ランス再び   作:メケネコ

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決着 魔人と悪魔

「本当に煩い奴ね…アンタは!」

「そうかよ!」

 悪魔の言葉にもレイは不敵な笑みを浮かべるだけだ。

 レイにとってもこの悪魔は純粋な強敵であり、無敵結界が意味をなさないというまさに自分が望んでいた戦いをくれる相手だった。

 その事がレイを高揚させており、その攻撃が一層と激しくなる。

 電撃をその拳に纏わせてのパンチはそれこそ脅威だ。

「いい加減にしなさいよね。スノーレーザー!」

「させないわよ!」

 悪魔はレイに向けて魔法を放つが、レンがその魔法を防ぐ。

「チッ! どこまでも邪魔をする…!」

「余所見してんじゃねえ!」

 悪態をついた悪魔に対し、レイが強烈な拳を放つ。

 悪魔はそれを宙を飛ぶことで避ける。

 そしてその手にある鎌を振るいレイに攻撃を仕掛ける。

 レイはその鎌を見た時嫌な予感がする。

(…アレはヤバイな)

 それはレイの戦士としての勘なのだろう、その鎌に当たらないように距離を取る。

「よく避けたわね」

「…アイツと一緒に居たからそういう勘だけは冴えるんだよ。ま、あの時程じゃねえけどな」

 もしレイがランスと出会ってなかった、今のような勘は働かなかったかもしれない。

 何しろランスと共に行った場所は滅茶苦茶であり、レイでも死を覚悟したほどだった。

 ドラゴンに加えて複数の魔人、そして魔王。

 それらと戦った結果、レイは魔人は決して無敵では無い事を思い知った。

 だからか、レイは魔人になっても無敵結界に頼る戦いはしていない。

「当たらない方が良いわよ。私だって完全には防げない。しかも相手はカラーから悪魔になった奴だからね。下手したら呪われるわよ」

「呪い、か。そいつは面倒だな。それにしても悪魔ってのは元カラーなのか」

「カラーから悪魔になる奴が居るってだけよ。カラーとは関係の無い悪魔も居るしね」

「ま、どっちにしろケッセルリンクに比べれば大したことはねえ」

 レイはそう言って悪魔に向かって突っ込んでいく。

 レイの戦いは本質は喧嘩だ。

 実際にそれで何とかなってしまうのがレイという男なのだ。

 人間だった頃からその力で魔物達を退けてきたのだ。

 それは魔人になっても変わらず、相変わらずの喧嘩殺法だ。

 だた、それでもその技能レベルが有れば十分すぎる程の力を発揮する。

「オラァッ!」

「いい加減にしなさいよね…デビルビーム!」

 悪魔は魔法を放つが、レイはその痛みを無視して悪魔に殴りかかる。

「効かねえんだよ!」

 そう言いながらも血を流しているが、実際レイの勢いは全く衰えない。

「この戦闘狂が!」

 悪魔は悪態をつきながらもその手の鎌を振るう。

 レイはその鎌だけは当たらないように攻撃を避けると、悪魔の腹に強烈な蹴りを入れる。

 蹴りを受けた悪魔は吹き飛ばされるが、レイは自分の感じた蹴りの違和感に気づいていた。

(後ろへ飛びやがったか。カミーラと同じ感覚だぜ)

 レイは喧嘩っ早い魔人であるため、他の魔人にも色々と喧嘩を吹っ掛けてきた。

 まあ殆どの魔人はレイとの戦いを拒否するのだが、カミーラは違った。

 ランスを見つけるまでの暇潰しとして、レイの喧嘩を買った事がある。

 その結果は当然カミーラの圧勝―――魔人四天王との実力差は圧倒的だった。

 その時の戦いの時に感じた違和感を感じ取っていた。

「空を飛べるってのも便利なもんだな」

 レイは手から電撃を放つが、悪魔の前で電撃は霧散する。

 レイの攻撃は魔法使いの放つ電磁結界並の威力があるのだが、それでも目の前の悪魔の前では力不足のようだ。

「エンジェルカッター!」

 すぐさまレンの魔法が追撃するが、それも悪魔のバリアによって弾かれる。

「流石はカラーからの悪魔って事かな。魔力は高いか」

「悪魔ってのも中々バリエーションに豊富だな」

「ま、色んな悪魔が居る訳だしね。でも、肆階級の力は大きいわね」

「その階級が何なのかは知らねえし興味もねえが、楽しめるんだったら何だって構わねえさ」

 レイにとっては戦いが全て、相手が誰であろうと興味は無い。

 ただ強い奴が居る、レイにとってはそれで十分だ。

「でも流石に厳しいかもねー。ランス居ないし」

「…あん?」

 レンの言葉にレイの眉が上がる。

「ちょっと待て。俺じゃ不満だってのか」

「不満っていうかね。強さだけなら魔人のアンタの方が強いけど、いざ相手を倒すって事を考えたらランスの方がやっぱりねー」

「…上等じゃねえか」

 勿論その言葉はレンの挑発だ。

 レイはランスを意識しているので、こう言えばよりやる気が増すのは間違いない。

「さて…」

 レンは剣と盾を構えて悪魔を見る。

 魔人レイと自分を相手にしてまだ大きな傷は負っていない。

 相手の攻撃を防げているが、地力は相手の方が上なのは間違いない。

(前に戦ったフィオリとかいう第参階級よりは弱いんだけどね…それでもやっぱり第肆階級の悪魔は強いか)

 レンは過去に戦ったフィオリを思い出す。

 あの悪魔よりは弱いのだが、それでも倒すのは少し難しい。

(ランスとシルキィが居れば何とでもなると思うんだけど…)

 レンはランスの方を見るが、ランス達も魔人メディウサと戦っている。

 流石にランスの助けを借りるのはまだ難しいだろう。

(でもやるしかない。悪魔は倒す、それが私の仕事)

 レンは剣を構えて悪魔に斬り込む。

 レイとの2対1ではあるのだが、やはり悪魔は強い。

「いい加減に煩いのよ。チョウアンコク!」

「光の壁!」

 悪魔の魔法をレンが防ぎ、そこにレイが突っ込んでいく。

 完全には防げないが、何よりも魔人であるレイは全てにおいて人間よりも上回っている。

「オオオオオオオオオ!!!」

「っく! いい加減に…しろ!」

 レイの拳と蹴りの連撃を悪魔は何とか防ぐ。

 接近戦ではレイの方が優勢で、悪魔でも押されている。

 だが、悪魔にも強大な力が有る。

 悪魔は鎌を振るい、レイの体を傷つける。

 同時にレイの左ストレートが悪魔の体を吹き飛ばす。

 が、膝をついたのはレイの方だった。

「チッ、何だってんだ?」

 レイが自分の目を押さえる。

 悪魔は立ち上がるとその顔に残忍な笑みを浮かべる。

「ようやく傷つけれたか…私は元カラー、その力の本質は呪い」

 呪いという言葉を聞いてレイが顔を歪める。

 その効果はケッセルリンクに味わったものだったが、この呪いは彼女から受けた呪いとは違う。

「暗闇モルルン…しばらくの間目が見えないでしょ。死になさい!」

 悪魔は鎌を構えるとレイに向かってその鎌を振るう。

 そしてその時レイは確かに笑った。

「オラアッ!」

 レイの体が発光したかと思うと、凄まじい電撃が周囲を襲う。

「ぐあっ!?」

 その電撃を受けて悪魔は鎌を取り落としてしまう。

「コラ! 私達を巻き込むな!」

「わりぃな、手加減している余裕は無いんでな」

 レンはレイから距離を取り、その攻撃から難を逃れていた。

 だが、近くにいた悪魔はそうはいかない。

 凄まじい電撃を受けてその体が震えている。

「ば、馬鹿な…こんな…」

「目を潰したくらいで勝ち誇ってんじゃねえよ。襲ってくるのが分かってんならどうとでも出来んだよ」

 レイは正確に悪魔が倒れた所に向かって行く。

 そして蹴りを加えようとするが、悪魔は翼を使ってその蹴りから逃れる。

「いい加減にするのはお前でやんすよ!」

「ぐはっ!」

 だが、その逃れた先には密かにベネットが回り込んでいた。

 そして背後からその胸を狙ってナイフを突き立てる。

 その刃は悪魔の肌を貫き、そこから大量の血が噴き出る。

「く…貴様!」

「お前のような奴が居たからカラーは、始祖様は苦しんでいるんだ! その上魔人と手を組んでカラーを襲う? この…カラーの疫病神が!」

 ベネットは怒りに任せてそのナイフを捻る。

「うぐっ!」

 悪魔は呻くが、それでもその強烈な力でベネットを弾き飛ばす。

「うあっ!」

 ベネットは吹き飛ばされて地面に倒れる。

「エンジェルカッター!」

 そこにレンの魔法が襲い掛かる。

 悪魔はその一撃を防ぐ事が出来ず体を斬られる。

「く…ま、まだこんな所で…!」

 悪魔が呻いた時、

「新ランスアタタターーーーーック!」

 凄まじい闘気と共に凄まじい悲鳴が響く。

 その方を見ると、メディウサが全身から血飛沫を放って倒れる所だった。

「…ここまでか」

 悪魔はそれを見て潮時だと判断するしかなかった。

(こんな所で…私は死ねない!)

 利用していたメディウサが倒れるなら、もうこんな所に用は無かった。

「魔法陣…逃げる気!?」

 レンはその悪魔を見て魔法を放つが、その魔法は悪魔には届かない。

 ダメージを負っているはずなのだが、それでもレンの魔法を防ぐくらいの力は残って居たようだ。

「逃がす訳ねえだろ…!」

 その時レイの手に凄まじい光が集まる。

 それはサッカーボールほどの光の球になる。

「おい! あいつは何処だ!」

 ランスの闘気の影響も有り、レイは悪魔の気配を見失ってしまった。

「右20度! そこに悪魔が居るでやんすよ!」

 そのベネットの声を聞き、レイは光の球を構える。

(あの雷の球を投げる前に転移できる…!)

 レイの雷光球を見て悪魔は背筋が寒くなるが、それが自分にぶつかる前に逃げれると思った。

 だが、レイの行動は悪魔の予想外の事だった。

 レイは雷光球を自分の足元に落とすと、何とそれを蹴って来たのだ。

「な」

「おーっと! あくまくんふっとばされた!」

 悪魔はそれ以上の言葉を継ぐことが出来なかった。

 レイの蹴った雷光球は凄まじい速度と威力で悪魔の体を襲ったのだ。

 そしてその球をまともに受け、悪魔の体は凄まじい勢いで吹き飛ぶ。

 更に雷光球がスパークし、悪魔の体を焦がす。

「ば、馬鹿な…! こんな事が…!」

「引き際を誤ったわね。ま、欲にかられた自分を恨みなさい」

 そこにレンが突っ込んでいき、その剣で悪魔の心臓を突き刺す。

「ぐ…まさか…天使が…こんな所に…しかも人間と…魔人と…」

「そういう事。自分の運の無さが悪いのよ」

 レンは剣を捻って悪魔の心臓を更に傷つける。

 その衝撃に悪魔は痙攣すると、そのまま塵のように姿が消えていった。

「…ふう、やったか」

 レンは悪魔の死を見届け安堵のため息をつく。

 強力な悪魔だったが、レイの協力も有り何とか倒す事が出来た。

 このまま逃げられていたら面倒な事になっていたので、ここで倒せた事は非常に有難かった。

「当たったか」

「当たったでやんすよ。いやー、凄い技でやんすね」

「まさかこんな所で使う事になるなんてな…ま、しゃあねえか」

 レイとしては今の技は切り札のつもりだった。

 対ランス用の必殺技として編み出したのだが、まあ仕方ないとレイも納得していた。

 レイは特殊技能としてサッカーLV2を持っているのだが、当然本人はそんな事は知らない。

 本当に、たまたま、言葉にするのもバカバカしい理由で編み出した技だ。

 投げるより蹴る方が上手くいく、自分でもバカバカしいとは思ったが、自分の想像以上の威力にはレイも認めざるを得なかった。

「大丈夫でやんすか? なんか呪い受けたみたいでやんすけど」

「これが呪いか。ま、目が見えねえだけだな」

「暗闇モルルンでやんすね。まさか魔人にも有効だとは…ま、流石は悪魔という所でやんすかね」

 悪魔の死と同時に、メディウサの命もまた尽きようとしていた。

「そんな…なんで…私が」

 メディウサはもう立っている事も出来ずに体を痙攣させてる。

「まだ生きてたか。案外頑丈だな」

「それは私を使わなかったからでしょう。私を使っていたなら確実に倒せていたはずですよ」

(それを抜きにしても…ランスの技が凄まじいという事でしょうが)

 日光は確かにランスに刀の使い方を教えた。

 剣の技量についてはランスの方が日光よりも優れているのは間違いない。

 だが、まさかここまでの技…まさに必殺技を編み出しているとは思っても居ない。

「フン、こんな雑魚相手にお前を使う必要が無かっただけだ」

 ランスは日光を抜いて地面に倒れているメディウサの所に向かう。

「おう、クソ蛇。前は止めを刺せなかったが今度こそぶっ殺してやる」

「ま、待って。し、死にたく…」

「ダメだな。女の子を虐める奴に生きる資格は無い。とっとと死ね」

 ランスは無慈悲に言い放つと、メディウサの心臓に容赦なく日光を突き刺す。

「し、死にたく…」

 メディウサはそうとだけ言うと、一度痙攣した後に動かなくなる。

 そしてその体が消え、残ったのは一つの赤い球が残されていた。

「倒した…の?」

「おう。魔人は死んだら魔血魂ってやつになる。この赤い球だ」

 ランスはメディウサの魔血魂を拾ってジルに向かって放る。

 ジルはそれを受け取ると、ポーチの中にそれを仕舞う。

「がはははは! 魔人メディウサをぶっ殺したぞ!」

 ランスの高笑いを聞き、シルキィはリトルを解除して地面に腰を落とす。

「倒した…魔人を倒せたんだ…」

「そうだ。メディウサは死んだ」

「良かった…」

 シルキィは本当に魔人を倒した事に緊張の糸が切れた様に涙が零れる。

 魔人こそがこの世界を地獄にしている元凶の一つだ。

 その凶悪な魔人を倒せたことこそ、シルキィにとっては大きな一歩だった。

「で、そっちは随分と苦戦してたな。魔人のくせに」

「うっせえよ。メディウサよりもあの悪魔の方が強かったってだけだ」

「あ、動かないで欲しいでやんすよ。今呪いを解くでやんすから」

 ベネットの手には消しゴムが握られている。

 それでレイの目の部分をこすると、レイの目に光が戻る。

「ったく…お前とやり合おうと思ったのにとんだ事に巻き込まれたぜ」

 レイは魔人だが、その体は傷だらけだ。

 想像以上にあの悪魔の力は大きかったようだ。

「回復魔法はかけないわよ。今かけたらランスとやりあう気でしょ、アンタは」

「…いや、流石にやらねえよ。だから回復魔法をかけてくれたっていいだろ」

 レンの言葉にレイは憮然とした声を出す。

「…ねえランス君。彼って」

「ああ、魔人だぞ」

「何で魔人がランス君を助けてるの?」

「助けた訳じゃねえよ。俺はメディウサが下らねえ奴とつるんでやがったからぶっ潰しただけだ」

「分かりやすいツンデレ。あなたは野菜国の王子ですか?」

「訳分かんねえこと言ってんじゃねえぞ。ってようやく目が見えるようになったか」

 ベネットは消しゴムを手にレイから離れる。

「あー、やっぱり使い切りか。あの悪魔、これでメディウサと取引してたのかな」

「どういう事ですか?」

 ジルの言葉にベネットはため息をつく。

「メディウサのかけていた呪いはそう簡単に消えるものじゃなかった。だから、あの悪魔はその呪いを一時的に消す事を餌にしてたって事じゃないかなーって。ま、今となっては分からないでやんすけどねえ…」

 ベネットはもう使えなかった消しゴムを捨てると、これまでメディウサの犠牲となった仲間達の事を祈る。

「ようやく終わったでやんすよ…」

 自分の先祖と言われるメディウサを呪った場に居合わせ、魔王ジルから逃げる事が出来た英雄、ウトスカ・カラー。

 ようやく彼女がやり残した事を終える事が出来、ベネットは安堵のため息をついた。

「ねえランス君、この魔人…倒さなくていいの?」

「そういやそうだな。こいつも魔人だから経験値をたんまりと持ってるだろうからな。今のうちに殺すか」

 シルキィの言葉にランスは日光を抜き放つ。

「…おい、流石にそりゃあんまりじゃねえか?」

「そ、そうですよランス様。その…一応助けて貰ったんですし…」

 流石の言葉にジルがランスを止める。

「まあいい。今日の俺様は気分がいいからな。見逃してやるからとっとと失せろ」

「上等じゃねえか! やっぱこの場でケリをつけてやるぜ!」

 わんわんでも追い払うような仕草をするランスにレイはキレる。

 髪は逆立ち、直ぐに臨戦態勢になも、

「バカ言ってんじゃ無いわよ。はい、ホワイトレーザー」

「どわっ!」

 レンの魔法を無防備に受けてレイが吹き飛ばされる。

「ランス、バカやってないでさっさと行きましょう。魔軍が戻って来ると面倒くさい事になるでしょ」

「それもそうだな。フン、命拾いしたな」

 彼女の言葉にランスは日光を仕舞う。

 レイは起き上がると憮然とした様子でランス達を睨む。

「お前等…流石に酷くねえか」

 レイは何処か呆れたようにタハコを咥える。

「俺様が男を見逃してやるんだ。有難く思え」

「ま、お前はそういう奴だな。だが、有難くは思わねえな」

「何だと」

「カミーラには黙っててやるよ。お前もあいつには会いたくはねえだろ」

 カミーラ、という名前が出てランスは顔を歪める。

「あいつ、まだ俺の事を狙ってるのか」

「そんな簡単に諦めるような奴でもねえだろ」

「簡単に諦める奴だと思ってたんだがな…」

 流石に性格が変わり過ぎたカミーラの事を考えるとランスも頭が痛い。

 女に追っかけまわされるのはリアで慣れているが、流石にカミーラは話は別だ。

 それにカミーラは魔人の中でも相当に強く、今のランスでも勝てるかどうかは非常に怪しいだろう。

「行きましょ、ランス。魔物兵が戻ってきたら面倒だし」

「そうだな、とっとと行くか」

 レンの言葉にランスはもう用は済んだと言わんばかりにレイに背を向ける。

 そんなランスに向かってレイはその唇を吊り上げる。

「ランス」

「なんだ」

「またな」

「アホか。男に言われても嬉しくも何とも無いわ」

 そう言ってランスは今度こそレイの前から姿を消す。

 それを見届けてレイは満足気にタハコの火を消す。

「ま、退屈凌ぎにはなったな。それにあの野郎がどう動くか…それを思えば楽しみが増えたかもな」

 レイはそう言って自分と同じ魔王から魔人になり、今は魔王になった男の事を考え苦々しい顔をするのだった。

 

 

 

「あ、そうそう。ベネット、あなた随分といい武器持ってるのね。まさか悪魔を貫くなんて」

 レンの言葉にベネットはナイフを取り出す。

「これはあっしがある所に迷い込んだ末に手に入れた物でやんすよ。いやー、今回の魔人と悪魔と同じくらいきつかったでやんすよ」

「同じくらいって…そんなに苦労したんですか?」

 ベネットの言葉にジルは目を丸くする。

 まさかこの魔人戦以上に大変な事が有るなんて考えられないからだ。

「いやー、話すと長くなるし、意味わかんないし、始祖様もすっごい微妙な顔をするだけでやんすからねえ…もうあんな経験は二度とごめんでやんすよ」

 ベネットが本気で嫌な顔をしているのを見てレンは首を傾げる。

 この能天気でアレなカラーがこんな顔をするとはよほど嫌な事があったのだろう。

「もう二度と会いたくないでやんすよ…ウルンセルとかいう変な奴」

 ベネットはそのウルンセルから手に入れたナイフを手にしみじみと呟くのであった。

 

「おいシルキィ」

「何? ランス君」

 ランスはにやにやと笑いながらシルキィの肩を叩く。

「約束は覚えているな」

「約束って…あ」

 魔人に勝利した高揚感でシルキィはすっかり忘れていた。

 ランスの言う約束、それは魔人を倒したらランスとセックスをする事。

 割といい加減に回答をしていたのだが、確かにランスは約束を守った。

「…ねえ、本当に私なんかを抱きたいの?」

「なんかとはなんだ。お前は十分に魅力的だろうが」

「め、面と向かってそういう事言われるとちょっと照れるわね…」

 ランスの真面目な顔にシルキィは顔を赤らめる。

 そう言われて正直悪い気はしないという気持ちもあるのだ。

「で、でも私日光とかレンと違って女っぽく無いし…見ての通りの体型だし…」

「俺様のハイパー兵器が反応するから問題は無い。変な事を言って逃れようなんて許さんからな」

「………はぁ」

 あまりの真っ直ぐな言葉にシルキィはため息をつく。

 そして顔を赤らめ、

「分かったわよ…」

 そう呟くしか出来なかった。




ようやくメディウサ戦終わりました…予定より遅れて申し訳ありません
これがどうなるかは先の話という事で

ランスの新技のイメージはDMCのバージルの疾走居合
まああくまでイメージなんで、アレほどスタイリッシュでは無いですw
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