「ご無事ですかバボラ様!」
「人間共め!」
バボラの周囲に魔物兵が集まっていく。
「将軍! ここにあるのは…」
「ああ、間違いない。こいつ等が私の部下達を…」
そして魔物将軍が姿を現す。
「こいつら…あの時の魔物隊長を率いていた魔物将軍か」
「同時に…ここにいる魔物隊長の上の連中という訳ね」
レンとシルキィは武器を手に魔物、そして魔人バボラを睨んでいる。
「ランス! しっかりしてください! カフェ!」
「うん! 大丈夫!? ランスさん!」
日光が刀から人の姿に戻り、倒れているランスを抱き起す。
カフェの名前を呼ぶと、カフェが急いでランスに回復魔法をかける。
当たり所が悪かったのか、ランスは強い衝撃を受けて気絶してしまっていた。
「カフェ、ランスは大丈夫ですか」
心配そうな顔の日光にカフェは頷く。
「大丈夫、気を失ってるだけ。それよりも…問題はこの後だね」
「…そうですね」
日光は『聖刀』日光を構え、現れた魔物兵達を見る。
「相手は僅かだ! 囲め!」
「一人たりとも逃がすなよ! こいつらは上玉だ!」
魔物兵はランス達を囲み、逃がさないようにじりじりと迫って来る。
「ランス様…」
ジルはランスの手を掴むが、ランスはまだ気絶している。
「…かなりマズいでやんすね」
ベネットも何とか逃げる場所を探しているが、問題なのは魔軍ではない。
一番の問題はやはり絶対的な力を持つ魔人バボラだ。
魔物将軍と魔物兵が居ようが、この場で一番の脅威はやはり魔人バボラなのだ。
「…突っ込むしかないかな」
「そうみたいね。だったら私が先頭になる」
レンとシルキィは冷静に判断する。
こうなったら一点突破で突っ込む以外に道は無い。
ランスが起きていればもっと楽になるだろうが、流石にそんな事は言ってられない。
「捕らえろよ! こいつらで楽しめるからな!」
魔物隊長の言葉に魔物兵達は一斉に下卑た笑いを放つ。
レンとシルキィが突っ込もうとした時、彼女達が予想もしていない事が起こった。
「この俺と奴の戦いに下らん横槍を入れんじゃねえ!」
「「「ぎゃあああああ!!!」」」
ランス達を囲んでいた魔物兵にバボラが強烈な一撃を見舞う。
「え、バ、バボラ様…?」
その光景に魔物将軍は思わず目が点になり、明らかに上ずった声でバボラを見るしかない。
「この俺が戦ってたんだぞ! 漢と漢の戦いにドロを塗りやがって…! この下衆共が!」
「ぐぎゃあああああ!!!」
バボラは魔物隊長の頭を掴むと、そのまま勢いよく地面に叩きつけた。
それだけでなく、叩きつけられた魔物隊長はそのままバボラに容赦なく頭を踏まれ砕かれる。
「貴様か! 余計な手出しを命令したのは!」
そして怒りのまま魔物将軍の頭を掴む。
「し、しかし相手は人間ですし…ま、魔王様から人間を殺していいと…」
魔物将軍の言葉を聞いて、とうとうバボラは完全にキレた。
「そんな理由で俺の戦いを邪魔したのか!?」
「お、お許しください! バボラ様!」
魔物将軍はバボラの虎の尾を踏んでしまった事を完全に理解した。
バボラは漢気のある、気さくな魔人という噂だった。
冗談も言うし、話しやすい魔人だと。
だが、やはり彼も『鬼』の魔人なのだ。
あの闘争を求めるレキシントンと同じ種族の魔人な事に、魔物将軍は今更ながら理解した。
「漢と漢の勝負に薄っぺらい援護をしてんじゃねえ!」
「ぎゃあああああああ!」
そして魔物将軍はとうとうバボラによってその体を潰される。
「次はどいつだ!」
「「「う、うわあああああああ!!!」」」
バボラの怒号、そして魔物将軍が殺された事で魔物兵達は完全にパニックになった。
誰もが蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
魔物兵を纏めるはずの魔物隊長ですら我先へと逃げ出す始末だ。
その光景をシルキィは目を丸くして見ていた。
バボラは怒りからか肩で息をしていたが、落ち着いたように倒れているランスに目を向ける。
「まだ目が覚めねえか」
「…はい、あなたの一撃が予想以上に大きかったようです」
日光の言葉にバボラはバツが悪そうに頭をかく。
「バカ共が悪い事をしたな。戦いはこれまでだ。行きな」
その言葉にレン以外の者達が目を丸くする。
「見逃すって言うの?」
「俺はお前達と真っ向から戦いたかっただけだ。下らねえ横槍が入った時点で白けちまった」
その言葉が嘘では無いように、バボラからは闘気が完全に消えてしまっている。
「その男が起きたら言っておけ。次は互いに全力でやりあおうぜってな」
バボラはそう言って豪快に笑うと、そのまま背を向けて何処かへと消えていく。
「む…」
バボラが完全に姿を消した後、ランスが目を覚ます。
「…あ、そうだ! アレからどうなった!? というか何が起きた!?」
ランスは最後の瞬間の記憶が飛んでいるようで、立ち上がると直ぐに剣を構える。
「あだだだだ!」
それと同時にバボラの拳が刺さった胸元を押さえて痛みに悶える。
「無茶はだめよ、ランスさん。骨が折れてたんだから…少しは安静にしてないと」
カフェは日光に目で合図を送ると、日光はランスの体を支えて大人しくさせる。
「バボラとの戦いの途中、魔物兵による邪魔が入ったんです。ランスは魔物兵の魔法を受けた後、バボラのカウンターを受けたんです」
「魔物兵だと? 何処にもおらんぞ」
ランスは周囲を見渡すが、魔物兵の姿など影も形も無い。
「それも含めて戻ったら話してあげるわよ。それよりも少しは安静にしてなさいよね」
レンは呆れたようにランスの頭を小突くと、そのまま日光からランスを受け取る。
「あ、こら何をする」
「安静にしてなさいって言ったでしょ。それよりも今回は私も凄いミスね…魔物兵の姿に気づかなかったなんて」
レンは自分の使命が疎かになった事に歯噛みする。
「帰りましょうか。カフェの事も有りますし」
日光の言葉にランス以外の皆が頷き、取り敢えずの騒動は終わりを告げたのだった。
ランス達はカラーの森へと戻り、ようやく休息を取る事が出来ていた。
「おかわりだ、ジル」
「はい、ランス様」
ランスはカラーの森に戻ってから少しの間眠っていたが、先程目覚めたばかりだ。
そしてジルの作った料理をランスはどんどんと平らげていく。
ジルはそれを見てニコニコとしながらランスにご飯をよそっている。
「…ランス君もよく食べるわね。それにしても怪我はもう大丈夫なの?」
シルキィは沢山食べるランスに呆れながらも、心配そうに声をかける。
ランスの傷は決して小さく無く、確かにあばら骨が折れていたのは間違い無かった。
回復魔法で傷そのものは癒えたが、暫くは動けないかもしれないとシルキィは思っていた。
「そういや昔より傷の治りが早い気がするな。まあそれも俺様が強くなったからだな」
ランスもシルキィの指摘で怪我の治りが早い事を自覚する。
ただ、ランスにとってはそれは都合の良い事なので、特に理由等は考えていない。
「で、その魔人は結局どっか行ったのか」
「そう。あなたともう一回戦いたいってね」
「知らん。男と戦っても面白くも何とも無い」
レンの言葉にランスは冷淡に答える。
絶対に倒さなければいけないのならば男の魔人とも戦うが、別に争う必要も無ければランスにとってはそんなものだった。
そんなランスを見てカフェは感心したような呆れたような顔をしている。
「ランスさん…本当にそういう人だったんだ。日光さんの言ってた事って嘘じゃ無かったんだ」
「おい日光。お前、カフェに何を話した」
カフェの言葉にランスはジロリと日光を睨む。
「…まあ私から見たあなたの人となりを」
「俺様の目を見てハッキリと言え」
「…申し訳ありません」
日光は決してランスに視線を合わせず、あさっての方を向いている。
「男の人には興味なし、女性は助けても男性は助けない。ブリティシュとは正反対の人」
「間違って無いわね」
カフェの言葉にレンはうんうんと頷く。
「そうね。ランス君の事を実に見事に表して居るわ。私はブリティシュって人の事は知らないけど」
シルキィも感心したように頷いている。
「お前らな」
「でも…決して逃げない。どんな強大な相手でも、退けない時は絶対に退かない。そしてどんな手を使ってでも相手を倒す人だって」
「どんな手も使うってのは本当でやんすね。どんな汚い手段でも旦那にとっては勝てば官軍でやんすからね」
「当たり前だ。卑怯だのと何だのと、それは所詮は負け犬の遠吠えだ」
ランスにとっては勝つのは前提条件だ。
時には負けて撤退する事もあるが、最後に勝てばそれで全て問題無いのだ。
そしてどんな汚い手段だろうが、勝てば全ていいのだ。
「大変だったみたいだね。まさか魔人が出てきてたなんてね」
「ハンティか」
「アンタが寝てる時に事情は聞いたよ。それにしてもまた魔人だなんて、アンタは本当に運が良いのか悪いのか…いや、良いんだろうね。こんなに沢山の魔人と遭遇して生きてるんだからね」
ハンティは呆れと感心が混ざったような顔をしている。
「で、そっちのアンタかい。日光の昔の仲間って」
「はい。カフェ・アートフルって言います」
「…ふーん、成程ね。確かに厄介な状態かもね」
ハンティはカフェを見て顔を歪める。
「分かるの?」
「こう見えても私は長生きしているからね。そういうものだってくらいは察しはつくよ。実際私も最初目に入れた時、ちょっとだけイラっとしたしね」
「お前でもそうなるのか。ここのポンコツはともかく」
「ポンコツとは失礼でやんすね! こう見えてあっしはカラーの中では随一の戦闘力を持っているでやんすよ。旦那だってあっしの助けが無ければ罠とかにもっと引っかかってるんでやんすよ」
「でもお前は残念な奴だからな…カラーのくせにやりたくならんとか、お前は相当だぞ」
「ぐはっ!」
ランスの言葉にベネットが突っ伏す。
何しろベネットはランスですら手を出したら負けと思っている程残念なカラーなのだから仕方ない。
彼女自身、それを自覚しているのが尚可哀想なのではあるのだが。
「ですがこれでは日常生活すらままなりません。どうにか出来ないのでしょうか」
日光としてはカフェを何とかしたいと思うのは当然だった。
ようやく見つけた仲間がここまで苦しんでいるのを見過ごす事は出来ない。
「日光さん…私はいいの。私が悪いんだし…」
「そんな事はありません。カフェは何も悪くありません。悪いのはむしろ」
「その辺にしとけ。そんな事よりカフェの事だな」
このまま二人は謝罪のループに入りそうだったので、ランスはそれを止める。
そして改めてカフェを見る。
「うーむ…いい女だな。滅茶苦茶やりたいぞ」
その容姿は正にパーフェクト、ランスはカフェを滅茶苦茶にしたい衝動に駆られる。
ただ、それを実行しようとしてもレン達がランスを止めるだろう。
ランスも何とか我慢しているが、やはりカフェを見ていると犯したくなる。
それはカフェが美人だというよりも、男としての本能を刺激されているような感覚だった。
オスとして目の前のメスを滅茶苦茶にしたい、そんな原始的な欲求がランスを襲っていた。
「多分ランスのように考えるのが普通なんでしょうね。そして女はそんなカフェに嫉妬を抱く…そのループでしょうね」
「…その通りです。私はこれまでそうやって生きてきました」
レンの言葉にカフェは疲れたような声を出す。
喜びは一瞬、今ではこの自分の姿を見たくも無い程だ。
「女性として魅力的過ぎるって事ね。でもそれが悪い方向に出ているのね」
シルキィとしてもカフェを何とかしたいと思う。
だが、シルキィには自分がカフェに対して何が出来るのか、それが分からない。
「ランス様、どうにか出来ませんか? このままじゃカフェさんが可愛そうです」
「うーむ、確かにやりたいのは事実だが、無理矢理するのも俺としてもあまり本意じゃ無いからな」
正直無理矢理にでもやってしまいたいが、ランスも一応は成長しているので何とか和姦に持ち込みたい。
だが、恐らくは今のカフェとセックスをすればその意識すらも吹き飛ばされるだろう。
「いい女、いい女…だが、やりたくならない女なんぞ…あっ」
ランスは自分の言葉にある事を思い出す。
「そうだ。確か男から魅力的に見えなくなるアイテムがあったな」
「そんなアイテムが有るんですか?」
ランスの言葉にカフェが食いつく。
「うむ、クルックーがつけてたからな。それをつけてる間は俺様もクルックーとやりたいと思わなかったからな。そうだ、男除けの指輪だ。つけている間は男から見て魅力がなくなる魔法アイテムだ。そんなんだったか」
AL法王であるクルックーはランスと居ないときは常にそれを着けていた。
それを着けている間は、ランスでもクルックーに性的な魅力を感じなかった。
「男除け…でも女性からはそういう目で見られるんですよね」
「それは知らん。俺は女じゃ無いからな」
日光の懸念にもランスは割といい加減な答えを出すだけだ。
実際ランスは男なので、その男除けの指輪をつけた女性が女性かどう見えるかなんてわからない。
「男に見られないだけでも十分だろ。そうすれば女はお前の事をそこまで気にしないんじゃないか?」
「…そういうものなのかな」
ランスの言葉にカフェは考え込む。
ただ、確かにランスの言う通り、これまで女性たちは男にちやほやされる自分を見て嫉妬を拗らせていた。
もし自分が異性から魅力的に思われなければ、もしかしたら女性達も嫉妬はしても、攻撃してくる事は無いかもしれない。
「問題はそれが何処にあるか、よね。有るってだけじゃ何の解決にもならないし」
「そんなの探せばいいだろ。有る事は分かってるんだ。そのうち見つかるもんだ」
「…ランスが言うと本当にそう思うから不思議です。カフェ、取り敢えずランスの言う通り、その男除けのアイテムを手に入れる事を考えませんか?」
日光の言葉にカフェは頷く。
何もしないよりも、こうして何かをした方が気が落ち着く。
何よりも、かつての仲間である日光が居てくれることが彼女の気持ちを落ち着かせていた。
「ありがとう、ランスさん」
「気にするな。まあお前も大変な目にあってたようだしな」
ランスはカフェがどうなっていたのかを知っている。
最終的には拷問器具に捕らわれ、狂う事すら出来ずに閉じ込められていた。
それにカフェはカフェで魅力的なので、ここで好感度稼げば一発やれるという邪な事も考えていた。
カフェはそんなランスの視線に気づいてはいるが、それでもこれまでの男に比べればかわいいものだ。
日光はランスをとんでもない人と言っていたが、実際にはもっと酷い事をする人間をカフェはずっと見てきた。
それに比べればランスは分かりやすい分、付き合うのも難しくない。
「問題なのはランス様と一緒に居るとランス様がカフェさんを襲ってしまう事ですよね…」
「それはね…ある種の呪いだから、別にランスが悪い訳でも無いしね」
「まあそれに関しては私にも考えがあるからさ。日光の仲間なら、私も信用できるしね」
ハンティは苦笑して答える。
「何か手が?」
「一時しのぎでも十分だろ? それならカラーにはお手の物さ。まあ明日まで待ちなよ」
こうしてランス達は取り敢えずの魔人との戦いを終えたのだった。
その夜―――
「むぅ…喉が渇いたな」
ランスは夜に目を覚ますと、自分の部屋に備え付けられていた水を飲もうとし、パイアールが作った保冷庫を開く。
「む、無いではないか。ジルの奴、入れ忘れたな。朝になったら言っとかんとな」
普段はジルが水を補充しているのだが、今日は色々あって入れ忘れたようだ。
なのでランスは普通に水を飲むべくリビングへと向かって行く。
「全く。あの馬鹿力魔人め。今度会ったら絶対にぶっ殺してやる」
今日戦った魔人はランスから見ても特別強い、という訳では無かった。
あの魔人レキシントンに比べれば技術でも力でも劣っている。
だが、あの思い切りの良さと、魔軍の横やりで全てがパーになってしまった。
そしてランスは水を飲み干すと、何者かの気配を感じる。
「む、誰だ」
「あ…私です、ランスさん」
「…なんだ、カフェか」
ランスは絶世の美女の姿を確認し、それがカフェだと頭が認識する。
(俺様が知ってるカフェとは全く違うからな…)
確かに見た目だけならば今のカフェはそれこそ魔性の女とも言える程に美しい。
ただ、ランスとしてはあっちの姿のカフェもまたいいとも思っていた。
なので、目の前の美女があのカフェだとはどうしても頭が追い付いていなかった。
「何をしにきた」
「あ、私も水を…」
カフェはそう言うと、ランスと同じように水を飲む。
(むむむ…滅茶苦茶色っぽいぞ)
ただ水を飲んでるだけだというのに、それだけでも非常に色っぽい。
というよりも非常に艶かしい。
こんな女が側に居れば、誰もが彼女を自分のモノにしたいと思うだろう。
それは最早呪いで有り、彼女自身、そして彼女を見た男や女もそれに抗う事は出来ない。
「うがあああああ!!」
「きゃああああ!? ランスさん!」
「我慢出来ん! やらせろー!」
「ちょ、ちょっと待って! あ、ああああああ!」
翌日―――
「だから俺様は知らん! というかやった記憶すら無いわ!」
「うーん…流石にその言い訳はきつくない? どう考えてもレ〇プの現場だし」
ランスは当然の事ながら女性陣に詰められていた。
レンはやっぱりと言わんばかりに呆れた顔をしてるし、ジルは悲し気な顔でランスを見ている。
日光とシルキィはあからさまにランスに対して怒っている。
「ランス。カフェに対してどうしてこんな事を」
「ランス君! あなたは結構酷い事を言ってるけど、そういう事はしないと思ってたのに!」
「だから知らんと言ってるだろうが!」
ランスは確かにカフェを襲っているのだが、正直ランスとしては本当に記憶が無いのだ。
夜にカフェと会ったと思ったら、朝になったらカフェを襲っていたのだ。
女性陣の視線にはランスは痛いが、それでもランスとしても不本意な行為なのでそこだけは否定しなければならない。
まあ普段の行動が行動なだけに、ランスの信用が無いのは自業自得なのだが。
「うーん…でもこれって旦那が悪い訳じゃ無いと思うでやんすよ」
そして助け船を出したのは、意外な事にベネットだった。
「ベネット…」
「いや、これがカフェさんにかかってる『呪い』に等しい美貌なんでやんすよ。だから別に旦那が悪いんじゃなくて、男ならば誰でもそうするって事でやんすよ」
「そうです、ベネットさんの言う通りです。別にランスさんが悪い訳じゃ無いんです」
カフェが諦めたような声をだす。
「カフェ…」
「日光さん…これが私の日常だったんです」
「でも…」
「私が悪いの…これは罰なの。みんなと違い、魔人を倒す事を願わなかった私の…」
「そんな事はありません。だから自分を責めないで下さい」
日光がカフェを優しく抱きしめる。
そしてやっぱりランスを責めるように見る。
「だーーーーーっ! そんな目で俺を見るな! 俺が悪い訳じゃ無いだろうが!」
「普段の行いってやつね。今までの事を考えたら仕方なくない?」
「やかましい! とにかく俺は悪くない!」
「…まあここでランス君を責めても仕方ないわね。まあ正直私もこういう事情がある女の人をランス君が襲うなんてあんまり思えないし」
シルキィはため息をつきながら答える。
「カフェをランス君に会わせるのは危険ね。ランス君が無意識に襲っちゃうんじゃ一緒に暮らす事もままならない。だからランス君、カフェを襲うなら私を襲いなさい」
「…あの、シルキィさん。それって」
「私が一番良いのよ。体力には自信が有るしね。日光にはカフェのケアをしてもらうのが一番だし」
シルキィは仕方ないと言わんばかりにランスを見る。
「だからランス君、カフェに手を出したら駄目よ」
「全く…お前達は俺様を何だと思ってるんだ」
ランスを無視して話を進めている女達に対し、ランスは不満を言うしかない。
「それはともかくカフェの事は問題ね。多分ランスは無意識にカフェを襲ってる。そうなるとカフェと一緒に居る事が難しくなる」
レンの言葉に誰もが難しい顔をする。
だが、これこそが今カフェを襲っている問題なのだ。
「それに関してだけど…酷い事になってるね」
そこにハンティが誰かを連れて入って来る。
「取り敢えず一時的に何とか出来る人を連れて来たよ」
「あの…よろしくお願いします」
そう言って現カラーの女王は頭を下げるのだった。