ランス再び   作:メケネコ

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第一次魔人戦争⑧

 ハンティ・カラーは忙しかった。

 聖魔教団とはあえて距離を取り、彼女は地上の魔法を使えない者達を助けてきた。

 フリークという友人は居るが、それとこれとは話は別だった。

 カラーの事は心配だが、何と魔人であるラ・ハウゼルがそれとなくカラーを助けてくれている事を知り、彼女は地上を瞬間移動で慌ただしく移動していた。

 だが、そこで恐ろしい情報を耳にした。

 それは、魔人が地上にやって来たという事だ。

 ハンティはその情報の真偽を確かめるために移動をし、とうとうその情報を掴んだ。

「で、やって来たのは魔人レイなんだね?」

「はい。私は…魔人相手に何も出来ませんでした…更にその後で闘神都市を落とした魔人レキシントンまで現れて…」

「レイにレキシントン?」

 その名前が出た事にハンティの顔が歪む。

 その顔を見て、報告をしたラギは怪訝な顔をする。

 普通魔人が現れたなんて聞いたら沈痛な顔をするのが当たり前だ。

 だが、今のハンティの顔は何か嫌な予感を感じたというか、そういう類の顔だった。

「あの…何か?」

「ねえ…生き残ったのはアンタだけなんだよね?」

「はい。シロウズも生き残りましたが…ランスさんという人について行きました」

「…ああ、やっぱり」

 ハンティは自分の感じた嫌な予感が当たった事に頭を押さえる。

「そりゃランスが居るならレイは地上に行くか…」

「あの…魔人レイはランスさんと知り合いのようでしたけど、一体どういう事何です?」

 ラギの言葉にハンティは真面目な顔になる。

「それに関しては答えられない。そしてそれを誰かに話してもダメ。理由は分かるね?」

 真剣な表情のハンティにラギもその意味を感じ取る。

 彼女はそれが分からない程愚鈍ではない。

「で、ランス達が何処に行ったのかは…」

「カラーの所に行くような事を言ってました。勿論これはハンティさんにしか話してません」

「そうか…分かった、ありがと。後は私が何とかするよ」

「はい、お願いします」

 ラギはそう言ってハンティから離れて忙しそうにしている。

 それを見届けてからハンティはため息をつく。

「やっぱり来たか…これまでの経験から予想はしていたけどね…ただ、10年経ってからというのは意外だったけど」

 ハンティとしてはランスが居る事が良い事なのか悪い事なのか分からない。

 ただ、もしランスが日光を持ってこの戦争に参加して居たら…と思わなくない。

 ランスが日光を持っていれば、相手が魔人でもランスと闘将が手を組めば間違いなく魔人ならば倒せただろう。

 魔人は協力する事は出来ないが、闘神はそんな事は無い。

 そして闘神を支える闘将とランスが手を組めば、この戦いの様相は全く変わっていただろう。

 魔人を各個撃破し、余裕が出た所で闘将と地上へ派遣して魔物兵を押さえる。

 ランスと親しい闘神Θや、人間出身ではない闘神Σならばランスと問題無くチームを組めただろう。

 ただ、それはもしもの話で今はもうそんな事は有りえない。

「でも、あいつが居るなら…間違いなく時代は変わるだろうね」

 ランスの強さはそれこそ闘神都市一つに匹敵できるだろう。

 レンとジルとスラル、そしてあの男の縁を繋いでいけば勢力はどんどんと大きくなっていくはずだ。

 一部の魔人とは親しく、ケッセルリンク、ハウゼル、サイゼル、シルキィは魔王の命令が無い限りはランスとは戦おうとも思わないはずだ。

 それに魔王は全ての魔人を今回の戦争に派遣している訳では無いので、あの男ならばそれを突いた戦い方が出来るだろう。

 その辺りがランスとルーンの大きな違いだろう。

 正攻法での戦いで魔人と戦うルーンと、勝つためにはあらゆる手段を使うランス、どちらも間違っているなんて事は絶対に無い。

「カラーはカラーで大変だけど…もう流れに任せるしかないか」

 

 

 

「うーむ、やっぱりまだまだだな」

「そうなんですか? 私には分からないですけど…」

 ベッドの上で激しい行為をした翌日、ランスは剣を片手に微妙な顔をしていた。

「やっぱり回数が足りんようだな。これくらいじゃまだまだ満足して無いんだろ」

「まあ…」

 ランスはハウゼルを抱き寄せ、その豊満な胸をむにむにといじる。

「もう…ダメですよ、朝から。それにランスさんにはレンさんとジルが居るんですから」

「レンは俺様の女でジルは奴隷だから問題無い。それよりもお前達だな。電卓キューブには相変わらず入れんからな。条件が揃ってないとか意味が分からん」

「…そうですね」

 運命の女の証である迷宮、電卓キューブにハウゼルとサイゼルと個別に行ったのだが、何れも条件が揃っていないと言われて相変わらず入れない。

 その条件が何かは教えてくれないため、どうすれば良いのかまだ分からない。

「それにしてもランスさん…姉さんとそんなに…その…エッチな事をしたんですか?」

「ん? ああ。あいつも結構乗り気だったしな。お前も同じくらいエロいがな」

 ランスはハウゼルの見事なスタイルを誇る体を弄る。

「あん…ランスさん、昨夜もあんなにしたのに…げ、元気過ぎます…」

 そう言いながらもハウゼルは既に硬くなっているハイパー兵器に手を伸ばす。

「凄い熱い…」

「がはははは! お前の体があまりにもエロいからこうなっとるんだ」

「私のせいにしないで下さい。どうせ他の女の人にもそんな事言ってるんでしょ」

「む…サイゼルと同じような事を言いおって。やっぱりお前達は姉妹だな」

「双子の姉妹ですから」

 ランスの軽口にもハウゼルは微笑みながら流すだけだ。

 なのでランスはハウゼルをベッドにうつ伏せにして押し倒し、その体にのしかかる様にして挿入する。

「あん…ランスさん、朝ご飯は…」

「後だ後。まずは一発すっきりしてからだ!」

 当然一発では終わらず、朝から3発はやるのだった。

 

 

 

「しかし…暇だな」

「あはは…外では凄い戦争をしているはずなんですけどね…」

 食事を終え、ランスとジルは取り敢えず外に出たのだが、やれる事が無い。

 何しろこの森の外に出れば魔物達が当たり前のようにうろついている。

 そんな中に行くほどランスは酔狂ではない。

 万が一魔物達にペンシルカウの存在を知られるのは厄介だし、それを自重するくらいの理性もランスにはあった。

 それにここでは好き勝手にセックスが出来る環境になっているので、昼間から盛る必要も無いので、暇潰しのつもりで魔法ハウスから出ている。

 カラー達も不安そうではあるが、出来る事も無いので開き直って居る者も多い。

「だったらお前の剣を色々と調べたいのだがな。だが、それも剣が安定してからの話か」

「スラルちゃんか」

 ジルの口からスラルが話しかけてきたので、ランスはちょっと考える。

 そしておもむろにジルの巨乳を後ろからむにっと掴む。

「突然何をする」

「いや、スラルちゃんとはずっとセックスが出来て無いからな」

「別にお前は相手には困らないだろう。ジルもレンもお前とのセックスを拒まないし、むしろ望んでいるぞ」

「俺様はスラルちゃんとセックスがしたいんだ。別に誰でもいいとかいう事は無いぞ」

 ランスの言葉にスラルはジロリとランスを睨む。

「何だその目は」

「いや、お前の女関係だけは信用出来んからな。どれくらいお前と一緒に行動を共にしていると思っているんだ」

「なんだ、ヤキモチか?」

「都合の良い解釈をするな。とにかく、今の我はお前の誘いを受ける事は出来んからな」

 スラルはランスを引きはがそうとするが、ランスはスラルの顔をじっと見る。

「スラルちゃんとジルは感覚は繋がっていないんだよな?」

「ああ。完全に別だな。ただ、我は普段は眠って居る事の方が多いし、昼間の間はジルに自由を与えるべきだろう。ジルは我と違い、1,000年お前の事を待ってたんだ」

「俺はスラルちゃんともしたい」

「これはジルの体だ。意識ある我を抱いたとしても、感触はジルの体そのものだろう」

 スラルはそう言って少しだけ寂しそうに笑う。

 それを見てランスもため息をつく。

「早くお前の体も何とかせんとな」

「そのためには私が何とかしないといけないんですけど…ごめんなさい、ランス様」

「気にするな。お前が悪い訳じゃ無いだろ」

 ジルの申し訳なさそうな言葉にもランスはそう返してジルの頭をポンポンとする。

 そう、ジルは何も悪くない、悪いのは全てジルを魔王にしたナイチサだ。

 ランスが柄にもない事をしていると、一人の人影が近づいてくる。

「あ、お前は確かメイトリクスだったか」

「微妙に違う。メイトリックスだ。ややこしいのは百も承知だ」

 そこに居たのは巨漢で筋肉がムキムキのカラーであるメイトリックスだ。

「………」

 ランスは改めてメイの体を上から下まで見る。

「何だ、珍しいか? いや、珍しいのは分かる」

「まあそうだな。俺様が今まで見てきたカラーの中では居ないタイプだな」

 筋肉質の女性を見た事が無い訳では無い。

 女性の軍人なんてそんなものだろう。

 リーザスの親衛隊は見目麗しい女性で構成されているが、それでも実力はある者が多い。

 隊長のレイラは強いし、チルディだって何だかんだ言ってもやっぱり強い。

 ヘルマンでもアミトスが居るし、何ならミネバだって生物学的上は一応女だ。

 ただ、メイはそれらの女性よりも背が高く筋肉質だ。

 だが、それでも女性的な魅力は損なっていない…それもカラーの特徴と言えば納得いくものだ。

「俺は一度お前に話が聞きたかった」

「何だ」

「ベネット・カラー…彼女は俺にとっては偉大な祖だ。だが、更に遡ればウトスカ・カラーという偉大な家系に行きわたる。そしてお前はそのどちらとも出会っていると聞いた」

「ベネット…ウトスカ…ああ、居たな」

 ベネット・カラーとウトスカ・カラー、両方ともランスと共に冒険をしたカラーだ。

 ウトスカもベネットも魔人メディウサと交戦している。

 それを考えれば彼女達は間違いなくカラーの中では英雄だろう。

「だが…お前本当にベネットの子孫か?」

「それはどういう意味だ」

「いや、あいつが子孫を残せた事が未だに信じられん…」

「ラ、ランス様…そ、それは言い過ぎなんじゃ…」

「だってあいつは俺様ですら手を出すのが躊躇われた相手だぞ。そんな奴とセックスするとはどんな命知らずだ」

 ベネットに関してはランスですら手を出すのを躊躇った。

 彼女は勿論容姿はいい女だったのだが、手を出すのは負けのような気がして手を出さなかった。

 ただ、彼女の存在がカフェを助ける一端となったのは良かった…のだろうか?

「…そういう事を聞きたい訳じゃ無い。ただ、どんなカラーだったのかと思ってな」

「どっちも自由な奴だったぞ。頭の方もな」

「そ、そうか…いや、歴代女王がウトスカ・カラーの方は兎も角。ベネット・カラーに関しては何か言い難そうだから何となく予想はしていたのだが…だが、こうして改めて言われると結構辛い…ベネット・カラーは俺にとっては間違いなく英雄なのだからな」

「…まあ知らないのは幸せな事だな、うむ」

 ランスが思い出すベネットはもう残念な事しか思い浮かばない。

 色気なんてものは全く無く、ハイパー兵器が反応しないという珍しいカラー。

 ただ、戦闘に関しては本当に役に立った、そんな女だった。

「とにかく、お前が魔人メディウサを倒した人間、それで良いのだな」

「そうだぞ。俺様がぶっ殺した」

「ならば…」

 そのからのメイの動きは非常に素早かった。

 ランスに向けて背中に背負った大剣を振り下ろす―――が、ランスは避けなかった。

 そしてメイの剣はランスに当たる前にピタリと止まる。

「…何故避けない?」

「アホ、当てる気も無かったくせに偉そうな事を言うな」

「成程…この程度軽く見切るか」

 メイはランスから剣を放し、距離を取って改めて剣を構える。

「次は止めない。行くぞ!」

「人の話を聞け! 何だお前は!」

 言葉の通り、メイはランスに向けて本気で剣を振り下ろした。

 その一撃にはランスも驚く。

 それは非常に速い―――それこそリックにすら届くくらいの速さで大剣を振り下ろしてきたのだ。

 ランスはそれを剣で受ける。

(うお!? こ、こいつ…滅茶苦茶強いぞ!?)

 ランスの腕力で受け止めて尚、手が痺れそうになる。

 それ程までに重厚で素早い一撃だった。

「お前…洒落にならんぞ」

「魔人を倒す男だ。俺の剣を容易く受けると思った。そしてそれは事実だった」

 メイは楽しそうに笑う。

「フン!」

 ランスは力づくでメイの剣を弾き飛ばした。

 それにはメイも面食らい、驚愕の表情を浮かべる。

「とーーーーーーっ!」

 そして今度はランスがメイに向かって剣を振り下ろす。

 メイはそれを剣で受け止めるが、その衝撃に態勢が崩れる。

 そこを何時の間に手にしたのか、右手で刀を抜き放ちメイの喉元に突き付けていた。

「…成程、凄まじい」

「よく言うな。どうせ避けてただろ」

 ランスもメイの強さを感じ取っていた。

(下手したら謙信ちゃんよりも強いぞ…)

 タイプは違うが、あの上杉謙信とも渡り合えそうな強さにはランスも驚く。

「いや、すまない。魔人を倒したと言われる力、どうしてもこの身で感じてみたかった」

 ランスが剣を収めるとメイも剣を収める。

「で、お前が今のカラーで一番強いのか?」

「ああ、俺が一番強いと自負している。弓も今の世代のカラーの誰よりも上手く扱える」

「…弓もか」

「ああ。魔法も呪いも人並に出来る。だからこそ、俺はカラー最強と呼ばれる」

「…マジか」

 その言葉にはランスも驚く。

 ケッセルリンクは剣と魔法が使えたが、弓はそれほど得意では無かったし、呪いも才能は無いと自分で言っていた。

 だが、このメイトリックスというカラーはその全てが高水準なのだ。

「うーむ、確かに俺様が知っているカラーの中ではケッセルリンク並かもしれんな」

「偉大なる英雄ケッセルリンク…並び立ちたいという思いは有る。魔人の撃破、人間と協力したという話だが、それでも倒したという事実は変わらない。どう倒したか知りたいものだ」

「…そうか」

 カラーの呪いを使い、相手の特性を利用して倒した―――と言えば聞こえは良いが、実際にはかなり無茶苦茶だっただろう。

 まあランスとしても別にそんな事を話す必要は無いので口にはしないが。

「とにかく俺は偉大なる祖の一人であるケッセルリンク様に並びたい。強さを得たからにはな」

「まあいいんじゃないか? 無敵結界をどうにか出来ればな」

「…現実を直視させてくれるな」

 ランスの言葉にメイは顔を歪める。

 無敵結界をどうにかしない限りは魔人相手には絶対に勝てない。

 それも理解しているからこそ、メイもまた悩んでいるのだ。

「お前と居ると良い戦いに巡り合えそうだ。よろしく頼む」

 そう言ってメイはランスに背を向けて何処かへと行ってしまった。

「うーむ、変わったカラーだな」

「そうですね。今までに見た事の無いカラーの方ですよね」

 二人がそう言っていると、何かがランス目掛けて走って来る。

「…なんだありゃ」

「えーと…デカントですか? でも凄い大きい…って来ますよ、ランス様!」

「まさか魔物が入って来たのか!?」

 ランスは驚いて剣に手を伸ばした時、

「ランスくーーーーん!!!」

 その巨体から聞き覚えのある声が聞こえてくる。

「…この声、まさかシルキィか!?」

 巨人から聞こえて来た声にランスは驚く。

 そして巨人はランスを抱きしめようと手を伸ばすが、ランスはその手をひらりと避ける。

「だーーーーっ! 殺す気か!?」

「あ、ごめんなさい。久しぶりで気持ちが昂っちゃって…リトル、解除」

 巨人がそう言うと、その巨体を覆っていた鎧のようなパーツが外れていき、そこから一人の少女が現れる。

「シルキィさん!」

 ジルはその少女を見て嬉しそうに声を上げる。

「ジルも久しぶり! 大きくなったわね!」

 シルキィはそう言ってジルの頭を撫でる。

「ランス君は変わらないわね」

「当たり前だ。俺様はお前と別れてから数か月しか経って無いからな…どわ!」

 ランスの声の途中にシルキィはランスを抱き寄せると、その頭を撫でる。

「うーん、久々のランス君に会えてお姉ちゃんは嬉しいわ。変な事してないでしょうね」

「だからお前は勝手に俺の姉と名乗るのを止めろ! お前は俺様の女だろうが!」

「違うわ、私はランス君のお姉ちゃんよ。だからお姉ちゃんって呼んでもいいのよ」

「誰が呼ぶか! というか放せ! このバカ力が!」

 何とか逃れようともがくが、魔人であるシルキィの力は非常に強く、ランスの腕力をもってしても引き剥がせない。

「あ、ごめんねランス君。私、久々に会えて凄いテンション上がっちゃったみたい」

 シルキィはランスに対して謝ると、改めてランスを見る。

「元気そうで良かった。正直言うと、今の時代に居て欲しくは無かったんだけどね…」

「フン、どんな時代だろうと俺様には関係無い」

「相変わらずね…でも変わって無くて良かった」

 シルキィは微笑んでいると、突然やって来た者を見ようと皆が集まって来る。

「フム…お主が魔人四天王シルキィ・リトルレーズンか?」

 集まった中にはエアリス・カラーも居り、シルキィに対して問いかける。

「ええ。私が魔人四天王のシルキィよ。でも私のフルネームを知ってるって事は…」

「如何にも、妾がこの世代の女王、エアリス・カラーじゃ。お主の事は色々と知っておる」

「そう…あまりいい話じゃ無いとは思うけど…」

 シルキィは自分が人間達からどういう扱いをされているか知っている。

 知っていても、シルキィはそれを受け入れていた。

 彼女にとって、人類が魔王の支配から逃れられたのならば、自分がどんな汚名を被せられようが関係無かった。

「いや、妾が知っているのはお主の真実よ。お主こそ正に英雄と呼ばれてもおかしくない存在じゃからな」

「英雄だなんて…私はそんなんじゃないわ」

 エアリスの言葉にシルキィは苦笑する。

「シルキィ! 来たのね!」

「ええ、ハウゼル。私は私に出来ることをしに来たわ」

「フム…一先ずは移動しようか。ランス殿の魔法ハウスならば大勢が集まれるじゃろう」

「別に構わんが」

 彼女の言葉を受け入れ、ランス達は魔法ハウスへと移動する。

 自分が居た時と変わらない魔法ハウスを見て、シルキィは嬉しそうに笑う。

「ただいま…って言うのは変かな?」

「別に構わんぞ」

 シルキィの言葉にランスは軽く答える。

 その軽さ、そして自分を受け入れてくれる言葉にシルキィは微笑む。

「で、シルキィはどうするの? まさか魔人四天王が大っぴらに人間とカラーに味方する訳にはいかないでしょ」

 レンの言葉にシルキィは頷く。

 魔人四天王とはやはりそれなりの立場なのだ。

 ましてやシルキィは魔人四天王としては若輩、自分よりも強い魔人はまだまだ存在している。

「うん、私が出来る事は付与よ。ランス君の服を作ったけど、今度はきちんとした鎧とかも作ってあげたくて。勿論ジルのもね」

「ほう。そりゃ助かるがな。お前の作った防具は中々いいからな」

 ランスの来ている服はシルキィのお手製の服だ。

 彼女が己の技術を使い、貴重なアイテムを使って作った特製品だ。

 ミスリルやカラーのクリスタルを使った正真正銘の貴重品、まさに世界に一品の物だろう。

「私も色々と材料を集めたりしてたのよ。ただ、ランス君の希望も有ると思うから少し時間が欲しいんだけど…大丈夫?」

 シルキィとしても人類の現状は理解している。

 幸いにも闘神都市はまだまだ健在しているが、それも時間の問題だ。

 実際にはまだまだ時間は大分あるのだが、それはまだ誰にも分からない事だ。

「構わんぞ。一か月くらいは大人しくしなければいかんからな」

「そうなんだ。ランス君にしては随分と大人しいわね」

「そういう時だってある。それよりも作るなら完璧なモノを作れよ。中途半端は許さんぞ」

 ランスの声は結構真剣だ。

 それを感じ取り、シルキィも笑って見せる。

「あなたのお姉さんを信じなさい。必ず私が完璧な仕事をしてみせるから」

 そう言ってシルキィは胸を張る。

「…あの、シルキィさん。一つ良いですか?」

「ん? どうしたの、ジル」

「気になってたんですけど…その恰好は大丈夫なんですか?」

「え? 何か変?」

「変と言うか…昔はきちんと服着てましたし…」

 ジルはシルキィの格好を見て困ったような顔をしている。

「うむ、そう言えば随分とセンスが変わったな。俺様は眼福だから構わんが」

「あー…私、普段はリトルを纏ってるから、そういう事あんまり気にしなくなっちゃったのよね…」

 シルキィは魔人になってからずっとリトルを強化してきた。

 そしてそのリトルを纏う事で重量級の戦士としての力を磨いてきた。

 代わりに、リトルを脱ぐ事が殆どなくなってしまった。

 なので裸に近い格好なのだが、シルキィはそれを恥ずかしいとは思っていないようだ。

「…ねえランス君。私の部屋ってまだある?」

「まだ残してあるぞ」

「そっか…じゃあ久々に着替えるかな」

 そう言ってシルキィは嬉しそうに自分が使っていた部屋へと歩いて行くのだった。

 

 




メイトリックス・カラーは凄い強いです
強くても文句は出ない名前を選んだつもりです
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