ランス再び   作:メケネコ

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ランスはやはり主人公としては劇薬
迂闊に使ってはいけない(戒め)


ムシという存在

「がははははは!」

カラーの森にいつものランスの馬鹿笑いが響く。

その下には倒れ伏したモンスターの死骸が積み重なっていた。

「ランス、こちらは問題ない」

「こっちもよ。雑魚ばかりね」

ケッセルリンクとレダも戦闘が終わったようで、ここに主な面子が終結していた。

ランスがカラーの森に留まって2週間、ランスはあっという間にカラー達から人望を集めていた。

単純にランスが強い事もあるが、やはりカラーの被害が圧倒的に減ったのが大きい。

「うむ、しかしあれからは雑魚共ばかりだな」

「この前のようにオウゴンダマ等が来ることが初めてだったのだがな…」

「今は雑魚モンスターが来てくれる方が有難いけどね…ランスのレベルの事もあるし」

レダは純粋にランスの心配をしていた。

ランスのレベルが上がらないのは純粋にその人間にとって痛手だ。

才能限界の可能性も考えたが、その可能性は無いとレベル屋のカラーも言っていた。

「やはり進展は無しか」

「まあレベルを上げる手段が見つかっただけでも十分よね」

「フン、俺様はレベルが上がらなくても十分に強いのだ」

しかしランスのレベルを上げる手段が見つかったのは大きかった。

「ランスー! 見つかったよー!」

「おっ、今日こそ見つかったか! ナイスだアナウサ!」

モンスターから戦利品を漁っていたアナウサが一つの宝箱を持ってくる。

これこそがランスのレベルを上げるためのアイテムだった。

 

 

 

―――少し前―――

 

「レベルが上がらない、ですか?」

「そうだ。ルルリナちゃんは何か知らんか?」

経験値がバグり、レベルを上げる事が出来ないランスは一先ず女王であるルルリナを訪ねていた。

ルルリナはこのカラーでも古株であり、女王という事もあって色々な知識を知っていたからだ。

「才能限界以外でレベルが上がらないという話は聞いたことが無いです」

「何かカラーのアイテムとかそういうものは無いのか?」

ランスも何も当てずっぽうに訪ねたわけではない。

カラーには色々な特殊なアイテムがあるのは、パステルの件を通じて知っていた。

それならば何かいいアイテムがあるかもしれないと感じた。

「それですが…もしかしたらこれならば大丈夫かもしれません」

ルルリナはそう言って奥の部屋から2つの宝箱を持ってくる。

「これは『超熟経験食パン』です」

「これか…」

このアイテムはランスも知っていた。

ランスが禁欲モルルンにかかっていたとき、リアが自分のレベルを上げるために買占めていたアイテムだ。

「しかしルルリナ様、今のランスには効果があるのでしょうか。メカクレの話ではそもそもの経験値の表示がおかしいようですので」

「わかっています。ですのでこちらも持ってきてみました」

ルルリナはもう一つの宝箱を開ける。

「これは…」

このアイテムもランスは知っていた。

JAPANにいた時に見たアイテムだったからだ。

「あー…あったわね、このアイテム」

レダもそれを見て納得する。

バランスブレイカーという程ではないが、それでも人間の市場に出回る事などめったに無い一品。

「これは『幸福ポックル』です。レベルを上げることが出来るアイテムですね」

「うむ、これは俺様も使った事があるな」

JAPANではランスもこれを使ってレベルを上げた事があった。

「これを使ってみていただけますか」

「ルルリナ様…」

ケッセルリンクは少し渋い顔をするが、

「いいのよケッセルリンク。カラーを救ってくれた人が困ってるんです。少しくらい恩返しをしないと」

「お、おう…」

ルルリナの言葉にランスは少し薄ら寒いものを背中に感じた。

どうしてもパステルと比較してしまうのはやむを得ない事だった。

「ではランス様。これを使ってみてください」

「うむ」

ランスは幸福ポックルを使用すると、手元にある幸福ポックルが消えていく。

「で、どうだ? 上がってるか?」

「はーい。今調べてみますねー」

その場に来ていたメカクレがランスを調べる。

「あーおめでとうございます。表示は相変わらずバグってますけど、ランスさんレベルが上がってますよー」

「おお!」

「よかったです」

「おめでとうございますーす。ランスさんはレベル45になりましたー」

「うむうむ」

ランスも満足げに頷く。

「が、一つでは到底足らんな…」

ランスの限界レベルは存在しないが、それは本人も知らない。

以前魔王ジルと闘ったとき、妙な空間で異常にレベルが上がったが、それでも限界には届かなかった。

「レベルを上げる方法が見つかっただけいいんじゃない?」

レダが気楽に言うが、ランス自身はそこまで楽観的にはなれなかった。

自分のレベルが上がりやすいというのは知っているので、幸福ポックルと経験値を比較した場合は、経験値でレベルが上がった方が早いと思っていた。

それに幸福ポックルが必ずしも見つかる訳では無いとも考えていた。

(うーむ…普段はレベルの事なんて考えてもいなかったが、いざ上がらないとなると面倒くさいな)

ランスが今まで数々の危機を乗り越えられてきたのは、やはりそのレベルがあってこそだ。

今現在のレベルでも人類の中でも相当に強いのだが、それでも過去を考えれば不足しているとも感じていた。

魔人ノス、闘神ユプシロン、魔人カミーラ、魔人ザビエル、アム、闘神MM、それらと闘った時よりは確実に弱い。

「まあレベルが上がると分かっただけでもよしとするか」

しかしそれ以外にもランスの異変は始まっていた。

 

 

 

―――その数日後の夜―――

 

ランスは一人剣を構えていた。

ランスは修行などほとんどしないが、かつて自分の必殺技を完成させるため3日間ほど考えたこともあった。

そんなランスが今一人剣を抜いているのは、先日にあった違和感をたしかめるためだった。

「ランスあたたたーっく!」

何時もと同じ感じで必殺技を放つ。

その威力はやはり絶大で、そのオーラで周囲の木々が悲鳴を上げるほどだ。

しかしランスはその一撃にどうにも拭えぬ違和感を感じていた。

「なんかおかしいぞ…俺様の必殺技なのに俺様の必殺技じゃない感じだ」

本人だからこそ感じる違和感がランスを不愉快にさせていた。

「それになーんか弱くなってる気がする…」

剣を振り下ろした時のインパクトがどうにも弱く感じるのだ。

まるで昔―――まだ必殺技が完成する前の、カスタムの事件の時のような感覚に近い。

あの時はまだ完成しておらず、普通に剣を振るっていた方が強いと感じていた。

まるで完成された必殺技が未完成の時のように戻ってしまったような感じだ。

「意外だな。お前がそのような鍛錬をするとは思わなかった」

「私は理由が分かるけどね」

そこにケッセルリンクとレダの二人がやってくる。

「なんだ、お前らか」

ランスは別にどうでもいいといった感じだったが、以外にも深刻な顔をしているのはレダだった。

「レダ。理由が分かるとはどういう事だ?」

ケッセルリンクには理由が分からない。

が、レダに分かるのは少しの間、遺跡でランスと冒険を共にした時間がある故に分かった。

「ランス…若返ってるってのはもう分かってるでしょ」

「別にただ若返っただけだろう」

ランスも最初に自分の姿を見た時は驚いていたが、ただそれだけだ。

今までのランスの経験から別に大したことではないと思っていた。

「その若返ったっていうのが原因なのよ」

エンジェルナイトであり、生粋の戦士であるレダには理解できた。

「今の意識に体がついていってないのよ」

「はぁ?」

ランスは本来であれば24歳だが、今の体は20にまだ届いているかいないかの肉体だ。

「ランスが自分の必殺技を完成させたのっていつぐらい?」

「俺様は天才だからすぐに完成させたわ」

「いやいや、そういう強がりはいいから…」

「うぐ…」

ランスは自分の過去を思い出すが、それはやはりカスタムの時だった。

あの時は無駄に力が入っていたりと、とうてい必殺技とは言えなかった。

それが必殺技として形になってきたのは恐らくリーザス解放戦くらいの時だろう。

「若返った肉体に意識がついていってないのよ。体の使い方は24歳の時なのに、肉体だけは若い。だからそこにズレが出来てるのよ」

「うむむ…」

そう言われればランスも納得できてしまう。

自分の必殺技が完成されてきたのは大体それくらいだったと思ったのだ。

「そういうものか…」

同じ戦士であるケッセルリンクも大体の想像はついた。

「しかし何故そうなった? 人が若返るという話は私も聞いたことがない」

ケッセルリンクも色々な話は見聞きしてはいるが、若返るという話は聞いたことがなかった。

「それが時の聖女の子モンスター、セラクロラスの力なのよ」

「…セラクロラス。聞いたことがないな」

「厄介な…」

ランスは別に若返りなど求めてはいなかった。

ただ、Hのためだけにセラクロラスを探していたにすぎない。

しかし今のランスの異変はそのセラクロラスのせいだというのだ。

「これは見つけ次第おしおきだな…でもなぁ…」

あの小さな体を見ると流石にそんな気力もおきない。

「まあ何にせよセラクロラスを探すのが一番はやいんじゃない? 見つかるかどうかは別として」

セラクロラスは見つけようと思って見つかる存在ではない。

それこそ偶然の力に頼るしかない程に。

「それしかないか…フン、まったく面倒な」

(だが取りあえずはその方向で動くか)

 

 

 

 

「はい! ランス!」

アナウサがランスの目の前で宝箱を開く。

「おお! これは…何だ?」

宝箱に入っていたのは、何故か今にも死にそうなほど衰弱している『幸福ポックル』だった。

「…アナウサ、お前は本当にこれが『幸福ポックル』だと思っているのか?」

ケッセルリンクも眉間に指を当てている。

「これ…どちらかというと『幸福ポックリ』って感じなんだけど…」

レダにもこれがどう見てもレベル上げるアイテムだとは思えなった。

「そのとーり! これこそがレベルを下げるアイテム『幸福ポックリ』です! いやー我ながらいい発見したわー」

「「この阿呆」」

「あいたー!」

ランスとケッセルリンクの同時突込みがアナウサに炸裂。

「何するんですか! レアアイテムですよレアアイテム!」

「やかましい! 誰がこんなアイテムを探せと言った!」

「アナウサ…私はお前のレンジャーとしての技術は高く評価してるが、お前のその妙なアイテムを取集する癖は何とかならないかと思う」

ランスは怒り、ケッセルリンクはアナウサの奇妙な趣味に苦言を言う。

「カワイイと思うんだけどなぁ…」

こうしてランスは何度かモンスターの襲撃を防ぎ、またたまには攻め込んだりもしているが、肝心の幸福ポックルは手に入らなかった。

「やっぱりレアアイテムとなると中々手に入らないものね」

レダは対して気にしていないが、ランスは中々手に入らない状況に少しイラついていた。

「やっぱダンジョンにいかなきゃならんのか…」

ランスは冒険が好きだ。

まだ見ぬ美女を求めて、自分の趣味である貝の発見のため色々なダンジョンを探索していた。

(しかしなぁ…)

今の状況を考えるとそれも少々難しいと感じていた。

まずはカラーだが、やはり戦える存在が少ない。

ケッセルリンクはランスと肩を並べる程の強さだが、主に魔法を担当することが多い。

今まではケッセルリンクがカラーの先頭にたっていたのは、彼女に剣の才能があったからだ。

しかし今の状況はケッセルリンクを上回る剣の才能を持つランスに、神魔法とガードの才能を持つレダが居ることにより、ケッセルリンクは剣よりも才能のある魔法を使っていることが多い。

アナウサはカラーらしく弓を使うが、カラーには珍しいレンジャーの才能を持つカラーだった。

だが、それ以上に目ぼしい力を持つカラーがいるかと聞かれればそう上手くはいかない。

ダンジョンに向かうとなれば、必然的にケッセルリンクとアナウサの力が必要になる。

今の状況で自分達がいなくなればカラーは魔物に蹂躙されてしまうだろう。

それにアイテムの問題もある。

ランスは旅に必要なアイテムは全てシィルに持たせていたため、ダンジョン用のアイテムを持っていない。

僅かな帰り木があるだけだが、それだけでは到底足りないのだ。

「すまないな。ランス」

ケッセルリンクもそれは痛いほど理解している。

本来であれば無関係の人間に突き合わせるのは彼女としても心苦しかった。

「んー…まあ気にするな。何とかなる」

取りあえずランスはこの事を考えるのをやめた。

考えても意味は無いし、いざとなればモンスターを皆殺しにしてでも、と物騒な事を考えていたからだ。

「大変です! ケッセルリンク様! ランスさん!」

その時、一人のカラーが息を切らせて走ってくる。

「どうした」

そのただ事ではない様子にケッセルリンクの声も固くなる。

「ムシです! ムシが里周辺をうろついてます!」

「何!」

「…ムシ?」

一方のランスは何をそんなに脅威に思っているのかが分からない。

「ムシがどうした?」

「そうか…ランスにはまだ説明してなかったな。我々カラーは今モンスターよりもムシの脅威にさらされている」

「はぁ?」

「説明するよりも見てもらう方がいい」

「いや、どんなムシなのよ…」

レダも知らないようで、少々不振がっている。

が、ケッセルリンクの表情は本気だ。

本気でそのムシを脅威に感じているのだ。

「まあ行ってみるか」

ランスは後にその言葉を少し後悔した。

 

 

 

 

 

 

「おい…」

「なんだ、ランス」

「本当にアレがムシか?」

「そうだ。誰が何と言おうとアレがムシだ」

「いや、アレをムシ扱いとかどれだけアバウトなのよ…」

ランス達が木の後ろからそのムシを見上げる。

「…小型のドラゴン? いや、でも羽はついてないわね」

「やたらとでかい三つ目トカゲに見えるが…」

「アレこそが私達カラーの一番の脅威…ティラノサウルスだ」

6~7Mほどもある巨大な体。

やたらと鋭い牙。

頑丈な足に太い尻尾。

確かにあんなのがいれば脅威以外の何物でもないだろう。

「でも確かにあんなのがいたら安心に暮らせないわね…」

「今まではどうしてたんだ?」

「これまでは積極的にカラーを襲ってはこなかった。だが、アレに引き寄せられるように別のムシも来ている」

ケッセルリンクの視線の先には、ティラノサウルスには及ばないが、やはり凶暴そうなムシが存在していた。

「あー…でもアレ相当に強いわね。下手したら魔人級かも…」

「マジか…」

レダの言葉に流石のランスも戦慄する。

エンジェルナイトのレダが言うのだから正しいのだろうと思ったからだ。

ティラノサウルス達はしばらくその辺を歩き回っていたが、その内カラーの村とは逆の方向に歩き去って行った。

その取り巻きもティラノサウルスについて行ったが、ただ一匹だけその場に留まっている存在がいた。

「あいつ一匹だけ残ったわね」

「まるで何かを探しているようだが…」

その1匹のムシは体をこちらに向ける。

「…構えろ。見つかってるぞ」

ランスはそのムシから感じられる殺気を確かに感じていた。

あのムシは間違いなく隠れている自分達に感づいていた。

「先制攻撃でいくぞ」

「戦うのか!?」

ケッセルリンクは流石に驚きの声を上げる。

「見つかった以上どのみち倒さなければカラーは全滅だ」

「むしろあの1匹だけでよかったわよ」

ランスとレダは既に臨戦態勢に入っている。

「…わかった」

だからケッセルリンクも覚悟を決めた。

カラーの村を、皆を守るためにはあのムシを倒すしかない。

「行くぞ!」

そしてランスは初めてのモンスターと戦う事となった。

もうLP時代には残っていないはずの存在。

あまりの強さ故に、モンスターにも敵としてみなされ、その討伐に魔人すらも駆り出された存在。

ムシ―――ヴェロキラプトルとの戦いが今始まる。

 

 

 

 

 

魔王スラルの城。

城、といっても大した城ではない。

大陸の中心部に存在するその城には、並みの存在は近づく事すら出来ない。

そう、並みの存在では。

(…相変わらずこの状況ってなんなのかしら)

魔王スラルはメインプレイヤーが生まれてから誕生した新しい魔王だ。

そのメインプレイヤーの創造に合わせて、男の子モンスター、女の子モンスターは作られた。

魔王はそのモンスターの王である―――が、

(なんで我はこんな奴等の王なんだろう)

魔王スラルは全く別の感情を抱いていた。

女の子モンスターはまだ自分と似ている姿だし、会話も成立するからいい。

いささか孤高の気質のバルキリーは若干とっつきにくいが、それ以外は問題は無い。

が、問題は男の子モンスター。

(…個人的に変なのしかいない気がする)

古代種と呼ばれる種族、丸いモノはともかくとして、他のは何とも言えなかった。

(あのお断りマンとかいうのは何なのかしら)

魔王である自分の命令も『お断りマン!』とか何とか訳の分からない事を言ってくるくせに、結局は従う。

だが、他のモンスターであるストーンガーディアンやリビングソード等は一切話が通じない。

(それに…あのハニーとかいう物体…)

あのやたらと馴れ馴れしいうえに、あいやーあいやー五月蝿い奴等は本当に滅びてしまえばいいのにと思う。

何故かコロッケが好きでメガネが好きだとか言うわけの分からない存在。

(でも…)

種族としては非常に強い。

まず魔法が効かない。

魔王である自分の本気の魔法でも傷一つつかなかった。

殴ると割れるが、それでも1体1体潰さなければいけないのは非常に面倒くさい。

それに普通に強いハニーも存在しているという事もある。

黄色のスーパーハニー、三体が合体した姿のトリプルハニーなど、普通に強いのも問題だ。

(だがそれ以上に問題なのは…)

思い出すのも忌々しいあの存在。

自分が魔物の王ならば、相手はハニーの王。

(ハニーキング…)

あの存在だけは全く意味が分からなかった。

一度本気で滅ぼしてやろうと思ったが、勝ち筋が全く見えない相手だった。

何回か叩き割ってやったことがあったが、次にはあっさりと復活されている。

スラルがハニーとの戦いで得られたのは、相手にするだけ無駄だという非常に疲れる結果だけだった。

(それにしても中々見つからないものね…)

魔王は魔人、魔物への絶対的な命令権がある。

しかしその魔人がどこにいるか、までは分からない。

おかげで魔血塊集めはまだ捗ってはいない。

「スラル様、七星様が来られております」

「そう、通して」

女の子モンスターの一体であるメイドさんの報告に頭を切り替える。

七星はあのカミーラの使徒だ。

怠惰で中々自分の呼び出しにも応じない主人に比べて、その使徒は実は良く出来た存在だと思う。

「スラル様。カミーラ様よりの預かり物です」

魔王の間に通された七星がスラルの望んでいた物を取り出す。

「あら…」

それは今スラルが探している物、魔血塊だった。

「カミーラが珍しいわね…もしかして『狩り』の対象になる存在がいたのかしら」

「はい。魔血塊を飲み込んだティラノラウルスが。カミーラ様も楽しんでおりました」

無論カミーラも無傷だったという訳ではない。

だが誇り高いカミーラはそんな傷を負った自分を見られるのが我慢ならなかった。

「わかったわ。ご苦労だったわね。下がりなさい」

「はっ…」

七星は一礼するとその場を立ち去る。

スラルは魔血塊を手に納めると、その魔血塊を初期化する。

「ふぅ…」

これでまだ1枠増えたが、自分の理想とする魔軍を作るにはまだ足りない。

「ガルティアもメガラスもまだ戻ってこないし…でも焦る必要は無いわね」

スラルはまだ知らない。

自分の願いがどんな結果を引き起こしているかを。

そしてその時間はどんどんと迫ってきている事を。




今回のムシに関しては、完全にイブニクルが元ネタです。
ただランス10にティラノサウルスが出てきたので問題ないと判断しました。
強さに関しては完全にイブニクルをイメージしてくれればいいです。
つまりはめちゃくちゃ強いです。

イブニクル2のランスルートが滅茶苦茶すぎて笑った。
あれだな、ランスはルド世界だと主人公だけど、他の世界だとラスボスなんだな。
やっぱり主人公としては破格すぎると思った

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