ランス再び   作:メケネコ

345 / 456
GI期のカラーの始まり

 ペンシルカウーーーカラーが作った隠れ里。

 そこも又魔王の交代によって新たな局面に立たされていた。

 それも始祖であるハンティより聞かされた事実。

 それがカラーの女王の頭を悩ませていた。

「はぁ…」

「…大丈夫?」

 非常に疲れた顔をしている女王を見て、彼女の妹であり、秘書であるカラーが心配そうに声をかける。

「…大丈夫に見えます? 私は大変な事を…」

「…まあそうだよね。でも仕方ないんじゃないかなあ」

「仕方ないで済ませられないのよ。もしこれでカラーが魔物の脅威に晒されたら…あああ!」

 女王はこれからのカラーの未来を案じて頭を抱える。

 全ては魔王を打倒するため、そしてカラーの未来のため。

 それを信じてカラーの女王、ローザ・カラーはガイに協力する事にした。

 ガイから言われたのは『万が一ケッセルリンクがジルについた時、殺さずに無力化する方法が欲しい』との事だった。

 魔人であったガイだが、ジルに対する憎しみは真実であり、ジルに反抗できる唯一の魔人だ。

 それを信じて、カラーの女王はカラーという種族を何とか出来る秘宝を渡した。

 だが、まさかそれがこんな結果になるとは想像もしていなかった。

 カラーには女王とその重臣にしか伝えられていない事がある。

 カラーの女王とその側近のみに伝えられた事実、それは魔人ケッセルリンクが密かにカラーを守ってくれているという事。

 それは勿論心強い事だが、同時に自分達が人間に狩られる可能性がある事も事実だ。

 人間がいなければ繁殖が出来ないカラーは、人間との関係を断ち切る事が出来ないのだ。

「まあまあ…ローザもカラーのためにやったんだから、始祖様も怒ってないと思うよ」

「女王がそうも言ってられないでしょ。最悪の想定をしないといけないのが女王の責務なんだから」

 もし自分のやった事がカラーを破滅に追い込んだら…そう思うと恐怖を感じるのは間違い無かった。

「女王様! 始祖様が来られました!」

「始祖様が…ああ、この状況をどうしたら…」

 始祖であるハンティが来てくれたのは嬉しいが、そのハンティにも出来る事と出来ない事がある。

 ローザはカラーの歴史を『正しく』継承している女王だ。

 いくら始祖とはいえ、決して万能では無いのだ。

「それと…一緒に人間も居るのですが」

「人間? 始祖様が連れてきたの? でも始祖様が連れてきたのなら問題の無い人間なのでしょう」

 ハンティが人間を連れてきたのは驚いたが、カラーは別に人間と積極的に敵対関係になりたい訳では無い。

 魔軍という共通の敵が居るので、どうにか手をとれないか…そう考えていたくらいだ。

 ローザが準備を整えていると、始祖とその人間はやってきた。

「やあローザ、悪いね。大変な時に」

「とんでもございません。今は新たな魔王が生まれた時…魔王の動向を探るために動かれている始祖様の事を思うと…」

 ローザは申し訳なさそうに頭を下げる。

 そしてハンティが連れてきた人間を見る。

「それよりも彼女を頼むよ。魔物将軍に捕らわれていたんだ。まだ意識が戻っていないんだ」

 そう言ってハンティは肩に担いでいた一人のカラーを差し出す。

 そのカラーを見てローザは目を見開く。

「ベネット! ベネットじゃないですか!? 行方不明になったと聞いてたのにどうして…?」

「話は後。それよりも頼むよ」

「は、はい。ああ、でも生きていてくれて良かった…」

 ローザは秘書に一言話すと、秘書は直ぐに対応する。

 カラーの少女が現れたかと思うと、ベネットと呼ばれたカラーを連れていく。

 そうすると改めてローザ・カラーはランス達に向けて頭を下げる。

「始祖様のお連れですね。私はローザ・カラー。このペンシルカウを収める女王です」

 そうしてローザはランスに対してニッコリと微笑んだ。

 その顔にランスは少し微妙な顔をする。

「どうしたのよ。女と見れば見境ないあんたが」

「いや…カラーの女王がこういう態度を取るのなんか違和感が…」

 ランスが思い浮かぶのはパステル・カラーだ。

 呪いの腕は超一流なのだが、それ以外がへっぽこなのだ。

 その上愛想も悪いし、人間に対して刺々しく、リセットの仲介があるまではとにかく酷いモノだった。

「まあいい、とにかく俺様がカラーの英雄、ランス様だ」

「カラーの英雄…ですか? あの、始祖様、彼は…」

「余計な事言わない。とにかくこいつは敵じゃないよ。むしろカラーの味方さ」

「はあ…」

 ハンティの言葉にローザは困惑するしかない。

 だが、始祖である彼女が連れてきたのだから、カラーに害を与える存在では無いのだろうと信じるしかない。

「で、突然だけどこの状況を見て欲しい。ランス、魔法ハウスを使わせて貰うよ」

「別に構わんぞ」

 ハンティはペンシルカウの中でランスが魔法ハウスを使っていた場所へと皆を連れて歩いて行く。

 そこは相変わらず空き地となっている。

 ランス達が何時来ても良いように、あえてこの場所を空けて貰っているのだ。

 ハンティはレンから受け取った魔法ハウスを配置すると、魔法ハウスは一軒の家になる。

「うわあ…家が出来た」

 ローザの秘書をしているカラーが驚きの声を上げる。

「凄い…こんなアイテムが有るんですね」

「それよりも中に」

 驚く女王を余所に、ハンティは魔法ハウスの中に入る。

 ランス達もそれに続き、ハンティはある部屋へと案内する。

 そこにあるモノを見て、ローザ・カラーとその秘書は思わず悲鳴を上げる。

「えええええええ!?」

「ま、まさか…この方が!?」

 そこにあるクリスタルの中には一人の女性が入っている。

 そしてその女性にはある特徴がある…それこそが額のクリスタルだ。

 それを見てローザは当然その正体に気づく。

「ケッセルリンク様…なんですね?」

「そう、彼女が魔人ケッセルリンク。まあ今はこうなってしまったけどね…」

「も、申し訳ない事を…」

 ローザはケッセルリンクに向けて膝をつく。

 彼女こそ、GL期に魔物達からカラーを守護していたと言われている存在であり…そしてカラーが増長する原因ともなってしまった女性だ。

 後者に関しては完全にカラーの自業自得なので、ケッセルリンクには一切非が無いのも理解している。

「で、彼女…何とかできそうかい?」

 ハンティの言葉にローザはケッセルリンクのクリスタルに触れる。

 だが、直ぐに首を振る。

「申し訳ありません…これは私の力ではどうしようも…」

「まあそうか…」

 ローザの言葉にハンティは予想していたかのように難しい顔をする。

「一時的にも無理か」

「申し訳ありません…始祖様に聞いた通り、これが魔王の呪いが関わって居るのなら、カラーでもどうしようもないんです」

「ふーん、そっか」

 ランスはローザの言葉にも特に怒ったりはしない。

 魔王の呪いは過去にも経験しており、パステルの力を以てしても無理だったのだ。

 なのでこの言葉は完全に予想していた。

「そうなると…どうするか、だねえ」

「そんなの考える必要無いだろ。魔王ならその手のアイテム持ってるだろ」

 ランスの言葉に皆が驚愕の表情を浮かべる。

「ランス様、それは…」

 無謀と言えば無謀な言葉にジルも『止めましょう』と言わんばかりの表情を浮かべる。

「魔王ジルは絶対そういうアイテムを集めていたはずだ。あいつはそういう奴だ」

 ランスは確信している。

 魔王ジルはランスにやる気を出させるためにケッセルリンクを人質にとった。

 ならば、その呪いを解除する手段をジルが用意していないはずが無いのだ。

 魔王ジルとはそういう女だという事はランスは理解していた。

「…無謀だよ」

 ハンティも難しい顔をする。

「お前の瞬間移動でぱぱっとやれんのか」

 ランスの言葉にハンティは首を振る。

「瞬間移動はそこまで万能じゃ無いよ。それに私単体じゃあ魔人にも勝てないんだ。そこまで無謀な事は出来ないね」

「そんなもんか。まあいい、とにかく有ると分かっているのに利用しない手は無いだろ」

 だが、誰もがその言葉には難しい顔をするだけだ。

 ハッキリ言えば、ランスの言っている事は無謀を通り越して自殺行為に等しい。

 いくらランスと言えども、そんな事は出来ないと思うのが普通だ。

「私は反対。魔王がジルならともかく、ガイが魔王なんだから。あんたとガイが良好な関係を築けると思う?」

「む…」

 レンの指摘にランスは呻く。

 確かにあの魔人…今は魔王になったが、ガイとランスは明確に敵対していた。

 しかもランスはガイの邪魔をするしているので、ガイから恨まれていてもおかしくない。

 魔王スラルや魔王ジルのようにランスを魔人にしようだなどと思わないだろう。

 即ち見つかれば死…それが魔王と相対するという事だ。

「魔人の動きもまだ分かりません。新たな魔王がどんな命令を下したかも分からないですから、動くのは危険でしょう」

 日光もランスを諫める。

「ランス様…危険な事は止めて下さい」

 ジルは懇願するようにランスを見る。

「分かった分かった。そんなに言うなら考え直してやる。だが、一番手っ取り早い方法は魔王の所にあるぞ」

 自分の女達に諫められればすんなりと意見を曲げるのもランスだ。

 ランス自身も少々焦りがあったのかもしれないが、ランスは無茶はするが無理はしない。

「そうでやんすねえ…今はただでさえ大変な時、迂闊にな行動は控えるべきでやんす」

 その時部屋に二人のカラーが入って来る。

「ベネット! 大丈夫なの!?」

「大丈夫大丈夫。ちょーっと眠くて寝てただけだから。体はすごぶる快調!」

 それは魔物将軍に捕らわれていたカラーと、その介護を任されていたカラーだ。

「ベネット…」

「いやー、ローザ様久しぶりでやんす。えーっと、一週間くらい?」

「…あなたが行方不明になって3日と経っていませんよ」

 気楽そうに声をかけてくるショートボブのカラーを見て、ローザは呆れと安心をいり交ぜた顔をする。

「旦那! 助けてくれて感謝の雨あられ! あっしはベネット・カラーといいやす」

「………お、おう」

 異様なテンションと喋り方をしてくるカラーに対し、ランスも思わず驚く。

 まさかあのカラーの種族からこんな明らかな三下ムーブをしてくる奴が出てくるとは思ってもいない。

 何しろカラーは例外なく美少女なのだから。

(…体も顔もいいが…なんかやったら負けな気がするぞ)

 カラーなので顔もスタイルも良いのだが…何故かランスはこのカラーを抱いたら負けなような気がして来た。

「それに世界情勢なら酷い事になっているでやんすよ」

「何か知っているのですか?」

「いやー、魔物将軍の腹に捕らわれてから滅茶苦茶寝れなくて。聞いてもいない情報が頭に入ってきてうんざりしてたでやんす…」

「え? 魔物将軍に捕らわれてて? 意識あったの?」

 ベネットの言葉にハンティは驚く。

「そういやアンタ額のクリスタル赤いけど…魔物に犯されなかったの?」

「それが酷い奴等でしてね! なんかあっしを抱いたら負けな気がするとか言って放置ですよ放置! 全く、カラーを何だと思っているのやら…」

(…魔物からもそう思われるのか、こいつは)

 ランスは自分が魔物と同じ感想を持ったことに少し凹む。

「あっしを捕えていた魔物将軍でやんすが、人間牧場の管理者だったようでしてね…まあとにかく今人間もカラーも危険な状態なのは間違いないでやんすよ」

「…相変わらずあなたは…でも無事で何よりです」

 ローザはベネットを優しく抱きしめる。

「はっはっはー! こう見えてもあっしはあの伝説のカラー、ウトスカ・カラーの子孫! そう簡単にはくたばらないでやんすよ!」

「…え、嘘。アンタ、ウトスカの子孫なの?」

 懐かしい名前が出た事にレンは驚く。

 ウトスカ・カラー…かつてランスの協力者だったカラーで、共に魔人メディウサと戦った仲間だ。

 最後は魔王ジルからランスを逃がすために仕掛けを使って魔王の前に残り…そして生き残ったカラーだ。

「ウトスカ…ああ、あいつか。そしてあいつの子孫なのか…」

 流石のランスも魔人と共に戦ったカラーの名前は憶えていた。

 やりたいけどやれなかったという苦い記憶もあるし、何しろ自分達を逃がすために一人魔王の所に残ったカラーだ。

 ランスとしても記憶に残った存在だった。

「という事で旦那! あっしにも協力させてくだせえ! こう見えても役に立ちますよ!」

 ベネットはランスの所にやってくると下手なウインクをしてランスの手を握る。

「ベネット!」

「まあまあローザ様。この旦那達は魔王の城に行くって言うくらい豪胆な方達なんでしょ? だったらあっしの力が生きると思うでやんすよ」

「…まあそうかもしれないけど」

 ローザはベネットの言葉にため息をつく。

 このカラー、問題児である事は間違い無いのだが、同時に非常に優秀なカラーだ。

 ただ、性格がアレなのでどう扱っていいか分からないという事もあるのだ。

「さあどうです! 今ならあっしの処女も奪えるかもしれないおまけつき! お買い得でやんすよ!」

「いや、いらん。お前とやったら負けたような気がする」

「がびーん! 魔物にはともかく、このいかにもヤリチンの気配を持つ男にも拒否られた!?」

 よよよ…と言いながらベネットは地面に膝をつく。

「まあそれはいいんで、とにかくあっしを使いません? 役に立ちますよ!」

「…うーむ」

 突然な事を言ってくるカラーに対し、ランスも困惑する。

 そんなランスに対し、

「あの…ランスさん…とおっしゃいましたね? もし宜しければベネットを頼みたのですが…」

「おう、ローザ様! 話が分かるう!」

「言動はアレですし、女としての魅力は皆無ですが戦闘では役に立ちます。というか今のペンシルカウの中で最強のカラーと言っても良いので…」

「こんなのでか」

「こんなのでもです。カラーなのに魔法は使えませんが、短剣を使った技と、スカウト技能に関してはまさにカラー1です」

「あっしは役に立ちますぜ、旦那」

 ランスは悩む。

 確かに今は人手は足りないし、何よりもスカウト技能を持つ者は貴重だ。

 ランスが苦労しているのは、かなみのように常に自分の側に居るスカウト技能の持ち主が居ない事だった。

 だが…目の前のこのカラーを信じてもいいものか、それが疑問だった。

 あのウトスカの子孫だと言うが、このカラーから発せられる三下臭があまりにも酷かった。

 しかも不思議と全くやりたいとも思わない女だ。

「おいハンティ、いいのか」

 ランスの言葉にハンティは肩をすくめる。

「私は別にカラーのやる事全てに口を出す気は無いよ。ローザが良いと言うなら構わないさ」

「…まあいいか。使えないと追い出すからな」

「へっへっへ、アッシはお役に立ちますぜ、旦那」

 ベネットはカラーとは思えないくらいにニヤニヤと笑っている。

「…本当に大丈夫かな」

 ハンティはちょっと早まったかなと小さく呟く。

「でも本当にどうするんですか、ランス様。お町さんはJAPANに一度帰ると言ってましたし…」

「うーむ…」

 魔王の城に行くのは危険、だが、危険を冒さなければ結果は出ない。

「世界の情勢が分かるまで少し居てくれればいいさ。それくらいは私が情報を集められるしね」

「いいのか。俺様としては楽だが」

「構わないさ。どっちにしてもあんた達と協力する事はカラーにとっても良い事だと思うしね」

「ならそうさせて貰うか。お町、お前も少しここに居ろ」

 ランスの言葉にお町も頷く。

 JAPANは気になるが、だからと言って一人で帰るのも難しい。

 それならばランスと共に居るのが正しいだろう。

「ケッセルリンクはしばらくはこのままだな」

 ランスとしても自分の女に触れられないのは腹が立つが、流石に魔王の封印となると手が出ない。

「そうだな。まあそれは仕方ないだろう」

「うおっ!?」

 ランスの呟きに声が返ってくる。

「あ…あ…ケ、ケッセルリンク様!?」

 その声の主にローザとその秘書は跪く。

 そこに立っていたのは間違いなく、クリスタルの中で眠っているはずのケッセルリンクだった。

「たまたま目を覚ましたのだが…まさかここはカラーの里か」

「あ…タイミングが悪かったかね。本当はあんたの姿をカラーに晒したくは無かったんだけどね…」

 ハンティは頭を押さえるがそれはもう仕方ない。

 本来はもっと早くに彼女に話しておくべきだったのだが、タイミングを逸してしまった。

「そんな事になっていたとは…失敗だったか」

 霊体のケッセルリンクはため息をつく。

 自分はカラーを表立って助け手はならない。

 あくまでも裏方から、さり気なくカラーを魔物達から守れればそれで良かったのだ。

 自分が手を貸す事はカラーの未来にならない事を彼女はよく理解していた。

「まさかケッセルリンク様にお目にかかれるなんて…」

「…あまり私を崇めて欲しくは無いのだがな。私はカラーに対して何も出来なかったよ」

「そんな事はありません! ケッセルリンク様は過去に魔人を倒したとされる方、それが人との協力で成し遂げた事は私にとっては嬉しい事です!」

「…ふむ」

 目を輝かせて言うローザに対し、ケッセルリンクは僅かに目を見開いて驚く。

 過去に魔人を倒した事は間違いなくケッセルリンクの偉業の一つだ。

 だが、それはカラーだけでなくランスという強力な味方が居た事で出来た事だ。

 それが歪な形で後世に伝わり、結局はカラーの王国とその悲劇という結果になってしまった。

 しかし、その間違った事実を、目の前のカラーの女性…恐らくは女王は正しく認識している。

 それはケッセルリンクにとっては嬉しい事でもあった。

「今は人との間に諍いもありますが…何れは人と協力出来ると私は信じているんです」

「君は…私の代の女王と似ているな。時代が違うとはいえ、あの方も君と同じような事を言っていたよ」

 ケッセルリンクは昔を懐かしむように目を細める。

 大変な時代ではあったが、同時にカラーが懸命に生きてきた時代でもあった。

「ランス。説明をしてくれ。何故私はここに居る?」

「それについては私から説明するわ。ランスじゃ上手く説明出来ないだろうし」

 ケッセルリンクの疑問にレンが答える。

 彼女はケッセルリンクに対して今の状況を説明した。

 彼女の使徒の事、そしてその使徒がケッセルリンクの身を案じ、彼女をジルの命令で遠出をしている事。

 それを聞いてケッセルリンクは少々不安そうな顔をする。

「シャロン達は大丈夫だろうか…ガイならばそこまで手荒にする事は無いとは思うのだが…」

 やはり主としては残してきた使徒達の事は気がかりだ。

 しかし、こうして自分がランスと共に居る以上出来る事はもう何も無い。

「ああ、そうだ。ランス、一つ頼めるか」

「何だ」

「お前の剣を出してくれ」

「ほれ」

 ケッセルリンクの頼みにランスは躊躇う事無く腰に身に着けていた剣をケッセルリンクに向ける。

「うむ…」

 ケッセルリンクはそれを確認すると、何かの魔法を唱える。

 するとケッセルリンクの姿が消える。

「あ、消えた」

 ランスはケッセルリンクが消えた事に驚く。

「ふむ…上手くいったようだ」

 しかし突然彼女の声が響く。

 それもランスの剣から。

「ケッセルリンク、あなた…」

「ああ、かつてのスラル様と同じことをさせて貰った。こうすれば私は意識をここに止めて置けるかもしれないと思ってな」

「ランスの剣だから出来た事か…本当に意味の分からない剣よね」

 ランスの持つ剣はこの方法で消滅するはずのスラルを救った。

 それが今のランスの冒険を生み出しているのだから、この剣の影響は計り知れないだろう。

「ここならば意識を長い事繋ぎとめる事が出来そうだ。ランス、封印が解かれる間、宜しく頼む」

「まあお前ならいいか。これが男ならどんな事をしても叩きだすがな」

 ランスの軽口にケッセルリンクは剣の中で苦笑する。

「それとだが…カラーの女王よ」

「は、はい!」

 ケッセルリンクに声をかけられてローザの声が震える。

 彼女に対して憧れの気持ちもあるが、何よりも自分はケッセルリンクに対してとんでも無い事をしてしまったのだ。

「私は怒ってなどいない。だから気に病む必要は無い。それに、私の封印の原因は君では無いからな」

「え…? でも私は…」

「本当に君では無いから気にしなくていい。私がこうなった原因はジル様だからな。ジル様の封印の影響でこうなったに過ぎない。カラーの力は切っ掛けに過ぎないが、その力が無くても私はまた封印されていただろう」

「そ、そんな…」

 ローザはケッセルリンクの言葉に安堵しつつも、困惑した顔をする。

「君はカラーの女王だ。私の事を気に病む前に、新たな時代を生きるための手を考える事だ。時代は変わるのは間違い無いからな」

「は、はい」

 ケッセルリンクの重い言葉にローザは気を引き締めて返事をする。

「ケッセルリンクの事はそっちに任せるよ。それよりも本当に今の時代の流れを掴まないとね。ローザ、私は早速だけど今の世界を見てくる。ランス達の事は任せたよ。これは私の個人的な頼みになるけど、色々してやってよ。こいつには結構大きな借りがあるからね」

「おいこら。俺様はこれまで何度もカラーを救って来た英雄だぞ。大きな借りどころじゃないだろうが」

「だから色々と便宜を図ってるだろう? ま、とにかく後は頼むよ。ペンシルカウを離れる時はローザに一言言っておいてよ」

 そう言ってハンティの姿が消える。

 瞬間移動で世界を回って来るのだろう。

「ランス様…どうしますか?」

「どうもこうも無い。今はまだ急いで動かなくても良いだろ。お町もそんな急いでJAPANには戻らないだろ」

「まあそうだな。我としても世界の現状を押さえておきたい。そのためにはあの黒髪のカラーに頼るしかない」

「そういう事だ。おい、しばらくここを使わせて貰うぞ」

「自由に使ってください。始祖様の許可となれば誰も文句は言わないでしょうし」

 ランスの言葉にローザは答える。

 それを聞いてランスはニヤリと笑う。

「ま、久々にゆっくり出来るな」

 ランスのその言葉を聞いて、レンはちょっと期待の篭った顔をしながらも呆れ、日光は恥ずかしそうに俯き、お町は楽しそう笑う。

 その顔が何を意味するのかローザは分からなかったが、それは知らないほうが彼女のためなのは間違いなかった。

 

 

 その夜―――ジルは一人ランスの着ていた服を洗っていた。

「ランス様…本当に大変だったんですね」

「それは間違いないな。だが、君を助けるためだ、ランスはそれを苦労とは思わなかっただろう」

 そしてジルの側にはランスの持つ剣が置かれている。

「…でも私は全くそんな記憶が無くて…覚えているのは、ナイチサによって血を飲まされるのが最後だったんです」

「それがいい…君は魔王ではなく、ランスの側に居る一人の女性なのだから」

 ケッセルリンクはジルが魔王の時の記憶が無かった事に安堵する。

 この心優しい少女が魔王だった頃の記憶があれば、自責の念に駆られて自ら命を絶つかもしれない。

 それならば辛い記憶など必要ないのだ。

「しかしそれにしても…事情が事情とはいえ、その姿ではな…」

 今のジルの姿は少女の姿そのもの。

 ランスでも手を出すのは止める年齢だ。

「今の私はそういう気分にはなれないので…これも身体と精神の影響でしょうか」

 ランスは今は自分の部屋でお楽しみの最中だ。

 それもレン、お町、日光の三人を呼んでハーレムプレイをしている最中だろう。

 流石にジルはそれには呼ばれないし、ジルとしても参加は出来なかった。

「改めて…すまなかった、ジル。私は君とランスの子供を殺してしまった…これはどんな事をしても償いきれない事だ」

 ケッセルリンクは改めてあの時の事を謝る。

 こればかりは本当に償っても償いきれない事だ。

「や、止めて下さい。あの時は仕方なかったんです。誰も魔王には逆らえなかった…それだけなんです」

「………だが」

「本当にいいんです。それに…あなたはもう一度私に機会をくれました」

「ジル…」

 そう言って微笑むジルに対してケッセルリンクは何も言えない。

 同時に彼女の健気さに胸を打たれる。

(何とかしてやりたいが…こればかりは時間しか解決しないだろうな)

 好きな男にそういう目で見られないというのは女としては辛いだろう。

 だが、こればかりはもう仕方が無い事だ。

 幸いなのは、今のジルは肉体が子供なので、そういう性欲が少ない事だろう。

「私はランス様と再び出会えただけで…今は十分です」

「そうか…」

 そう微笑むジルにケッセルリンクは決意を固める。

(何としても…ジルには幸せになってもらいたいな。そのために私の出来る事をしなければな)

 

 

 そして当のランスはというと―――ケッセルリンクの想像通り、ハーレムプレイを満喫していた。

「いいぞ日光。きちんと綺麗にしろよ」

「はい…」

 淫靡な音を立てて、日光がランスのハイパー兵器を舐めている。

 その日光の隣では荒い息をついているレンが股間から皇帝液を垂らしながら満足そうにしている。

「全く…お前くらいだろうな。これほどの女を周囲に囲んで楽しんでいるのは」

 お町は後ろからランスに抱き着き、その顔に熱烈なキスをする。

「俺様は英雄だから女はいくら居てもいいんだ。俺様の特権だ特権」

 ちなみにランスは本気で言っている。

 この世界のいい女は俺のもので、他の男にくれてやるつもりは一切無いのだ。

 まあ実際にはそんな事は不可能という事はランス自身も理解はしているのだろうが。

「ん…綺麗になりました」

 日光はハイパー兵器を奥まで咥え込み、レンの愛液とランス自身の精液にまみれていたモノを完全に舐めとる。

 既にハイパー兵器には力が灯り、日光はそれを見て頬を染める。

「おう、じゃあ次はお前の番だな」

 ランスがそう言うと日光は少し嬉しそうに真正面からランスに抱き着く。

 そしてそのまま自らハイパー兵器を掴むと、躊躇う事無く自分の膣に迎え入れた。

 日光の中はすでにあつあつとトロトロで、ハイパー兵器をきつく、そして優しく包み込んできた。

「変われば変わるものじゃな。随分と女の顔をするようになった」

 お町はそんな日光をみてクツクツと笑う。

 今の日光の顔はそれ程までに色っぽい顔をしていたのだ。

「…お前、ついこの前にその体になったばかりだろうが。それまで処女だったくせに偉そうにするなよ」

 ランスは日光の尻に手を回し、彼女の体を自分に寄せながら呆れた声を出す。

「うるさい。だったら偉そうに出来るようになるまでこの体を堪能すればいい」

 そう言ってお町はランスに自分の大きくなった胸を押し付ける。

 そのまま甘えるようにランスの首筋をぴちゃぴちゃと舐める。

 その様子にランスは非常に気分を良くする。

 あの政宗一筋だったお町がこうして自分に甘えてきているのだ。

「ランス…」

 日光はそれに対抗するかのように、ランスに頭に手を回して唇を重ねる。

(うーむ、モテる男は辛いな)

 ランスは非常に上機嫌に三人の特上の美女達の体を味わった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。