この戦争が始まって10年経過したが、それでも全く動かない魔人も存在していた。
それが魔人四天王である魔人シルキィ、同じく魔人四天王であるケイブリス、そして魔人メガラス、魔人ハウゼル、魔人ますぞえだ。
シルキィは人間と戦う気は全く無く、ケイブリスは魔人四天王の地位になってもその臆病な本質そのものは変わっておらず、闘神や闘将に対しても万が一の事を考えて出撃しようとしなかった。
魔人まずぞえは相変わらず奈落で大人しくしてるし、メガラスも戦おうとはしなかった。
そして心優しき魔人ハウゼルもまた、人間達と戦おうとはしなかった。
ハウゼルはカラーの森周辺を飛んでいた。
「本当に居るのかな…ランスさん」
ハウゼルは戦争が始まって10年経った時、奇妙な夢を見た。
それは今の時代にランスが居るので、会いに行かなければならないという夢だった。
所詮は夢かと思ったが、やけにリアリティが有り、ハウゼルはその夢に従っても良いかと思った。
「うーん…どうしようかな…」
ただ、ハウゼルはどうやって動けば良いか分からず、困っているたのだが、カラーの事を思い出した。
人間との戦争でカラーが狙われると思い、こうしてカラーの森辺りをうろついている。
そのせいか、魔物兵達はこちらに近づいては来なったのは幸いだった。
「何とかランスさんと会えればいいんだけど…」
ハウゼルはそう思いながらも、カラーを守るためにその場に居続けるのだった。
魔物の占領地―――そこでは沢山の魔物兵達が傷つき倒れていた。
殆どは飛行魔物兵であり、メイドさんやズカッパといった回復を出来る魔物達が懸命に治療していた。
そしてその中に一人、異質な存在もまた傷を癒していた。
「あの…レイ様。一体何故あなた様程の方がこのような傷を…」
魔物大将軍が恐怖に体を震わせながらレイに尋ねる。
「あ? お前に関係あるか?」
「い、いえそんな! ま、魔人様がそのような傷を負うなど考えられぬ事ですので! ま、まさか連中は無敵結界を破れるのかと…」
「下らねえ事言ってんじゃねえ。それよりもタハコでも持ってこい」
「は、ハイ! 只今!」
魔物大将軍は慌てた様子でレイの居るテントから走り去っていく。
「無敵結界か…ま、楽しめてるから問題は無いがな」
レイは闘神につけられた傷をなぞる。
そこには痛みがあるが、同時に生きる実感をレイに与えてくれていた。
最初は只の暇潰しのはずだった。
レイが本当に求めるのはランスとの決着、それだけだった。
予想外の人間との戦争だが、闘神都市に興味を持ったレイはノス、レキシントンと共に戦いに興じた。
そして闘神と戦った時、その強さに驚き同時にこの戦争を楽しみ始めた。
ただ、誰も予想すらもしなかったのは、魔人レイは闘神との戦いに無敵結界を使おうとしなかった事だろう。
実はノスも無敵結界を使わずに闘神と戦っているのだが、当然そんな事を知っているのは誰も居ない。
「しっかし闘神か…中々楽しめるな。頑丈なのがいい。ま、アイツとの戦いのようなヤバイスリルは感じないがな」
ランスとの戦い程では無いが、闘神との戦いもレイに生きる実感を与えた。
そしてレイはその本来の性格から、競い合うという事で己の生の実感を強く感じていた。
無敵結界で捻り潰すだけでは味わえない感覚、まさに戦いの醍醐味をレイは強く感じ取っていた。
ただ、おかげで魔人なのに怪我をするというある意味の屈辱を味わっているのだが、本人はそんな事はお構いなしだ。
「さて…次は何処に行くかね。色々と楽しめそうだが…」
レイにとっては全ての闘神がターゲットだ。
出来れば他の魔人が仕掛けていない所に乗り込むのが良い。
「だが何となく…ここに留まるのも有りだな」
レイは傷を癒すためにここに留まっていた。
闘神の一撃を受けて闘神都市から落とされた。
流石にそんな事で死ぬのはご免なので無敵結界を使って地上に叩きつけられた。
衝撃で闘神につけられた傷が少し開いたが、魔人であるレイにとってはそんな事はどうでも良かった。
この痛みもまた戦いの実感、レイはそれすらも楽しんでいた。
闘いながら酒を飲み、時には捕らえた人間の女でその性欲を発散する。
そうする事でレイは退屈だったGI期に楽しみを見出してる。
他人が聞けば信じられない事だが、レイにとってはそれが楽しいのだから仕方なかった。
少しの間の休息を楽しもうかと思っていたが、唐突に周囲が騒がしくなり始めた。
魔物大将軍の怒号が聞こえてきた事で、レイは露骨に不機嫌になる。
その行為も酔狂な事なのだろうが、レイは自分の休息を邪魔されたと感じて文句の一つでも言ってやろうと起き上がる。
魔人が出てきた事で魔物兵達がざわめくが、魔物大将軍はそれにも気づかずに部下を怒鳴っていた。
「バカか! たかが人間相手に撤退しただと!? この…」
魔物大将軍チューザレは撤退してきた魔物将軍ゾノを怒鳴ろうとした時、その背後に現れた気配に言葉に詰まる。
「うるせぇよ。でめえの怒鳴り声のせいで寝れねえ」
「レ、レイ様…」
魔人レイの存在にチューザレの背中が寒くなる。
魔人とは恐ろしい存在だが、魔人レイはその中でも短気で有名だ。
邪魔する奴は誰であろうとも容赦しない、それが将軍クラスだろうが躊躇なく殺す…という話もあるくらいだ。
「おう、何があった」
それはレイとしても虫の知らせがあったのかもしれない。
魔人の思いもよらない言葉にゾノは顔を上げる。
「レイ様…」
「お前達のうざってえ話に興味はねえ。事実だけ聞かせろ」
レイの言葉にゾノは起きた事を全て話した。
それは魔物兵達に動揺を与える恐るべき言葉だった。
「ま、まさか地上に闘将や闘神が…?」
「だとすれば…この数では…」
魔物将軍達は少々不安そうに声を出す。
何しろ闘神や闘将は魔人とも渡り合える凄まじい存在なのだ。
その闘神と闘将を魔人が攻撃をしているからこそ、地上の魔物達は好き勝手に暴れられるのだ。
だが、地上に居るとすれば、今の軍勢だけでは足りないかもしれない。
しかも魔王の方針で、援軍を望むことは出来ないのだ。
「ほぅ…面白い連中が居るもんだな」
レイはそう言ってニヤリと笑う。
「闘神と闘将の相手も良いが…地上にそいつらが居るんならそれはそれで面白いからな」
「レ、レイ様…」
「案内しな。俺が行く」
魔人の言葉に皆が驚愕する。
同時に魔物達の士気も上がる。
魔人が同行するのならば負ける事は無い、それが事実だ。
「し、しかし魔人様がたかが人間程度に…」
「うるせぇ」
チューザレの言葉にレイは乱暴にその頭を掴む。
「俺が行くって言ってるんだ。ガタガタ言うんじゃねえ」
「は、はい…」
魔人レイの言葉と気迫にチューザレは何も言えなかった。
魔物大将軍は無敵結界の無い魔人と言われているが、実際の魔人はやはり迫力が違い過ぎる。
チューザレはそれだけでもう生きた心地がしなかった。
「目的の奴が居なかったら特に何かする気はねえ。その時は好きにしろ」
「は、はい…」
レイの言葉にチューザレは頷く以外に無い。
それ程までに魔人の言葉は圧倒的なのだ。
レイはそのまま去っていくが、チューザレは最早何も言う事は出来なかった。
それ程までに、怒れる王と呼ばれる魔人レイが恐ろしかった。
ランスが居る砦―――
そこは別に何の名前も無いただの砦だ。
そこでランスはようやく今現在の状況を掴めていた。
「ここがゼスの辺りだとはな」
世界地図を見せられた時、ここがLP期におけるゼス方面というのは分かった。
分かった所でどうなるものでは無いが、魔軍はとにかく力押しで人間達を襲ってきているのは分かった。
戦略も殆どなく、力押しだけで人類はジリ貧なのだ。
それ程までに、魔人と魔軍の力は大きかった。
「闘神と闘将の援護も期待できないという事だな」
スラルも難しい顔をする。
スラルとしても、まさかここまでの人類と魔軍の全面戦争が行われるとは思っても居なかった。
まだ無敵結界が無いスラルの時代でも、そこまでの戦争は無かった。
一応人間だった頃のガルティアに関しては大きな戦いがあったようだが、所詮は局地戦に過ぎなかった。
「藤原石丸が魔人ザビエルに討たれた時以来の戦争になる訳か」
「そういやそんな事もあったな」
スラルの言葉にランスも昔を思い出す。
ただ、あの時よりも状況は余程悪い。
魔人ザビエル率いる魔軍はあっさりと藤原石丸率いる人類を蹴散らした。
一応ランスもその戦いに介入はしたが、結果としては人類は負けた。
ランスの参戦も別に魔軍を揺るがす事は無かった…それが結果なのだ。
「まさかこれ程の全面戦闘になるとは思っても居なかった。ただ、私としては無敵結界を破れぬのにここまで耐えている聖魔教団を評価するがな」
剣の中からケッセルリンクが答える。
「それはそうだな。魔王が参戦していないという事はあるが、それでも良く耐えている方だ。その分地上の人類に皺寄せが来ている形になっているがな。魔人と戦うのとどちらがマシか…そういう次元の話になってしまうがな」
「どうでもいい。それよりもこんな所からはとっととおさらばしたいが…」
ランスとしては結果が分かり切った戦いになんて興味は無い。
ハッキリ言えば、この戦争に参加する気は全く無かった。
が、そんな理屈が通じない事もまた分かっている。
何しろ魔人が動いている以上は、間違いなくカミーラは動いているし、下手な動きを見せれば間違いなくカミーラはランスを狙ってくる。
以前は引き分けたが、次はどうなるかは分からない。
それに日光も無い以上は、ランスとしても魔人と真正面から戦うつもりは全く無かった。
「何とか情報が欲しいわね…あなたのメイドと話せればいいんだけどね」
「レン…それは難しいな。恐らくは彼女達はこの戦いに介入を考えては居ないだろう。私が魔人として存在していたとしても、私は今回の戦いには参加はしないからな」
「JAPANにでも行くか…? いや、厳しいか?」
ランスは大陸の端にある場所に行こうと考えるが、ここからだと流石に遠すぎる。
バイクを使ったとしても時間はかかるし、その間に魔軍に捕捉される可能性も高い。
魔軍はリーザス・自由都市方面にも僅かだが展開をしているようだ。
そこを通るのは流石に厳しいだろう。
「ハンティに出会えれば一番良いのだがな。彼女ならばもっと詳しい話をしてくれるだろうからな」
「そういやカラーはどうなっとるんだ。確か連中に協力してただろ」
「そこはラギに話を聞いても分からなかったしね。多分、魔法を使えない人間にはあまり大きな情報が渡されて無いのよ。その恩恵は受けていたみたいだけどね」
レンの言う通り、地上の者達も聖魔教団の恩恵を十分に受けていた。
魔農民による食料の生産や、色々な道具…それは生活の水準を大きく上げていたし、武装の面でも優れている。
ランスから見ても、LP期の軍隊よりも装備は優秀とさえ言えた。
だがそれでも厳しいとしか言えない。
だとすると、機を見て逃げる必要がある。
元の時代に戻るまでランスは死ぬ訳にはいかないのだ。
「迂闊には動けないわね。でもここに居るのも危険。どこかで移動しないと」
「分かっとるわ。だが、情報が入って来ないのでは動けん」
もどかしい状況だが、情報が入ってこないと動く事すら出来ない。
一応魔軍は退けたが、再びこちらに来るのは確実だ。
しかも今度は前よりも多くの数を引き連れてくるだろう。
実際には魔軍もそこまで数を用意できてはいないのだが、そんな事はランスには知りようが無かった。
やはり魔物将軍、そして魔物大将軍を潰す、それ以外に状況を打破する手段は無かった。
「ちょっといいかい、大将」
そう言って入って来たのはシロウズだった。
「何だ変態」
何時の間にかシロウズはランスの事を大将と呼ぶようになっていた。
まあランスにはどうでもいいし、馬鹿にされている訳では無いのでそのままにしている。
「いや、もしかしたら魔軍が動くかもしれない」
「別にそんなのおかしくも何とも無いだろうが。一々報告に来るような事か」
「そうだな、ただ魔軍が再編成をして襲ってくるというのであれば別に報告するような事じゃない。だが、魔物将軍1体が率いる部隊と聞けばどうだい?」
「あん? 魔物将軍1体だと?」
シロウズの報告を聞いてランスも少し引っかかる。
前回は魔物将軍2体が襲ってきたが、何とか退けることは出来た。
ただ、この不意打ちは一度しか使えないだろうし、余程の無能で無ければ対策はするはずだ。
ランスとしても前回の戦いでもう一体の魔物将軍を逃がしたのは失敗したと思ったくらいだ。
あそこで殺していれば、今の戦いをもう一回くらいはする事が出来るのだ。
それなのに、魔物将軍が1体…魔物兵が2万の部隊で再び襲うなんてあり得ない。
そこまで馬鹿では無いはずだ。
「だから何かある、私はそう思っている」
「罠か? いや、今の状況でそんな事するか?」
普通ならば罠を考えるが、ぶっちゃけ魔軍がそんな事をする理由が思い浮かばない。
どうせ力押しだけで人類を押し切れるのだから、そんなに頭を使う必要なんて無いのだ。
事実、それだけで人類は負けているのだから。
「ランス様、どうしますか?」
「何も無ければそのまま蹴散らすだけだ」
ランスはそう言いながら面倒くさそうに立ち上がる。
魔軍が来たからには動かなければ、一瞬の油断が死につながる。
そこだけはランスは絶対に曲げない。
「…ジル君とレン君、君達は魔法使いだろう。それなのに私達に味方してくれるのか?」
シロウズの言葉にレンは呆れたようにため息をつく。
「私は別にアンタ達の味方をしてる訳じゃ無い。私はランスを守る事が仕事。魔軍の相手はそのついで」
「私はランス様に命を救われました。だから私は何があってもランス様について行きます」
二人の言葉にシロウズはその仮面の下で笑みを浮かべる。
「いや、もの凄い単純で理解出来る言葉だ。ならば私も彼について行くとしよう」
「ランスは男がついて来ると凄い嫌がるけど…」
「そういう御仁なのだろうな。だが、私達の家系にはあるジンクスがある。この頭で生まれる男が現れた時、必ず大きな変化が起きると。そして私はこの頭で生まれた…ならばその変化が起きる事は確実だ。そして私は大将にその強さを見た。だから彼と共に変化を見届けるのが私の使命だ」
「いや、そういうのランスには通用しないから。下手したら殺されてもおかしく無いから」
「フッ…そう簡単に殺されるつもりは無いさ。私も腕には覚えがある」
「話が通じない…この頭の奴ってみんなこうなの?」
レンは昔に少しの間だけダンジョン攻略をした男、エドワウ・亜空の事を思い出しげんなりしていた。
「ランスさん! 魔軍が近づいてきています!」
城壁で様子を見ていたラギがランスを見て近づいてくる。
「本当に魔物将軍1体が率いているだけか?」
「はい。それ以外は影も形も有りません」
ラギの報告を受けてランスも魔軍の陣営を見る。
確かに数は多いが、前回ほど多くも無い。
前の時の半分くらいなのだから、本当に魔物将軍は1体だけなのだろう。
ランスがそう思っていると、一体の飛行魔物兵がこちらに向かって飛んでくる。
弓兵が弓を構えるが、飛行魔物兵はそれを静止するように旗を振るう。
「待て! 俺は魔物将軍ゾノ様…いや、魔人レイ様の言葉を伝えに来た!」
その言葉にランスとジルとレン以外の者達が凍り付く。
「前回魔物将軍グーン様を倒した者達を出せ! 出さなければ総攻撃を開始する!」
「フン、何だ貴様偉そうに。おいジル、打ち落とせ」
「え? いいんですか?」
「構わん。一匹雑魚が減るだけだ」
ランスの言葉に魔物兵が慌てる。
「ま、待て! 俺はただの使者でそれを攻撃するなど…」
「デビルビーム」
「ぎゃああああああ!」
ジルのデビルビームが直撃し、魔物兵が蒸発する。
「あの…いいんですか?」
「構わん。どうせ相手も気にしとらんからな」
ランスは呆れた様子で魔物兵を見る。
「全く…すっかり忘れてたぞ。というか何でこんな所に居るんだあいつは…」
「さあね。でもまあこのまま総攻撃されるよりはマシでしょ」
「フン、いい加減とっととぶっ殺すか」
少々げんなりした様子でランスは移動する。
それを見て、前回ランスについて行った者達もランスに続く。
「お前達はいらん。邪魔だ」
ぞろぞろと付いて来た兵達を見てランスが言い放つ。
「私はご一緒します」
「私も行こう。大将の足手纏いにはならないさ」
「…どーでもいい。好きにしろ」
ラギとシロウズはついて来るようで、ランスも面倒臭くなって許可をする。
城門が開かれ、ランス達は魔物兵の前に現れる。
すると魔物兵が二つに割れ、一人の男が姿を見せる。
それを見てラギが体を震わせる。
明らかに気配が違う、異質の存在…間違いなくソレは魔人だった。
「あれが…魔人か」
シロウズもその気配には体を震わせる。
初めて見る魔人という存在はそれ程までに圧倒的だった。
レイは咥えていたタハコを外すと、小さな稲光が放たれタハコが燃え尽きる。
「久しぶりだな、ランス」
「男が俺様に馴れ馴れしく話しかけるな。お前は俺様のストーカーか」
魔人レイがランスの名前を呼んだことにラギとシロウズは驚く。
そしてランスもまるで顔見知りの者と会ったかのような言葉にも同様に驚くしかない。
「ストーカーならもっと相応しい奴が居るだろ。ま、腐れ縁ってやつかね」
レイはそう言いながらも何処か嬉しそうだ。
「まさかこんな所で俺が一番最初にお前に会うとはね。ま、カミーラの奴には悪いがこれも運ってやつだな」
「何だ、あいつも参加してるのか。そういうのには興味が無い奴だろ」
「どういう風の吹き回しかね。ま、ノスやレキシントンみたいに積極的じゃあ無いけどな」
カミーラ、ノス、レキシントン…全てこの戦争で確認されている魔人の名前だ。
その名前が出る事にラギは体が震える。
改めて魔人が現れ、戦争をしている事を思い知らされた。
「お前もそっちに行け。俺様はお前に用は無いぞ」
「お前が無くても俺はある。これまで散々邪魔が入ったからな…おまけにガイの野郎が人間に手を出すなと言いやがる。ま、今回の戦争が通ったのは意外だったがな」
レイはバックルから櫛を取り出す。
同時にランスも戦闘態勢に入る。
それを見てレイはその顔に楽しそうな笑みを浮かべる。
「いいな。お前も珍しくやる気じゃねえか。てっきり逃げてくと思ったけどよ」
「フン、貴様をぶっ殺せば面倒な奴が一匹消えるだけだ。いい加減お前の顔を見るのも飽きたしな」
「言ってくれるじゃねえか…メディウサみたいに簡単に俺をやれると思うなよ」
そう言ってレイは髪をかき上げると同時に凄まじい雷光が天を突く。
「無敵結界は使わねえ…だから遠慮なく来な! ランス!」
「一人で勝手に盛り上がりおって。無敵結界無しで俺様に勝てると思うなよ!」
ランスも剣を抜くと同時に、その重厚な気配が膨れ上がる。
「!」
まるで魔人が二人いるような感覚にラギとシロウズは体が締め付けられるような感覚に陥る。
「で、私達は見ていろなんて言わないわよね?」
レンがレイを挑発するように言葉を放つ。
その言葉を聞いてレイは獰猛に笑う。
「かまわねえよ! 纏めて相手をしてやるよ…俺は今最高に気分がいいんだからな!」
「フン、男なんぞとっととぶっ殺すに限る! 死ねーーーーーーっ!!」
第一次魔人戦争―――その戦いの中でもあり得ない、地上の蛮人と魔人の戦いが始まる。
一番動かしやすいのがレイ…なのでまずはレイから
いや、しかし改めて15は多すぎだろと
正直ランス10でも多すぎだと思うのに