ISてぃーちゃあ〜   作:BlueRider

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第奈々時限目~ふらぐ~

「疲れた~」

 

仕事から解放され、椅子に座ったまま思いっきり背伸びをする。時刻はPM5:30いつもに比べれば僅かだが速い。

 

一夏達の特訓が無いのが一番の理由だろう、あったら確実に月を拝める。

 

「さて、久々にあのコンビニで運命力鍛えますかね」

 

減給処分を食らっても尚このテンション、まぁこれぐらいのテンションでなければ逆にやっていけないのだろう。

 

帰り支度をし、駐車場へそそくさと向かい、ヘルメットをかぶり、愛馬のエンジンをかける

 

「お買い物~お買い物~」

 

出勤とは違い、のんびりまったりと帰りはじめる。ものの数分程度でお目当てのコンビニに到着し、愛馬を止めヘルメットを取り中へ入る。

 

向かう場所はアイスがある業務冷蔵庫の隣、白い1つの箱の前だ

 

「月一回のメインイベント」

 

そう、ここのコンビニにしか置いていない運命力を鍛える事ができるBOX

 

「あたり付アイス、19戦19敗……悪いが今日の俺は!」

 

目を閉じ勢い良く右手を箱に入れ、何かを感じ取った瞬間

 

―コイツだ!

 

「阿修羅すら凌駕する存在だ!」

 

ゆっくりと箱から右手を抜き、レジに持って行く

 

「230円です」

 

―地味に高いのは仕様だ

 

コンビニから出、すぐさまに封を切りアイスを食べる

 

「やっぱ夏はアイスだよな~」

 

しばしスーパーカブに座り、むしゃむしゃとアイスを食べる。

 

「いざ、勝負!」

 

アイスの棒をゆっくりと裏返していく

 

ざわ……

 

―こい!

 

ざわ…ざわ…

 

―こい!こい!

 

ざわざわ……ざわざわ……

 

「な…」

 

アイスの棒を裏返すとそこには………

 

ハズレ

 

「で…ですよね~」

 

アイスの棒をへし折りゴミ箱に捨て、自宅に何事もなかったかのように戻り始める

 

「はぁ…俺はいつになったら当たりを出せるようになるのやら」

 

自宅の駐車場にスーパーカブを停めヘルメットを脱ぐ

 

―それは神のみぞ知るってか?

 

「はぁ~」

 

郵便受けを確認するが特に中には何も入っていない

 

「郵便物0…いつも通りだな」

 

廃れた階段をカンカンと昇っていく

 

「来月にかけますかね」

 

部屋の鍵をくるくる回しながら携帯を見る。時刻はPM6:10どうやらコンビニで思ったよりも時間を潰してしまったようだ

 

鍵を開けドアノブを捻る

 

ガチャ……

 

「「おかえりなさいませご主人様!!」」

 

バタン!!ガチャン!

 

思わずドアを閉め、鍵までしてしまった。

 

「あ、あれだ、へ、部屋を間違えたんだ。そうだそうに決まってる」

 

改めて部屋番と表札を確認する、411号室赤城

 

―おかしいな俺んちだな

 

?マークを幾つも頭に浮かべ、まばたきを何回もし目をゴシゴシこする

 

411号室赤城

 

二度、確認してから鍵を開けドアを開ける

 

ガチャ……

 

「「おかえりなさいませご主人様!!」」

 

バタン!

 

「あれだな、最近の幻覚は幻聴とセットのようだ……」

 

無理に自分に言い聞かせ駐車場に向かおうとした瞬間

 

「お前はさっきから何をしているのだ?」

 

紙袋を引っさげたジャージ姿の織斑先生が目の前にいた。

 

冷や汗がダラダラと頬を伝い流れる

 

「い、いや~なんか小腹空いたんでちょっとコンビニに…」

 

―今はまずい、いろんな意味で

 

「なら、ちょうど良かったお前の事だ、どうせ毎日コンビニ弁当で終わらせているだろうと思ってな」

 

ガサゴソと紙袋から二段弁当と水筒を出す

 

「え?」

 

「みそ汁もセットだ、後は温め治せば完璧だな」

 

「あ、はぁ…」

 

「今月はピンチ何だろう?」

 

禁じられたドアに歩みよる千冬

 

「だ、大丈夫っす!その水筒保温バッチしなんで!それに、すげー腹減ってるんで今この場で食べます!HAHAHA」

 

「小腹じゃなかったのか?と言うか、立ち食いは行儀悪い」

 

禁じられたドアノブを握り締める

 

―あ、あぁぁ

 

終末を覚悟した…

 

ガチャ…

 

「「おかえりなさいませお嬢様」」

 

―また、俺は流星になるのか?

 

スタスタと何も言わずに入っていく千冬

 

―まさかのスルー!!

 

「どうした?入らないのか?」

 

「入ります!入ります!」

 

メイドたちを見て驚いた

 

―全員オッドアイ?つか見たような目だな…

 

「使われていないような台所だな」

 

「えぇ、あんま使わないですからね」

 

電子レンジに二段弁当を開けて入れ、手頃な鍋に水筒の中身を移し火にかける

 

「しかし、驚いたぞ、お前の家に家政婦がいたとはな」

 

「織斑先生って俺んち来たことなかったんでしたっけ?」

 

「?ああ、今日が初めてだな」

 

―事情を理解した…問題ない

 

「とりあえず、織斑先生が台所で事をすませているうちに、居間(俺の城)でも片付けるか」

 

本を本棚に戻し、キャスター付きの箱にゲーム機などをしまっていく

 

―あれ?コミケのカタログどこ行った?

 

うろちょろと四つん這いになって探し始めると、一カ所から興奮を抑えられない人特有の声が聞こえる

 

「おいおい…まさか」

 

そう、その声は俺の目の前の段ボールから聞こえるのだ

 

「失礼」

 

ひょいと段ボールをめくる

 

「あ~」

 

中にはラウラと同じ眼帯をしたメイド服の女性が、コミケカタログを開き目を輝かせている状態だった

 

そっと段ボールを元に戻す

 

―間違いない、この人がブララビこと、クラリッサさんだ

 

「赤城、温め終わったぞ」

 

台所から二段弁当と小鍋片手に出てくる

 

「了解、ちゃぶ台あるんでちゃぶ台の上にお願いします」

 

「わかった、しかし……」

 

ちゃぶ台に二段弁当と小鍋を置きながら周りを見渡す千冬

 

「狭い部屋だな」

 

「仕方ないでしょ、お金無いんですから」

 

座布団をちゃぶ台を囲むように並べる

 

「それもそうか」

 

「それじゃあ遠慮なく頂きます」

 

箸を持ち煮卵に箸を触れた瞬間、破裂音と共に顔面に降り注ぐ煮卵

 

「ゐぎぁぁぁぁ!織斑先生どん んだけ、温めたんですか!?」

 

「?10分だが?」

 

両手で顔を隠しながら床に転げ回っていると、異常を察知したのか段ボールに入っていたクラリッサが素早く段ボールから飛び出し、赤城に近づき顔にお絞りを被せる

 

「おふす、まさか、煮卵にダウンさせられるとは」

 

お絞りで顔を拭きながら座布団に座り直す

 

「ふむ…どれくらいがちょうどいいんだ?」

 

「まぁ、長く三分、短くて一分ってとこですかね」

 

気を取り直して弁当を食べ始める

 

―うまい、織斑先生、料理出来るんだ

 

「赤城、プライベート時は、ち、千冬で構わないぞ」

 

少し照れながら言う千冬

 

「え、さすがにさんづけで呼びますよ、千冬さん」

 

―じゃないと、鉄拳が飛んできそうだ

 

「そ、そうだな、親しき間にも礼儀ありと言うしな」

 

「でしたらご主人様、私もクラリッサと言ってくださいまし」

 

唐突に会話に入ってくるクラリッサ

 

「あ、あぁ…よろしく頼…」

 

俺は見てしまった、2人が火花を散らす中、向こうから歩いてくる1人を

 

―まずい!彼女はまずい!

 

「クラリッサ~」

 

俺は素早く立ち上がり彼女を回れ右させ、火花を散らせている2人から見えないところに連れて行く

 

「なんでお前がいるんだよラウラ」

 

小声で軽く怒鳴る

 

「なんでと言われたら、借りを返しに来たからだとしか、言えんな」

 

「……」

 

「何でも日本人男性はメイドが好きだとクラリッサが言っていた」

 

「極端過ぎんだろ!!つか、メイドが好きなのは一部の人だけだ!」

 

「なん…だと……」

 

―クラリッサさん…あなたは知識が偏り過ぎで

 

「とくにもかくにもだ!生徒であるお前が教師の自宅にいるのは非常にマズい!」

 

「そんなにか?」

 

―あぁ、遅滞型バットエンドに気づいたが、肝心の分岐点のセーブし忘れてたくらいマズい

 

居間を壁越しに覗き見る、幸いまだ2人は互いを凝視したままの冷戦状態……

 

「だが、借りを作ったままでは我々の部隊の汚名に関わる」

 

顎に指を当て困り果てるラウラ

 

「んじゃ、明日、飯を奢ってくれ」

 

「それだけでは「俺はそれで充分だ」

 

「わかった」

 

―話の通じる人で助かった…

 

「つう訳で、今すぐ引き上げてくれ」

 

「無理だ」

 

「……はい?」

 

「無理だと言った」

 

「何故だ!さっきわかったって言ったろう」

 

「一度受けたミッションは最後までやるのが我々だ」

 

腕を組みこちらをドヤ顔でこちらを見上げるラウラ

 

―前言撤回…

 

頭に右手を当て溜め息を長めにつく。

 

―何とかうまい具合にやらせるしかないか…

 

頑固、強気っ娘にはコレに限る。フォローを大分入れないと駄目だが……

 

「だったら条件をつける、ラウラお前は千冬さんにバレないように行動しろ」

 

とりあえず、条件提示をしリスクを下げる。コレはギャルゲーで頑固、強気っ娘を落とすのに良く使う手だ。この行為をする事で後々に待つであろう選択肢に余裕が生まれる

 

「何だ、そんな事か、この私にかかれば造作もない」

 

無い胸を張りドンと叩き、 スタスタと俺の横を抜けていくラウラ

 

―何だろう、泥船に乗った気分になっているのは俺だけか?まぁ、リスク下げはできたから後は何とかなるだろう

 

「とりあえず、俺は……」

 

居間に再び視線を向ける

 

「………」

 

「………」

 

―まずはあの冷戦状態を解決しよう……やべぇ、考えただけで目から心の汗が…

 

「その前に軽くトイレによっていくか……」

 

軽い現実逃避場所にトイレとは、これいかに

 

「はぁぁぁ…」

 

便座に腰掛け頭を抱えうなだれる

 

―どうしよう?あの2人多分似たような性格だよなぁ

 

「はぁ……」

 

口からでるのは溜め息ばかり。

 

―幸せ、いくつ逃げていったのかな

 

そんなどうでもいい事を考えていると、ガチャン!ガラガラ!と唐突に台所から響き渡る金属音が否応無しに聞こえた

 

「な………なんだ!」

 

便座から立ち上がり、すぐさまトイレ(現実逃避)から台所に向かうと、台所ではただならぬ雰囲気を纏った2人がいた

 

「あ、あのぅ、お二方は何を?」

 

恐る恐る声をかける

 

「見てわからんか?」

 

「見てわかりませんか?ご主人様」

 

―わかりますよ、でも確認の意味をと思って……

 

「「料理だ!!」」

 

2人は…そう、料理を作り始めていた。何がどう転んだのかわからないが、とにかく料理を作っているのだ。大事な事だから二度言いました。

 

千冬のまな板にはどこからか仕入れてきたのかわからない魚が置かれており

 

「ふん!」

 

まな板に刺さるくらいに、思いっきり中華包丁で魚の頭が切り落とされる

 

―出刃包丁涙目

 

対するクラリッサは…

 

「こんなものか?」

 

ミキサーに材料をどんどん放り込んでいく

 

―おいぃ、せめて野菜の皮と芯を……

 

ウィィーン、ガガガガガガガガ!

 

―AI☆BO☆U!

 

就職と同時に買い今まで共に戦ってきたミキサーが、悲鳴をあげながら、ありとあらゆる野菜がゲル化、ミキサーの命の灯火が消えたと同時にゲル化したそれをフライパンに流し入れ 、牛乳、固形カレー粉を投入どうやらカレー?のようだ

 

再び千冬に視線を戻すと、どうやらこちらは、寄せ鍋?らしい、材料は……気にしない方向で行こう。

 

あそこに居るだけで、食べる前から倒れてしまうと感じた俺は台所から居間へ何とか移動した

 

「俺死ぬのかな……」

 

不意によぎる死…

 

ふと、現実逃避気味に窓を見ると今宵も月がキレイに浮かんでいた。

 

とりあえず、ベッドに横になり、タオルにくるまって丸くなる。

 

後は、ひたすら神、仏、邪神等に祈る事にした

 

―夢でありますように。夢でありますように。夢でありますように。2人の料理が美味しくなりますように。2人の料理が美味しくなりますように。2人の料理が美味しくなりますように。

 

「…城!」

 

―誰か呼んでいるのか?

 

「…赤…!」

 

朦朧とした意識の中で何度も木霊する声

 

「はやく!起きんか!この馬鹿者めぇぇぇ!」

 

ドス!

 

「ぐはぁぁぁぁ!」

 

怒号と共に鋭く鳩尾に入る拳

 

打ち込んだのは紛れもなく千冬さんであろう、という事は……

 

「り……りょ、料理…でき…たんですか?」

 

鳩尾を押さえながらゆっくりと起き上がる

 

―どうやら、軽く眠っていたらしい

 

「あぁ、つい先ほどな」

 

「ご主人様、早く食してくださいな」

 

「はいは……い…」

 

絶句とはまさにこの事だったはずだ

 

「えーと、この2つは?」

 

「見ての通り鍋と」

 

「カレーですが?」

 

―嘘だ!!絶対嘘だ!

 

ちゃぶ台に置かれたそれは相対する白と黒、何とも言えぬ臭気を放っていた。

 

―お、恐らく土鍋に入った白い物が千冬さんが作った物だよな…で、皿に盛られた黒い物がクラリッサさんが作った物のはず

 

静かに座布団に腰掛け箸を手にとり、2人を見ると、期待の眼差しでこちらを見つめていた

 

―とりあえず、先ほどの経験からして千冬さんの料理は大丈夫なハズだ

 

「じゃあ、な、鍋から…」

 

パクリ

 

「んぐ!」

 

―な、何じゃこりゃ!!…口が!顎が!歯が!言うことを聞いてくれない。

 

「どうだ?うまいだろ」

 

腕を組み頷く千冬を、後目に無理やり具を飲み込む

 

「そ、そうです…ね、お、おいしい?……です」

 

プルプルと震えながら、涙を必死に押し殺し笑みを浮かべる。

 

「ではご主人様、次は私のカレーを」

 

箸からスプーンに持ち替えようとすると、体が警告するようにスプーンを拒絶する

 

「せっかくですから、ご主人様にはアーンをさせていただきます」

 

「「!」」

 

動揺する千冬と拒絶反応する赤城

 

「ご主人様~アーン」

 

スプーンにこんもり盛られたカレー…

 

―あ、あ、あ、あ

 

徐々に近づくスプーンに盛られたカレーと言う名の劇薬

 

―ヤメロー!シニタクナーイ!シニタクナーイ!

 

半開きの口に強引にスプーンをねじ込まれる

 

「ふぐ!」

 

一瞬で視界が真っ白になる。

 

―この感覚セシリア、い、以来だ

 

パタン

 

紙が倒れるようにちゃぶ台に倒れ込む

 

「何だ?旨すぎて気絶したのか」

 

「みたいですね、今回は判定不能ドローと言うことで」

 

「うむ、異論なしだ」

 

※後日、彼女達の料理はスタッフが死人を出しながら食べました。

 

―だれか…彼女達に、り…料理…を…それだけが俺の頼……ガフ

 

その日赤城は1つ目の地獄を体験したのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

目を覚ますと、2人はちゃぶ台で向かい合ったまま何もせずにいた。

 

―また、料理で気絶、うまい料理を作れる人はいないのか?

 

軽く涙を拭きながらゆっくりと起き上がる

 

「ん?起きたか」

 

「えぇ、まぁ」

 

「ご主人様は、日頃の食事をもう少し豪勢にするべきです」

 

―そっくりそのままおまえ等に返してやりたい

 

胃をさすりながらベットからちゃぶ台に移動する。

 

「しかし、おり…」

 

ギロ!

 

千冬に鋭く睨まれる赤城

 

「ち、千冬さんはわざわざ俺に弁当を届けにきただけですか?」

 

「ん?あぁ、弁当の他に用事があってな……今日生徒から少し困った事を聞かれてな、お前ならそう言う類の質問をうまく答えられそうだと思ったから今日来たのだ」

 

「へぇ、千冬さんでもわからない事があるんですね」

 

「当たり前だ馬鹿者、お前は私を完璧超人か何かだと思ったのか?人には得手不得手が必ず存在するんだ、だから互いの弱点を知り助け合って行くんだろ?」

 

胸へと突き刺さる言葉

 

「それで、その質問と言うのは何なんですか?」

 

空気を察したのかクラリッサが話を進める

 

「落としたい男子がいるのだが落とし方がわからないと言ってきた」

 

―なるほど、恋絡みか…

 

「それでどう答えたんですか?」

 

緑茶を全員分のティーカップに注ぎながら聞くクラリッサ

 

「模範演技をしながら締め技を教えた」

 

「「……え?」」

 

2人の疑問と共に場が静まり返り、クラリッサがいれていたティーカップから緑茶が盛大に溢れ始める

 

「く、クラリッサさんこぼれてる!こぼれてる!」

 

「は!!す、すいません!今!ふ、拭きますから!」

 

「クラリッサ~布巾は「だぁ!しゃぁ!俺が持ってきますから!」

 

ひょっこり出てきそうになったラウラを、廊下に押し戻し布巾を取り上げる

 

「お前は居間に来るな!」

 

小声で怒鳴る

 

「我が副隊長が危機的状況だったのだ、やむを得まい(キリッ!」

 

「キリじゃねぇよ!」

 

「ピンチには…「ガルル!」

 

「大人しくしている」

 

「分かればいい」

 

布巾を握り締め居間に戻る

 

「布巾持ってきま…」

 

「え?」

 

場が瞬間的に凍りついた

 

―んな…

 

「……」

 

俺と目と目があった瞬間徐々に頬が赤くなるクラリッサ

 

簡単に言うと、そう、クラリッサは緑茶まみれのメイド服を脱ぎ、スーツに着替えていたのだ

 

よりにもよってこっちを向きながら…

 

「す、すいません!」

 

しばらくの間の後すぐ後ろを向く

 

「い、いえ、こちらにも不備がありましたし…」

 

「……」

 

そんな2人を見てご機嫌ななめな千冬

 

―でぃーふらぐが近い……

 

気まずさが残る中、話はさっきの質問に戻る

 

「と、とりあえず、千冬さん……その子は告白したいが、する勇気が無いみたいですよ、恐らく相手がかなり鈍感なんでしょう」

 

「何だ…恋事か」

 

―素で間違えるあたり、恋事に関して鈍いのかな?さすが、一夏の姉だ…

 

「そうなると、攻略方針は何回もその男子と合うところからでしょうか」

 

「それもありだが、鈍い奴はそれ続けてもただの友達で、止まって終わりだな」

 

ちゃぶ台に肘をつき、顎に手を当てながら話す

 

「うむ……」

 

「すまないが、私に分かり易く話してくれないか?」

 

頭に?を幾つも浮かべる千冬

 

―こちら側の人間でない千冬さんにはちとキツいか

 

「でしたら、あのゲームをやらせてはいかがですか?」

 

「あ~あれか…丁度似たような主人公だし、相手もそんなキャラだったか……告白側と告白される側の性別が逆なのは仕方ないが」

 

「赤城、私はゲームなど一回くらいしかやった事、無いぞ」

 

「あ、大丈夫です、会話文読んで、後は丸ボタン押すだけですから」

 

そう言いながらゲーム機を引っ張り出し、テレビに接続し始める

 

「はい」

 

「あ、あぁ」

 

コントローラーを千冬に渡す

 

「そんなに肩に力入れなくていいですよ」

 

「あぁ」

 

「基本的に私はオートでやってますが、ご主人様は手動何ですか?」

 

「そうだな、最初だけ手動で後はオートスキップの多用かな」

 

「あ、赤城、は、始まったぞ、どっから降ってくるんだ?」

 

「「………」」

 

「千冬さん、落ちゲーじゃありませんよ」

 

「?」

 

「テトリス系ではありません」

 

「な!なんだと」

 

―あなたはどこの兵隊だ

 

ゲームが始まり、色々と恋の悩みに解説を入れながら進めること数時間

 

「ようやく告白手前まで、こじつけましたね」

 

「そうなのか?」

 

「後はもう一度、女子に合えば告白イベントに入りますから選択肢で告白を選択して決定です」

 

「分かった」

 

―皆は見たことがあるだろうか…テレビの前に陣取るように座りコントローラーを握り締めゲームをする千冬さんを…

 

「ん?赤城、スタッフロールが流れ始めたぞ」

 

「それでクリアです、後は違うキャラが2人いますから頑張ってやってみてくださいっても、もう夜中ですから明日やります?」

 

時計を見ると深夜の2時を指していた

 

―千冬さんの事だ、明日仕事だし、さすがに切り上げ…

 

カチカチ

 

こちらの会話を聞かずにゲームを続行する千冬

 

―前言撤回…人の話聞いてねぇ

 

そうコレが第2の地獄の始まりだった

 

AM3:00

 

「赤城、ここがわからないんだが」

 

「そこは…こうして」

 

クラリッサは早々に眠っており、助けは来ない

 

AM4:00

 

「赤城」

 

「…………ふぁい?」

 

軽く寝ていると体を揺すられて起こされる

 

AM5:00

 

なかなか起きなければ

 

ゴス!

 

「うぐ!」

 

鳩尾に鋭い拳を貰い

 

「赤城、聞きたいんだが」

 

「はい……」

 

コレは出勤時間まで続き…

 

「赤城!仕事に行くぞ!」

 

徹夜明けだと言うのに元気な千冬

 

「う…うぃっす…オデノカラダハ!ボドボドダ!(せき)」

 

ボロボロの体を起こし眠い目をこすりながら支度をする

 

洗面所は千冬さんが占拠しているので俺は頭を手グシで撫でながら、幸せそうに寝ているクラリッサさんを起こす

 

「朝ですよ」

 

「ムニャムニャ」

 

「起きてください」

 

「ふぁ…ふぁい」

 

「つか、ラウラも起こさなきゃならんか」

 

廊下を探索しながら段ボールの中に眠るラウラを見つけ文字通り叩き起こす

 

「貴様はもう少しレディーを優しく起こす事が出来んのか」

 

「うるせぇ、起こしただけありがたいと思え」

 

頭を抑え涙目で訴えるラウラを後目にトイレに入る

 

「あぁ、ねみぃー」

 

―まさか、オールするとは……

 

支度を長々していると、そそくさと出て行くラウラとクラリッサ+α

 

「赤城!あまりもたもたしていると遅れるぞ」

 

「わかってますよ」

 

それだけ言い残し颯爽と出て行く千冬

 

「さて…俺も行きますかね」

 

鍵を閉め、愛馬のエンジンをかけ進みながらヘルメットを被る

 

欠伸をしながら教室に向かう

 

―まさか、オールで仕事とは

 

「席に着けぇ、てめぇらぁ」

 

目を擦りながら出席簿を開く

 

「あっかぎ~ん眠そうだね」

 

「どうせまた、徹夜でゲームでしょ」

 

「うっせぇな、グダグダ抜かすと後で職員室に呼び出すぞ」

 

「うわぁ久々に聞いた、鬼教師言葉だぁ」

 

「綾瀬……鉄パイプと俺の拳どっちがいい?」

 

拳を鳴らしながら満面の笑みで聞く

 

「うぅ、あっかぎ~んそれどっちもすごく痛いよ…」

 

「赤城先生!私は!「あぁ、厳島は静かに座ってろ」

 

「シュン…」

 

「「早々と委員長の会話を潰したか」」

 

と小声で納得する鈴音と綾瀬

 

「全員いるみたいだから、ホームルーム始めるぞ」

 

出席簿を閉じスケジュール帳を開き目を通す

 

「「はーい」」

 

「知っての通り、来週は臨海学校が入ってる」

 

ガヤガヤと浮き足立つ二組一同

 

「だが、しかぁし!」

 

ニヤリと笑い声高らかに宣言する

 

「臨海学校の前に、テストがあることを忘れるな!」

 

一気にテンションが下がり始める二組一同

 

「つうわけで、今からコレだけやれば絶対に赤点無いであろう範囲を言う、もしコレで赤点取ろうもんなら……」

 

ゴクリと息をのむ二組一同

 

「臨海学校は無い物と思え」

 

「あっかぎ~んの悪魔!鬼!鬼畜!邪神!破壊神!人でなし!」

 

立ち上がり、猛抗議する綾瀬

 

「はっはっは!俺は鬼教師だからな!それぐらいの事はするさ!」

 

「鬼教師って認めたよこの人……」

 

「無事に臨海学校に行きたくば!この赤城テストを越えて行けー!」

 

「やってる、やってるぞ!と言うわけで鈴ちゃん教えて~」

 

「はいはい」

 

「嬉しい事におまえ等には休みが3日ある、テストの内容的には休み2日あれば終わる範囲だ、1日は臨海学校に行く支度できるから安心しろ」

 

「さすがですわ、赤城先生」

 

「相変わらず抜かりがない……」

 

「んじゃ、範囲書くからちゃんとメモっとけ」

 

黒板に書き始める

 

「「はーい」」

 

 

 

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