魔軍陣地―――
「ぐぬぬぬぬ…援軍はやはり来ないのですか」
「ええ。必要無いでしょう? 今の兵力でも十分だとバークスハム様も仰せられてますから」
「だ、だが兵力が減ったからには補充は必要かと…」
「本当に必要ですか? 闘神や闘将を相手にしている訳でも無いのに」
「そ、それは…」
使徒エルシールの言葉に魔物大将軍チューザレは何も言えなくなってしまった。
エルシールの言う通り、本来は援軍なんて必要は無いのだ。
闘神や闘将との戦いなんて無いし、地上に居る人類などそれこそ搾りカス程度の差でしかない。
「せめて魔物将軍の補充を…」
チューザレはそう口にして思わず口を閉じる。
それこそ魔物大将軍としての屈辱だ。
そもそも魔物大将軍は7体もおり、今回派遣されているのは2体だ。
チューザレは幸いにも人間との戦争に選ばれたが、そもそも魔王はこの戦争に明らかに乗り気ではない。
そしてこの戦争を纏めているバークスハムが援軍を認めるはずが無いのだ。
魔人が14体も戦争に参加している時点でそもそも戦力は過剰なのだ。
魔物兵が戦争に参加しているのはただ、人間を殺して楽しみたいからに過ぎない。
「何か問題でも?」
「い、いえ…問題なんてあろうはずが…」
「では宜しいですね?」
「は、はっ…」
チューザレの言葉に満足したのか、エルシールはこの場から去っていった。
それを見届けてチューザレは苛立ったように大きな机を叩く。
「クソッ! 援軍は無理か…」
分かっていた事ではあるが、やはり援軍の要請は断られた。
魔物兵の補充は認められたが、そんなのは意味が無い。
必要なのは魔物将軍なのだ。
しかし、魔物将軍は貴重な存在で、それこそ人間を蹂躙するための戦いに駆り出すなんて事は認められなかった。
そもそも闘神も闘将も居ない地上で魔物将軍を失うという事があり得ない事なのだ。
「チューザレ様…例の件はどうしましょうか」
「グッ…それもこっちに来るのか。魔人共め…好き勝手しおって!」
チューザレの怒りは最早頂点に達していた。
魔物将軍グーンを失ったのは自分の失敗だったので仕方ない。
そこも痛いが、同じ魔物将軍であるゾノまでも戦線を離れたのは痛かった。
ゾノは魔人レイの部下として今はせっせと働いているらしい。
「し、しかしマリーゴールド様が…」
「分かっている!」
魔人マリーゴールド…最初は闘神や闘将と戦っていたが、何を思ったか地上へとやってきた。
目的はどうやらカラーのようで、カラーの集落を探せと無茶振りをしてきたのだ。
「カラーを探せなどと…そんな事が出来る訳が無いだろうが…!」
魔軍はカラーに関しては無視を決め込んでいた。
カラーの集落がある森の事は知っては居るが、手を出そうという気は全く無かった。
何しろカラーは魔人四天王であるケッセルリンクの出身種族だ。
もしカラーに手を出せば、どんな報復があるか分からないという話だ。
今はケッセルリンクは居ないのだが、使徒が動いているという事はつまりはそういう事なのだろう。
そうなるとカラーに手を出すのはリスクしか無いのだ。
「で、ですが形だけでも探す事は…」
「その結果はお前も知っているだろう。そもそもそんな無意味な事に戦力を回すなど…」
一応は形式的にはチューザレもカラーの居る森に魔物兵を派遣してきた。
が、帰って来た者は一人もいなかった。
全ての魔物兵が死体として見つかっただけでなく、魔物隊長ですらも死体で発見された。
普通なら激昂してカラーを攻めるものだが、流石にケッセルリンクを怒らせる事は恐怖が先にたって実行など出来るはずが無かった。
カミーラの使徒からもチクりと牽制されており、カラーは無視する以外に無かった。
それなのに魔人マリーゴールドはカラーを探せと言う…チューザレからすれば非常に迷惑な話だった。
「あまり魔人様を怒らせるのも…」
魔物将軍がそう進言すると、突如として魔物兵の声が聞こえてきた。
「お、お待ちくださいマリーゴールド様! チュ、チューザレ大将軍は…ぐばらっ!」
そして魔物兵の頭が魔物大将軍の居るテントに転がって来る。
「ひっ!」
その魔物兵の無残な肢体を見て周囲の兵達が悲鳴を上げる。
何故ならその魔物兵の頭部はグチャグチャに潰されているだけでなく、頭部が完全に捩じ切られていたのだ。
そして巨漢の魔人が入って来る。
それだけでその場の空気が凍る。
「マ、マリーゴールド様」
「わたくしの頼みはどうなりましたか」
魔人マリーゴールド―――2Mを超える巨漢の女の魔人だ。
だが、他の女の魔人のように美しい容姿ではなく、ハッキリと言えば不細工と言ってもいい。
ただ、それを面と向かって言える者は存在しない。
それを言った者は間違いなく今の魔物兵のように無残な姿になるだろう。
「答えを聞きましょうか」
「お、お待ちくださいマリーゴールド様! い、今の我が軍にはそのような事は…ぐぎゃっ!」
そう言った魔物兵の頭がぐちゃりと潰れる。
マリーゴールドの巨大な手が魔物将軍の頭を握りつぶしたのだ。
「あ、ああ…」
貴重な魔物将軍の無意味な死にチューザレは絶望的な顔をする。
魔物兵の数がいくら多くても、魔物将軍が居なければ所詮は烏合の衆でしかない。
その魔物将軍をあっさりと殺す魔人はやはり恐怖の象徴なのだ。
「どうなりましたかと聞いています」
「…は、はっ。い、今は兵の整理をしておりますので、もう少々お待ちください」
「そうですか。急いで下さいね。あまり遅いとまたわたくしはここに来なければいけませんので」
そう言ってマリーゴールドは去っていく。
それを見届けて魔物将軍達はようやく恐怖から解放される。
「チューザレ様…」
「…少し待たせろ。どうあっても時間はかかるのだ」
チューザレはギリギリと歯ぎしりをする。
無茶振りだが、魔人の命令は絶対だ。
そしてそんな様子を密かにシャロンはジッと見つめていた。
「成程…こうまでなりますか」
そう口にして、シャロンは微笑んだ。
ランス達がククルククルと戦って5日経過した。
当然のようにランスは怒っている。
「うぐぐ…全く勝てんぞ」
「ランス様…」
呻くランスをジルは心配そうに見ている。
「そうね…ちょっと難しいわね。あの時よりも強いのに、あの時よりも戦力は無いし」
レンも難しい顔をする。
唯一の救いは負けたとしてもペナルティが無い事だが、そんなの何の慰めにもならない。
「剣の方も相変わらずだしね…」
レンはランスの剣を見る。
ハウゼルとは毎日のようにセックスをしているが、サイゼルの時のように力が上がっている感じはしない。
それどころか、ランスの剣はククルククルの影響が強くなってきている。
ロングソードよりも少し大きめだったランスの剣は、今ではバスタードソードに迫る勢いで成長してしまっている。
これはククルククルの力の影響が強くなっている証拠だ。
逆に刀の方にバスワルドの影響が出てきており、ランスとしても非常に困る。
別に剣自体がどうなるという事は無いし、ランスの技量ならばどっちでも使いこなす事が出来る。
ただ、問題なのはこれからの未来、つまりは魔人との戦いだ。
魔人は無敵結界を持っているので、それをどうにかしない限りは魔人には勝てない。
しかも今カラーを狙っている魔人が居るので、早急にその対処をする必要があるのだが、その一歩目で躓いてしまっている。
「中々難しいわね…まさかランス君があんなに苦労してるなんて」
「というかお前等ククルククルとの戦いではあまり役に立たんな」
「まあ…私達連携取れないし…私もケッセルリンクやハウゼルにどう合わせていいか分からなくなるのよ。この前なんてハウゼルの攻撃が私に直撃したし…」
魔人シルキィ、ハウゼル、ケッセルリンクが居るのだが、戦闘ではそこまで大きな戦果を挙げられていない。
ケッセルリンク1人がランスに全力で協力する方が遥かに効率が良いくらいだ。
「魔人は連携が取れないからな。前回の時もそうだっただろう。私は皆を守る事に全力を注ぎ、カミーラに攻撃を任せていた。これは魔人としての宿命みたいなものだな…」
ケッセルリンクも難しい声を出す。
何とかしてやりたいが、何とも出来ない…それがもどかしい。
「だが強すぎだぞ…今まで戦って来た奴の中でも相当だぞ」
魔王にも生き残って来たランスだが、今回は流石に分が悪かった。
「現状は打開策はほぼ無いわね」
レンの言う通り、本当に打開策は無かった。
そしてその事で思い悩むランス達を見る目があった。
それは魔人ラ・ハウゼルだ。
「うう…私、本当にやらないとダメなのかしら…」
そう言うハウゼルの顔は何故か真っ赤だ。
その手には袋が握られており、そこには加奈代に渡されたモノが入っている。
ケッセルリンクの使徒達とは親しく、彼女達からはGL期には色々な本を借りていた。
GI期はGI期で、使徒達が何処からか本を仕入れてきており、ハウゼルもそれを借りている。
ただ、今の時代はまだ火炎書士がおらず、過激な本…所謂エロ小説の類も紛れている事はよくある事だった。
ちなみにこれは加奈代の企みで、何かあった時のためにそういう仕込みをしていたのだ。
加奈代は加奈代で『面白いからいいか』くらいの気持ちでやっていたのだが、その事が意外な所で役に立ちそうな場面だった。
「でも…ランスさんのためになるなら、私もやらなきゃ…」
ハウゼルは本当に困っているランスを見て、そしてその先にある危機に対して決意を固めた。
「ランス、今日は行かないのか」
「パスだパス。今はどうにもならんだろうが」
ケッセルリンクの言葉にランスは首を振る。
ここ数日挑んでも全く勝ち目は見当たらなかった。
今の状況ではククルククルを相手にすることは出来ない。
というか本当に勝ち目があるのだろうか、それくらいにあの魔王は強すぎた。
「…なあランス」
「なんだ」
「ハウゼルの事なのだが…」
「ハウゼルがどうかしたか?」
ケッセルリンクは少し言い辛そうにしているが、それでも意を決して口にする。
「最近お前は少し苛立っている。ハウゼルとのセックスにもそれが出ている」
「何だと」
「お前が焦燥感を抱いているのは分かる。カラーの危機は消えていないからな」
カラーは今魔人に狙われている。
今魔人の相手をするのは流石に辛い。
まだレイやカミーラの方が無敵結界を使わないので勝ち目がある。
「ランス…私も女だ。そういう態度は分かってしまう。それはハウゼルも同じだが、ハウゼルはお前に何も言わない」
「………」
ランスも少し思い当たった所があるのか、無言になってしまう。
「頼む、ランス…私にならどう当たってもいい。だが、お前との再会を楽しみにしていたハウゼルにそんな思いはさせないで欲しい」
ケッセルリンクの言葉にランスはため息をつく。
「わかったわかった。そんな深刻そうな顔をするな。全く、お前も相当に変な奴だな」
「私はお前を心配しているだけだ。それにセックスは楽しむもの、お前はそう言っていただろう」
「フン、他の女とのセックスを心配しおって。お前、悪い奴に騙されたらそのまま転げ落ちそうだな」
ランスの言葉にケッセルリンクは笑う。
「フッ…とうの昔に私は悪い男に騙されているさ。でも分かってやっているんだ、同罪だよ」
「何だと」
二人はいつもの調子に戻って会話をしていると、ランスの部屋がノックされる。
「ランスさん、失礼します」
「おう、入れ」
声の主はハウゼルで、ランスの言葉を聞いて彼女は遠慮がちに入ってきた。
その顔はもう既に真っ赤で、手には何かの荷物を持っている。
そしてそのままランスが居るベッドに歩いてくる。
「…ああ、その…悪かったな」
「え? 何がですか?」
突然ランスが謝ったことに対して、ハウゼルはきょとんとした顔をする、
「いや、だから、そのな…」
ランスが口ごもっていると、ハウゼルはやっぱり分からないというように首を傾げる。
「ランスさん?」
「…もういい。とにかく普通にする。うむ、そうだ楽しもう」
勝手に何かを納得しているランスを見てハウゼルは不思議そうなかおをする。
が、次にもう一度顔を赤くしてランスを見る。
「あ、あの…わ、私の事笑わないでくださいね…」
そう言ってハウゼルは自分の着ている服を脱ぎ始めた。
そして服の下が露わになったとき、ランスは目を見開いた。
「…おお」
「は、恥ずかしい…これ、裸よりも恥ずかしいです…」
それは真っ白い面積の小さいマイクロビキニというやつだった。
乳輪も僅かに見える程度にしか隠していない、凡そ下着とは言えないものだった。
下半身も両側が紐で結んでいる程度の頼りない下着だ。
そっちも面積が少なく、やはり下着とも言えない服だ。
「…いや、メチャクチャエロいが、そんなのどうやって手に入れた。お前が自分から探す訳が無いだろ」
ランスのハイパー兵器はもうビンビンに反応しているが、あの清楚なハウゼルが自らこんな下着を着るはずがない。
「そ、その…ランスさんの様子がおかしかったから加奈代に相談したのですが…」
ハウゼルはその時の事を思い返す。
「え、ランスさんとのエッチに悩んでるんですか?」
ハウゼルもランスの様子がおかしいのは分かっていた。
セックスの後、何か思い悩んでいる様子なのは明らかだった。
もしかしたら自分とのセックスに何か不満が…と、性に対してまだまだ疎い彼女はそう思ってしまった。
ただ、そんな事をジルやレンに相談は出来ないし、ケッセルリンクは論外だ。
だが、それはもう自分だけでは解決できないと思い、思い切ってケッセルリンクの使徒である加奈代に相談をしてしまった。
「あ、あまり大きな声を出さないでください…」
「あのランスさんが…」
そう口にしたとき、加奈代は昔の事を思い出した。
それはジルが魔王となってしまった時の事だ。
あの時ランスは少し精神的に荒れてしまい、セックスも苛立ちをぶつけるような乱暴な行為になっていた。
ランスも人間、そういう時もあるし、何よりもあの時はケッセルリンクの大いなる慈愛で何とかなった。
きっとそれと同じことが起きているのだろうと加奈代は思った。
(そうなるとやっぱりランスさんの剣の事かな…凄い苦労しているみたいだし)
ケッセルリンクの使徒達は忙しく、カラーの里に常駐しているのはパレロアと自分だけだ。
(魔人マリーゴールドが近づいてきていますからね…それがランスさんの悩みですよね)
魔人が相手というのはそれだけで大変な事だ
人類からするとそれこそ絶望的な存在なのだ。
そして今ランスの手元には日光が無いので、魔人の無敵結界をどうにかする事が出来ない。
いくらランスが強くても無理なものは無理なのだ。
「ランスさん…やっぱり凄い悩んでいるんです。ククルククルに対しても私達ですらどうにも出来ません」
「…まあそうですよね。ケッセルリンク様から事情は聴いていますが、正直それに関しては私達使徒じゃあ手助けにもなりませんし」
「そちらもそうなのですが、夜の方が…」
「うーん…ランスさんもやっぱり焦っているんでしょうね…」
そこで加奈代は深刻そうなため息をつくーーー演技をする。
実際には加奈代は内心でほくそ笑んでいた。
(まさかハウゼル様からこう言ってくれるなんて…これはランスさんにとっては光明ですね)
加奈代はランスとは結構性格面でも相性がいい。
互いにエッチが好きなのもあるし、話していても楽しい。
(そうなると…ランスさんの好みとしてはどうなるかな…)
加奈代は改めてハウゼルの体を見る。
魔人だけあって素晴らしい身体をしているし、ものすごい美人だ。
まさに完璧…だが、彼女はエッチに関してはランスとしか経験が無い。
(前々からそういう小説をハウゼルさんに見せていた甲斐がありましたね)
加奈代はそんな事をおくびにも出さずに、真剣な表情をする。
「ランスさんは精神的にも少し参っているところがあると思うんです。でも、それを何とかする方法はあります」
「本当ですか?」
「勿論です。私達はランスさんと一緒に冒険をしていた仲です。それに私はランスさんが凄いエッチなのも知っています」
「そ、それは私もわかりますけど…」
「ランスさんのエッチが淡白になってきたなら、ハウゼルさんが刺激を与えればいいんです」
「え、ええええ!?」
その言葉には流石に驚く。
「ハウゼル様、ランスさんを楽しませるなら、やっぱり色々と変化が無いといけません」
そう言って加奈代はハウゼルに耳打ちする。
そして何かを喋っていると、ハウゼルの顔がどんどん真っ赤になっていく。
「そ、そんな事…!?」
「大丈夫です、恋人同士なら普通の範囲内です。それに私はその手の衣装を沢山持ってますので!」
「こ、恋人同士なら普通…そ、そういうものなのですか?」
「勿論です。ケッセルリンク様なんてもっと過激なプレイをランスさんとやってますよ」
「そ、その事をケッセルリンクに聞かれると怒られますよ」
「大丈夫です、あなたにならば問題ありません。それよりもやっぱりランスさんです。時間はあまりないかもしれませんから」
「…私の介入は防いだ方がいいですからね」
「ええ、そのためにもハウゼル様にはランスさんと濃厚エッチをしてもらわないといけません。私が衣装を用意しますので、全てお任せください。あ、この本も見ておいて下さいね」
そう言って加奈代はいずれハウゼルに読ませようと思っていた本を手渡す。
これは非常に過激な本で、もうちょっと後にしようと思っていたのだが、どうやらその時は来てしまったようだ。
「明日私の所に来てくださいね」
「わ、わかりました…」
加奈代の勢いに押されるように、ハウゼルはその日はランスとエッチする事なく一人で過ごし、加奈代から渡された本を読んだ。
そして翌日―――顔を真っ赤に染めたハウゼルが加奈代の元を訪れていた。
「ハウゼル様! ここに衣装と道具を用意しました! しっかりと楽しんでくださいね!
ニコニコと笑いながら加奈代がハウゼルに道具を手渡してくる。
「あの…あなたから貰った本を読んだのですが…これは本当ですか?」
「え? 勿論ですよ。ケッセルリンク様も経験有りますし」
「ううう…だ、だってこんな事…」
「ランスさんはエッチの性癖に関しては実はノーマルですからね。女の子をちょっと辱めたりはしますが、基本的には優しい人ですからね」
加奈代は分かってると言わんばかりに頷いて見せる。
「だからこそ意味があるんです。女の子から言えば絶対に受け入れる方ですから。それにハウゼル様もちょっとは興味があるでしょう?」
「そ、そんな事は…わ、私は…」
「ランスさんの事が好きなんでしょう? だったらそう言うだけでランスさんはやる気になりますよ」
「で、でもケッセルリンクが…」
「大丈夫です。ケッセルリンク様の愛は無限大…あの方はランスさんを守り、愛するだけで幸せなんです」
加奈代は少し寂しそうに言う。
「自分の事をもっと考えて欲しいとは思うんですけどね…でも、私はあの方の気持ちも分かるんです」
ケッセルリンクはジルの事で本当に悩み苦しんだ。
今も苦しんでおり、どうすれば償えるか…それも分からずにいる。
それでも、主はランスを愛し支えることを選んだ。
その気持ちは使徒達も分かっており、ケッセルリンクの願いを叶えるのが自分たちの仕事なのだ。
「だから、思いっきり愛し合ってきてください。きっとそれが一番良い事だと思いますから」
そう知って加奈代は微笑んだ。
「…分かりました、ありがとうございます」
ハウゼルは加奈代に頭に下げ、魔法ハウスの一室でそれを見た。
そしてその全身が硬直し、羞恥で全身が真っ赤に染まる。
「こ、これを着ろと…?」
それはまさに紐としか言えない衣装だった。
しかも加奈代が手渡してきたのは所謂エログッズで、しかもそれが何に使うかハウゼルは分かってしまった。
何故なら加奈代に渡された本そのままの道具が入っていたのだから。
ハウゼルはしばらく口をぱくぱくとさせていたが、ランスの事を考え意を決したように服を脱ぐ。
そしてこの裸よりも恥ずかしい下着を着て、その上から服を着て夜をまったのだった。
そんな事があったなんてランスは全く知らない。
なのでハウゼルが突然エロい格好でやってきたという感覚しかない。
だが、ランスにはもうそれで十分だった。
「がはははは! お前も期待してたのか? む…だったら猶更俺様が悪いのか…」
ケッセルリンクの言う通り、ここ最近ランスは少しイライラしていた。
先が見えなくなっていた事にどうすればいいのか迷っていた。
何とかなると言いつつも、具体的な策は何も思い浮かばなかった。
それをセックスという形で女達にぶつけていたのかもしれない。
「ランスさん?」
「…う、うむ、まあいい。セックスは楽しむもんだからな」
目の前の極上の女を前にして楽しまないなど男してありえない。
そう頭を切り替えたランスは服を脱ぎすてハウゼルに近づく。
そしてそのままエロい服装をしているハウゼルとキスをする。
「ん…ランスさん…」
ハウゼルは目をトロンとさせてそれを受け入れる。
まずはソフトなキスだけでいい、その後で濃厚にしていけばいいのだ。
「あ、あの…ランスさん」
「何だ」
「お風呂…行きませんか? あの…色々と用意していて…」
ランスはそこでハウゼルが手にしていた袋を見る。
それを目にしたときランスは驚愕するが、直ぐに嬉しそうにハウゼルを見る。
「がはははは! グッドだ! じゃあ今日はしっぽりと楽しむか!」
そう言って二人はランスの部屋にある浴室へと消えていった。
それを見届けてケッセルリンクは安心したように笑う。
「やれやれ…だが、ランスなりに今の状況にはまいっていたという事か。ハウゼル…私の代わりにランスを癒してやってくれ…」
ハウゼルとサイゼルってスタイル凄く良いですよね…
スリーサイズがきちんと設定してあって驚いた