ランス再び   作:メケネコ

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シルキィを追って

 カラーの森を抜けたシルキィを待っていたのは、1台のうし車だった。

 それを見てシルキィはあの魔人の恐ろしさを感じ取る。

「私が今日ここで動く事も全てはあの魔人の掌の上って事?」

 あの魔人の底知れなさにシルキィは背筋が寒くなる。

 だが、それでもシルキィはそれに乗るしかない。

 全てはランス達とカラーを守るため。

 そして自分の目的を完遂するため。

 シルキィはうし車を走らせ、魔王城に向かうのだった。

 

 

 

 そしてシルキィが去った次の昼―――ランスは当然怒り狂っていた。

「アホかあいつは!」

「落ち着きなさいよ、ランス」

 しかもランスに使われた薬はかなり強かったらしく、ランスは昼までぐっすりと眠っていた。

 スラルは起こそうとしたが、相当に眠りが深く、ランスが自然に目を覚ますまで待つ事になった。

「スラルちゃん、どうして止めなかった!」

「我では止められない。この体は確かに普通の人間よりも遥かに力は有るが、それでもシルキィ程の強者を腕力で止めるのは不可能だ」

「ぐぬぬ…尤もらしい事を言いおって」

 スラルが言っているのは正論なので、ランスとしてもそれ以上言いようが無かった。

 シルキィは強いので、いくら腕力が有ろうともシルキィを止められるはずが無いのだ。

「レン、お前は…」

「いや、夜にランスに会いに行ったんだから当然そういう事をしてると思って。それと私の任務はアンタを守る事。それ以外の事はね」

「そういやお前はそういう奴だったな」

 レンにそういう事を期待する方が間違っているのを思い出し、ランスはよりいっそう不機嫌になる。

「で、あいつは本当に魔王城に行ったのか」

「間違い無い。お前と、そしてカラーを守るため…と言っていた。だが、それ以上の事は何も分からない。分かっているのはバークスハムという魔人がシルキィと接触した事だけだ」

「バークスハム…知らんな」

 ランスはこれまで結構な数の魔人と戦って来た。

 そのランスでも、バークスハムという魔人の名前は聞いた事が無かった。

 それもそのはず、バークスハムはランスがリーザスでの人さらいを解決するより前に死んでいた魔人だ。

 なので当然ランスとの接点は無かった。

「まあいい。とにかくあのバカを追いかけるぞ」

「追いかけるの? でもどうやって?」

 ランスの言葉にカフェが難しい顔をする。

「ランスさん達はカラーの所で安全を確保出来てたけど…今の時代、そう簡単には動けないよ」

「カフェ…」

「魔王ジルの時代って確かに人類にとっては暗黒の時代だった…でも、魔王ガイの時代も負けず劣らずにひどい状況よ。いや、魔物達が好き勝手人類を殺して回っている分、魔王ジルの時代よりも厳しいかもしれない」

 カフェの言葉にジルの顔が沈む。

 魔王だった頃の記憶は無いが、それでも自分の名前が出てきて、実際にそういう時代だったと突きつけられればそうなるのも無理はない。

 気にしないのはランスのような図太い奴だけだろう。

「…そんなにか」

 ランスはカフェの言葉に怒りが少し静まる。

 カフェの顔はそれだけ真剣だったからだ。

「うん。私達が黄金像を探していた時もなるべく目立たないようにはしてたし。魔物は大人しくても、魔人は好き勝手動いてた。それに忘れて無いでしょ? 新たな魔人に遭遇した事も」

 カフェの言う通り、ランスは短期間で新たな魔人と遭遇した。

 魔人メディウサは自分から殺しに行ったので問題無いが、その時に現れた魔人レイ、そして直ぐに出会う事になった魔人バボラ。

 魔人と遭遇し過ぎなのは間違い無いが、それだけ魔人が自由に動けているという事でも有る。

「魔人から接触してきたなら、魔王城への案内があると考えた方が自然だ。シルキィはさほど問題無く魔王城に到着するだろう。だが、我等はそうはいかない。恐らくは魔物達が襲ってくるのは間違いない」

「むむむ」

 スラルの指摘にランスは唸るしかない。

 普通に考えればその通りだし、確かに今の時代は魔物達がうろついている時代。

 それにペンシルカウから魔王城―――LP期におけるリーザス城までは距離が有る。

 移動手段が確立され、それぞれの国が魔物退治等も起こっているLP期とは違い、今は魔軍が当たり前のように動く時代。

 流石のランスでも魔軍が相手だと面倒だ。

 数は多いし、普通の魔物兵も雑魚モンスターに比べれば強い。

 代わりにモンスターの特性を殺しているので、与しやすいと言えば与しやすいのだが。

「とにかく行くぞ。あのバカを連れ戻す」

「待って下さい、ランス。カフェの言う通り、今目立つのは危険です」

「お前等…揃いも揃って俺様のやる事に逆らうのか」

 ランスが怒りを爆発させようとしているのは明らかだ。

「待って下さい、ランス様! 今目立ってしまったらカラーの皆さんが…」

「む…ぐぐぐ…」

 ジルの言葉にランスは唸る。

 ジルの言う通り、カラーを巻き込むのはランスはどうしても避けたい。

 将来の自分の娘のリセットの事も有るが、ケッセルリンクの事もある。

 彼女が居れば何も問題は無いのだが、生憎と彼女は今はランスの剣の中に居て中々姿を見せられない。

「行くんなら止めないよ。それがアンタの決断ならね」

「ハンティ」

 ランスが悩んでいるとハンティが入って来る。

「カラーの事は気にしなくていいさ。今まで散々世話になってるからね。それに、シルキィが何をしようが魔王が本気ならカラーなんて滅ぶもんさ。私が何をやってもそれは変わらないさ」

 ハンティは自嘲する。

 これまでハンティは歴代の魔王を見てきた。

 その強さも分かっており、魔王が本気ならばカラーも人間もとっくの昔に絶滅している。

「だからシルキィが行ってカラーがどうにかなるなんて私から言わせて貰えば思い上がりも甚だしいんだけどね。でも、魔人が来たっていうのは事実なんだろ?」

「ああ。新たな魔人…バークスハムと言うらしい」

「だからカラーの事は気にしなくていい。それに、アンタ達が居ない時間の方が圧倒的に多いんだ。それくらいでどうにかなるほどカラーも落ちぶれては居ないよ」

 そう言ってハンティはニヤリと笑う。

「別にお前に言われるまでも無いわ。あのバカを連れ戻す。ついでに魔王城で色々と物色するのもいいな」

「また無茶を言う…どうやって魔王城にまで行くかっていう問題も残ってるでしょ」

「バイクで突っ切る。アレならどんくさい魔物兵どもじゃ追って来れんだろ」

 ランスの言葉にスラルは考える。

 確かにランスの言う事も尤もだ。

 バイクは早いし、普通に追い切れるものでも無い。

「だが問題もある。バイクを使えば間違い無くカミーラが気づくぞ」

「む…」

 カミーラの名前が出た事には流石のランスも言葉に詰まる。

 カミーラは今でもランスを諦めておらず、ランスと力で打ちのめしそのまま使徒へとしようとするだろう。

「フン、今はそんな事は関係無い。あのバカを何とかするのが先だ」

「難しいですよ。それでもやるんですか、ランスさん」

 カフェは心配そうにランスを見る。

 ランスは何時ものようにニヤリと笑い、

「問題無い。俺様が動けば何とかなる。そういうもんだ」

 根拠の無い言葉を言いながらがははと笑う。

「行くぞ。あ、カフェは残ってろ」

「ランスさん!?」

「バイクは少人数しか乗れんからな。お前はここに残ってカラーを見ていろ」

「そうですね…カフェ、あなたはここで待っていてください。あなたが待って居てくれれば私達も安心できます」

「日光さんまで…」

 ランスと日光の言葉にカフェは少しムッとした顔をするが、二人の言い分を聞きいれて頷く。

「分かったわよ。待ってます」

「旦那! あっしは行きますよ! あっしが居ないとスカウト技能に困るでしょう!」

「いらん。お前も残ってろ」

「ホワッツ!? こういう時こそあっしの力が必要でしょ!?」

 ベネットはランスに文句を言うが、それを諫めたのはハンティだった。

「いや、ベネット。あんたにはココに残ってもらう。正直言うと、今の状況でアンタを遊ばせてる余裕はない」

「始祖様!」

「ベネット…あんたはすっごい残念な奴だけど、今のカラーの中じゃ一番強い。そのアンタを危険な事に巻き込むことは出来ないのさ」

「でも旦那は何度もカラーを救ってくれたでやんすよ! メディウサだって旦那がぶっ殺しました! あっしはウトスカ様と同じように最後まで旦那の助けを!」

「ウトスカも最後までは一緒に居られなかった。流れっていうのはそういうもんさ」

「…始祖様」

 昔を懐かしむように目を細めたハンティを見て、ベネットも何も言えなくなる。

 ハンティは自分よりも遥か昔からカラーを見てきた存在であり、それこそ自分よりも大きな別れも味わっているのだろう。

 その始祖にそう言われれば、ベネットももう何も言えなかった。

「…わかったでやんすよ。でも、最後の見送りくらいはさせて下さいよ」

「ああ。分かってくれて助かるよ」

「という訳で旦那。あっしはついて行けないでやんすけど…任せたてやんすよ」

「なんでお前にそんなに偉そうにされなければならんのだ。行くのは俺様だろうが」

「そうでやんしたね」

「まあいいとにかく行くぞ。今ならあのバカを連れ戻せるだろ」

 何も魔王城にまで行く必要は無い。

 その途中でシルキィを捕まえれば良いのだ。

 何も馬鹿正直に魔王城に行く必要は無く、その道筋で捕まえられればいいのだ。

「行くぞ」

「はい、ランス様!」

 ランスはバイクを取り出す。

 今の状況では中々バイクに乗っての移動は出来なかったが、今はそうは言ってられない。

 この道具の欠点はどうしても目立つことなのだが、それでもランスが知る限りでは最高の移動速度を持つアイテムだ。

「これは…?」

 バイクを初めて見るカフェはそれが何なのか全く分からない。

「そういえばカフェは見た事はありませんでしたね。まあ…正直コレの出自はあまり聞かない方がいいですからね…」

「何か言った? 日光さん」

「いえ、何も」

 日光はこの道具を誰が作ったのかは言わないでおく。

 というか日光自身も信じられないのだから仕方が無い。

 これを作ったのは人間だった頃の魔人パイアールであり、そのパイアールとは今でも繋がりがあるだなんて言っても信じないだろう。

 パイアールは魔王の命令が無ければ人間には興味を全く示さない魔人だ。

 だが、それでも魔王の命令が有れば敵になる…魔王とは本当に厄介な存在だ。

「日光、お前は刀になっとけ。少しでもスペースは広い方がいいからな」

「飛ばすんですね。分かりました」

 ランスの言葉に合わせて日光が刀の姿に変わる。

 ランスはそれを腰に差し、魔法ハウスからバイクを出す。

 全員が魔法ハウスから出た後でレンが魔法ハウスを元のサイズへと戻す。

「よし、行くか」

「行くかってここからそんなの使わないでくれよ」

「分かった分かった」

 早速動かそうとしたランスをハンティは呆れた様子で止める。

 ランス達はカラー達に見送られ、カラーの森の外につく。

「よし、行くぞお前等」

「了解。ジル、ランスにしっかりと掴まってなさいよ」

「は、はい」

 ランスがバイクに乗ると、ジルはランスの後ろに座る。

 その後ろにレンがジルを抱え込む様な形で座る。

「よーし、とっとと行って戻るぞ」

「まあ気をつけな。ま、アンタの事だから大丈夫だとは思うけどね」

 ハンティが苦笑しながら言うと、一人妙な行動をしているベネットが目に入る。

「どうしたんだい、ベネット。虫でも拾い食いする気?」

「あっしがそんな事する訳無いでしょ! 始祖様はあっしを何だと思ってるんでやんすか!」

 ベネットは怒鳴りながらも深刻な顔をする。

「旦那…もしかしたら結構ヤバイ事になってるかもしれないでやんす」

「あん? 何かあるのか」

「…これ、うし車が通った後でやんす。こんな所に人間が用意したうし車なんてあるはず無いでやんすよ」

「うし車…ってまさか!?」

 レンの言葉にベネットは頷く。

「シルキィの姉御が会った魔人…ここまで用意してたでやんすよ」

「…あのバカが!」

 ランスは怒鳴ると、バイクを大急ぎで起動する。

 そして何も言う間もなく、バイクを走らせて消えていった。

 それを見てカフェは茫然としている。

「………何あれ?」

「バイクっていうらしいよ。アタシも詳しい事は知らない…っていうか分からないけどね」

 ハンティもアレが何なのかは分からない。

 だが、それでも凄い道具なのは間違いない。

「…もしかして旦那も誘い込まれた、とかそこまでは考えすぎでやんすかね」

「ベネット…」

「気味悪いぐらいこっちの行動を予測している…そんな感じがするでやんすよ。一体何者なのでやんすか…その魔人バークスハムって」

 見ればベネットの顔は真剣そのもので、その額には薄らと汗をかいている。

「旦那…戻って来て下さいよ…あっしらは旦那に対して返しきれない借りがあるでやんすから…」

 

 

 

 魔軍陣営―――

「ラートス将軍、準備が出来ました」

「ご苦労」

 1体の魔物将軍が部下の魔物隊長の言葉に頷く。

 その魔物将軍の体は普通の魔物将軍と違い白く、頭部の形状も若干変わっている。

 つまりは魔物大将軍という事である。

「しかし何故あの御方はこのような事を…」

「それを考える必要は無い。我々はバークスハム様の命令に従うだけだ」

「はっ!」

 ラートスの言葉に魔物隊長は頭を下げる。

「うし車が通った後での急作業ですので、きちんとしたものは作れませんでしたが…良かったのでしょうか」

 もう一体の魔物隊長が不安げに声を出す。

 その言葉にもラートスは問題無いと言わんばかりに笑い飛ばす。

「ハッハッハ! 今回の我々の任務はあくまでも足止め…それも僅かな時間でも良いとの事だ。ならば簡易的なものでも問題は無い」

「それもまた奇妙な命令ですな。まさか我々…それも大将軍であるあなた様にかのような命令を下すなど…」

「魔人様には魔人様の事情があるという事だろう。それに此度の事はあのバークスハム様直々の命令だ。あの方が命を下すのだから、何か深い御心があるのだろう」

「…あのバークスハム様ですからね」

 魔物隊長はラートスの言葉に冷や汗を流す。

 今回自分達に直接命令を下したのはあの魔人バークスハムだ。

 魔王ガイの側近にして、全てを見通していると言われる程の魔人。

 それ故に誰もがバークスハムを恐れてもいた。

『ここを通ろうとする人間を足止めしなさい。ただし足止めのみ…それ以上の事はしないように』

 魔人が下す命令としては奇妙なものだが、ラートスはそれに疑問を抱くような事は無い。

 勿論魔物故に人間に対する殺意はあるのだが、それ以上にラートスは職業軍人と言える存在だった。

 魔物将軍から魔物大将軍へと進化する事が出来たのは、魔物大将軍に欠員が出来たからだ。

 大将軍に進化してからの最初の命令としては奇妙だったが、それが逆に職業軍人としてのラートスに対してやる気を与えていた。

「ただ、我々だけで良かったのですか? 今のあなた様ならば魔物将軍を束ねる事が出来るはずです」

「構わん。我々の仕事はあくまでも足止め。大軍を率いては逆に任務を果たせぬ。それに…我々の任務は最終的にその人間を通す事にある」

「奇妙な命令ですな」

「それでもやるのが軍人というものだ。それに…相手を舐めるのは絶対に止めろ。バークスハム様が警戒をするという事は、相手もそれだけの相手という事だ」

「…そうですね。我々はあなたに従うのみです。その思惑が何であろうとも」

「うむ、期待しているぞ」

 ラートスがそう言った時、魔物兵が走って来る。

「ラートス大将軍! 何かが来ます!」

「何か…?」

「はい! 何かが凄いスピードで来ているとの事です!」

 要領を得ない部下の報告にラートスは急いで指揮台に上る。

 簡易的な指揮台ゆえに防備も碌に整っていないのだが、取り敢えず砦の形にはなっている。

 その上から目を凝らすと、確かに何かが凄まじいスピードでこちらに向かって来ていた。

 そしてソレもこちらを認識したのか、その動きが止まる。

「アレが例の存在か…全員戦闘態勢に入れ! 我々の目的はあくまでも防備! こちらからは仕掛けるなよ!」

「「「ハッ!!!」」」

 

 

 

 バイクで飛ばしていたランスだったが、目の前にある物を見てその動きを止めざるを得なかった。

「なんだありゃ」

「粗末な感じ…いや、どちらかと言うと急造なな感じだけど…砦みたいね」

「なんでそんなもんがここにあるんだ」

 人間のランスには見えないが、エンジェルナイトであるレンには良く見えている。

 魔物兵がこちらを指さし、何かを言っているのが分かる。

「まさか…ランスを待ち構えていたのでは?」

「…何だと」

 日光の言葉にランスは不機嫌な声を出す。

 ここはLP期におけるゼスとリーザスを結ぶ地点、即ちパラパラ砦がある辺りだ。

 大陸は右側…リーザスや自由都市が並ぶ場所、そしてその反対側にはヘルマンとゼスがある。

 ヘルマンとゼスの奥にはさらに魔物界があるのだが、今の時代には魔物界は存在しない。

 リーザスとヘルマンの間には巨大な山脈があり、そこを超えるのは容易な事では無い。

 リーザスとゼスは地続きではあるが、ランスがリーザスとゼスで活躍する前までは冷戦状態だった。

 事実、パットンによるリーザス侵攻の時も、どさくさに紛れてゼスがリーザスに侵攻しようとしたが、パラパラ砦にて完全に食い止められている。

 今の時代にパラパラ砦は無いので、この地帯は通り放題ではあったが、その場所に簡易的ではあるが砦が出来てた。

「全ては例の魔人の掌の上って事かしらね…簡易的かつ簡単に落ちる砦だけど、流石に魔物兵が揃っていると真正面から行くのは厳しいかもね」

「うぐぐ…ここまで来て面倒な事になったな」

「ランス様…迂回は出来ないんですか?」

 ジルの言葉にランスは一応考える。

 ランスも面倒な事はしたくはないし、こんな面倒な砦は普段ならば無視したり迂回をするという選択肢もあるだろう。

 今の時代、まだ砂漠地帯が無いのでLP期におけるゼスとヘルマンもまだ地続きではある。

(迂回となると山か…いかんな。それだと何日かかるか分からんぞ)

 ランスもヘルマンに行く際に山越えはしたが、それでも時間はかかった。

 LP期のような手続きは無いが、それでも山を越えるのは面倒だし時間がかかる。

 だが、ここを突破しなければ魔王城にも行けない。

 ならばランスのやる事はただ一つ―――それは正面突破しかなかった。

「ぶっ潰すぞ」

「それしか無いわね」

「行きましょう」

「はい、ランス様!」

 日光も刀から人型に変わり、ランス達は砦に近づいて行く。

 砦に近づいてみると、改めてその砦の貧相さに気づく。

「…近づくと思った以上にしょぼいわね」

「もしここをシルキィが通ったのだとしたら、その後で急いで作ったのでしょう。ですが、それでも形にはなっている…厳しい戦いになるかもしれませんね」

「フン、こんなの直ぐにぶっ潰すぞ」

 基本的に魔物兵は人間を見下しており、野戦を平気で仕掛けてくる。

 ましては今はGI期、そもそも人間が魔物に反抗するなどありえない時代だ。

 しかし、それでも魔物兵達は動かなかった。

「…え、嘘。ここに居るの魔物大将軍?」

「魔物大将軍だと?」

「うん、あの指揮台みたいのに居るの、普通の魔物将軍じゃない。多分、魔物大将軍だと思う。私は魔物についてそんなに詳しい訳じゃ無いけど」

「魔物大将軍って暇なのか?」

「だから知らないわよ…って出て来たわよ」

 ランス達が近づくと、砦の扉から魔物兵が出てくる。

 が、その魔物兵はランス達が知っている魔物兵とは違っていた。

 普通魔物兵とは緑魔物兵、赤魔物兵、青魔物兵、灰色魔物兵が主だ。

 中には特殊な魔物兵も居るのだが、基本的には上記の魔物兵の混合部隊だ。

 しかし、目の前に居る魔物兵はそのどれにも当てはまらなかった。

 なんと全ての魔物兵が斧では無く槍と盾を装備している。

 魔物兵達は整列し、ランスに向けて槍を構える。

「フン、どんな姿だろうが雑魚は雑魚だ。全員ぶっ殺す!」

 ランスは剣を抜き放つと、魔物兵に向かって突っ込んで行った。




車に追突される 車滅茶苦茶になる…私が何をしたってんだ
しかも体は痛いし骨も痛いし…
交通事故は洒落になりませんからマジで気を付けないとダメですね…
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