「これが…ドラゴン!」
シロウズは目の前に居る巨大な存在を見て目を丸くする。
それだけの威圧感が目の前のドラゴンにはあった。
そして当のドラゴンはと言うと、同じように目を丸くしてランスを見ていた。
「久しぶりじゃねえか! ランス!」
「相変わらずうるさい奴だな」
何処か嬉しそうにランスと話すドラゴンに対し、ランスは鬱陶しそうにしている。
「今度はこの時代って訳か!? ま、お前が今の状況で首を突っ込まねえなんて事は無いと思ってたけどよ!」
「やかましい」
ドラゴンと対等に話すランスを見てシロウズとメイは驚く。
知り合いが居るとは言っていたが、ここまで親しそうな間柄だとは思ってもいないのだから当然だ。
「それにしても何でこんな所まで来てんだ? 地上は今大変な事になってるんだろ」
「そうみたいだけど、私としてはアンタがこの戦争に参加して無いのに驚いたわね」
レンの言葉にカインは詰まらなさそうに苦笑する。
「俺が参加すると面倒な事になるだろうから控えろってよ。俺としては人間に手を貸す訳じゃ無く、魔人をただぶっ飛ばしたかったんだけどな…無敵結界ってのがあって本当に面倒でよ」
「だれかと戦ったの?」
「直接戦った訳じゃねえが、他のドラゴンから聞いた。昔よりも今の魔人は強くなってるのもあるからな。意味のねえ戦いをするのも不毛だと思ってよ」
カインはそう言うが、その目はギラギラと戦闘意欲に輝いていた。
「お前が来たって事は何かあるんだろ。魔物と戦ってたみたいだしよ」
「お前、見てたのか」
「暇だからちょっぴり上から見ただけだ。だが…俺の予想は当たってたみたいだな」
そう言ってカインはその大きな口に獰猛な笑みを浮かべる。
「で、お前はこんな所に何しに来た?」
「うむ、お前に俺様の足になる事を許してやる」
「ああん!?」
ランスの言葉にカインはランスを睨む。
その鋭い視線にメイとシロウズは直ぐに臨戦態勢に入るが、ランスは全く動じていない。
「お前なら闘神都市に行けるだろ」
「そういう事かよ」
その言葉にカインはニヤリと笑う。
「ま、俺が積極的に戦争に参加するのはダメらしいが…お前に頼まれたんなら断れねえなあ」
そう言うカインだが、実際にはこれからの戦いに闘志が漲り過ぎている。
「やっぱり。カイン、あんたこの戦争に参加できる理由を探してたんでしょ」
「分かるか?」
「そうじゃないとアンタ程のドラゴンがこんな所に来る訳無いでしょ?」
「人間がここに来ること自体が珍しいしな。ま、一部連中を除いて魔軍と戦ってるのは魔物共から戦争を吹っ掛けられたから応戦しているだけだしな」
カインは目を細めて上空に浮かぶ闘神都市を見る。
「だが俺は違う。俺は己の意思で魔物共をぶち殺したいと思っている。こんなドラゴンは俺くらいだがな」
「そうなんですか?」
ジルの疑問にカインは笑って答える。
「ま、本来ドラゴンってのは俺くらい好戦的だったのさ。ここに戻って来てから腑抜けた連中に驚いたくらいだぜ。それも全部アベルのバカが悪いのさ」
「アベル…歴代魔王の1人ですよね」
ジルはスラルから色々と話を聞いていたので、このドラゴンの事は情報だけ知っている。
以前に出会ってはいたが、そこまで話す時間も無かった。
「ああ。あいつがカミーラを拐って魔人にしてからドラゴンは戦う事を止めたらしい。ただ、俺はその事を知らなかったから変わってねえとキャンテルの奴は言いやがったがな」
カインは意識が変化してないドラゴンの一体だ。
だから今でも魔物に対して敵愾心があるし、倒すべき敵だと認識している。
ただ、無敵結界というものが出来てしまったので、カインでも魔人に勝つことは出来ないというのが腹立たしいだけだ。
「で、闘神都市に行きたいなら俺が連れてってやるぜ。まあ闘神都市も中々いい所だって他の連中も言ってたしな。それに…カミーラの奴も参加してんだろ」
「おい待て。カミーラは無しだ無し。今あいつに会うのは面倒くさい」
「なんだお前、まだカミーラに狙われてるのか? まああいつがあんな性格になったのもアベルとドラゴンの影響らしいけどよ…」
「とにかくカミーラだけは無しだ」
「まあ良いけどよ…でもよ、闘神都市って言ったって沢山あるぜ? その辺の所を考えておけよ」
カインの言う事も尤もで、そもそもランスも無作為に闘神都市に行くつもりは無い。
それにカミーラとも会いたくないし、他の魔人ともまともに戦うのも正直躊躇われた。
魔人マリーゴールドを倒せたのは完全な不意打ちだった事と、その魔人が弱かったからだ。
カオスと日光が無いと流石に魔人を相手するのは難しいとランスも感じ取っていた。
「ランス、取り敢えず足は出来たけど…この後は?」
「取り敢えずハンティに会うぞ。奴から色々と聞かなきゃならんしな」
足の確保は出来たが、それからどう動くは難しい。
闘神都市に向かう事そのものがやはりリスクがある。
「まだ行かねえのか? 俺はまだここからは動けねえぞ」
「ランス様…闘神都市に向かうのに一々ここに来るのも厳しいですよ」
「当たり前だ。そんな面倒な事が出来るか」
ジルの言う事も尤もで、ランスとしても態々移動のためにこんな所に来たくも無い。
「その辺りも含めて話せば良いでしょ。まずはハンティにこの事言ったら?」
「うむ、そうするか。おい、少し待ってろ」
「構わねえよ。ま、俺も久々にあの連中相手に暴れられるだろうからよ」
そう言ってカインは凶悪な笑みを浮かべる。
そこから感じられるのは間違い無く強烈な戦闘意欲だ。
「じゃあ戻るぞ」
そう言ってランスはお帰り盆栽を使い、翔竜山から脱出した。
「そうかい。ドラゴンの協力を取り付けられたって訳かい。そりゃ良かったね」
カインの事を報告したランス達だったが、ハンティは何処か呆れた様子でランスを見ていた。
「始祖様。これは朗報だと思うのですが、何故そんな微妙な顔を?」
「いや、まさかこんなにあっさりドラゴンとの協力を取り付けられるなんて思っても居なかったからさ」
ハンティはドラゴンの事も当然知っている。
正直聖魔教団に協力しているドラゴンが出てきたのも驚きなのに、まさかランス達がこうも早くドラゴンの協力を得られるとは思っても居なかったのだ。
だからこそ、ハンティもフリークに協力を仰ぐ事を考えていたのだが、それでも危険な事には変わりは無いのでどうしようかと思案していた所だ。
「…もしかしてカインっていうドラゴンかい?」
「なんだ、知り合いか?」
「知り合いって訳じゃ無いけど、事情は聞いてるんだよ。厄介な事にならないと良いけど…」
「別に問題無いだろ。それよりもこれからどうするかだな」
ランスはハンティに尋ねる。
普通ならランスが自ら動くところだが、何しろ今は戦争中。
迂闊な動きをするのは流石に危険すぎる。
「ああ、闘神都市Θを助けに行って欲しいんだよ。魔人達に狙われてるって話だしね」
「名前言われても分からないんだけど…」
レンの言葉にハンティは地図を広げる。
「ここにある闘神都市さ。今の聖魔教団の最前線になってる所だね。あともう一つは闘神都市Σ。この二つが今魔人の脅威に晒されてるのさ」
「時間稼ぎにしかならんぞ」
ランスはあっさりと事実を言う。
「…分かってるさ。でも、それでも何とかしないといけないのさ。まだまだ戦争は続いてしまうからね」
ハンティもランスの助けも焼け石に水でしか無い事は分かっている。
いくらランスが強くても、カオスと日光が無ければやはり魔人相手にはどうにもならないのだ。
確かに今のランスは無敵結界を無視して魔人を斬れるが、それでも無敵結界を解除出来る訳では無い。
結局はランスしかダメージを通せないし、魔人の高い再生能力も無効に出来ない。
マリーゴールドを倒せたのは完全なる不意打ちであった事と、何よりもマリーゴールドが魔人として弱かったからに過ぎない。
「それにアンタ等は何時いなくなるか分からないしね…それでも頼る以外に無いのさ」
「まあいい。それよりもドラゴンに乗ってくのは良いが、ここにドラゴンは来れるのか」
「そこは私が連絡を取るからいいさ。それくらいはさせて貰うよ。で、何時頃動く?」
「乗り込む用意が出来てからだ。レン、ジル、用意しておけよ」
「分かりました、ランス様」
「あんたね…そういうのは私に頼るのは間違いでしょ」
ランスの言葉にジルは軽やかに、レンは苦虫を噛み潰したような声で応える。
「その辺りは私も受け持つよ。だが、なるべく急いだほうが良いのだろう」
「そうだ。とっととしろよ」
全てがトントン拍子で決まり、ランス達は闘神都市に乗り込むべく、準備を進めていくのであった。
「ランス…本当に大丈夫なのか?」
「何だ突然」
「私はお前が心配だ。闘神都市は魔人が10年経ってもまだ戦争を継続している程の力がある。私も直接見た訳では無いので何も言えないが、ドラゴンの力があるとはいえそんな所に行っても大丈夫なのか?」
ケッセルリンクは純粋に心配になってランスに声をかける。
「私としてはお前に参戦して欲しくは無い。危険すぎる」
「何度も言わせるな。とにかく俺様ならば問題無い」
「お前が決めたのならば私が口を出すのは無粋なのは分かっているのだがな…しかしあのカインがな」
「何かあるか?」
「いや、お前は魔王アベルからドラゴンの力を受け渡されただろう。その辺りも少々気がかりなのがな」
「今更あんな奴どうでもいいだろ。カミーラの奴だって吹っ切ったくらいだぞ」
「まあ…確かにな」
「それよりも今姿を見せれるのか?」
「ん? ああ、お前がククルククル様からの修行を受けてから、私も少々余裕が出来た」
そう言うとケッセルリンクがランスの剣から姿を現す。
相変わらず半透明で触れる事も出来ないが、やはりその美貌はすさまじい。
美形しか居ないカラーの中でもケッセルリンクの美しさはある意味異質だ。
それが魔人という事なのかもしれないが、それでもやはりケッセルリンクは綺麗だ。
「うーむ…お前に触れんのがな」
スカスカと手が透けるのを感じ取り、ランスは不満そうな声を出す。
「…すまないな、ランス」
「別にお前が悪い訳じゃ無いだろ。まあ何とかするから気にするな」
そう言うランスだが、言われている本人はやはり気にしてしまう。
自分のために無茶な事はしないで欲しいが、同時に自分のために何とかしようとするランスの気持ちも嬉しい。
そういう複雑な感情が合わさり、ケッセルリンクは言葉を出す事が出来ない。
「失礼します、ランス様」
「おう、入れ」
ジルが部屋に入って来る。
「あ、ケッセルリンクさん」
姿を見せているケッセルリンクを見てジルは嬉しそうな顔をする。
そのジルを見て、ケッセルリンクは顔を伏せる。
ジルの事は今でもケッセルリンクにとってはトラウマとなっていた。
「お前もいい加減気にするのは止めろ。本人だって気にして無いんだぞ」
「私はそうは割り切れない…性分だよ」
ランスの言葉にもケッセルリンクは苦い声を出す。
「気にしないで下さい、ケッセルリンクさん。私はあなたにも救われたと思っています」
ジルはそう言うが、ケッセルリンクの顔はまだ晴れない。
「何度も何度もそのやり取りは必要無いだろ。来い、ジル」
「あ、はい」
ランスに呼ばれてジルはランスの元へとぱたぱたと走っていく。
勿論こんな時間にランスに呼ばれたなら何をするか分からないはずが無い。
「お前もしっかり見てろ」
「あ、ランス様!?」
ランスはジルをベッドに引き込むと、その服を一気に脱がす。
「今のこいつが不幸に見えるか?」
「…ランス」
「ジル、お前はどうだ」
「あ…わ、私は…」
ジルは恥ずかしそうに身悶えするが、ランスに背後から掴まれているため逃れられない。
股を閉じる事は許されず、あられもない姿を尊敬すらしているケッセルリンクの前に曝け出している。
まだ身長は大きくは無いが、それとは不釣り合いとも言える大きな胸を持つ少女は顔を真っ赤にしてケッセルリンクを見る。
「わ、私は…ランス様にまた会えて幸せです。ラ、ランス様に買って貰って…本当に良かったです」
「ほれ。本人もこう言っているだろ」
あまりに乱暴なランスの行動と言葉。
普通に考えれば許されない行為だろうが、ランスはそういう事を平気でする。
ただ、時にはそんな態度が物事を好転される事もあるのがランスだ。
「ケッセルリンク、お前ももう悩むな。こいつが良いと言っているからそれでいいんだ。お前も過去の事をうじうじと言ってないでこれからの事でも考えてろ」
「…お前としては良い事を言ってるつもりかもしれないが、やってる事は有る意味最低だぞ」
そう言うケッセルリンクだが、その顔には笑みが浮かんでいる。
ランスの言葉は濡れ場で言う事では無いだろうが、それでもこうして二人が一緒に居る事が嬉しい。
「で、でもランス様…私、恥ずかしいです…ケッセルリンクさんに見られてると思うと…」
「何言ってやがる。レンともハウゼルともシルキィとも一緒にセックスしてるだろうが」
「そ、それでも恥ずかしいんです。そ、それにケッセルリンクさんは私にとっては特別で…」
「良い事教えてやる。こいつは俺様のセックスを実はずっと見てきたんだぞ。お前とセックスしている所も当然見ているぞ」
「えっ!?」
ランスの言葉にジルは赤い顔を更に真っ赤にしてケッセルリンクを見る。
「ランス…お前、そういういい加減な事を言うのはよくないぞ」
「俺様が気づいてないとでも思ってるのか? 起きてるときは実はこっそり見てただろ」
「………」
その言葉にケッセルリンクは何も言えなくなる。
こうして幽霊のような形で見ていた訳では無いが、それでも見ようと思えばある程度は剣の中からでも見えるのだ。
ランスは夜は殆ど女を連れ込んでセックスをしているので、ケッセルリンクの意識が覚醒している時は嫌でも声も聞こえてくる。
だがそれでも、ケッセルリンクはランスを見守っていた。
同時に、ランスに抱かれる女の事を羨ましく思っていたのも事実だ。
もし自分に体が有れば、思う存分に愛してもらい、そして自分も愛する事が出来たとにと思っていた。
「ケ、ケッセルリンクさん…?」
「…全く、お前は本当にデリカシーというものが無いな」
ケッセルリンクは苦笑する。
「しかし、お前は女の気配は本当に逃さないな。そこまで行くと大したものだ」
「がはははは! 女の気配は見逃さんからな」
「ただ、私としてもやはり堂々と見るのは正直気が咎める。だから二人で思う存分愛し合ってくれ」
そう言ってケッセルリンクの姿が消える。
「あの…ランス様、本当に良かったんですか? ケッセルリンクさんの事…」
「いつまでもうじうじとしてるよりマシだろ。まああいつの事だからまだ言い続けるだろうけどな」
ケッセルリンクの一番のトラウマはジルが魔王になる所に居合わせた所だけでなく、ランスとジルの子供を殺す事に加担した事だ。
ランスとしても思う所は勿論あったが、もうそれを実行したナイチサは居ないのだ。
ランスはナイチサの末路がどうなったのかは知らないが、もうそのナイチサはジルによって殺されている。
だから復讐をしようなんて思わないし、何よりも魔王になったジルはこうしてランスの奴隷に戻ったのだ。
復讐出来なかったのは残念だが、居ない奴の事を考えるなど時間の無駄だ。
「私も本当に気にしていないんですけど…」
「そういう奴だ。その内何とかなるだろ」
「あんっ」
話は終わりと言わんばかりにジルの大きな胸を揉む。
相変わらず素晴らしい感触にランスは満足する。
「闘神都市に行くまでは時間がかかるからな。しっかり楽しむか!」
闘神都市に向かう―――それは非常に大変な事だが、ランスは確かにそのための一歩を踏み出したのだった。
数日後―――
「おう、ようやく準備が出来たか」
ペンシルカウにはカインが居た。
「…それにしてもホントにアンタはアベルの兄なの?」
「あんな奴別に弟でも何でもねえよ! ドラゴンが腑抜けたのはあいつのせいなんだからな!」
ハンティの言葉にカインは牙を剥き出しにしてハンティを睨む。
「アイツもあんな風になっちまってよ…まさかこんな事になってたなんて思ってもいなかったぜ…」
カインは大きなため息をつく。
「それに今回の魔人と人間の戦争にも参加はするなって言われてよ…ま、今回は何で知らねえけど許可が出たからな」
獰猛な笑みを浮かべてカインが一点を見る。
そこにあるのは闘神都市―――これから乗り込む場所だ。
そしてそこには魔人が居る…当時のドラゴンにとっての敵が。
カインには今でも魔物にとっての敵意がある。
「だがよ、まさかこんな所に魔人が居るなんて思ってもいなかったけどな。ま、アイツらしいと思うけどな」
「私はそもそもこの戦争に反対してるしね。魔王様からは戦ってもよいという許可は出てるけど、人間を助けるなとも言われて無いしね」
「ケッセルリンクとの約束を守るために私はここに居ます。勿論私もこの戦争には反対ですけど…」
カインの言葉にシルキィとハウゼルが応える。
「構わねえさ。俺だってククルククルの奴と戦うのにカミーラと共闘したしな。それに無敵結界を持ってる魔人とは真正面から戦おうとは思わねえしな」
ドラゴンが戦って来た当時の魔人とは違い、今の魔人には無敵結界がある。
それも理解しているので、カインも無理に魔人とは戦おうとは思っていない。
ドラゴンとはそもそも聡明で力強い…だからこそ、創造神に飽きられて滅ぼす寸前まで追い詰められた。
「ま、色々と無敵結界を破る手段はあるみたいだけどな。それが今無いから魔人に負けてんだろ? だがお前は斬れるらしいな」
カインは楽しそうにランスに対して笑いかける。
「フン、こんな戦争俺様にはどうでもいいわ」
「それなのに闘神都市には行くってか? ま、俺はどっちでもいいけどな」
「それよりも、ドラゴンなら本当に闘神都市に入れるんだろうな?」
ランスが心配なのはやはりそこだ。
闘神都市に乗り込むのは非常にリスクが有るのは分かる。
イラーピュの時は光の神の手によって異空間から転移させられたが、今回は自分から乗り込む形となる。
ただ、マリア達だけでなく、イラーピュから降りられなくなった人たちが町を作ってたりしてたので、乗り込むことは出来たのだろう―――機能が停止していたLP期においてはだ。
今は闘神都市で戦争が起こっており、防衛システムも当然存在するだろう。
もし撃墜されるような事が有れば、人間のランスではひとたまりもない。
「ああ、それは大丈夫だぜ。一度闘神都市に行ってみたけどよ、特に攻撃はされなかった。ドラゴンは攻撃されないようになってるんじゃねえのか」
「うーむ…」
ランスとしては少しの不安はあるが、それでも行くしかない。
「大丈夫よ。いざとなったら私が何とかするから」
レンはランスの肩を叩いて答える。
「まあいい。それよりもとっとと行くか」
「おう、じゃあ俺の背に乗りな!」
ランスの言葉にカインは闘志を露にして翼を広げる。
ランス、レン、ジル、そしてシロウズとメイがカインの背に乗る。
「気を付けて下さいね、ランスさん」
「私も行きたいけど、私が行ったら大変な事になるから…カラーは私とハウゼルで守るから心配しないで」
ハウゼルとシルキィがランスに向かって手を振る。
「無事に戻って来るのじゃぞ」
「私も何れは合流するからさ。それまでは頼んだよ」
「フン、言われるまでも無いわ」
エアリスとハンティの言葉にランスは不敵に笑うと、カインについている手綱を握る。
カインの背にある鞍と手綱はハンティお手製の特注品だ。
「しっかり掴まってろよ! じゃあ行くぜ!」
「がはははは! せいぜい待ってろ! 闘神都市!」
カインは翼を羽ばたかせると、そのまま勢いよく宙に浮かぶ。
そしてランス達の姿は直ぐに見えなくなる。
「…どうなるでしょうか、シルキィ」
「大変な事になるのは分かってるわ。でも…ランス君ならきっと大丈夫」
「心配じゃないんですか?」
「勿論心配よ。でも…姉として、私はランス君を信じてる。だってランス君はこれまでも窮地をくぐり抜けてきたんだから」
移動の時の描写はスキップで…
あまり長くなりすぎるのも良くないですしね