その魔物将軍は新たな魔王の元へと向かう所だった。
別に何の変哲もない魔物将軍であり、人間牧場の管理をやらされていたごく普通の魔物将軍だった。
しかし、魔王の変更があった事で早速新たな魔王の元へと馳せ参じようと思いついた。
人間牧場の管理は魔物達にも苦痛の作業であり、人間が死なないように気を遣わなければならない。
それは非常にストレスが溜まるが、それが魔王の命令である限りは従わなければならないのだ。
「将軍、ここから魔王城までは結構距離がありますな」
「仕方ないだろう。ここは人間牧場の中でも辺鄙な所だったからな…」
だが、辺鄙な所だったからこそ、魔王ジルからも干渉されなかったのかもしれない。
それを考えれば善し悪しがあるなと魔物将軍は感じていた。
「新たな魔王…いや、まさかガイ様が魔王になるとは…」
「ああ…ガイ様はジル様の側近だった方だ。一体何が起きたのか…」
ここの魔物将軍の所にはたまたまアコンカの花が有り、そこで世界の改変を知らされた。
魔物将軍はこれ幸いに、別の者に管理を任せて魔王城に向かっている。
「ジル様の統治以上に苦しいなんて事は無いと思うが…」
誰もが不安そうな顔をしている。
ここにいる魔物兵達は魔物牧場生まれで、人間を管理するためだけに生かされていた存在だ。
それを思えば自分達は運が良いのだろうと魔物将軍は苦笑するしかない。
そう、彼等は運が良かった―――あくまでもここまでは。
「あれ? 何の光」
先頭を歩いていた魔物兵が、突如として襲って来た光に気づいた時、既にその光は魔物達を飲み込んでいた。
「え?」
光に飲み込まれて消滅した同僚を見て、魔物兵は間の抜けた声を上げる。
しかし、そんな魔物兵に比べて魔物将軍の反応は早かった。
「敵襲だ! 全員隊列を組め!」
流石の魔物将軍と言うべきか、その言葉に魔物兵達は一斉に動き出す。
その時、底抜けに明るく楽しそうな声が響く。
「がははははは! 死ねーーーーーーーっ!!!」
「え? 人間? ぎゃああああああ!」
ランスの強烈な一撃が魔物兵の一団を吹き飛ばす。
ランスアタックの強烈な攻撃が十数体の魔物兵の体をバラバラにする。
「に、人間!?」
突如として現れた襲撃者に魔物兵達に動揺が広がる。
ランスはその動揺を見逃さずにあっという間に魔物達に斬り込んでいく。
日光もランスに続き、魔物兵を斬り捨てていく。
「落ち着け! 陣形を組め!」
突然の襲撃者に魔物将軍も驚きはしたが、直ぐに冷静になって指示をだす。
魔物将軍の号令に直ぐに魔物達は隊列を組みなおす。
「敵はどれだけいる!?」
「そ、その…5人です!」
「何だと!? たった5人!? たった5人で我等を襲撃してきたというのか!?」
魔物将軍は部下の報告に驚きと共に嘲笑を浮かべる。
そう、確かに無謀と言う以外に他は無いだろう―――それが普通の人間だったのなら。
「ジル、大丈夫?」
「は、はい、大丈夫です」
レンはあえて突っ込まずつにジルを守るためにその側に居る。
いくら人を超えた力を持っていると言っても、その姿はまだ少女そのもの。
何かの影響が起きないとも限らないので、レンはランスに言われて彼女をガードしているのだ。
『ジル、落ち着け。前と同じような方法で問題無い』
「は、はいスラルさん」
ジルの中ではスラルが目を覚ましたのか、自分の力におっかなびっくりのジルに助言をする。
これまでの大人の体との違い、そして前よりも大きな魔力にジルは戸惑っている。
ましてやこれがこの体にとっての初めての戦い、不安になるのも無理は無いだろう。
「ま、大丈夫そうね」
レンはジルの様子に僅かに唇を上げる。
「ランス様は大丈夫でしょうか」
「問題無いでしょ。それこそ今のランスには200程度ならね」
そう、今のランスは強い。
魔人ともまともにぶつかり合うことが出来る、まさに規格外の存在。
更に言えば神からの試練を乗り越える事で、破格の力を身に着けている。
ただ、その試練が非常に難解で、それこそランスくらいにしか突破が出来なかったものだっただろう。
一体誰が魔人カミーラや魔人ケッセルリンクの協力を取り付けられるというのか…そこがランスの一番凄いところかもしれない。
「ランス様…前よりも強くなったんですね」
「ジルが居ない時に色々有ったのよ。まあ無駄じゃなかったでしょ、あなたを取り戻した事とか」
レンは自分が非常にらしくない事を言っていると自覚しながら、内心で苦笑してジルの肩を叩く。
「で、まだやれる?」
「勿論です。この体でも私は十分に役に立てることをランス様に見せないと…」
ジルは深呼吸すると意識を集中させる。
体は小さくなってしまったが、これまでの経験は生きているし魔力も前よりも上がっている。
自分はランスの役に立つという事をアピールしなければならない。
そう意気込んでいると、その頭が優しく撫でられる。
「焦るんじゃ無いわよ。今のジルはジルなりにランスは見てくれるわよ」
「…そう…ですよね」
目を大きく見開いてこちらを見てくるジルに対し、レンは内心でらしくないなと苦笑する。
(私も焼きが回ったかな…まさかエンジェルナイトの私が人間に対してこんな事を言うなんて)
昔はランス以外は正直どうでも良かった。
自分はあくまで仕事でランスを悪魔の手から守るために、1級神の命令を受けただけった。
だが、ランスと共に居る事でとんでもない目にあい、そしてまさかの昇級も果たした。
何よりも、長い間下界に居た事で自分は実はとんでもなく俗っぽくなっているのでは無いかと思っている。
ただ、それでも自分は堕天はしてないし、翼が落ちるような事は無い。
「その通りよ。ランスは女には特に甘い。それがお主なら猶更だろうよ」
そしてもう一人、お町がジルの隣に立つ。
「我とて昔は役立たずじゃったが…こうして今はそれなりに成長したと思っておる。お主も焦る事は無い」
「お町さん…」
「ランスはお前をしっかりと見てくれておるよ。ああ見えて女に対しては結構気配りが出来る男だ。ま、それも全て下心ありきかもしれんがな」
お町は自分で言って苦笑する。
ただ、下心があろうと何であろうと、あの男が本当にしっかり見てくれている事には変わりは無い。
(まあ奴はアレくらい正直な方が良いのかもしれんな)
お町もランスと共に居る内に、あの男の考えに染まって来たのかもしれない。
だが、ある意味で視点も広がったとも言えるので、それは悪い事では無いのだろう。
「さて…我もそろそろ行くか。魔軍を相手にした事は殆ど無いからの。まあ今の我ならば遅れは取らんじゃろう」
お町はそう言いながらランスの背中を追って走り出す。
「レンさん。あなたは行かないんですか?」
「私の仕事はあなたを守る事。万が一何かあったらランスは本気で怒るからね。それに…」
レンは目を細めてランスを見る。
「今のランスなら一般の魔軍程度じゃ止められないでしょ」
そう、今のランスはもうそういう存在だ。
魔人とは対等とは言わないが、それでも日光が有ればランスは魔人にも遅れを取らない。
強さに限界が無い事とはそういう事だ。
「さ、私達も行きましょ」
「はい!」
レンの言葉にジルは力強く頷いた。
「防御部隊! 前へ!」
魔物将軍の言葉に盾を構えた防御専門の魔物兵達が前へ出る。
(まさかこの部隊を連れてきたことが役に立つとはな…)
魔物将軍は内心で苦笑する。
魔物兵にも色々と種類があるが、この魔物将軍が率いていたのは半分は拠点防御用の魔物兵だった。
防衛部隊の魔物は言葉通りに防衛を専門とする部隊だ。
普通の魔物兵に比べて防御が厚く、盾すら装備している。
「攻撃を受け止めてから一気に殲滅する! いいな!」
「「「はっ!!!」」」
魔物将軍の号令に魔物兵達は勢いよく返事をする。
そして魔物兵が隊列を組んで歩き出すのを見て、魔物将軍は内心で安堵する。
突然の襲撃に動揺することなく、何も問題無く乗り切る事が出来た―――魔物将軍はそう思っていた。
魔物兵達の悲鳴が聞こえてくるまでは。
「うぎゃああああああ!!!」
それでも魔物兵の叫びは止まる事は無かった。
そして魔物兵達は今正に理不尽な暴力に蹂躙されていた。
「がはははは! 雑魚はさっさと経験値になれ!」
「な、なんだこの人間…!? つ、強すぎる!?」
ランスの剣は正しく暴力の嵐だった。
「うぎゃああああ! あ、熱い! お、俺の体が!!!」
ランスの剣に斬られてたまたま生き残ってしまった魔物兵がもがき苦しむ。
ランスの剣で即死出来た奴はまだ幸運で、変に運が良かったか、腕が良かった魔物兵は余計に苦しむことになる。
その剣で斬られて死ねなかった魔物兵は、体の中から燃えるような痛みに悶え苦しむ。
「た、たすけ…」
仲間に助けを求めるが、そんな仲間意識など皆無な魔物兵が助ける訳が無かった。
そして魔物兵は内部から全身を焼かれて死亡したのだが、それを確認出来る者は誰も居なかった。
「さ、寒い…俺の体、どうなって…」
一方はランスの刀で胴体を真っ二つにされた魔物兵が、体を痙攣させながら悶えている。
上半身だけで何かを求めるように這いずりながら、仲間に助けを求める。
しかし、激戦の中の魔物達はそんな自分に見向きもしない。
自分が完全に見捨てられた事を悟った魔物兵は、そのまま何も言う事が出来ず息絶えた。
「がはははは! 雑魚は雑魚だな! 大人しく経験値をよこせー!」
完全なる暴力―――まさに理不尽の化身にして、抗う事すら許されない力がそこにあった。
「な、何だあの人間は!?」
「ま、まさか新しい魔人様じゃ…」
ランスのあまりに苛烈で強烈な姿を見て、魔物達は怯えるしか無かった。
「俺が抑える! お前達は魔法を使って援護しろ!」
その時防衛魔物兵達がようやく到着する。
複数の盾を構え、その手に槍を持った魔物兵が整列する。
「人間! 調子に乗るのもそこまでだ!」
「殺してやる!」
魔物達は殺意を持ってランスを睨みつけている。
だが、そんなものはランスには全く意味の無い事でしかない。
魔物兵がそのまま隊列を組んでランスを押しつぶそうとした時、
「「「うぎゃああああああ!!!」」」
突如として天から雷が降り注ぎ、魔物兵が倒れる。
「なんだ、お前もこっちに来たのか」
「フン…我の新たな力を魔物共に見せるいい機会じゃからな」
ランスの隣に立つのはお町だ。
先程の巨大な雷は彼女が落としたものだ。
「まあ大分強くなってきたな」
「当然だ。お前と共に居れば嫌でも強くなる」
ランスの言葉にお町は何処か得意げに笑う。
「まあその辺はお前に感謝しなくも無い」
「がはははは! だったらその礼はベッドの上で返してもらおうか」
ランスはニヤニヤと笑いながらお町の尻に手を伸ばすが、お町はその手を尻尾で弾く。
「こんな場で変な事はするな。それよりもこ奴等をさっさと潰した方が良いじゃろう」
「同感です。早く魔物将軍を倒しましょう」
お町の言葉に合わせるように日光がランスの隣に立つ。
既に何体もの魔物兵を屠って来たのだろうが、全く疲れた様子も無い。
「まあ他には魔物達の姿は無いから、まだ余裕はあると思うけどね」
そしてハンティも瞬間移動でランス達の側に飛んでくる。
「とっとと終わらせましょうよ。長々と時間かけても無駄でしょうし」
「ランス様、まだ私はやれます!」
最後にレンとジルが合流する。
魔物兵達はそんなランス達を恐怖と畏怖が入り混じった目で見ていた。
魔物にとっては人間の女なんてのは性欲を解消するための道具だ。
時には道具以下の存在としてもてあそぶ事も珍しくは無い。
だが…目の前に居る女達からはそんな事を考える事も出来ない。
そんな事も許されない迫力が感じられた。
「まあ時間をかけるのも面倒臭いのは事実だ。さっさと将軍をぶっ殺して褒美を貰うとするか」
「…褒美か。お主は本当にそんな事ばかりじゃな」
ランスの言葉にお町は呆れてしまう。
ランスにとっては魔物将軍ですら、女を運んでくるモンスターでしかないのだろうと理解させられる。
本来であれば魔物将軍とは非常に強いモンスターなのだが、そんな将軍ですら今のランスには経験値でしか無いのだ。
「まあいい。こんな奴等に大した策などいらん。とっととぶっ殺すぞ」
「そうね。もう相手もボロボロだしね。とっととやりましょうか」
ランスとレンは二人で先頭に立ち、それぞれ獲物を構える。
「ジル。ぶっ放せ」
「あ…はい! 行きます…業火炎破!」
ランスの合図にジルは嬉しそうに魔法を放つ。
ジルにとってはランスに頼られる事は何よりの喜びだった。
同時に、ランスを手助けできる事も。
そして以前よりも強力になった魔力だが、それもスラルが手を貸してくれているからか、問題無く使える。
子供の肉体で有りながら、ジルは恐るべき力を持っていた。
「がはははは! 突撃じゃー!」
ジルの魔法に合わせてランス達は魔物達に突っ込んでいく。
ジルの予想外の強力な魔法を受けて、魔物達は慌てふためく。
防衛専門の魔物兵で有りながらも、ジルの魔法に耐える事は出来なかった。
そしてその混乱の中にランスを先頭にしたレン、日光が同時に突っ込んでいく。
そのランス達をお町とハンティが援護する。
それだけで魔物達は何もする事が出来なくなってしまっていた。
「しょ、将軍! あいつら強すぎます! 防衛部隊が何の役にもたっていません!」
「ば、馬鹿な…! どれ程の数だというのだ!?」
魔物将軍はこの状況が信じられなかった。
不意打ちを受けた事はまだいい、しかし自分の采配にミスがあったとは考えられない。
実際、魔物将軍に間違いは無い。
間違いは無いのだが―――世の中にはそんなものをあっさりと吹き飛ばす理不尽が存在しているのだ。
そう、魔人に蹂躙されるしかない人間のように。
「か、確認できたのはたったの6人です」
「た、たったそれだけ!? たったそれだけの数に我等は追い詰められているのか!?」
魔物将軍は絶句する。
今の自分が率いているのは小隊とはいえ、それでも自分達は魔物兵なのだ。
人間を大きく上回り、ましてやそんな少数の人間に負けるはずがない、それが当たり前なのだ。
それなのに、今はたったの6人の人間に自分達が蹂躙されている―――そんな事は信じられなかった。
しかし、自分の部下の悲鳴がそんな自分を現実に引き戻す。
「ラーンスあたたたーーーーーーっく!!」
「「「うぎゃあああああああ!!!」」」
人間の声と共に部下の悲鳴が響く。
その一撃は強烈で、バラバラになった自分の部下の体の一部が魔物将軍にまで飛んでくる。
あまりに現実とは思えない事に魔物将軍は茫然とするしかない。
そしてとうとうその人間は自分の前に現れた。
「お前が魔物将軍か。とっととその腹の中の女の子を出せ。あ、どうせ殺すから出さなくてもいいぞ」
その男はあまりにも身勝手な言葉をぶつけてきた。
その言葉に魔物将軍から出たのは強烈な怒りの言葉だった。
「貴様…! 貴様! 絶対に許さん! 殺してや」
「うるさい。死ね」
ザクーーーーーーーッ!
「ぐわあああああああ!」
魔物将軍が怒りに震えていると、その腹に強烈な一撃が突き刺さる。
自分の硬い腹がまるで紙のように破られるのを感じ、魔物将軍は悲鳴をあげる。
「フン、雑魚は所詮は雑魚だな」
そしてそのまま魔物将軍の頭に容赦の無い一撃が突き刺さる。
そのあまりに冷たい感覚に魔物将軍の体が思わず痙攣する。
魔物将軍はあっさりと絶命した。
「しょ、将軍が死んだ! に、逃げ」
「逃がす訳無いでしょ。とっとと死になさい」
魔物将軍が死んだのを見て逃げ出そうとする魔物兵にレンが容赦の無い一撃を与える。
その剣はあっさりと魔物兵を貫き絶命させる。
「はいはい、いいから死になさい。ライトボム」
「「「ぎゃあああああ」」」
レンの放った強力な魔法が魔物兵を容赦なく爆発させる。
光の爆発に巻き込まれた魔物兵達は無残な屍を散らす。
「はっ!」
日光も魔物兵相手に容赦はせず、その刀で魔物兵を斬り捨てる。
逃げようとした魔物兵にお町の雷撃が容赦なく降り注ぎ、ハンティが瞬間移動で各個撃破する。
それだけで魔物将軍が率いていた一団は何も出来ずに全滅した。
「がはははは! おたからおたから」
ランスはウキウキ気分で魔物将軍の腹を斬り裂く。
魔物将軍はその腹の中に頭脳として人間の女を取り込んでいる事が多い。
中には外れもあるが、大抵はランスにとっては当たりだ。
そしてその腹の中から出てきたのは―――
「なんだこりゃ。カラーか?」
魔物将軍の腹の中に納められていたのは一人のカラーだった。
「何だって!?」
ランスの言葉にハンティが言葉通り飛んでくる。
ランスの隣に立ったハンティは意識が朦朧としているカラーの少女を見る。
「知り合いか?」
「ああ。警邏中に魔物に捕らわれた子だね。そうか、魔物将軍に捕らわれていたんだ」
ハンティは安心していたようにため息をつく。
「じゃあご褒美は…」
「流石に怒るよ」
ランスの言葉にハンティはギロリとランスを睨む。
「分かった分かった。そう睨むな。手は出さんから安心しろ」
ご褒美を頂けないのは気に入らないが、ランスもハンティを敵に回す気は無い。
瞬間移動を使える奴を敵に回すのはランスとしても勘弁して欲しい所だ。
「意識が朦朧としてる…どっかで休まないとね。流石に今日中にペンシルカウにはつかないからね」
ハンティだけなら問題無いが、流石にランス達が一日でペンシルカウにつくのは難しい。
どこか適当な所で野営をしなければいけないのは決定事項だった。
「ランス様。今日はもう休みませんか?」
「俺様はまだ行けるが…まあいいか」
ランスとしても少し急ぎたい所ではあったが、別に急いだからといって何かある訳でも無い。
どっちにしろ何処かで休まなければいけなかったのだ。
「だが何処で魔法ハウスを使うかだな。魔王が変わって魔物が結構出てきたからな」
GL期は魔物の動きは活発ではあったが、同時に完全に管理されていた時代でもあった。
なので魔物達が何処を動くか等は結構決まっていたものだった。
しかし、今はGI期なのでモンスターや魔物兵が不定期に動いている状態だ。
そうで無ければこんな所でこんな中途半端な数で魔物将軍が動くはずが無い。
「それに関しては私が案内するよ。そういう場所は結構探してあるんだよ」
ハンティはそう言って苦笑すると、カラーをレンに預ける。
そしてハンティは安全だと思われる場所にランス達を案内する。
そこはハンティが選んだだけあり、魔法ハウスを建てたとしても見つかりにくい所だった。
「ふう…」
そして魔法ハウスに入った時、ジルは少し疲れた様にため息をつく。
「何だお前。もう疲れたのか」
「魔力と腕力は増えたみたいですけど…体力まではそう上手くいかなくて…」
「そうか。じゃあお前は休んでろ」
「ランス様…」
「お前は俺様の奴隷だが…」
普通ならばシィルやシーラのように色々とやらせてる所だが…流石に今のジル相手にはそんな事は言えない。
それくらいの良識はランスにもあった。
「とっとと休め。疲れた顔で色々とやられる方が迷惑だ」
「も、申し訳ありません…」
「一々謝るな。とっとと休め」
ランスの言葉にジルは一礼すると、昔自分が使っていた部屋へと向かって行く。
「素直ではないな」
「やかましい」
お町のからかうような言葉にランスは憮然とする。
「で、この子はどうする?」
「ああ、この子は私が面倒見るよ」
レンからカラーを受け取ったハンティはそのまま客室として利用していた部屋へと消えていく。
「さて、食事の用意は我がしてやろう。少し待っていろ」
お町はそのままキッチンへと向かう。
それを見てランス達はそれぞれ思い思いの時間を過ごす事にする。
夕食の時間は直ぐにやってきて、ランス達はお町の料理を食べる。
「普通に美味いな…」
「何年…いや、何百年自炊してきたと思っておるんじゃ。まあそこまで食事に拘っていた訳では無いから味はあまり保証は出来んがな」
お町の料理は普通に上手だった。
まあ彼女は何百年も一人で過ごしていたのだから、そういう時間も多かったのだろう。
そして食事が終わり―――夜が来る。
当然のようにランスは日光を自分の部屋にと連れ込んでいた。
「フッフッフ…ようやくこの時間が来たな」
「………」
ランスの言葉に日光は疲れたようなため息をつく。
(どうして彼はこうなのでしょうか…)
本当にランスは変わらない…良くも悪くも。
ただ、そんな彼だからこそ、ジルを取り戻せたという事も有るのだと分かっている。
「がはははは! おしおきセーックス!」
ランスは非常に上機嫌で日光をベッドに押し倒した。
蒸し暑くて中々筆が進まない…
ただの言い訳ですが、本当に厳しいなあ