かの有名なJS事件から早くも一年が経過した。
それでも細々とした事件は起こり、管理局へ所属している俺はそれの対応に追われていたりする。
それでも概ねこのミッドチルダは平和といえた。
俺の出身地は魔法文明のない世界であった。
ではなぜこのミッドチルダで時空管理局の職員などをやっているかと問われれば誘われたからに過ぎない。
中学を卒業したと同時に本格的に時空管理局へと就職した幼馴染みとも言える高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやて。この三人はジュエルシード関連の事件のために新しく部隊を立ち上げるらしく、そのために必要だと言われたのだ。
俺はその時、これ以上魔法に関わるとロクなことにならないと“知っていた”ので最初はずっと断っていた。しかしそれでも諦めないし、高校を卒業したからでも構わないと言われ、結局はそこに参加することになった。
それまでにも三人と魔法が関わる事件を解決したりと、巻き込まれる形でなし崩し的にではあるが尽力をしてきた。
まあ、その判断のせいでミッドチルダの管理局へ永久就職、俺を逃さないためかクロノ・ハラオウン提督の元、エース級として働いている。
話を戻そう。
先程部隊の立ち上げに誘われた時に、知っていたと俺はいった。それはなぜか?それの説明には俺が産まれる前にまで遡らなければならない。
――およそ15年前
くそっ、あの野郎、転生なんかさせやがって……普通に輪廻の輪の一部分でいたかったのに……
俺は所謂神様転生というものをさせられた人間だった。
それも魔法少女リリカルなのはの世界に。
産まれたばかりの姿では何も出来ないだろう、ということでだいたい5才前後の姿で転生させられた。
神と自称していたクソからは、特典としてオーバーSランクの魔力を授かり、自分からはクロウ・クルアッハの聖隷のタロットカード(22枚)とデバイスを注文しそれをもらった。
ちなみにこのタロットカード、一枚ずつに人格が宿っており、それぞれに能力も宿っている。それをデバイスにてスラッシュするとそのカードの能力が使えるようになる。ちなみに一度に同時使用出来るのは三枚まで。
さらにカードの人格は普段抑えられている。それをデバイスで解放すると、自分にそのカードの人格が宿り、使っている能力の性能が大幅にアップする。
その変わりカードの人格が宿っているときは、そのカードの能力一つしか使えない。
理由は簡単である。例外はあるが、人間の器に魂は普通一つである。それと同じで一つの人格は一つの能力しか使えない。
その代わり俺が能力を使用する際、同時使用が出来るが本人たち自身が操るよりは当然だが威力は数段落ちる。
これの使い方はデバイスに【限定解除】の音声を登録、それを認識させてカードをスラッシュすることにより人格を自分にインストールする形とした。
そしてデバイスは襷にも似たもので、肩から掛けるタイプのもの。普段はブレスレットの形状をしている。名称はミクシム。俺が3つの能力を同時使用、もしくは合成も出来るのでそう付けた。
それからは魔法の練習をするため、引きこもる。
それからはあっという間に時間が過ぎていった。
親はいない方が便利だと思ったのか、俺はマンションで一人暮らしをしていた。
身分証明書や戸籍などは向こうが勝手に用意されており、ここでの俺の名前は相模智春(さがみともはる)となっていた。
そして転生をさせたらそれで仕事は終わりなのか、それ以降はクソの声も聞かずに有意義に過ごせた。
そして小学三年の出来事だ。
どこからか声が聞こえた。
直接頭の中に響くような、所謂念話というやつである。
だいたいの流れはわかるし、平和に過ごしたかった俺は正直な話、全くこれに絡まなかった。高町なのはとは同じクラスではあったが、男子と女子ということで接点もなかったのだ。
それがいきなりお仲間ですと言っても怪しさ全開だろう。
そのため魔力を感知されないよう大人しくしているしかなかった。
しかしその数ヶ月後、この努力が全くの無駄になる。
湖の騎士が夜天の書の完成のために俺の魔力を奪いにきたのだ。めんどくさかったのですんなり渡したのがいけなかった。そのあと後の上司となるクロノが現れ、そのままアースラに連れていかれた。
そこでクラスメイトの高町なのはとフェイト・テスタロッサと出会った。二人は驚いていたが二人が魔導士であることを知っていた俺は正体を明かすことにした。
デバイスすら持っているのを明かしたらなぜか模擬戦をすることになりフェイトと戦わされた。
対人戦は初めての俺がフェイトに勝てる筈もなく、本来の力を出しきることなく敗北。
それ以降は対人戦の訓練ということで高町やテスタロッサに手伝ってもらった。
そのおかげでなんとか将来のエースとの戦闘勝率を四分近くまで上げられた。
その後は夜天の書が闇の書なる原因となったバグと戦い、八神はやてと出合い、中学まで三人は管理局の仕事をしながら通学。俺は管理局には関わらずにいた。
そして中学卒業後三人は管理局へ就職。俺は高校へ進学した。
ここで冒頭付近に戻り、管理局へ誘われ機動六課に所属することになる。そこでは八神はやて部隊長の直属の一人だけの遊撃隊として働いていた。理由は色んな能力が一人で使えるからだそうだ。
この世界の魔法も相応に使え、レアスキルとも言える能力もある。
それを贅沢に使わされ、対応が終わる頃にはヘトヘトになって帰ってくる。
まるで新人の訓練後のようであった。
そして色々な対応を覚えさせたいということで新人の訓練にも駆り出される。
もう本当に来なければ良かったと後悔していた。
JS事件の終了間近には高町がヴィヴィオを拾い、テスタロッサと共に母と呼ばれるようになっていた。
それからしばらくすると聖王のゆりかごが復活し、その中で母娘対決をやる。
俺はその為にそこまでの活路をヴィータと共に切り開く役目だった。
ヴィータがボロボロになりながらも道を開こうとしたのを見て、俺も本気になってしまった。この時初めて他人の前で限定解除を使った。カードの名は節制。主に水を武器とし大気中から水分などを集めることも出来る。
それを見られたせいで後に説明をすることになるが、それは別の話である。
後は全て原作通りに事が進み、一年の時を経て冒頭に戻る。
俺はクロノやエイミィと共に船で事件が起きた世界へ向かう。
その地に降り立った俺は一人で事件の現場付近に到達する。
いつもなら部下とも言える者たちが着いてくるが、今日はなぜだか嫌な予感がした。
なのでクロノに交渉し、危ない事があれば直ぐに引き返すことを条件とし承諾をもらった。
(特になにもない……か)
ここが本当に事件現場なのだろうか。疑問が頭をよぎる。
そして次の瞬間、あり得ない規模の次元震が観測された。
俺はそれに巻き込まれ、気がついたらそこは全くの異世界だった。
「くっ……!!なんだこの次元震は!?」
クロノは焦る。なぜならその現場には同僚の智春がいるからである。
今では約10年来の付き合いとなり腐れ縁とも言えるが、クロノ自身そういう関係も悪くないと思っていた。
そして次元震が収まった頃エイミィが慌てた様子でクロノへ報告した。
「大変クロノ君!!智春君の魔力が感知出来ない!!サーチャーにも反応なし!!完全にこの世界から消えてる!!」
「なんだと!?しっかり捜したのか!?」
「当たり前でしょ!?ただでさえ馬鹿げた魔力なんだよ!?普通ならすぐに見つかる筈なのに……!!」
「クソっ!!一体どうなってんだ………!!」
艦長席で拳を叩きつけ呟いた。
ここにいる面子ならそこまで難しい任務ではなかったはずだった。しかしこの艦のエースとも呼ぶべき力がいなくなった。艦長であるクロノはこれ以上の捜査は無理と判断し、管理局の本部があるミッドチルダへと艦を戻した。