タロット使いの魔導師   作:祭永遠

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必要ならば使えるものは何でも使え

 

女子寮の最上階の一番奥の部屋はそこそこ広い。連れてきた四人を座らせられるスペースは充分にある。この部屋は寝泊まりしているだけなので必要最低限のものしかない。サーチャーからの映像やらはミクシムが出してくれるウィンドウでチェックしているため、ここの文化レベルを著しく上げるような物などは置いてない。四人に飲み物を出してこの部屋へ連れてきた本題へと入る。

 

 

「で?何から聞きたい?答えられる範囲でなら答えよう」

 

 

「あなたが持っていたカードはなに?」

 

 

「あれはだな……何て言えばいいのか……一言でならレアスキル。丁寧に説明するなら俺だけにしか使えない特別な魔法……かな」

 

 

最初に口を開いたタバサへなるべく通じるように言う。才人にはレアスキルで通じるはずだ。地球の言葉の意味がわかるのはここだと才人だけだからな。

 

 

「ではあなたが使っていた魔法について。杖も無しにどうやってその魔法を使ったの?」

 

 

「うーん、なかなか難しいな……しかもそうなると本当に最初から説明しないといけなくなるな……とりあえず杖はある。俺の左腕についている腕輪……これが俺の杖だ。まあ杖とは少し違うがこれを経由して魔法を使うから似たようなもんだな」

 

 

タバサは興味津々のようで俺のデバイスをじっと見ている。どうも触らせてほしいようだがそれは遠慮してもらった。デバイスは正しく今の俺の命綱となっているため、それを簡単に渡すのは気が引ける。

そのあとは特に元の世界、管理世界の事は触れず才人と同じであろう地球の事を話す。某有名チェーン店のイタリアンレストランや、赤い看板に黄色でMと書いてあるファーストフード店の味が恋しいなど他愛もない話をして過ごした。今回はレアスキル以外は使わなかったので、これだけで済んだのは幸いだった。

 

夜も遅くなったので解散させ、それぞれ自分の部屋へ戻らせる。俺も久しぶりに同時解放をしたせいで疲れたので、さっさとベッドに入り夢の中へと逃げ込んだ。

 

 

翌朝、なんだか外がうるさい。先程からドンドンと何かを叩く音が聞こえる。まだ眠り足りない俺は、気にすることなく布団を被り二度寝を開始する。すると先程より一際大きい音で何かが叩かれる音が聞こえたので、さすがにこの雑音の中で寝るのは無理と判断し起き上がる。そして気づいた。先程からの音はどうやら俺の部屋の扉をノックする音であった。寝起きのイライラがあるがシカトをするわけにもいかず扉を開ける。するとそこには昨日の四人と引率らしきコルベールがいた。

 

 

 

「ミスタ・サガミ。悪いがついてきてくれないかね?昨日宝物庫へ盗賊が入ってね。それを目撃した人を全員オールド・オスマンの元へ連れていかねばいけないのだ」

 

 

「……ふああああ……了解です。五分待ってください……準備しますんで」

 

 

「ごふん……?とはどれくらいだ?」

 

 

「あっ、それなら俺がわかるんで数えときます」

 

 

この世界でも、つい地球にいた頃の物を使ってしまう。才人がいてくれて初めてよかったと思った。その間に着替えを済ませ左腕にミクシムを装着する。今俺は、管理局の正装を着ている。どうやらこれから向かう先は、当然ながらこの学院の先生たちが全て揃っているようで一応粗相の無いようにという配慮からだ。

宝物庫につくとそれは酷いことになっていた。壁は壊され、扉の目の前では責任の擦り付けが行われている。当直が自室で仕事をサボって寝ていたらしい。女性の先生のようだが名前がわからない。

 

 

「これこれ。女性を苛めるものではないぞ」

 

 

そう言いながら姿を見せたのは学院長であった。貴族の責任の擦り付けなど、下らないので話を聞き流していると不意にこちらに話が振られた。

詳しく説明するために、ルイズが一歩進み出て見たままを述べた。

 

 

「突然ゴーレムが出てきたと思ったら、それを察知したトモハルが女子寮から出てきました。でも間に合わずに壁は壊され、肩に乗ってた黒いメイジが宝物庫の中へ入ったんです。その途端にゴーレムが何かに殴られ始めて、気づいたらゴーレムは跡形も無くなってました。でもメイジが宝物庫から何かを持って出てくると、すぐにゴーレムは再生してしまいそのまま逃げて行きました。慌てて追ったんですがそこには土しかなくて、肩に乗ってたメイジはいませんでした」

 

 

誰にも言うなって言葉を守ってくれているらしい。俺の魔法を上手く誤魔化しながらルイズは説明をしてくれた。ふと昨日ゴーレムが再生されたときに感じたような魔力が近寄ってくるのを察知した。誰にも気付かれぬよう戦闘態勢へ気持ちをシフトすると、そこに現れたのはロングビルであった。勘違いかと安心し緊張を解く。どうやらロングビルは盗賊の犯人、土くれのフーケの居場所を掴んだようで今まではその調査をしていたらしい。その話を聞いて沸き上がる教師たちがフーケの捜索隊を結成しようとしたのだが、どいつもこいつもヘタレばかりで自分の保身しか考えてなく杖を掲げる者はいない。それを見て俯いていたルイズが、すっと自分の杖を顔の前に掲げた。

それを見て驚いた当直をサボった教師が声をあげる。

 

 

「ミス・ヴァリエール!!何をしているのですか!!あなたは生徒です、ここは教師に任せて……」

 

 

「誰も掲げないじゃないですか」

 

 

教師の言葉に食い気味に自分の言葉を重ねた。その後それを見たキュルケが杖を掲げ、さらにそれを見たタバサが杖を掲げる。ここの教師陣よりよっぽどまともな人間に見えた。その様子を見た学院長は笑い、三人を捜索隊としてフーケを追うことを命じた。それに反対する教師もいたが、自分が行くとなると話は別になるようでそれ以降声を上げる者はいなかった。

 

 

「彼女たちは敵を見ている。それにミス・タバサは若くしてシュヴァリエの称号を持つ騎士だと聞いているが?」

 

 

タバサはその言葉に全く反応せずボケッと突っ立っている。教師やキュルケが驚いてタバサを見ている。このシュヴァリエとやらはかなり凄いものらしい。この世界へは跳ばされて来たので実際はどうなのかわからないが。

そのあとキュルケの魔法を誉め称えルイズの時は目を逸らしながら言っていた。それを見たのだが疑問があった。俺から見れば、この中で一番苦戦しそうなのがルイズであるからだ。チートレベルの魔力容量、そして出現位置が全くわからない爆発、しかも呪文から爆発までのタイムラグが少なすぎて魔力を感知する時間すらない。ここの人たちは魔力を感知する術を知らないのでどうこう言えないが、それでもあんまりだと思う。ほら、ルイズがしょんぼりした。自分より使い魔の才人の方が注目もされてるし。気持ちはわかる。

全員の紹介が終わったところで学院長が、威厳のある声を張り上げて言った。

 

 

「この三人に勝てると思う者がいるのなら、一歩前に出たまえ」

 

 

「僭越ながら……俺ならば三人纏めても五分はかからないかと……いや、それぞれの使い魔も含めるなら十分ください」

 

 

そう言って俺は一歩前に出た。さすがに生徒だけで行かせるのは、学院として問題がありまくりだと思ったので渋々だがついていくことにした。仮にも女子寮の管理人なので、そこに住む者の安全も俺の仕事に入ると思っている。例えそこが学院の敷地内ではなくとも、怪我をして帰って来るなんてことがあるのは許しがたい。

 

 

「それならミスタ・サガミにも捜索隊に加わってもらうとしようかの?」

 

 

「別に構いません。生徒だけで行かせるのは心配ですから。ここの教師たちは生徒より自分の方が大事みたいなので、女子寮の管理人とはいえ生徒を守る立場にある俺がついていきます。感謝してくださいね?ヘタレ教師ども」

 

 

わざとケンカを吹っ掛けるような事を言ってみても、顔を歪ませるだけで誰も何も言ってこない。これでそこまで言われて黙ってられるかっていう気概のある教師がいればまだ良かったのだが、一人もいないとなると本当に学院の教師を見直した方がいいのかもしれない。これを見て生徒が育ち、これと同じようになるなんて見過ごせない。機動六課で仮とは言え教導していた身としては、早急に解決した方がいいと思った。

 

 

「それでは……魔法学院は、諸君らの努力と貴族の義務に期待する」

 

 

女性三人は、真顔になって直立すると「杖にかけて」と唱和した。貴族でもなく、杖と呼べるような棒も持ってない俺はとりあえず敬礼しておく。同じような才人は俺の真似をしとけばいいものの、なぜか三人の真似をしたので吹いてしまった。才人の頭に拳骨を落としやめさせる。

学院長が馬車を用意してくれるらしくそれで目的地へと向かう。

 

その馬車は屋根がなく、地球の牧場でよく見るようなものであった。それはけっこう手狭であり、四人も乗るとぎゅうぎゅうになってしまったので俺は魔法を展開し飛んでいくことにした。そうすることで辺りをくまなく見渡し、どこから敵が現れてもいいように警戒をする。

しばらく進むと馬車は深い森に入っていった。そこは昼前だと言うのに薄暗く君が悪かった。全員が馬車から降りたのを見て、ここからは徒歩で進むのだと推測する。幾つもの小道を入り、目印でもないと迷いそうなところまで入った。上空から開けた場所が見えた。そこの真ん中には小屋があり朽ち果てた看板などが小さく見えた。どうやら一行はそこを目指しているらしく、先回りして近くの茂みに降りた。

すぐに四人が合流し作戦会議を始める。

 

 

「俺はお前らが危なくなるまで手は出さないからな。まずは自分たちだけでやってみろ」

 

 

俺はなるべく手を出さずに見守る。生徒が自分で考え自分で行動した方が各々の力が上がるからだ。手を出すのは、生徒たちじゃどうしようもない時である。それまでは自由にやらせる。タバサの立てた作戦は合理的で、俺をいないものと考えれば一番いい作戦だろう。

 

それぞれの役割が決まり作戦がスタートした。偵察兼囮として才人が小屋をチェックする。才人が腕で大きく×の印を作る。それを確認してから全員で小屋の様子を伺い、安全性を確実にしてからキュルケ、タバサ、才人が小屋の中へ入る。ルイズは見張りとして残り、ロングビルは辺りを偵察してくると言って森の中へ消えていった。

俺は何があってもすぐに動けるように、ルイズとは違う位置で外を警戒する。

 

すると森の中から魔法が使われるのを感じた。それに気付き小屋の中へいる三人へ急いで声をかける。

 

 

「おい!!恐らくだがゴーレムが出てくるぞ!!屋内は危ない!!外に出るんだ!!」

 

 

その言葉を聞いた三人は外に出る。外に出た三人と俺、元から外にいたルイズは戦闘準備に入ると先日のゴーレムが姿を現した。先制攻撃としてタバサが巨大な竜巻を、キュルケが巨大な火の玉をゴーレムにぶつける。しかし全く攻撃を通らなかった。

 

それを見てキュルケとタバサは敵わないと思ったのか退却を始める。しかしルイズはその場を動かない。才人が無理矢理連れて行こうとするが駄々をこねる子供のようにして拒否をしている。

 

 

「あんた、言ったわよね。ギーシュと決闘したとき、下げたくない頭は下げられないって」

 

 

「それがどうした!!」

 

 

「私だってそうよ。ささやかだけどプライドってもんがあるのよ。ここで逃げたらゼロのルイズだから逃げたって言われるわ!!」

 

 

「良いじゃねえか!!それくらい言わせておけよ!!」

 

 

「私は貴族なの。魔法が使えるものを、貴族と呼ぶんじゃないわ」

 

 

ここでゴーレムが思い出したかのように足を振り上げ俺達を踏み潰そうとする。

意を決したように目を開きゴーレムを睨みつけながらルイズは続けた。

 

 

「敵に後ろを見せない者を、貴族と呼ぶのよ」

 

 

「それはご立派だがここが一種の戦場だと言うことを忘れてないか?」

 

 

俺の言葉とともにゴーレムの動きが止まる。俺がバインドでゴーレムの動きを止めたのだ。

 

 

「このゴーレムを倒せればいいんだろ?それなら一端シルフィードの背中に乗れ。それまでの時間くらい稼いでやるよ」

 

 

俺も一瞬だが破壊の杖と言われる物を見たのだ。どうしてあれがここにあるのかはわからないが、あれならば一瞬でゴーレムを壊せる。俺の言葉とともに走り出した才人の近くにイルククゥが降り、四人を背中に乗せて飛ぶ。

俺はバインドを施したまま愚者のカードを取り出し、詩篇を解放する。愚者の能力は自身と自身の許可した者への矛盾の性質の付与である。例えそれがゴーレムであれ、動いており意思の介入があれば有効となる。今回で言えば……ゴーレムなのに防御力が薄い。という性質を与える。そうすることで先程通らなかったタバサやキュルケの攻撃も通るようになる。

 

それをしたところで才人とルイズの二人がイルククゥから破壊の杖を持って降りてきた。

 

 

「お前ら……それの使い方わかるか?」

 

 

「なんかわかんないんですけど、これを持ったら急に使い方を理解できたんです」

 

 

「なんだそれ?まあいい。わかるなら止めさせ。ルイズと二人でな」

 

 

それに頷いた才人は破壊の杖をルイズと二人で構える。

二人でそれの引き金を引いた瞬間、杖から玉が飛び出しゴーレムに命中する。俺の愚者のカードの影響もあり、それは粉々になり再生することはなかった。

 

土砂の中からフーケの証拠となりそうなものを探している三人。その途中でロングビルが偵察から戻ってきた。俺はロングビルに目をやり怪しい行動を取らないかチェックする。するとロングビルが才人の持っていた破壊の杖に手を伸ばそうとしたので俺は素早く「チェーンバインド」と唱えロングビルの動きを止める。

 

 

 

「ロングビルさん……破壊の杖に手を伸ばしてどうする気ですか?」

 

 

「……私はこれを生徒が持っていると危険だと思ったので預かろうとしたまでです」

 

 

「平賀は生徒じゃないぜ?他人の使い魔の心配たあどういう風の吹き回しですか?それに危険だと思うのなら、わざわざ掠め取ろうとするんじゃなく声をかければ良いじゃないですか。でもまあ危険というのも一理あるので俺が預かっておきましょう。平賀」

 

 

そう言って才人から破壊の杖を預かる。

 

 

「これで生徒たちに危険が及ぶことはなくなりましたね、いきなり変な事をしてすみませんでした。貴方が仰るようにそれは危険な物ですので、不意に落として暴発してしまっては洒落にもならないので手荒な真似をしてしまいました。フーケは見つかりませんでしたが、こうして破壊の杖は取り戻しましたし……それじゃあ帰りましょうか」

 

 

ロングビルは何とも言えない表情をしてから頷いた。

破壊の杖を取り戻した俺たちは、学院に帰りそれを報告する。破壊の杖は取り戻したがフーケには逃げられたこと、フーケは逃がしたがもうフーケが現れないことも言った。そしてフーケから取られた物を取り返して来たのは、俺たちが初めてらしいので大変誉められていた。褒美があったり、このあとの何とかの舞踏会の主役がどうとか言っていたが、それよりも俺にはこれから話さなければならない人物がいる。学院長の長い話が終わり、才人が学院長室に残り話を続けるらしい。俺は部屋を出る際に学院長にロングビルを借りていく事を話す。許可をもらった俺は女子寮の管理人室にロングビルを連れて来た。

 

 

「こんな所に連れて来てどうするつもりですかミスタ・サガミ」

 

 

「本来のしゃべり方でいいぜ?土くれのフーケ」

 

 

「……っち、やっぱり気づいてたのかい。私がフーケだって知っていながらなぜ王室へ突き出さない?」

 

 

そう、土くれのフーケの正体はロングビルであったのだ。軽い舌打ちのあと自分をつかまえなかった理由を問いただされた。

 

 

「フーケ……お前にはやってほしいことがあるんだ。もし断るならばそのまま王室へ突き出す」

 

 

ここは管理局の目の届かない所である。俺一人で何もかもをやるにはどうしても人手が足りない。ならば有能な人材を見つけて雇っていき、駒として使うしかない。そこで先程捕まえたロングビルである。

 

 

「別に何も難しいことを頼もうとしてる訳じゃない。今までは通りに学院長の秘書をしててくれ。そこで学院長へしか入ってこないような情報などを盗んで俺に報告してほしい。王室に捕まるよりは余程いいと思えるんだがどうだ?」

 

 

「私には養わなくちゃいけないガキどもがいるんだ。ここの秘書代だけじゃ賄えないよ」

 

 

「もちろんタダでとは言わない。俺はここで給金貰ってもほとんど使わないからな……俺の給金からちゃんと情報代は出してやる。どうだ、やるか?やらないか?」

 

 

「くそっ……選択肢なんてあってないようなもんじゃないか……わかったよ、やればいいんだろ?」

 

 

「交渉成立だな」

 

 

俺が今欲しいのは何よりも情報である。そのため犯罪者を使ってでも手に入れたい。秘密文書などは見せてくれないことはわかっているので、これくらいはいいだろう。

ロングビルへどういう情報が欲しいのか事細かに伝え、早速仕事に取り掛かってもらうため部屋から追い出す。

 

俺はこれから食堂の二階へ赴き、仕事をしなければならない。そこで今日やると言われていた舞踏会が行われるのだ。その会場で才人がやけ酒をしているのが見えた。

 

 

「おいこらー、お酒は二十歳になってからだろ?」

 

 

「今だけは……今だけは許してください………」

 

 

給仕服の俺は片手にワインを載せたトレイを持ちながら才人に話しかける。泣き崩れるようにして酒を煽る才人。一体何があったのか聞いてみると、元の世界へ帰れる可能性を見つけ期待していたのだが、学院長からは何もわからんと言われ落ち込んでいるそうだ。

 

 

「というか相模さんは地球に帰りたくならないんですか……?」

 

 

「うーん、別に異世界に来るのは初めてじゃないし……嫁に会えないのはあれだが、お互いこんな仕事をしてるからな。覚悟の上だろう。俺はこのまま帰れないのであればここに骨を埋めるよ」

 

 

ここではなぜかありとあらゆる通信器機の類いが使えなくなっている。そのせいでこちらの居場所も向こうからはわからないだろうし、こちらも向こうの高町たちとは連絡が取れない。正直この状態では迎えが来るかも怪しいので八割近く諦めている。

 

 

「というか結婚してたんですか!?」

 

 

「あれ?言ってなかったっけ?結婚して二年だ。籍を入れただけで式は挙げてないけどな」

 

 

思わぬ俺のカミングアウトに才人が言葉を失っていると、ホールの扉が開きルイズが姿を見せた。タバサとキュルケは見かけたが、ルイズわ見かけなかったのは、この登場の準備のためかと思いながら仕事に戻る。

 

主役が揃ったことで楽士たちが音楽を奏で始める。それぞれが音に合わせてステップを踏む。ルイズとキュルケの周りにはそれこそ男たちが群がっていた。タバサは食事に夢中で音楽など聞いちゃいない。俺はタバサの元へ近寄りトレイに載っているワインを渡す。

 

 

「よっ。美味いか?タバサ」

 

 

「美味しい」

 

 

ワインを一口飲んでそう答えるとまた食べ始める。しかも食べてるのはハシバミ草という物凄く苦いものであった。俺は嫌いじゃないが、人がほとんど手をつけないそれに夢中になるとは面白い子もいたもんだ。

 

ホールの真ん中では見慣れた二人が踊っている。

どちらも満更でもなさそうで普段の雰囲気が微塵も感じられない。普段からそうやって仲良くしとけよと思いつつ俺は仕事に戻るのだった。

 

 

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