実際のR-18の線引きって難しいよね
角○のあるラノベとか完全にエロラノベでも成立するだろうし…
「お父様!」
シャロンは反射的に目を覚ます。
ここは自分達が暮らしていた王宮とは違う場所…この殺風景な光景こそが、今の彼女の居る場所だった。
「夢…じゃないのね」
今見た夢は、自分の父の首が斬り落とされた夢。
それを見て、自分の父を称えていた民は歓声を上げ、そして自分には恨みと憎しみからの罵声を浴びせてきた。
自分が信じていた親衛隊達は、自分が助かるために自分を売った。
まだ若い親衛隊は、シャロンを守ると言っておきながらも、その実は獣のような視線を自分に送っていた。
「大丈夫?」
「レダ様…」
金色の髪をした美しい女性がシャロンの髪を撫でる。
その温かさは今のシャロンにはとても有難かった。
「大丈夫です…」
「無理はしなくてもいいんじゃない? 辛かったら泣き喚くのも人間の特権よ」
「本当に大丈夫です。私はランス様とレダ様に救われました。ここで泣いてばかりでは、死んだ父達も浮かばれません」
そう、自分は目の前にいる美しい女性レダと、もう一人の恐ろしい程の強さと苛烈さを持つ男、ランスによって救われた。
彼らは何の見返りも無く、自分を救ってくれた──とシャロンは思っていた。
「そう…でも無理だけはしない事ね。私はあなたの体は救えても、あなたの心は救えない」
「ありがとうございます。でも本当に大丈夫ですから」
レダのどこか突き放すような言葉が今は逆にありがたい。
(でもこの人はずっと私を見守っていてくれた…)
彼女の体の温かさは今も自分の体に残っている。
口では厳しい事を言いつつも、彼女の優しさが今は非常に有難かった。
「すいません…少し水を飲みに行きます」
「そう。気をつけなさい」
レダはそう言ってシャロンにランタンを渡す。
彼女の何も言わない気遣にシャロンは頭を下げる。
そしてシャロンは部屋を出ていく。
「…らしくないかな? エンジェルナイトの私が。思った以上にここに馴染んだのかな」
今自分がシャロンに言った事は、昔の自分ならば決して言わなかった言葉だろう。
エンジェルナイトは基本的に地上の生き物を見下していると言ってもいい。
自分も昔は人間を完全に見下しており、はぐれ悪魔を見つけた際には、その悪魔を守る人間すら消滅させる事を厭わなかった。
実際には、自分は人間に返り討ちに会い、無理矢理犯されて処女を失った。
それを思うと今でも顔が赤くなる。
人間に負けて犯されたという恥辱と、犯された時の圧倒的な快楽、もっとして欲しいという欲望が自分の中に芽生えたのが分かった。
「そんな私が今はその犯した人間と一緒だなんてね」
1級神である女神ALICEの命令で一人の人間を守る事になった。
その人間はとんでも無い存在で、今は過去の世界を非常に満喫していた。
本来であれば、歴史を変えるなどという事は畏れ多く、1級神…いや、それを上回る存在が自分達を消しに来てもおかしくは無いくらいだ。
しかしそんな様子は全く無く、あろうことか1級神である魂管理局クエルプランがランスのレベル神となっているくらいだ。
「でもランス…今はケッセルリンクの所でしょうね」
自分を犯しただけでなく、魔人…果てには魔王すらも犯した男。
ランスが今現在何をしているか、レダには手に取るように分かる。
恐らくは1年ぶりに再会したケッセルリンクを襲いに行ったのだろう。
そして彼女は絶対にランスを拒まない…レダには、というよりも見てれば誰でもわかる。
ケッセルリンクはランスに対して思いを寄せているが、自分が魔人となった故にどこか線を引こうとしている。
だが、そんな線を引こうがランスはお構いなしにその線を踏み越えていくだろう。
「本当に…何なのかしらね、あの人間は」
「ふう…」
どういう仕組かは分からないが、魔法ハウスにも水が通っている。
風呂もあればキッチンもある…シャロンも初めて見たが、まさかこのようなアイテムがあるとは思っても見なかった。
「これは狙われるのも分かる気がするわ…」
これだけの広さならば沢山の人が入る事が出来るし、外にいるよりも段違いに安全だ。
寒さや暑さもある程度防げるだろうし、持ち運びも非常に簡単。
「お父様…お母様…皆…」
殺されてしまった親兄妹のことが今でも信じられずにいる。
ここは夢の中で、目を覚ませば家族や侍女達が自分を待っている…そんな想像をしてしまう。
だが現実には自分の家族はもういないし、自分達を敬っていた民も存在しない。
残ったのは自分の命だけだ。
「でも…私は生きている」
それでも自分は助かった…助けられた。
あの状況下の中から実にあっさりと脱出出来た。
「ランスさん…」
自分に対する悪意の視線の中でも、悠然と自分の隣に来たあの男の事を思い出す。
まだ若い…恐らくは20に満たないであろう青年は、決して臆することなく自分を助けてくれた。
そして圧倒的な強さで自分を取り囲む兵を倒し、あの状況から見事に撤退をしてみせた。
もし彼が自分達の国に居れば、もしかしたら自分達は勝っていたかもしれない…そう思わせるほどの強さと覇気を兼ね備えた男性だった。
ただ、自分に向ける目に少しだけ顔を赤くしてしまう。
(いけない…こんな状況なのに私ったら)
今までの男性が自分に決して向ける事の無かった目…あれほど真っ直ぐに自分を見てくる目は初めてだった。
彼にとっては自分は『シャロン姫』では無く、『シャロン』という一人の人間だったのだろうと思う。
あの遠慮のない目も、今はそれほど気にならない。
「そうだ…朝になったらお礼を言わないと…」
まだ彼には正式にお礼を言っていなかった。
あの時現れた美しい魔人のインパクトが強すぎて、お礼を言うのが遅れてしまていた。
それにもう一人いたあの幽霊の女性…彼女にもお礼を言わなければならない。
彼女はそう決めて自分の部屋に戻ろうとした時、どこからか妙な声が聞こえてきた。
(…誰?)
シャロンは思わず自分の体を抱くようにして身を竦める。
非常に小さいが、確かに聞こえる声…シャロンは恐怖を感じつつも、その声の方に足を運んで行ってしまう。
声はどんどん大きくなり、女性の声と男性の声だと分かる。
そして彼女は一つの部屋の扉が少し開いているのに気づく。
そこからは僅かな光が漏れ、声もその部屋から聞こえてきた。
「ん…あっ…」
それは非常に色っぽく、艶を含んだ声。
(え…まさか…)
シャロンは高まる心臓の鼓動を抑えながら、恐る恐るその部屋を覗く。
メイドLV1…彼女の技能は今ここに開花しようとしていた。
そこにある光景は、シャロンからすれば信じられない光景だった。
自分を助けてくれた男性──ランスと、魔人ケッセルリンクが互いに裸でベッドで絡み合っている姿だった。
彼女も当然それがどのような行為か知っているし、そのための勉強すらもさせられた事もある。
何れは自分もこうして子供を産む…ある意味それが義務付けられていた立場だからだ。
それでも、実際に見るのと想像とでは天と地ほどの差があった。
あの凛々しくも美しい、まさに淑女というべき女性が、男の下半身に顔を寄せているという衝撃な光景。
男はその女性の頭を撫でながら、非常に幸せそうな顔をしていた。
「ぐふふ…相手がいないという割には随分と上手くなったではないか」
「言うな…」
ケッセルリンクは顔を真っ赤に染めながらも、ランスへの奉仕を決してやめようとはしない。
水っぽい音がいやに大きく聞こえ、シャロンはその光景から目を離す事が出来ずにいた。
(え…もしかして…)
あのような行為、シャロンは知らない…が、何をしているかは容易に想像がつく。
少しすると、ケッセルリンクの動きが早くなると同時に、水っぽい音もどんどんと早くなっていく。
「よし、いくぞ!」
ランスの声が響くと共に、ケッセルリンクがランスのそれを大きく銜え込む。
そして彼女の喉が少しずつ動き、何かを飲み込んでいるのが分かる。
「…相変わらず遠慮が無いな」
「魔人相手に遠慮する必要など無いだろう」
ケッセルリンクは自分が咥えていたものを綺麗にすると、今度はランスをベッドに押し倒す。
「今度は私の番だ。80年ぶりだ…もしかしたらやり過ぎるかもしれないな」
「がはははは! 返り討ちだ!」
そして二人の体が重なる。
それを見てシャロンは決して音をたてないようににして自分の部屋に戻る。
「…どうしたの?」
部屋に居たレダが首を傾げるがシャロンは、
「な、何でもありません…」
そう言ってベッドに入ると、頭からシーツを被る。
その様子を見て、レダは大きくため息をつく。
(ああ…ランスとケッセルリンクがしてるのを見たのね)
こんな状況でもやはり変わらないランスに呆れつつも、シャロンの事はそっとしておいてやる。
レダはもうシャロンは大丈夫だと判断し、ランスが寝るはずの部屋に行き、その誰もいないベッドに横たわる。
「まったく…本当に馬鹿なんだから」
「がはははは! 実に気持ちのいい朝だ!」
ランスは朝から非常に気分が良かった。
「…私は少し辛いがな。やはり魔人として強くなっていくたびに、朝に弱くなっていく」
一方のケッセルリンクは頭を押さえていた。
これは昨夜のランスとのセックスが原因では無く、今の自分の体質の問題だ。
しかし、実に80年ぶりのランスとのセックスに、体も心も非常に充実していた。
「我ながら酷い有様だな…」
自分達のセックスの痕跡がベッドにハッキリと残っている。
自分とランスの汗に、自分の体液…そして自分から零れたランスの体液でシーツはドロドロだった。
「ランス。風呂はどこだ」
「さっぱりしたな…しかしこうも朝に弱いというのも考え物だな」
幸いにもタオルは複数用意されていたため、濡れたままという状況は免れた。
ケッセルリンクが頭を乾かしながらリビングに向かうと、そこにはレダとスラルと大まおー、そして顔を真っ赤にしているシャロンがそこにいた。
「おはよう。朝から大変ね」
「ケッセルリンク、朝はまだ辛いのか?」
「まーおー」
皆の挨拶にケッセルリンクも笑って応える。
「ああ…もう慣れたよ。朝は…やはり体質的に辛いです」
前者はレダに、後者はスラルに対して応える。
その言葉にスラルは不満そうに唇を歪める。
「もう…私は魔王じゃないんだから、そんな敬語で無くていいのに」
「申し訳ありません。これは性分みたいなものですから…」
ケッセルリンクはこうしてスラルと普通に会話を出来ることに安堵する。
魔王の血が濃かった晩年は、スラルに会うことも出来なかった。
そしてスラルはそのまま消える…はずだったが、運命の悪戯か彼女は今はランスと共に旅をしている。
その顔は魔王でいた時よりも輝いている。
ケッセルリンクには何よりそれが嬉しかった。
「そ、その…お早う御座います」
最後にシャロンが顔を真っ赤にしながら頭を下げる。
「ああ…昨日は眠れたかな?」
「えっ!? は、はい!」
ケッセルリンクは普通に話したつもりだが、シャロンはしどろもどろになって応える。
そんなシャロンの様子にケッセルリンクは首を傾げるが、レダが耳打ちをする。
(昨日のあんた達の行為を覗いてしまったのよ)
(…そうか)
それを聞いてケッセルリンクも察する。
昨日の自分とランスの濡れ場を目撃してしまっていたのだ。
それならばあの余所余所しい態度も、顔が真っ赤なのも頷ける。
純真無垢なお姫様が、あのような行為を目撃していれば無理も無いことだと思う。
同時に、自分のあんな姿を見られていたこと、そしてそれに気付かぬほどのめり込んでいたのかと途端に羞恥心が沸いてくる。
「がはははは! いい湯だったぞ!」
そんな時にランスが非常にいい笑顔で入ってくる。
「ん…なんだその目は」
シャロンを除く女性達が半眼でランスを見ている。
その中には呆れも混ざっており、まるでランスと親しい女性達…かなみや志津香、マリアのような視線を向けてくる。
「別に…ランスは相変わらずランスなんだなあって」
「自重しろ、と言っても聞かないのだろうな」
「今回は私にも責任の一端はあると思うが…やはり少しは自重すべきだと思うぞ」
その様子にランスも少したじろぐが、シャロンを見つけると途端に何時もの顔へと変わる。
「改めて見ると良いではないか! 90点だな!」
「ひっ…」
ランスに値踏みされるように見られ、シャロンは思わず身を竦める。
生粋の王女である彼女はランスが今向けているような視線を向けられたことは無かった。
あの時自分を裏切った兵士達が向けていてた獣の視線ともまた違う、自分を完全に「女」として見ている目を向けられたのは初めてだった。
(あ、あんな事をしておいて…)
何よりも昨夜のランスとケッセルリンクの情事を覗いてしまった事を思い出し、思わずその端正な顔が紅く染まる。
「はいはい、そこまでよランス。彼女の気持ちも考えてあげなさい」
レダがランスとシャロンの間に入る。
「彼女は一日で家族も何もかも失ったのよ」
レダが小声でランスに耳打ちするが、実際にはシャロンは昨夜の覗き見が原因でランスを直視できないのだろうと思っている。
恐らく性行為など知識でしか知らないであろう彼女が、いきなりあんな生々しい行為を見せられてはまともにランスの顔を見れないだろう。
実際に彼女は、ランスどころかケッセルリンクとも顔を合わせようとしていない。
「それはそうとランス、これからどうするの? 目的の物は手に入ったわよ」
スラルがこの場の空気を変えるべく、真面目な顔でランスに問いかける。
このままだとランスがシャロンを襲ってしまうそうだし、話が進まなくなってしまう。
それにリバウド達の事も気になっていた。
その言葉にはランスも少し難しい顔をして周囲を見渡す。
ランスの視界に入るのは、非常に殺風景な光景…かつてランスが使っていた魔法ハウスと比較すると、大きさもあるために余計に寂しく見えてしまう。
「流石にこれは予想外だったな…粗末なベッドが三つだけなど、俺様が使う物として相応しくないぞ。それに無駄にデカイしな」
こうして改めて見ると、この魔法ハウスはランスが愛用しているものよりも大きい。
そうなると大変になるのはやはり魔法ハウスの維持も大変となる。
ビスケッタやランス城のメイド達は完璧に維持してくれており、ヘルマンの時もシーラが意外な才能を見せていた。
シィルが戻ってからは、やはり彼女が炊事洗濯をしていたし、数には数えていなかったがロッキーもシィルと共に炊事洗濯をしている。
レダが合流してからは意外にもレダはシィル達を手伝ったりしていたが、それでもその手の事は不慣れなため、戦力には程遠い。
ランスは今のメンバーを見渡すが、家事が不慣れなレダ、物に触れないスラル、そして意外にもその手の事も慣れている大まおーだけだ。
ケッセルリンクもカラーであった時からあまり家事の類はしてこなかったようで、その手の事は不慣れだ。
「うーむ…しかしその為だけに人を雇うのも面倒くさいぞ」
「気持ちは分からないことも無いけど…実際どうしようもなくない?」
「そうだぞランス。流石にこれだけ大きな家はまおーだけでどうなるものでも無いだろう」
ランスが一つの所に留まれる人間ではない事を理解してるレダとスラルは難しい顔をする。
レダはシィルの強さを認識しており、確かに才能こそは低いが、レベル上限が高いためにランスの冒険にはついていけている。
ロッキーは弱いが、ガードとしての才能はあるため、神魔法を使える自分とシィルがいれば滅多な事は起こらなかった。
しかしここにはそのランスの知り合いは居ないし、そもそも家事等が出来つつランスの冒険についてこれる存在が非常に珍しいのだ。
「あ、あの…」
「何だシャロンちゃん」
シャロンは小さく手を上げる。
「私に…やらせてもらってもいいですか?」
「え?」
レダとスラルは驚いてシャロンを見る。
まさか彼女が自発的にそんな事を言うとは思ってもいなかったからだ。
ましてや彼女は一国の王女…炊事洗濯等一度もした事は無いだろう。
「そうか。じゃあやってもらおうか」
「ランス、いいのか?」
ランスの言葉にケッセルリンクも難色を示す。
ケッセルリンクもシャロンのおかれた状況を分かっている。
彼女には既に帰る場所は無いが、だからといってこのままランスの元にいるのもどうかとも考えていた。
「やると言うならやらせればいいだろ」
ランスの言葉にシャロンは少し顔が明るくなる。
どんな状況であろうとも、自分を必要としてくれる人がいる事がシャロンには嬉しかった。
「どちらにしてもまずは戻りましょう? これからの事を話さないと駄目でしょ」
「と言う訳で戻ってきてやったぞ」
「その…それはいいんですが…」
リバウドは今の状況に困惑していた。
シャロン姫がいるのはまだいいのだが、何故か彼女はメイド服のような衣装を身に纏っており、今は大まおーに指示されながら掃除をしているからだ。
しかも飲み込みが早いらしく、その動きはとても手際がいい。
そしてもう一人、フードを被った女性が居るという事だ。
「あの…どうしてシャロン姫が掃除をしているのでしょうか?」
「自分でやりたいと言っているからやらせているだけだ。何か問題でもあるのか?」
「問題は無いとは思いますが…何故まおーさんが教えているのでしょうか」
スピリツの疑問は最もであり、あのピンクの妙な物体がシャロンに掃除を教えているという異常な状況を遠巻きに見ていた。
(そもそもまおーさんと意思疎通が出来るのかしら…)
「それにそちらの女性は…」
「私の事は気にしなくていい」
フードを被った女性―ケッセルリンクはそれだけを言うと、ランスが使っている寝室へと歩いていく。
本来彼女はこの時間は眠っている時間であり、今起きているのは少し辛い状態なのだ。
「…わかりました。それよりもランス様…これからどうしますか? 奴等はランス様を探しているようですが」
リバウドが仕入れた情報では、既にシャロンは死んだ事になっている。
そしてシャロンがいた国を征服した国の王子…それも次期国王候補と目されていた人物の死亡により、今は混乱の中にある。
その王子を殺した下手人として、ランスとレダの人相書きが出回っている次第だ。
「まあこの人相書きですと、奴等も混乱の中で書いたために正確とは言えませんが」
リバウドが出した人相書きは確かに一目でランスとレダと言えるほどの顔は書かれていなかった。
ランス達が何をしたかは既にリバウド達も把握していた。
そもそもあの騒ぎを遠巻きに見ていた団員がいるのだから正確だ。
「そうね、これからどうするの? 目的の物はもう見つかったけど」
レダの言葉にランスは鼻を鳴らす。
「フン、魔法ハウスとシャロンちゃんを手に入れたのであればこんな所にもう用は無い。とっとと別の場所に行くだけだ」
ランスの言葉に団員達はざわめきだす。
「ランス。それは無責任過ぎない?」
スラルが抗議の声を出すが、ランスはそれを笑うと、
「大体もう盗賊稼業など出来んぞ。まさかお前達も国に喧嘩を売りたいとは思っとらんだろ」
「まあ…そうですが」
リバウドもこの言葉を予想していなかった訳ではない。
今までに彼らが盗賊をやってこれたのは、近くの二つの国が互いに牽制し合っている状況だったからだ。
当然、盗賊達を討伐に来たこともあったが、昔のボスがそれなりに有能であったために国から狙われる事も無くなっていた。
しかし今回の戦争で、国は一つになった…と言う事は、これからは治安維持のための軍隊が派遣される可能性は高い。
国が本格的に動けば最後、盗賊団などあっというまに壊滅させられるだろう。
「お前達もそれなりに稼げただろう。だったら後はとっとと逃げるだけだ。軍隊と戦うなど面倒この上ないからな。と言う訳で盗賊団は解散だ」
ランスは以前盗賊団のボスだったアルカネーゼを犯すために、ヘルマンの軍を利用した。
それだけ軍隊というのは強いのだ。
ヘルマン革命が成功したのは、ヘルマン評議会がパットンを秘密裏に処理したかったのと、そのトップが常識外の無能だったからだ。
「じゃ、じゃあ俺達はどうしたら…」
「知らん、好きにしろ」
「ちょ、ちょっとランス! そんな事って…」
「甘いぞスラルちゃん。確かに俺様は強いが、肝心のこいつらが弱い。こいつらを率いても、あの国を潰す事などできんだろ」
「そ、それは…」
スラルは考えるが、確かにランスの言うとおりだ。
そもそも人間として規格外の力を持つランスに、力が落ちているとはいえ並みの人間を超える力を持つエンジェルナイトのレダ、元魔王の自分に悪魔(?)として強い力を持つ大まおー。
それだけでは残念ながら戦うことは出来ないだろう。
ケッセルリンクがいればもちろん勝てるだろうが、彼女は間違いなくそんな戦いはしない。
「確かに無理ね…」
「そんなぁ…」
あまりに非常に言葉に団員達は肩を落とす。
「しかしランス様の言う事は正しい。この状態では盗賊を続けるのは難しいとは説明していただろう」
「そうね…逃げるとしても早いほうがいいしね」
リバウドとスピリツの言葉に団員は悲しい顔をしているが、やはり内心は分かっていたのだろう。
だが、ランスというまさに規格外の男が現れたため、夢を見るのは仕方が無いというものだ。
「文句は無いようだな」
ランスの言葉に全員が頷く。
スラルはまだ複雑そうな顔をしているが、ランスが決定して皆が納得するのであれば仕方がないと割り切る。
「では解散に当たっての宝の分配をするわよ。文句は言わせないわよ」
スピリツの目がギラリと光る。
団員はぶるぶると首を振る。
彼女ならば公平に分配するだろうし、その宝を見る目も確かという信頼があるからだ。
こうしてランスが乗っ取った盗賊団は、実にあっさりと解散することになった。
実にあっさりと解散しましたが、ぶっちゃけ盗賊王ランスを書き切る勇気が自分には…と思いました。
それにこの時代の人間キャラがいないから、話を作るのがちょっと難しかったです(言い訳)
今回は大まおーのステータスを
LV 46
才能限界 ??
技能 悪魔LV2 盗賊LV1 料理LV0
目標 ??
趣味 ??
大まおーは謎の存在です
この世界の存在なのか別世界の存在なのかも謎
でも色々な世界を行き来する謎の悪魔です