ランス再び   作:メケネコ

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迫る魔人

「はぁ…はぁ…」

 シルキィは肩で大きく息をしていた。

 その彼女の前には大きな剣を構えたランスが立っている。

「どうしたシルキィ。俺様はまだまだ本気を出しとらんぞ」

「分かってる…わよ」

 ランスは肩で剣を担ぐようにして余裕の表情を浮かべている。

「ランス相手によく粘るわね」

「そうですね。ですが、やはりランスが相手だと厳しいですね」

 レンと日光は二人の戦いを冷静に分析している。

「…凄いのね、ランスさんって。シルキィさんもかなり強いのに、それでも余裕であしらってる。剣だったらブリティシュよりも強い」

 カフェは初めて冷静に見るランスの強さに目を見開いている。

 以前に会った時から強いとは思っていたが、あれから数百年の時が流れているためその記憶もあまり無かった。

 が、こうして目の前で改めてその腕を見ると、自分が尤も強いと思っていたブリティシュすらもランスは上回っているのがわかる。

「ブリティシュは剣もそうですが、彼には素晴らしい防御技能が有りましたから、一概にランスが強いとは言えないでしょうが…それでも今のランスはやはり別格です」

「そうだよね…私、外から見ていても何やってるのか全く分からないもん」

「ランス様ー。シルキィさんに怪我をさせないで下さいね」

「だから手加減してると言ってるだろうが。ジル、お前はご主人様ではなくシルキィを応援しているのか」

 ランスの指摘にジルは本当に心配そうにシルキィを見る。

「ランス様もシルキィさんも強いから心配なんです」

「分かった分かった。だが今のシルキィに俺様が負けるなんて事は無いぞ」

「言ってくれるわね…事実だけどね」

 あくまでも自信満々に言い放つランスにシルキィは苦笑する。

 事実、シルキィはランスに対して有効打を一撃も与えられていない。

 それどころか、シルキィの攻撃は全てランスに軽くいなされている。

 しかもランスは剣しか使っておらず、刀は一切使用していない。

 それだけのハンデがあって尚、シルキィを子供扱いしているのだ。

「がはははは! そろそろ降参するか? シルキィ」

「冗談でしょ。真っ向からランス君と戦える機会なんてそう無いしね!」

 シルキィはその口元に笑みを浮かべながら、再びリトルを纏う。

 何故こんな戦いをしているかと言うと…単純にシルキィがランスとの戦いを望んだからだ。

 もしシルキィが男ならランスは絶対に受けないが、彼女は魅力的な女性だ。

 そしてそんな事をするならランスが要求するのは唯一つ、当然シルキィとのエッチだ。

 それもただのエッチではなく、ランスに好き放題されるというシルキィにとっても結構勇気が要る事を要求された。

 が、シルキィはそれを受けた―――そこには一つの決意がある。

(今の私がランス君に何処まで通用するか…それを見たかったんだけどね)

 シルキィも魔人を撃破した事で大きくレベルが上がった。

 だが、それでも今のランスには遠く及ばないのが良く分かる。

「ランスさん頑張ってー!」

「シルキィさんもがんばれー!」

 そして外野からはカラー達が黄色い声を上げながら二人を応援している。

 その様子をハンティと、女王であるレナが苦笑しながら見ていた。

「全く…揃ってミーハーだねえ。ま、魔人メディウサを倒した英雄同士の戦いなら無理も無いか」

「私としては良い事だと思います。人間に対しての偏見が無くなってくれればと」

 レナの言葉にハンティは首を振る。

「ああ、こいつらは別格。人間の中でもトップ中のトップだよ。こいつらを基準にしたら、普通の人間見たらそのギャップに頭がやられるよ」

「…ですよね」

 ハンティから見てもランスとシルキィはこれまでの人間の中でもトップクラスだ。

 そのランス達を人間の基準にするのは危険というものだ。

「行くわよ! ランス君!」

 シルキィはリトルを槍の形に変えるとランスに突っ込んでいく。

「フン!」

 シルキィを迎え撃つのはランスの強烈な一撃だ。

 シルキィは戦闘スタイルからそれを受けるのが当たり前だ。

 しかし、シルキィは自分のスタイルを崩し、その攻撃を避ける事を選択する。

「おっ」

 自分の一撃を受けなかったシルキィにランスは少し驚く。

 が、それでもランスには全く関係無い。

「はあっ!」

 シルキィは槍をランスに向けるが、ランスはそれを余裕を持って避ける。

(私がランス君に勝っているのは…このリトルの鎧!)

 自分がランスに勝っている所は、やはり自分が身に着けているこのリトルだ。

 リトルを身に纏っている限り、シルキィはランスよりも遥かに高い防御力がある。

 そして攻撃に関しても威力だけならば十分にランスに対抗できる、そう思っての行動だ。

「む」

 シルキィはあえてランスに接近戦を仕掛ける。

 剣の届く範囲での戦いは無謀かもしれないが、同時にランスに勝てる可能性はシルキィにはこれしか考えられなかった。

(ランス君には剣の闘気を飛ばす技が有る。あの技で固められてからランス君の必殺技を受ければ私は間違い無く負ける)

 一応シルキィにも遠距離に攻撃できる技は有るが、それがランスに通用するとは考えられない。

 となると、自分がランスに対抗するにはもうこれしか無かった。

「とーーーーーっ!」

 ランスの一撃がシルキィに当たる。

 その一撃はシルキィの纏うリトルをも容易に砕くが、その瞬間がシルキィにとってもランスに攻撃できるチャンスだ。

 シルキィにはランスのような凄まじい剣レベルは無い。

 だが、シルキィは剣も、斧も、そして槍も使いこなすことが出来る。

 ランスのように必殺技こそ放てないが、それでも高水準に扱う事が出来るのだ。

「はああああああ!」

 シルキィは壊れたリトルの部分を無視し、斧のように形を変えた武器でランスを狙う。

「がはははは! 甘いわ!」

 しかしランスはその動きを完全に見切っていた。

 あっさりとその一撃を避けると、そのままシルキィに向かって剣を振るう。

「分かってるわよ!」

 しかしシルキィも当然ランスが自分の攻撃を避ける事は想定していた。

 だからこそ、シルキィはランスにぴったりとくっつく。

 一度離れれば間違い無く自分は倒される。

「おっ」

 ランスはシルキィの動きに少し驚くが、それでもランスにとっては全く問題は無かった。

「はあああああ!」

 シルキィは斧を振るいランスを攻撃しようとするが、その時強烈な一撃がシルキィの肩に突き刺さる。

「ぐっ!」

 シルキィはそれでも肉を切らせて骨を断つ精神で突っ込むが、その喉元に刀が突きつけられる。

「中々やるな、シルキィ。だが、俺様に勝とうなど10年早いわ」

「…まいったわ。まさかここまで差があるなんて」

 シルキィはリトルを解除して地面に腰を落とす。

「一体いつ抜いたのか…それすらも分からなかったわ」

「そうでやんすね…傍から見ていたあっしでも旦那が何をしたのか全く分からないでやんすからねえ」

 シルキィの言葉にベネットがうんうんと頷く。

「お疲れ様です、ランス様。シルキィさん」

 ジルが二人に冷たい水を渡す。

「ありがと」

 シルキィはジルから水を受け取ると一気に飲み干す。

 火照った体に水が心地よかった。

「ま、結果は分かってたけど、予想以上の結果ね。何だかんだ言って剣を二本扱うのが普通になってきたわね」

「それは俺様が天才だからだな、うむ」

「…まあ間違って無いわね」

 レンはランスの言葉を聞いて苦笑する。

 確かにランスの剣は間違い無く天才の域だ。

 ただ、それを理解出来る人間は居ないだろう。

「うーん…やっぱレベル差も大きいのかなあ。あ、そういえばランス君、そろそろレベル100にいったんじゃない? 魔人も倒したし」

「そうかもしれんな…そろそろクエルプランちゃんを呼び出すとするか」

「後にしなさいよ。あの方をそんな簡単に呼び出すなんて、本来は恐ろしい事なんだからね」

 ランスが気軽にクエルプランを呼び出そうとするのにレンはくぎを刺す。

 やはりレンとしては今でもあのクエルプランがランスのレベル神になって居る事は恐れ多いのだ。

「そういやハンティ。聖遺物とかいう奴の情報はあるのか」

「あー…それなんだけど、やっぱり私はアンタと違ってそういう才能は無いみたいだね」

 ランスの言葉にハンティは少しバツが悪そうな顔をする。

「なんだ。瞬間移動とやらもそこまで万能じゃ無いんだな」

「当然だよ。実際魔人には手も足も出ないしね。それに物探しってのはガラじゃないって事が分かったよ」

「うーむ、だが聖遺物が見つからんとクエルプランちゃんの機嫌も悪いままだからな」

「聖遺物はあって困りませんからね。魔封印結界の道具にもなりますし」

 ジルとしても聖遺物を手に入れたいという思いもある。

 貴重なのは間違い無いが、それがあれば魔人に対抗する手段が増える事になる。

 日光があるので無敵結界が斬れるのだが、魔封印結界は魔人にダメージを与える手段としても有効だ。

 事実、魔人トルーマンは魔封印結界で多大なダメージを受けた結果、ランスにあっさりと止めを刺された。

「まあそう簡単に見つかる物じゃ無いでしょ。クエルプラン様もそれを見越しての試練だと思うし」

 レンとしてはクエルプランならば必ず深いお考えがあると思っている。

 1級神という存在は、下級の神であるレンにとってはまさに雲の上の存在。

 その御心は自分程度では推し量れない、そう思っている。

 実際にはその1級神も結構俗っぽい所も有るのだが、流石にレンはそんな事は知らなかった。

「シルキィ、約束は覚えてるな」

「分かってるわよ。私は逃げも隠れもしないわ。でも、ランス君も程々にしなさいよ」

 まるで本当の弟に言うかのような口調にランスは憮然とする。

 相変わらず彼女はランスの姉を名乗る不審者になってしまってる。

 ランスももう若干諦めているのだが―――これが後になって色々な影響が出てくるのだが、それは神ならぬランスの知る所でなかった。

 

 

 

「という訳でカモーン! クエルプランちゃん!」

 シルキィとの訓練が終わり、ランスのパーティーが魔法ハウスに集まる。

 そこでランスはレベル神であるクエルプランを呼び出す。

 眩い光と共に、ランスのレベル神をしているクエルプランが出てくる。

「お久しぶりですランス。レベルアップですか」

「うむ、アレから魔人もぶっ殺したからな。そろそろレベルが上がっていてもいいだろ」

「聖遺物はまだ見つかっていないようですね」

 クエルプランの指摘にランスは唇を歪める。

「たまたま見つからんだけだ。そのうち見つかる」

「………そうですね。ではレベルアップをしましょう」

 クエルプランはレベルアップのための呪文を唱える。

「ランスはレべル99になりました」

「おー、ようやくここまできたか」

「レンはレベル115になりました」

「ありがとうございます、クエルプラン様」

「日光はレベル74になりました」

「…まだ強くなれるようです」

「ジルはレベル65になりました」

「やりました、ランス様」

「シルキィはレベル64になりました」

「やっぱり魔人や魔物将軍を倒すと経験値も凄いのね」

「カフェはレベル50になりました」

「あ…私も上げてくれるんですね」

「レベルアップは以上になります。ランス、聖遺物の件ですが…」

 クエルプランの言葉にランスは何時ものように笑う。

「がはははは! 必ず見つけてやるから心配するな。その代わりしっかりとサービスをしてもらうからな」

「………そうですか。楽しみにしています」

 そう言ってクエルプランは僅かにランスに向かって微笑み、そして消えていった。

「うむ、ようやく100まであと一歩だな。やっぱり魔人をぶっ殺すと経験値になるな」

 ランスとしては後レベル1なのだが、その1が中々届かない。

 ましてやランスは今回は魔物大将軍と魔人メディウサを倒しているのだが、それでもレベルは2しか上がっていなかった。

「早く聖遺物を見つけましょうね、ランス様」

「当然だ。まあ俺様が本気を出したら直ぐだ直ぐ」

 ランスはジルの頭をぐりぐりとする。

 ジルはそれを受けても嬉しそうに笑っている。

 やはりランスと触れ合える事が彼女にとっては嬉しい事なのだろう。

「でも外に行くのも難しいし…何処か人のいる場所で話を聞くのが一番だと思うんだけど」

「カフェ…」

 カフェの言葉に日光は少し嬉しくなる。

 再会した時のカフェはこれまでの経験、そして後悔で暗い顔をしていたが、今は昔のような顔をしている。

 顔は以前とは違うが、彼女の纏っている空気が以前の彼女と変わらなくなっている事が日光は嬉しかった。

「日光さんが前に話してたけど、その聖遺物があれば魔封印結界を使えるんだよね?」

「ええ。人類がカオスと日光以外に魔人に対抗できる手段。でも、それで確実に倒せるかと言えば違うけどね。流石に四天王クラスの魔人には通用しないと思うわよ」

「そうなんだ…」

 レンの指摘にカフェの顔が沈む。

「あくまで手段の一つと捉えればいいんです」

「うん…」

 日光があれば魔人の無敵結界は斬れるのだが、それでもやはり手段は多い方が良い。

 カフェもエターナルヒーローの一員として、魔王と魔人を倒す事は諦めていない。

(…でも問題なのはランスの事ですね。魔人と協力関係にあると言ったら、カフェはどう思うか)

 日光はまだランスと一部の魔人の関係を話していない。

 これに関しては流石に事が重過ぎるし、ランスはそもそも人類のために働こうという気は全く無い。

 ただ、それでもランスが進めば良い方向に転がるのだから不思議なものだ。

「当分は聖遺物の探索ですか? ランス様」

「特にやる事も無いしな。だったらクエルプランちゃんの方を何とかするか」

 ランスとしても今出来る事はそれぐらいだ。

 流石に他の魔人と戦う気は全く無いし、何よりも今は本当に動きにくい。

 好きなように動きたいランスとしては不満だが、それでも今は大人しくするしかない。

(それにしても面倒だな…そういや人間の世界っていつ出来たんだ?)

 ランスはここで一つの事に思い当たる。

 それはランスの時代の人間ならば当たり前に思う事、それは人間の国家だ。

 リーザス、ゼス、ヘルマン、自由都市、JAPAN…それはGI期及びLP期ならば当たり前の国家だ。

 だが、今その国の気配も欠片も無い。

 これらの国家の前に、聖魔教団という世界が生まれるのだが、ランスはそんな事は覚えていない。

 そもそもランスはこの世界の歴史に欠片も興味が無いので、世界の成り立ちを全く知らない。

(ま、いいか。そのうち出来るだろ)

 ランスはその事を軽く考えているが、ランスは当然知らなかった。

 人類が魔王から解放するためには、ランスの側に居る少女の決意があった事を。

 

 

 

 その夜―――

「…あー、見ごたえあったなあ。昔のブリティシュと日光さんの特訓を見ている気がした」

「私もブリティシュもランス程の腕前はありませんよ。ブリティシュもランスといい勝負はするとは思いますが、まともにぶつかればランスが勝つでしょうね」

「ブリティシュも本当に強かったしね…何処に居るのかなあ」

 カフェが懐かしい名前を噛みしめるように呟く。

 自分達のリーダーであり、もうとっくに死んでしまっていると思っていたが、日光はブリティシュと再会しただけでなく、何と共に魔人とも戦ったと聞いて嬉しくなった。

 今は魔王ジルに異界に飛ばされたと聞いているが、あのブリティシュがそう簡単に死ぬとは思えない。

 なのでまた何処かで再会出来れば…とも思っている。

「少しだけ話を聞いてたけど、カオスはどうなったの?」

「カオスは…分かりません」

 日光はあの時に起きた出来事を話す。

 日光としてはランスに関する出来事に関しては慎重に話す様にしている。

 ただ、カフェは間違い無くランスに手を貸してくれる、そう信じているからこそ真実を話す。

 その日光でも、あれからカオスがどうなったのかは分からない。

 分かっているのは、魔王がジルからガイに変わったという事だけだ。

「じゃあホ・ラガだけが何処に居るのかわからないんだ…」

「ええ。彼が何処に居るのか…ホ・ラガに関しては全く音沙汰が有りません。ただ…」

「ただ?」

「ランスとホ・ラガを会わせるのは危険すぎると思って…」

「ああ…そうだね」

 日光の言葉にカフェも同意するしかない。

 ホ・ラガにランスを会わせるのは止めた方がいいだろう。

「じゃあ最後にこれだけはハッキリさせたいんだけど…あのジルちゃんは」

「…かつての魔王ジル本人です。ただ完全に人に戻っています。ですので彼女に関しては…」

「そうなんだ…確かにあの子からそういう気配は無かったから…でも、どういう事なの? 日光さんは知ってたの?」

 カフェの言葉に日光は辛そうな顔をする。

「…すみません、カフェ。これは私からは話せません。ランスかジル本人の口からでしか明かされるべきでは無いと思っています」

「…そうなんだ。日光さんがそう言うならそういう事なんだね」

 日光の表情を見てカフェもある程度察する。

 日光もまた辛い過去を持っているのは知っている。

 そしてそれと同じように、ランスとジルの間で何か辛い事があったのだろうと察するのは容易な事だった。

「色々と考える事はあるけど…これからは時間はあるから大丈夫」

「カフェ…」

 昔のカフェよりも大分前向きになっている事を日光は素直に喜ぶ。

 そして二人はかつての仲間として、一晩中話をするのだった。

 

 

 

「ん…はあああああああ…」

 シルキィは一人夜風に当たっていた。

 火照った体に涼しい風が気持ち良く、シルキィは大きく体を伸ばす。

「もう…ランス君、本当に好き勝手するんだから」

 シルキィの体にはランスがつけたキスマークがついているので、それを隠さなければならない。

 今は一人なのでそんな必要は無いのだが、それでも気になるものは気になってしまう。

(それにしても…私ってやっぱりランス君の言うようにエッチなのかなあ…)

 顔を真っ赤に染めながらシルキィはランスの言葉を思い出す。

 別に淫乱だのと何だのと言われた訳では無いが、ランスは事あるごとにシルキィの事をスケベだと言う。

 実際、シルキィはランスとのセックスに最後まで付き合っていた。

 体力があるというのもそうだが、シルキィ自身、ランスとのセックスに拒否感は全く無かった。

 それどころか、肌を重ねるのは本当に気持ち良かった。

「まあそれはそれ、これはこれよね」

 シルキィは頭を切り替えると、リトルを手にする。

 ランスと出会ってから色々な素材を取り入れる事で、リトルは格段に強くなった。

 ランスが持っていたミスリルで出来た剣、そしてカラーのクリスタル。

 これらはランスと出会わなければ決して手に入らぬものだっただろう。

「ただ、それを持ってもランス君には手も足も出ないのも現実かぁ…」

 シルキィはランスがメディウサを倒すところを間近で見ていた。

 正直言うとランスが何をやっているのか全く分からなかった。

 分かった事は、ランスの強さが魔人を倒せるレベルの強さだという事だけだった。

 そのランスと戦ってみたが、相手にもなって居なかった。

 ランスが本気ならもっとあっさりと倒されてるだろう。

「でも…私も確実に強くなっている」

 シルキィには自分も強くなっている自覚がある。

 魔人の攻撃にも何度も耐えられていたのがその証拠だ。

「私の強さの拡張はやっぱりリトルね…やっぱり質量かな?」

 ランスと共に戦うためにはやはり特徴が必要となる。

 ならば自分はこの付与の力を磨いていくべきだと決めていた。

 その方向は、やはり力だと判断する。

「そうなると素材は…」

 1人シルキィが呟いていると、凄まじい気配をシルキィは感じる。

 背中から冷や汗が流れ落ち、思わず体が震える程だ。

「誰!?」

「気づきますか…まあそれくらいでなくては面白くないというもの」

 シルキィがリトルを身に纏い、その穂先を声の主に向ける。

「私の名前はレーモン・C・バークスハム…御覧の通り、魔人です」

 真っ白い肌をした長い白髪の男…バークスハムはそう言って笑った。

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