ランス再び   作:メケネコ

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第一次魔人戦争⑨

 魔人達の目的は闘神都市、それは誰も変わらない。

 ただ、レイ、レキシントン、ノスのように誰もが積極的に攻めているという訳では無い。

 確かに闘神都市落としは楽しい「遊び」だが、魔人の中でもそこまで重要視して無い者もいる。

 魔人カミーラもその一人だった。

「フン…まだまだだな。お前ではまだ闘神は落とせんか」

「大きなお世話だ。オレは魔人みたいに無敵結界は無いんだよ」

「私は使っていない。言い訳はするな」

「チッ…」

 母の言葉にルナテラスは忌々し気に舌打ちする。

 彼女の体には所々傷が有るが、カミーラには傷は無い。

 衣服は破れてはいるが、大した傷は無い…それが魔人カミーラの力を現していた。

「カミーラ様、報告が有ります」

「どうした、七星」

 今カミーラは己の城に戻っている。

 闘神とは戦ってはいるが、カミーラは闘神都市を落とした事は一度も無い。

 カミーラとしては闘神と戦うのは中々楽しいが、それでも獲物としては物足りない、そんな気持ちがある。

 勿論闘神はカミーラの相手としては十分なのだが、やはり自分の力をもってして相手を屈服させる相手としては物足りなかった。

 なのでカミーラは闘神の相手を娘であるルナテラスに任せていた。

 だが、流石にルナテラス一人では闘神の相手はまだ無理なようで、闘神に撃退されてしまった。

 ただ、それでも並の闘将は蹴散らせる程強いので、順調に育ってはいるほうだ。

「何だよ七星。お前が報告にくるなんて珍しいな。少なくともこの10年は無かっただろ」

 カミーラと同じ薄紫色をしているが、ショートカットにしているルナテラスが髪をかき上げながら七星に声をかける。

 第一次魔人戦が始まりはしたが、カミーラは別に魔軍を率いている訳では無い。

 単騎で闘神都市に喧嘩を売っているだけで、使徒も動かさない程だ。

「いえ…少々気になる報告が有りまして」

「何だ、七星」

 普通の情報を七星が態々カミーラにあげるはずが無い。

 つまりはカミーラに関係する新しい何かが起きたという事だ。

「レイ様が地上で人間とぶつかったそうです」

「………フン、成程な」

 その一言でカミーラは七星の言いたい事を察した。

 レイはこれまでずっと闘神都市で闘神と戦い続けてきた。

 魔人としては酔狂な事に、ノス、カミーラと共に無敵結界など使わずに闘神や闘将と戦うという徹底ぶりだ。

 ただ、カミーラはそんなレイの貪欲に敵と渡り合う姿勢を評価していた。

 レイが人間であったならば、カミーラの狩の対象に選んでも良いくらいには評価が高い。

 そのレイが闘神ではなく、地上の人間に絡んで行った―――その理由は一つしかない。

「やはり現れたか…些か時間がかかったが…まあいい」

「如何なさいますか、カミーラ様」

 七星の言葉にカミーラは薄く微笑んだ。

 それは冷笑ではなく、自然に浮き出た何処か楽し気な笑みだった。

「捨ておけ…今奴と戦う時期ではない。それに、私から探さずとも奴は必ずこのカミーラの元へ現れる。これは最早偶然ではない、私と奴の運命なのだ」

「おーおー、熱いねえ。随分とオレの父をかってるな。ま、そんなのは十分わかってるけど…あだっ!」

 揶揄う様に声を放つ娘に対し、カミーラはその頭に拳骨を落とす。

「何しやがる!」

「…黙れ。いかにお前でも私とあの男の間には入れぬ。あの男は何れこのカミーラに跪くのだからな」

「いや、父親が母親に跪くって…アンタなら十分あり得そうだな。ま、父と母の戦いにオレが口を挟むつもりはねえよ。ただ、オレも母が認める父と戦ってみたい。その気持ちはある」

 まだ見ぬ人間の父。

 だが、このプライドの高い母が認め、ドラゴンの力だけで屈服させようとする相手。

 それがどんな存在なのか、ルナテラスも興味が尽きない。

「ではカミーラ様は今回は動かぬと?」

「今は、だ。だが、間違いなく奴とぶつかる時は必ず来る。それまでは私はこいつを鍛えねばならぬ」

「はいはい。ま、オレは強くなれるならどっちでもいいさ」

 母の言葉に娘もニヤリと笑う。

 それを見て七星は内心で苦笑する。

(やはりこの方達は母娘だな。だからこそ、その関係を誰にも気取られる訳にはいかぬ)

 カミーラとルナテラスの関係は自分達以外誰も知らない。

 ルナテラスはあくまでもカミーラの使徒なのだ。

 彼女自身人前では気を付けているので、間違っても自分とラインコックから漏れるなどあってはならない。

 改めて七星は気を引き締めるのだった。

 

 

 

「ガイ様」

「どうした、バークスハム」

「報告が有ります」

 魔人筆頭がここ数日に何度も自分を訪れるのは珍しい事だ。

 だが、それだけの事が起きているという事の証明でも有る。

 しかし、この男は決して間違えない…何故ならそれが魔人バークスハムだからだ。

「シルキィが動きました」

「シルキィがか…奴は今回の事で俺に不信感を抱いたからな」

「不信感…とは違うと思いますが、ですが動いたという事が重要です。人間の味方をする…という事は難しいでしょうが、如何致しますか?」

 シルキィは人間を魔物の支配から解放するという理由で魔人となった存在だ。

 ガイはその約束を守り、人間を解放した。

 が、実際に今は魔人と人類は戦争中だ。

 シルキィは表立って抗議はしないが、それでも不満を持っているのは想像に難くない。

 そのシルキィがとうとう沈黙を破った―――それはガイにとっては…非常に面白い事だった。

「捨ておけ。奴がどう動こうが構わん。俺は魔人共に好きにしろと言った。それでシルキィが人間の味方になろうが、それは奴の自由だ」

「分かりました、仰せの通りに」

 バークスハムは分かっていたと言わんばかりに一礼する。

「彼女の動くところに例の人間が居りますが…放置で宜しいですか?」

「ああ。所詮は人間、好きにさせればいい」

「結果、魔人が倒されたとしてもですか?」

 その言葉にガイは唇を吊り上げて笑う。

「無敵結界のある魔人が倒されるのであればそれまでの事。そのような奴は必要無い」

「了解致しました。地上の魔物兵達は如何なさいますか?」

「増員の必要は無い。死んだ分だけ補充しろ。それは魔物大将軍だろうが構わん。今の時代に死のうと何の影響は無い」

「ははっ」

 魔王ガイはこの戦争にはもう興味は無い。

 どんなに長くてもあと20年か30年で終わる。

 ただ、その後始末、それが魔王ガイの関心だ。

「ジル…貴様の男は今度はどれだけ世界を動かす?」

 ガイは今はもう居ない先代魔王の事を思い出し、その胸の中で笑うのだった。

 

 

 

「ランス君と別れてから大分経ってるからどうかと思ったけど、目立った傷は無いわね」

「…俺様は滅茶苦茶苦労したんだがな」

 安心したように言うシルキィに対し、ランスは非常に遺憾に思う。

「そうなの? 何があったかお姉ちゃんに話してみなさい」

「だからそれを止めろと言ってるだろうが! 全く、お前はこれからも俺様の姉を名乗る気か」

「そりゃそうよ。だって私はランス君のお姉ちゃんだし」

 ランスの文句にも躊躇う事無く言うシルキィに対し、流石のランスもたじたじになる。

 本気でそう言っているので性質が悪い。

「で、何があったの? ランス君の事だから凄い事に巻き込まれているとは思ってる。その中でも私の作ったこの服がランス君を守ってくれたのなら凄い嬉しい」

「…フン、まあ中々いい防具なのは認めてやる」

 嬉しそうに言うシルキィに対しては流石のランスも毒気も抜かれる。

「アベルとかいう元魔王と戦った。その後でカミーラと戦った。それだけだ」

「………」

 ランスの言葉にシルキィは目が点になる。

「…何かの冗談?」

「生憎と事実だ、シルキィ。ランスは本当に元魔王のアベルとカミーラと戦って生き残った」

 剣からケッセルリンクの声が聞こえてくる。

「ケッセルリンクさんが言うなら本当なんでしょうね…でもランス君、よく生きてたわね」

「勝手に俺様を殺そうとするな。まあとにかくあの時は本気で疲れたな…」

 ランスもカミーラもそれぞれ重傷を負い、暫く間ベッドから動けなかった。

 代わりに大きな収穫もあったが、それはそれ、これはこれだ。

「うーん…そんな大きな戦いがあったのに私の作った服には大きな傷は無い…もしかしたら服に再生能力があるのかな? もしそうならランス君をこれからも守って欲しいけど」

 シルキィはランスの服を大事そうに触れる。

 ランスのためにシルキィが付与を駆使して作った服。

 只の服ではなく、ミスリルやカラーのクリスタル、その他のアイテムを使ったまさに一級品だ。

「で、これからの事なんだけど、やっぱりランス君の鎧とジルの服と杖かな。私に出来るのは」

「私のもですか?」

「勿論よ。特にあなたは魔法使いだしね。強力な防具は必要よ」

「…あ、有難う御座います」

 やはりシルキィは心優しい女性だ。

 それは魔人になっても全く変わって無い事にジルは嬉しかった。

「ランス君の要望はある?」

「使えるのなら何でも構わん。あ、だが今なら動きやすい鎧の方が良いがな」

 ランスも上質の鎧を使ってはいたが、元々使っていた鎧は既に壊れてしまっている。

 それから何度か鎧を取り換えたが、それでも時代のせいかLP期で作られていたような鎧は無い。

 だからと言って、ヘルマン騎士の使うようなフルプレートは必要無いし、JAPANの足軽のような最低限の鎧も好みではない。

 何だかんだ言っても、防具に信頼性を求めているのは間違いない。

「じゃあ胸と腕と腰…それと足かな。確かにランス君のスタイルなら私のような重装甲は必要無いし、ある程度身軽な方が良いかな…」

 シルキィはランスの胸板や腰、腕や足と必要な部分に触れる。

「シルキィ、こんな感じで良いわよ」

 そう言ってレンは一枚の紙を渡す。

「なんだこれは」

「元の時代で着てた鎧のイラスト」

「覚えていたのか?」

「記憶力には自信がある…というか、言ったでしょ。ランスを守るのが私の仕事だって。だからそう言う事もきちんと記憶しているのよ。そうじゃないと良い仕事なんて出来ないし」

「…そういやお前はそんな事を言ってたな」

 ランスは忘れていたが、レンは元々はランスを守るためという事でパーティーに加わった。

 長い間一緒に冒険もしていたので、もうそんな事はすっかり忘れていた。

「成程ね…シンプルな鎧なのね。でもランス君が最初に着ていたのならこれが良いって事なのね。材質は…やっぱり物理防御が高いのが良いかしら」

 シルキィはそう言って自分が持って来た材質を手に取り唸り始めた。

「半端なモノは作れないからね…ジルは何か希望ある?」

「私は特には…あ、杖はこれを使ってください」

 そう言ってジルはルーンから貰った杖をシルキィに渡す。

「私、魔法に関してはからっきしなのよね…」

「それは我が助言しよう。我も付与には少々の知識が有る」

「スラルさんがそう言ってくれるなら心強いわ。でもまずはランス君の鎧からね。じゃあそこは私に任せて頂戴」

 そう言ってシルキィは色々な素材を手に取りながら集中し始めた。

 こうなってしまうと何をやっても反応が返ってこないので、ランス達は部屋を出ていく。

「あれが魔人シルキィか」

 待っていたのはシロウズ・亜空だった。

 そして彼は少し悩んだようだが、それでも意を決したように口を開いた。

「気を悪くしたのならすまない。シルキィは人でありながら魔人へとなった裏切り者だと…」

 そこから先はシロウズは口に出す事は出来なかった。

 何時の間にか刀を抜いたランスがシロウズの喉元に刀を突きつけていたからだ。

「殺すぞ」

「フッ…成程、言い伝えとは宛にならぬものだな。言ったはずだ、気を悪くしないで欲しいと。人の中では魔人シルキィは人から魔人へとなった裏切り者として伝わっているというだけだ。私は伝承での真実しか知らないからね」

「フン」

 ランスは下らないと言わんばかりに刀を仕舞う。

「シルキィさん…そんな事になってたなんて…」

「仕方ないんじゃない? 真実なんてそういうものでしょ」

 ジルとレンからはそれぞれ異なる言葉が出てくる。

 シルキィが誤解されている事に心を痛めているジル、そして歴史とはそういうものだと言わんばかりのレン。

 人間と天使の違いが如実に表れた言葉だ。

 ランスもレンとは付き合いも長いので、レンの言葉に一々突っ込む様な事は無い。

 彼女はそういう存在なのだとランスも理解していた。

「しかし彼女は君の姉を名乗っているが…どういう事なのか」

「それはあいつの病気だ。あいつは何時の間にか存在しない俺の姉を名乗るようになった。言っても聞く奴じゃ無いから俺様ももう諦めた」

 シルキィは頑固なので、一度決めたら譲らない。

 彼女の中ではもうランスの姉という事になっており、それはもう決定しているのだ。

「ランスさん」

 ランスがシルキィの事を諦めた様子で話していると声がかけられる。

「む、お前達ももう来たのか」

「はい。私達は何時でも動けるように準備をしてましたし。これでも私達は使徒なんですよ?」

 そこに居たのは5人のメイド―――ケッセルリンクの使徒だ。

「それにしてもよく簡単に入れたわね。カラーだって警戒しているでしょ」

「私達はこういう時のため、カラーとは一定の距離を保ちながら密かに連絡をしていたんです。知っているのは女王とその側近だけです」

 レンの言葉にエルシールが代表として答える。

「私が至らぬばかりに苦労をかける。すまないな、お前達」

 ランスの剣の中からケッセルリンクが声をかける。

「とんでもございません。私達はあなたの僕として、どんな事でもする覚悟です。ですので、そのようなお言葉は必要ありません」

 シャロンの言葉にケッセルリンクは剣の中で無言となる。

 彼女達を守る立場でありながら、もう長い間その立場で居ない事に心苦しいのだ。

「お前のせいじゃないだろ。気にするな」

「…そういう訳にはいかないさ。これも私が招いた事でもあるからな」

 ランスの慰めにもケッセルリンクは硬い声を出す。

 全てはジルが魔王になった事、そしてその一端は自分も担っている。

 そう思っているからこそ、ケッセルリンクは今でも責任を感じている。

「で、お前達はこっちに来て大丈夫なのか?」

「全然大丈夫ですよ、ランスさん。だって私達はケッセルリンク様の命令で動いているという事にすれば問題無いですからね。それに魔王様も使徒の動きなんて特に気にしていませんし」

 加奈代の言葉にパレロアも頷く。

「私達もガイ様が魔王となって以来その姿を見た事も有りません。ガイ様もケッセルリンク様の事を特に気にしておりませんから、私達がどう動こうが興味が無いのだと思います」

「だから私達はケッセルリンク様のために動く。断じてお前のためじゃないからな!」

 バーバラは相変わらずランスに向けて敵意を向きだしだ。

「それよりもランスさん、これからどう動かれるんですか? 私達は貴方をサポートするために動きます」

 エルシールの言葉に皆が頷く―――バーバラだけは不服そうだが。

「と言っても今は何も出来んぞ。魔人に対しては何も出来んからな」

「…やっぱり日光さんは行方不明なんですね」

 ランスの言葉に加奈代が複雑な顔をする。

 本来であれば日光は魔人にとっては敵なのだが、彼女の使徒達は人間だった頃の彼女を知っている。

 ランスとも親しい仲なのも知っている事もあり、どうしても敵だとは思えていない。

「日光があるなら俺様が魔人などあっという間に叩き斬ってるわ。いないもんを考えても仕方ないだろ」

「そうですね…ですが、実は少しキナ臭い話が有るんです」

 シャロンがランスの顔を見て真剣な表情をする。

 普段は柔和な笑みを浮かべている彼女がこういう表情をするという事は、のっぴきならない何かが起きるという事だろう。

「魔物の会話なんて何時だってキナ臭いもんだろ」

「そうなんですけどね…私達が掴んだ情報は、魔人の1人がカラーを狙っているんです」

 その言葉に周囲の皆がざわつく。

 カラー達もまた見知らぬ者達が入って来たことと、その者がランスと話している事に興味があったのだ。

「魔人がか? しかし、魔人達の興味は闘神と闘神都市にあるはずだ。何故カラーを狙う?」

 メイトリックスが疑問を投げかける。

「確かに一部の魔物兵がここに入ってくる事はあったが、魔物隊長が率いる程度でペンシルカウを本気で探している訳でも無い。ペンシルカウに偶然入り込みそうな奴は俺が始末したが、その報復も未だに無い」

「ええ…私達もそうだと思っていました。ですが、何事にも例外はあるんです」

 エルシールの表情は真剣なものだ。

 つまりは本気でカラーを狙っている魔人が居るという事だ。

「で、それは何処のバカだ。ケッセルリンクの事も知らんのか?」

「一応ケッセルリンク様とも顔見知りですが、本当に顔見知り程度の付き合いしかありません」

「………マリーゴールドか」

 ケッセルリンクが剣の中で苦い声を出す。

「その通りです、ケッセルリンク様」

「そうか…奴か。確かに奴はカラーを妬んでいたな」

「おいケッセルリンク。そのマリーゴールドとかいう奴は誰だ。俺様も知らんぞ」

 ランスはこれまで沢山の魔人と戦って来た。

 それこそ24体の魔人の内殆どの魔人との交戦経験が有るほどだ。

 そのランスでも、マリーゴールドという魔人の事は聞いた事すら無かった。

 それも無理は無い…本来、マリーゴールドとは世界に存在しない魔人だったのだから。

 ケイブリスが魔人四天王になった時に媚びを売りに行き殺された魔人、それがマリーゴールドだ。

 だが、この世界ではケイブリスはジルの苛烈さに恐怖し、己の領地で引きこもる事を選んだ。

 それ故に本来ケイブリスに殺されるはずの魔人は生き残ってしまった。

「で、名前からして女か?」

 ランスはニヤリと笑う。

 もし女の魔人ならばそれこそおしおきセックスの時間だ。

「…あのあなたお名前は?」

「俺か? 俺の名前はメイトリックスだ」

「ランスさんランスさん、そのマリーゴールドという魔人は、このメイトリックスさんをさらにごつくしてムキムキにした女です。ちなみにランスさんの目から見ても相当のブスです」

「………魔人なのにか?」

「魔人でもです」

 ランスはメイトリックスを見る。

 メイトリックスは身長が高く、非常に筋肉質だ。

 ただ、女性的な部分はしっかりとしてるし、何よりもカラーなので顔がメチャクチャ良い。

 そのメイトリックスよりもムキムキな上に顔がブス、そんな奴にランスが取る態度は一つしかない。

「おしおきはやめだ。殺すか」

「判断が早いな、大将」

 あっさりと殺す決意をしたランスにシロウズは思わず突っ込みをいれる。

 それくらいランスの掌返しは素早かった。

「あ、でもハウゼルが居るだろ。その間はそのブスも来れないだろ」

 ランスの言葉にシャロンは難しい顔をする。

「魔人マリーゴールドは美人が嫌いなんです。ですので、ハウゼル様と戦う事も辞さないかと…」

「で、そいつは強いのか?」

「強さは…申し訳ありません、私達は彼女の強さが分かる程の戦士では無いので…」

 シャロンは申し訳なさそうに頭を下げる。

「下の下だな、あくまでも私の評価ではだ。レイに遠く及ばない、そう言えば分かるか?」

「そんなに弱いのか?」

「ただ、魔人には無敵結界がある。今のお前では無敵結界は破れない。そういう意味ではお前でも勝つ事は難しいだろう」

 ケッセルリンクの言葉にランスは考える。

「うーむ…そのブス魔人を1ヶ月は足止めする必要が有るな」

「1ヶ月ですか?」

「そうだ。そうすれば何とかなる…多分。ケッセルリンク、俺様が無敵結界を無視すれば勝てるか?」

 ランスの言葉にケッセルリンクは少し考える。

「お前の攻撃が届けば間違いなく勝てる。その程度の相手だ」

「だったら何とかなるな。だが、時間が必要だ」

 魔人相手に何とかなると言い切るランスにカラー達がざわめく。

「ランス様…でももしその前に魔人が来たら…」

「大丈夫です。そうならないために私達が動きます」

 ジルの言葉にエルシールが断言する。

「出来るのか」

「はい。私達はケッセルリンク様の使徒です。ある程度の権力は持たされています。何とかして見せます」

「…言い切ったんなら必ずやれ」

「任せて下さい、ランスさん。フフ…こうして話していると、昔を思い出しますね」

 エルシールは少しだけ楽しそうに笑う。

 その顔はメイド長としてのエルシールではなく、かつてランスと共に冒険者としてJAPANを戦ったエルシールの顔がある。

「ランスさんは必ず何とかする策を見出してください。その後は任せますからね」

「フン、俺様が失敗する訳が無いだろうが」

 ランスがニヤリと笑い、

「決まったな。次の相手は魔人…相手にとって不足は無い」

 メイトリックスも何処か嬉しそうに覇気を滾らせる。

「まずはカラーを狙う魔人をぶっ殺す! いいな!」

「「「はいっ!」」」

 ランスの言葉にその場に居た者達は皆戦う意思を固めるのだった。




マリーゴールドはオリ魔人なので弱いです
強すぎると不自然なので
具体的にはサテラより弱い感じで
というかサテラってシーザーとのコンビプレイで戦う魔人だから人間からしたら厄介な魔人ですよね
魔人同士だとシーザーはあまり役に立たないのかもしれませんが…
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