ランス再び   作:メケネコ

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第一次魔人戦争⑳

「お、ハンティ、来たのか」

「お楽しみ…っていう訳でも無かったようだね」

ランスはぐっすりと眠った朝、リビングにはハンティが座っていた。

「どうやら思った以上に疲労が溜まっていたみたいだね。話は聞いてるよ」

ハンティの隣にはレンが居る。

レンから事情は聞いているのだろう。

「フン、少し休んでいるだけだ」

「苦労しているみたいだね。ま、今までの経歴を考えれば無理も無いか」

ハンティは苦笑しながらも真面目な顔をする。

「頼みたい事があって来たんだけどね」

「今は無しだ無し。俺様も休まなければならん」

「勿論それは構わないさ。ただ、こっちの話だけは聞いて欲しい」

ランスは面倒くさい事になったとは思ったが、それでもハンティの話は聞いておいた方が良い。

何よりもカラーに恩を売る事はランスにとってはプラスだ。

「あ、ハンティさん」

「お久しぶりですね」

シルキィとハウゼルも起きてきてハンティに挨拶をする。

その二人を見てハンティはため息をつく。

「魔人がまさかこんなに大っぴらにこっちに来るなんてね…ま、今更言っても仕方ないけどね」

「あまり表立って助けられはしないけどね。出来れば記録にも残さないでくれると助かるね」

「残さないさ。ま、人間としてのシルキィ・リトルレーズンの事は一応残してあるけどね」

「で、話とは何だ」

ランスが椅子に座ると、ジルが皆のために朝食を並べる。

「聖魔教団…闘神都市を助けて欲しいのさ」

「はあ?」

ハンティの言葉にランスは目を丸くする。

「なんだ突然」

「突拍子もない事なのは分かってるさ。でも、アンタの力が必要なのさ」

「お前は俺様が動くのを嫌がってただろうが。どういう風の吹き回しだ」

「…それは分かってるさ。でも、今の状況が悪すぎるのさ。闘神都市もそうだけど地上も苦しくてね」

「地上の魔軍はそんなに多く無いだろ。前の時よりもかなり少ないぞ」

前の時、それはランスが参戦せざるを得なかったが、今回は事情が違う。

今回は聖魔教団と魔軍の戦い、ランスには全く関係無いし、ランスとしても介入なんてする気は無い。

魔人メディウサも魔人マリーゴールドもカラーを狙って来たから倒したが、それ以外に自分から魔人を倒しに行ったのは一度だけだ。

ただ、第一次魔人戦争の場合は最早レベルが違う。

これは人類全体と魔軍の戦争であり、これまでの戦いとは全く違う。

だからこそ、ランス程の力の持ち主が介入するとそれこそ何が起きるか全く分からない。

それに、地上で人間を襲っている魔軍の数は実は少ない。

それは魔軍が本気で人類を殲滅しようとした場合、それこそこれ程までに人類が持ちこたえらえる訳が無いのだ。

魔王ガイ、そして魔人筆頭バークスハムが意図的にそれを止めている節もある。

事実、第一次魔人戦争では勇者の出番は全く無かった…それは人類の人口がそこまで減少しなかった事を意味している。

もし勇者がその力を発揮して居れば、闘神と協力して魔人を倒す事は可能だっただろう。

ただ、現実には第一次魔人戦争で戦死したとされる魔人はレキシントンだけ…それもノスによる暗殺が原因なのだ。

「分かってるよ…これは私の我儘さ。でも、アンタしか頼れないのさ…」

ランスは面倒くさそうな顔をするが、一つの可能性に思い当たる。

(待てよ…聖魔教団…たしかヘルマンの首都の地下に聖魔教団の頭がいたんだよな。そしてそこにシィルを魔王の氷を溶かすアイテムがあったんだよな)

勿論ランスの中ではシィルが魔王の氷から解放された事が事実だ。

ただ、現実は違う―――実際にはシィルはまだ魔王の氷に閉じ込められているのだ。

ランスはそれを知らないが、そうする事で世界の命運が変わる事となるのでそれが正解なのだ。

ランスの頭の中には聖魔教団は魔王の呪いを解除できるアイテムを持っている―――という誤った現実があるのだ。

(じゃあケッセルリンクを解放出来るって事だな…)

ケッセルリンクの解放、これは今のランスの目的だ。

自分の女を助けるのに理由はいらない、それがランスという男の行動原理なのだ。

「でもハンティさん、どうやってランス様が闘神…闘神都市を助けるんですか?」

「それもあるんだけどね…何とかならないかい?」

ハンティらしからぬ無茶振りにランスは呆れた顔をする。

「アホか。宙に浮かんでいる所にどうやって行けと言う気だ」

「だから言ったろ、そこも何とかして欲しいって」

「無茶言うな。そもそも近づく事も出来んだろうが。魔人や魔物共が乗り込んでるんだろ。そんな中に突っ込めとか死ねと言ってるのと同じだろうが」

「…分かってるさ。でもそれでもアンタに頼むしか無いのさ」

ハンティの表情は浮かない。

本人も無茶を言っている事は分かっているし、ランスがこの戦いに参加する義理も義務も無い事も分かっている。

ただそれでもランス以外に頼れる者は居ないのだ。

「ランス君、流石に危ないわよ。魔物兵はほぼ戻ってこれない激戦区だし、何よりも闘神都市からは砲撃が有るからね。魔人だって闘神都市に乗り込むのも結構苦労なんだよ」

「そうですね…姉さんやカミーラのように飛べるなら良いんですけど、それ以外だとやっぱり時間がかかるんですよね。それもこの戦いが長引いている理由とも言えますし…」

シルキィ、ハウゼル二人はランスが戦いに出るのは反対のようだ。

これは無理も無い…何しろ現場にはカミーラやノスといった魔人四天王も参戦しているのだ。

特にカミーラはランスとの因縁があるし、ノスは強者であるランスを見逃さないだろう。

ランスとしてもカミーラとノスに出会うのはご免だし、やはりランス一人で魔人を倒すのは難しい所もある。

だが、ランスとしては早くケッセルリンクを何とかしたいという考えがある。

しかし、ケッセルリンクならば、自分とランスの身の危険を天秤にかければ間違い無くこの戦いに参加するのは反対するだろう。

「…ちょっと待て。体が治ってからだ。それからでもいいな」

「構わないさ。私だって無理をして欲しい訳じゃ無いからね」

ランスの言葉にハンティは素直に頷く。

そしてハンティは魔法ハウスから出ていき、それぞれはそれぞれでやる事をする。

ランスは疲労を回復するために大人しくしており、ジルとハウゼルが甲斐甲斐しくランスの世話をする。

シルキィはランスの防具の手入れをしたり、レンやメイ、シロウズと共に魔軍の動きを警戒している。

部屋の中に居るランスは腕を組んで考え込んでいた。

「ランス様…迷ってるんですね?」

「何をだ」

「ハンティさんの言葉を受けるかどうかです。でも…私は反対です。この戦争に巻き込まれたらランス様でも…」

「私もですよ、ランスさん。危険すぎます」

ジルとハウゼルの言葉にランスは返事をしない。

迷っているのは事実であり、ここからどう動くか…非常に難しい。

(というかこの戦争って何時まで続くんだ?)

ランスは第一次魔人戦争が何年まで続いたのかは知らない。

過去の歴史に興味なんて無いので知ろうとも思っていなかった。

ただ、数十年続いたという事くらいはヘルマン革命で知る事は出来た。

そして今は戦争が始まって10年…まだまだ戦争は続くだろう。

いつセラクロラスがやってくるか分からないし、今度は何年飛ばされるかも分からない。

「ランス、お前が悩んでいるのは私のせいだろう」

「何だ突然」

「お前は私をジル様の呪いから解放しようとしている。そしてその鍵が闘神都市に有ると考えているのだな?」

「む」

「お前との付き合いも長い、何となくだがお前の態度で分かる」

「………」

ランスは答えない。

ケッセルリンクの言っている事は事実だからだ。

「無理は止めて欲しい。私のためにお前が無茶をするのを今の私では止められない。私の呪いはまだ大丈夫だ」

「フン、そういう訳にもいかんだろうが。何よりお前とセックス出来んでは無いか」

「ランス…」

「俺様だって今の状況は分かっている。面倒な事はご免だからな」

そう言うランスだが、やはり迷ってはいるのは事実だ。

闘神都市の中には魔王の呪いを解放出来るアイテムがある―――とランスは思っている。

バランスブレイカーと呼ばれるアイテムを教団は隠し持っている可能性は高い。

事実、ルーンはランスに色々なバランスブレイカーのアイテムを提供してきた。

「でも難しいわよ、ランス君。ランス君は人間だし、闘神都市に乗り込むのも一苦労よ」

「そうですね…それに関しては私達がランスさんを助ける訳にはいけませんし…」

シルキィとハウゼルも難しい顔をする。

一番の問題点はやはり闘神都市という空を浮かぶ都市に乗り込む方法だ。

魔人には無敵結界があるので墜落しても死ぬような事は無いが、人間であるランスは話は別だ。

「ハウゼル、お前が抱えて行けばいいだろ」

「流石に無理ですよ…それに私がランスさんと闘神都市に乗り込んだらそれこそ他の魔人にばれちゃいますよ」

「うぐ…それはマズいな」

他の魔人…特にカミーラにバレるのは一番困る。

流石にこう何度もカミーラと戦うのはランスもキツイ。

それに他の魔人と立て続けに戦うのというのも面倒臭いを通り越して、最早苦行でしかない。

「墜落した闘神都市の探索とかも難しいしね…」

シルキィも特にいいアイディアも思い浮かばず、どうしていいか分からない。

「別に今すぐ結論を出す必要は無いだろ。とにかく俺様は少し休む」

「ランス様、本当に大丈夫ですか?」

「大したことない。少し休めば問題無いだろ」

体のダルさはまだ残って居るが、しばらく休めば問題は無い。

立て続けに激戦を繰り広げたためか、その疲労がどんどんと蓄積していたのだろう。

だからそれが抜けるまではランスも動くつもりは無かった。

「ランスさん、大丈夫ですか? 突然倒れたと聞きましたけど」

「ランスさんも人間だったんですねー」

今まで後始末に追われていたパレロアと加奈代が魔法ハウスに入って来る。

「フン、問題無いと言ってるだろ」

「いいえ、そういう所はきちんとしないといけません」

パレロアはランスの体を掴むと、そのままランスを引っ張って部屋へと連れて行く。

「あ、こら何をする! ってか何だこのパワーは!?」

「大人しくしていてくださいね。きちんとランスさんが治るまではエッチな事もダメですからね」

「勝手な事を言うな! あ、こら! あんぎゃーーーーー!」

そのまま凄まじい力でランスは連れていかれ、扉の閉める音だけがリビングに響き渡った。

「…パレロアって腕力でランスを力づくで連れていけるくらいに強かったの?」

パレロアの力にシルキィは目を丸くして驚く

「あれはオカンパワーですね。ランスさんってそういう力には弱そうですし」

加奈代は何処か楽しそうにして答える。

「もうすぐでエルシールさん達も戻ってきますし、私達はそろそろお暇しないといけませんね」

「加奈代さん…」

「私達はケッセルリンク様の命令で動いていましたからね。そして粛清が終わったなら、私達もここから離れませんと」

「…そういう事にするんですね」

加奈代の言葉にハウゼルは察する。

今回のマリーゴールドの戦死は人間との戦いではなく、カラーに手を出したゆえにケッセルリンクが粛清したという形で終わらせるのだと。

勿論そんな嘘が魔王やバークスハムには通じないし、事情を知っている者は察するだろう。

ただ、ガイやバークスハムはそんな事気にしないだろうし、カミーラやレイもそんな事を他の者に言いふらし、ランスが他の魔人に狙われるのを良しとはしないのは間違い無い。

そうする事でケッセルリンクはランスから視線を逸らさせるつもりなのだ。

どれだけの意味があるかは分からないが、そもそも魔王が本気で動けばランスはどうあっても死んでしまうのだ。

そこの辺りは魔王の気分に任せる以外に存在しないのだ。

「後は…もうケッセルリンク様に託すしかありません。勿論私達は全力でケッセルリンク様をお助けします」

「…そうね。私も出来る事をしようかな」

「シルキィ?」

「うん、私も墜落した闘神都市を見てみる。完全に破壊されていないものもあるだろうし、何か見つかるかもしれないし」

シルキィは決断する。

戦争には参加する気は無いが、もしかしたら闘神都市に何か良いアイテムがあるかもしれない。

そしてそれが人類のためになるかもしれない。

「それよりもシルキィさんは早くランス様と電卓キューブに行かないと…」

「あっ! そうね。折角ランス君と再会したならその迷宮に行ってみないとダメね」

「…電卓キューブ。私、ランスさんと一緒に行ったんですけど、入れなかったんですよね。条件を満たしていないと言われて。姉さんもそうだったみたいだし」

「それも含めて色々とやる事はまだまだあるって事よ。でも、ランス君が早く治らないと行動を起こせないわ」

「そうですね…まずはランス様が元気にならないとダメですよね」

「じゃあ私も姉としてランス君の介護しないと。ランス君って無茶する時は本当に無茶しちゃうし」

そう言ってシルキィは決意を固める。

「でも今はパレロアさんに任せましょう」

「ハウゼル?」

「パレロアさんは本当に久々にランスさんに会えましたから。色々と積もる話もあるでしょう」

「…そうね。今思ったら、ケッセルリンクの使徒の皆って私よりもランス君と付き合いが長いんだものね」

そして本当に少しの間、休息の日々は続くのだった。

 

 

 

魔軍陣地―――

「何だと!? 私が下がるだと!?」

魔物大将軍チューザレは伝令にやってきた兵士に向かって怒鳴る。

「まだ私の任期はあるはずだ! それが何故!」

「全て魔物大元帥レギン様の決定であります故に…」

「レギン大元帥の…!」

チューザレは魔物大元帥がそれを決めたのを聞いて驚く。

レギンは魔物大将軍の中でも最も格上の存在で、魔物の中でも最も強いとされる存在だ。

が、決して前線には出ようとはせず、魔物界にて魔軍の編成の組み立てをしている。

他の魔物大将軍からの不満が出ないように、魔物大将軍をローテーションで動かしている。

だが、チューザレの交代の時期にはまだまだ時間があるはずだった。

「大元帥は何故そのような決断を…」

「私は伝令の者故に分かりませぬ」

「ぐぬぅ…」

ここで伝令の兵士に八つ当たりしても何も意味は無い。

それに大元帥の命令ならばそれを受け入れなければならない。

拒否すれば間違い無く制裁がある、レギンはそういう所は厳格な面がある。

「クッ…」

それに思い当たる所もあるので、文句を言う事も出来ない。

「…後任にはだれが来る」

「ゾロッカ大将軍が来られます」

「ゾロッカだと!? あいつがか!?」

魔物大将軍ゾロッカ、魔物大将軍の中でも人類への敵意が異常に高い存在だ。

何しろ口癖が『人類の10分の9を抹殺するのが良い』と平然と言う奴だ。

勿論魔物の中にもそういう考えを持っている奴は複数居る。

人類なんて絶滅させるのが良いと言う奴だって数多くいる。

ただ、奴だけは話は別だ。

「…それをバークスハム様は許したのか」

「私には分かりませぬ」

「そうか…」

チューザレは諦めたように声を出す。

あの人間を自分の手で始末したかったが、どうやらそれは叶わないようだ。

「兵達を纏めろ。引き上げだ」

「は、ハハッ!」

大将軍の言葉に部下の魔物将軍は頷くしかない。

これも上の命令なので、それに従う以外に無いのだ。

「全く…こうなると魔人様付きになったゾノは上手くやったな。いや、俺の運が無かっただけか」

そう思いながらも、チューザレは素直に命令に従った。

そう言った意味では魔物大将軍チューザレは軍人気質を持つ存在だった。

そして更なる悲劇が始まろうとしていた。

 

 

 

「クハハハハハ! 貴殿を迎えに来たぞ! アナベル!」

「貴様などに話す舌を持たん! 戦う意味さえ介せぬ男に!」

「おお! そうか! 流石はアナベル! 私の思いを分かってくれるか!」

「歯車となって戦う男には分かるまい!」

「ハッハッハ! 流石は話が早い! では共に行こうぞ!」

「…なあ、アイツらが何話してるか分かるか?」

「いや、ちっとも…」

殺姫が一体のサメラーイと話しているのを魔物兵達は気味が悪そうに見ていた。

「っていうかアレって会話なのか?」

「しっ! あっちを見るな! 一緒に思われてはかなわんだろうが!」

魔物兵達は殺姫達に見つからないようにこっそりと離れていくのだった。

 

「おお! お前も共に来るか! ブライト!」

「弾幕薄いぞ! 何やってんの!」

「うむ、流石はブライト! 我等について来てくれると言うのだな!」

「………別に構わないが、一体どうしたというのだ、殺姫」

ブライトと呼ばれたラーカイムは白い岩を背負い、蟹のようなハサミを持った魔物が疑問を口にする。

「うむ、突然変異の魔物達を集め一つの部隊を作ろうと思ってな!」

「何だと? そんな事が許されたのか?」

魔物の突然変異とは本来同族からは嫌われている存在。

ましてや目の前に居るのは殺姫と呼ばれる凶悪なモンスター。

己の戦いの為だけに生きる存在が、まさか部隊を作ろうとするなどとは酔狂にも程がある。

「レギン大元帥から許可は取ってある」

「大元帥がか」

「そうだ。そして我等は突然変異の者達だけで部隊を作る! それが我が目的よ!」

「…いいだろう。では行くとしようか」

 

そして殺姫達は突然変異の魔物達だけを集め、魔物大元帥であるレギンの元へをやってくる。

「という訳で部隊を作ったぞ!」

「まさか本当に作って来るとはな。まあいい、掃き溜めの連中は何処まで行っても掃き溜めだ。その連中が何をしようが構わぬ。好きにするがいい」

「流石は己の知略で大元帥を勝ち取った存在! 我等の事を分かっておられる!」

「フッ…世辞はいい。物資の支援位はしてやろう」

「これはこれは随分な好待遇…何かありましたかな?」

殺姫の言葉に魔物大元帥はその目を細める。

「魔人筆頭が大将軍を動かした。恐らくはこの戦争が少々変わるだろう」

「大将軍を動かすのは本来はあなたの仕事であり、魔人筆頭…バークスハム殿が口を出すなど余程の事」

魔人筆頭バークスハム…魔王ガイによって魔人にされた若輩だが、その力はまさに魔人筆頭として申し分ない力。

そして未来を予知しているとしか思えない言動と行動、それらの事から誰もが畏敬の念を抱かせる、そんな存在だ。

「動かしたのはゾロッカだ。奴を出した」

「…人類の10分の9を抹殺するのがいいと公言しているあの狂気の存在をですか?」

「そうだ。ガイ様は人類を殺し過ぎる事をよしとしてはいない。事実魔人達は人類を無視し、闘神都市へと向かっている。地上の人間に対しては我等だけ、それも数を絞っている。それ故にゾロッカを動かしたのは不可解だ」

「成程、その動向を探れと?」

「そうだ。奴の邪魔をしろとは言わぬ。人類がいくら死のうが構わぬが、魔王が望まぬ事をする訳にはいかぬ」

「これはこれは意外なお言葉で…増えすぎた人類などいくらでも排除する事を厭わぬあなたが」

「適切な数で管理出来るというのならばそうするだけだ。だが、私が生きている間にそれは叶わぬだろうがな」

「それでも魔王様には二心を持たぬ…いや、持てぬのですかな」

「これ以上余計な事を話す必要は無い。行け、殺姫よ。最低限の命令くらいは聞く頭は持っていよう」

殺姫はレギンの言葉にも特に気を悪くする事無く笑みを浮かべる。

「了解です、大元帥殿。我等マエリータ隊、魔人筆頭の真意を探ってみせましょうぞ」

そう言って殺姫率いるマエリータ隊は行動を開始するのだった。




次は早いとは一体何だったのか…
申し訳ないです
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