ランス再び   作:メケネコ

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第一次魔人戦争㉔

第一次魔人戦争―――それは魔人の強さを人類に知らしめた戦いである。

この戦争では聖魔教団は魔人の一体しか倒す事が出来ず―――その魔人ですら、他の魔人に暗殺された―――裏切りによって発狂した指導者が殺される事で終了した。

そしてその戦争によって最も名の知られた魔人…それこそが元魔人四天王であり、魔王ジルの崇拝者であるノスだ。

ノスとレキシントンは競い合うように闘神都市を落としていったという。

そしてノスがレキシントンを暗殺したとされる原因となる戦いが始まっていた。

 

「ククク、ハハハハハ! これこそ戦い…血と、鋼と、殺し、殺される歓び…再び味わう事が出来るとはな!」

魔人ノスは闘神都市Θで闘神Θと死闘を繰り広げている。

いや、これは死闘と言える戦いではなく、ノスが一方的に闘神Θの攻撃を受けている。

それがもう30日も続いているが、魔人も闘神も一歩も退く事無く戦いを続けていた。

「人間如きがまさかここまでやるとは…楽しませてくれる」

ノスの体には間違い無く傷があり、血も流れている。

ノスは戦いを楽しむために無敵結界を使っていない。

その状態で闘神と戦い、それでも尚ダメージらしいダメージを受けている様子は無かった。

(バケモノめ…)

闘神Θ―――ルシラは魔人ノスを相手に一歩も退かない。

ノスからの攻撃は一撃も受けていないし、自分の攻撃は明確にノスにダメージを与えている。

だというのに、ノスは全く怯む様子も無くルシラと戦っていた―――いや、ルシラと遊んでいた。

闘神Θは闘神としては比較的小柄で、純金製の身体を持っている。

格闘機能に特化した女性型の闘神で、黄金の女神と呼ばれていた。

闘神Θは異常とも言える回避能力があり、ノスの攻撃も見てから躱せる程のスピードがある。

そして闘神の例外に漏れず、その攻撃力は人間よりも遥かに高い。

だが、それでもノスに対しては有効打を全くと言っていい程与える事は出来なかった。

(無敵結界を使っていない…なのにダメージが全く与えられていない。いや、与えても無限に再生している)

ノスにどれだけダメージを与えても、その再生能力の前には闘神の攻撃すらも意味をなしていない。

(明らかに…闘神を相手に遊んでいる)

ルシラにはそう断言できる。

何故ならノスはこの戦いでは拳しか使って無いのだ。

魔法を使えないという可能性も有るが、このノスは闘神都市を落としている魔人だ。

使えないのではなく、使ってないと考えるしか無かった。

「人間という名のゴミ共よ…精々我等を楽しませろ。それが貴様等が存在する役目だ」

ノスの言葉にルシラはノスに殴りかかる。

その拳はやはりノスに直撃するが、攻撃すればする程にその体は間違い無く硬くなっていた。

最初は防御行動を取っていたのだが、今はもうそれすらも行っていない。

しかしそれでも闘神Θとしての力はノスの攻撃を避け続けていた。

闘神を守護する闘将もノスには全く通じなかったので、こうして闘神である自分が出たが、それは正解だった。

この魔人相手では闘将が束になってかかろうが通用しないだろう。

(何か…せめて何か切っ掛けでもあれば。この膠着した戦いを左右する何かがあれば…)

ルシラはそう願うが、勿論そんな事は無い。

全ての闘神都市が魔人の脅威に晒されており、連携を取る事すらも難しい。

それぞれの闘神都市が自分の闘神都市を守るのに精いっぱいなのだ。

ルシラとしては他の闘神都市を助けに行きたいが、魔人ノス相手ではそんな余裕は全く無い。

自分が倒された時、それは闘神都市Θが撃墜される時なのだ。

ルシラが覚悟を決めていると、闘神都市に向けて何かが飛んで来てた。

「む…」

ノスもそれに気づいたのか、その飛んでくる何かを見る。

そこには明らかな苛立ちが有り、まるで自分の邪魔をする奴が現れたと言わんばかりの表情だ。

だが、その顔に変化が起きる。

あのノスが明らかに驚いているように見えるからだ。

「あれは…」

ノスとルシラが互いに動けないでいると、その存在は闘神都市Θに降り立った。

それは黒い体を持ったドラゴンだった。

「ついたぜ! ここが闘神都市だ!」

「やっとか…」

そしてドラゴンの背に乗っていた人間達が闘神都市に降り立つ。

その人間を見て、ルシラは声に出ない叫びをあげる。

「ランス様…私、気持ち悪いです…」

「流石に人間には空を飛ぶ感覚は厳しかったみたいね。ま、仕方ないだろうけど」

「な、何故君が平気なのか、私は知りたい…」

「これは流石にな…疲れるな」

ランスを筆頭に、レンとジルというかつて共に学んだ二人が姿を現す。

金髪のアフロと筋肉質なカラーは知らないが、ここに来るのならば相当な実力者なのだと思う。

「ジル! レン! ランス!」

そしてルシラは三人の名前を呼ぶ。

「む、俺様の名前を呼ぶ女の声! それは…それは…何だありゃ?」

ランスは闘神Θが女の声で自分の名前を読んだことに微妙な表情をする。

闘神Θは当然闘神なので、性欲の対象になる事は無い。

だからあからさまにランスはがっかりした顔をするが、Θは構わずにランス達の元へと駆け寄る。

「何でお前達がここに…! いや、何故ドラゴンに乗って来て…」

「誰だお前は。俺様に闘将…いや、お前闘神か? 闘神の知り合いはいないぞ」

「私だ! ルシラだ!」

「ルシラ…何だと!? お前、本当にルシラか!?」

闘神Θがかつて自分が抱いた女の名前を名乗った事にランスは驚く。

「え、ルシラ!? あなた本当にルシラなの!?」

「あー…これが闘神ってやつなのね」

ジルとレンもかつての友の変わり果てた姿には驚く。

「ああ、お前達が何故ここに…いや、今はそんな事を言っている場合じゃない。目の前に居るのは魔人だ」

ルシラは魔人ノスを相手に向けて構えを取る。

ランス達と出会えたのは嬉しいが、今は戦闘中だ。

むしろ今の状況でノスが動かなかった事が不思議なくらいだ。

「魔人だと? あいつがか…!?」

そしてランスはその魔人を見て目を見開く。

「うげ! 化け物ジジイ!?」

そこに居たのは間違い無く、かつてランスがリーザスで倒した魔人、ノスそのものだったからだ。

そして一方のノスもランスを見て楽しそうに哄笑する。

「フフ…フハハハハハハ! 貴様、あの時の小僧か! カミーラが人間の男と共に居た時は少々驚いたが…まさか2000年以上の時を得て再び貴様の姿を見るとはな!」

ノスの言葉にレン以外の皆が驚く。

そう、二人は明らかに顔見知りの反応だったからだ。

「てめえ…ノスか!? まさか魔人になってやがるとは!」

「ほう! 貴様、やはりカインか! あの時行方不明になった貴様が再び現れるとはな!」

「黙りやがれ! アベルに浚われたカミーラはともかく、まさかてめえが魔人になってるとはな…!」

カインとノスが互いに睨み合う。

「何だ、知り合いか」

「ああ。かつてククルククルとの戦いでは同じ陣営で戦ったからよ。仲間なんて事はねえが…それでもお前が魔人になってるなんて考えてもいなかったぜ。死んだと思ってたんだけどよ…」

「それはこちらの言葉だ。アベルとの戦いで消えた貴様が今も生き残っているとはな。しかもその人間を連れて現れるとは…長生きはするものだな、カイン!」

ノスは本当に楽しそうに、そして嬉しそうに笑う。

その体からは純然たる闘志が沸き上がっており、闘神Θと戦っている時よりも明らかにやる気になっている。

「そして小僧! 貴様はカミーラに殺されたと思っていたが、どうやら生き延びたようだな。だが、人間である貴様が何故ここに居るのか…今はそんな事はどうでもいい!」

ノスの闘気が爆発するかのように膨れ上がる。

「さあ、戦え! あの時の続きをする事にしよう! カイン、貴様もだ!」

「上等じゃねえか、ノス! てめえの事だ、まさか無敵結界なんて下らねえもの使ってねえよな!」

「ククククク…戦いにそんなものは必要無い! さあ来るがいい人間、闘神! 戦いは、これからだ!」

そう言ってノスは闘志をむき出しにしてランス達に向かってくる。

「チッ、まさかこんな所に化け物じじいが居るとはな…」

魔人ノス―――リーザスでのヘルマン侵攻の際の全ての黒幕。

リーザス城―――魔王ジルのかつての居城で、魔王ジルの信奉者であり、ジルの復活のために暗躍した存在だ。

だが、何よりもランスにとっては非常に恐るべき力を持っている魔人である事は間違い無かった。

その後で魔王ジルの戦いがあったので、ランスはノスの事を忘れていたのだが、魔人カミーラに連れて来られドラゴンだった時のノスと戦わされた。

その時にランスは魔人としてのノスの事を思い出したのだ。

ジルのインパクトが強すぎたが、ノスもまた恐ろしい魔人だった。

あの時にノスを倒せたのはまさに僥倖だろう、何しろ相手は元とはいえ魔人四天王だったのだから。

「来るがいい小僧! 闘神! カイン!」

ノスはその巨大な腕でランスに殴りかかって来る。

ランスはそれを当然のように避け、すれ違いざまにノスの脇腹を斬る。

「グッ…なんだこの感触は」

その感触にランスは唇を歪める。

カオスを持っていてた時にはそこまで感じなかったが、ノスの体は異常なまでに硬い。

「ほう…その剣、我が体を斬るか。闘神との戦いで相当に硬くなっていたはずなのだがな」

ノスは自分の脇腹が斬られた事に楽しそうに唇を歪める。

ドラゴン…地竜の魔人であるノスの力はその強靭すぎる肉体だ。

しかも攻撃を受ける度にその装甲は強固になっていく。

闘神Θとの戦いでも無敵結界を使わず、そのまま殴り合いの戦いとなっていた。

ノスの攻撃はΘには当たらなかったが、Θの攻撃もノスには通用しているとは言えなかった。

殴るたびにどんどんと装甲が硬くなっていったため、今その状態での戦いを強いられているのだ。

「相変わらず硬い奴め…!」

ランスはノスの言葉に悪態をつくしか無かった。

今の感覚でランスも分かってしまった。

魔人ノスの本当の強さ、そしてあの時間違い無く本気だった魔剣カオスの魔人に対する特効力を。

「ハッ!」

ルシラもノスに向かって拳を放つ。

ノスは全く避ける素振りも見せずにルシラの攻撃を受ける。

「クッ…やはりダメージは無いか」

「いや、ダメージはある。だが、我が肉体を滅ぼす事は出来ぬだけよ!」

「私と戦った時よりもパワーが上がっている…これが本気の魔人か…!」

明らかにノスの力は上がっている。

自分と戦った時でも楽しそうだったが、今のノスはその時以上にこの戦いを楽しんでいる。

「ノス! 何で魔人なんかになりやがった!」

「知れた事! 真なる主を見つけただけよ! それよりも嬉しいぞカイン! まさか再び貴様と楽しめる日が来ようとはな!」

「上等じゃねえか! ドラゴンを止めたってんなら遠慮はしねえ!」

カインの頭上には既に雷雲が出来上がっており、その雲から凄まじい雷がノス目掛けて落ちる。

「ドラゴンの攻撃ならお前の傷だってそう簡単には治らねえだろ! このままぶっ潰してやるぜ!」

「フハハハハハ! いいぞカイン! お前は今でもドラゴンの本能を失っていない! カミーラの奴もドラゴンらしくなってきたが…やはり貴様はいいな! その衰えぬ闘志と魔人への敵意! 昔と変わらぬな!」

カインの攻撃を受けながらもノスは哄笑を止めない。

「貴様が相手ならばこちらも遠慮は必要あるまい!」

ノスの攻撃は本当に苛烈だった。

何しろその拳が当たれば人間なんぞ明らかに絶命するのが分かるレベルだ。

「くっ…これが魔人の力か…!」

「マリーゴールドとは明らかにレベルが違う…この俺が近づく事すらも躊躇われるとは…!」

シロウズとメイは明らかに次元が違う戦いについて来ることが難しくなる。

迂闊に動けばランス達の邪魔になるだけで、明らかに足手纏いになる。

壁になろうにも、そもそもレンが居るので逆に邪魔になってしまう。

「そっちはジルを守ってなさい! ノスと戦いながらアンタ達まで守るなんて事は出来ないから!」

二人の思考を読んだかのようにレンが言葉を投げかけてくる。

当のジルはと言うと、既に魔法の詠唱を開始している。

「…そうだな。私の目的は今は彼女を守る事だ。それが一番戦力になる」

「情けないがその通りか」

シロウズの言葉にメイも苦笑しながら頷く。

ただ、幸いなのはノスはランスとルシラ、そしてレンとカインを優先しているようで、こちらの事はあまり眼中には無い様だ。

「それにしても…あの大将の剣を受けてもダメージにならないとは…」

「肉体的な強さもマリーゴールドを遥かに上回っている。だが、それより厄介なのはあの再生能力…いや、アレは最早進化と言うべきか」

メイはこの戦いが分かっていた。

ノスは無敵結界を使っていないので攻撃は通るが、それがダメージになってるとは言い難い。

その体の頑強さもそうだが、何よりも厄介なのがその強力過ぎる再生能力だ。

回復魔法をかけている訳でも無いのに、どれだけ傷つけてもあっさりと再生する。

これではまさにジリ貧だろう。

「…始祖様の言った通りか」

「む?」

「日光が無ければランスとて魔人に挑むのは難しい。まさに言葉通りだ」

メイは唇を噛むしか出来ない。

カラー最強と言われているが、実際にはこの戦いに参加する事も難しい。

それを思い知らされ、本人としては非常に不甲斐ない。

「相変わらず硬い奴だ! さっさと死ね!」

「フハハハハハ! いいぞ小僧! 貴様のその力、闘神にも匹敵するわ!」

ランスの剣を受けてもノスは全く怯む事は無い。

そしてその強さと戦士としての才覚はランス達に重く伸し掛かる。

無敵結界に頼らぬ精神力に飽くなき闘争心、そしてそれを支える地竜としての力。

全てにおいて、ノスは魔人としては完成された存在だった。

「この、エンジェルカッター!」

「ぬるいわ! その程度で止まると思ったか!」

「クッ! こいつ…」

レンの魔法を受けても大したダメージにはなっておらず、ノスの強烈な一撃を何とか防ぐ以外に無い。

「闘神となった私とランスが居て、無敵結界無しでもこれか…!」

ルシラはノスの驚異的な力に呻くしかない。

自分が1人の時は、この闘神都市Θを支えるために戦えて来たが、こうして強力な仲間達が居ても尚も闘志を剥き出しにする存在には精神的にも疲弊する。

体は全く疲れていないが、それでも魔人の強さには来るものがある。

「もっと傷つけるがいい。その度に硬くなっていくだけだ!」

「チィ…ノスの野郎、魔人になった事で強く成ってやがるな…!」

「カイン! 貴様ならば傷をつけられるかもしれんぞ! 尤もそれはこちらも同じだがな!」

ノスの言葉にカインは口を歪める。

ドラゴンとドラゴンの戦いでは傷をつけば容易には治らない。

そして自分が傷つけば、ランス達を地上に送るという事が出来なくなる。

ノスはそれを見越してカインを挑発してるのだが、そんな挑発に乗るカインでもない。

だが、ドラゴンとして全力を以て戦う事が出来ないというのも事実だ。

「退いて下さい! 行きます!」

ジルの声に皆がジルとノスの射線上から退く。

「ほぅ! 中々の力だ! 良いだろう、撃って来るがいい!」

「白色破壊光線!」

ジルが放った本気の白色破壊光線がノスを飲み込む。

光はノスを飲み込み、その光が消えた時―――ノスは体を焦がしながらも平然としていた。

「中々の力だ…聖魔教団以外にもこれ程の魔法使いが居るか」

ノスはそう言ってジルを見る。

「む…貴様は…いや、違うか」

そしてその姿にかつての主の面影を見出すが、ノスにとってはそれだけだ。

目の前の存在は自分が心酔する魔王ジルとは違う―――そもそも、主であるジルはガイによって倒された事は周知の事実ではあるが、ノスだけはジルが完全に滅んだわけではない事を知っている。

そしてその存在こそが己の真の主なのだ。

「フフ…だが人間も中々やるではないか。小僧、特に貴様は闘神よりも楽しめそうだ」

ノスはランスを見てその顔に笑みを浮かべる。

どこまでも好戦的で、戦いを楽しむ者の笑いで、ランスはそれを見て唇を拭う。

疲れた訳では無いが、この魔人ノスの重圧はランスですらも精神的に重いモノだった。

(カオスが無いとはいえ、こいつ硬すぎるぞ…しかもこいつはまだ本気じゃないからな…)

ランスはノスの真の姿を知っている。

この人型の姿はノスの本来の姿ではなく、ノスの本気はドラゴンとしての姿だ。

だが、ノスは今の状況でもランス達を相手取って遊んでいる。

その証拠に、ノスは闘神の弱点でもある魔法を一切使ってきていない。

「カミーラが目をかける理由も分かる。成程、奴がドラゴンとしての力を取り戻した理由が貴様か。フフフ…まさかたかが人間如きがあのカミーラを動かすとはな…分からぬものよ」

「フン、何勝手に納得してやがる」

「尚の事楽しめると言うものだ。貴様を殺した時のカミーラの顔が楽しみだ」

「やかましい! とっとと死ねーーーーーっ!」

ランスの剣をノスは今度はその強靭に再生した腕で受け止める。

「何だと!?」

先程までに切っ先が刺さっていたはずのランスの剣が、ノスの腕で受け止められたのだ。

その鱗が少し剥げただけで、その下の肌に当たっている感触が感じられない。

カオスを持っていた時では考えられない衝撃にランスは顔を歪める。

いや、カオスを持っていた時ですらノスという存在は異常に硬かった。

だが、今のノスはランスの腕をもってしても斬るのは難しい程の硬度を持っているのだ。

「誇るがいいぞ! 貴様の剣はこのノスをも傷つけられるのだからな!」

ノスの拳が迫り、ランスはそれを剣で受け止め、後方に飛ぶ。

そのランスを見て今度はノスが目を見開く。

普通の剣ならばノスの拳の前では簡単にへし折れるだろう。

だが、ノスの拳に帰って来たのは剣とは思えぬほどの硬度だった。

それこそこれまで何度も潰して来た闘神や闘将…いや、それすらも上回るかもしれぬ感触にノスは笑う。

「ほう…中々の得物を持っているようだな。そして腕もいい…どうやらあの時よりも更に腕を上げたようだな…小僧」

「フン、あの時と一緒にするなよ」

「ククク…カミーラの奴はどうやら今でもお前に執着しているようだな。その理由も分かるというもの…確かに貴様は上等の獲物だ」

ノスはランスを見る。

「面白い…面白いぞ。よもやこのような戦いになるとは…予想もしておらぬわ!」

「な…まさか!?」

ノスの手に巨大な炎の塊が現れた事でルシラは驚愕する。

これまでノスが魔法を使って来た事は無かった。

あくまでも己の肉体だけを使って戦いを進めてきた。

魔法は闘神と闘将にとっては唯一の弱点、ノスはそこをついて来ることは無かった。

魔法が使えない魔人なのかと思ったが、どうやらそれは思い込みだったようだ。

つまりはノスは闘神Θを相手に、魔法を使わずに言葉通り遊んでいたという事を思い知らされた。

「遠慮は必要あるまい! 小僧! 闘神! 喜ぶがいい! 貴様等はこのノスに殺される資格を得た!」

そう―――ノスが本気でランス達を潰すため、戦いの楽しみをより感じるため、そして過去の戦いのように殺し殺される感触を味わうため。

「死ぬがいい! 人間! 闘神! グレートファイヤーボール!」

それはノスの使う強烈な炎の塊を投げつける攻撃。

しかしそれは人間が喰らえばそれだけで致命傷になるレベルの凶悪な攻撃だ。

それを闘神Θに向けて放って来たのだ。

しかもこれは魔法なので必ず当たる―――それが魔法というこの世界のルールなのだ。

「クッ…!」

いくら素早く動けるルシラであっても、魔法だけは話は別だ。

そして闘神と闘将は物理には強いが、魔法は弱点なのだ。

闘神は魔法によって動く存在、故に魔法を阻害する素材を使って闘神と作る事は出来ないとされている。

ノスはこれまでルシラとの戦いで魔法を使ってくる事が無かったので、ここまで戦い続ける事が出来たのだ。

「このっ!」

そのルシラをレンが庇う。

今ルシラが倒れれば結果的にランス達への影響が大きい、そう判断してノスの攻撃から庇ったのだ。

「ほう! 防ぐか! 人間もやるではないか!」

魔法と技能の複合でノスの攻撃を防ぐが、逆にノスはそれを見て喜ぶ。

全てが戦いのスパイスとなり、ノスには戦いへの喜びに狂喜するのだ。

「さあ来るがいい! 戦いはまだこれからだ!」

元魔人四天王ノス―――その力はまだまだ本気とは程遠い。

ランスは以前にノスと戦っているからこそ、それを嫌という程理解していた。




多分ノスが第一次魔人戦争に参加した魔人で一番強いと思います
ぶっちゃけ03で倒せたのが奇跡なくらいに強いだろ…ノス
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