ランス再び   作:メケネコ

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イブニクル2発売までに間に合いませんでした…
許してください! 何でもはしませんから!


SS期
この場所は


「何やっとるのホント」

光の神G.O.Dは、不満そうにしている女神ALICEに対して若干の疲れを滲ませた声を出す。

「別に何もやってないわよ。ただ世界をあるべき姿にしているだけよ」

何も悪びれる様子が無い女神ALICEに対して、光の神G.O.Dも少しイラッとするものを感じる。

「嘘つけーーー!! 思いっきりやっとるだろーーー! おかげでこっちまで巻き込まれたわーっ!」

(巻き込まれた?)

光の神G.O.Dの言葉に女神ALICEは引っ掛かりを覚える。

そもそも人類への干渉は本来であれば女神ALICEの管轄だからだ。

自分が魂管理局クエルプランの仕事に口出ししないように、他の神も自分のやる事に口を出してこないはずだった。

「そこ知らないって顔するなーーー!!!」

事はランスがセラクロラスと出会う前までに遡る。

 

 

 

 

「…セラクロラスにはああ言えたけど、大丈夫かしら」

聖女の子モンスターであるセラクロラスは若干人間よりだったので、女神ALICEは少し不安にかられた。

上手くいったとは思ったが、それでも何かが足りないと感じていた。

とはいえ、メインプレイヤーにこれ以上干渉することは難しい。

いざ戦争が始まれば、自分は静観を余儀なくされるだろう。

「保険は必要かしらね」

以前エンジェルナイトにランスの始末をさせようとしたが、それは失敗に終わってしまった。

自分の言葉を勝手に解釈したのは気に入らないが、よりにもよってそれは自分の命令になってしまっていた。

(私の命令扱いで、撤回も出来ないのよね…)

オリジナルである4級神レダに話してはみたが、やはり自分の命令として優先されてしまっている。

(本当やっかいよねぇ…)

今までは言葉でクエルプランを煙に巻いてきたが、今度は自分がその言葉で首を絞めてしまっている。

その事もあって、エンジェルナイトに迂闊に命令を下すことは出来ない。

(そうだ…)

そして考えが浮かんだ。

なにも直接人類に手を下す必要はない、やはり魔物によって蹂躙させればいいのだ。

しかしそのままでは認めたくないが、あの男は勝つだろう。

ならばあの時より、敵が増えればどうだろうか。

「誰か来なさい」

 

 

 

 

 

「コスモス0596、参りました」

やってきたエンジェルナイトに対して、女神ALICEは慎重に言葉を選ぶ。

迂闊な命令をすれば、それだけ自分の目的から遠ざかってしまう。

「AL教の本部の地下に封印されている場所があるわ。そこから魔血塊を見つけ出し、魔物に与えなさい」

(…出来た!)

少々際どかった気もするが、無事にその言葉を紡ぐことが出来た。

女神ALICEの考えは、人類の力を削ぐ事ではなく、敵の戦力を増やせばいいという事だった。

そして過去に人間に倒され魔血塊となった存在がいた。

AL教本部の封印された間には、ランスが倒した魔人―――魔人アベルトと魔人カイトの魔血塊があった。

魔人カイトはケイブリス派の魔人であり、魔人アベルトはかつては魔人カミーラの使徒であり、

そしてランスと敵対していた存在だ。

この2体の魔人が復活するなり、または乗っ取られても女神ALICEにとってはどっちでも良かった。

結局は人類の敵が増えるだけなので、結果は同じだからだ。

魔人カイトは魂が汚染されていたが、それくらいならこの世界のバランスブレイカーアイテムで何とかなる。

そしてAL教の地下にはそのアイテムも置いてあるはずだ。

「かしこまりました」

エンジェルナイト、コスモス0596は言葉短く任務を実行すべく飛び去った。

 

 

 

 

「…妙な命令よね」

コスモス0596は女神ALICEから直接命令を受けるのは初めてだった。

普段は同僚―――レダ0774と一緒に悪魔回廊付近を監視するのが仕事だった。

だが、そのレダ0774は自分同様女神ALICEから直接命令を受け、人間を守護する任務にあたっている。

それが誰かは知らないが、上手くやってくれればいいなあと思っていた。

「だけど…」

命令は明らかに魔人を復活させるような事だった。

別に人類がどうなろうが構わないのだが、こうしてあからさまに魔物に肩入れするというのは聞いたことが無かった。

(私が考えることじゃないか)

コスモス0596はあっさりとAL教の魔血塊がいる部屋にたどり着いた。

エンジェルナイトの自分には容易い事だった。

「えーと…これか」

一見厳重に封印されているが、その封印は自分にはまったく意味が無い。

右手一つで封印が解かれ、魔血塊を手にする。

「こっちの魔血塊が…うわ、凄い汚染されてる」

魂が穢れると、その魂はルドラサウムの元に還る事は出来ない。

しかし人間が汚染されるのは知っているが、魔人が汚染されるなど聞いた事も無かった。

「えーと…確かコレよね」

コスモス0596は女神ALICEに教えられたアイテムを手に取る。

霧吹きのような形をしたそのアイテムを魔血塊に対して吹きかけると、穢れていた魔血塊がどんどん綺麗になっていく。

「うわ…これ凄いアイテムよね…」

時々このような常軌を逸したアイテムが見つかる。

それはバランスブレイカーと呼ばれ、時にはこの世の理をも覆しかねないとも言われる。

「あ、無くなった。それにしてもこのアイテム何なんだろう…『QD』って印は何なのかしら?」

魔血塊の汚染が無くなったと思われた時、ちょうどそのアイテムの中身が空になる。

コスモス0596は魔血塊を綺麗に拭くと、

「これで任務の一つは終わりね」

満足げに頷き、二つの魔血塊とポーチにしまう。

後はそれを適当な魔物に与えればいいだけだ。

「さて…と」

コスモス0596がその場を立ち去ろうとしたとき、何かとてつもない気配を感じた。

エンジェルナイトである自分の背中が一瞬で冷え、思わず剣を抜く。

そこにあるのは厳重に―――それこそ魔血塊が封印されていた箱よりも強く封印されていた何かだった。

世界のバランスを崩しかねない人間が封印されているのを、彼女も知っていた。

が、その封印はとにかく別…もっと恐ろしい何かが封印されていると彼女は察した。

「これは…」

自分の体に鳥肌が立つのを嫌でも感じられる。

昔、自分はある人間に敗れ犯されたが、その時にも感じなかった恐怖。

そういえば自分の相方はまだ続きをして欲しそうだったなぁ…と少し現実逃避しつつも、それから目を離すことが出来ない。

ダメだ、と思いつつも自分の中の好奇心と恐怖が鬩ぎ会う中、彼女はソレに向かって歩いてしまう。

そして彼女はソレを覗き込むと同時に、その中の存在がこちらを振り向いた。

「!!??」

 

カチャン…

 

それが自分が剣を落とした音だと気づいたのは、自分がその場に座り込んでしまってからだった。

あまりの恐怖に足が震え、手は自然と口にもっていかれる。

ものすごい―――ブス。

「うっ…」

よく見れば『遺伝子をこの世に残してはいけないブス』と書かれている―――シルバレルが封印されているケースだった。

コスモスは慌てて剣を拾うと、一目散にその場を逃げ出した。

(聞こえない、私には何も聞こえない!)

ときおり聞こえる ドン! ドン! という何かを叩く音も、『出しなさいよ!』と聞こえる声も気のせいだ、と彼女は現実を逃避していた。

 

 

 

 

(とにかく、任務の一つは完了した…)

何かとてつもないものを見た気がするが、自分は何も見なかった、と自分に言い聞かせ彼女は手に入れた魔血塊を見る。

それを適当な魔物に与えればいい、との事なので彼女はその辺にある別々の魔物の巣それを投げ入れた。

「これで終わり、か」

1級神からの任務を終えたことに安堵して、彼女は報告にため、天界に戻った。

 

 

 

 

 

「何してんのお前!」

女神ALICEのした事は明らかに魔物への肩入れだった。

「あら、私は適度にメインプレイヤーに試練を与えているだけよ」

(だってあの男とモフスには死んでもらわないといけなしね)

「だからといって直接の介入はいかんでしょ!?」

ルドラサウムはあくまでも今の世界を見て楽しむのが好きなのだ。

世界のバランスは3超神が作ったが、その後は放置している。

プランナーだけが4つの黄金像の秘密を解き明かした者に干渉するくらいだ。

だが、女神ALICEは意図的に世界のバランスを崩す行為をいた。

そのため、光の神G.O.Dまで駆り出されたのだ。

「おかげで余計な仕事が出来たじゃろ!」

「それはご愁傷様ねえ」

女神ALICEは安堵した。

今回意図的に世界のバランスを崩すことに、彼女も些かの不安を抱いていた。

自分のしている行動は創造神の願いから外れるかもしれない、その事だけが不安だった。

しかしどうやらその不安も杞憂だったようだ。

やはりメインプレイヤーが苦しむのが希望なのだ。

(それならもっと上手くやれる…)

ある程度であれば見逃される、そう思ったが、

「お前少しの間干渉一切禁止な。これはあの方々の命令ね」

その言葉に女神ALICEの体が硬直する。

「…それどういう事」

「どうもこうも無いわーっ! お前のせいで我がバランス調整をやらされたわーっ!」

バランス調整、それはひとえにプランナーがバランスを好む事から来る。

3超神が今の世界を作ったが、プランナーはそのバランスを担当していた。

だからこそかつての魔王スラルが「魔王は殺せない」という願いをした時に、あえて勇者というシステムを作った。

そして今回の女神ALICEの行動は意図的にそのバランスを崩す行為―――不正行為をしたために、新たに人類に対して少し梃を入れろと光の神に命令がきたのだ。

それとこれ以上のバランスの崩壊を誘発させる行為の禁止、すなわち女神ALICEの干渉を禁じた。

(…やりすぎたと判断された訳ね)

女神ALICEは自分の性急さを少しだけ後悔した。

ランスとクルックーへの怒りが自分の判断を曇らせてしまった。

「で、どういう風にバランスをとったの?」

そこだけは自分も気になった。

3超神が自分にバランスをとらせるはずもなく、光の神にやらせるのは当然だとも理解していた。

「我も迷ったが…まあクエルプランに相談した」

「ふーん…」

クエルプランに相談するのはまあ納得はいった。

バランスブレイカーに使用の許可か、人類に新たな才能を開花させる、それくらいが妥当な範囲だと女神ALICEも考えていた。

今回光の神は後者をとったのだろう。

だから魂管理局として、全てのメインプレイヤーの情報を知っているクエルプランに話を聞きに行ったのだろう。

「そこでクエルプランに一人の人間の情報をもらってな」

「へえ」

クエルプランが適当な人間を選んだという事なのだろう。

「それを見た時我も少々悩んだが、まあクエルプランが選んだのならば大丈夫なんだろうと」

「あんたも知ってる奴なの?」

女神ALICEは驚きと共に、少し嫌な予感がした。

光の神G.O.Dが知っている、という事にものすごい不安を感じた。

「昔に我のプロマイドを踏み付けるというとんでもない事をした奴じゃが、まあその時バチは与えたしもういいだろうと…」

「ちょっと待って! もしかしてそいつって…ランスって奴じゃない?」

女神ALICEの感が警鐘を鳴らしている。

「うん? 知っとったのか?」

そしてその予感は見事に当たってしまった。

(あ、あの男…クエルプラン…まさか!?)

尚、実際にはクエルプランは光の神G.O.Dの相談を上の空で聞いていた。

事務的に手は動いていたが、ランスの事が記載されていたその用紙を時たま自分の前に移動させていた。

だからこそ、光の神はクエルプランが無言で『この人間がいい』と自分に言ったと勘違いしたのだ。

光の神もクエルプランが忙しい上に仕事熱心だと知っていたので、疑いもしなかったのだ。

まさか自分の相談をほとんど聞いていなかった事を。

「…で、何を与えたわけ?」

「普通に才能レベルを与えたわい。まあ長い人類の歴史の中でも剣戦闘レベル3の人間なんて一人しかおらんかったし。まあそれくらいなら問題ないと…」

「問題ありまくりじゃない!」

光の神の言葉を女神ALICEが遮る。

あの男がさらに強くなる? あの男は世界のバグだ。

だからこそバグは消去しなければならない。

なのに神がそのバグをさらに強くした?

「…いや、人間を技能レベル3にした事がそんなに問題?」

相手は所詮は人間、1級神どころか、魔王にも遠く及ばない存在でしかない。

そう、それは神からすれば何の問題も無い。

一人の凄まじい才能を持った人間が普通に存在するだけ。

どれだけ凄かろうと、魔王に勝つ事は出来ない矮小な存在。

「それは…」

女神ALICEは答えることが出来ない。

自分の事を話しても意味はない、それどころか強いお咎めを受けるかもしれない。

それでは自分がシステム神に頼み、ここに戻ってきた意味が無くなってしまう。

「まあとにかく我はバランスをとった。お前もこれ以上余計な仕事を増やさんでくれよ」

光の神はそう言って去って行った。

女神ALICEはまたしても自分の行動が自分の首を絞めてしまったことを悔やんだ。

(いや、でも…)

いくらランスが強くなろうとも、それは結局は人類が強くなったという事ではない。

それよりも、あの戦争に魔人が増える、それだけで人類は窮地に達する。

現が魔王に覚醒するのもよし、あの男が魔物に殺されるのもよし、モフスが殺されるのもよし、勇者が魔王を殺し新たな魔王が生まれるのもよし、ケイブリスが魔王になるのもよし、結局は人類が窮地な事は変わっていない。

所詮はランスは一人でしかないのだ。

(まあこれはこれで楽しい未来にはなるかしら?)

女神ALICEはまだ知らなった。

ランスという人間がどのような人間なのかを。

 

 

 

 

 

自分達を取り囲んでるのはカラーだと認識した時、ランスは安堵した。

何故なら自分はカラーの英雄だから。

「もう一度言う。動くな」

しかし目の前にいるカラーには強い警戒が感じられる。

「あん?」

そのカラーの態度にランスは違和感を感じた。

まるで自分の事など知らないような様子だ。

(うーむ…まだ俺様の事を知らないカラーがいたのか?)

確かに全てのカラーを認識しているわけではないが、カラーの重役の事は知っている。

目の前にいるカラーが指揮をしているようだが、

(イージスはおらんのか?)

一通り見渡してもやはりイージスの姿は見えない。

(だがしかし…グッドだ!)

その前にはまずは目の前のカラーの事がランスには重要だった。

切れ長の目も良いし、何よりもイージスに勝るとも劣らないスタイルだ。

「がははははは! 俺様の事を知らんのか?」

ランスは無警戒にそのカラーに近づき―――その首筋に剣を突き付けられた。

「あん?」

「最後の警告だ。動くな」

その態度にランスは流石に悟った。

目の前にいるカラー達は自分の事を知らないと。

(俺様の知らないカラーがいたのか…いや、これくらいの目立つカラーなら俺様のレーダーに引っ掻かるはずなのだが)

「あー、わかった」

「ランス!?」

「レダも落ち着け。まあなんとかなる」

取りあえずはパステルに文句の一つでも言ってやろうと思い、ランスはおとなしくつかまった。

「ルルリナ様に伝えろ。人間を捕えたと」

「はい。ケッセルリンク様」

(ルルリナ…ケッセルリンク?)

ランスはその名前に首を捻った。

やはり自分には聞き覚えのない名前だったからだ。

(まあ何とかなる)

ランスは持ち前の気楽さで大人しくカラーに連行されていった。

 

 

 

 

「それでケッセルリンク。この人間達は?」

「はい。突如として現れた人間達です」

カラーの集落に連れてこられたランスは、より一層違和感を強く覚えた。

自分が知っているカラーの集落、ペンシルカウとはまったく違うからだ。

「人間。あなたの目的は何ですか?」

「別に俺様は何もしてないぞ。というかここは何処だ?」

「人間。ルルリナ様の質問に答えろ」

ケッセルリンクと呼ばれたカラーがランスに剣を向ける。

だがそれでもランスの態度はまったく変わらない。

「というかパステルとリセットはどこだ」

「ここにはパステルという者もリセットという者もいませんが…」

ルルリナと呼ばれたカラーの答えにランスは首を傾げた。

(パステルとリセットがおらん? という事は別のカラーの集落なのか? いやでも別のカラーの集落など聞いたことないぞ)

そもそもカラーという種族は数が絶対的に少ない。

そして全てのカラーがペンシルカウで暮らしている、ランスはそう認識していた。

このようにカラーがいる集落など、ペンシルカウ以外にはありえないのだ。

「待ちなさいよ。私達は巨大戦艦遺跡にいたのよ。そもそもここは何処なのよ」

話が進まないと感じたレダが言葉を切り出す。

状況が分かっていないのは自分達も同じなのだ。

「…お前達は突如として我らの住まう森に現れた。光と共にな」

その言葉に答えたのはケッセルリンクと呼ばれたカラーだった。

(光…? まさかセラクロラスの力? だったらランスが若返ってるのはわかるけど。 

でもこんな所に転移している理由が分からない)

ランスは自分では自覚はないだろうが、若返っている。

それ自体はセラクロラスの力で間違いないだろうが、転移は違う。

(あの時もっと大きな力が働いていたはず…でも悪魔の介入があったとは思えないわね)

あの時悪魔の力は感じなかった。

いや、むしろ大いなる神の力を感じた。

「うーむ…まったくわからん」

「ふざけている…訳では無さそうだな」

ランスの言葉にケッセルリンクは以外にも納得した。

嘘は感じられないし、そもそも人間が光の中から現れる事が異常なのだ。

「ルルリナ様…」

「はい。とりあえず牢に入れておいて下さい」

「何だとー!」

ランスの怒鳴り声も虚しくランスとレダは牢に入れられた。

 

 

 

 

その夜―――

「うーむ…どういう事だ?」

ランスはこの状況に頭を捻っていた。

自分がカラーからこんな扱いをされるとは思っていなかった。

だが、相手はパステルの事もリセットの事も知らないと答えた。

「さっぱりわからん。どなっとるんだ」

「その事もあるけどさ。ちょっと言わなきゃいけない事あるんだけど」

「む、何だ」

「レベルが下がったから。あと翼が出せない」

「はあ?」

突然のレダの言葉にランスは驚く。

「どういう事だ」

「そのまんまの意味よ。今はレベル30くらいね。そして飛べなくなった」

実にシンプルな説明だが、それ故ランスも状況の理解が早い。

(むむむ…レダのレベルが下がったということは…いかんな)

現状が分からない今、レダのレベルが下がったのはまずいとランスも感じていた。

何しろ今のランスには武器が無いのだ。

流石のランスも剣が無ければ戦うのはキツイ。

その上レダのレベルが下がってしまったとなると無理は出来ない。

「で、飛べなくなったとは…」

「そのまんまよ。エンジェルナイトの翼が出せなくなった」

「むぅ…それでは空から偵察が出来ないではないか」

「そう、出来ないのよ」

「何とかならんのか」

レダは少々悩んだが、

「レベルが戻れば大丈夫だと思うわよ」

結局全てはレベルが下がったのが原因と結論付けた。

(実際それぐらいしか心当たり無いし…)

ランスもそれで納得したのか、それ以上は何も言わなかった。

だがそれ以上にランスは気づいてしまった。

(ということはレダは今俺様よりレベルが低い…ぐふふ)

ランスがレダを襲えなかったのはランスのレベルがレダより低かったからだ。

だが今は自分の方が上…ならばイケる! とランスは考えていた。

「それと…ランス。自覚無いかもしれないけど、アンタ若返ってるわよ」

「はあ?」

「そのまんま。どう見ても今のランスは20にいくかいかないかくらいの年齢よ」

「そんな事ある訳無いだろ」

ランスは即座に否定するが、レダの表情は真剣だ。

「それがセラクロラスの力なのよ。その力は人を若返らす事すら容易い。それが時のセラクロラスという存在なのよ」

それを聞いてランスは驚いたが納得もした。

過去に自分は一度死んだが、命のウェンリーナーに助けられたことがあった。

その事を考えれば別におかしな事は無いと結論付けた。

「まあ俺様は昔から天才だったから問題は無いが、結局ここは何処だ? カラーが俺様を知らんなどありえん事だぞ」

「私だってわからないわよ。こんな異常事態今までは無かったんだから」

「…まあ考えても分からんことを考える必要はないな。それよりこれ切れるだろ」

「まったく…まあ窮屈なのも嫌だしね」

レダは何も無い空間から自分の剣を取り出すと、その剣を操り自分とランスの縄を切る。

「で、ここからどうするの?」

「ぐふふ…男と女が同じ部屋に居るならそれはセックスに決まってるだろうが!」

ランスが凄まじい速さでレダを押し倒す。

「わー! アンタ何考えてんだ! そんな状況じゃないだろ! あ、コラ! 鎧を外すな!」

レベルが低下し、力ではランスに敵わないこともあってレダの抵抗は非常に弱弱しかった。

「お前実は俺様とシィルとかなみのセックスを覗き見してただろう」

「気付いてたのかー! アンタ絶対自分の才能の使い方間違えてるから!」

「まあお前は俺様と続きをしたそうだったからなー。俺様もあの時は1発しか出来なかったらもったいないと思っていたのだ。しかーし! 今はもう邪魔者は誰もおらん!」

「ひー!!」

ランスの本気の目を見て、レダは恐怖と共に以前の事を思い出す。

あの時の快楽、コスモス0596は最後までランスに反抗し続けたが、自分は続きをして欲しかった。

それを見透かしたのかどうかは知らないが、ランスの手は非常に優しいものだった。

「本音を言え。お前はあの時の続きをしたいのだろう?」

「あ…」

まるで自分の心の内を見透かしたようなランスの言葉に抵抗が止まってしまう。

自分は誇り高いエンジェルナイトなのだ。

それが人間のいい様にされてはならない…なのに自分の体は動かない。

「心配するな。俺様もあの時よりも大人になった」

一体何が大人になったのかはレダには分からなかったが、もう自分の意思で体を動かすことが出来ない。

「ランス…」

自分が思わず身を任せそうになったとき、

「モンスターよー!!」

カラーの悲鳴が辺りを木霊する。

「! ランス!」

レダがランスを押しのける。

「うがーーーーっ!!! モンスター共め! 俺様のお楽しみを邪魔しやがって!」

「言ってる場合じゃないでしょ! 行くわよ!」

レダは素早く鎧を身にまとうと、木で出来ている檻をあっさりと斬る。

「え? 人間?」

見張りをしていたカラーの一人を無視し、ランス達があっさりと牢から出ると、そこには確かにモンスターがいた。

「げっ!?」

「まずいわね…」

そのモンスターを見てランスとレダが声を上げる。

それは古代種という種族のモンスター、ナマリダマとオウゴンダマ、そしてイモムシDXがいたからだ。

イモムシDXはともかく、ナマリダマとオウゴンダマは上位のモンスターだ。

流石のランスも剣が無くてはそのモンスターと戦うことは出来ない。

そしてレベルが低下しているレダもそれらのモンスターと戦うのは少し厳しい。

ナマリダマがランス達を敵と認め襲い掛かってくる。

「クッ!」

レダがその攻撃を防ぐが、以前よりも力が入らないようで、大きく弾き飛ばされる。

畳み掛けるようにオウゴンダマが拳の形をとり、レダに襲い掛かる。

「ファイヤーレーザー!」

その時、炎の魔法がオウゴウンダマを直撃し、オウゴンダマは大きく吹き飛ぶ。

「なぜお前達が牢から出ているかは聞かないでおこう」

その人物は―――ランス達を捕らえた張本人、ケッセルリンクだった。

「使えるか?」

ケッセルリンクがランスに剣を渡す。

「フン、誰に言っている」

ランスはその剣を受け取ると、レダに詰め寄ろうとしたイモムシDXを一撃で斬り捨てる。

(お…)

その一撃に斬ったランス本人が驚く。

剣そのものは普通のショートソード―――ランスが普段使うには短いし、軽すぎる剣だ。

だがランスの一撃は吸い込まれるようにイモムシDXの急所を切り裂いたのだ。

(うーむ…流石俺様。こんな剣でも強いぞ)

何時もの調子を取り戻したランスは、

「よくもレダとのセックスを邪魔してくれたな! 貴様ら皆殺しだ!」

怒りのままにモンスターの群に突っ込んでいった。

 

 

 

 

時はSS419年

女神ALICEが望まぬ未来を変えるために起こした事は、確かに歴史を歪めていた。

ただし、それが女神ALICEが望んだ未来であるかは、まだ誰も分からなかった。




イブニクル2発売まで1話アップしたかったですが間に合いませんでした…
ゲームもやりたいし続きも書きたいジレンマ。

この作品においてはレダ以外のオリキャラはほぼ敵かモブです。
ですから今回出たカラーの女王も別に重要なキャラという訳ではありません。
でもランス世界はモブでも結構強いのがいるから問題無いね。

レダは元のレベルは66としています。
レベルの根拠はマグナムでのシナリオの適正レベルの少し上程度と考えたからです。
でも今は30…ランスに関わると必ず何か影響でるけど仕方ないね。
技能は 剣戦闘LV1 ガードLV2 神魔法LV1
これくらいがエンジェルナイトの標準的な強さと考えてます。
実際それくらいないとドラゴンの大群と戦えると思えないし…
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