ランス再び   作:メケネコ

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第一次魔人戦争㊼

 闘神都市―――ランスにとっては初めてではない。

 イラーピュもそうだし、ゼスの地下に埋まっている闘神都市も探索した。

 ゼスの時はゼスの連中があれこれいじっていたので完全な闘神都市ではないが、とにかくランスとしても久々の闘神都市だった。

「うーむ、見つからんな」

「そうですね。る壺は一体何処にあるのでしょうか」

 マップを受け取っているので道に迷う事は無いが、とにかく闘神都市は広い。

 いくつものブロックに分かれ、そこには闘将用の部屋もあればランスにはよく分からない研究施設のような場所もある。

 イラーピュの時もそうだったが、とにかく闘神都市は複雑な地形をしていた。

「中々に興味深い。人間がまさかこれ程の物を作るとは私には想像も出来なかった」

 ケッセルリンクはこの闘神都市に若干の興味を持っているようだった。

 当然どんな構造をしてどんな風に作られているのかさっぱり理解出来無いが、それでも興味が有る事には変わりない。

「かつての藤原石丸もそうだが、人間の中には時にはとてつもない存在が生まれるな」

「石丸か…だが、ザビエルの奴だけで石丸達はやられちまった…」

「無理も無いな。当時の奴はこの私よりも強かったからな」

「お前よりもか」

 ケッセルリンクの言葉にランスは驚く。

「ああ。夜に戦えば私が勝っただろうが…奴の強さに昼夜は関係無いからな。ナイチサにも重宝されていたよ。人間に負けて封印されてから見限られたようだがな」

 少し懐かしい事を思い出す様にケッセルリンクが遠い目をする。

 あの戦争はケッセルリンクは参戦していないが、色々とハラハラさせられた戦いでもあった。

 ランスを助けるために使徒を動かしたが、まさかレキシントンが参戦してくるとは思っても居なかった。

 カミーラもランスが殺されないように色々と手を回していたが、それでも大きな戦いだったのは間違い無かった。

「フッ、お前という人間には色々と秘密があるようだな。乙女の俺はその辺りにもセンチメンタリズムな運命を感じずにはいられないが…敢えて言わせて貰う、他言しないと!」

「…お前、一々大袈裟でうるさいな。ガンジーよりも性質が悪いぞ」

「生憎と俺は我慢弱く、落ち着きの無い女だ。俗に言う人に嫌われるタイプだ!」

「威張って言う事じゃねえだろ」

「まあケッセルリンク様が居るからな。俺も魔人に狙われたくはない」

 殺姫の言葉にケッセルリンクは呆れたようなため息をつく。

「ふぅ…突然変異種のモンスターとはこんな奴が多いのか?」

「その通りです、ケッセルリンク様。それ故に我等突然変異種は魔軍にすら参加する事は許されない。だからこそ、俺はそんな者達を纏め上げ部隊を作った。まあレギン大元帥にも色々と思惑はあるのだろう。マエリータ隊の結成にも協力してくれたよ」

「現在の魔物大元帥か…相応に優秀なようだ」

「ええ、優秀ですよ。この俺も認めるぐらいにね」

 ケッセルリンクの言葉に殺姫はクククと笑う。

「で、ランス。そろそろ目的地に着くぞ」

 マップを見ながら殺姫は通路を指さす。

「意外と早いな。もうちょいかかると思ったが」

 過去の闘神都市の探索を思い出し、ランスは行軍が早いのを感じ取る。

「俺達が居るんだ。モンスターなんぞ相手にならねえだろ」

「それもそうか」

 黒部の言葉にランスは納得する。

 あの時のメンバーもランスにとっては何時ものメンツ…かなみとマリアと志津香という、リーザスからゼス、JAPAN、ヘルマンと全ての大陸で戦った者達が居た。

 彼女達も格段に優秀なメンバーなのだが、今居るメンバーはそれを上回るのは間違い無い。

 それにランス自身が異常な強さになっているので、並のモンスターでは足止めにもならない。

 行動も早いのも有る意味当然なのだ。

「しかしこうしてダンジョンの探索など何時以来か…私がカラーだった頃から考えればもう2,000年以上も経っているのだな」

 ケッセルリンクは懐かしむように薄く笑う。

「さて、殺姫。問題の場所は何処だ」

「こちらです。ケッセルリンク様」

 殺姫はマップを手に色々と警戒しながら歩いて行く。

 殺姫の言っていた事は嘘では無かったようで、本当にスカウトとしての実力があったようで、罠などもしっかりと回避している。

「全く…闘神が居るのに罠が解除できないとはどうなっとるんだ」

「仕方ありませんよ、ランス様。落下の衝撃で壊れてしまったみたいですから」

 この闘神都市の主が居るのに闘神都市には対モンスター用の罠が作動してしまっているのは、落下の衝撃で闘神の命令が上手く作用していないかららしい。

 だからこそ遠隔操作のために魔力を補充しに行くのだが、ランスとしては少々拍子抜けしている所が有る。

「しかし闘神都市だというのにアイテムが無いな」

「そう言えばそうだな。ダンジョンと言えば宝箱、これがロマンだというのに」

 ランスの言葉に殺姫も納得いかないという感じで頷く。

「うむ、こういう所では良いアイテムが落ちているのが当然なのだ。それなのに何も無いではないか」

「ダンジョン攻略をしている立場としては悲しいな」

 ランスと殺姫には通じる部分があったようで、2人で頷いている。

「ハハハハハ! ランス、やはり俺とお前は波長が合うようだ! 最初に出会った時からそう思っていたぞ」

「いや、それは無いな」

「つれないな! しかし、このダンジョンの探索というのは楽しめる! 新たな発見をするというのはやはり楽しいものだ!」

 ランスもそれについては正直同感なのだが、同意したら負けなような気がして何も言わない。

 殺姫からはベネットと同じ匂いがするのをランスは感じ取ったのだ。

「それよりもここが例の場所のようだな」

 殺姫の案内で扉を開けると、そこにはランスが見ても何なのか分からない装置が置いてある。

 ランスだけでなく、その場に居る誰もがそれが何かは分からないだろう。

「ここに魔力を注げばいいんですか?」

「そのようだ。ジル、君だけで大丈夫か?」

「多分大丈夫だと思います。流石にルーンさん程の魔力は無いですけど…」

 ルーンはたった一人でこの闘神都市を浮上させる程の魔力を持っているという話だ。

 ジルも多大な魔力を持っているが、流石に闘神都市を浮上させる程の魔力は無い。

「ジル、私も居る。遠慮なくやりたまえ」

「はい、ケッセルリンクさん」

 ケッセルリンクに促され、ジルは闘神都市に魔力を注入する。

 ランスには何が起きているかさっぱり分からないが、とにかく闘神都市に何かが起きているのかは分かる。

(こうして見るとイラーピュとは違うな)

 かつて冒険をした闘神都市イラーピュは中々複雑な作りをしており、ランスも探索には苦労をした。

 色々な罠やモンスターも居たし、中にはやっかいな闘将も存在していた。

 それに比べればこの闘神都市Θの作りはシンプルだ。

 厄介な罠や変なシステムは今の所見当たらないし、ランスを狙ってくる闘将も居ない。

 楽と言えば楽だが、少し物足りなさも感じてしまうのも事実だ。

(何かいいアイテムも見当たらんしな…あ、そう言えば志津香が何かやってたな。色々と何かやってたようだが、無防備だったから楽しませてもらったが)

 昔の事は殆ど記憶に無いランスだが、流石に自分に近しい女達の事になると話は別だ。

 その中でも志津香はランスが本気で口説いた女で、ようやく自分のモノになりそうな時に子供になってしまった。

 今でもそれを悔しく思うが、とにかく志津香はこの闘神都市で何かをやっていた。

(何だったかな…俺様に滅茶苦茶文句を言って来てたな。その時確か志津香は…あ)

 ランスはそこで思い出した。

 志津香はあの時何かの儀式で魔法レベルが一時的に3になっていた。

 ランスが邪魔をしたので不完全な儀式になってしまい、その効果は永続しなかった。

 志津香に恨まれたが、ランスからすればどこ吹く風だった。

 ランスはそこでジルを見る。

(じゃあもしかしてジルにそれをやらせればジルの魔法レベルも3になるのか?)

 魔法レベル3の力はランスも嫌という程思い知っている…主にアニスのせいで。

(そうなるともしかしたら何か便利な事があるかもしれんな。ま、覚えていたら何とかするか)

 そもそも今の段階でイラーピュ…闘神都市Υはまだ存在していないし、そもそもランスは何故あそこに闘神都市Υが浮いていたのかも知らない。

 だったら今考えても仕方の無い事なので、ランスは取り敢えず無視する事にする。

「ふう…これで大丈夫でしょうか?」

 魔力が注がれた事で闘神都市に明かりがつき始めた。

「これで良いのではないか? もし何かあれば彼女から指示があるだろう。なに、ここに来るのも大した時間がかかる訳でも無いだろう」

「そうだな。ランス、どうする? まだ続けるか?」

「戻るぞ。そろそろ時間だ」

 ランスは時計を確認し、そろそろ時間になっている事に気づく。

 冒険に関してはランスは非常に真摯で、決して無理はしない。

「ジル、お帰り盆栽を使え」

「はい、ランス様」

 ジルはお帰り盆栽を取り出すと、その枝を一本折る事でランスは今日の冒険を終了する事にした。

 

 

 

「流石だな、ランス。まさかこんなに早く一つ終わらせられるとは。それにジルもだ。一人でここまでの魔力を注げるとは…」

 ルシラはこんなに早く結果を出したランス達に感心する。

 そしてジルが凄まじい魔力を持っている事は知っていたが、ここまでの魔力量を持っているのは分からなかった。

 魔法学院に居た時はジルは自分を出すタイプの存在では無い事と、非常に目立つレンが居たのでその魔力の容量を完全に把握する事は出来なかった。

「ルシラ、今回の魔力を注入した事で何か変化があるの?」

「ああ、一番大事な空調システムをな。これで酸素も温度も問題無い。ただ、探索には雪のお守りは持って行った方がいい。細部にまで届いていないからな」

「そうなんですか?」

「何だかんだ言ってもマナバッテリーが破損しているからな…必要な部分だけにリソースを回している状況なんだ」

 やはりマナバッテリーの破損は影響が大きい。

 この大きな闘神都市を一人で浮上させられるルーンは規格外なのだ。

 それがまだ魔力が成長しているので、闘神へ意識を移していない。

「というか重要な施設とやらを教えろ。何処から行けば良いか分からんだろうが」

「私からすれば全て重要なんだがな…だが、ランスの言う事も尤もだ。今回直して貰ったのは空調がお前達に一番大事だからな。後は防衛システムや闘神都市を浮上させるシステムなど色々有るが、これらは最後だろうな」

「まあいい。ジル、魔力はどれくらいで回復する」

「まだ大丈夫ですけど…」

「…凄いな、お前の魔力は。ならば早く状況を打破できそうだな。ランス、頼めるか?」

「うーむ…」

「ランス? 何かあったか?」

 ルシラはランスが不満そうな顔をしている事に怪訝そうな声を出す。

「確かにお前達には悪い事をしていると思っている。だが、これもお前たち自身のためだと…」

「そんな事はどうでもいい」

「ならば何故そんな不満そうなのだ」

「いや、何のアイテムも見つからんしつまらん」

「…それは私に言われてもな」

 ランスの言葉にルシラも何も言えない。

「何か面白いアイテムも見つからんし…宝箱も無いではないか」

「お前は闘神都市に何を求めているんだ」

「お前達の事だから特別なアイテムが置いてあって当然だろうが。それなのに面白く無いぞ」

「そんな事を私に言われても…」

「気持ちは分かる、分かるぞランス」

 殺姫はランスの言葉に同意するように頷く。

「刺激が足りん、報酬が足りん、それでは意欲が湧かぬのも道理」

「お前の言葉だと思うと非常に腹が立つが…まあ認めてやる」

 ランスは本当に不本意そうな顔をしているが、それでも殺姫の言う事はランスの思っていた通りだ。

 正直聖魔教団の遺産…つまりはイラーピュの時のような所を想像していたし、聖魔教団の本部にあるようなバランスブレイカーが有るのではないかと思っていたのも事実だ。

「…モチベーションか。確かにそれは大事だな…が、心配は無いぞ、ランス」

「何だ。何か有るのか」

「私達が世界から集めた色々なアイテムは…ある。ルーンも闘神都市に色々な設備を整えた。今回お前達に行ってもらった所はまだまだ闘神都市の中枢とは言えない所だ。段階を進んで行けばその手のアイテムを貯蔵している場所にも辿り着けるぞ」

「何だと! 何でそれを先に言わんのだ!」

 不満そうな顔をするランスにルシラはため息をつく。

「言っただろう、闘神都市Θは今は正常に作動していないと。それを一つ一つ直していけばお前の望む場所に辿り着くのは間違い無いぞ」

「がはははは! だったらそれを先に言え!」

「うむ、それを聞けばこちらのやる気も出るというもの!」

 ランスと殺姫は非常に楽しそうに笑う。

「ランス、一日で不満を漏らすとはお前らしくないが、やる気が出てきた事に安心したよ」

「フン、それよりもお前は俺様について来い。いいな」

「分かっているよ。私も久々のお前との冒険…それもカラーの時の事を思い出し楽しめている。あの時はアナウサやメカクレも共に居たからな…懐かしいな」

「ああ、あの時の奴等か」

 アナウサ・カラーとメカクレ・カラー…二人もランスと共に廃棄迷宮へと訪れたカラーの仲間だ。

 当然もう会う事は叶わないが、2人とも中々面白い奴だった。

「お前と共に異世界を巡るのも楽しいが、やはりお前と同等の立場となって共に歩めるのが何より楽しい。私がずっと望んでいた事だからな…」

 ケッセルリンクは本当に懐かしそうに微笑む。

 その穏やかな笑みは本当に『夜の女王』であり、魔人四天王である者が浮かべるとは思えない程だ。

「ヘッ、俺だってランスとエルシールとJAPANでダンジョンに潜ったけどよ。ありゃあ確かに凄かったな。まさか魔人に会うとは思っても居なかったしな」

 黒部がケッセルリンクの話を聞き、同じようにランスと共にダンジョンに赴いた事を思い出す。

「ほう、黒部殿がザビエルとレキシントン以外の魔人と出会った事が有ると?」

「ああ。確か…ハニーの魔人だったな。ますぞえとか言ったか」

 黒部から出た名前にケッセルリンクが眉を動かす。

「ますぞえ…本当に居たのか。私でも名前くらいしか聞いた事が無いぞ」

「魔人四天王なのにか?」

「ああ。奴は歴代魔王の命令すら聞かぬ奴だったからな。奈落とかいう場所から一切動かんから歴代の魔王達も放置していた奴だ。ただ、相当に強い奴とは聞いている。話では魔人四天王に迫る存在だとか」

「…確かに厄介な奴だったな」

 魔人ますぞえの事をランスは思い出す。

 流石にハニーの魔人なのでランスでもその存在を覚えている。

 何しろハニーなので魔法は効かないし、こちらの行動を差し押さえ行動不能にするという厄介な能力に加え、ハニーフラッシュを連続して放ってくる強敵だった。

「まあ私も話を聞いただけだから真偽は分からぬがな」

「まあいい。それよりも明日に備えてとっとと寝るか。ジル、お前は少し休んどけ」

「あ、はい。ランス様」

「がはははは! 今日の俺様の相手はお前じゃー!」

「全く、好色め」

 ランスはお町を抱きかかえるとそのまま彼女を連れて自分の部屋へと消えていく。

 お町も特に抵抗する事無く、ランスに抱えられていた。

「いいの? ランスの事だから復活したアンタに執着するもんだと思ってたけど」

「この体は私のものでなく、メイのものだからな。万が一に影響が出ると彼女に申し訳ないからな」

「そっか。まあランスもその辺りの配慮はする方か」

「ああ。ああ見えて単純な性欲の塊という訳でも無いからな。君達のようにランスを拒まない者が居るのだから、ランスだって強引に襲うような事はしないさ」

 ケッセルリンクは少し苦笑する。

「まあ私がカラーだから、というのもあるのかもしれないな。ランスはカラーに対しては何か思う所があるみたいだからな」

「そういやランスはカラーに対しては襲ったりしないし、積極的に助けたりしてるわね」

「カラー、か。私達も色々と世話になっているが…この苦境を助けられないのは心苦しいな…」

 カラーの話題が出た事でルシラが気落ちした声を出す。

「そう言えば聖魔教団はカラーとは協力体制だって聞いたね」

「カラーだけじゃない。ホピンズとも協力している。だが、それでも魔人の前には無力だった…」

「どういう経緯でそうなったのか…殺姫、お前は知っているのか」

「俺は正直戦う事さえできればそれでいいので、その経緯には興味は無いです。一部の好戦的な魔人達の言葉に魔王様が折れた、みたいな話は聞きますがね」

 ケッセルリンクに話を振られて殺姫が答える。

「…君はマエリータ隊の隊長という立場なのだろう。この戦争に至った経緯も把握していないのか」

「フッ…この殺姫、バトルノートの風下に置けない奴と言われ、思考能力が別のベクトルに向かっているソードマスターだの色々と言われて居ますが」

「…それ、全部悪口ですよね」

「ハッキリ言って興味無し! 強い奴と戦えると聞いたから戦いを挑んだ、ただそれだけ! 正直俺達に軍事的な行動を期待している奴など居ません。魔物大元帥でも俺達を戦力としては計算していない。まあ、ハム殿は別の思惑があって俺達を動かしたのでしょうが」

「バークスハムか…私はまだ奴と会った事が無いからな」

 現在の魔人筆頭バークスハム…ケッセルリンクはそのバークスハムに関しては全く分からない。

 ただ、シルキィやハウゼルが言うには人間に特に悪意を持っている存在では無いという事。

 そしてあの魔王ガイの右腕として良好な関係を築けている事、知っているのはそれくらいだ。

 気になったのは、2人ともの共通の言葉として『まるで未来が分かっているかのような物言いをする』という事だ。

(バークスハムか…何かしらの意図をもって動いているという感じはしたな。そうでなければこんな中途半端に闘神都市を落としたりしないはずだ)

 ケッセルリンクとしてはここまで回りくどい事をするバークスハムの意図は全く読めない。

 だが、あの手の奴の行動には何かしらの意味があるものなのだ。

「どんな考えだろうとオレには興味の無い事、今この時を楽しめればそれでいい」

「だから使徒の誘いも断ったんですか?」

「ああ。永遠の闘争などありえん。今ここにある闘争に全力を出せればそれでいい。そしてオレはその全力を出せる存在を見つけた。それは闘神でもありえない、魔人を倒すという事をやってのけた男、ランスと戦う事。それがオレの宿命であり誓いとなった!」

「………魔人を倒した、か。本当に本当のようだな。少々信じられなかったが」

 殺姫の言葉にルシラは非常に複雑そうな声を出す。

「無敵結界を斬れるわけでは無いですから…ランス様が居たとしても、結果は変わらないと思いますよ」

「ああ。もし本当に結果が変わっていたとしたら…それはカオスか日光のどちらかが有った時だろうね」

「私達もカオスと日光を探していた。だが、その二つが見つかる前に魔人達が攻めてきたんだ。どうしようもなかったよ」

 カオスと日光さえあれば結果は変わっていただろうと聖魔教団の者達は誰もが思っている。

 だが、実際にその二つの剣は見つかっていない、それが現実なのだ。

「だけどよ、お前はいいのか? このままランスと一緒に居たら魔人と戦う事になるんじゃねえのか? そしたら面倒な事になるんじゃねえか?」

 黒部がケッセルリンクを見て疑問を投げかける。

「何だ、魔人である私を心配してくれているのか? 妖怪王よ」

「別にそんなんじゃねえよ」

「問題無い。今の私はただの一カラーに過ぎない。例え私の姿を見て何か思ったとしても、堂々と他人の空似で通せる。事実、今の私は魔人でも何でもないのだからな」

「そうよね。今のケッセルリンクからは魔人の気配全く無いし」

「借り物の体とはいえ、私の望みを叶えてくれたメイには感謝している。ただ、私から何も返せるものが無いのが心苦しいがな…」

「…魔人四天王ケッセルリンク。ランスとはどういう関係なんだ? 魔人ノスはランスの事を知っていた。そして『夜の女王』の異名を持つお前も」

「気になるのか?」

 ルシラはため息をつくかのように重い声を出す。

「いや、私達聖魔教団の思惑は最初から叶わなかったという事だと思ってな…ルーンも私もランスには協力して欲しいと思ってい」

「叶わぬ望みだな。天は二つもいらない。それにランスはこのような戦いに興味を持たない」

「随分と言い切るんだな」

「当たり前だ。私は共にランスと戦い、そして生き抜いてきたという自負がある。お前達の様に表面しか見ていない連中と一緒にするな」

「私ももっとランスの事を知りたかったよ。ジルとの関係だって最初は驚いたくらいなんだ。私にはもう何が起こっているのかさっぱりだよ」

 色々な事があり過ぎてルシラの頭はもうパンパンだ。

 正直言えばこんな状況で無ければパニックを起こしていたのは間違い無い。

「でもよ、俺も気になるぜ。ランスは女には確かに甘いが、お前への態度が他の奴とは違うってのは分かる。あの時もそうだったしな」

 黒部の言葉にもケッセルリンクは薄く笑みを浮かべるだけだ。

 話すつもりは無いと黒部も察し、それ以上は何も言わない。

「問題なのはこの闘神都市の起動の後だね」

「一番良いのはカインがこちらを見つける事なんだけどね。ま、何とかなるでしょ」

 ブリティシュの言葉をレンが何とも無いようにして答える。

「随分簡単に言うね…」

「別に…これくらいの事、今まで何度も経験してきたし」

「そうだな。これくらいでどうにかなる程ランスは甘くはない。まあ暫くの間の休暇と思えば悪く無いさ」

「休暇…今の状況がか」

 気楽そうなレンとケッセルリンクの言葉にルシラは呆れるしか無かった。

 同時に、本当にこの状況も何とか出来るかもしれない、そう感じ始めても居た。




暑いのは本当に辛いです…

ランス4を再プレイしている途中で気になったのがやっぱり魔法レベルを上げるイベント
色々と考えて居ますが、アレってイラーピュ限定の施設なのかなあ
そして闘神都市Θですがあまり複雑にしちゃうと遅くなるのでシンプルに
その手のイベントはもっと後でもいいかなって
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