からかい上手になりたい神野めぐみ   作:暮影司

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エロマンガ先生11巻を読んで書きたくなって久しぶりの二次創作。
せっかくなので、俺ガイルに挑戦してみました。


自己紹介とメイド服

今日もまた、来客のない奉仕部の活動を終え、愛しの我が家に帰ってきた。

ぼっちの俺にとって真の安息が訪れる、はずだった。

また、来てやがるのか……。

 

玄関に最近よく見る靴があった。

小町の友人、神野めぐみのものだ。

なんでも交友関係が異常に広く、やたらめったらお友達がいるらしい。俺の真逆の生き物といってもいいな。

それにしても足立区からわざわざ千葉までやってくるとはずいぶんと仲の良いことで。

 

しかし、めぐみがいるのか。

思わずため息が出る。

こいつがいると休まらないんだよな。

自己紹介の時点から苦手極まりないやつだった。

初めて会った時を思い出す。

 

「あ、小町ちゃんのおにーさん。こんにちは」

「お、おう……」

 

なんなの? この娘はなんで自己紹介でこんなに近寄ってきて上目遣いで笑顔を向けてくるの?

どうしようもない私に天使が舞い降りたの? わたてんなの?

しかしまぁどうやら小町より年下だし、いくら可愛くてもな。

するとめぐみはくりくりっとした大きな瞳を見開いたまま言った。

 

「あれ? あたしに一目惚れしないなんて珍しい人ですね?」

 

うわー。

この娘そういうこと言っちゃう系かー。一色でもそこまで酷くねえぞ。

 

「惚れねえよ。小町の方が可愛いからな」

「うわっ、シスコンだったんですね!? 気持ち悪っ!」

「あのね、自己紹介しただけで気持ち悪いとか言うのやめてもらえる? 言われ慣れてても傷つくんだけど?」

「やっぱり言われ慣れてるんですねー」

 

うんうん、と勢いよく頷くめぐみ。追い打ちかけてる自覚あるんですかね……?

 

「それだけ妹のことが好きだと、やっぱり妹の下着でおちんちんしごいたりするんですか?」

「は!?」

 

なに? なに言ってるのこの娘?

小町より年下の女子中学生が言う言葉じゃないよね? 由比ヶ浜でもそんなにビッチなこと言わないよ? あいつ実は全然ビッチじゃないけど。

なんなら三浦でも顔を赤らめて恥ずかしがっちゃうレベル。なにそれあーしさん可愛すぎ。

 

「お前、女子中学生がおちんちんとか言うのやめたほうがいいぞ」

「え? JCはみんなおちんちん大好きですよ?」

 

この味は、嘘をついている味だぜーッ!

って汗なんか舐めなくてもわかりますよ、ええ。

 

 

「いや、そんなわけないから」

「なんでですか?」

 

きょとん、と目を丸くして頬に人差し指を当てつつ小首をかしげるめぐみ。

残念だが、こっちはあざとい年下に慣れてるので、うっかり惚れたりはしない。3年前ならイチコロだったねこれ。

 

「その理屈だと小町もおちんちん大好きってことになるだろが」

「そうですよ?」

 

左にかしげてた顔を右に倒しながら、無邪気に答えるめぐみ。ほんとあざといなこいつ。

そうですよって。なに当然の如く言っているの。

小町がおちんちん大好きとか、お兄ちゃんは許しませんよ!?

しかし確かめようにも小町に「お前、おちんちん大好きなの?」とか聞いたら家族会議になって俺と親父が怒られる。親父まじ可哀想。俺はともかく親父のためにもやめとこう。

 

 

「じゃあ、お前は俺のおちんちんに興味あるの?」

 

ないだろ、という確認のために言っているんだからね? 俺は小町より年下の女子中学生におちんちんをどうこうして欲しい変態じゃないからね?

 

「えっ? も、もちろんありますよ」

 

薄い胸を反らして強がるめぐみ。薄い胸と言っても雪ノ下さんよりはありそうですね!

しかしここまでわかりやすく強がっているんだ、もう勘弁してやろう。年下をいじめる趣味はない。年上にいじめられる趣味ならある。

 

「はいはい、そうですか」

 

話を打ち切ったつもりだったが、めぐみは頬をぷくーっと膨らませ、抗議してきた。

 

「ちょっと、今お子様扱いしてますね」

「そりゃそうだろ、実際お子様なんだから」

 

スクールカースト上位のリア充美少女でも、さすがに高校二年生から見た中学一年生はお子様だ。

年上の友達の家で初めて会った更に年上の高校生の異性なんて、逆の立場だったらまともに見ることも出来ないだろう。こいつは一所懸命に背伸びをしている可愛げのあるお子様だ。

ぽんぽんと頭を撫でてやる。

 

「ひああ? ううっ、なんで優しくされているんですかっ! 今、あたしが女の魅力で翻弄するところですよっ?」

 

顔を真っ赤にして抵抗している。翻弄するっていうのは雪の下の姉みたいな悪魔的大人の魅力がある女性がやることだ。ちゃんちゃらおかしい。

 

「よしよし、小町と遊んでくれてありがとな」

「むうううう!」

 

頭を撫でられながら顔を真っ赤にして怒っているようだった。

まぁ、お子様ってのは子供扱いされるのが嫌なもんだな。

かわいい、かわいい。

 

――っていうのがめぐみが初めて来た日の出来事だったのだが。

 

あれからちょくちょく来るようになったんだよな。

どんだけ小町のこと好きなんだよ。俺も好きだからよくわかる! 毎日会いたいよね! むしろトイレやお風呂でも一緒にいたいまである。

 

「おかえりなさいませ、ご主人様」

「なんでお前が俺の家でメイドの格好してるの!?」

 

めぐみはメイド服を着て玄関前で待ち構えていた。とても良く似合っている。黒髪の清楚なメイドもいいけど、ギャル風ポニテのメイドも悪くはない。

 

「おにーさんの本棚を見る限り、こういうのが好きなんだろうな―と思って」

 

そりゃエマとかシャーリーとか大好きですけど! なんで勝手に俺の本棚分析しちゃってるの? うちのメイドがウザすぎるの? 勝手に俺の部屋に入るのはイケないと思います!

 

「まぁこんなところにいつまでもいるのもなんですし、こちらにどうぞ」

 

にこやかな表情でリビングに誘導される。ここ誰の家なんだっけ?

 

 

「では、そこのソファーにどうぞ」

 

ささ、こちらにとばかり手でソファーに座れと促される。我が家のソファーを薦められるのって初めてだな。

何を企んでいるのかわからんが、大人しく言うことを聞いてやる。

 

「お隣失礼しますね~♡」

 

わざわざくっついてくるように座るめぐみ。キャバクラみたいだな。行ったことないけど。メイドさんが隣りに座ってくれるなんて夢シチュエーションですね。

俺の目の前にカップを置き、そこに紅茶を注いでくれる。何がしたいんだコイツは。

ぴったりとくっついてメイド服越しに体温が伝わってしまう。近い近い。ほんのりとシャンプーの匂いがして女の子だと意識してしまう。なんか戸塚に似た香りだな。あれ? じゃあ男の子なの?

しかし左腕の感触からすると、やっぱり女の子だった。

 

「どうですか? あたしの魅力にメロメロなんじゃないですか?」

「そうだな。メロンメロンってことはないが、思ったよりは胸があるんじゃねーの?」

「ひゃ!? お、おおお、おにーさん!?」

 

胸を押し付けてきてるのかと思ったが、触られてると思って恥ずかしがるとかよくわからんやつだな。

翻弄したいだけで、実際にエロいことをされたらこの動揺っぷり……。

ははーん、これはニセビッチだな?

 

「お前知らないのか? 男子高校生はみんなおっぱいが大好きなんだぞ?」

「知ってますよ! そりゃそうでしょうとも!」

「おちんちんが大好きな女子中学生とおっぱいが大好きな男子高校生。これはWINWINの関係が築けると思わないか?」

「えっ? それって、どういうことです?」

「俺がお前のおっぱいを触って、お前は俺のおちんちんを触るってことだよ」

 

うんうん、素晴らしい。みんな幸せ。ハッピーラッキーみんなにとーどけ!

俺の提案を受けためぐみは顔を茹でダコのように赤くしてがばりとソファーから立ち上がり、リビングから2階へと叫んだ。

 

「きゃー! 小町ちゃーん!」

「ちょ、おまっ!」

 

ここで小町を呼ぶとかズルすぎるだろ!

 

ジト目で登場した小町に

 

「俺はあくまでお互いのニーズにあった最適のソリューションを提案したにすぎずそれはコンプライアンス的に決してですね!」

 

と、ろくろを回すようなポーズをとりつつ女子中学生にセクハラした言い訳をする俺。

わあ、意識高そうですごく低い。地面をえぐって地球の裏に到達するまである。ブラジルの人聞こえますか―!?

 

「どうせめぐみちゃんがお兄ちゃんをからかおうとして失敗したんでしょ。小町だいたいわかるからいいよ」

 

わー、流石小町。俺の妹とその友達は修羅場にならない。

涙目のめぐみをよしよしと頭を撫でる小町を見て、安堵する。

 

しかし、なんでまた俺をからかおうなんて思ったのコイツ? 高木さんにでも憧れてるの? 設定上は同じ中学一年生か。でも、高木さんだったら俺もドキドキしちゃうだろうな。

 

でもありゃ西方君のこと好きだからやってんだっつーの。

俺なんかをからかおうなんて、神野めぐみは間違っている。

 




いや~、八幡って書いてて楽しいですねー! こりゃみんな書くわけだぜ。
感想とかいただけたら続きなど書こうと思います! よろしくおねがいします!

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