「ボルト・アーレン…あなたが私の夫を!」
パレロアは持っていた包丁をボルトへ向けて突進する。
対するボルトは薄い笑みを浮かべて、腰に下げてある剣を抜き放つ。
ギン!
「ほう…」
「貴様、今殺す気だったな」
パレロアの眼前にランスの剣とボルトの剣が交差している。
それを目の当たりにし、パレロアは思わずへたり込む。
今、ランスがボルトの剣を止めなければ、ボルトの剣はパレロアの頭を簡単に飛ばしていただろう。
「最初に私に向かって刃を向けたのはパレロア嬢だったのだがね」
「やかましい!」
ランスの一撃をボルトはその剣で受け止める。
(ランスの剣を受け止めた!?)
それに驚いたのはレダだ。
ランスは剣の腕もさることながら、その持っている剣も相当な切味のはずだ。
あの三魔子、ポレロ・パタンと契約して手に入れたランスの剣…それはフルプレートの人間を鎧ごと切り裂き、ドラゴンの鱗すらも間単に切ることが出来る。
そのランスの一撃を、ボルトと名乗った男は受け止めて見せたのだ。
「やれやれ、突然だね」
ボルトはランスと距離をとる。
ランスも相手の強さを感じ取り、迂闊に攻め入るような事は無い。
「あなたがこの男の協力者…って言ってたわね。この男に何をさせてたわけ?」
「おや…幽霊とは非常に珍しいものを見たな。まあ協力と言ったが、私は彼の望むものを与えただけさ。その後彼がどうしようが私の関知する所ではないな」
スラルの言葉にボルトは酷薄な笑みを崩さない。
「君が斬った男はその女…パレロア嬢の夫さ。その彼がこの惨劇を自ら生み出した。それだけの事さ」
その言葉にスラルは驚き、ケッセルリンクとレダも苦い表情を浮かべる。
だが、この男は違った。
「ふーん。まあそんな事はどうでもいい。俺はお前が気に入らーん!」
ランスはそう言うと猛然とボルトに斬りかかる。
何の躊躇いも見せないその動きにボルトの動きが一瞬遅れる。
鈍い音を立ててランスとボルトの剣が交差する。
「ぐぬぬぬ…!」
「クッ…これは…!」
ランスの速度と剣捌きにはボルトも驚く。
まさに人の命を奪うことに特化した剣筋…それが凄まじい威力となって襲い掛かってきたのだ。
本来はそのまま硬直する場面になるだろうが、ランスという男はそんな事を許すような男ではなかった。
「今だ! やれ!」
「まーおー!」
ランスの声に合わせて大まおーが鎌を構えてボルトへと襲い掛かる。
ボルトもそのピンクの存在が只者では無いと見抜く。
何よりも、その手に持った鎌が悪魔の鎌である事はボルトには理解できた。
(ならば…!)
ボルトは咄嗟にランスの剣と大まおーの鎌のどちらが厄介かの判断をつける。
彼が選んだのは―――大まおーの鎌だった。
大まおーの鎌をその剣で防ぎ、ランスの剣を最低限のダメージですむ様に受け流す。
「むっ!」
ランスの剣はボルトの服を斬るが、その感触は浅い。
そのままボルトは階段に跳び上がると一目散に逃げ去っていく。
「ランス!」
「追うぞ!」
レダは既に動いており、あっという間に階段を上りきる。
ランスもそれを追って階段を上っていく。
「まお!」
そのランスを追って大まおーも飛んでいく。
「ケッセルリンク! 彼女をお願い!」
「はい、スラル様」
ランスの剣からそう離れられないスラルもランスの後を追う。
残されたのはケッセルリンクとパレロアだけだった。
「…ランスが斬ったのは君の夫だったか。すまないことをしたな」
「いいんです…あの人がやっていなければ、私があの人を…」
彼女の手に握られた包丁を見て、ケッセルリンクも理解する。
この婦人は己の夫をその手で殺すつもりだったのだと。
ケッセルリンクは優しくパレロアを抱きしめる。
彼女もまた、心に大きな傷を負った女性であるからだ。
(…やはりランスには大きな何かがあるのだな。結果的に彼女の心が完全に壊れる前に、彼女を救う結果になった)
もしランスがここに来なければ、そして来るのが遅ければ彼女のは自分の手で夫を殺していただろう。
そして彼女の子供の魂は永遠に救われる事無く、悪魔に回収されてしまう結果になっていた。
ランスがどう思っているのかは分からないが、間違いなくランスは彼女の心を救ったのだ。
(シャロンもそうか…もしランスがいなければ彼女はどうなっていただろうか)
あの時たまたま自分もいたが、魔人である自分は本当の意味でシャロンを救う事は出来たのだろうかと思う。
(そして私達カラーもランスに救われ、スラル様もランスに救われた…)
普段からランスは『可愛い女の子は俺様に抱かれるのが幸せなのだ』と言っているが、あながち大法螺でも無いのかとこんな状況にも関わらず笑ってしまう。
ケッセルリンクがそう考えていた時、ランスが斬ったパレロアの夫の亡骸が蠢く。
周囲の肉塊を吸収するようにその亡骸がどんどんと大きくなり、とうとうそれが人のような形を取る。
そして背を向けているケッセルリンクに対して、数々の人間を解体していた大鉈を振り下ろす。
ガンッ!
鈍い音を立てて大鉈と、ケッセルリンクの剣が交差する。
「それが悪魔との取引の結果ということか」
ケッセルリンクがその醜悪なかつてのパレロアの夫だった物体を見る。
「おおお…力だ力が溢れる…」
「そんな…あなたなの…」
それは既に人の姿をしておらず、巨大な肉塊というべきものだった。
醜悪な肉塊に二つの頭が生えているという不気味な体…その内一方はかつての男の原型はあるが、その隣の頭はまさに巨大な口だ。
手にした大鉈はいつの間にかその腕と一体化している。
そして周囲に散らばっている肉塊が起き上がると、ケッセルリンク達を囲むように動き始める。
「ひっ!」
パレロアは口を押さえてケッセルリンクにしがみつく。
その光景はまさに悪夢であり、普通の人間ならば直視出来ないようなものだ。
「これだ…これこそが魔人を超える力だ」
「フッ…この程度の力でよく吠えるものだな」
ケッセルリンクは笑みを浮かべる。
昔スラルからは聞いたことがあった…悪魔には魔人の持つ無敵結界は通用しないと。
それでもなお、ケッセルリンクは笑みを浮かべる。
「魔人を倒す…それがどれほどのものか思い知るがいい」
「死ね…下等な存在よ!」
パレロアの夫だった存在が合図をすると、一斉に肉塊達がケッセルリンクに襲い掛かる。
「すまないな」
ケッセルリンクはパレロアを抱いて跳躍する。
そして地下の入り口にパレロアを優しく下ろす。
「ここに居てくれ。恐らく上も同じような状況だろうが、ランス達が居れば問題は無いだろう」
ケッセルリンクは肉塊の群れに一歩踏み出す。
そんなケッセルリンクの圧倒的な気配に気付かぬのか、肉塊達はケッセルリンクに向かって歩き出す。
「火爆破」
ケッセルリンクの魔法が肉塊達を炎に包み込む。
カラーの魔力とランスと共に見つけたその武器によって強化された魔法はその肉塊を一瞬で行動不能にする。
「この程度か」
そして残りの肉塊はその剣によって全てが解体される。
まさにあっという間の出来事に、パレロアは呆然とその光景を見ていた。
「マダ…マダダ」
その声を発したのは人間の顔の方ではなく、その隣にある大きな口からだった。
人間とはかけ離れた声にパレロアは己の体の震えを止める事が出来ない。
その口が不明瞭な言葉を放つと、確かに燃やしたはずの肉塊が再び起き上がる。
ケッセルリンクが斬った肉塊も、周りの肉塊と合わさり先程よりも大きくなって立ち上がる。
「なるほど、死霊魔法の類か」
再び襲い掛かってくる肉塊を再びケッセルリンクは切り裂く。
その肉塊が動かなくなるには1分もかからない。
それほどまでにケッセルリンクの力は圧倒的だった。
「ムダダ…ナンドデモヨミガエル」
その口が再び不明瞭な声を上げると、肉塊は再び一つになって起き上がる。
「無駄な事を」
ケッセルリンクは何度も肉塊を切り裂く。
その度に肉塊は立ち上がるが、その内に肉塊の動きが目に見えて鈍くなる。
それどころか、もう立っているのもやっとといった感じだ。
「キサマ…ナニヲシタ」
「特別な事はしてないさ。ただ私もカラーではあるからな。呪いを掛けさせてもらっただけだ。だが私にはやはり呪いの才能は無いな…弓も呪いも不得手のカラーは私くらいだろう」
カラーという種族は弓や魔法…特に呪術の力に優れるが、ケッセルリンクはそのカラーの中でも剣を使うというカラーとしては異質の存在だ。
呪術も得意ではないが、その代わりに溢れた魔力がある。
そしてもう一つ…その力こそが、ケッセルリンクの魔人としての力だ。
「さて…もう私の時間だ。終わりにさせて貰おう」
「ホザクナ!」
パレロアの夫だった存在―――悪魔がケッセルリンクに向かって大鉈を振るう。
それはケッセルリンクの体を上から真っ二つした―――かのように見えた。
「ナンダト…」
しかしそこにはただ闇が広がっているだけだった。
「無駄だな」
そして闇から声が聞こえたと思うと、悪魔の体に大きな傷がつき、そして魔法の一撃がその体を抉る。
「キサマ…ドコカラ…!?」
悪魔は大鉈を振り回すが、その一撃は空を切るだけでケッセルリンクにダメージを与えることなど出来はしない。
そして再び闇が悪魔の体を切り裂き、そこからカラーの呪いが悪魔の体を蝕む。
「マサカ…コノヤミカ! コノヤミコソガ!」
「そうだ。この闇こそが私だ。そして私は自分で気付いてしまったな。男には容赦しない、とな」
闇が悪魔を包むとそのまま悪魔の体がどんどん切り刻まれ、呪いもどんどんと蓄積していく。
最早悪魔は自分の足で立つこともままならない。
そして闇が一つに集まると、それは元のケッセルリンクの姿となる。
「そんな…私は人を超えたはず…パレロア…」
人間の口で夫はパレロアの名を呼ぶが、
「あなたはもう私の夫じゃない…あなたはただの悪魔よ!」
その言葉に夫は絶望的な表情を浮かべる。
「お前はもう彼女の夫でも父親でも無い。彼女の言うとおり、お前は悪魔でしかない」
ケッセルリンクはそう言って魔法を打ち込むと、悪魔の体が脆くも崩れ落ちる。
こうして自分の子供すらも実験に使った男は、この世界から姿を消した。
「…これで良かったかね?」
「はい…ありがとうございます」
パレロアはケッセルリンクに頭を下げる。
ケッセルリンクは微笑んで彼女の涙を拭おうとした時、突如として上から巨大な気配を感じる。
パレロアもそれを感じ取ったのか、その体は先程よりも震えている。
それは根本的な恐怖から来るものだと嫌でも思い知らされる。
「何がおきた!? ランス…!」
ケッセルリンクはパレロアを抱きかかえると、ランス達を追って階段を駆けだした。
少し時間はまき戻る―――
ランス達は逃げたボルトを追って階段を上り終えた時、そこで異様な気配を感じる。
「ランス! 下!」
「むっ…うおっ!?」
その時床に散らばっていた肉塊が起き上る。
ランスも過去に似たような経験をしていた。
「こいつは…ゼスで同じような事があったな」
かつての冒険で死体が起き上るという事件があった時、ランスがその依頼を受けて解決した。
「雑魚どもが! 俺様の前に立ち塞がるとはいい度胸だ! 死ねー!」
ランスの剣が起き上る肉塊を一撃で斬り裂く。
本来はそれだけでは起き上る肉塊は、ランスの剣による一撃には起き上ってこれない。
「こいつら…普通の死体じゃない。色々いじくられてるって訳ね」
レダの一撃で倒れた肉塊は、ランスの時とは違い起き上ってくる。
だがそれでもレダの余裕の表情は決して揺るがない。
「悪魔崩れって訳ね。でもそんな出来損ないが私に勝てるなんて思わない事ね」
レダの手に光が集まる。
エンジェルナイトとしての本来の力はまだ発揮できないが、レベルが上がるにつれてどんどんその力を上げてきている。
そして全ての肉塊を消滅させるべく、その手から光が放たれる。
「浄化!」
それは人間でも神魔法を使える者ならば誰でも使える初歩的な魔法。
しかしエンジェルナイトである彼女が使えばそれは別の意味を持つ。
エンジェルナイトの役目はこの世界の秩序を守る事、異世界からの介入の監視、そして悪魔を排除する事。
そしてレダは悪魔の排除が本分なのだ。
レダの放った光が全ての肉塊を包み込むと、その肉塊はあっさりと消滅していく。
「凄い…」
この光景にはスラルも驚く。
エンジェルナイトである事は知ってはいたが、その光の威力は人間の物とはかけ離れている。
「行くぞ!」
ランスはボルトを追って外に出る…と同時に、ランスに向かって凄まじい剣圧が襲い掛かる。
ランスはその剣圧を反射的に断ち切る。
それは衝撃波となってランスの体を襲うが、その傷は小さい。
そしてその後には剣を構えて襲い掛かるボルトの姿があった。
ギン!
ランスとボルトの剣が交差する。
そして二人は剣越しに睨みあう。
「流石だね。今のを防ぐか!」
「俺様に通用するわけが無いだろう!」
ボルトはその顔に非常に楽しそうな笑みを浮かべていた。
(こいつ…リックみたいに笑う奴だ)
ランスも認める強い男、リック・アディスンもこの男同様に戦闘になると笑みを浮かべる。
しかしリックとボルトの違いは、ボルトには圧倒的な悪意が存在している事だ。
「ムッ…!?」
「だりゃあ!」
鍔迫り合いは膂力に勝るランスの勝利に終わる。
ボルトはランスの腕力に負け、その体のバランスを崩すがその体捌きはかなりのもので直ぐに体勢を立て直す。
その時レダとスラルと大まおー、そしてシャロンが飛び出してくる。
「本当に強いね君は。出来れば名前を教えてくれれば嬉しいのだけどね」
「貴様のような男に名乗る名前は無いわ!」
ランスはそのままボルトへ斬りかかる。
その一撃はまさに閃光とも言うべき速さでボルトに襲い掛かる。
しかしボルトもその体捌きでランスの剣を避け、ランスへと反撃する。
ランスもその反撃をあっさりと防ぐ。
が、ボルトの攻撃はそれだけでは終わらず、ランスに対して凄まじい速度で攻撃を仕掛ける。
「ムッ…」
ランスはそのボルトの剣捌きを防ぐ。
(リックのような剣を使いおって!)
その攻撃はまるでリック・アディスンと同じ様な剣だ。
終わる事無く放たれる攻撃にはランスも手を焼く速さだ―――かつてのランスならば。
「フン!」
ランスはボルトの剣を全てその剣で捌く。
防御が疎かになりがちなランスではあるが、剣戦闘LV3とレダとケッセルリンク相手の特訓がランスの体に染みついていた。
ボルトの剣は確かに早いが、レダとケッセルリンクに比べればパワーに劣る。
「何!?」
流石のボルトも自分の剣が完全に見切られている事に驚愕する。
どれだけ矢継早に攻めようが、ランスはその全てを見切るどころか、とうとう反撃すらもして見せた。
力に勝るランスの一撃をボルトも受けようとはしない。
ボルトはランスの剣を弾くと、大きく距離を取る。
「やれやれ、剣では完全に敗北か。世界は広いものだね。私でも勝てぬ相手がいるとはね」
「俺様にかかればお前など雑魚だ雑魚。大人しく死ね」
「中々難しい事を言うね。しかし君と1対1で剣を振るえるならばその限りでは無いのだがね」
ボルトの言葉にランスは何時ものように笑う。
「がはははは! 何で俺様がそんな事をしなければならんのだ! このままフクロにしてくれるわ!」
ランスには1対1での決闘に意味を見出さない。
全ては相手に勝つため…どれだけ卑怯、卑劣と言われようとも勝ついう事が全てなのだ。
負けては何にもならないのだから。
「そうだね。確かに他の皆も強そうだ。だが!」
ボルトの剣を構えると、その剣を勢いよく振り下ろす。
それだけでその剣圧が刃となって…シャロンに襲い掛かる。
「何!?」
「クッ!」
ランスの驚きの声と共に、レダがシャロンに襲い掛かる剣圧を防ぐ。
「やってくれるじゃない」
今の一撃も相当なものだ…もしレダが防がなければ、シャロンの体はその刃によって切裂かれていただろう。
「でも私の剣をその少女は受け止めきれない。その少女は君の共としては明らかに力不足だ」
「貴様!」
「そして私としても君達相手に一人で戦うなんて事は出来ないね」
ボルトの言葉に反応するかのように地から手が伸びる。
それは青い肌をした蛇腹状の体を持った魔物であった。
「こいつは…ジャバラ!」
スラルは出てきたモンスターを見て驚く。
ジャバラは普通のモンスターでは無く、悪魔に近しいモンスターだと言われている。
そして上級モンスターの一体でもある。
「なんで人間のアンタがモンスターを従えているのよ!」
「それは蛇の道は蛇と言うだろう」
スラルの言葉をボルトは軽くかわす。
「…アンタは悪魔じゃない。その魂は汚染されていない。一体どういう訳?」
「確かに私は悪魔ではないさ。まあ協力はさせてもらっているけどね。彼らの協力が無いと流石に誘拐なんて真似は私一人では出来ないさ」
レダはこの状況に歯噛みする。
人間が悪魔と協力関係にあるのはそう珍しくは無いのだが、まさかただの人間が悪魔を使うとは考えてもいなかった。
そしてこの状況が非常にまずいのも理解する。
何しろ数が多い…しかも相手は全てジャバラなのだ。
しかもボルトという男がどんな隠しだまを持っているかわからないのだ。
「さて、これで心置きなく私は君と殺りあえるというものだ」
ボルトはランスに剣を向ける。
「男が俺様を指名するな。鬱陶しい」
「私としては非常に楽しみだね!」
ボルトがランスへと斬りかかり、二人の間に激しい火花が散る。
それと同時にジャバラ達が一斉にレダ達に襲い掛かる。
しかもジャバラ達は狡猾に実力に劣るシャロンを狙って動く。
「クッ!」
レダはシャロンを守りながら戦わざるを得なくなり、どうしても攻撃に移ることができない。
ジャバラの攻撃は厄介な事に、伸び縮みする腕から繰り出される。
そのために攻撃が非常に読みにくい。
それ故にレダも多数のジャバラの前にはシャロンを守るので手一杯となってしまう。
スラルと大まおーがジャバラと戦うが、やはりその数の前には厳しい。
「焦るのはよくないな。君ならばもっと上手く戦えると思うのだがね。やはり君の剣の腕を妨げるものは排除すべきかな」
「やかましい! さっさと死ね!」
ランスはボルトに斬りかかるが、やはり少し焦りがあるせいかその剣は少し冴えない。
(ぐぬぬ…いかんぞ。このままではシャロンちゃんが)
ジャバラの群れを倒すだけならばレダ、大まおー、スラルが居れば何も問題は無い。
しかし戦闘技能に劣るシャロンを守りながらでは、流石に難しい。
「っ!」
シャロンは伸びてくるジャバラの腕を何とか避ける。
流石のレダもこの数のジャバラが相手では全ての攻撃を防ぐことは出来ない。
シャロンも人類の中でも決して弱いという訳ではない。
しかし圧倒的に経験が少なく、レベルも高くは無い。
その状況でジャバラの相手は非常に厳しかった。
ランスが焦っていた時、突如として闇が広がってくる
「なんだ?」
「ムッ!」
ランスとボルトが同時に警戒する。
するとレダ達を囲んでいたジャバラが切り刻まれて倒れる。
「これは!?」
ボルトは飛びのいて闇から距離を取る。
闇がジャバラ達を全て倒すと、その闇が人の形を模る。
「ケッセルリンク!」
「すまない、遅くなったな」
スラルの言葉にケッセルリンクは笑みを浮かべる。
「ランス、お前が苦戦とは珍しいな」
「フン、余裕だ余裕。今俺様がこいつをぶっ殺すから見ていろ」
ケッセルリンクが居る限りこれ以上シャロンが狙われる事は無い。
「おやおや、一瞬で形勢逆転か。流石にこの状況で君に挑むのは無謀かな」
「その余裕、どこまで続く? お前にもう勝ち目は無い」
そう、魔人である彼女が居る以上、ボルトには全く勝ち目が無くなったのだ。
それでもボルトは笑みを崩さない。
「あら、ボルト・アーレン。珍しく苦戦しているのではないかしら」
その時そんな声と共に明らかに場の空気が変わる。
いつの間にかそこにはこの場には場違いとも言える少女が現れる。
「ごきげんよう。人間…そしてカラーの魔人」
その少女は妖艶に、しかし酷薄な笑みを浮かべた。
ジャバラに関しては完全にオリ設定ですね
アリスソフトのモンスターは結構強さが分かれちゃうんですよね…
ヒトラーとかの系列は強さがハッキリとしているんですが
ジャバラはランス6にて後半の敵という事で上位モンスターとしております
GALZOOでも後半の敵ではあるのですが、強すぎるという理由で登場出来なかった魔素漢と比較すると少し劣る感じ?
ランス10でくずの悪魔と共に出現したので一応悪魔的モンスターとしてあります
ランスの未来は…
-
スラルに魔人にされました
-
カミーラの使徒にされました