ランス再び   作:メケネコ

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第一次魔人戦争㉑

「ランスさん、本当にお疲れなんですね」

「別にそんな気は無いんだがな。だが、力が入らん…」

「ケッセルリンク様から聞きましたよ。カミーラ様と戦ったり、闘将とも戦ったり…これまでの疲労の蓄積がやって来たんですから、本当に安静にしていなきゃだめですよ」

「分かった分かった。お前もシルキィも本当にうるさいな」

 パレロアの世話を受け、ランスは思いのほか素直にその指示に従っていた。

 今までの疲労が一気にやってきたランスは本当に動く事が難しく、大人しく寝る以外に無かった。

 本当は女達とセックスをしたいが、体の疲労がそれを許してくれなかった。

 一気にズバッと楽しめば治る、と思ったが体が本当に思うように動かないのだ。

「うーむ、まさか俺様がこんな事になるとは…」

「今までランスさんは頑張り過ぎたんです。それに今は状況が状況です…ランスさんには無茶をして欲しくありません」

「別に魔人共に喧嘩を売る気は無いぞ」

「それでも魔人達はランスさんを見つけたら襲ってくるでしょう。私はそれが心配なんです」

「フン、連中は闘神と遊んでるんだろ。だったら好きにさせときゃいい」

 結果が分かっている戦争に介入する気は全く無かった。

 それに参戦している魔人がこれまでとは桁違いに多い。

 そんな中でカオスも日光も無しに戦える訳が無い。

 今の剣でも無敵結界を無視は出来るが、無効に出来る訳では無い。

 魔人の持つ強力な再生能力を殺せなければ、今のランスといえども苦戦は必至だ。

「ランスさんは頑張り過ぎたんです。魔人とそんなに戦って生き残っているのですから…」

 パレロアはそう言ってランスが寝ているベッドの中に入って来る。

「添い寝くらいはしますからね。でもセックスはダメですよ」

「分かっとるわ。むぅ…やれる女が隣に居るのに手が出せんとは…」

「大人しく寝ていてくださいね。せめてランスさんが戦えるようになるまでは」

 ランスはこれまでの疲労もあり、素直に休むことを選ぶ。

(…行くか。ケッセルリンクを早くどうにかせんとな)

 全ては自分の女の為、そしてそのためならばランスはどんな事でもする。

 それがランスという男なのだから。

 

 

 墜落した闘神都市―――そこを一人の女性が探索していた。

「ふぅ…ここまで壊れていると、何が何だか分からないわね…」

 その女性はシルキィ・リトルレーズン、魔人四天王の1人だが、今回の戦争には参加していなかった。

 元々人類の解放のために魔王にも啖呵を切った英雄で、当然この戦争にも反対だった。

 が、他の魔人の言葉に押し切られるような形で開戦し、一度始まった戦争を収める力はシルキィにも無かった。

 その彼女が何故こんな所に居るのか…それは勿論人助けのためだ。

「それにしても凄いわね…闘神都市。私は全く知らなかったけど、確かにこれを見たら脅威と考えるのも分かるわ。継戦能力に関してはそれこそ魔物や人とは大違い」

 破壊されている闘神都市だったが、その中には少しの生き残りの闘将も存在していた。

 勿論無敵結界があるのでシルキィはダメージを受けないが、流石に何度も何度も向かって来られるとシルキィとしても叩き潰す以外に方法は無かった。

「でも流石にランス君が望んでいるようなアイテムは無いかな…魔王様の呪いを解くアイテム、本当にそんなのがあるのかしら…」

 ランスの望みである、ケッセルリンクを解放するためのアイテム。

 それが聖魔教団は所持しているとランスは言う。

 何故ランスがそんな事を知っているのかという疑問はあるが、シルキィはランスを疑ってはいない。

「問題なのは私がそれを見てもどんなアイテムなのか分からない所ね…」

 根本的な問題にシルキィ本人も頭を抱えていた。

 が、何かあればランスの手助けになる、そう思いながら闘神都市の探索をしていた。

 その時、何かが自分を見ているのを察知する。

「さて…生き残りの闘将とかいうのが居るのかな?」

 シルキィはリトルを構え、視線の方向に武器を向ける。

「ちょっと待ってよ。ボクだよ、シルキィ」

「え…パイアール?」

「そうだよ。まさかこんな所で君と会うなんてね。どういう風の吹き回しだい」

 そこから聞こえてきたのは魔人であるパイアールの声だった。

 そして声の方向からパイアール本人が姿を見せる。

 その後ろにはパイアールが作ったと思われるメカが控えている。

 パイアールはランスとは知り合いという事で、パレロアを通じてシルキィも顔見知り程度ではあった。

 元々パイアール本人が社交的な性格では無いし、そもそも魔王の所に現れる事もほぼ無い存在だ。

 なのでシルキィもパイアールの事はあまり知らない。

「シルキィはこの戦争には参加して無いって聞いてるけど、何でこんな所に?」

「私は私で気になる所があってね…で、パイアールは何しに来たの?」

「僕は僕で色々と調べてるんだよ。一人の研究者として色々と興味深い所もあるからね」

「そういえばあなたはこの戦争にはそれほど積極的じゃ無かったわね」

 パイアールは戦争が始まって少し経過してから参戦した。

 参戦理由は自分の作ったシリーズの性能のテストの為だ。

 数年間は積極的に参戦していたようだが、ここ最近は闘神や闘将と戦う事もほとんど無かったとの話だ。

「データが取れればこれ以上関わる必要は無いからね。正直僕はこの戦争には興味も無いからね」

「でもこの墜落した闘神都市に何か用があるの?」

「ああ。僕が気になっているのはこの闘神都市の動力炉だよ。研究者としてどうやってこの闘神都市が浮いているのか、調べておいて損は無いからね」

 もしパイアールがランスと出会って無かったら、この言葉が飛び出す事は無かっただろう。

 が、この世界のパイアールは世界の広さを思い知ったし、他者との交流の拒絶も無い。

 なのでこの闘神都市の構造には少々興味が有り、墜落した闘神都市を色々と探っていたのだ。

「そうなんだ。でも、ここまで潰れてたら難しいんじゃない?」

「そうなんだよね…破損していない闘神都市があればいいかなって思ってたんだけど…まあそう上手くは行かないって事さ」

 そう言うパイアールだったが、何処か楽しそうにも聞こえる。

「で、君がここにいるって事は、やっぱりランスも今の時代に居るのかい?」

「…私ってそんなに隠し事が下手なのかしら」

「戦争に反対していた君がここに居るのはそれ以外の理由が考え付かないからだよ。でも、ランスが居るのか…これは都合がいいと考えた方がいいかな」

「何かあったの?」

「うーん…何も無いのが問題と言うか…まあ僕にも色々と考える事も有るからね。そのためにはランスに依頼をするという形が一番良いんだよ」

 パイアールがランスとの付き合いが有るとは聞いていたが、詳しい話は聞いていない。

 なのでパイアールがこんな事を言うとはシルキィとしても意外だった。

「何かあるなら私が伝えるけど?」

 ランスが居る事はもうバレているので、シルキィもそのつもりで声をかける。

 パイアールならば、ランスの害になる事はしないとパレロアから聞いていたという事もある。

「そうかい? だったらそっちの方が良いかな…無いとは思うけど、ランスと接触する事で魔王に睨まれるのは嫌だしね。まあガイは特に何も言ってこなから大丈夫だとは思うけど」

「で、何かあるの?」

「闘神都市の動力炉…マナバッテリーというのを探してるんだよね。理由は単純、唯の興味のためさ。壊れたマナバッテリーは回収したんだけど、壊れてるから何も分からないんだよね」

「あら、あなたが分からない事なんてあるの?」

「科学と魔法、似てるようで全く違うもの。僕は魔法に関しては疎いからね。だから機械的な部分は分かるけど、それ以外の事が分からないからね」

「勤勉なのね…まあランス君の害にならないなら伝えておくわ」

「助かるよ。余計な手間を取らなくて済むのは有難いからね」

 シルキィは苦笑するが、丁度良くパイアールに会えたので聞く事がある。

「ねえパイアール。ランス君を安全に闘神都市に運ぶ方法ってある?」

「え? それは…難しいね。いくらランスが強いと言っても、やっぱり人間だからね。無敵結界で死なない魔人と、死んでもいくらでも補充のきく魔物…いくら僕でも、100%安全にランスを闘神都市に運ぶのは無理だね」

「あなたがそこまで言い切るのね…」

「変に期待を持たせる方が危険さ。宙に浮かぶ敵の要塞に移動するというのはそれくらいに大変なのさ」

 パイアールが無理だと言うならば本当に無理なのだろう。

 シルキィもパイアールを頼るのは止める事にする。

「分かったわ。まあランス君なら何とかするでしょうしね。じゃあ私は行くわ、パイアール」

「ああ。でもここも期待出来そうに無いかな…うーん、やっぱりこういうのは魔人には無理かな…」

 パイアールはロボットを連れてそのまま何処かへと消えていった。

 それを見届けてからシルキィもパイアールの事をランスに伝えるため、闘神都市を出てカラーの森へと戻るのだった。

 

 

 

 そしてランスが休息を選んでから数日―――ランスは見事に回復した。

 体の気怠さが消え、生気が体に漲ってきている。

「良かったです、ランス様!」

「うむ、まさか俺様もここまで疲れていたとはな…」

 ランス自身、自分の体にここまで疲労が溜まっていたのは予想もしていなかった。

 だが、こうして休めたからにはもう何も問題は無い。

 しかし、問題は無いのはあくまでも自分の体だけだ。

 ランスには解決しなければならない問題がある。

 が、それは非常に困難で、尚且つ非常に厳しい問題だ。

(戦争が終わるまで待つか? だがなあ…)

 ランスは戦争が何時終わるか分からない。

 戦争があった事を知っているだけで、その内容は全く知らないし興味も無かった。

「ランス、本当にどうするのだ? お前の考えている事は分かるが、ケッセルリンクだって反対するぞ」

「スラルちゃんか」

「我としてもお前がこの戦いに参加するのはあまり好ましい事では無い。不確定要素が多すぎる上に、何より参加している魔人の数が多い。いくらお前が魔人との知り合いが多いと言っても、大半の魔人はお前の敵だ」

 ランスと敵対する意思を持っていない魔人はそれこそ少ない。

 この戦争に参加している魔人で言えば、サイゼルとガルティアくらいだろう。

 カミーラやレイは知り合いと言っても、顔を合わせれば戦う間柄だし、それ以外の魔人も人間であるランスを叩き潰すのに遠慮は無いだろう。

「俺様だって無闇に魔人と戦おうだなんて思わん。面倒だしな」

 そうは言いつつも、ランスとしてはやはり動かないといけない。

 それも全ては自分の女を助けるためだ。

 が、そのためには闘神都市に乗り込む必要があるのだが…そもそもその方法が難しい。

(俺様がイラーピュに行ったのは変な奴に飛ばされたからだしな…)

 ランスは魔王ジルを追って異空間に飛び込み、そこで魔王ジルを倒す事に成功した。

 だが、その異空間から出る事が出来ずに困ったが、その時に光の神が自分のブロマイドを踏まれた事でランスをレベル1にした上でイラーピュへと飛ばした。

 そこから色々とあって、ランスは何とか地上へと戻る事に成功した。

(マリアや志津香は確かマリアが作ったやつで来たんだよな…)

 ランスを救助するためにリーザスから派遣されたリック達と、個人的な理由でイラーピュに来た志津香…ただ、彼等が来れたのはイラーピュが機能を停止していたからだ。

 聞けば闘神都市には迎撃システムがあるようで、それがある限りは魔物でも近づくのは難しいらしい。

 魔人は無敵結界があるので問題無いが、それ以外の存在にとってはまさに難攻不落の要塞だ。

 つまりはランスが闘神都市に乗り込む方法は殆ど見つからない。

 あの時とは状況が違い過ぎる―――今は戦争中なのだ。

「墜落した闘神都市の探索位に止めたらどうだ?」

「どっちにしろ移動が出来んだろうが。ハンティの奴は何を考えてあんな事を言って来たんだ」

 ハンティは聖魔教団を助けて欲しい…つまりは人類を助けて欲しいと言ってきている。

 ランスにとっては聖魔教団は、いや、今の人類そのものが他人事でしかない。

 この戦争に負けようが、人類はこれから未来を作っていくのは確定しているのだ。

「ランス、シルキィが戻って来たわよ」

 ランスが思案していると、レンがランスを呼びに来る。

「シルキィがか? そういやアイツ、何処行ってたんだ?」

 シルキィが少しの間留守にしていたのは知っている。

 ランスも一々そんな事に干渉はしないが、何処に行ってたのかは気になる所だ。

 ジルを伴ってリビングに降りると、そこにはシルキィが椅子に座って待っていた。

「ランス君、調子はどう? 体は大丈夫?」

 ランスを見てシルキィは本当に心配そうに声をかけてくる。

「お前な…人をガキ扱いするのをいい加減に止めろ」

「そうもいかないわ。私はランス君のお姉ちゃんなんだから、心配するのは当たり前でしょ。でももう大丈夫そうね。体に覇気が戻って来てるもの」

「知らん。それよりも何処行ってたんだ」

 ランス達が椅子に座ると、シルキィも一度ため息をつきながら言葉を放つ。

「墜落した闘神都市に行ってたの。と、言っても収穫はゼロだったけどね」

 シルキィの言葉にランスはジル―――スラルを見る。

 その視線を感じたジルは、スラルが出て来ない事を感じ取って曖昧な笑みを浮かべるしか無かった。

「そこでパイアールと会ったわ」

「パイアール…あいつか」

 ランスもパイアールに関しては流石に覚えていた。

 何しろバイクをランスにくれた存在でもあるし、あのルートの弟だ。

 魔人になっても特に敵対意思を見せず、ランスとはギブアンドテイクの関係ではあるが、魔人の中では良質な関係を言っても問題無いだろう。

「そこでパイアールからランス君に言伝を頼まれてね。破損してないマナバッテリーが欲しいんだって。私には何のことか分からないけど」

「何処かで聞いた事があるな…マナバッテリー、マナバッテリー…」

「それはもしかしたら闘神都市の動力の事じゃ無いでしょうか」

「あ、そういやそんな事を聞いた事があるような気がしたな。大分昔の事だから忘れてたぞ」

 ランスがマナバッテリーの存在を知ったのは、カミーラダークと呼ばれる魔人によるゼス侵攻の時だ。

 その時はランス自身がマナバッテリーを破壊した事から色々とあり過ぎた。

 結局はランスがサイゼル、ジーク、カミーラの魔人を倒した事で勝利する事は出来た。

「それにしてもそれが本当ならとんでもない依頼ね。いくら私達でも出来る事と出来ない事があるでしょ」

 レンは少し呆れたような顔をする。

 流石にとんでもない依頼であり、ランスだって叶えられるかどうかは不明だ。

 何しろ闘神都市に行く手段が無いし、なにより闘神都市に行ったとしても、無傷でその動力炉を手に入れるなど不可能に近い。

「パイアールも無理はしなくていいって言ってたわよ。何しろパイアールでもランス君達を無事で闘神都市に送る手段は無いって言ってたし」

「だったら尚更無理ではないか」

 シルキィの言葉にランスは呻くしかない。

 元々闘神都市は魔人との戦いに30年間も戦い抜いたのだ。

 結果は散々だったが、それだけの間戦えることが出来たのは聖魔教団がそれだけ強大だったという事だ。

 空に浮かぶ要塞である闘神都市がどれだけ厄介だったか、ランスも今になり味わう事となっている。

「騒々しいね」

 ランスが頭を悩ませていると、ハンティが魔法ハウスに入って来る。

「お前か。厄介な事ばかり持ち込みおって」

「それ私のセリフだよ! 過去にアンタがどれだけ厄介な事を持ち込んできたか、分かってるのかい!」

 ランスの言葉にハンティもランスに対して怒鳴る。

「…そんなに厄介だったか?」

 本気で悩む様子を見せるランスにハンティは半眼で睨む。

「魔人と戦うために色々とココでやってたじゃないか。助かってたのは事実だけど、正直今だから言うけどカラーも綱渡りだったんだよ」

「上手くいったんだから良いだろうが」

「良くない! 全く…どういう神経してるんだよ。で、何か悩み事かい」

「そうだ。お前は闘神都市を助けろと言うが、そもそも闘神都市に行く手段が無いだろうが」

「分かってるさ。だから今回はそのための助言をしてやろうと思ってね」

 ハンティはそう言って椅子に座る。

「闘神都市に行く手段はあるよ。100%安全とは言わないけど、少なくとも聖魔教団からは狙われない手段がね」

「そんな手段があるなら最初から言え! 今まで俺様が悩んでいたのがバカみたいではないか!」

「…正直この方法も難しいからさ。私の伝手もあるっちゃあるけど、あんまりそっちは使いたくないからね。今はそれどころじゃないからね」

 ため息をつくハンティだが、真剣な顔でランスを見る。

「闘神都市に無事に辿り着く方法は一つ。ドラゴンに乗って行くのさ」

「ドラゴン!?」

 ハンティの言葉にジルは驚きの声を上げる。

「聖魔教団はドラゴンとも協力しあってるんですか?」

「一部のドラゴンだけどね。ドラゴンもかつては魔人と戦っていたからね。魔人からドラゴンに手を出す事は殆ど無いし、今のドラゴンは魔人と戦おうとも持ってない。でも何事も例外ってのはあるのさ」

「ドラゴンか…」

 ランスはドラゴンという言葉で思い出す。

 かつてイラーピュにはキャンテルというドラゴンが居た。

 色々とあったが、結局はアレからどうなったのかは分からない。

「でもドラゴンとの協力なんて無理じゃない? ドラゴンは正直魔人とは戦おうとは思ってなかったんでしょ?」

「ああ。例え魔人だろうとドラゴンからすれば空に居れば何も影響は無い存在だからね。ハッキリ言えば本来はドラゴンにとっては人間と魔物の戦争なんて対岸の火事なのさ」

「でもドラゴンも一部は戦ってる、そうなんでしょ?」

 レンの言葉にハンティは頷く。

「闘神都市はドラゴンにとっても結構都合が良い住処みたいな感じなのさ。ドラゴンにとっては住処が荒らされているから魔物達と戦ってるだけだからね」

「だったら尚更ランス君がドラゴンと協力するのって難しくない? それこそ対岸の火事な訳だし」

「だから困ってるのさ。私もあんまりドラゴンとは関わり合いになりたくないしね」

 シルキィの言葉にハンティも面白く無さそうな声を出す。

「まああんたならドラゴンの協力を取れるかも、そう思っただけさ。どうあっても無理なら仕方ないさ。ランスの言う通り、この戦争は関係ない事だろうしね」

「うーむ…」

 ランスは考える。

 確かにドラゴンの力ならば闘神都市にも問題無く行けるだろう。

 聖魔教団とドラゴンが協力体制にあるならば、ドラゴンが撃退される事は無い。

 しかもドラゴンの強さならば魔人とも戦えるだろう。

「…あのアホは今回の戦いに参加してるのか?」

「いや、そんな事私に聞かれても。というかアンタの言うアホが誰の事か分からないし」

「カインだカイン。あいつは魔人だろうが喜んで戦う奴だろ」

「あ、そういえば居たわね」

 ランスが出した名前にレンは目を丸くする。

 そう、ランスには一応ドラゴンとの繋がりがある。

 それが雷竜カイン…魔王アベルとは兄弟であり、カミーラを奪った弟に怒りを覚えていたドラゴンだ。

 今はこの世界に戻って来ており、少し前に再会した事がある。

「カイン…って言われても分からないわよ」

「魔王アベルによく似たドラゴンよ。雷竜なんだけど…今の大人しいドラゴンとは違って、凄い好戦的なドラゴン。それこそカミーラが魔人にされる前と同じ気質を持ったドラゴンよ」

「…参戦して無いだろうね。流石にアベルに似てるドラゴンとなれば私でも分かるだろうしね」

「だったらあのバカに会いに行くぞ。あいつなら余裕で行けるだろ」

 ランスは新たな目的のため、危険を承知でこの戦いに飛び込む事となる。

 そしてそれは当然の事ながら、ランスが本来辿るはずの未来を変える事となるのだが、それをランスは考えてもいなかった。




よくよく考えると闘神都市に乗り込むこと自体がメチャクチャ難しいですよね…
しかも今って戦争中だし
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