ランス再び   作:メケネコ

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ありふれた戦争

 王宮、それはその国の権威の象徴ともいえる。

 その王宮が大きければ大きいほど、贅沢であれば贅沢であるほどその国の権威は高まる。

 しかしこの国の王宮はそれほど大きいというものでも無い。

 NC期…後のLP期とは違い、まだまだ人が大きく争っていた時代でもある。

 この世界を統一出来る程の逸材はまだ存在してはいない…そのためには後数百年は待つ必要があった。

 それ故に国と国での小競り合いは多々として有り、この国もそんな小競り合いを続けてきた国でもある。

 だがそれに変化が訪れる。

 隣の国がこの国の王女に求婚をしてきた。

 当然父親は釣り合わない事を理由にその求婚を断った。

 そしてそれを理由に戦争は起きる…実にありふれた戦争になるはずだった。

 話は戻り、その王宮に今一人…いや、一体の奇妙な物体がパタパタと翼を羽ばたかせて移動していた。

「まーお、まお!」

 気楽そうに羽を動かして王宮を移動しているのは、ランスに敗れ今はその配下となっている悪魔、大まおーだった。

 ランスの手によって盗賊団の一人に手渡された大まおーは、紆余曲折を得てこの城へと侵入していた。

 盗賊団の一人によってプレゼントと称されて、王宮に勤めているメイドの一人の手に渡った。

 何しろ動かなければただのぬいぐるみと何の変わりは無い。

 それ故に簡単に王宮に侵入出来たという訳だ。

 そしてその夜、大まおーはランスに与えられた任務を果たすべく動いていた。

 その仕事とは、宝物庫の位置やシャロン姫がいる場所の確認である。

 部屋に侵入する事は難しいが、その手の部屋は大抵見張りの兵が常備しているものであり、大まおーは大体の位置を把握していた。

「まお…」

 大まおーが一つの部屋を見ていると、そこは不自然な程に人の出入りが無い。

 これまで見張りの兵士が常在している部屋には、所謂王族と呼ばれる人間の出入りが多かったが、この部屋にはそれが比率として少ない。

 だとすれば話は単純、この部屋がランスの目的の部屋なのだろうと大まおーは当たりをつける。

 そしてパタパタと羽ばたかせて夜の闇を進んでいく。

 巡回の兵が居る所を避け、大まおーは兵の宿舎へと向かおうとするのだが、やはり警戒が厳しいためか中々うまくいかない。

 なので大まおーは物陰に隠れていたのだが、

「あら…?」

 突如として大まおーが何者かに抱きかかえられる。

 大まおーは特に慌てもせずに、ぬいぐるみとして振舞う。

「…随分と可愛らしいわね」

 その女性は非常に美しい容姿をしていた。

 亜麻色の髪をした非常に美しい女性…それが大まおーを抱きかかえていた。

「どうかなさいましたか、シャロン様」

「見て。こんな所にこんな可愛いぬいぐるみが落ちてて」

 恐らく御付きのメイドであろう人物に大まおーを見せる。

「…随分と奇妙なぬいぐるみですね」

 今は鎌こそ持っていないが、その大きな黒いマントは健在だ。

「あ、このぬいぐるみ見た事あります。確か同僚の一人が同じものを持っていました」

「そう。ならば返してあげて下さいね」

 シャロン姫はそう言ってメイドの一人に大まおーを預ける。

「わかりました」

 メイドは大まおーを受け取ると、シャロン姫に一礼をしてその場を立ち去る。

「…戦争はもう避けられないのでしょうか」

「姫様…相手は最初からそのつもりだったのでしょう。断わられるのを見越しての求婚だったのです」

 シャロン姫に対して明らかに不釣り合いとも言える縁談を持ちかけたのは、明らかに断らせるためだった。

 そしてそれを口実にこの国を攻めるのが目的なのだ。

「私が悪いのでしょうか…」

「姫様が悪いなんてそんな事はありえません! 戦争のために姫様を利用したにすぎません!」

 シャロン姫は物憂げにため息をつく。

 彼女はまだこれからの自分の運命を知らない。

 

 

「ボス! まおーさんから届きました!」

 ランス達が戻ってから数日で大まおーから手紙が届く。

「うむ」

 ランスはそれを受け取るが…

「なんだこれは」

 そこに描かれていたのは、ランスの目には何が書かれているか全く分からなかった。

「…これ、何の文字かしら」

 横で見ているレダにもそれが何か分からないようだ。

「ああ、コレは暗号よ。予め決めてたのよ。万が一見られても大丈夫なようにね」

 剣からスラルが出てくると、その紙面に魔法をかける。

 すると、訳の分からない文字が消え、城の間取り図へと変化する。

「おお! というかスラルちゃん。何時の間にまおーとそんな取り決めをしてたのだ」

「私はランスよりも長生きなんだから。これくらいの用心はしておくべきなのよ」

 どうやらスラルと大まおーの間にはそのようなやり取りがあったようで、スラルは得意気に胸を張る。

「まあとにかく間取図は手に入った。これで俺様の計画が一歩前進したという訳だ」

 ランスが笑い声をあげている時、リバウドが駆け足で部屋に入ってくる。

「ランス様! 始まりました! とうとう開戦しました!」

 その報告に盗賊団達はざわざわと騒ぎ出す。

 彼らにとってはこれは今までの盗賊稼業の比ではなく、まさに命がけの仕事が始まる。

 

 

「これが人間達の戦争か…」

 スラルは高台から人間達の争いを見る。

 無論、魔王であった時は魔人同士の争いもそれほど珍しくは無かった。

 ムシ使いとの戦いでは、自分が魔人としたガルティアの戦いぶりに感心したものだった。

 ランスが魔人オウゴンダマを倒した時もその光景を見ていたし、人間だからといって見下す気は微塵も無い。

「これは確かに決着は早くにつきそうだな」

 この世界最強の存在である魔王だった時の事を抜きにしても、目の前の光景は理解できる。

「まあそうだな。時間の問題だろ」

 それは素人目にも見ても明らかだ。

 大方の予想通り、結婚を申し込んだ国が明らかに押している。

 勿論事前の準備の差もあるのだろうが、数・勢いにおいて上回っている。

「で、お前はどの辺に潜り込ませてあるのだ」

「かなりの賄賂を掴ませましたから…あの辺だと思います」

 リバウドが指さした先には、明らかに今戦っている部隊とは別の物だと言わんばかりの集団があった。

 遠目でも分かるほどに立派な旗がこれ見よがしに立っている。

 間違いなく、あの集団こそが総大将のいる所だろう。

「何とかあの部隊に潜り込ませることに成功しました。おかげで今まで溜めてた宝がほとんど無くなってしまいました」

「金なんてものは使えるときに使うのが一番いい」

 ランスは金にはあまり執着はしない。

 あればあるだけ使ってしまう性分でもあるし、珍しい貝を収集するのにもそれなりに金がかかっていた。

「あっちの国に侵入していた部下たちはどうしたの?」

「そちらは大丈夫です。既に撤収させていますし、今は市井の人間として残してある奴等だけです」

「抜かりないわね…いや、本当にどうしてアンタが盗賊団なんかしてるのかしらね」

 リバウドの手回しの良さにレダは呆れ半分で感心する。

 この男、もし真っ当な国に居れば一国のそれなりの地位に居る事も可能だっただろう。

「とにかく何時でも動けるように準備はしておけ」

「ハッ!」

 

 

 戦争は既に結果が見えていると言っても過言では無かった。

 やはり、最初から攻め入る準備をしていた国が圧倒的に有利なのは分かっていた事だ。

 敗残兵は徹底的に攻めたてられ、その命を散らせていた。

 既に兵士は相手国へと乗り込み、暴虐の限りをつくしていたといい。

 戦勝国と敗戦国の明確の違いと言っても過言ではないだろう。

 そして我らがランスは…その戦勝国の国の鎧を着こんで先に進んでいた。

「ククク…上手くいっただろう」

「いやー本当なんで上手くいったんだろうね。結構杜撰だった思うんだけど」

 現在王宮にも兵士が乗り込み、暴虐の限りを尽くしていた。

 兵士たちは好き勝手女を凌辱し、気に入らない奴を殺したりとまさに好き放題だ。

 そんな中ランス達はある目的の場所に進んでいく。

「待て! ここから先は…ギャーーー!」

 ランスの前に立ち塞がった兵士達はランスの一撃で容赦なく斬り殺される。

 時には抜け駆けしようとしている、戦勝国の兵士をも斬り殺し、ランスは目的の場所へと向かっていった。

「地図によるとこの先ね」

 レダは大まおーから受け取った地図を片手に先頭を歩く。

 大まおーの地図は大よそに正確であり、レダとしても非常に助かる。

「ここみたいね」

 宝物庫と書かれた地図とその扉を比較すると、確かに他の扉に比べて豪華だ。

 本来はここを守る兵士がいるのだろうが、やはりこの戦乱の中か、既に逃げてしまっているようだ。

 そこに反対側からランス達と同じ鎧を着た兵士達がやってくる。

 同じ鎧ではあるが、その装飾は非常に豪華なものだ。

「おい前達! ここは第一王子であるゴヨク様が管理する! さっさと王族を捕らえに行け!」

 鎧の上からだが、明らかにランス達を見下しているのが分かる。

「やかましい」

 

 ザクーッ!

 

「ギャーーーー!」

 ランスの剣で男は鎧ごと崩れ落ちる。

「あーあ、やっちゃった」

 レダは鎧の上から頭を押さえる。

 目的の物は目の前にあるので、ランスが我慢なぞする訳が無いとは思っていた。

 しかし問答無用で斬り捨てるとは思ってもいなかった。

「た、隊長!?」

「よ、鎧ごと斬ったぞ!?」

 目の前の兵士たちは、同じ鎧をしたランス達と同じ軍の人間だと信じて疑っていなかった。

 それ故、目の前の凶行がとても信じられなかった。

 それになによりも、全身鎧をつけた隊長が、まさか鎧を身に着けたまま一撃で倒されるなど考えもしなかった。

「ラーンスアターック!」

 そんな兵士達の動揺など知った事ではないと言わんばかりにランスの必殺技が炸裂する。

 衝撃波は2重の衝撃となって兵士達に襲い掛かり、その必殺の範囲にいた全ての兵士達を一撃で粉砕する。

「まったく、うるさい雑魚共だ」

 ランスは鬱陶しくなった鎧を脱ぎ捨てると、部下に持たせていたマントを受け取る。

 かつてスラルがしていたマントは、ランスの新たなマントとして利用されていた。

「でもいいの? あまり時間は無いんじゃないの?」

「そうだぞランス。ここからシャロン姫を見つけ出し、脱出する事なんて出来るのか?」

 レダとスラルの言葉にもランスは問題無いと言わんばかりに胸を張る。

「がははは! 何も問題は無い! だいたい今の状況こそが一番動きやすいのだぞ!」

 レダは呆れたようにため息をつくと、自身も鎧を脱ぎ捨てる。

 こんな鎧を着なくとも、彼女には十分すぎる鎧がある。

「ランス様。私達はどうしますか?」

「お前は兵士のフリをしてシャロンちゃんを探せ。万が一襲われそうになっていたら、上の指示とか言って手を出せないようにしろ」

「はい! おい行くぞ!」

「「「おう!!!」」」

 リバウドとその部下がランスの指示を守るために走っていく。

 ランス達は宝物庫に入ると、そこはまさに宝の山と言っても良かった。

「なるほど…この国を欲しかったのは、これらのアイテムが欲しかったからと言ってもいいかもしれないな」

 元魔王であるスラルにはこれらのアイテムの価値がある程度分かる。

 一見してバランスブレイカーと呼べる物は無いが、それでも中々のマジックアイテムが複数ある。

「だがランス。目的の物はあるか? 私は実物を見た事が無いから分からないぞ」

 ここに来た本来の目的は、魔法のアイテムである魔法ハウスを手に入れるためだ。

 聞けば、普段はミニチュアサイズとの事だが、この宝物庫の中からそのような小さな物を探すのは流石に骨が折れそうだ。

 しかしランスはその状況でも笑みを崩さない。

「がはははは! 問題無い! 俺様が見つかると言えば必ず見つかるのだ!」

 ランスは鼻歌交じりに宝物庫を漁り始める。

 その様子を見て、レダも魔法ハウスを探し始める。

 スラルは物に触れる事が出来ないので、棚に飾ってあるアイテムを見ていた。

「お、あったぞ!」

 ものの数分間でランスは目的の物を見つけ出す。

「あ、本当だ。これがそうね」

 レダもランスが手にした模型の家を見て頷く。

 これは確かに魔法の力を感じる…かつてヘルマンの巨大戦艦に向かう途中、レダも利用していたためによく覚えている。

 この模型の家は、あの時の冒険に感じた時と同じ魔力を感じていた。

「これがか…早く使ってみたいが、今作動するのは難しいか」

 魔法ハウスがどのようなものかはレダに話を聞いて大体は分かっている。

 流石にこの宝物庫は起動するのには狭すぎる。

「でもランス、他のアイテムはいいの?」

 ランスは結構強欲な男であり、金はあっても困るものではないと考えている。

 実際にランスは過去にゼスにおいて銀行を襲撃し、そこから大量の金を盗みだしていた過去がある。

 しかし意外にもランスの顔は少し苦いものがある。

「持っていきたいのはやまやまだが…これがどれくらいの価値があるのかがわからんからな」

「あー…」

 ランスの言葉にレダは一人納得する。

 ランスはまだ思い至っていないが、ここはランスのいたLP時代から比べると、3000年以上前の時代だ。

 それ故に、ここにあるアイテムがどれくらいの価値で売れるのか、またどんな事に使用できるのかが分からないのだ。

 こういう時は、知識に豊富なミラクルが助言をしたり、金目の物にはうるさいコパンドン等、ランスに出来ない事を出来る仲間がいたが、生憎とここには存在しない。

 LP期ならば大体の価値は分かるものだったが、流石に3000年以上前ではランスもどうすればいいか悩む。

 だからこそ、宝物庫にいながらもじっくりとお宝を漁る事も出来ずにいた。

「それに俺様の本命はシャロンちゃんだからな」

「いや貴重なアイテムと女性を比較対象にするのは間違ってると思うぞ」

 スラルは思わず突っ込んでしまう。

「突っ込んだら負けよ、スラル。ランスにとってはそっちが重要なんだから」

 レダも何時もの事と言わんばかりに肩を落とすが、もう一つの方は少々骨が折れるとも感じている。

 問題なのはシャロン姫が大人しくしているかどうかだ。

 普通に考えれば、ランスに大人しくついていくはずは無いのだ。

 人を抱えての逃走となれば、流石のランスでも難しいだろう。

「よし、行くぞ!」

 ランスは目的の物をレダに渡すと、シャロン姫を探すべく歩き始める。

 あまりにも堂々としているが、それだけの強さが今のランスにはある。

「待ってよランス!」

 スラルがランスに引っ張られるように側に寄る。

「まあ今のランスに挑むって事は実質的に2人を相手にするようなものだしね」

 ランスの側には常にスラルがいる。

 幽霊とはいえ、問題無く魔法は使う事は出来る。

 その技能レベルは確実に魔法LV2はある。

 白色破壊光線を使用出来る実力者であり、神から魔王に選ばれたのも伊達ではないということだ。

「さて…どうなるのかな」

 レダはランスを追って歩き始めた。

 

 

「お父様…」

「大丈夫だ、シャロン。お前だけでも逃がしてみせる」

 王とその家族は身を寄せ合っていた。

 ここは王族だけが知る秘密の通路だ。

 どんな王家でも秘密の脱出経路くらいは持ち合わせているものだ。

「頼むぞ」

「お任せください」

 王の親衛隊である一人が頷く。

 若くして親衛隊に選ばれただけあり、その実力は折り紙つきだ。

 王は親として、娘のシャロンだけはどうしても逃したかった。

 敗戦国の姫の運命など決まっており、身の毛もよだつ運命が彼女を待ち受けているのは目に見えている。

「そろそろか」

 親衛隊の一人が他の仲間に目くばせする。

 仲間はそれに頷くと、一斉に剣を抜く。

 そしてあろうことか、その剣を王妃に、そして王子に振るう。

「ぎゃあーー!」

 王妃と王子の悲鳴が響き、王とシャロン姫が一斉に捕えられる。

「お前達!?」

「どうせこの国はもう終わりだ。だったらお前達を手土産にさせてもらうさ」

 親衛隊の言葉に王は絶句する。

 世の中は裏切りは常ではあるが、まさか自分の親衛隊が…という思いが王にはあった。

「なんで…」

 シャロンは悲痛な顔で親衛隊の一人を見る。

 若い親衛隊は、シャロンに対して敬意を払い、尽くしてくれていた。

 その人間は今は下卑た笑みを顔に浮かべ、シャロンの服に破く。

「きゃあああ!」

「一度あんたを思いっきり犯してみたかったんだよな」

「そん…な」

 シャロンは彼を信じていた。

 しかしその信頼は最悪な形で裏切られた。

 まさか彼がこのような顔で自分を見ているなど、考えていもいなかった。

「おいよせ! そいつは大事な手土産だぞ」

「一発くらいいいだろ! どうせこいつは殺されるんだ!」

「殺されるにしても価値が下がれば意味が無いだろ。一時の快楽よりも命あっての物種だろ」

 若い親衛隊は不満そうな顔をしていたが、仲間の言葉に渋々といった感じに従う。

 確かに命あっての事ではあるし、生きて手渡した方が覚えは良いだろう。

「よし、行くぞ」

 親衛隊は王とシャロンを縛ると、今来た道を引き返し始めた。

 

 

「居たぞ!」

 辺りの兵士達が慌ただしく走り回っている。

 シャロン姫を探しているランス達は、その光景を見て一つの結論に達していた。

「どうやら一歩遅かったみたいね」

「フン、別に問題は無い。シャロンちゃんが俺様のモノになる事実には変わらないからな」

 再び兵士達の鎧に着替えたランス達は、周りの兵士達に混じって走り出す。

 一度鎧を脱いだが、流石にその状態では怪しまれたために再び着替える羽目になってしまった。

 ランスとレダとスラルの3人ならば割と楽にここから脱出出来るだろうが、流石に面倒くさいために当初の予定通りの行動となった。

「でも殺されちゃうって事は無いの?」

「王族っていうのはそう簡単に殺せないもんだろ。それに男のやる事など一つしかないだろう」

「自分を引き合いにしてその結論に達するのはどうかと思う」

 ランスは暗にシャロン姫が凌辱されると言っているのだが、ある意味それは正しい。

 敗戦国の姫の扱いなどそんなものだ。

 ランス達は兵に紛れて王の間へとたどり着く。

 そこには縛られた王らしき男と、やはり縛られている美しい女性…シャロン姫の姿がそこにあった。

(うむ、グッドだ! 今までの姫とは違い儚げな表情がいいな。リアもマジックもシーラも香ちゃんもどこかアグレッシブだしな)

 これまでランスが出会ってきた姫はどこか一癖も二癖もあった。

 唯一シーラだけがランスの想像していた『お姫様』に近い感じがするが、やはり彼女もどこか図太い所もある。

「よくやった」

 その時、一人の豪華な鎧を着た男が歩いてくる。

「王子! 捕えました!」

 兵士達が二人を連れて王子の前に放り出す。

 その美しい裸体が見え隠れしているが、王子はそれに興味が無いようにシャロン姫を見下ろす。

「フン、噂通りの美しさではないか。最も、それに何の意味があるかはわからんがな。まあその美しさが役に立つのだがな。当初の予定通りだ。連れて行け」

 男は当初の予定通りにシャロンを連れていく。

 この国にとってはシャロン姫などは目的でもなんでもない。

「それと目的のものはあったか」

「それが見当たりません! 既に何者かが持ち去ったようです」

「何をやっている! 早く探せ!」

 男の言葉に部下は恐る恐るといった感じで答える。

「そ、それがとてつもない化物が潜んでいるようで…フルプレートの親衛隊が鎧ごと真っ二つになって死んでおりました」

 その言葉に男は眉をひそめる。

 フルプレートの兵が真っ二つになって死んでいるなど、普通はありえない事だ。

「見つけ出して殺せ! とにかく私にはやる事があるからな、先に行くぞ」

 男はマントを靡かせながら王の間から立ち去る。

(ねえランス、どうするの? シャロン姫が連れて行かれたけど)

(うーむ…かっこよく助け出して俺様に惚れさせる予定だったんだがな。殺される事は無いと思うがな)

 あの男はシャロンを何かに利用するつもりなのは明らかだ。

 それが何かは分からないが、まだ十分にチャンスはある。

 ランスは鎧の下で何時ものように笑っていた。

 




改めてみるとやっぱりgdgd感が…
その辺は笑って見過ごしてやってください

今現在のランスのステータスを
LV 50
才能限界 ∞
技能 剣戦闘LV3 冒険LV2
目標 スラルを元に戻してSEXする
   いい女とSEXする

こんな感じで
現在の状況についてはもう少ししたら本編にて

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