ウチの姉がドストライク過ぎて辛いのだが 作:深き森のペンギン
「たっくん、起きて?」
体を揺さぶられる。
心地よい朝の日差しが俺の部屋に射し込む。
姉さんの優しい声で、まだ眠気が残る俺をまた夢の世界に誘う。
「たっくん、もう朝ごはん出来てるよ?」
俺は今姉さんと二人暮らしだ。
姉さんと俺が通っている高校には実家からは通いづらく、近くのマンションの一室を借りている。
数日前に俺は姉さんの部屋で暮らし始めた。
なぜなら俺は小さい頃から姉さんのことが大好き過ぎて姉さんが高校に入学して独り暮らしをはじめても毎日姉さんと連絡を取らないと気がすまないレベルだ。
そして俺は両親にワガママを通して俺も同じ高校に進学させてもらった。
ただし条件が一つ。
俺もバイトをすること。
バイトさえすればいい。それだけで姉さんと一緒に居られるのなら。
「姉さん、おはよう。」
「おはよう、たっくん。朝ごはん、たっくんの好きなフレンチトーストだよ。」
「姉さんありがと!」
「これくらいいつでも出来るよ。でも、たっくんに喜んでもらえて嬉しいよ?」
「俺も、姉さんが喜んでくれて嬉しい。」
姉さんが部屋から出ていくと、俺は着替えてリビングに向かう。
この部屋は家賃の割にはそこそこ広く、2部屋とリビングにキッチンとトイレと風呂という有料物件だ。
俺は姉さんの向かいに座って好物である姉さんの作ったフレンチトーストを食べる。
通常のフレンチトーストよりも甘く味付けされているフレンチトーストが旨い。
さすが姉さん。俺の好みがわかってるなぁ。
「ご馳走さま。やっぱ姉さんの作ったフレンチトーストは旨いなぁ。」
「そう?たっくんの好みに合わせたつもりなんだけど…甘い方が好きだよね?」
「ああ。姉さんの作ったフレンチトーストが世界で二番目にすきだよ。」
「一番は?」
愚問だな。
一番好きなのは姉さんに決まっている。
俺は姉さんが大好きだ。
正直姉さん以外の女性は眼中に無い。
「愚問だな。姉さんに決まってるじゃないか。」
「私もたっくんのこと大好きだよ。本当に小さい頃からたっくんは相変わらずだね。」
俺達は朝食を食べ終えて、今から学校に向かう。
「たっくん、一緒に行こ?行く前に、いつものお願い?」
「わかった、姉さん。好きだよ。」
こうして俺は姉さんに口付けした。
「たっくん…」
姉さんの目がトロンとした目に変わっている。
スイッチ入っちゃった感じだ。
「姉さん、続きは後で。帰ってからだよ。俺も我慢するから、姉さんも我慢してて?」
「うん。たっくん、早く帰ってきてね?」
「わかった。なるべく早く帰って来るから。今夜も楽しみだよ。」
「たっくん、好きぃ……一年も我慢してたんだよ?」
俺と姉さんは回りには秘密にしていることがある。
実は俺と姉さんは実の姉弟ながら、恋人なのだ。
姉さんの高校入学で一年間離れ離れになって最近同棲し始めてから、姉さんが我慢出来なくなり、最近は毎晩姉さんに色々と搾り取られている。
今俺達は通学路を歩いている。
「たっくん、もう少し手繋いでてもいい?」
「学校もう近いしあと少しだけだよ?」
「意地悪。」
姉さんがかわいすぎる。
こんな姉さんがいてよかった。
「じゃあ最後にこれで我慢してね。」
姉さんと一緒に物陰に入る。
俺は姉さんを抱き寄せて口付けを交わす。
少し長めの口付けだったが、姉さんは満足してくれただろうか。
「たっくん、もう終わり?」
「無茶言わないでよ。もう学校なんだからさ。それに、今晩いくらでもできるから、ね?」
「そうだね。たっくん、楽しみにしてるよ?」
「俺も楽しみだよ。」
そこからは唯の仲の良い姉弟として学校に向かった。
途中で姉さんの友達の、千聖さんに出会った。
「千聖ちゃん、おはよう。」
「おはよう、花音。拓音君もおはよう。ふふっ、あなた達、本当に仲がいいのね。」
「別に、普通だよ?」
「普通ですよ。」
「そんなことないわよ。貴方達は回りから見ても仲の良い姉弟よ?」
「そうなの、かなぁ?」
「そうみたいだよ、姉さん。」
「拓音君って花音のことが好きなの?」
「大好きです。」
「私もこんなに優しい弟が欲しかったわ。」
こうしていると、学校にたどり着いた。
ああ、姉さんと離れ離れになるのか……。
少し憂鬱だが、教室に入った。
「あ、拓音君!おはよう。どうしてテンション低いの?」
隣の席の戸山さんが話しかけてきた。
「姉さんが恋しい……」
「拓音君ってお姉さんのこと凄く好きだね!」
「そうだよ。姉さんは方向音痴ですぐ迷子になるけど、優しくて可愛くてこれ以上の女性は存在しないよ。」
「なんか拓音君がお姉さんのこと話してるとき、すっごくキラキラしてる!」
「そう、なの?」
「うん、拓音君ってお姉さん大好き~ってオーラがキラキラしてるから!」
彼女とであってもう一ヶ月だ。
擬音を多様することにもなれてきた。
最初こそ何を言っているのかわからなかったが、最近は馴れてきてわかるようになってきた。
つまり俺は姉さんのことを話している時に生き生きしてるってことだろう。
戸山さんと話していると、始業のチャイムが鳴った。
午前の授業をなんとなく乗りきって、昼休み。
姉さんの待つ屋上に駆け足で向かう。
屋上のドアを開けると、姉さんが千聖さんと一緒に待っていた。
「お待たせ、姉さん。千聖さん。」
「たっくん、はい、お弁当。」
俺は姉さんに弁当を渡されて姉さんの隣に座る。
「たっくん、あーん。」
姉さんが卵焼きを食べさせてくれる。
毎日弁当は姉さんに食べさせてもらっている。
なぜなら俺が自分で食べようとすると姉さんが少しムスっとするからだ。
だから姉さんに食べさせてもらっている。
その様子を千聖さんが微笑ましそうに見ている。
ちなみに千聖さんは俺達の関係について気づいているだろう。
俺も肝心なところで隠せないし、姉さんは隠す気がない。
よって普段から近くに居る千聖さんにはとっくにバレているだろう。
「貴方達って、どんな関係なの?見る限り唯の姉弟では無さそうだけど。」
「千聖ちゃん、実はね…私達、付き合ってるの。」
「そうだろうと思ったわ。だって拓音君についての愛情が弟に対するそれではなかったからね。」
「軽蔑しちゃった?弟と付き合ってるなんて。」
「いいえ。凄く美しいと思うわ。応援する。だって、親友の恋くらい応援しないとね?」
「千聖ちゃん…ありがとう。」
「拓音君、花音を幸せにしなさいよ。わかったわね?」
「当たり前じゃないですか。俺にとって、姉さんは無くてはならない、何よりも大切な人なんですから。」
その後、屋上をあとにして午後の授業を受ける。
その後の放課後はバイトに励み、7時頃に家に帰る。
すると姉さんが夕飯を作っていた。
「ただいま、姉さん。」
俺は姉さんを後ろから抱き締める。
「たっくん、お帰り。今作ってるから、我慢してて。」
お互いにあまり我慢が出来ない。
そこはよく似ているんだろう、そう思った。
夕飯はとても美味しかった。
姉さんの作ったものならなんでも好きだ。
「たっくん、お風呂入ろう?」
「いいよ。」
姉さんと風呂場で色々な雰囲気にはなったが、お互いに我慢できた。
二人で寝室につくと、姉さんの我慢が先に切れて、ベッドに押し倒される。
「たっくん、もう我慢出来ない…」
「俺もだよ、姉さん。今夜は寝かさないからね?」
こうして二人の夜は、今夜も長いのであった。