「しるきぃ、キス、しよう」
「えーっと…」
突然の言葉にシルキィも思わず言葉を失った。
「き、キスって…やっぱり頬とかよね?」
「ううん。くちとくち」
その言葉にシルキィの顔がいよいよ引きつる。
(ランス君が言ってた事…こういう意味だったんだ)
突然ランスに唇を奪われたので何だと思っていたが、こういう事だったのだろう。
先に手をつけておく、ランスの言っていた事はまさに言葉通りだったのだ。
「こ、こういう事はね。やっぱり好きな者同士でする事だと思うのよ、私は」
「わたしはしるきぃのことすき。だいじょうぶだよね」
「え、ええ…」
あまりにも純粋に好意を向けてくるユニコーンに対し、シルキィはどうしていいか分からなくなる。
シルキィがどうするべきか悩んでいると、ランスが密かに近づいてきた。
(何をやっとるんだシルキィ)
そしてユニコーンに聞こえないように、小声でシルキィに話しかけてくる。
(な、何をやってるって…ランス君、しってたわね。知ってて言わなかったわね)
(先に話そうが後から話そうがやる事は変わらんだろうが。ユニコーンの蜜は必要なんだからな)
(それはそうだけど…)
ランスの言う通り、結局はやる事は変わらないだろう。
ユニコーンの蜜を回収しなくては、ジルは治らないのだ。
シルキィはため息をついて全てを受け入れる事にする。
「きす、きす」
「…分かったわよ」
シルキィの言葉を待っていたように、ユニコーンはシルキィにキスをする。
(うう…私の二人目のキスの相手がよりにもよって同性だなんて…)
別にシルキィは自分が恋愛がどうたらとか言うつもりは無いが、それでも複雑なものは複雑だ。
そしてユニコーンはシルキィの口の中にも舌を入れているのだろう、淫靡な音が響く。
ランスはそれを見ながらユニコーンの背後へと忍び寄る。
(うーむ…レズはいかんが、あのシルキィがこんな顔をしているのはエロいな)
シルキィが引いているのは間違い無いが、これもジルのためだと割り切っているのだろう。
なのでシルキィもそれを受け入れている。
(まあとにかくとっとと集めるか)
ランスは音もなくユニコーンの股間の当たりに近づくと、ビンを取り出す。
以前と同じように、これに蜜―――愛液を集めるのだ。
(今の俺様はあの時よりもパワーアップしたからな。あひんあひん言わせてくれるわ)
ランスはニヤリと笑うと、若干の湿り気を帯びたそこに指を這わせる。
ユニコーンはそれに違和感を覚えたようだが、シルキィとのキスに夢中でランスに気づいていない。
なのでランスはそのままユニコーンに刺激を与えていく。
「しるきぃ、もっと、きす」
「ちょっと待ってね。いや、ほんとに待って欲しいわ。いくらなんでも情報量が多すぎて…」
ユニコーンから口を離したシルキィだが、その背後に居るランスを見て目を細める。
(…何やってるの、ランス君)
(何って…蜜を集めてるんだろうが)
(蜜ってそういう…)
ランスの言葉にシルキィは割と切れ気味になった。
何か特殊なアイテムなのかと思ったら、実際はそういう事だったのだ。
(ランス君…最低ね)
(最低も何も必要だからやってるんだろうが。それよりももっとユニコーンをその気にさせろ。蜜が全然足らんぞ)
シルキィからすればランスのやってる事は最低だが、ランスも決して無意味な事をしている訳では無いのだろう。
何しろジルを助ける為なのだから、その点に言えばランスが手を抜いたりふざけるはずは無いのだ。
(その気って…どうすればいいのよ)
(ああ…シルキィはその辺は分からんか。とにかくエロい事をしてユニコーンをその気にさせろ)
(いやハードル高すぎない!? 私、そういうのって全然分からないんだけど…)
ランスの言葉にシルキィは更に顔が朱に染まる。
怒りと羞恥心が入り混じった顔をだが、ユニコーンはそれを見て気を良くしたようだ。
「しるきぃ、つづき、つづき」
「…ああもう! 分かったわよ!」
(ランス君、早く終わらせなさいよね!)
シルキィが怒っているのを見てランスはクククと笑う。
(おお、終わらせてやる。だからシルキィも頑張ってその気にさせるんだな)
(…覚えてなさいよ)
シルキィは全く経験も知識も無いながらも、ユニコーンのキスに応える。
勿論テクニックも何も無いのだが、ユニコーンはそんなのは全く気にならないようだ。
(うむ、良くなってきたが…)
ランスは目の前の光景を見て少し悩む。
確かにエロい事はエロいし、眼福なのは間違いない。
ただ、やはりユニコーンの下半身には興奮は出来ない。
(まあいい。とっとと終わらせるか)
ランスは指を激しく動かし、ユニコーンに刺激を与える。
以前よりも技量が上がったのか、みるみる内に蜜がビンの中に溜まっていく。
「しるきぃ、すき」
「あ、そ、そう」
ユニコーンの言葉にもシルキィはやはり曖昧な表情を浮かべるだけだ。
(ちょっとランス君、まだ?)
(もうちょいだ)
ランスは更に指の動きを激しくし、ユニコーンの蜜を集めていく。
そして蜜がビン一杯に溜まる。
「よーし、もういいぞ」
「やっと終わった…凄い疲れた…」
「ゆにっ!?」
ランスの言葉にシルキィはユニコーンから体を離す。
そしてランスの声が聞こえた事で、ユニコーンは慌てて立ち上がる。
「ゆにゆにー!」
そして凄まじい勢いで逃げていった。
それを見届けるとシルキィはランスの側に向かって行く。
そしてランスの頭を叩く。
「あだっ! 何をする!?」
「何をする!? じゃないでしょ! ランス君、知ってたんでしょ!?」
「さっき思い出したんだ。別に知ってて言わなかった訳じゃ無いぞ」
「もう! 凄い恥ずかしかったんだから!」
シルキィは顔を真っ赤にしてランスに詰め寄る。
「たかがキスくらいでそんなに怒らなくてもいいだろ」
「あのねえ…まあ別に今更どうこう言うのも不毛だけど…そういう言い方は無いんじゃない?」
ランスの言葉にシルキィはジト目でランスを睨む。
この男に対して今更そういう事を言っても無意味だろう。
そういう男なのだからもう仕方が無い。
「で、どっちが良かった」
「何がよ」
「俺様とユニコーン、どっちが気持ち良かったと聞いとるんだ」
「はあっ!?」
ランスの言葉にシルキィは驚愕する。
まさかこの期に及んでこんな言葉を放ってくるとは思っても居なかった。
デリカシーの無い発言だが、ランスにそれを求めるのも酷というものだろう。
「で、どっちだ?」
「ど、どっちって…そんな事考えた事も無いわよ!」
「…お前はそういう事には本当に疎いな。あだっ! 何をする!」
「だ、だからそういう事を聞くのが悪いんでしょ!」
シルキィは怒りながらランスに背を向けて歩いて行く。
ランスはそれを見ながらニヤリと笑う。
「まあ魔人をぶっ殺せば楽しめるからな。今くらいは我慢だな、我慢」
本来であれば魔人を倒すなどありえない事―――だが、ランスにとっては魔人とはセックスするための障害でしかなかった。
「がはははは! 戻ったぞ!」
ランス達はペンシルカウへと戻る。
「あ、戻って来た」
「おかえりなさーい」
カラー達はランス達を明るく迎える。
これもランスが全力でカラーを助けたからなのは間違いない。
「戻ったようだね。無事…では無いみたいだけどね」
上機嫌のランス、不機嫌なシルキィ、完全に無表情のベネット、疲れた顔をしている日光を見てハンティは苦笑する。
「で、ベネット。あんた、なんて顔してんのよ」
「いえ、私は処女なのに処女じゃない扱いをされたんです。これは許される事では無いです」
「…何となく察したけど、ベネットの場合はそれ以前の問題だと思うけどね」
ハンティの言葉にベネットはあからさまに不機嫌な顔になる。
それだけ今回の出来事は傷ついたのだろう―――そしてこれからも傷ついて行くのかと思うと流石のベネットも気が重い。
「それよりも早く行ってあげなよ。ま、レンなら全然大丈夫だけどさ」
「おう、そうだな。全く、奴隷のくせにご主人様の手を煩わせるとは許せんな」
ランスは魔法ハウスへと足早に歩いて行く。
そんなランスを見てハンティは再び苦笑する。
「あの男…素直じゃないんだね」
「そうですね。それだけランスにとってジルは大切な人なのでしょうね」
日光はランスとジルの関係を知っている。
それ故に、どれだけランスがジルを助けるために苦労しているかも知っている。
そして彼女を失った時にどれだけの苦痛を味わったか…それも今なら分かる。
ランスはそれを表面上に表す事は決して無いのだろう。
シルキィはそれを聞いて少し複雑な顔をする。
(そういえば…私、ランス君の表面しか見てなかったかな…いや、その表面が問題なんだけど…)
シルキィから見たランスは本当に強い…が、欠点も多い。
欲望に忠実過ぎるし、男は本当にどうでもいいという感じが丸分かりだ。
しかもその欲望は女にしか向かってない。
まあ当然そういう態度は嫌われる要素であるのは間違い無いが、ランスはそれを隠そうともしないし、改める気も全く無い。
(でも…それでも守るもののためには全力なのよね)
カラーの事にしても、ジルの事にしてもそうだ。
特にカラーを助けるために無謀とも言える行動をし、そして実際にカラーを助けた。
そして魔人相手にも全く退かない…正直その部分は憧れる所も有る。
(ジルを助ける事もそう…絶対に諦めないのよね。ランス君)
ランスは悪い部分が多い…が、それと同じくらいに凄い所もある。
一緒の居ると不思議と彼ならなんとかしてくれるという気持ちも出てきたのも事実だ。
(ただねえ…女好き過ぎるのがねえ…)
その部分を直してくれれば良いのだが、言って聞くような男でも無いだろう。
「おいレン! ユニコーンの蜜を持って来たぞ」
ランスは足早に魔法ハウスに入ると、レンは直ぐに出てくる。
「随分早いわね。ま、有難いけどね」
「…お前は随分と余裕そうだな」
レンの普段の変わらない顔を見てランスは眉を顰める。
何しろレイラがアイゼルの術にかかった時は、セルは非常に疲れていた。
今のジルはレイラよりも遥かに肉体的には強い。
「余裕に決まってるでしょ。ジルだって体力には限界があるんだから。それに私は少しくらい休まなくても問題無いし」
「ふーん。便利だな」
「便利って…まあいいか。今ジルは疲れて寝てるからさ。で、ユニコーンの蜜は?」
「ほれ」
レンに促され、ランスはユニコーンの蜜を渡す。
「ふーん…これがか。ま、とにかくとっとと治してくるわ」
レンは直ぐにジルの部屋へと消えていく。
そんな様子を見て、ベネットは不思議そうに首を傾げる。
「旦那。旦那が蜜を与えないんすか?」
「別に俺様じゃなくてもいいだろ」
「うーん…旦那の事だからこれを機にイタズラを…あだっ!」
「アホか。俺様はロリコンではないぞ」
ランスは当然ロリコンではない。
(まあジルが元の体だったら色々やってたが…惜しいな)
あの時ランスは治療と称してレイラとセックスをした。
それくらいのご褒美は頂きたいが、流石の今のジルにそういう事をするのはNGなのだ。
「で、この後は本当に魔人…魔人メディウサの所に行くの?」
「当たり前だ。今度こそあいつを殺す」
シルキィの言葉にランスは迷わず答える。
その言葉を聞き、シルキィも覚悟を決める。
(私達から魔人の所に向かう…決して楽な事じゃない、困難な事…そのために出来る事をしないと)
「ねえランス君、ちょっといい?」
「何だ」
「ランス君って剣士だけど、随分と軽装よね」
「日光だってそうだろ。まあ日光は侍だが…」
ランスは日光を見る。
JAPAN統一で織田信長も言っていたが、JAPANから見たら大陸の人間は重武装らしい。
逆にランスからすれば、JAPANの人間が軽装過ぎるのだが、それこそ文化の違いという奴だ。
「ランス君って鎧は使わないの?」
「鎧…」
シルキィの言葉を聞いてランスはため息をつく。
これまでの戦いの経過を思い返してきたが、その度にランスの鎧は壊されてきた。
しかもGL期では人里も少ないので、満足した鎧も見つける事も出来なかった。
何よりも、魔人や魔王との戦いで鎧がポンポンと壊されてしまうので、鎧を使わない戦いをするしか無かった。
最初は戸惑いもあったが、今では鎧を使わない戦闘スタイルを身に着けてはいる。
ただ、これまでの経験からやっぱり鎧は必要なのではないかとも思ってはいた。
「ランスの鎧は何時も壊されていましたからね…」
「そうなんだ…やっぱりそれは魔軍との戦いで?」
「…魔人や魔王が相手です。命があっただけでも十分な結果とも言えますけどね」
シルキィの言葉に日光は苦笑する。
これまで魔人や魔王と戦っても生き残ってきたランスの強さ、そしてそれまでの経験がランスを救って来たのだろう。
「そっか…ランス君も苦労してるんだ」
ランスの強さは分かってはいるつもりだったが、それ以上に苦労も多いのだろう。
それを考えれば確かに命があるだけ儲けものなのかもしれない。
「ねえランス君。ランス君は鎧が欲しいの?」
「あって困るもんじゃ無いだろ」
防具は上等なものが有れば有るほど良いのだ。
冒険者をしているランスはその辺は分かっている。
冒険が無い時は散財して金欠で、キースギルドでオイシイ仕事を回してもらっているが、冒険のためにはランスはお金を惜しまない。
なので道具も武器防具もきちんと揃えるし、ランス城を手に入れてからは凄腕のメイドであるビスケッタが管理してくれており、常に完璧な状態だったのだが。
「うーん…ランス君がどんなスタイルかによって私も出来る事が変わるんだけどな…」
「なんだ何かあるのか」
意味深な事を言うシルキィに対し、ランスは疑問を投げかける。
「前にも話したでしょ、私の能力」
シルキィは自分の武器を身に纏う。
そうする事で戦うのがシルキィのスタイルだ。
「私の力…付与の力なんだけど、それでランス君の助けになれたらいいなって。魔人との戦いには必要だなって…前戦った時に思ったの」
「確かにそういうのがあれば便利だな」
「ただ…リトルは完全に私専用だし、ランス君用に何かを作るなら時間がかかっちゃうかなって…」
シルキィとしてもそこは悩ましい所だ。
カラーが今でも魔人の脅威に晒されているのは事実だ。
そしていつカラーが襲われるか…それは分からない。
ならば今のうちに魔人を叩くというのは間違っていない。
だが、そのためにも色々と準備も必要なのも事実だ。
相手は魔人、準備もしすぎるに越したことはない。
「それなら良い手段が有る」
その時、ジルの部屋からジルとレンが出てくる。
「もう治ったのか? 早いな」
ランスの言葉にジルが首を振る。
「ジルは疲れて眠っている。だから今は我が意識を使っている」
「スラルちゃんか。そっちはもう大丈夫なのか」
「ああ。影響を受けたのはあくまでもジルであり我じゃ無いからな。ジルの意識が無いうちは我が長い時間出てこれるようだ」
スラルはランスの側に行くと、その服に触れる。
「ランス。お前の着ている服をシルキィに強化してもらえばいい」
「服だと? そんなの簡単に破けるだろうが」
「だから強化して貰うのさ。それに今のお前が脅威なのはやはり魔法だ。お前とまともに接近戦が出来る奴など限られてくる。ならばお前に必要なのは魔法防御力だ」
スラルの言葉に日光も頷く。
「そうですね…魔人はやはり強力な魔法を使ってくる者も多いです。それを考えればランスに必要なのは魔法に対する防御力でしょうか」
「魔法…」
ランスは魔法と聞いて過去を思い出す。
確かにランスは過去に魔法には苦しめられた。
思えばゼスであんな事になったのは、元はと言えばランスがラドンによって眠らせられたからだ。
もしあの時その魔法にかからなければ…それはそれで大変な事にはなっていただろうが、シィルと離れる事は無かっただろう。
特にランスは精神系の魔法には痛い目にあわされてもいる。
「ランス君が良ければ、私がランス君の服…いえ、戦闘服ね。それを作りたいんだけど…いいかな?」
「おういいぞ。お前が作るんならいい物が作れるんだろ。それならそれで構わん」
シルキィの申し出をランスは躊躇いなく受ける。
良いモノは何でも使うのがランスだ。
それに、シルキィが作るのだから変な物は作らないという確信も有る。
「良かった。じゃあ素材から考えないと…」
「物理よりも魔法。それに重点を置いた素材が良いとは思う。我も付与に関しては少しは知識は有るが、シルキィとは全く違う知識だろうから、お前に任せるのが良いと思うが…」
「うーん…まずは色々と考えてみるね。ランス君、魔人の所に乗り込むのにどれくらい時間がかかりそう?」
「うーむ」
シルキィの言葉にランスは悩む。
ランスは思い立ったら即行動なのだが、流石に相手が魔人となれば話は別だ。
魔物大将軍が死んだことも何かしらの影響を生み出すかもしれない。
その辺りは未知数なので、ランスとしても様子を見る必要があるのも事実だ。
「それなら私も協力するよ。そっちには魔人メディウサを倒して貰う必要もあるしね」
何時の間に入って来たのか、ハンティが突然現れる。
「私が外の動きを見てくるよ。その代わり、私の居ない間カラーを守って貰いたいけどね」
「それは別に構わんぞ」
「じゃあ情報収集は私が受けるよ。それ以外の事はローザに頼めばいい。無理のない範囲でなら叶えてくれると思うしね」
「ハンティ。出来るのなら魔人メディウサの城の辺りを重点的に見て欲しい。新たな動きを知るのにはそこが一番だろう」
「分かったよ。ま、それくらいはやってやるさ」
そう言ってハンティの姿が消える。
瞬間移動で移動したのだろう。
「じゃあ今ある材料と材質で何が出来るか…その辺りも考えないとね」
シルキィも喜々として指を動かす。
こうして誰かのために付与をするのは何時振りの事か…久々の事でシルキィも嬉しくなってきていた。
「ランス君、早速だけどサイズを測らせてね。とびっきりの物を作るから」
「がはははは! お前に測られるのならば構わんぞ」
こうして、魔人メディウサ討伐のため、着々と準備は進んで行くのだった。
???―――
「ぎゃああああああああ!」
恐ろしい悲鳴と共に、女が絶命する。
腹からは蛇が飛び出し、どれ程の苦痛であったかがその顔から分かる。
「あああ…やっぱりいいわね、この感覚。人間が死ぬ瞬間の絶望が本当にいい」
魔人メディウサは動かない人間の女をゴミのように捨てる。
辺りには多数の死体が転がっており、そのどれもが凄惨な姿を取っていた。
「あの忌々しい呪い…ようやく解けたのね」
メディウサが不気味な笑みを浮かべていると、
「それは違うわね。あなたの呪いはそんな簡単には解けない。今一時的にその呪いを無効にしているだけ」
虚空から楽しそうな笑みが聞こえてくる。
「ああ…来てたんだ」
「ええ。沢山殺してくれたみたいでね…それも残酷に」
その女性は突如として現れる。
姿は人間のものだが、その身に纏ってる気配は非常に禍々しい。
「カラーの呪いだけでなく、魔王の呪いも上乗せされている。でも、その魔王が居なくなったから元の呪いを不完全な状態で私が解除しただけ」
「フン…」
女の言葉にメディウサは詰まらなそうな顔をする。
だが、こうして人間の女をいたぶり殺せるようになったのは、メディウサにとっては何よりの事だった。
「で、カラーはどうなったの?」
「ああ…そっちは失敗したみたい。魔物大将軍の…名前は忘れたけど、死んだって」
「そうなんだ。ちょっと意外」
「私はどうでもいいけどね。でも、そっちの言う通りにはしたわよ」
「目的は達せられてないけどね。ま、そこまで期待はしてなかったからどうでもいいけどね」
そう言いつつも、女は不機嫌そうに死体を踏みにじる。
「それにしても…魔人が悪魔と取引なんて、魔王が知ったらどう思うかしらね?」
女の意味深な言葉にメディウサは鼻で笑う。
「別に魔人がどうなろうが知った事じゃないんでしょ。魔王なんてそんな奴よ」
メディウサは憎々し気に吐き捨てる。
実際、ジルは自分をあっさりと見捨てた…いや、そもそも自分は当て馬でしか無かったのだ。
その事実はよりいっそうメディウサを拗らせてしまった。
「私は上質な人間の魂…絶望に染まった魂を回収できればそれでいいんだけどね」
「ギブアンドテイク、いい関係じゃない?」
女―――悪魔の言葉にメディウサは笑う。
「でもあまり調子に乗らない事ね。あなたの呪いはそれ程までに大きい。完全に解呪されるにはまだ時間がかかるでしょうね」
「フン…」
悪魔の忠告にメディウサは詰まらなそうな声を出す。
だが、この悪魔がいなければメディウサは楽しみを再開出来なかったのは事実だ。
だからこそ、メディウサはこの悪魔の言葉に乗ったのだ。
「じゃあ私は行くわ。ま、精々気を付けて楽しむ事ね」
そう言って悪魔は再び消えていく。
それを見てからメディウサは股間から生えた蛇に死体の一つをグチャグチャにかき回す。
「フン…いけ好かない奴。でも、呪いが完全に消えた後は悪魔で楽しむのもいいかもね…」
メディウサは邪悪な笑みを浮かべながら、新たな犠牲者を出すべく部下を呼び出すのだった。
職場でインフルとノロが発生し、無事な自分に皺寄せが来てました
ようやく一段落しました
ですが、まだ予断を許さない状況なので…投稿スピードはどうしてもまだ戻りません
申し訳ないです…