ランス再び   作:メケネコ

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再戦 魔人メディウサ

 魔人レイ―――怒れる王として恐れられ、同じ魔人からも距離を置かれている魔人、それがレイだ。

 何しろ行動がほぼチンピラのそれであり、話しかけられても無視するのが殆どだ。

 それこそ同期の魔人…魔人アイゼルや、魔人ジーク等が辛うじて親しいと言える範囲だ。

 だが、同期の魔人でも当然のように嫌っている存在が居る…それがメディウサだった。

 最初は何故姉御…魔王ジルがこの魔人に目をかけているのか分からなかった程だ。

 しかし、それはその後の行動によって納得がいった。

 メディウサはそもそもランスを呼び寄せるための餌に過ぎなかったことを。

 それを聞いた時心の底からざまあみろと思ったが、そのジルがガイによって倒され、何時の間にかメディウサは好き勝手するようになった。

 そして魔人同士の争いは禁止、ガイはそう命じたためレイも特にやる気はなかった。

 だが、時代の針は再び動き、ランスがメディウサを倒すために再び立ち上がった。

 そして今、レイはメディウサの前に立ったのだ。

「どういう事、レイ。助けに来た…何て事は無いわよね、あんたに限って」

「当たり前だ。俺がお前を助けるなんぞ絶対にありえねえからな」

 吐き捨てるように放ったレイの言葉にメディウサは不快な顔をする。

「じゃあ何のつもり。まさかこの人間を助けに来た…何て事は無いわよね」

「ああ。俺はこいつを助けるつもりなんて更々ねえ」

 レイの言葉にメディウサは更に苛立った顔をする。

「じゃあ何のつもりよ」

 メディウサの言葉にレイは鼻で笑う。

「お前が死ぬところを見に来たつもりだったんだけどな」

「レイ…アンタ、死にたい訳?」

「ハッ! テメエ如きに俺を倒せると思ってるのか?」

 レイはベルトのバックルから櫛を取り出す。

「おう、久しぶりだな。ランス」

「………誰だ?」

 ランスの言葉にレイは思わずずっこけそうになる。

「おい! まさかもう忘れたなんて事はねえだろうな!? 何回かやり合ってるだろうが!」

「男なんぞ一々覚えとらん。だが、何となく覚えているような…」

 ランスが本気で頭を捻っているのを見てレイはキレそうになる。

(いや、落ち着け…こいつはこういう奴だ。こいつはマジで俺の事を覚えてねえんだ…)

 それはそれで問題なのだが、これくらいでキレていたらランスとはやっていけない。

 まあ、どっちにしろ何れ倒してやる相手なのだから問題無い、そう言い聞かせてレイは呼吸を落ち着ける。

「あ、そうだ。確かゲイだ! …ゲイか。俺様に近寄るな!」

「お前今のアイツとの会話聞いてたんだろうが! レイだレイ! 一時期お前と居た事もあっただろうが!」

「うーむ…そういやこんな奴が居たような気もしたが…」

「いや、ランス…流石にそれはどうかと思うわよ」

 ランスが本気で忘れている事を察し、レンがフォローする。

 流石にこれではレイがちょっぴり可哀想だと思ってしまったのだ。

「ま、いいか。とにかく、お前は一体何の用だ」

「ったく…お前は本当に訳の分からねえ奴だな」

 ランスとレイのやり取りにメディウサは不審気な顔をする。

 明らかにこの人間とレイが知り合いだからだ。

(…いや、ジルが言ってた通りか)

 メディウサは魔王ジルにこう言われていた事があった。

『あの人間は再びお前を殺しに来る。だが…呪いを受けたお前がそれをはねのけられるか?』

 そう言ってジルは笑ったのだ。

 それも酷薄で残酷な笑みを。

 それからメディウサはジルを本気で恐れ、呪いの事もあり大人しくせざるをえなかったのだ。

 そしてジルが消え、ガイが魔王になった事でようやくジルの呪いが少し消えた所にこの悪魔が現れた。

 呪いを消す代わりに殺した人間の魂を捧げろという言葉にメディウサは乗った。

 だからこそ、メディウサは再び享楽の宴を楽しむ事が出来たのだ。

(ジルの言っていた人間…時間を超えてまた私の邪魔をしに来た…)

 メディウサは改めて怒りと憎しみが沸き上がる。

 ジルから告げられた、自分はあの人間を釣るための餌という言葉―――そしてその後の事。

『次にもう一度ランスの姿を見た時…お前は死ぬ…そして…次のステージに行く…』

 メディウサはジルにとってはあの男の踏み台にしか過ぎなかった。

 それを思い知った時、メディウサにあったのは確かな絶望、そして苛立ちだった。

 そして決意した…自分の前にもう一度この人間が現れた時は、必ず殺すと。

 この人間だけは絶対に殺してやりたい…そう思っているのだが、この状況は異常だった。

「で、あんたはこいつと同じ魔人なのよね? それなのに邪魔するって訳?」

 悪魔が不愉快そうにレイを見る。

 それを聞いてレイが悪魔を見ると、本当にくだらなそうに吐き捨てる。

「ああ、そうだ。俺はこいつが死ぬところを見に来たんだ。その後でランスとやりあうつもりだったが…こんな下らん邪魔が入るなんて思わなかったからな」

 そう言うとレイの体から稲妻が走る。

「メディウサの邪魔をするつもりはねえ。だが…下らねえ横槍を入れるお前が気に入らねえ。しかもそれが悪魔と来たもんだ」

 レイはそう言うと、その顔に物騒な笑みを浮かべる。

 その好戦的な顔を見てシルキィは思わず後ずさる。

 それ程までに、魔人レイからは凄まじい力が沸き上がって来たからだ。

「気に入らねえからお前を潰す、それだけだ!」

 レイは櫛で髪をかき上げると、その体から凄まじい雷光が放たれる。

「レイ…あんたね!」

「ハッ! こんな奴とつるむとは焼きが回ったな!」

 レイが凄まじい闘気を放っていると、その頭にランスの日光が直撃する。

「あだっ! 何しやがる!」

「やかましい! 俺様を無視するな! お前の暑苦しい怒鳴り声を聞いてようやく思い出したぞ、ビリビリ野郎」

「だからいい加減名前を憶えやがれ! お前は女しか覚えてねえのか!?」

「当たり前だ。男なんぞ名前を覚える価値が有る訳が無いだろうが」

 ランスはそう言って日光をメディウサに向ける。

「アレは俺様がぶっ殺す。お前は邪魔するなよ」

 その言葉を聞いてレイは唇を吊り上げる。

「あんなのにやられんじゃねえぞ。ま、あの時に比べりゃ大した奴じゃねえけどな」

「アホか。あんなのがゴロゴロいてたまるか。お前はあっちの奴と遊んでろ。あ、殺すなよ。俺様がオシオキするからな」

「だったら俺より早くメディウサを片付けるんだな」

「フン、俺様の邪魔をする奴は誰だろうとぶっ殺す。女はオシオキセックスじゃー!」

 その言葉を合図と言わんばかりにランスとレイは同時に駆ける。

 ランスはメディウサに、レイは悪魔に。

「ランス! 私は悪魔をやる! メディウサは任せるわよ!」

「あん!?」

「私の立場は分かってるでしょ! アンタを守るのも重要だけど、こっちも同じように重要なの! それに…今のランスならあの程度の魔人位倒せるでしょ」

「当然だろうが!」

 ランスの言葉にレンはニヤリと笑う。

「じゃあ任せた! 悪魔の方は私に任せなさい!」

 そう言ってレンはレイと共に悪魔に向かって行く。

 ランスは改めて日光を構えてメディウサに向かって行く。

「死になさい! ファイヤーレーザー!」

 メディウサはランスを撃退するべく魔法を放つ。

 レーザー系の魔法は強力で、ランスだってまともに食らえば危ういだろう。

 それが魔人が使うものならば尚更だ。

「フン!」

 ランスは慌てずに剣を振るってファイヤーレーザーをかき消す。

 ラ・ハウゼルの加護とも言うべきこの剣ならば、ある程度の炎の攻撃を斬り裂く事が出来るのだ。

 本来魔法は絶対命中という理不尽さがあるのだが、今のランスは炎と氷の攻撃に関しては手にした剣である程度防ぐ事が出来るのだ。

(チッ)

 だが、それでも魔人が放つ魔法というのは強力で、斬ったファイヤーレーザーの余波がランスの体を少し傷つける。

 勿論戦闘に支障が出るものでは無いが、それでも連続で喰らえばどうなるか分からないだろう。

 だが、同時に魔人の魔法でも今のランスは止まらないという事でも有る。

「フン、とっとと死ね!」

 ランスの剣がメディウサを襲う。

 メディウサは二本の剣でランスの剣を防ぐ。

「死ぬのはお前だよ」

 メディウサの股間の蛇がうねったかと思うと、ランスに向かって強烈な一撃を喰らわそうとする。

 ランスはそれを避け、日光でメディウサを斬ろうとする。

 メディウサは日光の攻撃だけは絶対に喰らわないと言わんばかりに動く。

 ランスの一撃は確かに重い。

 重くはあるが、魔人ならば耐えられる範疇だ。

 魔人というのはそれだけの力を持っているのだ。

 そしてメディウサには二つの手と同時に、股間から生えてる蛇がある。

 その蛇の力は強靭で、普通の人間ならばその一撃には耐えられないのは間違いない。

 振るわれた蛇をランスは身を捩って避ける。

 そして振るわれるメディウサの剣。

 ランスはそれを受けるが、その時にメディウサの目が光る。

「む」

 ランスはそれを見てメディウサから視線を外す。

「甘いよ!」

 それを確認したメディウサはもう片方の剣でランスを斬りつける。

「チッ!」

 ランスはそれを気配だけで判断して剣で受ける。

「スノーレーザー!」

 更に追撃で蛇を振るおうとするメディウサに対し、ジルの魔法が突き刺さる。

 ジルの放ったスノーレーザーはメディウサを吹き飛ばす。

 メディウサは起き上がると、忌々し気にジルを睨む。

「全く…小うるさい奴等ね」

「効いていない…?」

 全く応えた様子の無いメディウサを見て、ジルはその額に汗を浮かべる。

 ジルの魔力は本人の資質も有り、非常に高いのだ。

 しかも今ジルは魔法陣を形成し、魔力を上げて放っているのだ。

 それでも魔人メディウサは平気そうな顔で立ち上がった。

「…ガキ過ぎるわね。でも…あいつに似ていてホント忌々しい。でも、その分楽しめそう」

 ジルを見てメディウサは残忍な笑みを受けべる。

「死になさい。ファイヤーレーザー!」

 そしてジルに向けて魔法を放つ。

 ジルはそれを魔法バリアで防ぐ。

 それを見てメディウサは目を細める。

「防ぐんだ…ま、長く楽しめそうね」

「やかましい! とっとと死ね!」

 ランスはメディウサに斬りかかる。

「一番うるさいのはアンタよ」

 ランスの剣をメディウサは剣で受け止める。

 そしてその目を光らせ、ランスを石化させようとする。

「させないわよ!」

 そこをシルキィがメディウサに突っ込んでいく。

 メディウサの意識は完全にランスに向いているため、シルキィの一撃をまともに受ける。

「!?」

 だが、シルキィの槍の一撃はメディウサの体に僅かに刺さっただけだった。

「うるさいわね。雑魚は引っ込んでなさい!」

 メディウサの股間の蛇がうねると、シルキィに向けて強烈な薙ぎ払いを放つ。

「くっ!」

 シルキィはリトルでその一撃を防ぐが、魔人の一撃を殺す事が出来ずに吹き飛ばされ壁に叩きつけられる。

「シルキィさん!」

「だ、大丈夫! それよりもランス君を!」

 ジルはシルキィに駆け寄るが、シルキィはそれを制して魔人を睨む。

「おや、意外と頑丈ね。これだけ耐えられるなら楽しめそうだけど…」

 メディウサは自分の蛇の一撃に耐えたシルキィを見て残忍な笑みを浮かべる。

(ま、この女にやらなきゃいけないのが癪だけどね…)

 メディウサは悪魔と取引をした時にある条件を飲まざるを得なかった。

 それは、自分が望んだ魂は即座に自分に引き渡す事だった。

 今までそんな事は無かったが、今回は要求された。

 なのでそこは飲まなければならなかったのが苦痛だった。

(何れ…悪魔もやるのもいいかもしれないね)

 そんな事を考えていると、突如として凄まじい斬撃がメディウサに飛んできた。

「ぐ、がっ!?」

 メディウサは突如として襲って来た苦痛に血を吐き出す。

「がはははは! 俺様と戦ってる時に随分と余裕だな!」

「く…この! 業火炎破!」

 何が起こったのか分からなかったメディウサだが、魔法を放つ事でランスと距離を取る。

「あちち! 流石にこいつは斬れんか!」

 ファイヤーレーザーのような炎の魔法なら吸収できるが、流石に広範囲の魔法となると難しい。

 ただ、それでも魔人の使ってくる魔法をここまで軽減できる事には正直驚きだ。

(うむ、この服はしっくりくるぞ。こういう防具は使った事が無いから新鮮だな)

 ランスは自分が身に纏っている服に触れ上機嫌な顔をする。

 これまで戦って来た魔人の攻撃はどれも強烈で、それこそ魔法使いの防御魔法等が無ければ危険だっただろう。

 今ランスが着ているのはシルキィが付与の力を用いて作った特別性。

 ランスが見つけたミスリルで作られた剣を素材に作られた、それこそ超がつくレアアイテムだ。

 ランスが持っていたドラゴンの加護は、スラルの助言によりジルに渡したのだが、それは正解だったとランスは思う。

「がはははは! その程度か!」

 自分の魔法を受けても大して堪えていないランスを見て、メディウサは忌々し気に唇を歪める。

「面倒くさいわね…あんた、ホントに人間?」

 メディウサは確かに魔人の中では大した強さは持っていない。

 序列だけで言えば下から数えた方が早いのは間違いない。

 だが、それでもメディウサは魔人であり、この世界に24体しか存在しえないバケモノなのだ。

 それなのにこの男はくらいついて来る。

 これを異常と言わずとして何を異常と言うのだろう。

「行くぞクソ蛇! お前は絶対殺す!」

 ランスは殺意を剥き出しにしてメディウサに斬りかかる。

 本命はあくまでも日光による一撃。

 相手もそれを警戒しており、ただ斬るだけでは致命傷にはならない。

 ランスはいかに日光を用いて相手に致命傷を与えるか、それが戦いの鍵だった。

「ランス君、私が盾になる! ランス君は攻撃だけを考えて!」

 シルキィがランスの隣に立つ。

 リトルを完全に防御の形態へと変化させると、ランス共にメディウサに向かって行く。

「援護しなきゃ…!」

 それを見てジルは魔法を唱える。

 中途半端な魔法ではメディウサにダメージを与える事は出来ない。

 ダメージにはなっているが、自分の攻撃ではメディウサの再生能力を上回る事が出来ないのだ。

(そうだジル。相手によって攻撃を合わせろ。魔人に対してはあくまでもランスを中心に攻めればいい)

(スラルさん!? 大丈夫なんですか?)

 突如として頭の中にスラルの声がする。

 普段はジルの中の魔王の血を押さえるのが殆どだが、たまにこうして意思疎通が出来る。

(ランスが相手に大ダメージを与えられればお前にも攻撃の機会が来る。ランスの動きに合わせるように状況を判断するんだ)

(は、はい!)

 ジルはランスと共に戦った期間はそれ程長くない。

 ランスとのレベル差が大きかった事も有り、只管にランスを援護するのが殆どで、自分もそれで良いと思っていた。

(そうだ…私はランス様の役に立つんだ)

 ジルは目の前の戦いにより一層集中する。

 以前戦った魔人トルーマンよりもこの魔人は強い。

 でも、昔の自分よりも今の自分は強くなっている。

「魔人は…必ず倒す」

 

 

 

 そして一方では魔人レイと悪魔による戦いが激しくなっていった。

「ヘッ! 悪魔の攻撃は無敵結界が通用しないか! 上等じゃねえか!」

 レイは傷ついた体を見て好戦的な笑みを浮かべる。

「よく言うわよ。こっちの攻撃を『避ける』なんてね。魔人がね」

「生憎と無敵結界に頼った戦いをするほど素直じゃ無いんでね」

 悪魔の揶揄するような言葉にレイは何処か楽しそうに笑う。

 事実、レイは無敵結界に頼った戦いを一切止めた。

 普段は煩わしいので無敵結界を張っているが、いざ戦いとなればそんなものは必要無かった。

 魔人になってからランスと戦った事で、実際に無敵結界に頼るのが危険だと感じたからだ。

 あの時はまだ日光が無かったのでそこまでダメージを受ける事が無かったが、ガイとの戦いを経て実際にカオスの危険さをその身で味わったという経験もある。

 それと同等の力を持つと聞いた日光をランスが持っているとなれば、レイとしても無敵結界など最早飾りにしか考えていない。

 それからレイはランスと血沸き肉躍る戦いを楽しむため、無敵結界をほぼ捨てたと言ってもいい。

 その方がスリルと緊迫感、そして自分の中の血が滾る事に気づいたからだ。

「はいはい、だからと言って無茶な行動は止めなさいよ。悪魔の攻撃は素通しなんだからね」

 レイの体が光ったと思うと、傷ついた箇所が癒えていく。

「何だよ。お前、こっちに来たのか」

「何よ、悪い」

「別に悪かねえよ。あいつの方は良いのか。お前、あいつにべったりだったじゃねえか」

「べったりとは何よ失礼ね。ま、私にも仕事があるのよ。悪魔を消すという大きな仕事がね」

 そう言うレンの言葉は非常に冷たい。

 レイもレンの事を強者として認識しており―――実際人間の時はレンには全く勝てなかった―――彼女の事は意識していた。

 女としては意識して無いが、それでもその強さは認めていた。

 その彼女が、ここまで嫌悪感と殺意を悪魔に向けているのはレイも多少は驚いている。

 普段は飄々としているが、戦闘になると異常に強いという印象だったが、今の彼女は殺意に溢れている。

 その殺意には魔人であるレイですらも思わず背筋が寒くなるほどだ。

「ま、別に構わねえがな」

「アンタも油断してると死ぬわよ。この悪魔…かなりの階級の高さね」

 レンの言葉に悪魔は薄く笑う。

「随分と詳しいわね。ま、そこまで分かってるなら教えてあげるわよ。第肆階級って言えば分かるかしら」

 悪魔の言葉にレンは唇を噛む。

(そこそこ高いと思ってたけど…まさか第肆階級か。いくら神としての格が上がっても今の私一人じゃ厳しい相手か…)

 第肆階級は悪魔としてはかなり高い。

 まさかそんな高ランクの悪魔が魔人に手を貸すとは思っても居なかった。

 いや、そもそも悪魔と魔人が手を組むのが予想外だ。

(これも私達が過去に飛ばされた弊害か…)

 メディウサはランスとカラーに呪われた事で悪魔と契約を交わした。

 つまりはランスがセラクロラスに会わなければ、メディウサは悪魔と手を組むことは無かったという事だ。

「それにしても…まさかカラーがこんな所に来るなんてね。意外と逞しいわね、あなた」

「余計なお世話でやんすよ」

 悪魔の言葉にベネットは吐き捨てるように呟く。

 そこにあるのは明らかな敵意だ。

「あら、そんなに睨まなくてもいいんじゃない? 私はあなたの先輩なんだから」

「なーにが先輩でやんすか。アンタ、カラー王国を作った奴でやんすね」

 その言葉に悪魔は意外そうに目を見開く。

「知ってるんだ。アレから1000年以上経ってるのに」

「その負債を私達が払わされてるってんですよ! あんな好き勝手してたらそりゃ人間からも狙われるわ! そのせいで今のカラーがどんだけ苦労している事か!」

 ベネットの言葉に悪魔は唇を吊り上げる。

「それが? 今のカラーがどうなろうが私の知った事じゃ無いわね。ま、あの黒髪のカラー…ハンティに頼れば?」

「お前が始祖様の名前を出すな!」

 悪魔が始祖、ハンティの名前を出した事にベネットは激高する。

「俺を無視して話を進めてんじゃねえよ!」

 二人のやり取りにしびれを切らしたのか、レイが悪魔に向かって突っ込んでいく。

 レイの戦い方は喧嘩殺法、好き勝手暴れるのがスタイルだ。

 それでいて非常に強いので質が悪い。

「あら、突然ね」

 悪魔はレイの攻撃を余裕で避ける。

「くたばれ」

 レイの攻撃は喧嘩殺法だけではない。

 今のレイは雷を操る魔人なのだ。

 レイの手から雷が放たれ悪魔に襲い掛かる。

「随分器用ね」

 悪魔は翼を振るってレイの電撃を防ぐ。

 それを見てレイは目を見開く。

「随分と驚いているわね」

「へっ、楽しめそうだと思ってるだけさ。久々に…楽しい喧嘩になりそうだぜ!」

 魔人レイは久々の戦いに血を滾らせるのだった。

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