ランスが魔人達と共にラ・バスワルドと戦ってる中、レダはパレロアとエルシールを抱えている。
「レダさん!?」
「まだランスさん達が…」
「いいから!」
レダは二人の言葉を切り捨てると、手に持っていた帰り木を高々と掲げる。
すると不思議な光がレダ達を包み、目を開けた時に入った光景はあのダンジョンの外だった。
「ランスさん達は…!」
パレロアがレダを見るが、彼女の顔は普段からは信じられないくらいに真っ青になっていた。
その汗も非常に冷たい。
「レダさん…」
パレロアはレダとの付き合いも長いが、こんな様子のレダを見るのは初めてだった。
ランスと同様に常に自信満々であり、その剣技はランスには敵わないが盾を用いた防御技術、そして魔法に加えて神魔法まで使えるという凄い人だ。
そして常に自分とエルシールを守り続けていたある意味ではランスやケッセルリンクよりも頼りになる人だった。
「あなた達…いや、あれはランスですらも足手纏いと言ってもいい」
「ランスさんが…」
エルシールはレダの言葉に絶句する以外に無かった。
足手纏いは言い過ぎかもしれないが、実際にあの中ではランスは一番実力に関しては劣ってしまう。
それはランスが弱いというのではなく、魔人と人間の絶対的な基礎能力の差からくる現実だ。
(でも…ランスにはあの剣と技術…そしてスラルがついている)
ランスがもしラ・バスワルドに食いつくとすれば、あの剣と類稀な剣術とかつての魔王スラルの知識以外に無い。
「私は戻るわ。二人は避難…」
レダが言葉を言い切る前に、レダは二人の前に立つとその盾で飛んできた魔法を防ぐ。
「おー生意気にも防ぎやがったぜ」
「なんだよ、よく見たらすげえいい女じゃねーか」
「俺は後ろの奴の方がいいな」
そう言いながら現れたのは、5体の魔物兵だった。
緑が2体、赤が1体、そして頭部が長い灰色が2体。
「魔物兵!?」
パレロアが驚愕の声を上げる。
「あれが魔物兵…」
エルシールは初めて見る魔物の正規兵を見て唾を飲み込む。
一般的に現れる魔物と違い、魔物スーツと呼ばれるモノを着込んだのが正規の魔物兵…つまりは魔物隊長や魔物将軍によって統率された存在だ。
「へっへっへ…何か危ない仕事だと思ったけどよ。思いがけない褒美にあずかれそうだな」
「俺はあっちの人間で色々実験してみてえな…」
灰色の魔物兵…魔法魔物兵の言葉にエルシールは強く睨み返す。
が、そんな目も魔物兵にとっては刺激なのか、スーツの上からでも下衆な笑みを浮かべているのが分かる。
「俺はやっぱりこの金髪だな。アレだろ? くっ殺とかいうのをやってみたくてよ。それで実際何処まで我慢できるかやってみてーよな」
赤魔物兵がレダを見て笑う。
そんな魔物兵達をレダは異常なまでに冷たい目で見る。
その目は普段のレダを見ているパレロアとエルシールから見ても背筋が寒くなるほどの目だった。
今目の前にいる魔物兵よりも、自分達を守るために立っているレダの方が遥かに恐ろしかった。
「ふぅ…ランスもいないし、私は今非常に機嫌が悪いのよ。上司の無茶ぶりにも最近腹が立つのを覚えてね…下界に長く居るのに堕天しない今の状況に感謝ね」
「あん? 何言ってんだこいつ」
「はっ! この状況に気でもふれちまったか? まあ心配しなくても後で何回でも壊してやるよ」
「おいおい、俺にも色々実験させてくれよ? あんな上玉は隊長や将軍の所にいっちまうんだからよ」
魔物兵達はレダの強さが分からないようで、今のレダを完全に見下していた。
それも無理は無い…本来であれば、人間が一人で魔物兵5体を相手にするなど正気の沙汰ではないからだ。
人間は魔物の玩具、それが魔物達の中の常識なのだ。
「ハッ! 魔物風情が」
レダは唇を持ち上げて笑う。
それはかつてランス城でランスを襲撃した時の残酷な笑み。
下界に住まう全ての存在を見下していた時の笑みだ。
「ホワイトレーザー!」
「へっ?」
レダの手から白い光が放たれ、それが緑魔物兵の胸をあっさりと貫く。
魔物達は何が起きているのか分からずに、スローモーションのように倒れる緑魔物兵を見る。
胸に大きな穴が開いている魔物兵は当然の事ながら死んでいる。
そして直ぐにレダの方を向き、
「こ、殺せ…」
「遅いのよ」
振り向いた赤魔物兵の頭にレダの剣が突き刺さる。
それは簡単に赤魔物兵の頭を貫き絶命させる。
「こ、この! 炎の矢!」
「氷の矢!」
魔法魔物兵がレダに魔法を放つが、レダはその魔法を浴びてもびくともしない。
防御に優れたレダではあるが、実際にはエンジェルナイトはその魔法防御力も非常に高い。
ましてや魔物兵程度の魔法であればそれは盾で防ぐまでも無かった。
そのまま返す刃で魔法魔物兵の首を刎ね、もう一体の魔法魔物兵もあっさりとその剣で貫かれる。
「あ…」
そこに残ったのは緑魔物兵ただ一体。
既に戦意は喪失し、獲物である斧を投げ捨てそのまま脱兎の如く逃げだすが、
「エンジェルカッター」
そのままレダの放つ魔法で体をバラバラに引き裂かれる。
まさに一瞬…その光景をパレロアとエルシールは呆然と見ていた。
強い事は知っていたが、まさか正規の魔物兵をここまで圧倒するとは思っても居なかった。
ランスが強すぎるという事もあるが、自分達を守ってくれていたレダがここまでの攻撃力を持つとは考えてもいなかった。
「で、あんたは見てるだけ? そんな事は無いでしょ? 七星」
「気づかれていましたか」
声を共に姿を見せたのは、魔人カミーラの使徒である七星だった。
その背後には魔物将軍の姿もある。
「何しにきた…というのは無粋よね。魔人カミーラでしょ?」
「ええ。私達は主であるカミーラ様を追ってきました。流石にメガラス様と共に移動されてるとなると、追いつくのは容易ではありませんからね」
魔人カミーラの使徒である七星が人間と話している光景を見て、魔物将軍は困惑する。
魔人ザビエルの使徒と比べると理性的とは言えども、ドラゴン出身の使徒だけあり人間に対しては若干見下している所もある。
その七星に対して気安く話しかける人間、そしてそれに応える七星と魔物将軍の頭は混乱の極みにあった。
「し、七星様。この人間は…」
「手出しは無用です。もし手を出せばケッセルリンク様に間違いなく殺されるでしょう」
「ケ、ケッセルリンク様が!?」
今は行方が知れない魔人の名を聞いて、魔物将軍は驚愕する。
ケッセルリンクといえば、カラー出身の魔人であり魔人四天王の一人だ。
夜のケッセルリンクは無敵…そうも言われている力ある魔人だ。
(もしかしてこいつらはケッセルリンク様の使徒の候補か? ケッセルリンク様は人間の女を使徒としている…可能性は十分にある。それに…)
魔物将軍は倒れている自分の部下達を見る。
それらを僅かな時間で倒したのであれば、目の前のこの金髪の女は恐ろしい力を持っている事になる。
だとすれば、迂闊に手を出すのは止めた方がいいと判断した。
「それでレダ殿。カミーラ様は?」
「カミーラはこのダンジョンの中よ。でも今は入らない方がいいわ。どうせ誰が入っても足手纏いになるだけよ」
「どういう意味でしょうか」
「中に居るのはカミーラ、メガラス、ケッセルリンク…そしてランスよ」
「!」
その名を聞いて七星は珍しく表情を変える。
(カミーラ様とメガラス様が一緒に居るのは分かっていたが…まさかケッセルリンク様も居るとは。そしてランス殿も…)
「足手纏いというのは?」
だが何より気になったのは『誰が入っても足手纏いになるだけ』という言葉だ。
その言葉から判断出来るのは、今このダンジョンの中で強大な何かと戦っているという事だ。
「まったく…どうなってるのよ、ランス…」
レダはダンジョンの中に居るランスの事を思い、唇を強く噛み締めた。
ダンジョンの中ではランス達が神と激闘を繰り広げていた。
いや、それは激闘とは言えないのかもしれない。
目の前にいる神にはランスがつけた小さな傷一つしか無いが、ランス達は所々火傷の痕や氷の刃でつけられた傷がついている。
「はぁー…しんどいぞ」
ランスはいい加減この状況から逃げたいと思っていたが、当然の事ながら中々逃げる事など出来ない。
勿論ランス一人であれば逃げれるのだが、だからといってカミーラとケッセルリンクをそのままにしておく気など無かった。
特にカミーラは未だ衰えぬ戦意で相手を睨みつけている程だ。
「ランス。お前は無理をする必要は無い」
ケッセルリンクがランスの横に並ぶが、その有様はランスよりも遥かに酷い。
「何を言っておる。お前が一番重症ではないか」
「それでもお前よりはマシだ」
彼女はランスを庇いながら戦っていたため、その傷も格段に多い。
自慢の再生能力でも追いつかない程だが、確かにそんな状況でもランスよりも戦えるのが現実だ。
「スラルちゃん。何か策は無いのか」
「考えてるわよ。だけどそれで何とかなるかどうか…」
こうしてランス達がまだ生きていられるのは、相手の戦い方がおかしいためだ。
たまに思い出したように炎と氷を引っ込め、魔法を唱えようとする。
かと思えば再び炎と氷で襲い掛かってくる。
幸いなのは、相手に未だにゴブリンを排除するという思考が無い事だろうか。
自分達が付け入る隙は、そんな相手のエラーしかないとスラルは考えているのだがそれでも相手の攻撃は圧倒的過ぎた。
技術は無いのだが、それを補って余りある威力が問題だ。
ランスの剣でも完全に捌けない程の威力の前には、ランスの剣も沈黙するしかない。
まさに圧倒的な力の差…この世の支配者すらも上回る管理者の力だ。
今ランス達が持ち堪えられているのは、その管理者の遥か上の存在がランス達を殺すのを止めているからに過ぎない。
もしラ・バスワルドが本気ならば、ランスを含めた魔人達も成す術無く消滅させられている。
「カミーラ…」
ケッセルリンクは少し心配そうにラ・バスワルドとぶつかるカミーラを見る。
この中で一番重症なのは間違いなくカミーラと言ってもいいだる。
カミーラは決して怯む事無くラ・バスワルドへと向かっていく。
その美しい体は傷塗れにも拘らず、それでもカミーラは一歩も引く気は無いようだ。
カミーラの爪がラ・バスワルドの氷の刃とぶつかり合い、その威力に負けて吹き飛ばされる。
そんなカミーラを今度はランスが受け止める。
「まったく。お前らしくないな」
「私らしくない…だと?」
ランスの言葉にカミーラはランスを睨む。
「ああ。何でお前がそんなムキになって戦い続けるのか、それがわからん」
もうランスの中でもこのカミーラはランスが知る怠惰なカミーラでは無い事は分かっている。
だがそれでも、あのカミーラがこんな割の合わない戦いに自ら飛び込むのか、それが分からなかった。
「…貴様には関係無い事だ」
カミーラはランスの体を軽く振り払うと、それでも強烈な戦意を込めて目の前のラ・バスワルドを睨む。
魔人となる前はドラゴンの王冠として他のドラゴンにいいようにされてきた。
魔王アベルによって魔人とされた時、自分を奪い返すためにマギーホアが魔王アベルと戦い、魔王アベルは敗れた。
だが、魔人となって子を産めなくなった自分に対し、全てのドラゴンが興味を失った。
それらの事からカミーラは歪んで育っていってしまった。
そしてドラゴンが天を埋め尽くさんばかりの天使によって破れ、カミーラはある意味本当の意味で自由になった。
その光景をただ見ているだけでしか無かったカミーラだが、今目の前にその天使がいる。
あの無力感…そして世界が終わるのではないかという絶望と、それすらもどうでも良かった昔と比べて今は違う。
己がドラゴンであるという誇り、そして自分がどうしても手に入れたい存在もいる。
己よりも遥かに弱い存在でありながら、それでも自分に噛み付いた無様で弱いはずの存在。
だからこそ、自分も目の前の存在から逃げるという選択肢は無い。
それも全ては己が己であるためにだ。
「…フン、スラルも本質を見極める目が有ったという事か」
「カミーラ…?」
カミーラはそのままラ・バスワルドへと向かっていく。
「何を言ってるんだアイツは」
「さあ…でも少なくとも、悪いことじゃない」
スラルは剣の中で笑う。
あのカミーラが、自分を嫌っていたはずのカミーラが自分を認めた。
それも魔王としてではなく、スラルとして自分を認めた…それがスラルには嬉しかった。
カミーラもまたランスやケッセルリンク同様、魔王ではなくスラルとして自分を見てくれているという事だ。
「ランス。そろそろ賭けないとダメみたいよ」
相手の力は止まる事を知らずに無尽蔵に沸き溢れている。
それに対抗するには、相手に致命となる一撃を叩き込む以外に手段は無い。
いや、本来であればそれは不可能などスラル自身も分かっている。
だが既にそれしか手段は浮かばない。
「ケッセルリンク。あなたに貧乏くじを引かせるかもしれないけど…」
「構いません。それしか手段が無いのであれば、私はスラル様を信じます」
「ありがと。ランス、一撃に全てを込めて」
「言われなくてもそうするわ。もう俺様もいい加減にしんどいからな」
ランスも既に体力は限界に近づいている。
回復魔法が受けられないという事もあるが、何しろ相手が相手なのでもういい加減に終わらせて逃げたいという考えが強い。
だが、それではランスの目的を果たすことは出来ない。
ここでただ逃げるだけでは今のランスの目的である、カミーラを手に入れるという最大級のミッションはこなせないという確信があった。
「…」
ランスは無言で力を貯める。
かつてのジルとの戦いを思い出し、あの強固なバリアを切裂いた時の感じを思い出す。
(…!)
それだけなのに、スラルはランスに凄まじい力が溢れてくるのを感じる。
(ランスにはまだまだ伸びしろがある…どれだけの才能が眠っているというの!?)
魔王を止めた今、ランスという人間の底の知れなさに改めて戦慄する。
が、その感情を今は片隅に寄せ、スラルは注意深く相手の動きを観察する。
今はカミーラとメガラスが高速で動いて相手の動きを止めているが、出来ているのはそこまでだ。
決定打が無い…というよりも、カミーラですら碌にダメージを与えられていないのだ。
「ケッセルリンク…悪いけどあなたの命、預かるわよ」
「ハイ、スラル様」
スラルは慎重に相手の動きを観察する。
相手の動きは確かに機械的ではあるのだが、威力が強すぎるのでランスでは中々近づくことは出来ない。
だが、それでも何度も相手の攻撃パターンを見てきたため相手の致命的…とは言えないが、それでもランスが攻撃できる隙は有る。
(でもそのためには…)
しかしランスがその一撃を入れるためには、間違いなく壁となる存在が必要となる。
「スラル様。決まりましたか」
「…あなたには敵わないわね」
自分の葛藤はどうやらケッセルリンクには見抜かれていたようだ。
「じゃあ頼むわね。ケッセルリンク」
「ハイ」
「おいスラルちゃん。ケッセルリンク」
何かを決意したようなケッセルリンクの態度には流石のランスも何かあると気づく。
「ランス。もうそれしかない。私の一撃よりもお前の一撃の方が大きい。当然の事だ。もし私が男なら、お前は躊躇う事無くそうするだろう」
ケッセルリンクのからかう様な言葉にランスは口をへの字に曲げる。
それでもランスが何も言わないのは、もうそれしか方法は無いとランス自身が分かっているからだ。
「絶対死ぬなよ。まだまだお前とはヤリ足りないんだからな」
「私は魔人だぞ。私の心配より自分の心配をしろ」
ランスとケッセルリンクは同時に構える。
ケッセルリンクの剣はもう使い物にならない為、既に捨ててしまっている。
そして二人は同時にラ・バスワルドへ向かって走る。
それと同時にカミーラとメガラスがラ・バスワルドに吹き飛ばされ、ラ・バスワルドの炎の剣がケッセルリンクに振るわれる。
それをケッセルリンクは避けなかった。
「グッ…!」
全身に凄まじい熱気が襲い、自分の体が焼けていくのが分かる。
が、ケッセルリンクはその炎の剣を決して離さない。
逆から氷の剣がケッセルリンクに振るわれるのが嫌でも分かる。
(厳しいか…!)
今の自分はランスの盾になる以外に出来る事が無い。
だからこそ、その炎と氷を自分が止めなければならないのだが、その予想以上の威力に自分の腕がこれ以上動かないのが分かる。
それを見てランスはラ・バスワルドの氷の剣を止めようとした時、その氷の剣を持つ腕に凄まじいスピードでメガラスが突っ込んでいく。
「………!」
粒子に覆われたメガラスの体が凍り付いていくのがランスの目から見ても分かる。
が、ケッセルリンクと同じくメガラスも決してその氷の剣をランスに通さない。
ラ・バスワルドの剣が大振りだからこそ出来る隙に、ランスがは踏み込んでいく。
十分に力は溜めた、我慢もした―――後はそれを思いっきりぶつけるだけだ。
「ラーンスアターーーーーック!!!」
渾身の力を込めてランスは目の前の女性の彫像にその必殺技を叩き込む。
女性の彫像がランスの動きを止めるのは分かっていた。
ならば、最初からこの一撃はその彫像を吹き飛ばすためだけに放つ一撃。
ランスの一撃は目論見通りに彫像を吹き飛ばす。
そして着地した勢いのまま、ランスはその剣の切っ先をラ・バスワルドへ向ける。
ランスがそのままその剣を突き刺そうとした時、凄まじい勢いでもう一つの彫像がランスの動きを封じようと動く。
(やば…)
その動きでランスは自分の動きが封じられそうになるのが分かる。
が、もうその動きを止める事はできない。
それにケッセルリンクもメガラスももう体は限界であり、正真正銘これが最後の力なのだ。
ランスが歯噛みした時、ランスの背中に強烈な衝撃が感じられる。
振り向かないでも分かる…最早この場で立って入れるのはカミーラしかいないのだから。
カミーラもまた最後の力でランスの体に体当たりをするようにぶつかっていったのだ。
そしてランスの剣を後ろから力強く握る。
そのスピードは彫像の動きよりも速く、先程ランスがつけた小さな傷の部分に吸い込まれるように突き刺さっていく。
そこからは血は流れないが、それでもラ・バスワルドには変化が訪れる。
両の手からは炎と氷が消え、体が痙攣しその両の目も激しく明滅している。
ランスはそのまま突き刺した剣を捻り、傷口を広げようとするが果たしてそれにはどれだけの意味があるかは分からない。
(これ…は?)
そしてランスの剣の中に居るスラルには分かる。
突き刺さったランスの剣に、何かが流れてくるのが。
それが何なのかは今は気にしている余裕は無い。
(決まって! もうランス達には力が…)
既にランス達の体は限界を超えている。
特に相手の炎と氷を受け止めたケッセルリンクとメガラスは今すぐにでも手当てをしないと命すら危ないだろう。
スラルが初めて祈っていた時、目の前のラ・バスワルドから強烈な光が放たれる。
「うおっ!?」
その光の量は圧倒的であり、間近にいるランスは目を開けることが出来なくなる。
そしてランスはその圧倒的な光に飲み込まれていく。
「ラン…ス…」
ケッセルリンクとカミーラは、その圧倒的な光の中にピンク色の髪の毛を見たような気がしたが、二人も直ぐに光に飲み込まれる。
その光が収まった時、そこには既に誰もいなかった。
11月から12月は投稿が少なくなってしまうと思います
理由は単純、年末にかけて忙しくなるという事だけです
でも最近ペースが落ちてきてるからその言い訳にしか聞こえないですよね…