ランス再び   作:メケネコ

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全ての終わり

「勇者を倒したか…意外と言えば意外だな」

 ガイはランスを見て目を細める。

 勇者の事はガイも調べており、人間の身でありながら魔王を倒す事が出来る―――らしいとの事だった。

 ガイも勇者を見つけたが、実際に勇者は非常に強かった。

 ただ、それでも魔王ジルに勝てるとは到底思えなかった。

 それでもガイは準備を重ねてきた。

 チャンスが来るまで何年でも、何百年でも待ってその刃を研ぎ澄ませるつもりだった。

 そしてチャンスは巡って来た。

 ジルの力が異常なまでに弱まり、魔人ガイの力でもジルを倒せると思った。

 そのつもりで行動を起こしたが…とんでもないイレギュラーが現れる事になった。

「フン、あんな奴で俺様を倒せると思ったら大間違いだな」

 イレギュラーの男は不敵に笑う。

「…そのようだ。どうやら勇者が力を発揮する条件は別にあるようだ」

 ガイは勇者の本質については知らない。

 そう、勇者とはこの世界の人口によってその力が大きく変わる。

 ジルはそれを知っているからこそ、人間牧場を作り勇者が力を発揮できない仕組みを作り上げた。

 ただ、その事を誰にも話さなかっただけだ。

「おい日光…お前、自分が何をやってるのか分かっとるのか」

 そしてガイの手の中にあるカオスの声は普段よりもかなり低い。

 そこにはカオスが本気で怒っている声色を日光は感じ取った。

「分かっています。ですが、私には昔かわした約束が有ります。そしてそれを果たさなければいけないのです」

「魔王を殺す以上に重要な事なんてあるか!? 何のためにワシ等はこの姿になったのか忘れたか!」

「勿論忘れていません。それでいて…尚私にはやらなければいけない事があるだけです」

「なんつー頑固な奴じゃ! 全く…お前は一度決めたら梃でも動かん奴だったな」

 カオスは怒りながらも日光に対して苦笑するしかない。

 元々そういう奴だが、それでもカオスにとって日光は仲間だ。

 その日光が決めたのならば自分が何を言おうが最早無駄だ。

「まあ死んでも恨むなよ。儂の目的は一つ、魔王と魔人を殺す事だからな」

「ええ…それは私も同じ。ですが、今だけはその約束を忘れなければなりません」

 カオスと日光、そしてその持ち手は互いに睨み合う。

「惜しいな」

「何がだ」

「お前の強さだ…人間にしては異常な強さだ」

「突然気持ち悪い事を言うんじゃない。まさかお前まで俺様を使徒に欲しいとか言い出すつもりじゃ無いだろうな」

 ランスの言葉にガイは苦笑する。

「使徒、か。成程、その手段もあったな。だが不要だ。お前は使徒にした所で大人しくする奴じゃない」

 ガイは真顔になってランスを見る。

 その視線の先に有るのは魔王ジルと、そのジルと何らかの詠唱をしている女。

 二人が何をやっているかは分からないが、ガイとしては何をやっていようが構わなかった。

 ジルを殺す、そのためにこれまで生きてきたのだ。

 どんな奴だろうが、邪魔をする奴は許さない、それがガイの生きる理由だ。

「フン、とにかく俺の女を虐める奴は絶対に許さん! ぶっ殺す!」

 ランスは日光を片手に、ガイもカオスを手にして二人はぶつかりあう。

「おい日光! お前本当にそれで良いと思ってるのか!? お前一時の感情で魔王を殺すチャンスが無くなるんだぞ!」

「分かっています! ですが…これも決して曲げられぬ事なのです!」

「かーーーーーっ! この頑固者が!」

「お互い様でしょう、カオス」

 日光とカオスは互いに言い合いながら、それぞれの持ち主の手で力を発揮する。

「多少はやるようだが、所詮は人間。魔人を倒せるとは思わないことだな」

「そう言って偉そうにして来た奴を俺様は何匹も殺してきたんだ。お前もその中に入れてやるわ!」

 ランスはカオスを日光を使って滑らせると、そのまま逆の手で剣を振るう。

 日光の攻撃で無ければガイもそこまで慌てる事は無いが、それでもランスの攻撃は非常に痛い。

 なのでガイは魔法を使ってランスの攻撃を防ぐ。

 それを見てランスは舌打ちをする。

 ランスもこれまで魔法戦士と言われる存在を見てきたが、その相手は中途半端だった。

 エレノア・ラン、ウィチタ・スケート等剣と魔法を使う戦士は居るが、ランスの目から見てもこの二人はそこまで強くは無い。

 勿論それはランスが世界トップレベルの戦士だからではあるが、とにかく彼女達と比べるとガイはレベルが違う。

 それこそケッセルリンクが魔法戦士なのかもしれないが、ガイはそのケッセルリンクを剣で上回る。

 彼女のような厄介な能力は無いが、剣も魔法も高水準のまさに万能の戦士、それが魔人ガイだ。

「確かにお前は強い。剣だけならば私を上回る。だが、剣だけでは勝てぬ」

「むぐぐ」

 ガイの指摘にランスは呻く。

 それはガイの言葉通りで、確かに純粋な剣術ならランスはこの魔人を上回る。

 しかし、それ以外の部分はガイが全てにおいて上回っている。

 魔人と人間の決定的な部分でガイはランスを圧倒していたのだ。

「雷の矢」

「あだだだだ!」

 そして厄介なのはこの魔法。

 ランスが魔法防御を高めるドラゴンの加護を持っていても大きなダメージを与えてくる。

 しかも下級魔法でこれなのだから、上級魔法を使われればそれこそ命に係わるだろう。

 ランスが魔法を受けてよろけた所でカオスが迫る。

 ランスは何とかそれを避けようとするが、どうしても態勢が悪かった。

 その一撃でランスは吹き飛ばされ、距離を取られてしまう。

「終わりだ。デビルビーム」

 そしてガイの強烈な魔法がランスに向かってくる。

 ランスが防げるのは炎と氷の属性のみで、それ以外の攻撃は防ぐ事は出来ない。

 流石のランスも冷や汗が流れると、そのランスの前に一人の女性が立つ。

「この!」

 レンは盾を構え、ガイの放った魔法を何とか防ぐ。

 流石に腕が痺れるが、それでもガイの魔法にも耐えられるのが彼女の強さだ。

「流石にキツイわね…」

「あれ? お前背中の羽根はどうした」

 ランスはチラリと見たが、その時には彼女の背中には翼が生えていた。

 だが、今はその翼は消えてしまっていた。

「時間切れ。というよりもあいつに消された…というのが正しいわね」

「使えんのか」

「使えるようになるのに時間がかかるってだけ。でも…相当に厳しいわね。あの時のククルククルの時よりもね」

「む」

 ククルククルの名前が出てきて流石のランスも顔を歪める。

 魔王ククルククル…あの存在こそまさに最強と呼ぶに相応しい存在だった。

 ランスの他にもドラゴンのアベル、そして魔人のケッセルリンクとカミーラ、そしてその配下の者達が居てようやく倒せた相手だ。

「まさか頼みのケッセルリンクまでああなっちゃうし…スラルは何かやってるし」

 ケッセルリンクは再び封印され、スラルはジルと共に何かをやっていた。

「ランス殿」

「無事か、ランス」

「何だ、お前等もういいのか」

 そして怪獣王子とお町もランスの隣に立つ。

 二人とも傷だらけだが、その目から戦う意思は消えていない。

「勿論ですぎゃ。ここで退く訳にはいきませんぎゃ」

「これまでの事を考えればまだマシよ。妖怪王としても退けぬ所よ」

 ランス達はガイを相手にして一歩も退かない。

 それを見てガイは内心で複雑な思いを抱いていた。

(…何故この者達はジルを助ける。ケッセルリンクは魔王の命令があるから分かるが)

 ガイから見ればランスは狂人だ。

 人間に地獄を見せている魔王を助ける。

 それはまさに人類への裏切り行為だ。

 ジルに媚びを売って魔人になるというのであれば分かるが、そんな気配は全く無い。

 あのジルを相手に対等…いや、自分の方が上だと言わんばかりの態度。

(いや…むしろこいつ等は旧知の仲と言われた方が納得する。そんな事はありえない…違うな。この世界はありえないことだらけだ)

 ガイ自身も他の人間に比べればありえない体験をしている。

 だったら自分以外にありえない体験をした人間が居てもおかしくない。

 そのあり得ないが重なったからこそ、カオスと日光という存在に出会えたのだ。

(それに…そのおかげでジルを確実に倒せる)

 ガイはそんな内面を見せないまま、ランスに向かって行く。

「邪魔者は誰であろうと消す」

「その前に俺様がお前を殺してやる。魔人筆頭だろうが何だろうが、そんなのは関係無い」

「フッ…恐れ知らずと言うべきか。だが無謀だ」

 そのままガイはランスに向けてカオスを振るう。

 ランスはカオスを受け止め、日光で反撃をする。

 ガイは魔人の力を使い、力任せでランスを押していく。

「ぐ…」

 ガイの攻撃を受けてランスの体はだんだんと悲鳴を上げていく。

 これが人間と魔人の違い、即ち基本的な能力の差だ。

 ランスは勇者とも戦っており、そこでも結構苦戦していた。

「ランス!」

 レンはランスを援護しようと動くが、

「電磁結界!」

 ガイの放つ強烈な魔法がレン達を襲う。

 それだけで怪獣王子は倒れそうになるが、何とか踏ん張る。

 そしてランスの攻撃を受けているガイに向かって行く。

「倒れないか!」

 ガイは怪獣王子の体力にも驚く。

 この男(?)は何度もガイの魔法を受けているが、それでも全く退く様子は無かった。

 ガイからすればモンスターにしか見えないのだが、その認識は間違っていた。

 怪獣王子の強烈なタックルがガイを襲う。

「くっ!」

 ランスの攻撃を捌きながら怪獣王子の尾の攻撃まで避けられず、ガイは怪獣王子の攻撃を受ける事を選ぶ。

 日光が突き刺さった傷はガイにとっても大きく、その部分を狙った怪獣王子の攻撃はガイでも無傷ではいられない。

「エンジェルカッター!」

「雷撃!」

 そこをレンの魔法とお町の電撃が襲い掛かる。

「ハッ!」

 ガイは魔法バリアで二人の攻撃を防ぐ。

 簡易的なバリアだが、それでも二人の攻撃を防ぐには十分過ぎる強度だった。

 ランスはそんなガイに向けて日光を構える。

 流石に距離があったのでガイとしてもランスの攻撃の意図は分からなかった。

 だが、それでもガイも一流の剣士でもあった。

 ランスの刀が抜かれると、自分の立っていた場所が歪む。

 何かが斬られるようなエグイ音と共に空間が歪む。

 それは破壊力となって現れるが、ガイはそれを感じ取って顔を歪めた。

(…成程な。ジルが見込むだけはあるか)

 まさか剣士である人間が遠距離攻撃をしてくるとは思っても居なかった。

 しかし、それでもガイの優位性は変わらない。

 ガイもまた強力な遠距離攻撃を放てるのだから。

「白色―――破壊光線!」

 そしてガイは強力な魔法を放つ。

「うげ!?」

 ランスはそのあまりの威力に流石に目を見開く。

 それはランスの良く知る魔想志津香の得意技であったが、その志津香の威力を優に超えている。

「くっ…何処まで持つか…!」

 レンはランスの前に立って盾を構える。

 魔法を使って魔法防御力を高めるが、相手の魔法の威力はそれこそ桁違いの威力だ。

 ランスとレンは光に飲み込まれて吹き飛ばされる。

「…洒落にならないわね。威力だけならあのレッドアイの方が上だけど、能力は段違いよ」

 レンは冷や汗を浮かべながらランスと共に立ち上がる。

 何とか防いでは居るが、あと数回防げれば良い方だろう。

 それほどまでに相手のレベルが異常だった。

「アニスのように暴走はせんか」

「凄いレベルで安定しているのよ。冷静なレッドアイと考えれば分かるんじゃない?」

「レッドアイって…ああ、あのキ〇ガイか」

 ランスはレッドアイの事は覚えていた。

 何故ならレッドアイはランスの女であるシャロンを殺した奴だからだ。

 その後でカミーラとも戦ったが、あの異常なまでの魔法の威力は流石にランスも忘れてはいなかった。

 目の前の男は確かにレッドアイに比べれば威力は低い。

 ただし、ガイは己の魔力を100%使いこなす頭がある。

 考える力が無く、力押ししか出来ないレッドアイとはまさに次元が違う。

「だがあいつはいつ詠唱した。詠唱無しでアレは撃てんだろ」

 白色破壊光線は志津香がよく使っていたのでその威力はよく分かっている。

 同時にその弱点も分かっており、あの手の魔法はどうしても時間がかかる。

 だからこそ魔法使いを守る壁が必要になるのだが、ガイは何をどうやっているのか異常なまでに詠唱が早い。

 それは高速詠唱のスキルがあったとしてもあまりに不条理な速度だった。

「さあ…それは私には見当もつかない。でも…何度も防げないわよ」

「なんだ、神になったとか言う割にはそんなでも無いな」

 ランスの言葉にレンは呆れた顔をする。

「あのね、神といっても色々あるの。それに私達は人間のアンタにも負けて犯されたでしょ」

「そういやそうだったな。それを考えたら神もそんな大差ないな」

「バスワルド様やクエルプラン様にそんな事言うんじゃ無いわよ。世界終わるから」

「とにかくお前はあっちを守ってろ。何かやってんだろ」

 ランスはジルとスラルを見る。

 二人は一心不乱に何かをやっているようで、こちらの戦闘にも関わらない。

「…行けるの?」

「当たり前だ」

 レンの言葉にランスは何時ものように答える。

 それを聞いてレンはため息をつく。

「私の仕事はあんたを守る事なんだからね。でも…今回はやってあげるわよ」

「フン、その前に俺様があいつをぶっ殺してやる」

 ランスはガイへと向かって行く。

 ランスの動きに合わせ、怪獣王子もガイへ向かって行く。

「ぶっ殺す!」

「倒すぎゃ!」

 ガイはランス達を迎え撃つ。

 やはりその力は異常で、剣と魔法を使ってランス達を捌いて行く。

 特に魔法のレベルが異常で、尚且つ戦い方が上手い。

(なんかやりにくいぞこいつ)

 ランスが思っているのはやはりやりにくさだ。

 これまでランスが戦って来た魔人はやはりランスが「人間」だという事で油断があった。

 ランス相手に徹敵的に油断をしなかったのはそれこそ人間相手に苦渋を舐めさせられた、魔人ザビエルくらいだろう。

 例えランスがカオスを持っていても人間を見下し、油断するのが魔人だったというのに、ガイにはそれが全く無い。

 これがランスと付き合いの長いケッセルリンクやカミーラ、そしてランスと共に戦った事のあるレイならば話は分かるのだが、ランスはこの魔人が自分相手に徹底的に全力で戦ってくる姿に違和感を覚えていた。

 ランスは知る由も無いが、ガイもまたランスと同じように戦って来た人間なのだ。

 姑息と呼ばれる手段だろうが躊躇わず使い、勝つためにはなんだってする。

 そしてランス同様に、魔人からは舐められていた。

 だからこそガイはそこに付け込んできた…故にガイはランス相手に油断は無い。

 ランスはガイを相手に焦っているのだが、それは実はガイもそんなに変わらない。

(この男を完全に無力化するまではジルには中々手は出せんな)

 戦いはガイが有利に進めてはいる。

 だが、ガイとしてもこの脇腹の傷には苦しめられていた。

 魔人の再生能力が機能せず、その場所からは痛みが襲ってきて思考能力を鈍化させる。

 そしてこの男の一撃はまさに必殺の一撃で有り、ガイは絶対に食らう事は出来ない。

 その上でガイはジルを相手しなければならないのだ。

 この状況でジルが自分に攻撃してこないのは僥倖と思った程だ。

 しかし―――ガイにはこの状況を一変出来る自信がある。

(そう、もう少しだ…もう少しで全ては終わる)

 ガイは確実にランス達に対して有利な状況を作り出している。

 そしてランスはその状況に気づいていない。

 それはガイがこの戦況を支配しているという事に他ならなかった。

「ラーンスあたたたーーーーーっく!!!」

 ランスの必殺の一撃がカオスにぶつかる。

「あだだだだだ! 折れる折れる!」

 カオスはランスの攻撃を受けて悲鳴を上げる。

 カオスもやる気は十分なのだが、それはランスも同じだ。

 そして純粋な剣ではカオスよりもランスの持つ剣の方が強い。

 その上ランスの剣の技術はガイを上回っているので、そのしわ寄せがカオスに来た形になる。

「黙ってろ、カオス」

「わかっとるわ! じゃがこいつは剣だけならお前よりも強いぞ!」

「剣だけだ」

 ランスアタックを受け止めたガイは力技でランスを押し返す。

 ランスはその力を上手く受け流し、そのままガイに居合斬りを放つ。

 先程にガイの脇腹を突き刺した所を執拗に狙っており、ガイとしても警戒せざるを得ない。

 万が一にでも追撃を受ければ、ガイとしても戦闘が難しくなる可能性がある。

「くっ!?」

 そしてガイがランスに気を取られていると、横から怪獣王子の拳が突き刺さる。

 怪獣王子はランスが先程につけた傷を狙っているのを理解し、それ以外の場所を攻撃する。

 その怪獣王子の攻撃もまたガイの想像を超えていた。

(まるでレイだな…いや、この男と連携してくる分レイより厄介か)

 この緑色のモンスターに見える存在だが、非常に強い。

 それが連携を取って来るのだからガイとしてもやりにくい。

 しかし―――それでもガイは魔人筆頭だった。

 確かにランスも怪獣王子も強い…しかしガイはもっと強いのだ。

「電磁結界!」

 ガイの放った魔法がランス達を襲う。

 その威力にランスと怪獣王子は倒れる。

「ランス! 怪獣王子! 回復の雨!」

 ランスと怪獣王子が倒れたのを見てレンが回復魔法をかける。

 二人は何とか起き上がるが、そこにガイが追撃を加える。

「終わりだ!」

「も、申し訳ありませんぎゃ…ランス殿」

 ガイの攻撃を受けて怪獣王子はとうとう倒れる。

 流石に傷が大きい様で、怪獣王子はもう立ち上がる事は出来なかった。

 生きているのは間違い無いが、それでもこの戦いではもう起き上がれないだろう。

「人間…お前に勝ち目は無い」

「やかましいわ!」

 ガイの言葉でもランスは構わずにガイに向かって行く。

「ライトボム!」

「ランス!」

 ガイの魔法に対してランスを庇うべく動いたのはお町だ。

 ライトボムがお町に直撃してお町は吹き飛ばされる。

 ランスはそれに対して怒りでボルテージを上げ、ガイに向けて必殺の一撃を放つ。

「鬼畜アターーーーーック!!!」

 ランスアタックを連続で放つ必殺の一撃。

「ぐっ!」

 流石のガイもそれを完全には防ぐ事が出来なかった。

 致命の一撃になりかねない日光の攻撃だけは防ぎ、それ以外はカオスで防ぐ。

 しかし流石に鬼畜アタックを完全に防ぐ事は出来なかった。

 幸いにも脇腹の傷口には攻撃は当たらなかったが、胸から腹にかけて日光が大きく傷をつける。

「まだだ!」

 ランスは更に剣と刀を構える。

 その構えを見てガイもカオスを構える。

 体は痛むが、そんなのはガイにはもう関係無かった。

 この一撃で全てが終わるのならば、ガイには後の事はどうでも良かったのだ。

「ランスアターーーーーーック!!!」

「ラグナロク!」

 空間をも斬り裂く、ランスの持つ本当の意味での必殺の一撃。

 それをガイが持つ必殺の一撃。

 それがぶつかり合って凄まじい衝撃波が生み出される。

「ランス!」

 レンはその力場を見て慌てて飛び出す。

 そして、もう一方の当事者であるガイは完全に予想もしなかった結果に目を見開く。

「な、に…!?」

 自分の放った必殺の一撃が、ランスの放った必殺の一撃に飲み込まれたのだ。

 完璧に飲み込まれた訳では無いが、自分の必殺の核である部分はランスの放った空間の歪みに無残にも飲み込まれた。

 ガイはそれに背筋が凍るが、それでもやはりガイは特別だった。

「フン!」

 ガイは強力な魔法バリアを放ってランスの必殺技を防ぐ。

 が、ランスの攻撃はそんなのは関係無いと言わんばかりにガイの体を傷つけた。

「ぐはっ!」

 それでも運はガイにあったのだろう、日光が突き刺さった脇腹にはランスの一撃は当たらなかった。

 代わりに逆の脇腹が大きく抉られ、ガイは膝をつく。

 しかし、それでもガイは立ち上がる。

「まさか…これを使う事になるとはな…ジルとの戦い以外でな」

 ガイは用意していた薬を飲み干す。

 するとガイの傷がどんどんと塞がっていく。

 バランスブレイカーのアイテムで、どんな傷をもすぐさま癒す伝説の秘薬。

 本来はジルとの戦いにために用意していたものだったが、まさか人間との戦いで使う事になるとは思わなかった。

 そしてガイのラグナロクの余波を受けたランスは、膝をついている。

 その体は既に傷だらけで、もう立っているのが精一杯という感じだ。

 そしてその側には動けないレンが倒れている。

 レンは最後の力を振り絞って、ランスを何とかガイの技から救ったのだ。

 その代償としてレンは気を失っていた。

「ぐぐぐ…まさかこの俺が」

 ランスは何とか剣を構えようとするが、体に力が入らない。

 そんなランスを見てガイは悠然と近づいてくる。

「これで終わりだ…人間。確かにお前は強かった。しかし、俺には届かなかった。それだけだ」

 ガイはカオスを構える。

「恨むのならば魔王についた己を恨め。死ね」

 そしてカオスはランスに向けてその剣を突き刺そうとし―――その剣は間違いなく体を貫いた。

 しかし、ガイが貫いたのはランスでは無かった。

「な…ジル!? お前!?」

 ランスが見たのは、カオスに心臓を貫かれているジルの姿だった。

 そして―――ガイはそれを見て確かに笑っていた。

 




次回でGL期が終わります
そして次に入る前にランス4をクリアしたいと思います
時間が無くてプレイ出来てないんですよね…
しかも中途半端に放置していたせいで、あまり内容を覚えていないという
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