「ふぅ…久々に体がある、とはこういうものか」
現れたカラーは己の手を軽く動かした後で、その場で軽く跳躍をする。
「想像以上に素晴らしい肉体だ。カラーだった頃の私を軽く上回っている…この肉体が当時の私にあれば、あのムシ共にカラーが脅かされる事は無かったのかもしれないな」
そう言ってメイ―――いや、ケッセルリンクは笑うと茫然としているランスを見る。
「こうして直にお前を見るのも久々だ。いや、魔人としてはそう長い年月では無いというのに、なんというか…こそばゆいな」
ケッセルリンクは軽く微笑んでから改めて己の今の肉体に触れる。
「不思議なものだ…本当の体の持ち主はメイだというのに、あの素晴らしい肉体が消え私の肉体になっている。それでいて肉体の力そのものはメイのものなのだからな」
「がははははは! ケッセルリンクじゃー!」
「おっと」
ランスはケッセルリンクに飛びつくと、その体を強く抱く。
その体の柔らかさ、そして特徴的な大きな胸は間違いなくランスが幾度となく抱いて来たケッセルリンクのものだった。
「うーむ、パステルの時は体にそんなに大きな変化は無かったから不安だったが、あの筋肉カラーからケッセルリンクの体が出てくるとは」
「それは私も疑問に思った。このような事があるのだなと」
ランスの言葉にケッセルリンクも同意する。
「それはやはりケッセルリンク様が魔人だからでしょう」
「む…おお!」
そしてこれまでのケッセルリンクのように幽霊のような状態になっているメイが姿を現す。
彼女は全裸なのだが、その凄まじく美しい筋肉を見てランスは別の意味でため息が出る。
「うーむ、やはり顔はカラーなのにその筋肉なのがメチャクチャ違和感があるぞ」
「俺にとっては自慢の肉体だ。しかし、確かにここまで姿が変わるのは驚いた。だが、こうして上手くいった事に安堵している」
メイはケッセルリンクの姿を見下ろし頷いている。
「メイ。この体、しばしの間借りるぞ」
「はい。ケッセルリンク様。あなた様の目的のため、俺の体をお使いください。そして俺はケッセルリンク様のようにその剣に入れば良いのだな」
そう言ってメイは本当にランスの剣の中へと入って行ってしまう。
「あ、こら! ってもう聞こえんか」
剣の中に引っ込んでしまったメイに対しては流石のランスも呆れる。
「ランス、軽くで良いので私を叩いてくれ」
「は?」
「テストをするだけだ。軽くでいい」
「…まあ構わんが」
ケッセルリンクの奇妙な提案にランスは困惑しつつも、その頭に軽く拳骨をする。
それはシィルやシーラ、ジルにしたのと同じようにケッセルリンクの頭部に当たる。
「…少し痛いぞ。だがこれで分かった。今の私には無敵結界は無い。つまりは魔人としての力は無いという事か」
「じゃあカラーの時のお前だという事か?」
「いや、そうでもない。これならどうだ」
ケッセルリンクがそう言うと、ケッセルリンクの体から闇が溢れてくる。
「うおっ!?」
それは彼女が持つ魔人としての力だ。
「おお! これは使えるのか!」
「…だが、魔人の時よりもやはり弱いな。いや、それが当然なのだが」
闇が集まりケッセルリンクの姿となる。
「それでも十分ではないか」
「弱まっているという事はやはりそれだけ己の身を危険に晒す。ましてやこの体はメイのもの、間違っても死なせる訳にはいかない」
「ほうほう…それよりも」
「あっ」
ランスはケッセルリンクをベッドへと押し倒す。
「せっかく体が戻ったのだからセックスをするに決まっておるではないか!」
「そ、それはダメだ! この体はメイのものだ。いくらお前でもそれは許される事では無いだろう」
「だが額のクリスタルは青いぞ? メイのクリスタルは赤だったしな」
「な、何!? ど、どういう事だ?」
ランスがそんな嘘を―――言いそうだと思ったが、流石に自分に嘘を言う事は無いと思い信じる事にする。
「ジル、入ってこい」
「はい、ランス様」
ランスの言葉に合わせてジルが部屋に入って来る。
そして何とかランスを跳ね除けて起き上がったケッセルリンクを見て目を丸くする。
「え? ケッセルリンクさん!?」
「う、うむ。久しぶり…という訳では無いが、こうして改めて顔を合わせるのは何百年ぶりか…」
「ジル、お前もこっちに来い」
ランスに手招きされてジルもベッドへとやって来る。
「おい。ケッセルリンクのクリスタルはどうなっている」
「え? クリスタルですか? 青いですけど…」
「む、むぅ…ジルがそんな咄嗟に嘘を言うはずも無いし、本当に青いのか…」
「お前は何処まで俺様を疑っとるんだ。ほれ、鏡を見ろ」
疑われているのが少し不愉快なのか、その顔に鏡を突き付ける。
その中に写り込んでいたのは居たのは間違いなくケッセルリンク自身の顔で、そのクリスタルは確かに青かった。
「どういう事だ…? しかし、私自身他の者の肉体を使わせてもらうのは初めてだし、何が正しいのか判断出来る訳も無いか…」
ケッセルリンクが難しい顔をしていると、ランスはニヤリと笑ってその服を脱がし始める。
「あ、コラ! 待て!」
何とかランスを制止しようとするが、今のケッセルリンクは魔人としての肉体が無い。
なので腕力でランスに敵うはずも無かった。
あっという間にカラーの服を脱がされ全裸にされる。
「ジル、お前も来い。二人とも可愛がってやるからな」
「え…あ、はい…」
ランスの言葉にジルは顔を真っ赤に染めながらも着ている服を脱ぐ。
そこにはケッセルリンクに勝るとも劣らない大きな胸がある。
ジルはまだ成長途中なので身長がまだ低いが、体はもう既に色気を発している。
だが、ケッセルリンクはジルの右手と右足に巻かれている包帯を見て悲しそうな表情をする。
「その体…」
「気にしないで下さい。ケッセルリンクさんが悪い訳では無いですし、何よりも私を助けてくれたんでしょう?」
「…私にとっては一番の罪だ。だが、こうして君がランスの側に居る事を嬉しく思うよ」
ケッセルリンクは優しくジルを抱きしめる。
「大丈夫ですよ。私はこうしてランス様と共に居られてますから」
(うーむ、中々いい光景だな)
抱き合う二人だが、今の姿は二人とも下着姿なのでランスとしては非常に良い光景だ。
いやらしい意味が全く無いにも関わらず、美女と美少女が抱き合っているというのは中々深いものが有るのかもしれない、ランスはそう思った。
(まあレズはいかんがな。不健全だ)
ランスは一貫して性癖はまともなので、同性愛に関しては否定的だ。
「がはははは! じゃあ早速やるぞ!」
「だ、だから待て! わ、私はダメだぞ。この体はメイのものなのだ。彼女の体をそういう意味で傷つける訳にはいかない」
ケッセルリンクはあくまでもこの体をメイのものとし、ランスとの性交を何とか拒もうとする。
「む…」
ランスを拒むのではなく、メイの事を尊重して拒むケッセルリンクに対してランスも流石に考える。
ケッセルリンクもそう言えばランスも無理矢理するような事は無いとは思って強く言っている。
「私としてもお前とセックスをするのは拒まないが、流石に私の本来の体では無いとなると…」
「構いませんよ、ケッセルリンク様。流石にこんな状況で処女を奪われるのは少々考え物ですが、それ以外なら」
「メイ!?」
ランスの剣からメイの声が聞こえてくる。
どうやら彼女は本当に意思も精神力も別格なようで、今の状況でも簡単に声を出せるようだ。
「元の体に戻った時にクリスタルが青くなっていると少々困りますので」
「ほ、本当に君はそれで良いのか? 君の体だろう」
「フ…このような状況を楽しむのもまた一興」
「…私は君というカラーが分からなくなるよ。豪胆なのか何も考えてないのか」
堂々と言い切るメイにケッセルリンクは感心すると共に呆れてしまう。
「本当に…良いのだな」
「くどいです。俺はそれも踏まえてあなたに俺の肉体を使ってもらう事を選んだ。その決意、甘く見て貰っては困る」
「それは戦いの時に言うべき事で、こういう事の時に言う事では無いと思うのだがね…」
「これも一つの戦い。カラーは人間の男と行為をしなければ数が増えない。何れは俺も経験する事」
「君がそれで良いというのならば甘えさせて貰うが…」
「話は終わりだな。じゃあ早速やるか!」
ランスは背後から二人の胸を鷲掴みにする。
右手でジルを、左手でケッセルリンクの胸を揉む。
「ラ、ランス様…も、もしかしてこのままケッセルリンクさんと…?」
「当然だろうが。お前は奴隷、俺様の言う事に逆らう事など許さんからな」
むにむにとジルの胸を掴み、その先端を指で潰す様にして愛撫する。
「で、今回はお前には入れられんと」
「そ、そうだな。今回はダメだ。私にも準備があるからな」
「準備?」
「そ、その…う、後ろなら構わないだろう」
「お前が良いなら構わんぞ」
性癖だけはノーマルなランスは、お尻を使う事はあまり無い。
おしおきと称してプレイをしたり、求められれば拒む様な事は無い。
ただ、その際にはやはり準備が必要となる。
そこでランスは思いつく。
「おいケッセルリンク」
「何だ?」
「お前もジルを可愛がってやれ」
「…全くお前という奴は」
「え? え?」
ケッセルリンクは苦笑すると、ランスに背後から抱きかかえられているジルの胸を掴む。
「フフ…随分と育ったな。少女だった君を見守る事は出来なかったが、見る事は出来た。その時に比べれば人の成長は早いものだ」
「ケ、ケッセルリンクさん。ランス様…」
状況に混乱しているジルは不安そうな様子でランスを見る。
「何も考えんでいいぞ。しっかり楽しませてやるからな」
こちらを見てきたジルの口をランスは口で塞ぐと、その下半身に手を伸ばす。
そこはもう濡れてきており、ジルがどれだけ期待をしていたのかが分かる。
そしてケッセルリンクはジルの胸を繊細な動きで刺激する。
「あう…ランス様、ケッセルリンクさん…」
まさかの二人からの愛撫にジルは困惑するしかない。
3Pは何度も経験させられているし、女性に胸を揉まれたりするのも別に初めてではない。
レンにも愛撫された事も有るし、ジル自身もレンに愛撫した事だってある。
「フフ…何も悩む必要は無いさ。今くらい、こうして快感に従ったっていいだろう」
胸の先端を乳房に押し込むように愛撫され、その先端はもう既に硬くなってしまっている。
下半身ももう期待でトロトロに蕩けてしまっている。
そうして二人に愛撫され、ジルはもう体に力が入らずに荒い息をつきながらベッドに仰向けに寝かされている。
「おいケッセルリンク」
「何だ」
ランスはケッセルリンクに耳打ちする。
それを聞いたケッセルリンクは非常に複雑な顔をする。
「お前、そういう事は好きでは無いと言っていただろう」
「プレイ内なら別だ別」
「全く…都合の良い男だな。しかし、私はそういうプレイはした事は無いぞ」
「そうなのか? いや、お前なら使徒とそういう爛れた関係とかなくも無いだろ。加奈代も居るしな」
ランスの言葉にケッセルリンクはため息をつく。
「使徒達は私の気持ちをきちんと分かってくれているからな。そんな使徒達が私と肉体関係を持とうと思うか? …加奈代以外」
「うーむ…あいつ、積極的にエロ衣装を作ってるからそういうプレイを迫っていると思ったが…」
「お前と話が合うのは分かるが、加奈代も私の気持ちを汲んでくれているよ。正直言えば、私だってお前の前でそういう事をするのは恥ずかしい」
少し顔を赤らめながら抗議をするようにランスを睨むケッセルリンクを可愛く思い、激しいキスをする。
「全く…仕方の無い奴だ。だが、その後でうんとジルを可愛がってやってくれ。彼女は何よりもお前を一番欲しているのを忘れないで欲しい」
顔を赤くしながらもケッセルリンクは荒い息をしているジルの側へと向かう。
「すまないな、ジル。互いに厄介な男を愛してしまったと思って諦めてくれ」
そう言ってジルと体を重ね合わせる。
女性器と女性器を合わせるようにすると、そのまま緩やかに動き始める。
「うう…ランス様ぁ…」
「うーむ、中々深いな」
こういうレズプレイを見るのは初めてではない。
今は亡きエロ仲間でありランスでも勝てなかったバイであるミリ・ヨークスも凄かったし、ゼスの元マッドサイエンティストのパパイヤも凄かった。
「わ、私も何か恥ずかしいな…べ、別に他の者も混じってセックスをするなど珍しい事でも無いのに」
ケッセルリンクはジルの足を肩に担いで積極的に腰を動かす。
粘液と粘液が混じるいやらしい音が響き、それだけでも興奮できる程だ。
「ううう…ランス様、私凄い恥ずかしいです…」
「ランス…私もだ。私は同性愛者では無いのだぞ…」
ランスに少しの抗議をしながらも、腰を動かすのを止めない。
ただ、その動きはやはりたどたどしいが、視覚的にはそれでも十分だ。
2人が動くのをランスはじっくりと観察しているが、当然ハイパー兵器の方が我慢できなくなる。
「がはははは! 二人で盛り上がるのもここまでだ。ここからは俺様が可愛がってやるぞ!」
ケッセルリンクを退かせるとランスはそのままジルにハイパー兵器を挿入する。
既に出来上がっているジルの体はすんなりとハイパー兵器を受け入れる。
「や、やっぱり…私はランス様のが良いです」
ハイパー兵器を受け入れたジルは何処か安心したように呟く。
「当然だな。お前は俺様の奴隷だからな」
根拠の無いランスのセリフにもジルは微笑む。
そんなジルにケッセルリンクが寄り添う。
「良かった…再び君の幸せそうな顔をこうして直に見る事が出来て」
「何を言っておる。さんざん見てただろうが」
「剣の中からだからな。こうして生身の目で見るのとはまた違う」
ランスの言葉にケッセルリンクは軽くランスを睨むと、ジルの腕を掴む。
「それよりもお前も参加しろ」
「フフ…相変わらずだな、お前も。ここまで大きな戦いがあり過ぎて多少ストレスが溜まっていたのは分かっていた。ここで十分発散するといい。そしてすまないな、ジル。カラーの私はランスの言葉には逆らえないんだ。これもカラーの宿命みたいなもの…惚れた男に弱いのさ」
そしてランスによく見えるようにジルの頭を自分に向けさせると、2人は唇を重ねある。
「んんんっ!!?」
ジルは驚いたように目を見開くが、ケッセルリンクは構わずにやや強引に舌を捻じ込む。
同時にランスの動きが激しくなり、ジルは何とか息をしようとするがケッセルリンクの力は強く、今のジルでは引きはがす事など出来ない。
2人の唾液が混ざる音とランスがハイパー兵器でジルをかきまわす音だけが響く。
ジルの体からはもう完全に力が抜け、2人にされるがままになっている。
「フフ…すまないな」
ケッセルリンクは唇を離すとジルに謝る。
そしてそのままジルは二人に犯され続けていた。
「ふむ…やはり朝でも体に変化は無しか。『夜の女王』と呼ばれた私だが、夜に特別な力を発揮できるという事は無いが、代わりに朝でも力が落ちるという事でも無い様だ」
「そうなのか?」
ランスはジルをランス的な意味でいじめ抜き、ケッセルリンクはそれを見てニコニコしていた。
傍から見れば少女が置かされてるだけだったのかもしれないが、実際にはジルは全身を桜色に染めて潤んだ目でランスとセックスしていたのだから問題無い。
そして夜が明けたが、普段ならケッセルリンクは朝に弱いのだが、今はそういう事は無い様だ。
「魔人としての力は無い代わりに魔人としての特性も無い。言わば中途半端な存在、それが今の私だ」
「ふーん。まあお前が居るなら大したことじゃ無いな」
「…フフ、そう言ってもらえると嬉しいよ。お前は私を魔人四天王ではなく、唯の女としてみているのだな」
「当たり前だろうが。お前は魔人だがその前に俺様の女だ。それ以上に重要な事など無いぞ」
ランスの言葉にケッセルリンクは微笑むと、ジルをお姫様だっこしてそのまま風呂に消えていく。
「ああ、朝からそういうのは無しだぞ。恐らくはこの後は大変な事になるだろうからな」
そう意味深な言葉を残すと、水が流れる音だけが響いていた。
そしてランス達が魔法ハウスのリビングに降りていくと、そこには既に皆が待っていた。
「おはよう、ランス…! 魔人ケッセルリンク!?」
ランスに気づいたブリティシュが挨拶をするが、ランスとジルに続いて階段を下りる人物を見て慌てて立ち上がると剣を構える。
「…ああ、お前の言ってる事はそういう事か」
「そういう事だ。お前にとっては大したことは無い事でも、それは一般の者にとってはそうでもないという事だ。今更お前の感性について言うのも無粋だと思うがな」
それは当然のようにランスに付いて来ているケッセルリンクだ。
「魔人!? 何故魔人がこんな所に!?」
闘神Θもブリティシュの言葉に反応するが、ケッセルリンクを見ても少し困惑した様子が見て取れる。
「魔人四天王の1人『夜の女王』ケッセルリンク…ん? あれ、何か変だね」
自分で言葉を発した事での違和感にブリティシュは怪訝な顔をする。
目の前に居るのは確かにあの時に出会った魔人なのは間違い無い。
戦いにすらなっていなかった相手を忘れるはずがない―――そして自分達を見逃した魔人である事も。
「ああ、それについては私から話そう。恐らくランスとジルでは説明出来ないだろうからな」
そう言うとケッセルリンクは本当に今の状態を素直に二人に話す。
勿論本質―――ランスとの関係については自分からは喋らないが、今の状況だけは話す事にした。
「そういう訳で今この場に居るのは魔人ケッセルリンクではない。かつてカラーを守るために戦っていたカラーの戦士、ケッセルリンクだ」
「…信じられないな。だが、カラーの秘術となるとありえそうだ。実際、今メイという特徴的なカラーが居ないのがその証拠なのだろうな」
魔法に対して知識があるルシラは思った以上にすんなりと話を受け入れていた。
「随分とすんなりと受け入れるんだね」
「魔人ケッセルリンク…四天王として確かに名前は聞いた事はあるが、この戦争で一度も姿が確認されていない魔人でもあるからな。それに、魔人が持っている禍々しい気配が感じられない」
「…確かに。以前に僕が対峙した時に纏っていた禍々しい気配が無い…」
ルシラとブリティシュはそれでも警戒はしながらもランス達をみる。
が、ランスは自分は知らないと言わんばかりの顔をしているし、ジルもどうすれば良いか分からないという顔をしている。
「…とにかく、君は今は人間に対して敵意は無い、と判断していいのかな?」
ブリティシュの言葉にケッセルリンクは薄く笑みを浮かべる。
「確かに私は別に人間を特別どうしようとかは考えた事は無い。それに私にとってはこの戦争だって正直どうでも良い事だからな。というよりも私はこの戦争の経緯も何も知らない。言わば完全な部外者だからな」
「部外者?」
「ああ。私は何も知らないままこの戦争が始まった。私は別に人間に激しい恨みがある訳でもないからね。それに闘神と闘将…闘神都市にだって興味はない。だから何が起きているかも知らないまま戦争が始まった。ただ私はそもそも聖魔教団と戦うつもりも無かったがね」
「戦う気が無い? 魔人なのにか?」
「同じ魔人でも戦争に参加していない者だっている。別に珍しい事では無いだろう」
ケッセルリンクの言葉にブリティシュは複雑そうな表情を浮かべる。
ルシラもただ黙ってケッセルリンクを見ているだけだ。
だが、ケッセルリンクはそんな二人の圧力にも涼しい顔をしているだけだ。
「これだけはハッキリしておきたい。今、君は人類の敵かどうか。これが一番重要だ」
答え次第ではケッセルリンクにも斬りかかりかねない迫力がブリティシュから感じられる。
ランスも当然それを感じ取り、剣に手を伸ばすのをケッセルリンクが抑える。
「今私を害しても無駄だよ。この体はメイのものだ。メイが死ぬだけだよ」
「!」
「結論を言おう。魔王の命令があれば私は人間に牙をむく。そこには私の意思は存在しない。魔王の絶対的な命令権に従わなければならない」
ケッセルリンクの言葉にブリティシュも息を呑む。
魔人ガイが逆らえたのは特殊な事情があった、とは分かってはいたが理由までは聞かなかっし、ガイも教えてはくれなかっただろう。
魔人は魔王の命令には絶対に逆らえない、これはこの世界のルールだからだ―――一部の例外を除いて。
「そして私は人類そのものについてはそこまで興味はない。だが、一つハッキリと言える事がある」
「それは?」
「私は常にランスとジルの味方だよ。逆に言えばそれ以外の人類…いや、魔物でさえも些細事だ。それが私の絶対的な答えだよ」
そう言ってケッセルリンクは薄く笑みを浮かべるのだった。
大分遅れてしまい申し訳ありません
時期が時期だけに忙しくて中々PCに向かう暇がありませんでした
天候も悪いし…ホントキツイです