ランス再び   作:メケネコ

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第一次魔人戦争㉕

「どうした小僧! 闘神! カイン! まだまだ戦いは始まったばかりだぞ!」

 ノスは狂喜の笑みを浮かべながらランス達に攻撃を仕掛ける。

「チッ! 元気になりおって!」

 ランスはノスの攻撃を避けて反撃するが、それが効果が有るとは言い難い。

 確かにランスの剣はノスを斬れる。

 斬れるのだが、ノスはそのダメージ以上の再生能力で己の体を再生させている。

 しかもその部分から新たな肉が盛り上がり、更にはその部分が硬くなっていっている。

 それがノスの地竜としての力なのだ。

「ノス!」

「来るがいいカイン! まだ闘志を衰えさせぬドラゴンとこうして戦えるとは思わなかったぞ!」

「上等じゃねえか!」

 カインのブレスにもノスは一歩も退かない。

「ぬるいわ!」

 それどころかブレスを突っ切ってカインに接近する程だ。

 カインは空中に飛び上がるが、それを見たノスはカインに追撃をしようとする。

「はあっ!」

 そこをルシラが攻撃をするが、ノスは全く応えていない。

「フフフ、貴様との遊びは楽しかったが、遊びは終わりだ。潰れるがいい!」

 ルシラにはノスがどう攻撃してくるか分かる。

 流石の闘神といえども、ノスの攻撃を食らえば間違い無く体が破損する。

 彼女は己の能力をフルに使い、ノスの攻撃を受けないように立ち回っている。

 だが、今のノスには言葉通り遊びが無い。

「死ぬがいい!」

 これまで使ってこなかった魔法を使い、ランス達を殺すべく本気の殺意を向けてくる。

「全く…! 本当に厄介な奴ね! どれだけ硬いのよ!」

 レンはノスの攻撃を防ぎながら攻撃を加えるが、その異常なまでの硬度で中々ダメージが与えられない。

「ほう、我が体を打ち付けても砕けぬか。中々良い武器を持っているようだな」

 逆にノスは自分を打ち付けても壊れない武器を称賛する程だ。

「これが…元魔人四天王ノス…闘神都市を落とす魔人か…!」

 シロウズは次元の違う戦いについて行くことが出来ない自分に歯噛みする。

 ランス達の戦いはまさに人外の戦いとでも言うべきもので、シロウズクラスの強さを持つ者でも入れそうにない。

 入れるかもしれないが、今の自分は間違い無く足手纏いになってしまうだろう。

 だからこそ、レンは自分達に魔法使いであるジルを守るように言っているのだ。

「ああ、まさにレベルが違う戦いだ。フフ…聖魔教団はこれ程の魔人と戦っていたのだな…」

 メイは凄まじい戦いの光景に口角を上げていた。

 確かにレベルの違う戦いだが、これこそ本気の魔人の戦いを感じ取っていた。

 そして弓を構え、ノスに向けて狙いを定める。

「メイ!」

「問題無い…相手の注意を逸らすだけだ。それにノスが俺を狙えばその隙を見逃さない奴がいるだろう」

「だが!」

「このまま行ってもジリ貧だ。それよりも打ち勝つ事で勝機を見出す」

 メイは力を貯めて弓を引く。

 放つのにはタイミングが重要で、迂闊な一撃は逆に自分の死に繋がるだろう。

 だが、その状況においてもメイトリックスというカラーは冷静だった。

「メイさん! 私も合わせます!」

 ジルも魔法の詠唱を終え、何時でも放てる準備をする。

 白色破壊光線級の魔法に耐えるノス相手に何が出来るか分からないが、それでもジルの魔力ならばノスにもダメージを与えることが出来る。

「ああ、タイミングは俺に任せろ」

「全く…君達を守るのは私に任せろ」

 シロウズも盾を構えて二人を守るために前に立つ。

 ジルから放たれる強力な魔力にルシラも気づく。

(この魔力…やはり彼女の魔力は凄い。私達聖魔教団の幹部に匹敵…いや、それを上回る。流石にルーンには及ばないが、やはり彼女も世界最高峰の魔法使いだ)

 それだけに協力を得られなかったのは惜しいが、それが彼女の人生なのだから口出しをするのは筋違いだ。

 そして今の自分は闘神、ジルを助ける事が出来る。

「ジル! この闘神都市の魔力を使え!」

「ルシラ?」

「マナバッテリーの魔力をお前に少し回す! それくらいなら問題無い!」

 ルシラはそう言うと、聖魔法を使いこの闘神都市を浮遊させているマナバッテリーから少しジルに魔力を回す。

 この闘神都市を浮かせる程の魔力なのだから、少しであってもその魔力は膨大だ。

 少しくらい魔力を回しても、後で補充すれば問題無い。

 それよりもノスを倒す方が先だ。

 自分だけでは絶対にノスを倒す事は出来ない、それを嫌という程思い知らされた。

 他の闘神が居れば話は別だろうが、他の闘神も魔人に襲われてそれ所ではない。

 だからこそ、ランス達が居る今しかチャンスは無い。

「ほう! いいだろう、来るがいい!」

 ノスはそれを見ても闘志をむき出しにして笑う。

「バケモノが…!」

 それを見てシロウズは思わず吐き捨てる。

 人間を見下しているのが、ただの闘争本能なのかは分からないが、まさにバケモノとしか言えない存在だ。

 しかもノスは無敵結界を使っていない、それでも闘神とランス達を相手に一歩も退かない。

「いい加減に死ねーーーーーっ!!」

 ランスの攻撃にも全く応えない。

 恐ろしい程の硬さと腕力でランスを意にも介していないのだ。

「チッ、無駄に硬い奴め…!」

「ククク…いいや、効いてるぞ小僧。貴様ほどの剣の使い手は魔人にもおらぬだろうな。誇るがいい、この体を傷つけられる己の剣をな!」

 ノスはランスの剣を称賛しながらもその拳をランスに向ける。

(マズいぞ…このバケモノじじいがこんなに強かったとは…リーザスで戦った時よりもキツイぞ)

 かつてリーザス城でノスと戦った時よりもランスは遥かにパワーアップしている。

 それは間違い無いのだが、目の前の魔人もまたあの時よりも強く感じる。

 理由は単純、今のランスにはカオスが無いからというシンプルな原因だ。

 ランスはカオスを魔人と戦う時だけは役に立つかもしれない剣と思っているが、カオスはランスが思っている以上に魔人に対しては特効なのだ。

 何よりも、魔人の再生能力を殺せるというのが非常に大きい。

 それが無い限り、ランスとしても非常に厳しいのが現実だった。

「フハハハハハハ! もっと攻撃を加えるがいい! その度にこの体は強靭になっていくだけだ!」

 ノスの言う通り、ランス達が攻撃を加えてもノスの体はどんどんと進化をしていく。

 どれだけ肉を叩こうが斬ろうが、ノスの肉体は再生を続けその分が硬質化してくだけだ。

「行くぞ小僧!」

 ノスがランスに攻撃を加えようとした時、その頭部に矢が突き刺さる。

「むぅ!?」

 その威力には流石のノスもバランスを崩す。

 それ程の威力の矢が放たれたのだ。

「皆さん! 退いて下さい!」

 その時、ジルの声が響く。

 ランスがジルの方を見るとそこには先程よりも明らかに凄まじい魔力を放出している。

 ランス達はジルとノスの射線上から避ける。

「黒色破壊光線!」

 同時にジルから凄まじい魔力が放たれる。

 先程の白色破壊光線よりもランクが上である、黒色破壊光線。

 それがノスの体を飲み込む。

 その闇が晴れた時―――そこにはやはり両の足で立っている魔人ノスの姿が在った。

「フフフ…中々楽しましせてくれる…これ程の魔法を受けたのは初めてかもしれぬな」

 流石にその鱗もいくらか剥げ、体からも血が流れている。

 だが、それでもノスが倒れる気配は全く無い。

「あの魔法を受けてもまだ倒れないのか…!」

 ルシラは魔人ノスの耐久力には内心で唇を噛むしかない。

 今の魔法はルシラが知る限りではルーンに次ぐ威力だ。

 それにも関わらず、ノスは耐えた―――それどころか、どこか余裕すら感じられる。

「不死身なのか…!?」

 シロウズも今の魔法で倒れない魔人の存在には震えた声を出す。

「さあ小僧に闘神…まだまだ戦いはこれからだ!」

 それどころかその体は限りなく再生を初め、再び筋肉が盛り上がり新たな鱗も現れる。

(ぐぬぬ…これはマズいぞ。今思い出したが、こいつこれでもまだ本気じゃ無かったはずだ)

 魔王ジルの衝撃が強すぎてノスの事を片隅に追いやっていたが、こうして戦う事でノスの事を完全に思い出した。

 今の人型のノスは本気では無いのだ。

 ノスはドラゴンの魔人であり、本来の姿は小山程の大きさのある巨躯のドラゴンなのだ。

 そのノスをリーザスでの戦力で倒せたのはまさに奇跡と言っても良かったほどだ。

(確かこいつはドラゴン…む、ドラゴンだと?)

 ノスの本体を思い出した時、ランスはこの魔人がドラゴンだった事を思い出す。

(待てよ、確かドラゴンって同じドラゴンからの攻撃だと傷の治りが遅かったよな)

 それは魔人カミーラが魔王アベルとの戦いで傷を負った時の事だ。

 アベルとの戦いの後で、ランスとカミーラはルドラサウム大陸へと戻ったが、その後でランスはカミーラとの戦いを強いられた。

 ただ、その時のカミーラは万全では無かった。

 その理由は魔王アベルにつけられた傷が癒えてなかったからだ。

 その時にドラゴン同士でつけられた傷は簡単には治らない、とカミーラから教えられた。

(だったら…今の俺様ならやれるかもしれん)

 ドラゴンの力―――それは今のランスにも有る。

 カミーラにも傷をつけられるあの力が。

「フン、偉そうに言ってられるのも今の内だ」

「吠えるか、小僧。だが、貴様ではこのノスに傷をつける事は出来ても倒す事は出来ぬ」

「ガハハハハハ! だったら思い知らせてやる! バケモノジジイ! お前は殺す!」

 そう言うと、ランスの体から黒い稲妻が走る。

「あ…そうか、それがあったか!」

 レンはランスを見て目を見開く。

 アレからランスはあの力を使っていなかったので失念してたが、ランスには新たな力があるのだ。

 魔王アベルから受け継いだ―――いや、魔王ではなくブラックドラゴンであるアベルから受け継いだ力。

 雷竜であるアベルから無理矢理託されたドラゴンの力。

 それが今のランスには宿っている。

「何だと…!? 小僧、貴様!?」

 その衝撃にはノスも驚愕に目を見開く。

 あり得ない事―――それが今目の前で起こっている。

 しかもその力はあの忌まわしきドラゴンである魔王アベルなのだから、ノスとしてはまさに驚愕するべき出来事だ。

「な…アレは…アベルの力!? 魔王じゃねえ…ドラゴンとしてのあいつの力なのか!?」

 ランスの体から浮き出てくる黒いドラゴンを模った稲妻を見てカインもまた目を見開いて驚く。

 何しろアベルはカインの兄弟ではあるが、ドラゴンの王冠たるカミーラを魔人にした怨敵だ。

 そしてそのアベルの力をランスから感じられるというのは非常に不可解な事だ。

「いや、今はそんな事はどうでもいい。ランスがアベルの力を使えるってんなら…行けるかもしれねえ!」

 アベルの言葉に応えるかのように、天からランスの剣に向けて黒い稲妻が落ちてくる。

 それはランスを貫く事無く、その剣に大きな力となって宿る。

「ルシラ! 援護!」

「分かった!」

 レンの言葉にルシラも手早く動く。

 ルシラもランスの力を知ってはいるが、その詳細は知らない。

 だが、魔人が驚いている所を見るときっと何か有効な手段なのだろうと判断する。

 ならば後はランスに攻撃を任せ、自分はそのための援護をするだけだと割り切る。

「ガハハハハ! 行くぞ、化け物ジジイ!」

 雷を纏ったランスが凄まじい速度でノスとの距離を詰める。

 その速度には流石のノスも反応が一瞬鈍る。

 だが、その一瞬こそが戦いにおいての結果を出す瞬間だ。

「とーーーーーっ!」

「む、ぐおおおおおおおお!?」

 ランスの剣は強固なはずのノスの筋肉を容易く貫く。

 腹部に突き刺さったランスの剣はノスの強靭な肉体をも貫いた。

「こ、これは!?」

 自分の肉体をもあっさりと貫いたランスの剣にノスは本気で驚く。

 これこそまさにドラゴンの雷撃そのものだったからだ。

 アベルはブラックドラゴン、上位竜種ではない。

 アベルの兄であるカインがブラックドラゴンの上位種である、オブシティアンドラゴンと呼ばれる存在だ。

 そのはずなのに、その力を宿した人間は地竜である自分の体を簡単に貫いた。

 しかもそこから凄まじい雷撃が体全体に流れてくる。

 これは間違い無くドラゴンの攻撃、それは同じドラゴンであるノスの再生能力が殺される事を意味していた。

 だが―――それでもノスは笑った。

 ランスもそれを感じ取り、ノスから剣を引き抜く。

 ここから剣を捻り、傷口を広げようとしていたのだが、凄まじいノスの殺気にそれが出来なかった。

「いい反応だ。貴様がこの体を抉っていれば、その頭は砕けていただろう」

 ランスに刺された所から血を流しながらもノスはニヤリと笑う。

「ノス! くばたりやがれ!」

 カインが口から凄まじいブレスを吐き出すが、ノスはその稲妻に耐える。

「その程度でこのノスが倒れると思っているのか!」

 それどころかそのままブレスの中を突っ切り、カインに向かって拳を振るう。

 カインもその巨大な爪でノスを迎え撃つが、逆にカインの爪が砕ける程だ。

「ノス!」

「カイン! この程度でこのノスを倒せるとは思いあがったな!」

 そのままノスはカインに拳を向けるが、

「やらせん!」

「ライトボム!」

「チョウアンコク!」

 メイの矢とレン、ジルの魔法が突き刺さる事でバランスを崩す。

 その隙にカインはノスとの距離を取り、そのカインの前にルシラが立つ。

「ハハハハハハハ! それでいい! これこそ戦いよ! これこそが求めていたもの、さあ、まだまだ戦いはこれからだ!」

 ノスの体がまた再生していく。

 ランスが傷つけた部分ももう血が止まっている。

 ただ、これまでのように新たな肉が盛り上がる事は無い。

「チッ」

 それを見てランスは舌打ちするしかない。

 確かにランスの攻撃は通用したが、致命傷にはまだ程遠い。

 しかもノスはまだ本気ではないのだから、ランスとしてもたまったものでは無い。

 いくらランスの剣でダメージを与えることは出来ても、結局は魔人ノスの持つ強烈な再生能力を殺す事が出来ない限りはジリ貧となってしまう。

(ランス、ランス!)

(何だケッセルリンク)

(スラル様と共に使っていた、あの時のバスワルドの力を使う事は出来ないのか)

(…今スラルちゃんがこの剣の中に居ないから無理だな)

 ケッセルリンクがランスにしか聞こえないくらいの言葉でランスに話しかける。

 あの時の力とは、一番最初に無敵結界を斬った時の力の事を言っている。

 ランスの剣はレキシントンの凄まじい筋肉を持った肉体をも容易く斬ることが出来た。

 今のランスの剣は確かに無敵結界を無視出来るが、あの時程の力を出す事は出来ない。

 良くも悪くもランスの剣はハウゼルとサイゼルとのセックスによって安定しているのだ。

 不安定だったからこそ、スラルの膨大な魔力と引き換えにあれ程の力を出せたのだ。

(私にはスラル様のような付与の力は無い…歯がゆいな。お前の力になれない)

(フン、幽霊は幽霊らしく大人しく俺様の活躍を見てろ)

 ランスの背後には既に稲妻がドラゴンの形を模っている。

 それを見てノスがニヤリと笑う。

「ほう…懐かしき姿だ。あの臆病者が再びこの世界に姿を見せるか。だが、それも良かろう」

 ノスは忌まわしいはずの元魔王の姿を見てもその闘志は変わらない。

「ますます壊し甲斐があるわ!」

 その言葉と共に再びノスの筋肉が膨張する。

 体には黒い鱗が生えてきて、ランスが傷つけた場所以外が変色していく。

「さあこい!」

 そして本当に楽しそうにランス達に攻撃をする。

「ランス様…!」

 それを見てジルは歯噛みするしかない。

 ジルの魔力をもってしてもノスに対してあまりダメージを与えることが出来ない。

 もし今のランスに日光があれば、ジルの魔法でもノスに対して有効打になるはずなのだ。

 だが、その日光が無い状況では魔人を相手にするには状況が悪すぎた。

(ジル、聞こえるか)

(スラルさん!?)

 突如としてジルの脳内にスラルの声が響く。

(ノスを闘神都市から落とす。それ以外にこの状況を打破する手段が無い)

(落とすと言っても、どうやってあの魔人を落とすんですか?)

(ランスとカイン、そしてルシラの力でだ。確かにノスは厄介だが、やってやれない事は無い)

(方法があるんですね?)

(ああ。今の我とお前、そしてこの闘神都市の魔力を使えば一度だけだが我が魔王時代に使っていた魔法を使える)

(…今の私に出来ますか?)

(出来る。お前も我も元魔王。魔王ジルの分裂魔法でお前にも僅かにだが魔王の血は残っている。確かに我の必殺の魔法は魔法LV3相当だが、我等の力を相乗すればそれに近い事が出来る)

(分かりました。やりましょう)

 スラルの言葉にジルは迷いなく答える。

「ルシラ! もう一度闘神都市の魔力を私に!」

「…! 分かった!」

 ジルの言葉にルシラは一瞬驚くが、ジルの言葉に直ぐに従う。

 マナバッテリーは幸いにも無事だし、格闘能力が主体の闘神Θはそれほど魔力を必要としない。

 なのでマナバッテリーの魔力をジルに送る事はまだ出来る。

「カインさん! ノスを闘神都市から落とします!」

 ノスには聞こえないように、後ろに下がって来てたカインに話す。

「あの野郎をか!? …それしかねえか」

 カインはジルの言葉を聞き、それしか無いかと口を歪める。

 魔人となったノスは非常に強い、それをカインは思い知った。

 かつてドラゴンと魔物の戦いがあった時も魔人は当然存在した。

 だが、当時の魔人には無敵結界が無く、強大な力を持つドラゴンならば十分に対抗出来ていた。

 しかし、今の無敵結界を持ち、尚且つ年月を重ねた魔人となれば話は別だった。

 しかも相手はあの地竜ノスだ。

 今ここで倒すのは難しいと、基本的に聡明なドラゴンであるカインは気づいた。

「合図はあるか?」

「私の魔法で。メイ、ランス様達に伝えられますか?」

「ああ。それくらいは役に立って見せよう。シロウズ、ジルを何としても守れよ。後でランスに殺されたくなかったらな」

「ああ、私もそれくらいはな。少しでも役に立って見せるさ」

 シロウズの言葉にメイも剣を持って戦いに参加する。

 同時にジルも足元に魔法陣を構築する。

 こうして魔力を限界まで引き出してから放たなければ、あのノスに対して通用するか分からない。

「小僧! 来るがいい! 貴様の力をもっと見せてみろ!」

「フン、そんなに食らいたければ何発でもくれてやるわ!」

 ノスはランスとルシラ、そしてレンの3人を相手にしても全く退かない。

 それどころか、むしろランス達を圧倒する程だ。

「バケモノめ…!」

 ルシラは改めて魔人という存在の中でも、元魔人四天王という存在の大きさに圧倒される。

 これまでルシラも色々な魔人に狙われてきた。

 だが、それでもルシラは持ち前の能力とその機転で何とか耐えてきたのだ。

 伊達に10年も魔人を相手に持ちこたえている訳では無いのだ。

 しかし、その中でも魔人ノスは別格だ。

(これが元四天王…だとすれば、現存している四天王はどれだけ強いのか…)

 魔人四天王の存在はルシラも聞いてはいる。

 魔人ケイブリス、魔人カミーラ、魔人ケッセルリンク、魔人シルキィ…これらが現存の魔人四天王だ。

 その中でこの戦争に参加しているのは実はカミーラしか居ない。

 そのカミーラも別に積極的に参加している訳では無く、時たま思い出したように使徒を伴って襲ってくるだけだ。

「今の私とランス達が居て、無敵結界が無くても倒せないのか…」

 今回の戦争はまだ聖魔教団は準備の途中だった、その事実が重く伸し掛かる。

 しかし、ルシラがそう思っている中、ランスという男は違った。

「し、ねええええええええええ! ラーンスアターーーーーーック!」

「来るがいい! 小僧!」

 ランスの必殺の一撃とノスの拳がぶつかる。

 二人の間で凄まじい衝撃がぶつかり合い、二人は同時に飛ばされる。

 体格に勝るノスの方でも完全に耐える事が出来ない程の衝撃だが、ノスはやはり止まらない。

 それはランスも同様で、ランスは身軽に着地をすると、そのままノスに向かって凄まじい速度で斬りかかる。

「早い…!」

 その速さは闘神であるルシラですらも目を見張るほどだ。

 動きに全く無駄が無く、今ランスが身に纏っている雷のようにまさに雷光と錯覚するほどだ。

 それに加えて、ランスの技が合わさればそれこそ魔人に届くのは間違い無いだろう。

「フハハハハハ! もっとだ! もっと来るがいい! カミーラを楽しませたように、このノスを楽しませろ! それが貴様等人間の義務だ!」

「フン! 偉そうに言っていられるのも今の内だ!」

 ランスとノスがぶつかっている時、メイがルシラとレンの側に現れる。

「ノスをこの闘神都市から落とす」

「…出来るか? 見ての通りノスはそう簡単に落とせるような奴じゃ無いぞ」

「ジルの魔法とカインの力で落とす。それで時間を稼ぐ」

「それしか無いわね。今のままじゃ間違い無くこの闘神都市は落ちる」

 メイの言葉にレンは頷くしかない。

 それ以外にこの現状を打開する術は無い、それがこのノスという魔人の力なのだ。

「分かった。ならばそれは闘神である私の役割だ」

 ルシラもジルの強烈な魔力を感じ取っている。

(…こうして友と戦える。それがこんなにも頼もしいとはな)

 今、聖魔教団は苦境に立たされている。

 そんな状況でも、ルシラはかつての仲間、そして強大な壁となって立ちふさがった男と共に戦える事に、どこか高揚感を感じていた。




改めてノスの設定とかを考えるとやっぱりカオス日光無しにノスは無理だなと
というかカオスに斬られて尚も再生を続けてるのを考えると、ノスは厳し過ぎる
魔人の中にも相性はあるんでしょうが、真正面から強いノスは本当に強い
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