タロット使いの魔導師   作:祭永遠

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いやー随分と間が空いてしまいました……

なかなか上手くいかなくて……つーかリリなの熱が大炎上してました。
そのうちアリシアとオリ主を軸にした物を書きたいなとか思い始めてしまいました。


あと六畳間の侵略者ってラノベがアニメ化決定したので、それでひたすらはしゃいでいた結果です……はい。すみません。


どういう事?

 

 

 

 

 

その日の夜、《女神の杵》の一階ではアルビオンへ旅立つ前日ということでどんちゃん騒ぎをしていた。もちろん俺も強制連行された。ここには保護者の立ち位置の人間がいないため、あまり暴れ回らないように注意をしておく。いつもならその中には才人の姿があるのだが今は見えない。ワルドに敗れたのが意外と響いているらしかった。俺に負けたワルドは普通に酒を飲んでいるというのに、こういう所でも意外と差が出るのがわからないらしい。いかに早く立ち直り、敗戦を次に生かせるかも大切なんだよ。

 

いつまでも姿を表さない才人を気にしたルイズが迎えに行ってから数分後、突如店の入り口から武装した傭兵が入ってきた。全員武器を装備しておりそれを手に威嚇を始めた。

 

 

「お前ら!!痛い目にあいたくなきゃ今すぐ店の外へ出な!!そうすれば見逃してやるぞ!!」

 

 

傭兵軍団の真ん中にいた男が叫んだ。すると店の中にいたほとんどの客が出ていき、残るは俺たちアルビオン組だけとなってしまった。するとリーダーらしき男が剣を振り下ろした。それを合図に後ろにいた弓矢を持った傭兵たちが一斉に攻撃を始めた。俺は咄嗟に机を立ててバリケードにしてキュルケとタバサを引っ張り込む。そのあとに慌てたようにギーシュが滑り込み、落ち着いた動作でワルドが腰を下ろす。

 

 

「傭兵か……厄介だな」

 

 

「ま、とりあえず応戦しときましょ」

 

 

俺はセットアップし、バリアジャケットを纏う。キュルケやタバサは魔法で応戦し、敵の戦力を削っていく。しかししばらくすると相手に魔法が届かなくなってしまう。どうやら相手は射程を見極めたようで店の外から矢で攻撃される。地の利は我等にありとでも言いたげにこちらが魔法を放とうと立ち上がると一気に矢が飛んでくる。このままでは埒があかない。

 

 

「ミクシム、敵戦力はどのくらいだ?」

 

 

《魔導師は0。戦闘力を持った一般の管理局員程度が五十。》

 

 

なるほどと思った。こちらの傭兵ではFランク魔導師にすら敵わないらしい。たまに魔力のない一般人でもそこらの魔導師より強いのとかいるからなー。例えば戦闘民族高町家の大黒柱とかね。………いやあれを一般人と呼んだら一般人が可哀想か。

しかし、そうとわかれば話は早い。寝るのを邪魔する悪い客は、即ぶっぱしようと身を乗り出そうとしたら才人とルイズが駆け降りてきた。

 

 

「ちょっとちょっと!!私が少し目を離した隙になんてことになってんのよ!!」

 

 

「知るか。お前らこそせっかく俺がぶちかまそうと思ったところに来やがって。勢いが削がれたじゃないか。今から本気出そうとしてたのに」

 

 

しかしそんな俺の言葉もどこふく風。全く気にした様子がない。相手はこちらに魔法を使わせて、精神力(魔力)が切れたところを見計らって突撃してくるというのがキュルケの見立てだ。するとギーシュが反論して立ち上がり呪文を唱えようとした。それをシャツの裾を引っ張り座らせたのはワルド。

 

 

「いいか諸君」

 

 

そのまま低い声で言い出した。真面目な雰囲気だったのでとりあえず俺たちは頷いておく。

 

 

「このような任務は、半数が目的地にたどり着ければ、成功とされる」

 

 

すると呑気に本を開いていたタバサが俺と自分を杖で示し一言「囮」と呟いた。二人でここに残り、他全員で桟橋へ向かうらしい。俺は長い溜め息をつきながら魔力弾を作り入口に向かって飛ばす。ちょうど一番前にいた傭兵の足元へ着弾し、ドドドドドドッと音が響き煙が立ち込める。

 

 

「目眩ましってね。早く先に行きな。ここは任せろ」

 

 

言い終わるより早くワルドが動き出し、それにルイズ、才人、キュルケ、ギーシュと続いていく。

 

 

「なんでタバサは残ったの?皆と言っても良かったんだぜ?」

 

 

「なるべく貴方の戦うところがみたい」

 

 

「ふーん……んじゃ俺一人でやるけどなるべく離れないようにしてくれ」

 

 

タバサがコクリと頷くのを確認して、目の前の傭兵との距離を詰める。これは他人から見ればそれはそれは無謀なことである。しかし俺にとっては傭兵程度相手にもならない。タバサ一人無傷で守り抜き、なおかつ足止めなど任務と言えないレベルだ。

俺はタバサに後ろからついてくるように指示し、傭兵の合間を駆け抜ける。すれ違う時にタバサが安全に通れるようにしておくのも忘れない。そして飛行魔法を展開し、空へ飛び上がる。タバサもフライの呪文で後ろをしっかりとついてきた。目眩ましも晴れて傭兵たちの視界も良好になった。目の前から一斉に足止めするべきメイジがいなくなったことに焦っている。そこで一人の傭兵が空を見上げ、俺たちを見つけて叫んだ。

 

 

「おい!!てめえら!!上だ!!敵さんはフライを使ってるぞ!!メイジの弱点はわかってんな!?矢で一斉攻撃を放て!!」

 

 

傭兵が一斉に矢を放ってくる。それはメイジからすれば脅威になるようだ。

 

 

「私たちメイジは一度に二つの魔法は使えない」

 

 

ようするにフライ中で、しかもそれほど速度が出ないからこのままでは避けられないと言いたいようだ。

 

 

「ちょっとスマン。動くから舌噛むなよ!!」

 

 

そう言ってタバサを抱え、飛んでくる矢を避ける。この程度はプロテクションを使うまでもない。矢のスピードが遅すぎる。擬音で表すのならばヒュン!!ではなく、ひゅーんである。そして一直線の軌道ではなく山なりの軌道なので避けるのも容易い。傭兵も飽きずに次々と矢を放ってくるが、何回やっても結果は変わらない。高速で空中を移動する俺に当てられない。

やがて矢が飛んでくる感覚が開いてきた。そろそろ足止めの役目も充分果たしたと言えよう。ここで睡眠を邪魔された恨みを晴らすべく攻撃に転じる。

 

 

「俺ってばレアスキルばかりが目立つから忘れられがちだけど普通のマホーも使えんだぜ?」

 

 

《アクセルシューター》

 

 

実際に、久しぶりに砲撃放った時は全員にえ?って顔されたしな。俺に砲撃魔法教えた本人すらそうだったんだ、あの時が一番呆然としたわ。

俺の周りには薄い緑色の魔力球が俺の合図を待つように漂っている。その数は徐々に一つ、二つと増えていく。高町は魔力光がユーノ君とお揃いでずるいってシャマルさんと俺に突っかかってきてたなー。全く同じ色って訳じゃあないんだが、似てるってだけで羨ましかったみたい。

 

そうこうしてる内に魔力球が規定数に達した。傭兵たちは目の前で見てる光景が信じられないようで、目を擦ったり何度も瞬きを繰り返したりしていた。つーかなー……本来なら結界とか張らなきゃいけないんだろうなー……でもそうすると俺意外に誰も入れないから今は逆に使えないよな。ま、非殺傷だから死なないっしょ、バリアジャケット纏ってない人間に効果があるのかは分からないので威力は弱めにしてあるけど。それにしてもダメだな……思考が完璧に管理局員の物じゃなくなってきてる。もう、いっそ開き直ろう。知り合いが死地に赴く時に助けられる力があるのに、それを使わずしてスルーなんて出来ないしな。

 

 

「とゆー訳で!!」

 

 

《ファイア》

 

 

とりあえずコントロールは取らずに傭兵のいる位置にデタラメに魔力弾を放る。それだけで動きの遅い者は避けられずに呆気なく魔力弾の餌食となる。その先から野太い悲鳴が幾つも上がり、やがて呻くような声が耳に届く。魔力弾を全て撃ち終えた俺が見たのは、土に踞るようにして魔力弾が当たったらしき箇所や、辺りの抉れた地面の欠片が当たった所を押さえる傭兵たちの姿であった。

 

うーん……結局どんな風にダメージ入ってんだろうか、見た目ではグロッキーな事にはなってないから大丈夫だと思うんだけど……。血が出てたりするけどそれは魔力弾が原因じゃなさそうだし。こっちの魔法には非殺傷とかないから平民がメイジを恐怖する訳であって……そもそも魔力っつーか精神力?で魔法使ってるみたいだけど、結局どっちにしろ無くなれば魔法は撃てなくなるのは変わらない。似て非なるものなのか、それともここでは魔力が精神力と呼ばれているだけなのか……個人的には後者だと予測している。そうじゃなきゃ俺が魔力で誰かを言い当てる事など出来るハズがないからな。

 

そうなると……だ、俺の攻撃は魔力ダメージになるわけだしなまじ本気でやっても死にはしないかな?それに戦争な訳だしバリアジャケット纏ってないと俺も基本的にはただの人間、その状態で四大元素の魔法で攻められたら普通に死ぬ可能性もある。

 

 

 

「……すごい」

 

 

 

腕の中でタバサが呟いた事で思考の渦から現実に呼び戻された。すると少し離れた位置から全く同じ大きさの魔力を持った何かが此方に近づいて来るのを感知した。数は二つ、両方とも先程まで側にあった魔力だがどういうことだろう。その二つの魔力の持ち主はついに俺たちの前に来た。その人物はローブを身に纏い、変な仮面を着け杖を此方に向けている。

 

 

 

「ふん……あれだけの数の傭兵を一瞬にして片付けるか……」

 

 

「いやいや、子爵さん……朝戦ったばかりじゃないですか、ちょっと人の実力忘れるの早すぎじゃないっすか?」

 

 

「……子爵とは誰の事だ」

 

 

「ワルド子爵……?何言ってんですか?あとその仮面……悪いですけど本当趣味悪いですね」

 

 

あ、最後の一言でちょっと俯いた……気に入ってたのかなあの仮面……だったら悪いこと言ったわ、誰だって自分の好きな物を悪く言われるのは嫌だもんな、後で謝ろう。

 

それは兎も角として、どうにも様子が可笑しい魔力の持ち主であるワルド。そもそもワルドはルイズたちと共に桟橋へ向かったハズである。それがなぜここにいるのか。それにワルドが二人もいることがさらに謎だ。ここのメイジはまさか影分身の術でも使えるのだろうか。

 

 

「あれは風のスクウェアでないと使えない遍在という魔法」

 

 

「遍在……つーと、なんだ。本人の力を分けるタイプじゃなくて、出てきた分身全部が本人と同じ強さって訳かな……」

 

 

タバサが教えてくれた事と技?の名前を元に推測してみる。タバサから特に訂正も無かったので合ってると思ってよさそうだ。

……正直な話、ワルドと同じ強さなら何人いてもあんま脅威にはならないのだが……

 

 

「……どうやら最初から君には通用しないみたいだね、どうやってかは知らないが僕だと気づいていたみたいだし。あとこの仮面は好きで着けている訳ではないよ、ただ正体を隠すための小道具に過ぎない」

 

 

仮面を外しながらにこやかに言うワルド。しかし杖は此方に向いたままである。一体どういうことだろう。

 

 

「なぜ僕がここにいるのか?って顔をしているね。ちなみに僕らは遍在だ、本体はルイズたちと行動しているからね。さて、本題だ。単刀直入に聞こう、こちら側に来る気はないかね?」

 

 

「こちら側……と言いますと……?」

 

 

「もちろん僕が所属している国へ、だよ。まだ国にはなってないがすぐにそうなる。アルビオンを滅ぼして……な」

 

 

「……レコン・キスタ」

 

 

まだ俺に抱えられたままのタバサが答える。いやいや蓮根喫茶とか誰が喜ぶんだよJK。いや、なかには異状な程の蓮根好きがいるかもしれない。……閃いた……!!なるほどな……異状な蓮根好きが集まる国……それが蓮根喫茶か、一瞬でここまでの回答を導き出した自分の頭脳が恐ろしいぜ……!!

しかし俺はそこまで蓮根好きじゃないけどなんで勧誘されてんだ?つーかそもそもここに蓮根なんてあったっけ?

 

 

「そういう事だ。今はアルビオンと戦争中だが、それが終われば次はトリステインだ。そうなってしまえばいくら君が強くとも、国とは対抗出来まい。ここまで言えばあとはわかるな?大人しく僕について来た方が賢明だぞ」

 

 

「えーと……つまりどういうこと?」

 

 

俺は抱えているタバサに事情の説明を求めた。正直な話別に被害を無視していいなら国所か大陸を焼け野原に出来無いこともないがそれは置いておく。

 

 

 

「現状、アルビオンとトリステインは友好条約を結んでいる。つまり私たちはアルビオン側の人間。そしてワルドはトリステインで暮らしていながらレコン・キスタ側……要約するとトリステインを裏切ってレコン・キスタにつけということ」

 

 

「そっちのお嬢さんの方がわかっているみたいだね、それでどうだい?今のトリステインにはいても何の価値もない。君ほどの実力があれば、レコン・キスタに来れば爵位を渡すことも可能かもしれない。悪い話ではないはずだよ」

 

 

「考えるまでもないな」

 

 

「ふふ、君ならそう言ってくれると思ったよ。それじゃあ早速案内しよう、ついておいで」

 

 

ワルドは期待していた答えが返ってきて満足そうに笑う。俺はタバサを下ろしてワルドの後を追う。その時のタバサはまるで信じられない者を見るような表情であった。

 

 

 

 

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