ランス再び   作:メケネコ

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それぞれの事柄

「ラーンス! アタタターーーーーック!!」

 ランスの強烈な一撃がアベルへと突き刺さる。

 普通ならばドラゴンでもランスの必殺の一撃を受ければタダでは済まないだろう。

 だが、目の前のドラゴンであるアベルは普通のドラゴンではない。

 何しろアベルは2代目魔王なのだから。

「まだまだ甘いな」

「うおっ!?」

 アベルが無造作に放った爪をランスは何とか弾く。

 アベルの爪とランスの剣がぶつかっただけでもランスの腕が痺れる。

 その重さはこれまで戦った魔人相手でも無かった衝撃だ。

「なんつー硬さだ! あの化物ジジイより硬いのか!?」

 ランスが思い出したのはあの魔人ノスだ。

 あれもドラゴンの魔人で、ランスがこれまで戦った魔人の中でもトップクラスの力を持つ魔人だ。

 ノスは叩けば叩くほど固くなっていく存在だったが、このドラゴンはそもそもの生物としての格が違った。

「確かにお前の剣は鋭く重い。だが、誇っていい。お前はあの時に俺の前に現れた人間よりも剣の腕前は遥かに上だ」

 アベルはそう言うと、ランスに向けてブレスを放つ。

「チィ!」

 ランスはアベルの雷のブレスを剣で引き裂くが、あまりにも範囲が広すぎてその雷が当たってしまう。

 普通ならばランスの肉体が塵になってもいい威力のはずなのだが、ランスは痺れて動けなくなる程度で済んでいる。

「アベル!」

 カミーラがアベルにブレスを放つが、アベルの眼光が光ったかと思うとそれだけでカミーラの体から力が抜ける。

 そのあまりにも強力な眼光に、カミーラも思わず硬直してしまったのだ。

「カミーラ。確かに強くなっている。だが、それでも魔王には及ばない」

 そしてそのまま口からブレスが放たれ、カミーラがブレスに飲み込まれる。

 魔人であるカミーラにも明確なダメージが与えられるのは、カミーラが無敵結界を使っていないからだ。

 カミーラは己のプライドから、アベル相手に無敵結界を使う気にはならなかった。

 このドラゴンだけは己の手で決着をつける、そんな気概が見えてはいるのだが…現実はやはり厳しいものだった。

「アベル…貴様」

「ああ、手加減しているよ。お前達は数百年ぶりに訪れた客だ。そう簡単に倒してしまっては勿体ない。それに俺の話し相手になってくれるのは嬉しい事だ」

 アベルは楽しそうに目を細める。

「ああ…そうだ。悠久の時をここで永遠に過ごすと思っていたが、思わず出会いがある。それはこれ程までに楽しいものだったとはな」

 その体は鎖に捕らわれて動けないが、体の一部はまだ少しは動く。

 だが、それだけでもランスとカミーラはアベルに対しては無力だった。

 本調子で無いのは間違いないにも関わらず、それでもランスとカミーラを圧倒するのだ。

 それこそが魔王という生命体のスペックだった。

「あだだだ…」

 ランスは痛む体を押さえて立ち上がる。

(回復魔法やアイテムが無いとここまでキツイか…)

 これまで当たり前だった回復魔法、そして回復アイテムが無いのはランスには堪えた。

 それだけ目の前の存在は強すぎた。

「まだまだガイには及ばないな。ああ、気を悪くしないでくれ。君がガイに劣るという訳では無い。君とガイは戦い方が違い過ぎる。それにガイはカオスを持っていた。あの剣は魔王である俺にも明確なダメージを与えていた。君の剣も凄いが、魔王を傷つけるという意味ではカオスに劣るというだけだ」

「やかましい! 俺様があいつに劣る訳が無いだろうが!」

「言っただろう、劣っているという訳じゃ無い。そもそもガイの本質は魔法使い…という奴だろう。君とはタイプが違う。剣を使う君と魔法を使うガイ、そもそもの起点が違うのだから」

 アベルはランスを見て目を細める。

 それはランスを侮蔑しているのではなく、純粋にこの争いを楽しんでる、そんな感じの目だ。

「フン!」

「あんぎゃあああああ!」

 そしてアベルの爪がランスを吹き飛ばし、ランスは気絶してしまう。

「意外だな…臆病で用心深かった貴様がこれ程までに喋るとはな」

 カミーラの言葉にアベルは苦笑するように口を歪める。

「ああ、確かに俺は臆病者だ。だが、これでも強い奴は好ましいと思っている。あの時絶望的な戦いだと分かっていながらも、俺に臆せず立ち向かったホルス…そう、メガラスのようにな」

「メガラス…」

 カミーラは自分と同じ魔王によって魔人になったメガラスの名を口にする。

 メガラスと直接争った事は無いが、メガラスが強い事はカミーラも分かっていた。

 下手をすれば自分よりも強い…今のカミーラはメガラスの事をそう評価もしている程だ。

 無口で争いを好まない性格なので、ぶつかった事は無い。

「ドラゴンとしてそこまで強くなった貴様がな…フン、それが魔王の血か」

「そう、それが魔王の血だよ、カミーラ。だが、それでもマギーホアには勝てなかった…まあ俺がククルククルには及ばなかっただけだ」

「フン、貴様はカインと比べて小難しい事を言う方になった」

 カミーラの言葉にアベルは目を見開く。

「カインに…会ったのか?」

「ああ、今でも貴様に憎悪を抱いているよ。このカミーラを奪い魔人とした貴様をな」

 そう言うカミーラの目にも紛れも無い憎悪があった。

 ドラゴンの間でも正直ロクな目に合っていなかったが、魔人になってからはより屈辱を受けた。

 ドラゴンの王冠から無価値な存在として放置されたのは、カミーラにとっての何よりの屈辱で有り、その事もあってカミーラは性格が歪んでしまった。

「カインは生きていたのか…どっかの異空間に飛ばされたと思ったんだがね」

 自分の兄弟のドラゴンが生きていたと聞いてもアベルは何の感情も浮かべない。

 元々仲が良かった訳でも無し、それに自分よりも上位のドラゴンであるカインにはコンプレックスもあった。

 それ故に魔王となってからカインとは決着をつけたと思ったが、どうやら生きていたようだ。

「だが…俺はお前の変化に驚いているよ」

「…何だと」

 アベルの言葉にカミーラが強く睨む。

「随分と…感情を見せるようになった。それに、あの男に執着している。かつて俺がお前に執着したように」

「…黙れ」

 カミーラの魔法がアベルに突き刺さる。

 が、魔王であるアベルにはダメージにはなっていない。

「いい変化だと思ってるんだよ。確かに俺はお前を手に入れはしたが、本当の意味で手に入れたなんて事は無かった。お前はまさに王冠だったんだよ。その王冠を手にしたと思ったが…今になっては意味に無い事だった。後悔は無いが、虚しくもあった」

「今更都合の良い事を言うなよ、アベル」

「今更だから言っているのさ。俺はここから出る事は出来ないし、元の世界に干渉する力も無い。それなのにお前は俺の前に現れた。だったら言うだけ言う方が良いだろう。言わないよりマシさ」

 アベルはそう言って苦笑する。

「まあ…それもあの人間の言葉だがな」

「貴様…」

「別に執着するのが悪いなんて事は無い。お前があの人間を手に入れたいのなら、そうするべきだ。だがお前はそれをしない。理由は知らないし、教えてもくれないだろう。だが、お前のそうした所を見るのは面白いだけさ」

 カミーラは長々と言って満足したように笑うアベルに無言になる。

 元々臆病な性格で、カミーラはアベルの事が嫌いだった。

 自分をドラゴン達から連れ去りながらも逃げ、そして隠れ続けたこのドラゴンが。

 だが、長い年月とカミーラ自身の感情の変化がアベルを見る目を少し変えた。

「どれだけお前達が居れるかは知らないが…それまでに俺に傷を着けれるくらいには強くなればいい。退屈凌ぎにはなるからな」

「フン…」

 カミーラは話は終わりだと言わんばかりに倒れているランスの元へと行く。

 完全に気絶しているが、生きているので問題は無い。

 そしてランスの頭を自分の足に乗せ、膝枕の態勢を取る。

「ケッセルリンク。起きているか」

「…やれやれ、私の使徒達は話したか。まあ君の言葉となればシャロン達も話さざるを得ないか」

 カミーラがランスの剣に向けて話しかけた事で、ケッセルリンクも言葉を放つ。

「で、何か用かな? 今の私には君に対して出来る事は無いよ」

「退屈だ。話し相手になれ」

「そういうのはランスとするべきだ。今はスラル様もジルもレンも居ない。本当に君とランスだけだ。私も起きている時間が短くてね」

 ケッセルリンクは少し呆れたような声を出す。

「それとも一人では話し辛いかね? まあ君はランスを狙い、ランスは君とはなるべく会わないようにしている節がある。無理も無い、とは思うがね」

 ケッセルリンクがそう言った時、カミーラがランスの剣に埋め込まれている宝玉を叩く。

「図星を突かれたからと言ってそういう事は良く無いな。だが、この際だから話し合う事も必要だと思うよ。君の性格上難しいかもしれないが、ランスはそういう事をあまり気にしない男だ」

「フン…」

 カミーラはケッセルリンクとは仲が良い。

 なのでケッセルリンクはカミーラに対してもずけずけとモノを言ってくる。

 そのくせ正論を言ってくるので、カミーラも時にはケッセルリンクに苛立つときも有る。

 まあそれも知り合い同士の他愛のない会話で有り、別に険悪になるとかそんな事は無い。

 これも普段と同じ軽口のようなものだ。

「で、お前はその中で何をやっている? スラルのようには出来ぬのか」

「生憎とね。私はここでは居候みたいなものだからね。私でもこの中では矮小な存在に過ぎない。まあランスのために出来る事はやるつもりだがね」

 カミーラはケッセルリンクの言葉に怪訝な表情をする。

 ただ、理由を聞いてもこの女は決して話さないだろう。

 昔からランスの動向に関しては決して口を割らないし、こちらが知ってる事も聞こうとはしない。

「まあいい。だが、この事はお前も口にするな。面倒な事になるからな」

「元よりそのつもりだよ。それにしてもランスは魔王と縁があるな…これで歴代魔王の全てと接触した事になるぞ」

「………そうだな。それでいてこの男は生きている。幸運…いや、悪運か」

 ケッセルリンクの言葉にカミーラは苦笑してランスの頭を撫でる。

「じゃあ私は少しの間眠るとするよ。最近この中も慌ただしくなってきたのでね」

 そう言うとケッセルリンクの言葉が聞こえなくなる。

 言葉通り眠ったか、それとも自分に気を使ったか…それは分からないが、カミーラは嘆息する。

 こちらの会話に興味が無いのか、アベルは既に眠ってしまっている。

「そろそろ…決着を着けねばならぬか」

 

 

 

 魔法学院―――そこはジルにとっては理想の場所だった。

 ジルはNC期生まれ、魔王が世界を支配していた時代で、魔軍や魔人が世界を闊歩していた時代だ。

 それに比べれば今の時代は正に自由だ。

 魔王ガイは本当に人類を解放し、人類は村を、町を、そして国を作っていた。

 だが、ジルとして気になったのは、この世界の魔法使いの立場の低さだった。

 魔法使いというだけで見下され、奴隷として売られるのも珍しくない。

 勿論ジルも例外ではなく、魔法学院の外で襲われそうになった。

 が、ジルの側にはレンが居るので、不届き物は例外なくレンによって始末される結果となった。

 尤も、ジル一人でも何の問題も無く襲って来た人間を撃退出来るだろう。

 それだけの強さが今のジルにはあるのだ。

 そしてジルの先生でもあるフリーク・パラフィンは凄い知識を持っている人間だった。

 ジルの時代とは全く違う知識を用い、この世界の常識を塗り替えている。

 魔法を蓄積する技術は本当に凄く、ジルの中に居るスラルも感心していた。

「ジル、また本を見ているのか?」

「先生」

 ジルが魔法の書物を見ていると、そのフリークが声をかけてきた。

 フリークと知り合って5年、ジルはランスを待ち続けている。

 長い間ランスと出会っていないが、セラクロラスの『必ず会えるよ』という言葉を信じている。

 身体も成長し、今のジルはまだ少女の域を出ないが、それでも立派な女性になっていた。

「はい。色々と知る事が出来ますから」

「勉強熱心じゃの。お主の魔力を考えると無理もないかもしれんがの」

 フリークはジルの体から溢れる魔力を見て感心する。

 ルーンも凄い魔力を持っているが、ジルも素晴らしい力を持っている。

(持ってはいるが…ルーンと違ってジルの魔力は少々禍々しい感じがするのじゃがの…)

 フリークが気になっているのは、ジルの魔力がルーンとは違う所だ。

 ルーンは純粋な魔力だが、ジルは何処か禍々しく、闇を纏っているような気がするのだ。

 闇魔法というのがあるが、それとは違う異質な力…だが、ジル本人は善良な人間なのでその点は心配していなかった。

「私もフリーク先生のような技術があれば…と思うんです」

「ほっほっほ。儂にあるのは技術だけじゃよ。魔力や魔法に関してはお主たちの足元にも及ばん」

 ジルの言葉にフリークは苦笑する。

「いえ、そんな事は無いです。魔蓄技術は本当に凄いと思います、それに先生の理論…これが完成すれば人類は魔人にも対抗出来ると思います」

「…嬢ちゃんは時折突拍子もない事を言うの」

 フリークがもう一つ気になっていたのが、彼女の容姿と精神的な年齢が一致しない事だ。

 少女と呼ぶには些か先を見据え過ぎているように感じられた。

 まあそういう人間も居るし、ルーンもまた同じように考えてるであろうから、特に気にしていない。

「ルーンとは今日は会わなかったか?」

「ルーンさんですか? 今日は別に…」

「フム…」

 ジルの容姿は非常に美しい。

 長く綺麗な水色の髪に、魔法使いの服から見ても分かる女性的な丸み。

 年齢とは不釣り合いに大きな胸等、その容姿から彼女はまさにこの魔法院のアイドルとも言えた。

 ただ、今の若者にありがちな浮いた話も無く、何時もある一人の女性と共に居る。

(ルーンとお似合いだと思うのじゃがの…まあそれは本人の気持ち次第じゃな)

 フリークとしてはジルとルーンはお似合いだと思うが、ルーンは奥手だし、ジルはそもそもそういう事に興味が無いように見えた。

 こればかりは本人次第なので、フリークも何も言えない。

「しかし…儂としてはお主の知識も凄いと思うがの。古代言語…お主は何処で覚えたのじゃ」

「あははは…昔の伝手です」

 フリークの疑問にジルは曖昧に笑って答える。

 恐らくは教えてくれないと思い、フリークもこれ以上は聞かない。

「先生!」

 その時、フリークを訪ねて一人の男性が現れる。

「あ、ジルさん…いらしてたんですね」

「おう、ルーンか」

 訪ねてきたのはルーカ・ルーン、この魔法院で尤も強い魔力を持つ青年だ。

「どうした、ルーン」

「いえ、ようやくこの理論が完成しそうなんです。この『バイオメタル』の技術が」

「ほう、形になったのか」

 ルーンの言葉にフリークは感心したように笑う。

「バイオメタル…」

 ジルもその言葉を聞いて目を細める。

「全細胞をバイオメタルに置き換え、不朽の肉体を作る。そうすれば先生の素晴らしい技術を永遠に伝える事が出来ます」

「やれやれ…儂が意図せずして生み出した技術をこうも発展させるとは…お主の才能には驚かされるわい」

「いえいえ、全ては先生が始めた事です。私はその技術を発展させただけです」

 バイオメタルの技術は、フリークが意図せずして生み出したネクロマンサー技術の発展系だ。

 ただ、その技術を確立させるルーンの技術はやはり素晴らしいものなのは疑いようも無い。

「人を永遠に生かす技術…確かに凄いですね」

 ジルもその技術そのものには感心させられる。

 自分が人間の魔法使いだった頃には思いもしなかった技術だ。

「ジルさんは…その技術は興味は無いんですか?」

「私はそういう技術よりも、別の力を探しています」

「…魔人に対抗するため、ですか?」

 ジルはルーンとは別の技術の研究をしている。

 それが魔人に対抗する手段、そして新たな魔法を生み出す事だ。

 ジルが研究しているのは、古代語と現代の技術を掛け合わせた新しい魔法の生成、そして付与の技術の発展だ。

(スラルさんのように、ランス様との合体技を使えれば良いんだけど…)

 ランスとスラルの合体技はまさに規格外の技。

 それこそ戦略級の必殺技となるのだが、生憎と今はそれは使えない。

 なのでジルはその助けとなるべく、付与の力に目を付けたのだ。

「あ、あの…ジルさん。良ければ一緒に食事でも…」

「ジルー。迎えに来たわよ」

「レンさん」

 ルーンがジルを食事に誘おうとした時に、一人の女性がジルに声をかける。

 現れたのは金色の髪をしたこれまた絶世の美女だ。

「で、目当てのモノは見つかった?」

「いえ…でも、色々と勉強になりますから」

「そう。ま、気長にやりなさい。あ、フリークとルーン」

 レンは今二人に気づいたように声をかける。

「…相変わらずじゃの、レン」

 フリークはレンの態度には苦笑するしかない。

 彼女もハンティから預かった女性だが、ジル以上に訳アリの存在らしい。

 ハンティからも『あまり関わらない方が良いよ。多分向こうもそっちに干渉しないと思うけど』と言われていたが、本当にその通りだった。

 ただ、本当に強い上に、凄まじい魔力を持っている。

 それに魔法と神魔法も高いレベルで使えるが、それ以上に彼女は剣と盾に優れている。

 魔法戦士とでも言えば良いのか、だがそれ以上に彼女は強すぎる存在だ。

 今の時代の人間のように魔法使いを見下しているような事は無いが、同時に興味も持っていない。

「じゃあ行こうか、ジル」

「うん。先生、ルーンさん、失礼します」

 ジルは一礼して去っていくのをルーンは見ているしかなかった。

「…間が悪いな、ルーン」

「まあ…仕方ないですよね」

 フリークの言葉にルーンは少し悲しそうにため息をつく。

「で、ルーン。お主の計画は本当に進めるつもりなのか?」

 二人だけになった事で、フリークは真剣な顔でルーンを見る。

「ええ。私は本気です。魔法使いだからと蔑まれるのは間違っています。そのためには行動を起こす必要があります」

「…争いになるぞ。それも人同士のじゃ」

「仲間達も同じ意見です。それに、私達の本当の敵は魔王と魔人です。今は確かに平和かもしれませんが、本当の脅威を何とかしない限り、人類に本当の自由はありません」

「それに関しては儂も同じ意見じゃが…」

 フリークも今の時代の魔法使いの扱いには納得していない。

 だからこそ、この魔法院で優秀な生徒に自分の技術を教えてきた。

 そして今は大陸中から優秀な魔法使いが集まってきている。

「鉄兵のプロトタイプも出来つつあります。これがあれば大陸を纏める事が出来るはずです」

「やれやれ…儂の技術をそこまで昇華させるとは。まあ大陸を纏められるのはお主のような才能の持ち主なのかもしれんな。じゃが、かつて大陸を制覇しようとした男が敗れた事を忘れてはならんぞ」

「藤原石丸ですね…でも彼等もたった1体の魔人と魔軍に敗れ去った。私は彼のようにならないように、慎重に事を進めたいと思います」

「予想外の事は起きるものじゃぞ。我々も同じ人間なのじゃからな」

 フリークの言葉にルーンは真剣な顔で頷く。

「で、お主はジルも仲間になって欲しいと思っておるんじゃな?」

「はい。彼女の力は素晴らしいですから。私達の仲間になってくれればと思っています」

「ふむ…」

 ルーンの言葉にフリークは難しい顔をする。

 それはハンティに言われた言葉を思い出したからだ。

『あ、彼女をどうにかしようとするのは止めた方がいいよ。レンもそうだけど、レン以上に厄介な奴と関わる事になる』

 ハンティは真剣な顔でそう言っていた。

『彼女の意思が重要だから、彼女自身がアンタ達を選んだなら話は別だけど、それは絶対に無いからね』

 フリークとしてはジルにも協力をして欲しいが、ハンティはそれは無理だと言う。

 理由は教えてくれなかったが、彼女が言うからには本当にそうなのだろう。

「ルーン、急ぎ過ぎない事じゃ。お主はまだ若いのじゃからな」

 フリークは教え子にそう言い聞かせるしかなかった。




最近怪我が多くてキツイ
今度は指を怪我
いや、本当に何なのと…
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