ランス再び   作:メケネコ

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第一次魔人戦争㉝

「成程な。あの異世界だったか…あそこで俺はまた眠りについたが、こんな事になってやがったのか」

 黒部はキャベツをむしゃむしゃと食べながらジルを見る。

「どっかで見たと思ってたんだけどよ、まさかあの魔王だったとはな。あの時とは気配が全く違うから分からなかったぜ」

「私は自分の事を魔王だと言われても困るんですけどね…」

 黒部の言葉にジルはもう慣れたという感じで笑う。

「でも黒部さん、魔王としての私と会ってたんですね」

「会ったと言っても一瞬だ。魔王ジルがどんな奴だったかんて伝聞でしか知らねえよ。ま、それよりも今の状況の方が中々楽しそうだけどな」

 ランスを見て黒部は笑って見せる。

「あの時よりも状況は酷えらしいがよ…とうとうやったんだな、お前」

「何がだ」

「魔人の無敵結界を斬れるようになったんだろ? 魔人をその剣でぶっ殺したらしいじゃねえか。あの時とはまた随分と形が変わってるけどよ」

 黒部はランスの剣を指さす。

「長かったけどよ…やったじゃねえか」

「魔人と戦うのならやっぱり日光が有った方がいいんだけどね…」

 レンは少し微妙な顔をする。

「その日光とカオスだったか? そっちは完璧に無敵結界を斬れるんだってな」

「そう。日光とカオスで無敵結界を斬れば、他の奴でも魔人を傷つける事が出来る。でも、今のランスの剣だと魔人を傷つけられるのはランスだけだし。それにランスの剣だと魔人の持ってる再生能力を殺せないし」

「そうか…そりゃ問題だな。が、それよりもよ…その魔人が何でここに居るんだ?」

 黒部は自分を興味深そうに見ているシルキィとハウゼルを見る。

「魔人の中にも色々とあるのよ。私達は今回の戦争には反対してるから。それとこの戦争にカラーを巻き込まないようにするためにここに居るの。まあ魔王様から命令があったら敵になっちゃうからそこはね…」

「はい。私とシルキィはせめてこのカラーが巻き込まれないように動いているつもりです」

「魔人にもそういう奴が居るんだな。ま、敵じゃねえなら俺からは何もねえがな」

 敵意を全く見せない魔人に対し黒部は意外そうな顔をする。

「俺が知ってるのはザビエルとレキシントンだからな…」

「レキシントンならこの戦争に参加してるわよ」

「あの野郎がか? だったらあの時の借りを返すチャンスじゃねえか」

 レキシントンが参戦しているのを知り、黒部は獰猛な笑みを浮かべる。

「ランスさんはレキシントンと戦った事があるんですよね? もしかしたら黒部さんもですか?」

「さんはいらねえよ。昔の話だ…俺はレキシントンとの戦いで一回死んだからな。ま、因縁ってやつさ」

「私が生まれる前の話ですね…でもそんな時期にランスさんがレキシントンとの因縁があったなんて」

「あんなむさ苦しいおっさんなんぞ知らん。迷惑なだけだ」

「レキシントンだからね…でも、レキシントンは強いわよ。正直、日光が無いランス君だと厳しいと思う」

 シルキィはレキシントンの強さを知っている。

 長い時間を生きる魔人だけあり、その強さは凄まじい。

 いくらランスでも日光が無ければ厳しい相手なのは間違い無い。

「で、今の状況は魔物大将軍を倒す事って訳か」

「そういう事。ただ、昔よりも厳しい状況って事だけどね」

 レンの言葉に黒部は牙を剥き出しにして笑って見せる。

「前より厳しいって訳か。ま、確かにな。戦争するにしちゃあ数が足りねえか」

 黒部も藤原石丸と共に大きな戦争を駆けた身だ。

 その辺りの事はきちんと分かっている。

「動くのはまだ先って訳か?」

「そういう事だ。連中をぶっ殺すために準備している所だ」

「分かったぜ。その前に鈍ってた体を元に戻さねえとな」

 黒部は立ち上がり拳を打ち合わせる。

 復活はしたが、やはり前よりは力が落ちているのを感じる。

 それを少しでも戻すのは急務だ。

「それなら私が付き合っていいかしら? 私は魔人だからどれだけ攻撃されても問題無いし」

 シルキィが少し目を輝かせて黒部を見る。

「…魔人相手か。ま、それも良いかもしれねえな」

「ねえ、あなたランス君とはどういう間柄なの? あのランス君が凄い親し気に話しているし」

「おい。勝手な事を言うな。誰がこんな奴と親しいだと」

「十分すぎる程に親しいでしょ。ランス君、自分で気づいて無いかもしれないけど、彼と会って結構嬉しそうに見えたけど」

「錯覚だ錯覚。お前は勝手に人の姉を名乗る上に、幻覚まで見てるのか」

「あら、私は十分にランス君のお姉さんをしてるつもりだけど」

「…お前等仲いいな」

 2人のやり取りに黒部は目を丸くする。

「私が人間だった時からの付き合いだからね。こう見えてもランス君と一緒に魔人を倒した事も有るし」

「それが何で魔人になってんだよ」

「…色々あってね」

 シルキィは少し顔を沈ませる。

「シルキィはガイ様と取引をして、人類を解放する代わりに魔人になったんです」

「マジかよ…俺が寝てる間にマジで色々と変化があったんだな」

 ある程度の歴史はレンから聞いたが、詳しい事は分からない。

 なのでそんなドラマがあったなど知りもしない。

「何と…そんな事実が!?」

「俺達が知ってる歴史と違いますよね」

「儂等が聞いた話じゃシルキィは自ら魔人になった裏切り者、という話じゃからな」

 3体の闘将も魔人の真実には驚愕する。

「え? 私ってそんな事になってたの!?」

 そしてその事実にシルキィも驚く。

「いや、知らなかったのか。張本人のくせに…」

「私、魔人になってから人類に関わらないようにしてたから…でも、まさかそんな事になってるなんて…少し複雑」

 シルキィは自分が後世にどう思われているのかを知り、少し複雑な表情を浮かべる。

「で、お前達はどの魔人を倒したんだ?」

「魔人メディウサだ。俺の先祖であるカラーもその戦いに参加していた」

「魔人メディウサ…俺の知らない奴だな。ま、死んだ奴に興味はねえがな。それよりも少し体を動かすとするか」

 黒部はキャベツを食べ終えるとシルキィを見る。

「お前…強いだろ」

「ええ。こう見えても魔人四天王だからね」

 シルキィは黒部の言葉に真顔で答える。

「そんな小せぇ体でな…魔人なんてそんなもんか」

「確かに私は体は小さいけどね…でも、今から見せるのが魔人四天王としての私。リトル!」

 シルキィが手にした武器の名を呼ぶと、その武器がシルキィの体を覆ったと思うと、巨漢の黒部をも超える巨体となってその姿を現す。

「これが今の私っていう訳」

「ほう…こいつは楽しめそうじゃねえか」

 リトルを纏ったシルキィは流石に迫力がある。

 ストーンゴーレムよりも大きく、更には魔人特有の気配もあり凄まじく強いという事が分かる。

「お前だったら闘神でもやれるんだろうな」

「やる気が無くて幸いよね…」

 闘神の強さはランスも知っているし、シルキィの強さも知っている。

 そして魔人四天王となった事で更に力を増しているシルキィは、昔とは比較にならない程強いのだろう。

「じゃあ遠慮なくやらせてもらうぜ」

「ええ。問題無いわ」

 ランスをそれを特に興味を示さずにハウゼルとジルの二人の手を取る。

「あの…ランス様?」

「こんなの見学してても暇なだけだしな。それよりもこっちの方が建設的だ」

「もう…ランスさん、どんな時でもこんな事ばっかりなんですから…」

 ハウゼルは顔を真っ赤にしつつも、ランスの手を握りついて行くのだった。

 

 

 

「さて…そろそろ動くときかな」

 魔軍が動きを停止してから少し経過した事で、ブリティシュは状況の変化を感じ取っていた。

「動きが無いのにか?」

「動きが無いからだよ。つまりは魔軍は動けない状況なのさ」

 シロウズの言葉にブリティシュは苦笑する。

 過去にブリティシュも魔軍という存在とは遭遇した事が有る。

 ここまで魔軍に動きが無いという事は、動きたくても動けない状況という事だろう。

「援軍が来る気配も無い、つまりは今居るのが魔軍の全戦力なのさ」

「ああ。それは間違い無いだろうな…そもそも魔軍の動きも不可解だからな」

 シロウズはランス達と共に居た期間もあるので、魔軍の動きに関しては聞いている。

「やり過ぎたんだよ、今の魔物大将軍は。あの魔物大将軍が通った後は何も残らない。略奪するものも全て破壊しつくす、魔物大将軍としてはあまりにもお粗末だけどね」

「確かにそうだな。ならば今がその時か?」

「ああ。でもあくまでも僕達は陽動に徹しないといけない。魔物大将軍に斬り込めるのはランス達さ」

「そうだな。大将ならば魔物大将軍でも問題無いだろう。そして今は幸いにも連絡も取れる。ではこちらからアクションを起こすかい?」

「僕達の目的はあくまでも陽動だからね。じゃあ少しの間、魔軍に対して嫌がらせを行う事にしよう」

 そう言ってブリティシュとシロウズは動き出した。

 全ては魔物大将軍を打ち倒すために。

 

 

 

「ランス様! シロウズさんから連絡が来ました!」

「シロウズ? 誰だ?」

「呆れた…あの変な頭をした奴よ」

「ああ、そういやそんな奴が居たな」

 ランスは割と本気でシロウズの事を忘れていたのだが、流石にあのアフロの事は覚えていた。

 逆に言えばシロウズはランスにとってはアフロなのだ。

「それと…意外な奴が向こうに居るんだって」

「女か?」

「残念ながら男ね」

「どうでもいいな」

 レンの言葉にランスは斬り捨てる。

 が、レンはその顔に少しの笑みを浮かべる。

「ブリティシュよ。ブリティシュが居るんだって」

「何だと? あいつがか」

 ブリティシュ…エターナルヒーローのリーダであり、ランスですら認める強い男だ。

 あの日光達のリーダーだけあり、全てにおいて高水準の実力を持つ人間で、ランスにもついて来れる数少ない人間だ。

「流石にブリティシュの事は覚えてたんだ」

「それよりも奴が居たからどうだというのだ」

「魔軍に仕掛けるってさ。魔軍の動きが鈍いから今が勝負時だって事じゃない?」

 レンの言葉にランスは少し考える。

 が、向こうが動くのならばランスとしても都合が良い。

 今のランス率いる部隊だけでは魔軍の本体を叩く事は難しいが、人間の大部隊が居れば話は別だ。

「それでも数が足らんがな」

 ランス、ジル、レン、メイ、闘将3体、お町、黒部…強さとしては申し分ないが、戦争するにしては数が足りない。

「それに関しては問題無いぞ、ランス」

「何か有るのか。お町」

「ああ。気に入らぬが…奴はこの未来すらも見越してたのかもしれぬがな…」

 そういうお町は非常に苦い顔をしている。

「何だ。何かあったのか?」

「…奴じゃよ。耳無し猫。我が大陸に行く時に急に現れてな…これを黒部殿に渡す様に言われていた。戦況が動くときにな」

 そう言ってお町は黒部に一つの袋を渡す。

 黒部も少々苦い顔をしてその袋を受け取る。

「アイツがか…アイツと関わると碌な事にはならねえからな…」

 そう言って黒部が袋を逆さまにすると、そこから大量の妖怪たちが現れる。

「うおっ!?」

「きゃあああああ!」

「な、なになに!?」

 突如と現れた妖怪たちにランス達は驚く。

 カラー達も突如として現れた妖怪たちに驚きパニックになっている。

 妖怪…骸骨で出来ている鎧武者達は一斉に黒部に跪く。

「黒部様! 復活なさったのですね!」

「おお…また黒部様の元で戦えようとは!」

「あの野郎…ここまで読んでやがったって事か?」

 妖怪たちを前にして、黒部は牙を剥き出しにしてあの禁妖怪の事に対して唸る。

 まるでお膳立てされているようで気に入らないが、今の状況では助かるのも事実だ。

「ランス、行けるぜ」

「フン、数はこれで何とかなるという事か」

 ランスの不安要素だった数はこれで何とかなりそうだ。

 妖怪たちは基本的に強いし、死んでもどうせJAPANで復活するので使い捨てても構わないだろう。

 それにランスだって今の状況で魔軍と戦うのはこの一戦程度だと思っている。

 この戦争は既に負け戦であり、危険な思想をもって虐殺をしている魔物大将軍を排除するくらいしか出来ない。

 だが、今回の魔物大将軍は本気で人類を皆殺しにしそうなイカレタ存在だ。

 だからランスもそんな奴は排除しなければならないし、そうする事でケッセルリンクを助けられるかもしれない。

「よーし、早速動くぞ」

「随分急ね」

「こういうのは思い立った時にやるのがいいんだ。それに連中だって人間達から攻められるなんて考えて無いだろ」

「かもね。じゃあシロウズには連絡しておくわ。後は互いに勝手にやる方が良いでしょ?」

「構わん。おい黒部、動くぞ」

「おう。お前等! 早速生意気な魔軍の連中をぶっ飛ばしに行くぞ!」

「「「うおおおおおおお!!!」」」

 黒部の言葉に妖怪たちが雄叫びを上げる。

 こうして作戦はあっという間に決行されたのであった。

 

 

 

「さあ、反撃の時間だね」

「ああ。大将も用意が出来たようだ。やはりあの人は普通の人とは何処か違うな」

「そうだね。ランスは普通の人とは違うよ。だからこそ、僕も彼と共に行こうと思っていたくらいだしね」

 ブリティシュ達も用意を済ませ、魔軍へ攻め込む準備を整えていた。

 もう予め攻める準備はしていたので、それも直ぐに終わる。

「この戦いが終わったら大将の所へ行くのか?」

「ああ。彼と共に居れば魔人と戦うのは必然だからね。僕達の目的は魔人を倒す事、これは変わっていないよ」

「フッ…君ほどの力の持ち主ならば彼とて断らぬだろう。それに彼は既に魔人を倒している。これは君以外には話していないがね」

「彼ならばやり遂げると思っていたよ。それでこそ、僕も戻ってきた甲斐が有るというものさ」

「やれやれ…君には君で何やら冒険があったようだね。それを聞きたいがそれは今では無いな」

 2人も準備を早々に終わらせ、集まって来た人達の前に出る。

「さて、ようやく私達が出る瞬間が来た」

「「「「おおおおおおーーーーーっ!!!!」」」」

 シロウズの言葉に集まった戦士たちが雄叫びを上げる。

 ここに居るのはもう後が無い―――そう思っている者達だ。

 魔物大将軍の行動は確かに人間達から生きる気力を奪った―――が、同時に覚悟を決めさせたとも言える。

 魔物大将軍を何としてでも倒す、その決意を決めさせたのだ。

「私達のやる事は唯一つ、魔物大将軍の首を取る事…それしかない」

 シロウズの言葉に戦士たちも覚悟を決めている。

「だが、戦うのは我々だけではない。聖魔教団からは僅かではあるが闘将の援軍が来てくれている。そして魔物大将軍にはその闘将をぶつける。それが一番可能性が高い」

 実際には闘将以上の強さを持つ者達が居るのだが、シロウズはあえて聖魔教団と闘将の名を出す事で、人類が一丸となって戦うという事をアピールする。

 そうする事で聖魔教団は地上の者達を見捨てた訳では無い、というイメージの向上も狙いだ。

「我々にはもう後が無い。だからこそ、人類の力を魔物達に見せるのだ!」

「「「「うおおおおおおお!!!!」」」」

 シロウズの言葉に兵達は更なる雄叫びを上げる。

 そして地上における人類の数少ない反撃が今始まろうとしていた。

 

 

 

「何だと! 人間共が攻めてきただと!?」

「は、はい! 人間共が突然…!」

 魔物将軍は魔物兵の言葉に驚愕する。

 今回の戦争では、魔軍こそが攻める側であり人間相手にはまさに『狩り』というのが相応しい言葉だ。

 その狩りの対象である人間が生意気にも攻め込んできた―――そんな事は許される事では無い。

「フン、蹴散らせ! 所詮は人間、闘神や闘将のような力は無い!」

「りょ、了解しまし…うぎゃあああああ!」

 返事をしようとした魔物兵が両断される。

「居たぞ、魔物将軍だ! 魔物将軍を倒せ!」

「な、なんだ貴様!?」

「魔物将軍を倒せば魔軍の士気は崩壊する!」

 魔物将軍の前に現れたのは、エターナルヒーローのリーダーであるブリティシュだ。

「生意気な! この俺が貴様等人間程度に殺れると思っているのか!」

 そう言って魔物将軍はモーニングスターを振りかぶる。

 魔物将軍は魔物としても非常に強い。

 流石に魔人には遠く及ばないが、それでも並の魔物兵に比べれば段違いに強い。

 だが、何事にも例外はあるのだ。

 今目の前に居るのは、その例外の一人であるブリティシュという英雄なのだ。

「ここで討つ!」

 ブリティシュは凄まじい速度で魔物将軍に肉薄する。

 魔物将軍もそれに反応してモーニングスターをブリティシュに叩きつける。

 ブリティシュはそれを盾で受け止める。

 魔物将軍の力で放たれたモーニングスターの威力は並ではない。

 人間の盾など軽く粉砕する、将軍もそう思っていた。

 だが、現実は違った。

「な、何だと!?」

 モーニングスターはその魔物将軍の放った勢いのまま、将軍の顔面に跳ね返って来たのだ。

 その衝撃に魔物将軍は目を白黒させるが、そんな事を驚く暇は無かった。

「ぐげ!」

 魔物将軍の頭部にブリティシュの剣が突き刺さる。

 それはあっという間に将軍の頭を貫通し、魔物将軍はあっという間に絶命する。

「魔物将軍は討った! 残りの魔物兵を倒す!」

「「「「おおおおおおお!!!」」」」

 ブリティシュの言葉に乗り込んできた兵達も雄叫びを上げ、魔物将軍が討たれ混乱する魔物兵に向かって行く。

 士気が崩壊した魔物兵は脆いもので、本来ならば一対一で負けないはずの人間にもあっさりと倒される。

 これが魔軍の弱点、纏めている存在が死ねばそれはもう軍隊としての動きを保てなくなるのだ。

「ブリティシュ!」

「シロウズ! ここの魔物将軍は倒した!」

「ああ! しかし一直線に魔物将軍を討ちに行くとはな…! まるで大将みたいな事をする!」

「魔軍には油断がある。人間達から攻められるはずが無いという油断と、魔人が参戦している今人間達に反抗する気力が無いという思い込みだ」

「そこを突く、という事か」

「そうさ。でも、今回の作戦の本命は僕達じゃない。ランス達も既に動いている。僕達の役目はここで暴れて魔物達の目を引く事さ。そうすれば魔物大将軍は間違い無く彼等に倒される」

「フッ…君ほどの男に信頼されるとはな…だが、魔人をも倒せる大将ならば魔物大将軍をやってくれるだろうさ」

「ああ。彼の元にはレンも居る。あの二人を止める事など並の魔物兵では不可能さ」

「よし、ならば我々は精々目立つ事にしよう! 行くぞ、皆! この調子で魔物将軍を討ち取るんだ!」

 こうして人類の生き残るための反撃が始まった。

 

 そしてランスもまたその光景を別の場所から見ていた。

「よーし、あそこの魔物の部隊が動いたらこっちも突撃するぞ」

「動いてからでいいんですか?」

「動くのは魔物大将軍の部下の魔物将軍だからな。そいつらが居なくなったところを一気にぶち破る」

「それが有効ね。魔軍だって人間達からの反撃なんて想定して無いでしょうしね」

 ランスは魔物達が動く所を見ながらニヤリと笑う。

「おいお前等。精々暴れて来いよ」

「承知。我々は疲れを知らぬからな、何時間でも暴れられる」

「任せとけって!」

「了解じゃよ」

 ランスの言葉に闘将達もやる気十分という感じで構えている。

「ランス。闘将達だけでいいのか? 共に突撃した方が良いと思うが…」

「地上に闘将が居るとなったら連中も慌ててこいつらにも数を回すだろうが」

「ああ…そうか。本来闘将は地上には居ないからな」

 メイはランスの言葉に感心したように頷く。

「ジル、お町、お前達は遠慮なく全力で魔法をぶっ放せ」

「はい、ランス様」

「任せておけ。我が力、思う存分に見せつけてやろうぞ」

「その後で俺達妖怪が突っ込むって事だな」

「お前達は精々好きなように暴れてろ。そっちの方が目立つからな」

「そりゃいいな」

 黒部もランスの言葉に牙をむき出しにして笑う。

「狙いは魔物大将軍だ。とっととぶっ殺すぞ!」

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