ランス再び   作:メケネコ

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第一次魔人戦争㊴

「そうか。ゾロッカが死んだか」

 魔物領―――その中枢である魔王城にて、魔物大元帥レギンが報告を受けていた。

 大将軍ゾロッカが闘将や闘神ではなく地上で戦死した、それはある意味驚きだった。

 まさか普通の人間に討たれるとは、まさに魔物大将軍の恥と言っても良いだろう。

「レギン元帥! ここは一気に総攻撃をかけ、人間共に思い知らせるべきでは!」

「戦いは数だよ、元帥! 魔物兵を一気に動員すれば人間共等あっという間に叩いて見せるわ!」

 同じ魔物大将軍の言葉にレギンは冷たく一笑する。

「ゾロッカは確かに死んだ。が、それがどうした」

「げ、元帥…」

「奴が死んだところで予定に変わりは無い。代わりの大将軍の補充もしない。奴が攻める時期の部分のローテーションが早くなるだけだ。それは貴様等にも望む所だと思うがな」

「そ、それは…」

 大元帥の言葉には一理あり、確かに同じ魔物大将軍が死んだ事で人間達に攻め入る時期が早くなる。

 それは確かに良い事ではある―――あくまでも個人的にでだ。

「魔王様の方針に変わりは無い。そもそも我々は魔人様のおまけに過ぎない。いくら我々が言おうが、全ては魔人様のお考え次第。それは貴様等も分かっているだろう。どれ程目障りに思おうともだ」

 レギンの言葉に誰もが黙る。

 全てはその通りであり、地上の人間など魔人が闘神都市を攻めるおまけみたいなものだ。

「貴様等の個人的な趣向のために予定を崩す気は無い。文句があれば、魔人筆頭バークスハム様に直接言うのだな。私は一切関与しない」

「う…」

 冷酷なまでの言葉に誰もが何も言えなくなる。

 魔物大元帥レギンは誰もが認める有能な将軍だ。

 が、それでも魔人には遠く及ばない…魔人の前には将軍の地位など何の意味もなさない。

「分かったならば次の時期の用意をしろ。ゾロッカが攻めるはずの期間に関しては、今回は何もせぬ。全ては死んだゾロッカの責任だからな」

「し、しかしゾロッカを討ち取った奴は始末すべきでは…」

「それ程の獲物を魔人様が見逃すとも思えぬ」

「むう…」

 結局は自分達は予定通りに動く以外にはありえない。

 そもそも、今回の戦争には二桁を超える魔人が動いているのだ。

 それでも10年人類は持ちこたえている。

 全てはあの闘神と闘将という強さを持つ連中の力だ。

「予定に変わりは無い。それに地上でお前達がいくら負けようとも、大勢に影響は無い。楽しむのは構わぬが、それで人間に反撃を受けて死のうが知った事では無い」

 レギンの言葉は何処までも冷酷だが、間違っている事は言っていない。

 地上での戦いはもう決まっているようなものなのだ。

 ゾロッカは人間達を殺し過ぎたために決死の反撃を受けて死んだのだ。

 それはゾロッカ自身が招いた結果であり、自業自得だ。

「話は終わりか。ならばもうここに居る必要はあるまい。自分達の仕事をやるがいい」

 話は終わったと言わんばかりにレギンはその場を立ち去る。

 残った魔物大将軍達は顔を見合わせるが、それでも大元帥であるレギンには逆らえない。

 何しろ魔王から直々に地上の戦いの計画を任されているからだ。

 バークスハムの意向を組んでいるという噂もあるが、逆に言えばそのバークスハムからの信任を得られているという事なのかもしれない。

 魔物大将軍達は特に何も言う事も無く、自分の役目を果たすべく動くしか無かった。

 

 

 

 魔物大将軍を倒しても世界は何も変わらない―――悲しいがそれが現実だった。

 荒廃した土地を再び使えるようにするには時間がかかるし、今の人類にはそんな時間も無い。

 だが、ランスはそんな事は関係無しに普段通りの生活をしていた。

 ベッドの上ではお町がランスのハイパー兵器をその口で丁寧に舐めとっていた。

 その隣でレンは非常に満足そうな顔をしながら荒い息を整えていた。

「全く…世界は戦争中だというのに、貴様は相変わらずだな」

「そう簡単に変わる訳無いでしょ。こいつは死ぬまでこのままよ、きっと」

 お町の軽口にレンはニヤニヤ笑いながら答える。

「それに付き合うアンタも大概じゃ無い? 妖怪王なんでしょ」

「黒部殿が居る以上、我は妖怪王ではない。その器でも無い事も分かっておる。じゃから今ここに居るのは只の妖怪でしかない」

 そう言ってからハイパー兵器をその口で含み、まだたどたどしい所を見せながらも必死で感じさせようとしている。

 それはレンの愛液と、出したばかりの皇帝液の残滓にまみれているが、お町は構わずに口で吸い上げていく。

(うーむ、お町さんは出会った時には完全に政宗にべたぼれだったからな…まあ奴が居ないのだから俺様の女にしても良い訳だ)

 あの政宗一筋だったお町とこうして簡単にセックスが出来る。

 色々と大変な事も多いが、自分の女が増えるのは良い事だ。

「うむ、少しは上手くなっているな」

 ランスがお町の頭を少し乱暴に撫でると、お町はジロリとランスを少し睨む。

「お前、我がまだ子供だと勘違いしているのではないか。確かに最初に出会った時は童の姿だったが、今はこうして大人の姿になったのじゃぞ」

「がはははは! そういう所がまだまだガキだな。まあそういう所も新鮮でいい所だが」

「…お前の言っている事は時に意味が分からない事がある」

 微妙な顔をしながらも、お町はそのままハイパー兵器から口を離すとランスの上にのしかかる。

「今度は我が上だ。いいな」

「うむ、好きにしていいぞ」

 お町の体はランスがJAPANで最初に見た時に近づいてきている。

 流石にあの時程に年齢を重ねている感じはなく、まだまだ感性の若さも感じられる。

 衣装もそれに準じてか、着物ではなく動きやすい大陸風の衣装を着ていた。

(うーむ、奴はこの体を好きにしていた訳か…)

 相変わらず見事な肉体を持つお町を見て、まだ生まれてすらいない政宗に対して敵意を向ける。

 お町はハイパー兵器に手を添えて腰を下ろしていく。

「くうぅ…あ、相変わらず…」

 まだ完全に飲み込む前からお町は甘い声を出し、ランスの胸に手を当てて必死で堪えている。

「がはははは! まだまだ経験が足りんな。これくらいジルでも耐えるぞ」

「わ、我はジル程経験が無いだけだ! 何時も貴様と居れる訳では無かろう!」

「妖怪王だしな、お前。JAPANでも色々とあったんだろ。ま、今はそんな事はどうでもいいか」

 そう言ってランスはお町を下から突き上げる。

「んんぅ!」

 完全にハイパー兵器が突き刺さり、最奥を刺激した事でお町は見悶える。

「ば、バカ者…我がやると言ったではないか…」

「好きにしろとは言ったが、俺様だって好きにするだけだぞ」

 ニヤニヤと笑いながらランスは動くが、お町がランスの胸に爪を立てる。

「あ、コラ何をする」

「いいから我がやると言ってるではないか。少しくらい大人しくしていろ」

 顔を真っ赤にしながらランスを睨んでくるお町を見て、ランスもそれなら仕方ないと言わんばかりに動きを止める。

「いいぞ」

「う、うむ…」

 お町は深呼吸すると、ハイパー兵器に愛液をなじませるようにして緩やかに動く。

 最初はぎこちなかったが、上手くハイパー兵器を擦れるようになっていき、次第にその腰の動きが激しくなっていく。

「んっ…く…」

 歯を食いしばり、ランスの胸に手を置いて支えにしながら刺激を与えるように動いていく。

 その度にランスの前で大きな胸が揺れ、視覚的にも十分すぎる程だ。

 ボリュームのある尻尾もゆさゆさと揺れ動き、中々に珍しい光景にランスも楽しくなる。

(うむ、しばらくゆっくりとするか。というかそもそも俺様は働き過ぎだな)

 じっくりとお町の体を頼むことにする。

 まだまだたどたどしく、慣れていない動きが逆に新鮮だ。

 LP期のような成熟した色気では無いが、今は今で非常に健康的な魅力が感じ取れる。

 つまりは良い女だという事である。

「倒れそうなら支えてやるぞ。ほれほれ」

「こ、こらっ。そ、そういうのは…」

 前のめりになってきているお町を支えるようにその大きな胸を鷲掴みにする。

 勿論痛みなんて与えないようにしているが、突如として胸を揉まれた事にお町の腰が止まり、その体を震わせる。

 同時に奥までハイパー兵器で貫かれ、それだけで甘いため息をついてしまう。

「やられっぱなしじゃない。じゃあちょっと援護してあげようかしら?」

 レンは二人のセックスを見ながらニヤニヤした顔でランスの側にやってくる。

「ん…」

 そしてそのままランスの顔を掴み唇を重ね、舌を絡めて濃厚なキスをする。

 ランスは文句を言おうとするが、流石にエンジェルナイトである彼女を力で引き剥がす事は出来ない。

 お町の体を支えていた手もはがされ、お町は少しだけ自由になる。

「このっ…す、好き勝手しおって…」

 お返しと言わんばかりにリズミカルに腰を使い、ハイパー兵器に刺激を与えていく。

 それを感じ取り、レンはランスの唇から一度口を離す。

「お前な」

「いいじゃない。セックスって楽しむものでしょ」

「お前は元々エロかったが、どんどんと受け入れてくな。エンジェルナイトとはそんな奴が多いのか?」

「エンジェルナイトだって個性があるんだから。私がただスケベだったってだけでしょ。それともそんな女はイヤ?」

「下らん事を言うな」

「そう言うと思った」

 そして再びランスと濃厚なキスをする。

 魔人との戦い、魔軍との戦い…ランスはそんなものは望んでいない。

 なのでしばらくはペンシルカウで女達とセックスを楽しもうと決意する。

 ただ―――それを許さないのが今のこの時代だという事をランスは理解していなかった。

 これこそ本格的な魔軍との戦争だという事を。

 

 

 

「何だと? じゃあザビエルの奴は復活してやがったって事か!?」

「うむ。ただ、復活して直ぐに天志教に封印されたがな」

 一段落し、ようやくランス達は一時の平穏を味わっていた。

「そういやそんな事言ってたな…日光があったらぶっ殺してたんだけどな」

 お町と黒部の言葉を聞いてランスが呟く。

「…ランス、お前は魔人ザビエルと何か因縁でもあるのか? お前が魔人に対してそこまで殺意を向けるなんて無かっただろ」

 ランスの態度を感じ取り、黒部が目を丸くする。

 黒部はザビエルとは因縁が有り、主であった藤原石丸を殺されている。

 本来であれば黒部を殺したのはザビエルなのだが、ランスが介入した結果、黒部はレキシントンとの戦いで命を落としている。

 だから黒部が知る限りランスとザビエルには因縁が無い。

 にも関わらず、あのランスがそこまで魔人ザビエルに敵意を向けるのか…それが不思議だった。

「別に。ぶっ殺せるならぶっ殺した方がいい奴だってだけだ」

 魔人ザビエルはランスが戦った中でもまさに魔人らしい魔人だった。

 ランスが友達だと認めた信長の体を奪い、その妹である香に対して酷い事をした奴だ。

 ランスからすれば今のうちに殺しておけば信長を救えるのでは…そう考える事もあった。

 が、ザビエルとは出会う事無く戦いは終わってしまっていた。

 ザビエルが何回か復活している事は聞いてはいたが、それが何時なのかという事はランスも知らない。

 100年単位で時を飛ばされているランスからすれば、ザビエルが復活している期間に関われるかどうかは完全に運でしか無かった。

「魔人ザビエルか…奴が復活したと同じ時期に戯骸がザビエルの元に戻ったと聞いた事が有るな。ただ、戯骸の奴が封印されたという話は聞いて無いが」

「あのホモ焼き鳥が居るのか…あ、でも今も女ならまあいいか」

 ランスにとってはホモ焼き鳥こと戯骸はトラウマになるほどの恐怖を与えてきた奴だ。

 JAPANで戦った時は男であり、ランスにこれまでにない程のトラウマを与えたが、今は女として復活している。

 なのでランスとしては十分有りなので殺す対象にはならない。

 勿論男として現れたら抹殺対象なのだが。

「とにかく、奴とは魔王が変わってから会っていないな。奴も特に何か問題を起こしたという話も聞いた事が無いしな。まあ今は大陸の方がとんでもない事になっているが」

 お町はため息をつく。

 鉄兵、闘将の強さはあの時の戦争で思い知ったし、魔人の強さも経験している。

 そのお町も今回の戦争の大きさが嫌という程思い知らされている。

「でもランス君、これからどうするの? 私としてはあんまりこの戦いに参加するのは止めて欲しいけどね。カミーラと会ったんでしょ? 幸いにも戦いにはならなかったみたいだけど…」

「あ、そうだ。あいつに新しい使徒が出来たんだってな。まさかあいつが女を使徒にするとは思ってもなかったぞ」

 ランスはあの時自分に向かって来たカミーラの使徒を名乗る女の事を思い出す。

 非常にいい女だったが、尚の事あのカミーラが女の使徒を作ったというのが信じられない。

 ランスが知っているカミーラの使徒は七星、ラインコック、そしてアベルトの3人だ。

 ゼスでのカミーラの行為はランスも知っており、平気で人間を処刑したり、粗相を働いた少女を強姦させるという事を顔色一つ変えずやっていた。

 魔人らしいと言えばそうだが、あの美少女をどういう経緯で使徒にしたのか、少しは気になる所だ。

「…私はあまりよく知らないんですよね。ルナテラスという名前だけは知ってるのですが」

「私の所には来たわね。来たと言っても勝負をしに来たって事だけど…その時もカミーラに殴られて帰って行ったわ」

「新たなカミーラの使徒…気になると言えば気になるな。ただ、それ以上に我は気になっている事もある」

 スラルはそう言ってランスを指さす。

「お前と同じ技を使っていた」

 その言葉に皆がランスの顔を見る。

「あ、そういやそうだったな。俺様の技をパクりおって」

「そうじゃない。あの使徒はお前と同じ技を使いこなせる技術を持っているという事だ。その上、我と同じように剣に魔法…いや、魔法とは少し違う力を感じたが…とにかく戦い方がお前に近い気がした」

 スラルはランスの剣の中からルナテラスの戦い方を見ていた。

 そして思ったのは、ランスに似ているという事だった。

 剣技に関してはランスには及ばないだろう。

 だが、その空気と剣の動きがランスを彷彿とさせた。

(それにアレからケッセルリンクが黙っていたのが気になるのだが…)

 もう一つ気になるのは、アレからケッセルリンクが何かを考え込むかのように黙っている事だった。

(ケッセルリンクならば何かを掴んでいるのかもしれないが…)

 ただ、それを聞いても恐らくは答えてはくれないだろう。

 元々不確定な事を口にしようとはしない性格だし、一番気にしているのは間違いなく彼女だ。

「女の子モンスターのドラゴン女の使徒なのかな?」

「…多分違うと思います。もっと強い何か…そんな感じがします」

 ブリティシュの言葉をジルが否定する。

「ジル、何か分かるの?」

「詳しい事は分かりません。でも、女の子モンスターとも違うような気がして…私にも明確な答えは出せません」

 ジルもルナテラスからは何か違和感を感じ取っていた。

 使徒と言われれば納得する力だが、どうしても気になるのは魔王の血の力を感じ取れなかった事だ。

 ジルにもほんの僅かにだがまだ魔王の血が残っている。

 微細な量だし、それが無敵結界を与えるような量ではない…本当に魔王の血の残滓だ。

 ただ、何となくではあるが、魔人や使徒の気配…所謂魔王の血の気配というのが分かって来た。

 日光やカオスの持つ魔人や使徒を見分ける能力、それが今の実には薄らと備わって来ていた。

「もっと別な何か…なのかもしれません。確信は無いですけど」

「それよりもこれからだ、と言いたい所だな。正直外は何もかわっていないからな」

 メイの言葉に皆がルナテラスの話題を止める。

「別に何もせんぞ。出来る事など無いからな」

「…身も蓋も無いな。が、お前の言う事も分からなくも無い。戦争はまだまだ続く…お前がこの戦争に長い間付き合えるとも思えないからな」

 ランスは常にその時代に居る訳ではなく、ごく短い間しか滞在できない。

 そして今の戦争はもう10年も続いており、いつ終わるかも分からない。

 そんな状況ではランスも当然の様にセラクロラスによって移動させられるだろう。

 そこにはランスの意思は無いのでどうしようもない。

「…だから私にとってもアンタがこの戦争に参加するのは控えて欲しかったんだけどね。ま、私が言ったところでアンタの意思次第だからそこはどうしようもないけどね」

「始祖様!」

 そこでハンティが唐突に姿を現す。

「凄い悪い報告が有るんだけど…聞きたいかい?」

「知らん」

 ランスはハンティの言葉をあっさりと斬り捨てる。

 が、

「何かあったのか? ハンティ」

「あ、こらスラルちゃん」

 スラルは当然の様に聞き返す。

「闘神都市Θにまた魔人が現れた」

「そんなの別に珍しくも無いだろ。それともバケモノジジイがまた現れたというつもりか?」

 ランスの言葉にハンティは首を振る。

「ある意味もっと悪い」

「はあ? あのジジイより厄介な奴が居る訳無いだろうが」

「一人居るのさ、その厄介な奴が…今の魔人筆頭バークスハムがね」

 本来そこに居なかったはずの魔人であり、今の時代の魔人筆頭と呼ばれるバークスハムが現れた。

 それは色々な意味でランスも知らない未来へと繋がっていく。

 それが良い事か悪い事か、それはまだ誰も知らない事だった。

 

 

 

「あーーーーーーっ! また折れた!」

 魔人カミーラの城でルナテラスは折れた剣を手にまた怒鳴っていた。

「ル、ルナちゃん乱暴に扱い過ぎじゃ無いかな…」

「ラインコック! これナマクラだよナマクラ!」

 ルナテラスは折れた剣を投げ捨てる。

 そこには何本ダメにしたのか、大量の剣の残骸が散らばっていた。

 それを見てラインコックは顔を青くするしか無かった。

「だ、だってルナちゃんの力に耐えられる剣なんてそんな簡単に見つかる訳無いよ。これまで使ってた剣だって、七星がやっとの事で見つけて来たのに…」

「それじゃランスに勝てないんだよ。というか剣のレベルが違い過ぎて、斬り合う事すらも出来やしない」

 口をへの字にしてルナテラスは不満を漏らす。

「…ルナよ。お前の技術が低いだけだ。それを剣のせいにするな」

「かあ…カミーラ様は剣を使わないからそういう事を言えるんだよ! 剣士には剣士の武器が有るんだよ!」

「………ふむ。お前の言う事も一理あるか」

 娘の文句にもカミーラは意外にも理解を示す。

 それはランスが剣に苦労をしていたという事を知っていた事もあるかもしれない。

 だが、その言葉を聞いてラインコックは少し複雑な顔をする。

(うう…カミーラ様、何だかんだ言ってもルナちゃんに凄い甘い。やっぱり実の娘だからかなあ)

 確かにカミーラはルナテラスに対しては厳しい―――が、それは戦闘面や立ち回りに関してだ。

 ラインコックも事情を知っているのでそこに文句は全く無い。

 彼女の正体がドラゴンに知られると、魔軍とドラゴンの間で大きな争いが起きる…カミーラはそれを危惧している。

 だからこそ、ルナテラスの正体は絶対に知られてはならない…それこそ同僚である魔人達にもだ。

 ただ、それ以外の所ではカミーラは自分の娘に甘い、とラインコックは見ている。

 事実、苛烈な性格であるはずのカミーラはルナテラスに対しては寛容だ。

 複雑な存在であるのは間違い無いが、それでもこの世界に存在する唯一の女のドラゴン…カミーラにも色々な葛藤があっただろうが、それでもやっぱり親なのかとラインコックは思ってしまった。

「冒険に行きたい…オレもランスみたいに冒険したい! そしてオレにあう剣を探すんだ!」

「…ル、ルナちゃん」

 ルナテラスが一番ランスに似ている所は、この世界を冒険したいという欲求が強い事だ。

 目をキラキラさせダンジョンに赴く事も少なくない。

 冒険の失敗も成功も自分の経験として受け入れ、次はどうしようかと考えている。

「でもルナちゃん。ルナちゃんの手に合う剣って簡単に見つからないよ。ガルティア様だってそう言ってたでしょ」

「分かってるけどさあ…」

 ルナテラスの持っていた剣はガルティアもお墨付きの剣だった。

 ガルティアは魔人の中でも数少ない剣を使う存在で、尚且つ非常に話しやすい存在だ。

 七星が見つけてきた剣の中で、ガルティアがコレだと選んだのがルナテラスの使っていた剣だ。

「ルナ、カミーラ様を困らせてはいけない」

「七星…でも、そうは言うけど、やっぱり剣が無いとしっくり来ないんだよ。オレ、カミーラ様みたいに魔法使えないし」

「それは才能の問題だからな…が、一つ情報を仕入れて来ました」

「…七星。それはこのカミーラにとって有益な事なのだろうな」

 主の言葉に七星は少し気まずそうな顔をする。

 その顔を見てカミーラは全てを察する。

 それはカミーラにとって有益なのではなく、ルナテラスにとって有益な情報なのだと。

「今戦争をしている聖魔教団ですが…どうやら色々な武器を作る施設のようなものがあるらしいと」

「え? そんなのが? だって闘神も闘将も武器なんて使ってこないだろ」

「ええ。ですが、パイアール様がそのような施設が破壊された闘神都市の中にあると。パレロアから通じてこの情報を仕入れたので間違い無いかと」

「うーん確かに魅力的だけど、それだとなあ…」

 七星の言葉にルナテラスも難しい顔をする。

「………フム」

 その言葉を聞いてカミーラは考える。

(いい機会か)

 カミーラも色々と考えている事がある。

 そして娘もまだまだひよっことはいえ、それなりに強くなっては来た。

 ならば次の段階に上がるべきなのかもしれない。

「ルナ、お前に一つ聞きたい事がある」

「何だよ、カミーラ様」

「ランスに会うつもりはあるか」

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