「で、どうだ」
「ハイ、やはり戦争はもう秒読みのようです。大量の食糧が運び込まれ、軍も集結しています」
「そうか。引き続き情報を集めろ。それと俺様が要求したものはあるんだろうな」
「それも用意してますが…何に使うんですか?」
「それはお楽しみだ」
ランスはニヤリと笑うと立ち上がる。
「もう一つの国はどうだ」
「そちらも戦争の準備をしています。それとランス様が用意しろといった物も用意してあります」
「オーケオーケ。ならば一先ずは静観だな」
ランスとしては別にどちらが勝とうが構わない。
あくまでも、魔法のアイテムと絶世の美女と呼ばれるシャロン姫を手に入れる事が目的だ。
「ランス、静観はいいけど、どう動くの? 本当にこれで目的の物が手に入るの?」
「当たり前だ。だが、そのためにはタイミングは非常に重要になるな」
「私はその辺りは詳しくないしね…ランスに任せるわ」
レダは手をひらひらと振ると、
「じゃあ私はモンスターを排除してくるわ」
そう言って部屋を出る。
レダにとってはほとんど日課になっているが、たった一人でモンスター達を撃破する彼女に、盗賊団達もひれ伏している。
「ランス」
ランスの剣からスラルが出てくる。
普段はランスの剣の中で何か調べ物をしたり、実験などをしているらしい。
中々便利な空間のようで、スラルには何の不満も無いようだった。
「その…女の子を助けるのが目的なんでしょ? 何であんな作戦を立てたの?」
ランスはスラルとレダには今回の作戦を話していた。
ランスもある意味非常に優れた頭脳を持っており、その力を持って、ヘルマンのトーマ・リプトンを倒してリーザス城を解放した。
そしてその指揮能力や統率力は、JAPANで長年織田家に仕えていた3Gも認める所である。
そんなランス達の状況において、足りないのはやはりランスの作戦を補佐する軍師だ。
ヘルマン革命の時も、真田透淋がランスの軍師となってその力を発揮させていた。
「うむ、俺様の目的はシャロンちゃんと魔法ハウスだ。それらを同時に手に入れるためには、この方法が一番いいのだ」
「うーん…私は人間の事はよく分からないけど、そんな簡単にいくのかなぁ」
実力に関しては疑う余地は無い。
実際にランス、レダ、大まおー、スラルの力ならばこの作戦は上手くいくだろう。
そのための仕込みを今はしている状態だ。
「でもさ…ランスのレベルに関してはどうするの? 幸福ポックル…あれから一つしか見つかって無いしね」
「忘れていたことを言うな。だが、今でも経験値がおかしいのだからどうしようもないな」
街のレベル屋にて、ランスのレベルを上げてもらおうと思ったが、今でも経験値がおかしいようでレベルが上がらない。
一緒に冒険をしていたレダ、そして意外にもレベルが存在するスラルはあれからレベルが上がっている。
本来ランスのレベルは非常に上がりやすく、下がりやすい。
現在はレベルが下がらないのはまだいいが、やはり上がらないほうが辛い状況だ。
「ウィリスの奴め…さぼりおって」
「ランスの担当レベル神よね。でも何で呼べないのかしらね?」
スラルも頭を捻るが、答えは出てこない。
「この中でもレベル神持ちのメンバーなんていないし」
優秀な人間にはレベル神がつき、態々レベル屋に行かずともレベルを上げることが出来る。
生憎とこの盗賊団にはレベル神つきの人間はいないようだ。
「それも何とかしなければならんな」
現状でどうしようもない事はとりあえずおいておく。
「それよりもスラルちゃん。君からは何か無いのか」
「私かあ。正直魔王だったときから割りと力押しの部分もあったしね…ランスを魔人にしようとして頭は使ってたけど、こういう事に関してはちょっと…」
スラルも色々な可能性を考えてみるが、現状で考えられるのはやはりランスの作戦しかない。
「ランスって、何時もあんなにあくどい作戦を考えてるの?」
「あくどいとはなんだあくどいとは。シャロンちゃんとお宝を頂く一石二鳥の作戦ではないか」
「一気に二つ求めるなんて強欲ねー。でもランスならやるんでしょうね」
この一年、魔王としてではなくスラルという一個人としてランスを見てきたが、類まれなる強運と決断力を持っているのは分かる。
そして一度手に入れようと思ったら、どんな事をしてでも手に入れようとする実行力。
決して口だけでは無く、それを実行するだけの力、頭、そして自分には一番持ち得なかったものをもっている。
(いいなあ…ランス。私が欲しくても持てなかったカリスマをもってるし…)
そこは非常に羨ましい。
「でも私も何か考えてみるわ。私はランスよりもずっと長生きしているしね…知識だけは負けるわけには行かないわね」
スラルは自信ありげに胸を張る。
「そうか。じゃあ期待させてもらうか」
「ボス! 言われていたものを用意しました!」
「サイズは合うんだろうな」
「勿論です」
部下の一人が戻ってくると、ランスが望んでいたものが目の前に置かれてある。
ランスが望んだもの…それは戦争を起こす国の正規兵が着ている鎧…それも全身が隠れるほど大きなものだった。
それを見て、ランスは過去のヘルマンのブラックナイツと呼ばれた兵士を思い出す。
ヘルマン兵もまた、全身をすっぽりと覆うタイプの鎧を着ていた。
「うむ、それで時間はどれくらいある」
「まだ不明です。もう少し猶予があるとは思いますが…」
「そうか、ならお前達は警戒しとけ。俺様は行く所がある」
「ランス様自らですか?」
「当然だ。何時までもこんなむさ苦しい所にいられるか」
ランスは立ち上がると遠出の準備を始める。
勿論これもランスの計画の内だ。
一口で戦争を始めると言っても、そう簡単な事でもない。
恐らくまだ猶予はあると思っているし、実際にもまだ時間があった。
ならばランスは己の目的を果たすために必要な事をするだけだ。
女の子を手に入れるためならば、どんな苦労をも厭わないのがランスという男だった。
「レダ、まおー、行くぞ」
「分かったわ」
「まーおー」
こうしてランス達はもうひとつの国――即ち、絶世の美女と呼ばれるシャロン姫がいる国へと踏み込むことになった。
「こうも簡単に進入できるなんてね。あの盗賊団も伊達じゃないって訳ね」
「そうよね。今までの事を考えればすんなりと入れるのは有り難いわね」
こうして進入する事に成功したランス達は、とりあえず宿を取る。
「それでランス様。これからどうするのですか?」
ランス達についてきたスピリツが聞いてくる。
この国に行くと言った時に、同行を申し出たのが彼女だ。
彼女は普段の動きやすい服装では無く、商人の服装をしている。
ランスとレダもスピリツの助言に従い、商人の護衛としてこの町に入る事になった。
少々予定と違ったが、何も問題なく入れたのであれば何も問題は無かった。
「うむ、まずは…おいまおー」
「まお!」
大まおーは一見するとぬいぐるみのようにしか見えないため、何も問題なく共に来れている。
「お前は城の宝物庫の位置を調べるのが仕事だ」
「まーおー」
「…本当にこれが役に立つのでしょうか」
スピリツは少々大まおーを疑っていたが、実際の強さは目にしている。
何体もの魔物が大まおーの炎に焼かれている所を見ているため、その強さは本物だ。
「役に立つ。それよりも、お前が仕込んでいる男とやらは何処にいる」
「あ、はい。仲間を3人ここの志願兵として送り込んでいます。近くの酒場で会う事になっていますので、行きましょう」
スピリツに案内され、ランス達は酒場につく。
酒場というものは普段は賑わっているのだが、やはり戦争が間近という事から利用客は少ない。
居るのはやはり兵士や商人が多い。
そんな状況だからか、商人の服装とその護衛という形をとっているランス達も問題なく溶け込める。
ランス達が待っていると、3人の兵士がランス達と同じテーブルに座る。
「お待たせしました。ボス、スピリツさん」
「遅いぞ」
「すいません。やっぱり兵士となると時間も自由に取れなくて…」
この3人の兵士は盗賊団の一員で、スピリツの命令によってこの国の兵士として侵入している。
「どうしやしたか。まだ戦争までには時間がかかりやすが…」
「今回は別件。ランス様があんた達に用があるんだって」
「なんですか、ボス」
「これはお前達にも出来る簡単な事だ。こいつを持って宿舎に戻れ。それだけでいい」
ランスが差し出したのは、大まおーだ。
大まおーは身動き一つせず、一言も喋らないため完全にぬいぐるみにしか見えない。
「…これ、まおーさんですよね」
「そうだ」
この3人も当然大まおーの事は知っている。
こんな妙な物体だが、強さは特上であり、盗賊団員が束になっても敵わない実力者だ。
「こいつなら問題無い。だからお前達はこいつを運ぶだけでいい」
「わ、わかりました」
団員の一人が大まおーを受け取る。
大まおーはぬいぐるみのフリを貫くつもりらしい。
「では行け。どんな小さな情報も見逃すなよ」
「了解しました」
団員たちはしばらくスピリツに指示を受けた後、大まおーを抱えて酒場から出ていく。
「…今更ですが、大丈夫でしょうか」
「問題無いでしょ。正直アレが倒されるなんて無いしね」
(だって悪魔だし…アイツ)
ランスは大まおーを役に立つ物体としてしか見てないだろうが、アレは正真正銘の悪魔だ。
バランスブレイカーのアイテムを取り込んでいたとはいえ、魔人や自分達と大立ち回りを繰り広げたほどの悪魔だ。
それこそランスクラスの人間を用意しなければ倒すなど不可能だ。
「それで、これからどうしますか? 目的の一つは果たしましたが…」
「スピリツはこのまま情報を集めろ。俺様とレダはもう少し見て回る」
「ハイ! お気を付け下さい」
「あ、待って。スピリツって何で盗賊団に入ったの? アンタの兄のリバウドもそうだけど、盗賊団って感じじゃ無いわよね」
レダがスピリツに尋ねる。
リバウドとスピリツの二人は、明らかに盗賊団の中では浮いている…勿論良い意味でもだ。
「ああ…兄は元々軍人だったのですが、国との確執があったようでして…国を追われてしまいまして。私以外に家族はいませんでしたから、私も兄について国を出たんです」
「それは分かるけど、どうしてそれが盗賊団に?」
レダの言葉にスピリツは笑って頭をかく。
「それなんですが…やっぱり食べるのにも困ってしまいまして。その時にランス様が倒した盗賊団のボスに拾われまして。何を間違ったかそこで私も兄も重宝されて…」
「ああ…なるほど」
スピリツの言葉にレダは納得する。
確かにこの二人の手腕は中々のもの…勿論人間の中ではという意味だが。
リバウドは人を纏める技能があり、スピリツには商才がある。
それ故にボスもこの二人を使っていたのだろう。
「やめようとは思わなかったの?」
「あはは…何回か思ったのですが、中にはやむなく盗賊になる人もいましたから、見捨てられなくて…」
「そうなんだ」
この兄妹は根が優しいのだろう。
それ故に他のメンバーを見捨てる事が出来なかったのだろう。
「ありがと。変な事聞いて悪かったわね」
ランスとレダはそのまま酒場を出る。
やはり街の空気は戦争が近いとあってか、ピリピリしている。
ランスも戦争を経験してはいるが、あの時もこのような空気だったかと思う。
「しかし国と言っても意外と小さいな。てっきりリーザス城みたいなものを想像してたが」
「流石にあれほどの城と比較するのはどうかと思うけど…でもこんなものじゃない?」
「うーむ…」
ランスは目の前にある城を見上げる。
ランスもまさに一国一城の主だが、流石に個人で持つ城と比べれば大きい。
「参考までに聞くけど、ランスならどう攻める?」
剣の中にいるスラルが聞いてくる。
姿を見せずとも声が聞こえるのはカオスと同じだが、違うのはやはり女性の声だという事だ。
あのダミ声を長時間聞くと腹が立ってくるが、それが美人の女となるとやはり気分が違うというものだ。
「俺様か? 俺様なら力押しで十分だ」
「うーん…でもランスならそれで十分そうよね」
ランスは部隊の中心となって戦うタイプだ。
後方で大人しくしているなど性に合わないだろう。
「ランスはどっちが勝つと思う?」
「さあな。どちらが勝っても俺様がやる事は変わらんからな」
ランスの言葉にレダは苦笑する。
(まあそうよね。ここまで来たらもうどうとでもなれだわ。上の方も何も言ってこないし、私は私で自分の任務を全うしよう)
ここまで来たならもうどうとでもなれと言わんばかりの態度で行くしかない。
そもそも、この場に魔王スラルの魂が存在している時点でレダは全てを諦めた。
こうなったら全てをランスに任せようと。
「スラルちゃんが侵入出来れば楽だったのだがな」
「ランスの剣から遠くには行けないからね。でもその分出来る事とかありそうだし。こうして幽霊になるのも悪くないわねー」
スラルは非常に気楽だ。
実際に魔王であった頃よりもずっと自由だ。
「じゃあランス、取り敢えず戻りましょう。これ以上は何も出来そうにないし」
「うむ、こうして来てみたが意外と何も出来んな」
ランスが今まで好き勝手出来ていたのは、やはり立場があっての事だと理解する。
リーザス解放の司令官、ゼスでは突撃隊のリーダー、JAPANでは実質上のトップ、ヘルマン革命では大将という立場だった。
「じゃあ戻るか。こんな所にじっとしてるなら、レダとセックスしてるほうがずっと楽しいぞ」
ランスがレダの腰に手を回すと、レダも満更でも無い顔をする。
レダ自身がセックスに対して乗り気という事もあるが、何よりもランスに抱かれる事で才能限界が上がるという驚きもあった。
間違いなくバランスブレイカーの人間だが、特に1級神達が動いていないのを見ると大した事ではないのだろうと思う。
「ま、まあ早く戻りましょうか。時間はまだまだ沢山あるみたいだし」
「うむ、後は時間まで待つとするか」
その後、ランス達は何も問題無くアジトに戻る事が出来た。
そして何時も通り、レダやスピリツ等、ランスの目にかなった盗賊団の女とセックスする日々が続いた。
「うーむ、ここは何処だ」
そこは何も無い空間だった。
上下左右が全てが闇であり、何も見る事が出来ない。
「俺様はレダとセックスをしてたはずだが…」
昨日は何時ものように部下報告を聞き、スラルやレダと話して夜にレダとセックスをして寝ていた。
ランスが周囲を見渡すが、何の気配も感じられていなかった空間に、突如として眩い光が差し込む。
「うおっ!」
この光にランスは見覚えがあった。
「お久しぶりです、ランス」
「眩しいぞ! 目が開けられんではないか!」
「申し訳ありません。ですが今回はあなたに一つ報告がありまして。あなたのレベルに関してですが、障害を排除しました。これからは新たなレベル神がつきますので」
「何!?」
「それでは…この名前をお呼びください……と」
その声が消えると共に、光もまた消えていく。
「あの声は…」
ランスが怪訝な声を出すと同時に、この空間がどんどん消えていく。
そしてランスの姿も消えていく。
「フガッ!?」
「あら、おはようランス」
ランスが目を覚ますと、そこには服を着ている最中のレダが目に入った。
「ランスって意外と規則正しい生活するのね。ちょっと意外」
「意外とはなんだ意外とは」
ランスもベッドから起き上がると、何時もの服に着替える。
何度か洗濯をしているものであり、そろそろ限界が来ているのかもしれない。
鎧もそろそろ限界が近いのだが、中々ランスの目にかなう鎧は見つからない。
「あれだけ夜は元気にセックスしてるのに凄い元気よね」
スラルも剣から出て二人に挨拶をする。
「カミーラやケッセルリンクとしてた時も、次の日は凄い元気だったし」
スラルは過去を懐かしむ。
(あれ? ランスとの過去を思い出しても殆どがHの事なんだけど…)
遠隔目玉で覗いたり、ケッセルリンクとランスのセックスに巻き込まれる形でHをしたりと、ランスと関わるとどうしてもそっちの方の記憶が多い。
「それはそうと…カモーン! クエルプラン!」
「…えっ?」
ランスが声を上げると、部屋に眩い光が溢れ、三人は同時に目を抑える。
「呼びましたかランス」
「出てくるのはいいが、光を抑えろ! 姿が見えんではないか」
「…申し訳ありません」
ランスの抗議で光がどんどん収まってきて、そこには一人の女性の姿が現れる。
エメラルドのような緑の瞳、小さくも形のいい唇、キメ細やかにキラキラと光を放つ薄紅色の髪。
まさに目が眩むほどの美少女…そうとしか形容し得ない存在がそこには居た。
「ク…クエルプラン様!?」
目の前に居たのは人類管理局ALICEや光の神G.O.Dと同じく、1級神である魂管理局クエルプランの姿がそこにあった。
「本日から私が臨時であなたの担当レベル神となりました」
「ウィリスの奴はまださぼっとるのか…次会った時はオシオキだな」
「ラ、ラ、ラ、ランス…何でクエルプラン様が…?」
レダは内心驚くと共に震えが来る。
(ま、まさかクエルプラン様自らがこの世界を終わらせに…?)
1級神が地上に来るというのはそういう事…その恐怖がレダを包む。
「それよりも君が俺様担当のレベル神なのか。うーむ、グッドだ!」
ランスはそれを知らずに、呑気に笑っている。
「レベルアップですね。私は本来の仕事はレベル神では無いので簡略的になりますが…ハイ。ランスのレベルが50に上がりました」
「おー! ようやくレベルアップか! と、思ったが予想よりも少ないぞ。魔人を倒したりドラゴンを倒したり魔王と戦ったり経験値パンを食べたりと色々貯めたんだぞ」
「いえ、間違いなくあなたの魂の成長に見合ったレベルです。それに今でも人としては十分すぎる強さを持っていると思いますが」
クエルプランの言葉にはランスも少々納得がいかない顔をしているが、傍らにいるスラルとレダは非常に驚いている。
ランスは不満そうだが、元のレベルと比べてもその力の上がりようが異常だからだ。
明らかに人間の成長速度としては急激すぎる力の上昇だ。
「そうか…まあそのうちレベルも上がってくだろ。で、君は俺様が何レベルになったら脱いでくれるのだ」
「…え?」
ランスの言葉にクエルプランは首を傾げる。
「え、じゃないだろう。レベル神はそのレベルに応じて服を脱いだりやらせてくれるものだろう」
「…少々お待ちください。ええ…ええ…そのような規則が…本当なのですね。ええ、ええ…わかりました」
虚空に向かって何かを話しかけていたクエルプランだが、ランスに向き直ると、
「それではレベル100という事でいいでしょうか」
「ひゃ、100だと!?」
その言葉には流石のランスも驚く。
レベル100といえば今までランスもそこまで上げた事も無いレベルだ。
今まではレベル50前後…今のレベルにはその大きな冒険に区切りがついていた。
流石のランスもレベルを100まで上げた事は無い。
「ちょっと高すぎではないか。もうちょっとまけろ」
「申し訳ありません。今のあなたならばそれだけのレベルが妥当と判断しました。これは覆る事はありません。それでは…」
クエルプランの姿がランス達の前から消えていく。
ランスは最後のクエルプランの言葉に不満気だが、レダは恐ろしい程の冷や汗を流していた。
「…ランス、クエルプラン様の事を知ってるの?」
「スラルちゃんが消える少し前に会った。その時なんか難しい事を言ってたような気がするが、お前の同僚かなんかだろ」
「ど、同僚なんてものじゃないわよ! 1級神よ1級神! ああ…でも何でクエルプラン様がレベル神の仕事を…」
レダは突如として現れた自分の上司…自分に命令を下した女神ALICEと同じ階級の神が現れた事に頭を混乱させていた。
―――天界―――
「これで良かったでしょうか、システム神」
「はい、ありがとうございますクエルプラン。今現在のランス君のレベルを上げるには、魂管理局であるあなたの力を借りなければ不可能でしたので」
システム神の言葉にクエルプランも納得していた。
今現在のランスの魂の力を引き上げるには、それ相応の力を持つ神のちからが必要となっている。
そしてそれほどの力を持つのは今現在ではクエルプランしかいない。
自分ほど魂に触れ合っている神はいないため、彼女が適任だとシステム神に頼まれたのだ。
「しかしシステム神…随分とあの人間に肩入れするのですね」
「私が原因の一端ともいえますから…これくらいのフォローはしてもいいでしょう。それに、あなたのためでもありますから」
「私の…ですか?」
「ええ。いつまでもここに居ては気が滅入ると思いまして。ランス君に呼ばれれば、少しは気晴らしになるかと思いまして」
システム神の言葉にクエルプランは無言となる。
あのイレギュラーを放置するのは気になったが、システム神が担当するというのであれば問題無いのだろう。
それに…
「そうですね…あの人間は非常に興味深いです」
不思議とあの人間…ランスと話すのは楽しかった。
「それはそうと一緒に居たレダタイプのエンジェルナイトですが…」
「それは大丈夫です。何の問題もありません。そちらはあなたとは別の所で動いているだけですので。ランスが呼んだ時、一緒に彼女のレベルも上げてやってください。あの幽霊の女性も」
「わかりました。私は私の仕事をする事にしましょう。この遅れを取り戻すには少し時間がかかりますが…」
クエルプランはそう言って本来の職務に戻る。
彼女の仕事はこの世界の全ての魂の管理…それは彼女にしか出来ない事だ。
(申し訳ありませんね、クエルプラン…あなたの幸せを邪魔する形になってしまいまして)
本来であれば、彼女はランスと共に何十年も一緒にいるはずだ。
(しかしクエルプランにも影響は出ますか…やっぱりランス君と一緒にいた影響でしょうか)
つくづくランスという男はこの世界にイレギュラー…いや、それを遥かに上回る世界のバグだ。
だが、そんな彼だからこそあのような結末に辿り着いたのだろう。
(ですがこの世界はどうなるか…創造神が介入してしまった世界…ですがそれも一つの世界ですね)
システム神は全ての平行世界を司るとされる神。
しかしこの世界の事はまだ彼女にもわからなかった。
多分滅茶苦茶でgdgdな展開になると思います…
改めて思う、自分の文才の無さが分かりますわ
やっぱプロって凄いんだなぁとしみじみ思います