って来た不可解な攻撃だ。
あの時はランスの莫大な耐久力で耐えきったが、フルスペックのジルの攻撃には耐えられないだろう。
それに今放とうとしているのが魔法ならば、その一撃は絶対に命中する。
「行くぞ…少しは耐えろよ」
ジルの攻撃が放たれ、ランスはその攻撃を避ける。
避ける事に成功したという事は、今の一撃は魔法では無いという事だ。
ランスは一気に接近し、その剣と刀を振るう。
まさに目にも止まらぬ攻撃…なのだが、それらの全てがジルに対しては無意味だ。
生物しての力が違いすぎ、LV3技能をもってしても魔王には全く届いていない。
流石の状況にはランスも顔を歪める。
「いいぞ…ランス。それでこそお前を泳がせていた甲斐がある」
ジルの手から風が放たれ、その一撃がランスの体を傷つける。
それは魔王にとってはほんのそよ風にしか過ぎないが、それだけでも人間を殺すには十分すぎる。
「さあ…もっとだ。もっと力を見せろ」
ジルの手から放たれる風がランスを追い詰める。
これは魔法の攻撃のようで、ランスが持つドラゴンの加護のおかげで何とか耐えているが、回復魔法も無しに何度も耐えられるものでは無い。
「ランス!」
ランスとジルの戦いを見ているだけだったお町が符を構える。
そこからジルの攻撃を防ぐ壁を作るが、その壁はあっさりとかき消される。
「な、なんという威力…これが魔王か…」
「人…では無いか。だが構わぬ。私を楽しませろ」
ジルはそう言うと今度は魔法の詠唱する。
それは極普通の魔法の詠唱で有り、ジルが人間の時からも使っていた魔法。
「炎の矢」
それを炎の矢と言っていいのか分からないが、とにかく初級魔法である炎の矢がランスに放たれる。
それを見てランスは躊躇う事無くその炎に向けて突っ込んでいく。
「ランス!」
ケッセルリンクが悲鳴を上げる。
その炎は自分が使う魔法よりも遥かに上で、人間では耐えられない。
ランスの体は炎に包まれる―――と思いきや、その炎がランスの剣に吸い取られるように消えていく。
「…!」
それには流石のジルも驚愕の表情を浮かべる。
「お前が喰らえ!」
そしてランスが剣を振るうと、強力な熱線がジルに向かって放たれる。
(これは…ハウゼルのタワーファイヤーか!?)
その熱線はケッセルリンクも見た事のある、魔人ハウゼルの武器から放たれる熱線にそっくり…いや、そのものだった。
熱線はジルを包み込み、ジルは一瞬ランスの姿を見失う。
「ランスあたたたーーーーーック!!!」
そしてランスの剣から凄まじい威力の必殺技が放たれる。
それを見たケッセルリンクは驚きに目を見開く。
(…成程、これはランスが自信を持つ訳だ)
ランスが刀を使って空間を斬れるのは知っている。
だがまさか…刀で空間を斬った後、その斬った空間にランスアタックを放つなど想像もしていなかった。
そして圧縮された空間は一気に解き放たれ、それはあたかも破壊光線系の魔法のようにジルへと向かって行く。
ジルは放たれた空間の歪みに飲み込まれる。
この世の理を無視しかねない一撃を放たれ、ランスの必殺技が通過した後は何かに飲み込まれたかのような傷跡を残す。
まるで巨大な獣の咢に捩じ切られたような痕を残し、魔王城の壁すらも破壊していく。
その破壊の後に―――魔王は悠然と立っていた。
「…通用しないか」
スラルが剣の中で呻く。
ランスの必殺技は完璧だった。
まだまだ伸びしろは有るのかもしれないが、現段階でランスが放てる最高の必殺技だった。
しかし、その一撃は魔王相手には効いている様子が無い。
(いや…これが当然なのだ。魔王という存在は『強い』という言葉で表されるものではない。まさにこの世界の『頂点』に位置する存在なのだ)
自分がかつて魔王だったからこそ分かる、魔王の圧倒的な力。
それはLV3技能など全く意味をなさない、まさに別次元の力だった。
「見事だ…この世の理を外れた攻撃…確かに見せて貰った」
ジルはランスの攻撃を受けて満足そうに笑みを浮かべる。
ジルの右の肩口からは血が流れており、その端正な顔からも薄らと血が流れている。
だが、それは致命傷には程遠い傷で有り、それを見たランスは唇を強く噛んでいる。
そして剣を取り落として膝をつく。
「ランス!」
「うぐぐ…滅茶苦茶手が痛いぞ」
スラルはランスが絶望して剣を落としたのかと思ったが、どうやら必殺技の後遺症で手が一時的にマヒしているらしい。
それには安堵するが、ジルはゆっくりとランスに向かって行く。
ランスは腕だけでなく全身が痺れているようで動く事が出来ない。
ケッセルリンクは何とかランスの盾になりたかったが、魔王の命令がそれを許してくれない。
「ランス…!」
ランスを守るようにジルに対峙するのはお町だ。
「何をやっとる…! お前が勝てる相手じゃ無いぞ」
「分かっておる…じゃが、黒部殿もお前を守って散った。我とて妖怪王の矜持がある…むざむざとお前を殺させはせぬ」
そう言うお町だが、全身が震えている。
それは当然、魔王の前にいるからだ。
「…無力」
ジルは短く言うと、魔王の風がお町を吹き飛ばす。
お町は大きく吹き飛ばされ、そのまま地面を転がる。
「いかなる存在とて…魔王には勝てぬ。例外を除いてな…」
ジルはそのままランスの下へと近づき、そのままその顔を覗き込む。
「まだ…諦めていないな。流石、と言っておこう…」
ジルは嬉しそうに笑うと、そのままランスの顔を撫でる。
人間の頭を簡単に潰せる魔王の手だが、その動きは非常に優しい。
「やはり…お前を見逃したのは…正解か。お前は魔人になって伸びるのではない…人の身であってこそその力は伸びる…」
ジルの手が淡く輝くと、その光はランスの体を包む。
「む」
ランスはその光を受けるとすぐさま剣を拾ってジルに突き付ける。
が、ジルはそれを予測していたように指で止める。
「少し…動くな」
「うぐ」
ジルがランスの目を覗き込むと、ランスの体が金縛りにあったように動かなくなる。
ジルはそのままランスを立たせ、その体に触れる。
「やはり…無理をしたか…お前らしい…だが、新たな力を得たのは事実…その力に肉体が追い付いていないか」
薄く微笑むとジルはランスの体を掴んでベッドに向かって行く。
そのままランスをベッドに寝かせると、
「褒美をやりたいが…やはりダメだな。お前を本気にさせるには…何かが足りぬ」
ランスの目を覗き込む。
そこにあるのは「魔王」としてのジルの目だ。
かつてリーザスで戦った時の魔王ジルの目にランスは冷や汗が出てくる。
本気の魔王がここまでの強さを持っているとは、ランスとしても予想もしていなかった。
「スラルに呪いをかけた…奴の力を封じる事で、お前は新たなステージに踏み出した…それは功を奏したか」
「…やはり我を封印したのはそれが理由か」
スラルはジルが何故自分に呪いとも言える封印をしたのか、その理由に合点が行く。
前から予測はしていたが、やはりランスを煽るためだったようだ。
そしてその想像通り、ランスは新たな力を開花させた。
「だが…スラルだけでは足りぬ、か」
ジルは一度ランスから離れるとそのまま動く事の出来ないケッセルリンクとお町を見る。
そしてその顔に邪悪とも言える笑みを浮かべる。
「来るがいい…お前達」
「はい…」
ケッセルリンクは魔王の言葉に従い、倒れているお町を抱き上げてジルの下へと向かう。
「こいつも…いい素材になりそうだ…妖怪、か」
「待て、お町に手を出す事は許さんぞ」
ランスは動けないながらも本気でジルを睨む。
ランスにとっては自分よりも、自分の女に手を出される方が遥かに怒る。
それを見てジルは嬉しそうに笑う。
「フフ…こいつは…いい。お前に一番効くのは…」
ジルはお町をランスの隣に投げ捨てる。
「ク…」
その衝撃にお町は目を覚ますが、魔王の風をまともに浴びた事で今も体が動かない。
「ランス…お前に一番有効なのは…スラルでもレンでも無い…一番は…こいつだ」
ジルはケッセルリンクの首を掴む。
「かはっ…」
その衝撃にケッセルリンクは呻くしか無い。
魔人四天王のケッセルリンクであろうとも、魔王の前では全く相手にならない。
「いい加減にしろよ」
ランスの声が低くなるのを聞いてジルは余計に嬉しそうな笑みを浮かべる。
そして背後からその豊満な胸に触れるが、ケッセルリンクの口から出たのは苦痛の呻き声だ。
「ケッセルリンク! おいジル! 今すぐその手を離せ」
「フフ…やはりか。お前にとって今一番大切なのは…こいつだ」
ジルは悠然と微笑むと、そのままお町と同じようにランスの隣にケッセルリンクを投げ捨てる。
「起きろ、ケッセルリンク」
「はい…」
ジルの命令通り、ケッセルリンクは起き上がる。
「ククク…貴様に相応しいモノを用意してやる。着替えろ」
ジルは空間から服を取り出すと、それをケッセルリンクに向かって投げ捨てる。
ケッセルリンクは躊躇う事無くジルが取り出した服を身に着ける。
「よく似合う…やはりお前も女だな…」
ジルは嘲るようにケッセルリンクの姿を笑う。
首輪をつけられ、卑猥なボンデージに身を包んだケッセルリンクはどう見ても奴隷のようだ。
「フフフ…貴様はそこで見ているがいい」
そしてそのままランスの体に触れると、あっという間に服を脱がせてしまう。
「おい、まさか…」
「これは褒美では無い…罰だ。貴様も見ているがいい…」
ジルは楽しそうに笑うと、同じように倒れていたお町を見る。
お町は恐怖からか黙って頷くしかない。
ジルはそのままランスの体に触れ、その唇を奪う。
相変わらず魔王の体は最高で、触れられるだけで性的興奮が高まる。
ランスのハイパー兵器は既に天を向き、ジルはそれを見て手を伸ばす。
そして魔王とは思えぬ手で優しく触れながら、ランスに情熱的なキスをする。
「ランス…お前は興味深い…人でありながらも尚も強くあろうとする。あの男と同じようにな」
「何をいっておる」
「あの男は無理矢理魔人にしたが…お前にはそうしようとは思わぬ。だが…こうすればどうだ」
魔王の目が紅く輝くと、ジルの黒い手がケッセルリンクに延ばされる。
そのまま首輪の上からケッセルリンクの首を掴むと、そのままランスに向かって突き付ける。
「ケッセルリンクを殺す、そう言えばお前は魔人になるか」
「な、何をいってやがる!」
ジルの言葉にランスは怒鳴る。
が、そのジルの顔を見て冷や汗が出てくる。
(まずいぞ…ジルの奴は本気だぞ。気配が完全にリーザスの時と同じだ)
リーザスの時の魔王ジルは本当に恐ろしい相手だった。
ノスが食事中と言っていたが、リーザスの広間で捨てられてた死に切れていない者達の姿…それこそが魔王ジルの恐ろしさだった。
決して殺さぬようにギリギリの所まで命を吸う…結果、人間は限界まで追い詰めれられてから殺される。
ジルがランスという人間を認識したのもノスを倒したからではなく、オルケスタの息吹によってランスがジルを上回ったからだ。
ジルにとっては自分に忠実な魔人だろうと全ては駒で、ノスであろうとも死んでも構わなかったのは間違いなかった。
そして今のジルにはその時の兆候が露になっている。
もしランスが拒めば…ジルは躊躇いなくケッセルリンクを「用済み」として始末するだろう。
「いや、駄目だな…お前は自分の女の為なら躊躇わないだろう。それでは意味が無い…」
しかしジルは目を細めるとそのままケッセルリンクを投げ捨てる。
「ジル様…」
「貴様を餌にしてランスを魔人にしても…面白くないな」
ジルは自分で言っていて不快そうに呟く。
その目にあるのは明らかな苛立ち、そして…嫉妬だった。
ランスは自分の命を惜しさに命乞いなどしないが、自分の女の為なら魔人になる事を選ぶ男だ。
それに気づいた時、ジルは言いようの無い不快感に襲われた。
何しろ『唯の人間』が、魔王よりも魔人のために自分の軍門に下ると言うのだ。
それはジルにとっては非常に不愉快な事だった。
「まあいい…まずは…お前を楽しむ」
そう言ってジルは自分の唇を舐めると、そのままランスを押し倒した。
そのままハイパー兵器を受け入れ、最初から全開で体を動かす。
「うおおおおお…!?」
その刺激にランスは思わず暴発しそうになるのを必死で押さえる。
相変わらず魔王の体は極上の肉体で、ただハイパー兵器が迎えられただけだというのにそれだけで達しそうになる。
何とか耐えようとするが、やはり魔王の肉体にはそう長くは耐えられそうには無い。
(うぐぐ…どうする。前にやった時よりも凄いぞ。リーザスの時には…いや、あれは無いな)
異空間でジルとセックスした時は、彼女の要望も有りランスとしてはアブノーマルなセックスをした。
相手の首を絞めるというランスならば絶対にやらないプレイだが、魔王相手ならば話は別だった。
だが、流石にランスは目の前のジル相手にはそんな事はする気にならない。
相手が魔王ジルならばするかもしれないが、目の前に居るのはランスの奴隷であるジルでもあるのだ。
シィルを相手に叩いたりはしているが、女を傷つけるセックスをするのはランスの性格的には合わないのだ。
「フフフ…さあ、お前も私を楽しませろ。そしてお前も楽しむがいい」
ランスは何とか主導権を握りたいが、流石に相手が魔王なので力づくでは対処は出来ない。
なので他の事で紛らわせる以外に方法は無い。
まあどんな事が起きようと、ランスにとってはセックスは最高の快感だ。
更には魔王の肉体はそれこそ最高で、ランスとしては俄然乗り気にはなる。
態勢を入れ替えれないなら、それ以外の方法で刺激を与えるしかない。
ランスはジルの形の良い胸に触れる。
手に吸い付くような見事な感触にランスは思わず幸せそうな笑みを浮かべる。
ジルはそんなランスを見下ろし、満足そうに笑う。
「フフフ…」
ジルの体から力が抜け、ランスは体を起こしてジルを押し倒そうとするが、ジルの体は動かない。
「まだだ…」
ジルはランスから一度体を離すと、そのまま後ろ向きになってハイパー兵器を飲み込む。
そのままランスに背中を預け、蠱惑的な笑みを浮かべる。
ランスはそのまま背後からジルの胸を揉みながら刺激を与える。
「ケッセルリンク…舐めろ」
「…はい」
魔王の命令にケッセルリンクは悲しそうな目で、二人の結合部を舐める。
そんなケッセルリンクを見てジルは唇を吊り上げると、そのままランスの頭を掴んで唇を奪う。
ランスは何かを言いたいが、魔人は魔王の命令には絶対服従。
誰も文句も言えない。
ジルの背後からケッセルリンクの顔が少しだけ見えたが、その顔には確かな悲しみがランスには分かった。
(むむむ…これはいかんぞ)
セックスは楽しくするものであり、誰かを悲しませるようなプレイは極限状態でも無い限り今のランスでもあまりしない。
昔は平気で女を襲っていたのを棚に上げでランスは思う。
「あ」
そして放たれるランスの皇帝液。
少し気を抜いただけで極上の魔王の肉体の前では直ぐに達してしまう。
「ククク…きちんと綺麗にしろよ…」
「分かりました」
ケッセルリンクは溢れ出てくるランスの皇帝液をその口で舐めとる。
ランスはこの関係を見て思い知る。
魔人もまた、魔王の前では奴隷同然の存在になるという事を。
ようやくGL期も終わりに近づきました
そして一番問題なのが魔王戦争…これを書いてた時にはそんな設定無かったんですよね
これも考慮した結果、ガイがフルスペックジルを追い詰めるなんてあり得ないとも思った訳で
5%ジルと4年戦ってようやく封印できたのに、フルスペックジルなんて無理だろと
いくら魔人になって弱体化したと言っても、魔王級から魔人級に弱体化とか幅大きすぎですし