ランス再び   作:メケネコ

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新たな魔人

「殺したい殺したい殺したい…オレに殺させろ!」

 一体の象バンバラが辺りを破壊しながら暴れていた。

 ただの象バンバラではなく、その鼻は二本もあり、4本の腕を持つという異形の存在だった。

 その4本の手にメイスを持ち、血走った目をしながらモンスターを撲殺していく。

「や、止めてください! 魔人様!」

「止めろだと!? だったらお前の命を止めてやろう!」

「え…グヘ!」

 魔人象バンバラを止めようとした魔物を、その4本のメイスでミンチへと変える。

「死んだ…死んだ死んだ死んだ! グヘヘヘヘヘ! 死んだぞ! グゲー!」

 その様子に満足したように笑うが、直ぐに気分を害したように周囲を破壊し始める。

 魔人コーク・スノー、放置された魔血魂を飲み込み魔人と化した象バンバラであり、その破壊衝動は他の魔人の比ではない。

 その証拠に、今殺した魔物にさらにメイスを打ち込み、どこまでも破壊の限りを尽くす。

 見れば、そこには無残に犯し殺された女性が無造作に転がされており、その顔や体の一部は激しく損壊している。

 殺した時のみ愉悦を感じることが出来る狂気の魔人がそこには居た。

 

 

 

 

「さて、移動手段が欲しいみたいだけど…生憎、コレ位しかないんだよね」

 ランス達がパイアールに案内されて目にしたのは、二つの輪がついた奇妙な物体だった。

「何だこれは」

「うーん…これがボクの提供できる移動手段なんだけどね」

「これが?」

 スラルはその物体を見るが、一体どのような手段でそれが動くのか全く分からない。

 いや、そもそもこれが本当に動くのか? という疑問のほうが強い。

(うーん…よく見れば、マリアの作ったチューリップなんたらに似ている気がするぞ)

 ランスの記憶には、リーザス開放戦でマリアが使用した物に似ていると感じた。

(確かあのヘルマンの化物に壊されたんだよな…)

 そしてランスが今でも覚えている男…トーマ・リプトンによって破損させられた物体を思い出す。

「まあボクの中では失敗作なんだけどね…改良手段も見当たらないし、放っておいたものなんだけど」

 パイアールが手にしたボタンを押すと、突如としてその物体が唸り声のような物をあげる。

「うお!」

「まあ試しに動かすからさ」

 ランス達が奇妙な視線を向けていると、パイアールは手元で何かを操作し、その物体が動き始める。

「おお!」

「ええっ!?」

「これは…!」

「まあ…」

 流石にその事実にランス達は各々驚きの声を上げる。

 もしこの場に異世界の住人…小川健太郎と来水美樹が居ればその形に思い当たっただろう。

 即ちバイク、と。

「動いているではないか。これのどこが失敗作なのだ」

「それなんだけどね…当初は行き先を設定して、そこに最短距離で行くというコンセプトで作ったんだけど…」

「だけど?」

 スラルの言葉にパイアールは何処か気まずそうに頭をかく。

「言葉通り最短距離で行こうとするんだ。そこに障害物があれば、その障害物を無理矢理越えていこうとする。融通が効かないのさ」

「ダメではないか」

「そう、ダメなんだよ。一応マニュアルで操作が出来るようにはしたんだけどね…誰も動かせなくてさ」

 スピードを有る程度重視したため、その状態で振り落とされると死ぬほどの怪我をしてもおかしくは無い。

「あなたは使えないのですか?」

 パレロアの言葉にパイアールはばつが悪そうに顔を顰める。

「…自分の体型を考えないで作った結果だからね。機能を考えると、やっぱりある程度の大きさが必要になるのさ」

「なるほどね」

 その言葉でスラルは全てを理解する。

 パイアールの身長では、この道具を扱うには小さすぎるのだ。

 これを動かすためには、大人の男性ほどの体型を必要としてしまう…それ故に、パイアールはこれを失敗作と言ったのだろう。

「やっぱり何かナビゲートをするシステムが必要かな…でも別にこれは必要な物じゃないからなあ」

 自分の姉のためになればと作った乗り物ではあったが、それを誰も使えない上に、当初の予定通りに完全自動操縦も出来ないのであれば、それはパイアールには失敗作だった。

 それからPAとPBの改良に忙しかったため、この道具…名前すら付ける事も憚られたものに着手する時間は無かった。

「これで良ければあるんだけどね。でも普通に移動するなら素直にうし車を利用した方がいいんじゃないかな」

 パイアールには不要な物だが、別にうし車を否定する訳ではない。

「で、これは動かせるのか」

「一応ね。でも誰も使えなくてね…普通にPAで移動した方が安全だし」

 PAの方がよっぽど効率的…だからこそ、これは不要になってしまったのだ。

 が、ランスには何か惹かれるモノがあったらしく、珍しく興味深げにその道具を見ている。

 ランスはその道具…バイクに乗ると、マリアが使っていたチューリップ3号を思い出す。

「これで動くのか」

「それで制御するんだよ。で、ここに足を乗せてスピードを出す。簡単だと思ったんだけど、意外と難しいみたいでね」

 ランスがパイアールの説明を聞き、その足を勢いよく乗せると、バイクは急にスピードを上げて走り出す。

「どわ!」

「ランス!」

 その勢いに振り落とされるランスをレダが受け止める。

「そうなっちゃうんだよね。なまじ丈夫なだけにね…」

 勢い欲木にぶつかったバイクをパイアールは遠隔操作で起き上がらせる。

 そのボディには傷一つ付いていなかった。

「流石にこれはダメね…」

「そうね…」

 レダとスラルはため息をつく。

 確かに面白い道具だと思うが、それが使えないのでは無用の長物、意味の無いアイテムだからだ。

「素直にお金とかでどうかな。ボクには必要無いし」

「そうね…それがいちば」

「いや、何かこれが非常に気になるぞ」

 ランスは再びバイクに跨ると、

「うーむ…何故かいける気がする」

 

 

 

 

「がははははは! 中々爽快ではないか!」

「ウソ…」

「いやー…これは凄いわ」

「私は凄すぎて何も言えません…」

 そこにはバイクを自在に乗り回すランスの姿があった。

 その腕は傍から見ていても素晴らしいものであり、この道具がまるでランスの為にある道具かのようだった。

「うーん…流石にこの結果は予想してなかったな。やっぱり道具を扱うのはそれなりの才能と技能がいるって事か」

 パイアールは少しだけ感心したようにランスを見る。

 まさか自分の失敗作が、このような形で扱われるとは思ってもいなかった。

「よし! これをよこせ!」

「別にいいよ。でも、魔人を捕らえてからの報酬の形になるけどね。まあそれまでに要望があれば聞いておくよ。どうせこれ一つしか作らない予定だったし」

「あ、それなら…もう少し大きくしたりは出来る? 出来れば三人は乗れるくらいに」

「大型化かあ…出来ないことは無いよ。まあ彼なら乗れそうだし、それで魔人の捕獲が出来るなら安いものさ。まだ魔人は来ないからしばらく自由にしててもいいよ」

 パイアールはそれだけ言うと、スラルの要望を叶えるべくバイクの改造に取り掛かる。

「あ、でも一つ気をつけてね。ボクが狙っている魔人以外に、魔人ケッセルリンクが来ているみたいだから」

「あん? ケッセルリンクだと?」

 

 

 

 木々を掻き分けてランスは進む。

「で、ランス。何で私達はこんな所に来てるのかしら」

「そんなのケッセルリンクを探すために決まってるだろ」

 ランスはあっさりとそう言い放つ。

「久々にケッセルリンクとヤルのだ!」

「ランスに今更言っても仕方ない事だけどさ…そう簡単に見つかるものじゃないでしょ」

「レダの言う通りよ。ケッセルリンクは魔軍を引き連れて動くタイプじゃないし、それに行動も夜がほとんどよ。こんな昼間にケッセルリンクが動く訳無いでしょ」

「む…」

 レダとスラルの二人の言葉を聞いて、ランスも少し考える。

 ケッセルリンクが来ているとの事から、割と無計画に飛び出してきたが、普通に考えればこの二人の言う通りなのだ。

 ランスと共に行動している時も、ケッセルリンクは昼間は寝て夜に起きるという生活をしていた。

 昼の間は上手く戦えないとの事だが、それでも普通に人間を凌駕しているため、ランスとしてもそれを失念していた。

「でもランスの言葉はともかくとして、ケッセルリンクが動いているという事は、やっぱり魔人絡みかしらね」

「ありえるわね…前のカミーラみたいに、魔王に魔人を捕らえるように命令されててもおかしくは無いわね」

 以前にカミーラが捕らえに来たあの奇妙な宝石…スラルの予想では、あのキチ○イは魔王の手によって魔人にされていると思っている。

 自分もそうだったのだ、その後任の魔王も同じように考えていてもおかしくはない。

 どうせ魔人とするならば、自分の興味を惹く存在…それこそカラーの中でも特別力があったケッセルリンク、その強さゆえに人間でありながら同じ人間によって裏切られてしまったガルティア。

 そして人間の身で無敵結界を外させて魔人を倒すという偉業を成し遂げたランスとレダ。

 自分が魔人にした、そして魔人へと誘ったのはやはりその強さゆえなのだ。

「私の予想でははぐれ魔人でしょうしね」

「はぐれ魔人…ですか?」

 スラルの言葉にパレロアが首を傾げる。

 確かに人間には聞きなれない言葉だろう。

「ああ…ランスは妙に魔人に詳しいけど、普通の人間には聞きなれない言葉よね」

 スラルはランスをチラリと見る。

(本当に何でランスはあんなに魔人に詳しいのかしらね…)

「魔人っていうのは魔王から血を与えられて魔人になるんだけど、それ以外に魔人になる事は可能なのよ。それが魔人が死んだ時になる魔血魂という物体。それを飲み込み、前任の魔人との戦いに打ち勝てば晴れて魔人になるって訳」

「え…でも魔人は無敵の存在ですよね? その魔人が倒されるという事があるんですか?」

「ああ…普通はそういう認識よね」

 ランスとレダに付き合っているとどうしてもその辺が甘くなってしまうかもしれない。

 何しろランスとレダは普通に魔人とも渡り合える存在なのだ。

「私の前…いや、もっと前でしょうね。魔王も魔人も無敵の存在ではなかった…だからその時代に死んだ魔人は魔血魂としてまだ現存しているのよ。そしてそれを飲み込めばその時の魔人が復活するか、新たな魔人が生まれる…どちらにしろ、現在の魔王の意思で生まれた魔人じゃない」

「ちょっと待てスラルちゃん。魔王と魔人が無敵じゃなかったとはどういう事だ」

 スラルの言葉を聞いてランスが疑問をぶつける。

 ランスの認識では、魔王と魔人は生まれながらにして無敵の存在であり、その無敵結界があるからこそ人間は魔人に勝つ事が出来ないのだ。

 唯一の例外が魔剣カオスと聖刀日光、これだけが魔人の無敵結界を切る事が出来る。

「あ…それは私が…ってあれ? 私はどうやって無敵結界を得たんだ?」

 スラルは必死に思い出そうとするが、何故かその部分が霞がかかったように思い出すことが出来ない。

 自分が魔王であったころ、決して無敵の存在ではなかったころ、自分は常に怯えていた。

 表向きは自分に忠誠を誓う魔人達、そして魔王とも戦えるという伝説の存在。

 それらの者から自分が脅かされないために自分は無敵になる事を望んだのだが…

「私は一体誰にそれを望んだ? そしてその為に私は何をしたんだ?」

 スラルは必死に何かを思い出そうとするが、どうしてもそれを思い出すことが出来ない。

「だーーー! 俺様が苦労してたのはスラルちゃんのせいか!」

「ラ、ランス!?」

 まさか魔人が無敵結界を得る事になった原因が、目の前の旧魔王スラルである事にランスの怒りが爆発する。

 ランスはこれまで魔人には幾度も無く苦労させられていたが、その一番の原因は無敵結界にある。

 この無敵結界のせいで、あの口うるさい下品な剣を使わなければ魔人と戦う事すら出来ない。

「ぐぬぬぬぬ…スラルちゃんに体があればおしおきセックスをしてやるものを」

「おしおきセックスって…何時もと変わらなくない?」

「おしおきはおしおきだ。まったく…スラルちゃんも大変な事をしてくれたな」

「大変な事って…私も魔王になりたくて魔王になったんじゃなくてね! 私は…私は何で魔王だったんだろ」

 スラルは再び考え込むが、やはり頭に霞がかかったようにその部分を思い出すことが出来ない。

「やっぱりスラルちゃんの肉体を見つける必要があるな。そしておしおきセーックス!」

 ランスは新たな目的が出来たと言わんばかりに大笑いをする。

「あの…スラル様は本当に元魔王なのですか?」

 そんなランスを横目に、パレロアがスラルに尋ねる。

「…まあね。信じられないかもしれないけど、私は生まれた時から魔王だったわ。でも500年で私の体は限界を向かえ…新たな魔王、ナイチサが現れたわ」

「新たな魔王が…」

 パレロアからすれば信じ難い話だろう。

 今の時期がNC…魔王ナイチサである事を示している。

 そして自分にランスの事を頼むと言って、魔人ケッセルリンクについていったシャロンは、SS期生まれだと言っていた。

「…ランスさんもSS期生まれなのですか?」

(あ…)

 パレロアからすれば何の気も無い言葉だったのかもしれない。

 しかしそれはレダにとっては非常に重大な質問だ。

 ランスは今自分が居る世界が過去の世界だという認識は無い。

 そしてもしランスが今の世界が過去の世界だと認識すれば…そこから先がどうなるか全く想像が付かない。

 もしかしたら自分の遥か上の存在…それこそ1級神がランスを消しに来るかもしれない。

(いや、杞憂かしらね。第1級神のALICE様がランスを守らせるくらいだもの)

 今でも女神ALICEの言葉を勘違いしているレダは、その辺りはそれほど厳しいとは思っていない。

 そもそも、今回の出来事は第8級神であるセラクロラスが発端であり、人間であるランスにはどうしようもない事なのだ。

 レダは注意深くランスの答えを待ったが、

「…覚えてないな」

 ランスから返ってきたのは意外すぎるほどの答えだ。

「記憶が無い…という事ですか?」

「普通に忘れた」

「うーん…」

 あんまりな言葉にスラルは頭を抱える。

 ランスがSS期…即ち自分が魔王の時に生まれた人間ではない…そう感じていた。

 人間にしては魔王と魔人について詳しすぎるし、何よりもランスはカミーラの事を知っているような素振りを見せていた。

 それなのに、魔人メガラスや、魔人ケイブリス、魔人ガルティアの事は知らないようだった。

 そこが今でもスラルは引っかかっているのだが、ランスが何も言わないのであれば自分も言う事は無い…そう思っている。

「そもそも俺様の時は魔王は美樹ちゃんだったからな。スラルちゃんもナイチチだかナイチサだか知らんが、どれも知らない名前だ」

 ちなみにこれはランスが全く知らないだけで、歴史を知る者ならば知っている事だ。

「はあ…」

 パレロアも少し呆れたようにため息をつく。

「ランスさん、少しは勉強したほうがいいですよ。ランスさんは悪知恵は凄いですけど、それ以外がダメですよ」

「知らん。大体俺はパレロアよりも年上だぞ。子供扱いするな」

「それなのですが…本当にランスさんは私よりも年上なんですか? どう見ても私と同い年くらいに見えるのですが」

「それはそうね。私もランスは年齢にしてはちょっと若すぎると思うし」

 パレロアの疑問にスラルも疑問をぶつける。

「それについては本当よ。信じられないかもしれないけど、ランスはセラクロラスの力で少し若返ってるみたいなの」

 レダの言葉にスラルは目を丸くする。

「セラクロラスが? 時の聖女の子モンスターと言われてるけど、まさに若返らせる力があるという訳?」

 スラルも聖女の子モンスターには興味を持っていたが、実はろくに話したことも無い。

 セラクロラスには、ランスに巻き込まれてこうして時を移動しているが、それ以外の聖女の子モンスター…力のベゼルアイ、地のハウセスナース、命のウェンリーナーには会った事が無い。

「まあ…そんな事が」

 流石のパレロアもそれには目を丸くする。

 人が若返る…にわかには信じられない話だが、こうして魔人とも戦っているランスを見ていると、嘘だと否定は出来ない感じがした。

「それはそうと…そろそろ戻る? 話は戻るけど、ケッセルリンクがそう簡単に見つかる訳無いし」

「そうね…そろそろ日が暮れそうだしね」

「むぅ…」

 ランスとしては不満だが、確かにこうして何も無い木々の中を進むのはそろそろ飽きてきた。

 何故かこの辺にはモンスターも少ないようで、遭遇したモンスターの数も少ない。

 それではランスのレベルも上がることは無い。

 目標の100レベルにはまだまだ程遠かった。

「とりあえず戻るか」

 ランスも不本意ではあったが、確かにケッセルリンクには出会えそうも無いので、大人しく戻ることに決める。

 何の成果も無かったが、別にランスはその程度では落ち込まない。

 長い冒険生活、当たりもあればハズレもある。

 冒険とはそういう物なのだから。

 

 

 

 

 ―――天界―――

 

 SS期からNC期に変わり、第1級神クエルプランの仕事は格段に増えた。

 魔王スラルの時よりも人口、魔物の数は増え、そしてそれと同じくらいに人が魔王によって殺されていく。

 それが魔王の役割であり、人が減る毎にクエルプランの仕事量は増していく。

 勿論それに文句は無い―――いや、そのような感情をクエルプランは持ってはいなかった。

 仕事が一段落つき、クエルプランは懐から一枚の紙を取り出す。

「…ランス」

 クエルプランは思わずその名を呟いていた。

 その事に気付き、クエルプランは思わず首を振る。

(いえ…1級神である私が人間に対して何を考えているのでしょうか)

 勿論今はその人間と大きなつながりがある。

 ランスのレベル神として、クエルプランは幾度と無くランスに呼ばれている。

 その度にランスは自分に話しかけてくるのだが、クエルプランは最近はランスに呼ばれない事に少し寂しさを感じていた。

「…寂しい? 私がでしょうか」

 魂管理局として、ここを一歩も出ずに己の仕事を処理してきた。

 不穏な魂を見つけて、一度同じ1級神であるALICEに相談はしたが、結局はランスはシステム神の預かりという事で解決した。

 そしてシステム神からランスのレベル神になって欲しいと頼まれ、それを引き受けたのだが…

「それにしてもセラクロラスは…何をしているのでしょうか? いえ、勿論セラクロラスにはそれ程の力が無いのは分かっていますが…」

 セラクロラスはランスを時間移動…即ち未来へと送っているが、その期間が一定していない。

 だが、人間がこうして何度もセラクロラスと出会える事が異常なのだ。

 そしてその異常ともいえる技能をランスは持ち得てしまっている。

「ランスは…何時の生まれなのでしょうかね。まだまだ魂の番号に程遠い…」

 分かっているのはランスの魂番号にはまだまだ遠いという事だけだ。

 そして誰もそんなランスをどうにかしようとは思っていない。

 女神ALICEだけは他の人間に夢中のようだが、人類管理局であればそれも仕方ないだろう。

「ランス…次はいつ呼ばれるのでしょうか」

 クエルプランはランスの事を思いつつ、つかの間の休息を終えて作業に戻る。

 彼女の仕事は永遠に続いていく、この世界が存在する限り。

 

 

 

 ―――???―――

「ふふふ…あはは…」

 それは今の時代を楽しんでいた。

 今の時代は魔王が人間を殺し、蹂躙していく時代だ。

 先の魔王は己の好きに振舞っていたが、今回の魔王は正しく魔王の役割を果たしている。

 即ち、メインプレイヤーに安息を与えぬ事を。

 その一方で、

「この人間…凄いなあ…魔人と戦ってるんだよね…」

 今の彼…または彼女の楽しみの一つに、一人の人間を見る事がある。

 その人間は思いもよらぬ方法で先の魔王を幽霊とするだけでなく、魔人とも戦って見せている。

 創造神ルドラサウム…それはメインプレイヤーが苦しむ事が唯一の楽しみ―――であった。

 それがいつの日が、ある人間を見る事も非常に楽しみになっていた。

 だからこそ、全ての存在に余計な手出しをしないように伝えた。

 人間は死ぬ時は死ぬものだが、あの人間は異常なまでにしぶとく、そして凄まじい強運を持っている。

 魔王に魔人へと変えられる前に、セラクロラスがその男を移動させた。

 勿論、それ以外にあの男が魔王の手を逃れる方法は無かっただろう。

 そしてある時は強力な魔人と戦い、その力を見せ付けた。

 今もまたこの時代にて新たな冒険をしている。

「冒険…? 冒険って何だったっけ…?」

 何故かは知らないが、自分もその冒険というものをしたような気がする。

 そして何か大事な物を得たような気がする。

「思い出せないなあ…でも何でだろう…凄い楽しいなあ…」

 創造神は非常に上機嫌に今の世界を見る。

 余計な手出しは何も必要は無い…人は、あの人間は必ず自分を思いもよらぬ方法で楽しませてくれる。

 そんな予感が確かに存在してた。




今回の新たなオリ魔人ですが、もしかして名前が直接的過ぎましたかね…
もしヤバイなら直ぐに変更します

本編では残念ながら日の目を見る事が無かったランスの技能…発現できるなら、それはパイアールしかいないと判断しました
公式であるとされているならやっぱり使ってみたいなあと

追記
オリ魔人ですが、今頃DDの使徒にあった名前とわかりました…よって名称の変更をします
流石にDDのカードの情報は忘れてました…
感想欄で指摘して頂いた方に感謝いたします
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